JP6650370B2 - 樹脂複合体及び樹脂複合体の製造方法 - Google Patents
樹脂複合体及び樹脂複合体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6650370B2 JP6650370B2 JP2016153101A JP2016153101A JP6650370B2 JP 6650370 B2 JP6650370 B2 JP 6650370B2 JP 2016153101 A JP2016153101 A JP 2016153101A JP 2016153101 A JP2016153101 A JP 2016153101A JP 6650370 B2 JP6650370 B2 JP 6650370B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fiber
- reinforced resin
- resin
- resin material
- fiber reinforced
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Description
該樹脂発泡体としては、“発泡スチロール”などと呼ばれるビーズ発泡成形体が広く知られている。
また、樹脂発泡体としては、押出発泡法により作製されたシート、ロッド、或いはボードなどが知られている。
さらに、樹脂発泡体としては、注型コアバック法によって形成されたものなど種々のものが知られている。
そして、近年、該繊維強化樹脂材の強度と樹脂発泡体の軽量性とを併せ持つ素材を得るべく樹脂発泡体を芯材として該芯材をシート状の繊維強化樹脂材で被覆した樹脂複合体を形成することが検討されている(下記特許文献1参照)。
そして、特許文献1には、接着樹脂と樹脂発泡体との間に熱可塑性樹脂フィルムを挟み込み、該樹脂フィルムを溶融させた溶融樹脂を芯材に入り込ませることで繊維強化樹脂層に接着樹脂を十分行き渡らせて樹脂複合体の表面部に繊維だけで形成された部分が出来ることを防ぐ方法が開示されている。
その場合、得られる樹脂複合体の表面には多数のボイドが生じたり、場合によっては繊維が表面に大きく露出した部分ができたりすることがある。
しかしながら、溶融樹脂を芯材側に流入させるための熱可塑性樹脂フィルムを構成部材として採用した樹脂複合体においては、繊維強化樹脂材のような強度付与の効果を熱可塑性樹脂フィルムに期待することは難しい。
そして、熱可塑性樹脂フィルムを芯材側に流入させると芯材の軽量性が損なわれるおそれもある。
即ち、従来の樹脂複合体においては、強度と軽量性とに優れ、且つ、外観美麗なものを作製することが難しいという問題を有している。
本発明は、このような点に着目してなされたもので強度と軽量性とに優れ、且つ、外観美麗な樹脂複合体を提供することを課題としている。
前記第1繊維強化樹脂材が前記繊維強化樹脂層の表層部に配され、該第1繊維強化樹脂材と前記芯材との間に第2繊維強化樹脂材が配され、該第2繊維強化樹脂材が前記芯材に接するように配されており、前記第2繊維強化樹脂材が前記繊維で形成された基材シートを備え、該基材シートは、1又は複数本の前記繊維で形成された経糸と緯糸とを備えた織布であり、該織布における糸の平均ピッチをPave(mm)とし、隣り合う糸の間の隙間の平均幅をDave(mm)としたときに下記関係式(1)を満足する状態で前記第2繊維強化樹脂材が前記第1繊維強化樹脂材と前記芯材との間に配されている樹脂複合体を提供する。
〔Dave/(Pave−Dave)×100%〕≦ 8 ・・・(1)
また、本発明は、
樹脂発泡体で形成された芯材を備え、該芯材が樹脂と繊維とを含むシート状の繊維強化樹脂材で覆われており、該芯材上に前記繊維強化樹脂材によって繊維強化樹脂層が設けられている樹脂複合体の製造方法であって、
繊維と樹脂とを含むシート状の繊維強化樹脂材を前記樹脂発泡体の上に貼り重ねて予備成形品を作製し、該予備成形品を加熱するとともに加圧して前記維強化樹脂材と前記樹脂発泡体とを接着する工程を実施し、
前記繊維強化樹脂層が、第1繊維強化樹脂材と第2繊維強化樹脂材とを含む少なくとも2種類の前記繊維強化樹脂材で形成されており、
前記第1繊維強化樹脂材が前記繊維強化樹脂層の表層部に配され、該第1繊維強化樹脂材と前記芯材との間に第2繊維強化樹脂材が配されており、
前記第2繊維強化樹脂材が前記繊維で形成された基材シートを備え、
該基材シートが、1又は複数本の前記繊維で形成された経糸と緯糸とを備えた織布であり、
