JP2018020483A - 樹脂複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度と軽量性とに優れ、且つ、外観美麗な樹脂複合体を提供すること。【解決手段】上記課題を解決すべく、樹脂発泡体からなる芯材を特定の繊維強化樹脂材で覆った樹脂複合体を提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂複合体に関し、より詳しくは、樹脂発泡体で形成された芯材を備え、該芯材が樹脂と繊維とを含むシート状の繊維強化樹脂材で覆われており、該芯材上に前記繊維強化樹脂材によって繊維強化樹脂層が設けられている樹脂複合体に関する。
従来、軽量性に優れた樹脂発泡体が各種の用途に用いられている。
該樹脂発泡体としては、“発泡スチロール”などと呼ばれるビーズ発泡成形体が広く知られている。
また、樹脂発泡体としては、押出発泡法により作製されたシート、ロッド、或いはボードなどが知られている。
さらに、樹脂発泡体としては、注型コアバック法によって形成されたものなど種々のものが知られている。
ところで、FRPなどと呼ばれる繊維強化樹脂材は、軽量で且つ高い機械的強度を有していることから、従来、広く用いられている。
そして、近年、該繊維強化樹脂材の強度と樹脂発泡体の軽量性とを併せ持つ素材を得るべく樹脂発泡体を芯材として該芯材をシート状の繊維強化樹脂材で被覆した樹脂複合体を形成することが検討されている(下記特許文献1参照)。
特開2001−353834号公報
上記の特許文献1には、繊維集積体と樹脂発泡体との間に接着樹脂を挟んで加圧一体化して樹脂複合体を作製する方法が記載されており、その際に繊維集積体に接着樹脂を含浸させて樹脂複合体の表層部に繊維強化樹脂層を形成させる方法が記載されている。
そして、特許文献1には、接着樹脂と樹脂発泡体との間に熱可塑性樹脂フィルムを挟み込み、該樹脂フィルムを溶融させた溶融樹脂を芯材に入り込ませることで繊維強化樹脂層に接着樹脂を十分行き渡らせて樹脂複合体の表面部に繊維だけで形成された部分が出来ることを防ぐ方法が開示されている。
ところで、本発明者が見出した事実によれば、芯材側に樹脂が流入することで樹脂複合体の表面部に繊維だけで形成された部分が出来てしまうという問題は、樹脂を含んでいない繊維集積体を用いるような場合だけでなく繊維材に樹脂が含浸担持されたプリプレグシートなどと称されるシート状の繊維強化樹脂材で繊維強化樹脂層を形成する場合にも起こり得る。
プリプレグシートはエポキシ樹脂などの樹脂が繊維材で出来た基材シートに予め含浸担持されたものであるが、例えば、ビーズ発泡成形体には発泡ビーズどうしの間に形成された隙間が表面に開口していることがあり、これらで樹脂複合体を作製する際にはプリプレグシートに担持されている樹脂がビーズ発泡成形体側に入り込んで繊維強化樹脂層の表層部に樹脂不足が生じた樹脂複合体が形成されてしまうことがある。
その場合、得られる樹脂複合体の表面には多数のボイドが生じたり、場合によっては繊維が表面に大きく露出した部分ができたりすることがある。
そのため、このプリプレグシートを用いて樹脂複合体を作製するのに際しても、熱可塑性樹脂フィルムを樹脂発泡体との間に挟み込んで樹脂複合体の表層部における樹脂不足を抑制させることが考えられる。
しかしながら、溶融樹脂を芯材側に流入させるための熱可塑性樹脂フィルムを構成部材として採用した樹脂複合体においては、繊維強化樹脂材のような強度付与の効果を熱可塑性樹脂フィルムに期待することは難しい。
そして、熱可塑性樹脂フィルムを芯材側に流入させると芯材の軽量性が損なわれるおそれもある。
即ち、従来の樹脂複合体においては、強度と軽量性とに優れ、且つ、外観美麗なものを作製することが難しいという問題を有している。
本発明は、このような点に着目してなされたもので強度と軽量性とに優れ、且つ、外観美麗な樹脂複合体を提供することを課題としている。
なお、樹脂発泡体の表面の気泡膜は、通常、薄くて破れ易いものであるため、樹脂複合体を作製する際に繊維強化樹脂材の樹脂が芯材側に入り込んでしまい易いという問題はビーズ発泡成形体以外の樹脂発泡体を芯材として用いる場合においても起こり得るものである。
上記のような問題に対し、本発明者は、シート状の繊維強化樹脂材の内側にさらにシート状の繊維強化樹脂材を配し、且つ、この内側の繊維強化樹脂材を目の詰まった織布を基材シートとして備えたものとすることで繊維強化樹脂層の表層部の樹脂不足を防止し得ることを見出し本発明を完成させるに至った。
即ち、上記課題を解決すべく本発明は、樹脂発泡体で形成された芯材を備え、該芯材が樹脂と繊維とを含むシート状の繊維強化樹脂材で覆われており、該芯材上に前記繊維強化樹脂材によって繊維強化樹脂層が設けられている樹脂複合体であって、前記繊維強化樹脂層は、第1繊維強化樹脂材と第2繊維強化樹脂材とを含む少なくとも2種類の前記繊維強化樹脂材で形成されており、
前記第1繊維強化樹脂材が前記繊維強化樹脂層の表層部に配され、該第1繊維強化樹脂材と前記芯材との間に第2繊維強化樹脂材が配されており、前記第2繊維強化樹脂材が前記繊維で形成された基材シートを備え、該基材シートは、1又は複数本の前記繊維で形成された経糸と緯糸とを備えた織布であり、該織布における糸の平均ピッチをPave(mm)とし、隣り合う糸の間の隙間の平均幅をDave(mm)としたときに下記関係式(1)を満足する状態で前記第2繊維強化樹脂材が前記第1繊維強化樹脂材と前記芯材との間に配されている樹脂複合体を提供する。