該織布における糸の平均ピッチをP ave (mm)とし、隣り合う糸の間の隙間の平均幅をD ave (mm)としたときに下記関係式(1)を満足する状態で前記第2繊維強化樹脂材が前記第1繊維強化樹脂材と前記芯材との間に配されている樹脂複合体を製造する樹脂複合体の製造方法を提供する。
〔D ave /(P ave −D ave )×100%〕≦ 8 ・・・(1)
従って、本発明によれば優れた軽量性と美麗な外観とを樹脂複合体に付与しうる。
しかも、本発明においては、樹脂が芯材に入り込んでしまうことを繊維強化樹脂材で抑制することから熱可塑性樹脂フィルムのような補強用の繊維を含まないものを用いる場合に比べて樹脂複合体に優れた強度を発揮させ得る。
即ち、本発明によれば強度と軽量性とに優れ、且つ、外観美麗な樹脂複合体を提供し得る。
なお、図1は、本発明の樹脂複合体の一態様を例示した概略斜視図である。
図に示すように、本実施形態の樹脂複合体Aは、逆四角錐台(逆切頭四角錐)形状を有し、その上面側には逆四角錐台形状の凹入部Aaが形成されている。
言い換えると、本実施形態の樹脂複合体Aは、凹入部Aaの底部たる平面視矩形の部位を底面部とする角型トレー形状を有しており、前記底面部の外周縁から外広がりに立ち上がる矩形枠状の周側壁部を備えた形状を有している。
なお、以下においては、図1における横方向(矢印Xの方向)を“横方向”、“幅方向”、又は、“左右方向”と称し、奥行き方向(矢印Yの方向)を“縦方向”、“長さ方向”、又は、“前後方向”と称する場合がある。
また、以下においては、この横方向Xと奥行き方向Yとに平行する平面に沿った方向を“水平方向”と称し、前記平面に対して直交する方向(矢印Zの方向)を“厚み方向”、“上下方向”、“高さ方向”又は“垂直方向”などと称する場合がある。
より詳しくは、前記ビーズ発泡成形体A11は、発泡剤を含んだ発泡性樹脂粒子を用いた型内成形が実施されて作製されたもので、複数の発泡性樹脂粒子どうしを成形型内で加熱して発泡させるとともに互いに熱融着させて作製されたものである。
ここで繊維強化樹脂層A2に接するビーズ発泡成形体A11の表面を構成する樹脂発泡粒子100aは、必ずしも隙間無く密着しているわけではなく、隣り合う樹脂発泡粒子100aどうしの間に隙間A11aを有している。
該隙間A11aの幾つかはビーズ発泡成形体A11の表面において開口した状態になっており、繊維強化樹脂層A2を構成する樹脂が入り込み得るものとなっている。
まず、ビーズ発泡成形体に、カッターナイフを用いて深さ約2mmの切込線を入れる。
しかる後、ビーズ発泡成形体を切込線に沿って手で二分割し、この分割断面を目視観察する。
この分割断面において、全ての樹脂発泡粒子の数(a)と、樹脂発泡粒子どうしが熱融着界面で破断することなく樹脂発泡粒子自体が破断した数(b)とを数える。
そして、下記式に基づいてビーズ発泡成形体の熱融着率を算出する。
熱融着率(%)=100×b/a
ポリ乳酸系樹脂としては、乳酸がエステル結合により重合した樹脂を用いることができ、商業的な入手容易性及びポリ乳酸系樹脂発泡粒子への発泡性付与の観点から、D−乳酸(D体)及びL−乳酸(L体)の共重合体、D−乳酸又はL−乳酸のいずれか一方の単独重合体、D−ラクチド、L−ラクチド及びDL−ラクチドからなる群から選択される1又は2以上のラクチドの開環重合体が好ましい。なお、ポリ乳酸系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
これらの中で、スチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーとしては、アクリル系モノマーが好ましく、メタクリル酸、メタクリル酸メチルがより好ましい。
また、上記のようにして作製された後に、ビーズ発泡成形体の形成前に一旦加熱して予備発泡させたものであっても良い。
このようなアクリル樹脂発泡体としては、(メタ)アクリル系モノマーを重合させることによって製造されるアクリル系樹脂をベースとしたものが挙げられる。なお、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルの何れか一方又は双方を意味する。
(A)メタクリル酸メチル:35〜70質量%
(B)(メタ)アクリル酸:14〜45質量%
(C)スチレン:10〜20質量
(D)無水マレイン酸:0〜10質量%
(E)メタクリルアミド:0〜10質量%
該アクリル樹脂は、(A)〜(E)以外のモノマー単位の含有量が20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましく、5質量%以下であることがとりわけ好ましい。
本実施形態の繊維強化樹脂層A2は、第1繊維強化樹脂材A21と第2繊維強化樹脂材A22とを含む少なくとも2種類の前記繊維強化樹脂材で形成されており、前記第1繊維強化樹脂材21が前記繊維強化樹脂層A2の表層部に配され、該第1繊維強化樹脂材A21と前記芯材A1との間に第2繊維強化樹脂材A22が配されている。
即ち、前記第1繊維強化樹脂材A21は、繊維強化樹脂層A2の表面であって且つ樹脂複合体Aの表面を構成するものとなっている。
これらの5つのシート状の繊維強化樹脂材A21〜A25は、その平面が芯材A1の表面と平行するように配されており、5層構造となって芯材上に積層されている。
従って、前記繊維強化樹脂層2は、芯材側から第2繊維強化樹脂材A22、第5繊維強化樹脂材A25、第4繊維強化樹脂材A24、第3繊維強化樹脂材A23、第1繊維強化樹脂材A21の順に積層された5層構造を有している。
該基材シートA22aは、図4に示すように1又は複数本の前記繊維で形成された経糸Waと緯糸Weとを備えた織布である。
該織布における糸の平均ピッチをPave(mm)とし、隣り合う糸の間の隙間の平均幅をDave(mm)としたときに前記第2繊維強化樹脂材は、下記関係式(1)を満足する状態で配されている。
〔 Dave/(Pave−Dave)×100% 〕≦ 8 ・・・(1)
本実施形態において目開き割合の上限値が8%とされているのは、第2繊維強化樹脂材がそれ以上目の緩んだ状態になっていると第1繊維強化樹脂材A21などの樹脂が芯材側に過度に移行してしまうおそれがあるためである。
従って、第2繊維強化樹脂材A22は基材シートA22aの目開き割合が7%以下となって繊維強化樹脂層中に配されていることが好ましく、目開き割合が6%以下となって配されていることがより好ましい。
尚、目開き割合の下限値は、通常、0.1%である。
前記繊維シートの目付は10g/m2以上400g/m2以下であることが好ましく、20g/m2以上300g/m2以下であることがより好ましい。
ここでピッチ(P(mm))とは、隣り合う糸の中心間距離を意味する。
経糸Waどうしのピッチ(Pa1,Pa2)や隙間の幅(Da1,Da2)は、経糸Waと直交する方向(通常、緯糸Weの方向)に沿って求める。
緯糸Weどうしのピッチ(Pe1,Pe2)や隙間の幅(De1,De2)は、緯糸Weと直交する方向(通常、経糸Waの方向)に沿って求める。
経糸Waの隙間の幅(Da1,Da2)は、できるだけ緯糸どうしの間の中間地点に近い位置で求める。
例えば、前記経糸Waの隙間の幅(Da1)は、まず、隣り合う2本の緯糸Weを選択し、次いで、第1の緯糸の中心線CLe1と第2の緯糸の中心線CLe2とをそれぞれ求めこれらの中心線(CLe1,CLe2)との距離が等距離となるように中心線間に中間線XLeを設定し、該中間線XLeに沿った寸法として求めることができる。
より詳しくは、隣り合う2本の経糸の間の隙間の幅は、第1の緯糸の第2の緯糸側の端縁と前記中間線とが交わる交点と第2の緯糸の第1の緯糸側の端縁と前記中間線とが交わる交点とをそれぞれ求め、該交点間の距離をこれらの経糸Waの隙間の幅(Da1)として求めることができる。
前記ピッチ(Pa1,Pa2)は、例えば、隣り合う2本の経糸Waの中心線CLaが前記中間線XLeと交差する2点から求めることができる。
即ち、この2点間の距離を前記経糸Waのピッチ(Pa1,Pa2)として求めることができる。
緯糸Weについても同じである。
即ち、緯糸Weの隙間の幅(De1)は、例えば、隣り合う2本の経糸Waの中心線CLaとこれらの間を通る中間線XLaとを設定して求めることができる。
また、前記ピッチ(Pe1,Pe2)は、隣り合う2本の緯糸Weの中心線CLeが前記中間線XLaと交差する2点を求めて得ることができる。
即ち、この2点間の距離を前記緯糸Weのピッチ(Pe1,Pe2)として求めることができる。
即ち、本実施形態においては、ある程度、目の詰まった基材シートを有する第2繊維強化樹脂材A22が、繊維強化樹脂層A2の表面を構成する第1繊維強化樹脂材A21の内側に配されることで、第1繊維強化樹脂材A21の樹脂が過度に芯材側に移動することを抑制することができ、繊維強化樹脂層A2の表層部に樹脂不足が生じることを抑制することができる。
また、基材シートA22aの目付は、基材シートA22aから一辺10cmの正方形程度の大きさを有する試料を数枚採取して面積と質量とを測定し、算術平均値を計算することで求めることができる。