〔 Dave/(Pave−Dave)×100% 〕≦ 8 ・・・(1)
本発明においては、繊維強化樹脂層の表層部を形成する第1繊維強化樹脂材の樹脂が芯材に入り込んでしまうことを目の詰まった織布を基材とした第2繊維強化樹脂材によって抑制させ得る。
従って、本発明によれば優れた軽量性と美麗な外観とを樹脂複合体に付与しうる。
しかも、本発明においては、樹脂が芯材に入り込んでしまうことを繊維強化樹脂材で抑制することから熱可塑性樹脂フィルムのような補強用の繊維を含まないものを用いる場合に比べて樹脂複合体に優れた強度を発揮させ得る。
即ち、本発明によれば強度と軽量性とに優れ、且つ、外観美麗な樹脂複合体を提供し得る。
一形態の樹脂複合体を示した概略斜視図。 樹脂複合体の内部構造を示した概略断面図(図1のII−II線矢視断面図)。 繊維強化樹脂層の構造を示した概略断面図(図2のIII部拡大図)。 繊維強化樹脂材の基材シートである織布を示した概略平面図。
以下に本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。
なお、図1は、本発明の樹脂複合体の一態様を例示した概略斜視図である。
図に示すように、本実施形態の樹脂複合体Aは、逆四角錐台(逆切頭四角錐)形状を有し、その上面側には逆四角錐台形状の凹入部Aaが形成されている。
言い換えると、本実施形態の樹脂複合体Aは、凹入部Aaの底部たる平面視矩形の部位を底面部とする角型トレー形状を有しており、前記底面部の外周縁から外広がりに立ち上がる矩形枠状の周側壁部を備えた形状を有している。
なお、以下においては、図1における横方向(矢印Xの方向)を“横方向”、“幅方向”、又は、“左右方向”と称し、奥行き方向(矢印Yの方向)を“縦方向”、“長さ方向”、又は、“前後方向”と称する場合がある。
また、以下においては、この横方向Xと奥行き方向Yとに平行する平面に沿った方向を“水平方向”と称し、前記平面に対して直交する方向(矢印Zの方向)を“厚み方向”、“上下方向”、“高さ方向”又は“垂直方向”などと称する場合がある。
図1〜3に示すように本実施形態の樹脂複合体Aは、樹脂発泡体で形成された芯材A1を備え、該芯材A1が樹脂と繊維とを含むシート状の繊維強化樹脂材で覆われており、該芯材上に前記繊維強化樹脂材によって繊維強化樹脂層A2が設けられている。
芯材A1を構成するビーズ発泡成形体A11は、発泡性樹脂粒子を発泡させてなる樹脂発泡粒子100で構成されており、複数の樹脂発泡粒子100が互いに熱融着することにより形成されたものである。
より詳しくは、前記ビーズ発泡成形体A11は、発泡剤を含んだ発泡性樹脂粒子を用いた型内成形が実施されて作製されたもので、複数の発泡性樹脂粒子どうしを成形型内で加熱して発泡させるとともに互いに熱融着させて作製されたものである。
ここで繊維強化樹脂層A2に接するビーズ発泡成形体A11の表面を構成する樹脂発泡粒子100aは、必ずしも隙間無く密着しているわけではなく、隣り合う樹脂発泡粒子100aどうしの間に隙間A11aを有している。
該隙間A11aの幾つかはビーズ発泡成形体A11の表面において開口した状態になっており、繊維強化樹脂層A2を構成する樹脂が入り込み得るものとなっている。
前記ビーズ発泡成形体A11は、当該ビーズ発泡成形体のみならず樹脂複合体に優れた強度を発揮させる上においてその熱融着率が60%以上であることが好ましい。
なお、ビーズ発泡成形体A11の熱融着率とは、樹脂発泡粒子がどのような割合で熱融着しているかを示すもので下記の要領で測定される値をいう。
まず、ビーズ発泡成形体に、カッターナイフを用いて深さ約2mmの切込線を入れる。
しかる後、ビーズ発泡成形体を切込線に沿って手で二分割し、この分割断面を目視観察する。
この分割断面において、全ての樹脂発泡粒子の数(a)と、樹脂発泡粒子どうしが熱融着界面で破断することなく樹脂発泡粒子自体が破断した数(b)とを数える。
そして、下記式に基づいてビーズ発泡成形体の熱融着率を算出する。

熱融着率(%)=100×b/a
前記ビーズ発泡成形体A11を形成するための発泡性樹脂粒子としては、熱可塑性樹脂を主成分とするものが好ましい。
発泡性樹脂粒子を構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられ、熱融着性や繊維強化樹脂層A2などとの接着性を勘案すると熱可塑性ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、及び、ポリスチレン系樹脂の何れか好ましい。なお、熱可塑性樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
熱可塑性ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸と二価アルコールとが、縮合反応を行った結果得られる高分子量の線状ポリエステルである。熱可塑性ポリエステル樹脂としては、例えば、芳香族ポリエステル樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂が挙げられる。