これは、基材シートA22aの厚みを0.5mm以下とすることで樹脂複合体全体の質量が過大なものになることを抑制するためである。
また、基材シートA22aの目付についても同様で、当該目付を400g/m2以下とすることで樹脂複合体全体の質量が過大なものになることを抑制し得る。
なお、基材シートA22aの目付が10g/m2以上であることが好ましいのは、基材シートA22aの繊維密度を一定以上に保つことで厚み方向への樹脂の通過をより確実に阻止できるためである。
第1繊維強化樹脂材A21の基材シートA21a(以下「第1基材シートA21a」)は、第2繊維強化樹脂材A22の基材シートA22a(以下「第2基材シートA22a」ともいう)よりも目の詰まりが緩く、且つ、軟質な素材で形成されている。
即ち、繊維強化樹脂層A2は、第1基材シートA21aと第2基材シートA22aとの両方について目開き割合(Dave/(Pave−Dave)×100%)の値を求めた場合、第1基材シートA21aの方が値が大きくなるよう形成されている。
第1基材シートA21aの目開き割合は、1%以上20%以下であることが好ましく、2%以上17%以下であることがより好ましい。
第1基材シートA21aの目開き割合は、第2基材シートA22aの目開き割合の1.5倍以上10倍以下であることが好ましく、2倍以上7倍以下であることがより好ましい。
糸は、マルチフィラメント糸である場合、引き揃え糸であっても撚糸であってもよい。
なお、第2基材シートA22a以外の基材シート(A21a,A23a,A24a,A25a)については、例えば、編物や不織布などであってもよい。
また、第2基材シートA22a以外の基材シート(A21a,A23a,A24a,A25a)は、UD(UniDirection)などと称されるもの(糸を一方向に揃えて並べただけのもの)であってもよい。
さらに、第2基材シートA22a以外の基材シート(A21a,A23a,A24a,A25a)は、繊維が糸状になっておらず短繊維の状態で含有されているものであってもよい。
前記第2基材シートは、樹脂の通過阻止をより確実なものとする上で糸の平均ピッチが1mm以上0.1mm以下であることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂とを予備重合した樹脂などが挙げられる。
該熱硬化性樹脂は、耐熱性、衝撃吸収性、耐薬品性に優れていることから、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂が好ましい。
該熱可塑性樹脂は、接着性に優れていることから、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂が好ましい。
具体的には、エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂が好ましい。
また、各繊維強化樹脂材(A21,A22,A23,A24,A25)は、上記樹脂や繊維を二種以上含むものであってもよい。
前記樹脂発泡体を樹脂と繊維とを含むシート状の繊維強化樹脂材で覆う被覆工程と、
該被覆工程後に前記繊維強化樹脂材が加熱条件下で樹脂発泡体に向けて加圧され、前記繊維強化樹脂材に含まれている前記樹脂によって該繊維強化樹脂材と前記樹脂発泡体とが接着一体化されるプレス工程と、を実施し、
前記被覆工程では、
第1繊維強化樹脂材と第2繊維強化樹脂材とを含む少なくとも2種類の前記繊維強化樹脂材を用い、
前記第1繊維強化樹脂材が前記繊維強化樹脂層の表層部となるように配置し、該第1繊維強化樹脂材と前記樹脂発泡体との間に第2繊維強化樹脂材を配置し、且つ、第2繊維強化樹脂材には、1又は複数本の繊維で形成された経糸と緯糸とを備えた織布を基材シートとして備えた繊維強化樹脂材を用い、
前記プレス工程では、
前記織布における糸の平均ピッチをPave(mm)とし、隣り合う糸の間の隙間の平均幅をDave(mm)としたときに前記第2繊維強化樹脂材が下記関係式(1)を満足する状態となるように前記繊維強化樹脂材と前記樹脂発泡体とを接着一体化させる方法である。
〔 Dave/(Pave−Dave)×100% 〕≦ 8 ・・・(1)
前記プレス工程は、例えば、前記予備成形品を成形型に収容し、該成形型を加熱・加圧して前記繊維強化樹脂材と前記樹脂発泡体とを接着一体化させるような方法で実施できる。
そのため、他の樹脂発泡体を芯材とする場合に比べて繊維強化樹脂層の樹脂が芯材側に移行しやすい。
そして、前記のプレス工程では、通常、予備成形品が外側から加熱されることになるため樹脂複合体の表面を構成する第1繊維強化樹脂材は、最も加熱され易い。
従って第1繊維強化樹脂材の樹脂がいち早く軟化して芯材側に移動しやすい。
第1繊維強化樹脂材の樹脂が芯材側に過度に移動してしまうと繊維強化樹脂層の表層部では樹脂不足な状態となり、繊維強化樹脂層の表面に小さなボイドが多数見られるようになったり、場合によっては、繊維だけの部分が出来てしまったりするおそれがある。
しかし、本実施形態においては、この第1繊維強化樹脂材の内側に所定の基材シートを有する第2繊維強化樹脂材が配されることで、樹脂の過度な移動が規制される。
従って、樹脂複合体の表面に樹脂不足が生じてしまうことが抑制される。
そこで、本実施形態においては、外観が美麗で、且つ、強度と軽量性とに優れた樹脂複合体を容易に得ることができる。
さらに、第1繊維強化樹脂材と第2繊維強化樹脂材との間に他の繊維強化樹脂材が存在しておらず、第1繊維強化樹脂材と第2繊維強化樹脂材とが直接接するような態様のものも本発明の樹脂複合体に含まれ得る。
また、本発明は、第2繊維強化樹脂材と芯材との間に別の繊維強化樹脂材が配されたものであってもよい。
即ち、上記に示した例は、あくまで特定の事例を示したものであり、本発明は上記例示に何等限定されるものではない。
スチレン−アクリル共重合体をベース樹脂とした発泡性樹脂粒子を用い、芯材となるビーズ発泡成形体(見掛け密度:0.11g/cm3)を作製した。
繊維織物を基材シートとし、該基材シートに樹脂を含浸担持させた3枚のシート状の繊維強化樹脂材を用意し、ビーズ発泡成形体を繊維強化樹脂材で覆って予備成形体を作製した。
予備成形体の作製に際しては、ビーズ発泡成形体の表面上に3枚の繊維強化樹脂材を重ねて繊維強化樹脂層が3層構造となるように繊維強化樹脂材を配置した。
最表面側に配する第1繊維強化樹脂材には、経糸と緯糸との両方に複数の炭素繊維からなるマルチフィラメント糸が用いられた織物で、且つ、経糸と緯糸とが平織りにされた織物を基材シートとして備えているものを用いた。
前記ビーズ発泡成形体に接する位置に配した第2繊維強化樹脂材には、経糸と緯糸との両方に複数のガラス繊維からなるマルチフィラメント糸が用いられた織物で、経糸と緯糸とが平織りにされた織物を基材シートとして備えているものを用いた。
第1繊維強化樹脂材と第2繊維強化樹脂材との間に介装した第3繊維強化樹脂材には、第1繊維強化樹脂材と同じものを用いた。
各部の詳細は、表1に示すとおりである。
結果を表1に示す。
判定1:50mm×50mm面積内のボイド数が101個以上である場合。
判定2:50mm×50mm面積内のボイド数が71−100個である場合。
判定3:50mm×50mm面積内のボイド数が51−70個である場合。
判定4:50mm×50mm面積内のボイド数が6−50個である場合。
判定5:50mm×50mm面積内のボイド数が0−5個である場合。
樹脂複合体の作製条件を表1に示したように変更した以外は実施例1と同様に樹脂複合体を作製し、作製した樹脂複合体の表面品質を実施例1と同様に評価した。
A1 芯材
A11 樹脂発泡体
A2 繊維強化樹脂層
A21 第1繊維強化樹脂材
A22 第2繊維強化樹脂材
A22a 基材シート
Wa 経糸
We 緯糸
Claims (4)
- 樹脂発泡体で形成された芯材を備え、該芯材が樹脂と繊維とを含むシート状の繊維強化樹脂材で覆われており、該芯材上に前記繊維強化樹脂材によって繊維強化樹脂層が設けられている樹脂複合体であって、
前記繊維強化樹脂層は、第1繊維強化樹脂材と第2繊維強化樹脂材とを含む少なくとも2種類の前記繊維強化樹脂材で形成されており、
前記第1繊維強化樹脂材が前記繊維強化樹脂層の表層部に配され、該第1繊維強化樹脂材と前記芯材との間に第2繊維強化樹脂材が配され、該第2繊維強化樹脂材が前記芯材に接するように配されており、
前記第2繊維強化樹脂材が前記繊維で形成された基材シートを備え、
該基材シートは、1又は複数本の前記繊維で形成された経糸と緯糸とを備えた織布であり、
該織布における糸の平均ピッチをPave(mm)とし、隣り合う糸の間の隙間の平均幅をDave(mm)としたときに下記関係式(1)を満足する状態で前記第2繊維強化樹脂材が前記第1繊維強化樹脂材と前記芯材との間に配されている樹脂複合体。
〔Dave/(Pave−Dave)×100%〕≦ 8 ・・・(1) - 前記織布の厚みが0.5mm以下で、前記織布の目付が10g/m2以上400g/m2以下である請求項1記載の樹脂複合体。
- 前記樹脂発泡体がビーズ発泡成形体である請求項1又は2記載の樹脂複合体。