芳香族ポリエステル樹脂とは、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とを含むポリエステルであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどが挙げられ、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。なお、芳香族ポリエステル樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なお、芳香族ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分及びジオール成分以外に、例えば、トリメリット酸などのトリカルボン酸、ピロメリット酸などのテトラカルボン酸などの三価以上の多価カルボン酸やその無水物、グリセリンなどのトリオール、ペンタエリスリトールなどのテトラオールなどの三価以上の多価アルコールなどを構成成分として含有していてもよい。
また、芳香族ポリエステル樹脂は、使用済のペットボトルなどから回収、再生したリサイクル材料を用いることもできる。
ポリエチレンテレフタレートは架橋剤によって架橋されていてもよい。架橋剤としては、公知のものが用いられ、例えば、無水ピロメリット酸などの酸二無水物、多官能エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物などが挙げられる。なお、架橋剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ポリエチレンテレフタレートを架橋剤によって架橋する場合には、押出機にポリエチレンテレフタレートと共に架橋剤を供給すればよい。押出機に供給する架橋剤の量は、少なすぎると、ポリエチレンテレフタレートの溶融時の溶融粘度が小さくなりすぎて、発泡時に破泡し易いものになる場合があり、多すぎると、ポリエチレンテレフタレートの溶融時の溶融粘度が大きくなりすぎて、良好な発泡をさせることが困難となることがある。従って、押出機にポリエチレンテレフタレートと共に供給する架橋剤の量は、ポリエチレンテレフタレート100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。
脂肪族ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリ乳酸系樹脂が挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂としては、乳酸がエステル結合により重合した樹脂を用いることができ、商業的な入手容易性及びポリ乳酸系樹脂発泡粒子への発泡性付与の観点から、D−乳酸(D体)及びL−乳酸(L体)の共重合体、D−乳酸又はL−乳酸のいずれか一方の単独重合体、D−ラクチド、L−ラクチド及びDL−ラクチドからなる群から選択される1又は2以上のラクチドの開環重合体が好ましい。なお、ポリ乳酸系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ポリ乳酸系樹脂は、乳酸以外の単量体成分として、例えば、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、トリメシン酸、プロパントリカルボン酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸などの脂肪族多価カルボン酸;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリットなどの脂肪族多価アルコールなどを含有していてもよい。
ポリ乳酸系樹脂は、アルキル基、ビニル基、カルボニル基、芳香族基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基などのその他の官能基を含んでいてもよい。ポリ乳酸系樹脂はイソシアネート系架橋剤などによって架橋されていてもよく、エステル結合以外の結合手により結合していてもよい。
ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレンなどのスチレン系モノマーをモノマー単位として含む単独重合体又は共重合体、スチレン系モノマーと、このスチレン系モノマーと共重合可能な一種又は二種以上のビニルモノマーとをモノマー単位として含む共重合体などが挙げられ、スチレン系モノマーと、このスチレン系モノマーと共重合可能な一種又は二種以上のビニルモノマーとをモノマー単位として含む共重合体が好ましく、メタクリル酸及び/又はメタクリル酸メチルと、スチレン系モノマーとをモノマー単位として含む共重合体がより好ましい。なお、ポリスチレン系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
スチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなど)のアクリル系モノマー、無水マレイン酸、アクリルアミドなどが挙げられる。
これらの中で、スチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーとしては、アクリル系モノマーが好ましく、メタクリル酸、メタクリル酸メチルがより好ましい。
前記スチレン系樹脂発泡体を形成するスチレン系樹脂としては、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体が好ましい。前記スチレン系樹脂発泡体は、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体とポリメタクリル酸メチルとを含有することが好ましい。ポリメタクリル酸メチルの含有量は、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体100質量部に対して10質量部以上500質量部以下であることが好ましく、20質量部以上450質量部以下であることがより好しく、30質量部以上400質量部以下であることが特に好ましい。
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体は、スチレン単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及び無水マレイン酸単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、スチレン単量体単位の含有量が30質量%以上70質量%以下であることが好ましく、40質量%以上65質量%以下であることがより好ましく、45質量%以上60質量%以下であることが特に好ましい。また、該共重合体は、スチレン単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及び無水マレイン酸単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量が10質量%以上30質量%以下であることが好ましく、13質量%以上28質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上25質量%以下であることが特に好ましい。
該発泡性樹脂粒子は、その製造方法などが特に限定されるものではなく、例えば、(1)熱可塑性樹脂を押出機内に供給して物理発泡剤の存在下にて溶融混練して押出機に取り付けたノズル金型から熱可塑性樹脂押出物を押出発泡させながら切断した後に冷却して製造する方法、(2)熱可塑性樹脂を押出機内に供給して物理発泡剤の存在下にて溶融混練して押出機に取り付けたノズル金型から押出発泡してストランド状の熱可塑性樹脂押出物を製造し、この熱可塑性樹脂押出物を所定間隔毎に切断して製造する方法、(3)熱可塑性樹脂を押出機内に供給して物理発泡剤の存在下にて溶融混練して押出機に取り付けた環状ダイ又はTダイから押出発泡して発泡シートを製造し、この発泡シートを切断することによって製造する方法、(4)熱可塑性樹脂を押出機内に供給して物理発泡剤の存在下にて溶融混練して押出機に取り付けたノズル金型から熱可塑性樹脂押出物を押出し、切断しながら冷却して製造する方法、(5)熱可塑性樹脂を押出機内に供給して溶融混練して押出機に取り付けたノズル金型から押出してストランド状の熱可塑性樹脂押出物を製造し、この熱可塑性樹脂押出物を所定間隔毎に切断して粒子を製造し、この粒子に公知の要領で発泡剤を含浸させて製造する方法、(6)熱可塑性樹脂を押出機内に供給して溶融混練して押出機に取り付けた環状ダイ又はTダイから押出してシートを製造し、このシートを切断することによって粒子を製造し、この粒子に公知の要領で発泡剤を含浸させて製造する方法、(7)公知の要領で熱可塑性樹脂からなる粒子を製造し、この粒子に公知の要領で発泡剤を含浸させて製造する方法などによって得られたものを採用することができる。
該発泡性樹脂粒子は、無発泡状態のものであっても発泡状態のものであってもよい。
また、上記のようにして作製された後に、ビーズ発泡成形体の形成前に一旦加熱して予備発泡させたものであっても良い。
前記発泡性樹脂粒子に含有させる物理発泡剤は、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素やそのハロゲン化物、二酸化炭素、窒素などが挙げられ、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素が好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンがより好ましく、ノルマルブタン、イソブタンが特に好ましい。なお、物理発泡剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性樹脂粒子を得る方法としては、例えば、耐圧密閉容器中に水と樹脂粒子とを供給し、樹脂粒子を水中に分散させた後、耐圧密閉容器中に物理発泡剤を圧入して、樹脂粒子に加圧された物理発泡剤を接触させて、樹脂粒子に発泡剤を含浸させる方法などが挙げられる。
なお、本実施形態においては、芯材をビーズ発泡体とする場合を例示しているが、発泡剤である尿素を含んだアクリル系重合体を型内で加熱発泡させた塊状発泡体、及び、当該塊状発泡体を切削加工したものを前記芯材としても良い。
このようなアクリル樹脂発泡体としては、(メタ)アクリル系モノマーを重合させることによって製造されるアクリル系樹脂をベースとしたものが挙げられる。なお、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルの何れか一方又は双方を意味する。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、特に限定されず、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
また、アクリル系樹脂は、上記(メタ)アクリル系モノマー以外にこれと共重合可能なモノマー成分を含有していてもよい。このようなモノマーとしては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸アミド、マレイン酸イミドなどが挙げられる。
アクリル系樹脂は、優れた強度と軽量性とを樹脂発泡体に発揮させ易いことから、メタクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸、及び、スチレンをモノマー単位として含み、任意に無水マレイン酸、及び、メタクリルアミドの一方又は両方を前記モノマー単位として含み、且つ、該モノマー単位を下記割合で含むことが好ましい。

(A)メタクリル酸メチル:35〜70質量%
(B)(メタ)アクリル酸:14〜45質量%
(C)スチレン:10〜20質量
(D)無水マレイン酸:0〜10質量%
(E)メタクリルアミド:0〜10質量%

該アクリル樹脂は、(A)〜(E)以外のモノマー単位の含有量が20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましく、5質量%以下であることがとりわけ好ましい。
なお、ここでは詳細な説明を繰り返すことはしないが、前記芯材A1は、上記のようなもの以外であってもよく、例えば、押出発泡シートなどであってもよい。
前記芯材A1とともに樹脂複合体Aを構成する前記繊維強化樹脂層A2は、前記のように樹脂と繊維とを含むシート状の繊維強化樹脂材で形成されている。
本実施形態の繊維強化樹脂層A2は、第1繊維強化樹脂材A21と第2繊維強化樹脂材A22とを含む少なくとも2種類の前記繊維強化樹脂材で形成されており、前記第1繊維強化樹脂材21が前記繊維強化樹脂層A2の表層部に配され、該第1繊維強化樹脂材A21と前記芯材A1との間に第2繊維強化樹脂材A22が配されている。
即ち、前記第1繊維強化樹脂材A21は、繊維強化樹脂層A2の表面であって且つ樹脂複合体Aの表面を構成するものとなっている。
本実施形態においては、第2繊維強化樹脂材A22は芯材A1に接するように配されており、第2繊維強化樹脂材A22と第1繊維強化樹脂材A21との間には更に3つのシート状の繊維強化樹脂材A23,A24,A25が配されている。
これらの5つのシート状の繊維強化樹脂材A21〜A25は、その平面が芯材A1の表面と平行するように配されており、5層構造となって芯材上に積層されている。
以下においては、第1繊維強化樹脂材A21に内側(芯材側)から接する繊維強化樹脂材A23を第3繊維強化樹脂材A23と称し、該第3繊維強化樹脂材A23に内側から接する繊維強化樹脂材A24を第4繊維強化樹脂材A23と称し、該第4繊維強化樹脂材A24に内側から接する繊維強化樹脂材A25を第5繊維強化樹脂材A25と称する。
従って、前記繊維強化樹脂層2は、芯材側から第2繊維強化樹脂材A22、第5繊維強化樹脂材A25、第4繊維強化樹脂材A24、第3繊維強化樹脂材A23、第1繊維強化樹脂材A21の順に積層された5層構造を有している。
前記第2繊維強化樹脂材A22は、繊維で形成された基材シートA22aを備えている。
該基材シートA22aは、図4に示すように1又は複数本の前記繊維で形成された経糸Waと緯糸Weとを備えた織布である。
該織布における糸の平均ピッチをPave(mm)とし、隣り合う糸の間の隙間の平均幅をDave(mm)としたときに前記第2繊維強化樹脂材は、下記関係式(1)を満足する状態で配されている。

〔 Dave/(Pave−Dave)×100% 〕≦ 8 ・・・(1)
上記(1)における「Dave/(Pave−Dave)×100%」の値は、基材シート(織布)の目開きの程度を表しており、以下においては「Dave/(Pave−Dave)×100%」の値を「目開き割合」と称することがある。
本実施形態において目開き割合の上限値が8%とされているのは、第2繊維強化樹脂材がそれ以上目の緩んだ状態になっていると第1繊維強化樹脂材A21などの樹脂が芯材側に過度に移行してしまうおそれがあるためである。
従って、第2繊維強化樹脂材A22は基材シートA22aの目開き割合が7%以下となって繊維強化樹脂層中に配されていることが好ましく、目開き割合が6%以下となって配されていることがより好ましい。
尚、目開き割合の下限値は、通常、0.1%である。
前記基材シートA22aとして用いる前記織布は、その厚みが0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.4mm以下であることがより好ましい。
前記繊維シートの目付は10g/m以上400g/m以下であることが好ましく、20g/m以上300g/m以下であることがより好ましい。
なお、平均ピッチ(Pave)と隙間の平均幅(Dave)とは、基材シートA22aの複数箇所において糸のピッチ(P(mm))と隙間の幅(D(mm))とを求めたそれぞれの平均値を意味する。
ここでピッチ(P(mm))とは、隣り合う糸の中心間距離を意味する。
ピッチ(P)と隙間の幅(D)とを測定は、基材シートにおけるこれらのバラツキの程度にもよるが、通常、経糸Waについて5箇所以上、緯糸について5箇所以上の合計10箇所以上で実施すればよく、この10箇所以上の測定値を算術平均することによって平均ピッチ(Pave)と平均幅(Dave)とを求めればよい。
なお、これらを測定する方法の一例を図4を参照しつつ説明する。
経糸Waどうしのピッチ(Pa1,Pa2)や隙間の幅(Da1,Da2)は、経糸Waと直交する方向(通常、緯糸Weの方向)に沿って求める。
緯糸Weどうしのピッチ(Pe1,Pe2)や隙間の幅(De1,De2)は、緯糸Weと直交する方向(通常、経糸Waの方向)に沿って求める。
経糸Waの隙間の幅(Da1,Da2)は、できるだけ緯糸どうしの間の中間地点に近い位置で求める。
例えば、前記経糸Waの隙間の幅(Da1)は、まず、隣り合う2本の緯糸Weを選択し、次いで、第1の緯糸の中心線CLe1と第2の緯糸の中心線CLe2とをそれぞれ求めこれらの中心線(CLe1,CLe2)との距離が等距離となるように中心線間に中間線XLeを設定し、該中間線XLeに沿った寸法として求めることができる。
より詳しくは、隣り合う2本の経糸の間の隙間の幅は、第1の緯糸の第2の緯糸側の端縁と前記中間線とが交わる交点と第2の緯糸の第1の緯糸側の端縁と前記中間線とが交わる交点とをそれぞれ求め、該交点間の距離をこれらの経糸Waの隙間の幅(Da1)として求めることができる。
前記ピッチ(Pa1,Pa2)は、例えば、隣り合う2本の経糸Waの中心線CLaが前記中間線XLeと交差する2点から求めることができる。
即ち、この2点間の距離を前記経糸Waのピッチ(Pa1,Pa2)として求めることができる。
緯糸Weについても同じである。
即ち、緯糸Weの隙間の幅(De1)は、例えば、隣り合う2本の経糸Waの中心線CLaとこれらの間を通る中間線XLaとを設定して求めることができる。
また、前記ピッチ(Pe1,Pe2)は、隣り合う2本の緯糸Weの中心線CLeが前記中間線XLaと交差する2点を求めて得ることができる。
即ち、この2点間の距離を前記緯糸Weのピッチ(Pe1,Pe2)として求めることができる。
なお、式(1)は、前記のように基材シートA22aの目詰まりの程度を表している。
即ち、本実施形態においては、ある程度、目の詰まった基材シートを有する第2繊維強化樹脂材A22が、繊維強化樹脂層A2の表面を構成する第1繊維強化樹脂材A21の内側に配されることで、第1繊維強化樹脂材A21の樹脂が過度に芯材側に移動することを抑制することができ、繊維強化樹脂層A2の表層部に樹脂不足が生じることを抑制することができる。
前記基材シートA22aの厚みは、経糸Waと緯糸Weとが交差している交差部CPについての厚みを数箇所(例えば、10箇所)測定して算術平均することで求めることができる。
また、基材シートA22aの目付は、基材シートA22aから一辺10cmの正方形程度の大きさを有する試料を数枚採取して面積と質量とを測定し、算術平均値を計算することで求めることができる。
前記のように基材シートA22aとしては厚みが0.5mm以下で目付が10g/m以上400g/m以下であることが好ましい。
これは、基材シートA22aの厚みを0.5mm以下とすることで樹脂複合体全体の質量が過大なものになることを抑制するためである。
また、基材シートA22aの目付についても同様で、当該目付を400g/m以下とすることで樹脂複合体全体の質量が過大なものになることを抑制し得る。
なお、基材シートA22aの目付が10g/m以上であることが好ましいのは、基材シートA22aの繊維密度を一定以上に保つことで厚み方向への樹脂の通過をより確実に阻止できるためである。
本実施形態の繊維強化樹脂層A2を形成する5つの繊維強化樹脂材(A21,A22,A23,A24,A25)は、第2繊維強化樹脂材A22だけでなく他の繊維強化樹脂材(A21,A23,A24,A25)も経糸と緯糸とで織成された織布が基材シートとして備えられている。
第1繊維強化樹脂材A21の基材シートA21a(以下「第1基材シートA21a」)は、第2繊維強化樹脂材A22の基材シートA22a(以下「第2基材シートA22a」ともいう)よりも目の詰まりが緩く、且つ、軟質な素材で形成されている。
即ち、繊維強化樹脂層A2は、第1基材シートA21aと第2基材シートA22aとの両方について目開き割合(Dave/(Pave−Dave)×100%)の値を求めた場合、第1基材シートA21aの方が値が大きくなるよう形成されている。
第1基材シートA21aの目開き割合は、1%以上20%以下であることが好ましく、2%以上17%以下であることがより好ましい。
第1基材シートA21aの目開き割合は、第2基材シートA22aの目開き割合の1.5倍以上10倍以下であることが好ましく、2倍以上7倍以下であることがより好ましい。
第3繊維強化樹脂材A23の基材シートA23a(以下「第3基材シート」23a)、第4繊維強化樹脂材A24の基材シートA24a(以下「第4基材シートA24a」)、及び、第5繊維強化樹脂材A25の基材シートA25a(以下「第5基材シートA25a」)は、第1基材シートと同じ素材で形成されている。
これらの基材シート(A21a,A22a,A23a,A24a,A25a)を構成する糸は、単一の繊維からなる糸(モノフィラメント糸)であっても、複数の繊維からなる糸(マルチフィラメント糸)であってもよい。
糸は、マルチフィラメント糸である場合、引き揃え糸であっても撚糸であってもよい。
これらの糸を構成する前記繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、チラノ繊維、玄武岩繊維、ステンレス繊維、スチール繊維などの無機繊維;アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサドール(PBO)繊維などの有機繊維;ボロン繊維などが挙げられる。繊維は、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
基材シート(A21a,A22a,A23a,A24a,A25a)は、これらの繊維からなる糸を経糸と緯糸とに採用した平織物、綾織物、朱子織物などとすることができる。
なお、第2基材シートA22a以外の基材シート(A21a,A23a,A24a,A25a)については、例えば、編物や不織布などであってもよい。
また、第2基材シートA22a以外の基材シート(A21a,A23a,A24a,A25a)は、UD(UniDirection)などと称されるもの(糸を一方向に揃えて並べただけのもの)であってもよい。
さらに、第2基材シートA22a以外の基材シート(A21a,A23a,A24a,A25a)は、繊維が糸状になっておらず短繊維の状態で含有されているものであってもよい。
前記第1基材シートは、強度と軽量性を発揮する上で糸の平均ピッチが2mm以上5mm以下であることが好ましい。
前記第2基材シートは、樹脂の通過阻止をより確実なものとする上で糸の平均ピッチが1mm以上0.1mm以下であることが好ましい。
該基材シートに担持させる樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂の何れも用いることができ、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂とを予備重合した樹脂などが挙げられる。
該熱硬化性樹脂は、耐熱性、衝撃吸収性、耐薬品性に優れていることから、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂が好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、アミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、サルファイド系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。
該熱可塑性樹脂は、接着性に優れていることから、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂が好ましい。
前記エポキシ樹脂としては、エポキシ化合物同士の重合体又は共重合体であって直鎖構造を有する重合体や、エポキシ化合物と、このエポキシ化合物と重合し得る単量体との共重合体であって直鎖構造を有する共重合体が挙げられる。
具体的には、エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂が好ましい。
なお、繊維強化樹脂層A2を構成する各繊維強化樹脂材(A21,A22,A23,A24,A25)は、それぞれ含有する樹脂や繊維が異なっていてもよい。
また、各繊維強化樹脂材(A21,A22,A23,A24,A25)は、上記樹脂や繊維を二種以上含むものであってもよい。
本実施形態の樹脂複合体Aは、例えば、繊維強化樹脂層A2の原材料であるシート状の繊維強化樹脂材と芯材A1となる樹脂発泡体とを成形型などを使って加熱・加圧して一体化させるような方法で作製することができる。
具体的には、本実施形態の樹脂複合体Aの製造方法は、樹脂発泡体で形成された芯材を備え、該芯材が樹脂と繊維とを含むシート状の繊維強化樹脂材で覆われており、該芯材上に前記繊維強化樹脂材によって繊維強化樹脂層が設けられている樹脂複合体の製造方法であって、
前記樹脂発泡体を樹脂と繊維とを含むシート状の繊維強化樹脂材で覆う被覆工程と、
該被覆工程後に前記繊維強化樹脂材が加熱条件下で樹脂発泡体に向けて加圧され、前記繊維強化樹脂材に含まれている前記樹脂によって該繊維強化樹脂材と前記樹脂発泡体とが接着一体化されるプレス工程と、を実施し、
前記被覆工程では、
第1繊維強化樹脂材と第2繊維強化樹脂材とを含む少なくとも2種類の前記繊維強化樹脂材を用い、
前記第1繊維強化樹脂材が前記繊維強化樹脂層の表層部となるように配置し、該第1繊維強化樹脂材と前記樹脂発泡体との間に第2繊維強化樹脂材を配置し、且つ、第2繊維強化樹脂材には、1又は複数本の繊維で形成された経糸と緯糸とを備えた織布を基材シートとして備えた繊維強化樹脂材を用い、
前記プレス工程では、
前記織布における糸の平均ピッチをPave(mm)とし、隣り合う糸の間の隙間の平均幅をDave(mm)としたときに前記第2繊維強化樹脂材が下記関係式(1)を満足する状態となるように前記繊維強化樹脂材と前記樹脂発泡体とを接着一体化させる方法である。

〔 Dave/(Pave−Dave)×100% 〕≦ 8 ・・・(1)
前記被覆工程は、例えば、芯材A1に対応した形状を有する樹脂発泡体を用い、該樹脂発泡体の表面に各繊維強化樹脂材(A21,A22,A23,A24,A25)を順に貼り重ねて予備成形品を作製するような方法で実施できる。
前記プレス工程は、例えば、前記予備成形品を成形型に収容し、該成形型を加熱・加圧して前記繊維強化樹脂材と前記樹脂発泡体とを接着一体化させるような方法で実施できる。
本実施形態の芯材はビーズ発泡成形体であるため、表面に大きく開口した隙間A11aを複数有している。
そのため、他の樹脂発泡体を芯材とする場合に比べて繊維強化樹脂層の樹脂が芯材側に移行しやすい。
そして、前記のプレス工程では、通常、予備成形品が外側から加熱されることになるため樹脂複合体の表面を構成する第1繊維強化樹脂材は、最も加熱され易い。
従って第1繊維強化樹脂材の樹脂がいち早く軟化して芯材側に移動しやすい。
第1繊維強化樹脂材の樹脂が芯材側に過度に移動してしまうと繊維強化樹脂層の表層部では樹脂不足な状態となり、繊維強化樹脂層の表面に小さなボイドが多数見られるようになったり、場合によっては、繊維だけの部分が出来てしまったりするおそれがある。
しかし、本実施形態においては、この第1繊維強化樹脂材の内側に所定の基材シートを有する第2繊維強化樹脂材が配されることで、樹脂の過度な移動が規制される。
従って、樹脂複合体の表面に樹脂不足が生じてしまうことが抑制される。
そこで、本実施形態においては、外観が美麗で、且つ、強度と軽量性とに優れた樹脂複合体を容易に得ることができる。
上記においては第1繊維強化樹脂材と第2繊維強化樹脂材との間にさらに3つの繊維強化樹脂材(第3繊維強化樹脂材、第4繊維強化樹脂材、第5繊維強化樹脂材)を備えている場合を例示しているが、第1繊維強化樹脂材と第2繊維強化樹脂材との間の繊維強化樹脂材の数は4以上であっても、1又は2であってもよい。
さらに、第1繊維強化樹脂材と第2繊維強化樹脂材との間に他の繊維強化樹脂材が存在しておらず、第1繊維強化樹脂材と第2繊維強化樹脂材とが直接接するような態様のものも本発明の樹脂複合体に含まれ得る。
また、本発明は、第2繊維強化樹脂材と芯材との間に別の繊維強化樹脂材が配されたものであってもよい。
即ち、上記に示した例は、あくまで特定の事例を示したものであり、本発明は上記例示に何等限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本実施例に何ら限定されるものでない。
(実施例1)
スチレン−アクリル共重合体をベース樹脂とした発泡性樹脂粒子を用い、芯材となるビーズ発泡成形体(見掛け密度:0.11g/cm)を作製した。
繊維織物を基材シートとし、該基材シートに樹脂を含浸担持させた3枚のシート状の繊維強化樹脂材を用意し、ビーズ発泡成形体を繊維強化樹脂材で覆って予備成形体を作製した。
予備成形体の作製に際しては、ビーズ発泡成形体の表面上に3枚の繊維強化樹脂材を重ねて繊維強化樹脂層が3層構造となるように繊維強化樹脂材を配置した。
最表面側に配する第1繊維強化樹脂材には、経糸と緯糸との両方に複数の炭素繊維からなるマルチフィラメント糸が用いられた織物で、且つ、経糸と緯糸とが平織りにされた織物を基材シートとして備えているものを用いた。
前記ビーズ発泡成形体に接する位置に配した第2繊維強化樹脂材には、経糸と緯糸との両方に複数のガラス繊維からなるマルチフィラメント糸が用いられた織物で、経糸と緯糸とが平織りにされた織物を基材シートとして備えているものを用いた。
第1繊維強化樹脂材と第2繊維強化樹脂材との間に介装した第3繊維強化樹脂材には、第1繊維強化樹脂材と同じものを用いた。
各部の詳細は、表1に示すとおりである。
該予備成形体を加熱するとともに繊維強化樹脂材をビーズ発泡成形体に向けて0.11MPaの圧力で加圧し繊維強化樹脂材とビーズ発泡成形体とを接着一体化させ実施例1の樹脂複合体を作製した。
得られた樹脂複合体の外観を目視にて観察し、以下の判定基準によって繊維強化樹脂層の表面品質を5段階に評価した。
結果を表1に示す。
判定1:50mm×50mm面積内のボイド数が101個以上である場合。
判定2:50mm×50mm面積内のボイド数が71−100個である場合。
判定3:50mm×50mm面積内のボイド数が51−70個である場合。
判定4:50mm×50mm面積内のボイド数が6−50個である場合。
判定5:50mm×50mm面積内のボイド数が0−5個である場合。
(実施例2、3、比較例1)
樹脂複合体の作製条件を表1に示したように変更した以外は実施例1と同様に樹脂複合体を作製し、作製した樹脂複合体の表面品質を実施例1と同様に評価した。
表に示された結果からも本発明によれば強度と軽量性とに優れ、且つ、外観美麗な樹脂複合体が提供され得ることがわかる。
A 樹脂複合体
A1 芯材
A11 樹脂発泡体
A2 繊維強化樹脂層
A21 第1繊維強化樹脂材
A22 第2繊維強化樹脂材
A22a 基材シート
Wa 経糸
We 緯糸

Claims (3)

  1. 樹脂発泡体で形成された芯材を備え、該芯材が樹脂と繊維とを含むシート状の繊維強化樹脂材で覆われており、該芯材上に前記繊維強化樹脂材によって繊維強化樹脂層が設けられている樹脂複合体であって、
    前記繊維強化樹脂層は、第1繊維強化樹脂材と第2繊維強化樹脂材とを含む少なくとも2種類の前記繊維強化樹脂材で形成されており、
    前記第1繊維強化樹脂材が前記繊維強化樹脂層の表層部に配され、該第1繊維強化樹脂材と前記芯材との間に第2繊維強化樹脂材が配されており、
    前記第2繊維強化樹脂材が前記繊維で形成された基材シートを備え、
    該基材シートは、1又は複数本の前記繊維で形成された経糸と緯糸とを備えた織布であり、
    該織布における糸の平均ピッチをPave(mm)とし、隣り合う糸の間の隙間の平均幅をDave(mm)としたときに下記関係式(1)を満足する状態で前記第2繊維強化樹脂材が前記第1繊維強化樹脂材と前記芯材との間に配されている樹脂複合体。

    〔 Dave/(Pave−Dave)×100% 〕≦ 8 ・・・(1)
  2. 前記織布の厚みが0.5mm以下で、前記織布の目付が10g/m以上400g/m以下である請求項1記載の樹脂複合体。
  3. 前記樹脂発泡体がビーズ発泡成形体である請求項1又は2記載の樹脂複合体。
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