- 樹脂発泡体で形成された芯材を備え、該芯材が樹脂と繊維とを含むシート状の繊維強化樹脂材で覆われており、該芯材上に前記繊維強化樹脂材によって繊維強化樹脂層が設けられている樹脂複合体の製造方法であって、
繊維と樹脂とを含むシート状の繊維強化樹脂材を前記樹脂発泡体の上に貼り重ねて予備成形品を作製し、該予備成形品を加熱するとともに加圧して前記維強化樹脂材と前記樹脂発泡体とを接着する工程を実施し、
前記繊維強化樹脂層が、第1繊維強化樹脂材と第2繊維強化樹脂材とを含む少なくとも2種類の前記繊維強化樹脂材で形成されており、
前記第1繊維強化樹脂材が前記繊維強化樹脂層の表層部に配され、該第1繊維強化樹脂材と前記芯材との間に第2繊維強化樹脂材が配されており、
前記第2繊維強化樹脂材が前記繊維で形成された基材シートを備え、
該基材シートが、1又は複数本の前記繊維で形成された経糸と緯糸とを備えた織布であり、
該織布における糸の平均ピッチをP ave (mm)とし、隣り合う糸の間の隙間の平均幅をD ave (mm)としたときに下記関係式(1)を満足する状態で前記第2繊維強化樹脂材が前記第1繊維強化樹脂材と前記芯材との間に配されている樹脂複合体を製造する樹脂複合体の製造方法。
〔D ave /(P ave −D ave )×100%〕≦ 8 ・・・(1)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016153101A JP6650370B2 (ja) | 2016-08-03 | 2016-08-03 | 樹脂複合体及び樹脂複合体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016153101A JP6650370B2 (ja) | 2016-08-03 | 2016-08-03 | 樹脂複合体及び樹脂複合体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018020483A JP2018020483A (ja) | 2018-02-08 |
JP6650370B2 true JP6650370B2 (ja) | 2020-02-19 |
Family
ID=61164949
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016153101A Active JP6650370B2 (ja) | 2016-08-03 | 2016-08-03 | 樹脂複合体及び樹脂複合体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6650370B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7042172B2 (ja) * | 2018-03-30 | 2022-03-25 | 積水化成品工業株式会社 | 樹脂複合体 |
JP6917504B2 (ja) * | 2019-09-27 | 2021-08-11 | 積水化成品工業株式会社 | 樹脂複合体の製造方法 |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5242637A (en) * | 1989-07-12 | 1993-09-07 | Teijin Limited | Process for the production of composite molded articles |
JPH0712613B2 (ja) * | 1989-07-12 | 1995-02-15 | 帝人株式会社 | 複合成形品の製造方法 |
JPH08336412A (ja) * | 1995-06-13 | 1996-12-24 | Toray Ind Inc | 鞄 |
US8741198B2 (en) * | 2006-03-08 | 2014-06-03 | Toray Industries, Inc. | Process for producing fiber reinforced resin |
JP4984973B2 (ja) * | 2006-03-08 | 2012-07-25 | 東レ株式会社 | 繊維強化樹脂の製造方法 |
JP2008132697A (ja) * | 2006-11-29 | 2008-06-12 | Toray Ind Inc | 繊維強化樹脂およびその製造方法 |
WO2015146577A1 (ja) * | 2014-03-27 | 2015-10-01 | 積水化成品工業株式会社 | 樹脂複合体、及び、樹脂複合体の製造方法 |
JP6346817B2 (ja) * | 2014-07-30 | 2018-06-20 | 積水化成品工業株式会社 | 繊維強化複合体、及び、繊維強化複合体の製造方法 |
-
2016
- 2016-08-03 JP JP2016153101A patent/JP6650370B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018020483A (ja) | 2018-02-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5810201B2 (ja) | 繊維強化複合体、輸送機器構成用部材及び繊維強化複合体の製造方法 | |
JP6043677B2 (ja) | 熱可塑性ポリエステル系樹脂押出発泡シート及びこれを用いた成形品、熱可塑性ポリエステル系樹脂押出発泡シートの製造方法並びに繊維強化複合体 | |
JP6533756B2 (ja) | 樹脂複合体、自動車、風力発電用風車、ロボット、及び、医療機器 | |
JP5810238B1 (ja) | 樹脂複合体、及び、樹脂複合体の製造方法 | |
WO2016027488A1 (ja) | 樹脂複合体及び樹脂複合体の製造方法 | |
JP6248020B2 (ja) | 繊維強化複合体の製造方法 | |
JP6043678B2 (ja) | 繊維強化複合体の製造方法及び繊維強化複合体 | |
JP6650370B2 (ja) | 樹脂複合体及び樹脂複合体の製造方法 | |
JP2014208417A (ja) | 繊維強化複合体 | |
JP6101177B2 (ja) | 繊維強化複合体の製造方法 | |
JP5890717B2 (ja) | 複合体用発泡体及びその製造方法 | |
JP6067473B2 (ja) | 繊維強化複合体の製造方法及び繊維強化複合体 | |
EP0648602A1 (en) | Composite fiber material member utilizing reclaimed plastics material | |
JP6140064B2 (ja) | 繊維強化複合体の製造方法、繊維強化複合体及び輸送機器構成用部材 | |
JP6078671B2 (ja) | 複合体 | |
JP6215167B2 (ja) | 繊維強化複合体、及び繊維強化複合体の製造方法 | |
JP6404197B2 (ja) | 繊維強化発泡体、その製造方法及び繊維強化発泡体を芯材とする繊維強化複合体 | |
JP6212461B2 (ja) | ポリエステル系樹脂発泡シート及びその製造方法 | |
JP2016187947A (ja) | ビーズ発泡成形体の製造方法、ビーズ発泡成形体、樹脂複合体の製造方法、及び、樹脂複合体 | |
JP6161559B2 (ja) | 繊維強化複合体の製造方法、輸送機器構成用部材及び自動車用部材 | |
JP6393818B2 (ja) | ポリエステル系樹脂発泡体および繊維強化複合体の製造方法 | |
JP6077363B2 (ja) | 繊維強化複合体の製造方法 | |
JP2021049692A (ja) | 繊維強化複合パネル | |
JP2001058368A (ja) | 積層体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20180615 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20181210 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190822 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190830 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20191021 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200107 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200120 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6650370 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |