JP6078671B2 - 複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、複合体用発泡体及びその製造方法に関する。
繊維で強化された繊維強化合成樹脂は軽量で且つ高い機械的強度を有していることから、自動車分野や航空機分野などの高い機械的強度及び軽量性が求められる分野において使用が拡大している。
更に、高い機械的強度を得るために上記繊維強化合成樹脂を用い且つ軽量性を向上させるために芯材として発泡体を用いた複合体も用いられている。
このような複合体としては、特許文献1には、芯材と、該芯材の両面に配される強化繊維にマトリックス樹脂が含浸された繊維強化樹脂を含む表皮材とから構成されるサンドイッチパネルにおいて、前記表皮材中の強化繊維が引張弾性率が200〜850GPaの範囲内の強化繊維を含み、該表皮材中の強化繊維含有率が40〜80重量%の範囲内であり、前記芯材に表皮材より見掛け密度が小さい樹脂を使用するとともに、サンドイッチパネルの全体厚みが0.5〜5mmの範囲内である繊維強化樹脂製サンドイッチパネルが開示されている。
しかしながら、上記繊維強化樹脂製サンドイッチパネルに用いられている芯材として実施例では発泡体が用いられているが、この発泡体の製造方法は明確に記載されておらず、シート状の発泡体は、別途製造した発泡体から切削加工によって製造しているか、又は、押出発泡などによってTダイを用いて製造されていると推測され、前者の製造方法では、切削加工が必要となり製造効率が低いという問題点を有し、後者の製造方法は所望の立体形状を製造することができないという問題点を有する。
特開2005−313613号公報
本発明は、補強材との一体化に優れ且つ種々の立体形状に容易に対応することができる複合体の芯材として好適に用いることができる複合体用発泡体を提供する。
本発明の複合体用発泡体は、金型のキャビティ内において合成樹脂発泡粒子を二次発泡させてなる二次発泡粒子同士を熱融着一体化させて製造され且つ表面に補強材を積層一体化させて用いられる複合体用発泡体であって、表面には互いに熱融着一体化した二次発泡粒子によって形成された凹部が連続することによって溝部が形成されており、上記溝部の深さは300μm以下であると共に、上記溝部において深さが30〜300μmである溝部分の個数が1cm2当たり0.5〜20個であり、発泡剤の含有量が上記複合体用発泡体を構成している合成樹脂100重量部に対して0.3重量部以下であることを特徴とする。
本発明の複合体用発泡体は型内発泡成形によって製造される。型内発泡成形とは、合成樹脂発泡粒子を金型のキャビティ内に充填し、熱水や水蒸気などの加熱媒体によって合成樹脂発泡粒子を加熱して発泡させ、合成樹脂発泡粒子の発泡圧によって、合成樹脂発泡粒子を二次発泡させてなる二次発泡粒子同士を熱融着一体化させて所望形状を有する発泡体を製造する方法である。
合成樹脂発泡粒子を構成している合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂などの熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂などが挙げられる。なお、合成樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。合成樹脂は、使用済のペットボトルなどから回収、再生したリサイクル材料を用いることもできる。
芳香族ポリエステル系樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングルコールの共重合体、テレフタル酸とエチレングルコールとネオペンチルグリコールの共重合体、テレフタル酸とエチレングルコールとシクロヘキサンジメタノールの共重合体などが挙げられ、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。なお、熱可塑性ポリエステル系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ポリエチレンテレフタレートは架橋剤によって架橋されていてもよい。架橋剤としては、公知のものが用いられ、例えば、無水ピロメリット酸などの酸二無水物、多官能エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物などが挙げられる。なお、架橋剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ポリエチレンテレフタレートを架橋剤によって架橋する場合には、押出機にポリエチレンテレフタレートと共に架橋剤を供給すればよい。押出機に供給する架橋剤の量は、少ないと、ポリエチレンテレフタレートの溶融時の溶融粘度が小さくなりすぎて、発泡粒子が破泡してしまうことがあり、多いと、ポリエチレンテレフタレートの溶融時の溶融粘度が大きくなりすぎて、押出発泡が困難となることがあるので、ポリエチレンテレフタレート100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、0.1〜1重量部がより好ましい。
ポリ乳酸系樹脂としては、乳酸がエステル結合により重合した樹脂を用いることができ、商業的な入手容易性及びポリ乳酸系樹脂発泡粒子への発泡性付与の観点から、D−乳酸(D体)及びL−乳酸(L体)の共重合体、D−乳酸又はL−乳酸のいずれか一方の単独重合体、D−ラクチド、L−ラクチド及びDL−ラクチドからなる群から選択される1又は2以上のラクチドの開環重合体が好ましい。なお、ポリ乳酸系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ポリ乳酸系樹脂は、発泡工程及び得られる複合体用発泡体の物性に影響を与えない限り、乳酸以外の単量体成分として、例えば、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、トリメシン酸、プロパントリカルボン酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸などの脂肪族多価カルボン酸;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリットなどの脂肪族多価アルコールなどを含有していてもよい。
ポリ乳酸系樹脂は、発泡工程及び得られる複合体用発泡体の物性に影響を与えない限り、アルキル基、ビニル基、カルボニル基、芳香族基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基などのその他の官能基を含んでいてもよい。ポリ乳酸系樹脂はイソシアネート系架橋剤などによって架橋されていてもよく、エステル結合以外の結合手により結合していてもよい。
先ず、合成樹脂発泡粒子の製造に用いられる製造装置の一例について説明する。図1中、1は、押出機の前端に取り付けられたノズル金型である。このノズル金型は、合成樹脂を押出発泡させて均一微細な気泡を形成でき好ましい。そして、図2に示したように、ノズル金型1の前端面1aには、ノズルの出口部1b、1b・・・が複数個、同一仮想円A上に等間隔毎に形成されている。なお、押出機の前端に取り付けるノズル金型は、ノズル内において合成樹脂が発泡しなければ、特に限定されない。
そして、ノズル金型1の前端面1aにおけるノズルの出口部1b、1b・・・で囲まれた部分には、回転軸2が前方に向かって突出した状態に配設されており、この回転軸2は、後述する冷却部材4を構成する冷却ドラム41の前部41aを貫通してモータなどの駆動部材3に連結されている。
更に、上記回転軸2の後端部の外周面には一枚又は複数枚の回転刃5、5・・・が一体的に設けられており、全ての回転刃5は、その回転時には、ノズル金型1の前端面1aに常時、接触した状態となる。なお、回転軸2に複数枚の回転刃5、5・・・が一体的に設けられている場合には、複数枚の回転刃5、5・・・は回転軸2の周方向に等間隔毎に配列されている。又、図2では、一例として、四個の回転刃5、5・・・を回転軸2の外周面に一体的に設けた場合を示した。
そして、回転軸2が回転することによって回転刃5、5・・・は、ノズル金型1の前端面1aに常時、接触しながら、ノズルの出口部1b、1b・・・が形成されている仮想円A上を移動し、ノズルの出口部1b、1b・・・から押出された合成樹脂押出物を順次、連続的に切断可能なように構成されている。
又、ノズル金型1の少なくとも前端部と、回転軸2とを包囲するように冷却部材4が配設されている。この冷却部材4は、ノズル金型1よりも大径な正面円形状の前部41aと、この前部41aの外周縁から後方に向かって延設された円筒状の周壁部41bとを有する有底円筒状の冷却ドラム41とを備えている。
更に、冷却ドラム41の周壁部41bにおけるノズル金型1の外方に対応する部分には、冷却液42を供給するための供給口41cが内外周面間に亘って貫通した状態に形成されている。冷却ドラム41の供給口41cの外側開口部には冷却液42を冷却ドラム41内に供給するための供給管41dが接続されている。
冷却液42は、供給管41dを通じて、冷却ドラム41の周壁部41bの内周面に沿って斜め前方に向かって供給されるように構成されている。そして、冷却液42は、供給管41dから冷却ドラム41の周壁部41bの内周面に供給される際の流速に伴う遠心力によって、冷却ドラム41の周壁部41b内周面に沿って螺旋状を描くように前方に向かって進む。そして、冷却液42は、周壁部41bの内周面に沿って進行中に、徐々に進行方向に直交する方向に広がり、その結果、冷却ドラム41の供給口41cより前方の周壁部41bの内周面は冷却液42によって全面的に被覆された状態となるように構成されている。
なお、冷却液42としては、合成樹脂発泡粒子を冷却することができれば、特に限定されず、例えば、水、アルコールなどが挙げられるが、使用後の処理を考慮すると、水が好ましい。
そして、冷却ドラム41の周壁部41bの前端部下面には、その内外周面間に亘って貫通した状態に排出口41eが形成されており、この排出口41eの外側開口部には排出管41fが接続されており、合成樹脂発泡粒子及び冷却液42を連続的に排出できるように構成されている。
合成樹脂発泡粒子は押出発泡によって製造される。例えば、合成樹脂を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練し押出機の前端に取り付けたノズル金型1から合成樹脂押出物を押出発泡させながら回転刃5によって切断し合成樹脂発泡粒子を製造する。
又、上記発泡剤としては、従来から汎用されているものが用いられ、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾイルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウムなどの化学発泡剤;プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタンなどのフロン、二酸化炭素、窒素などの物理発泡剤などが挙げられ、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素が好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンがより好ましく、ノルマルブタン、イソブタンが特に好ましい。なお、発泡剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
そして、押出機に供給される発泡剤量としては、少ないと、合成樹脂発泡粒子を所望発泡倍率まで発泡させることができないことがある一方、多いと、発泡剤が可塑剤として作用することから溶融状態の合成樹脂の粘弾性が低下し過ぎて発泡性が低下し良好な合成樹脂発泡粒子を得ることができない場合があるので、合成樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜4重量部がより好ましく、0.3〜3重量部が特に好ましい。
そして、ノズル金型1から押出された合成樹脂押出物は引き続き切断工程に入る。合成樹脂押出物の切断は、回転軸2を回転させ、ノズル金型1の前端面1aに配設された回転刃5、5・・・を好ましくは2000〜10000rpmの一定の回転数で回転させて行うことが好ましい。
全ての回転刃5はノズル金型1の前端面1aに常時、接触しながら回転しており、ノズル金型1から押出発泡された合成樹脂押出物は、回転刃5と、ノズル金型1におけるノズルの出口部1b端縁との間に生じる剪断応力によって、一定の時間間隔毎に大気中において切断されて合成樹脂発泡粒子とされる。この時、合成樹脂押出物の冷却が過度とならない範囲内において、合成樹脂押出物に水を霧状に吹き付けてもよい。
ノズル金型1のノズル内において合成樹脂が発泡しないようにしている。そして、合成樹脂は、ノズル金型1のノズルの出口部1bから吐出された直後は、未だに発泡しておらず、吐出されてから僅かな時間が経過した後に発泡を始める。従って、合成樹脂押出物は、ノズル金型1のノズルの出口部1bから吐出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する、未発泡部に先んじて押出された発泡途上の発泡部とからなる。
ノズル金型1のノズルの出口部1bから突出されてから発泡を開始するまでの間、未発泡部はその状態を維持する。この未発泡部が維持される時間は、ノズル金型1のノズルの出口部1bにおける樹脂圧力や、発泡剤量などによって調整することができる。ノズル金型1のノズルの出口部1bにおける樹脂圧力が高いと、合成樹脂押出物はノズル金型1から押出されてから直ぐに発泡することはなく未発泡の状態を維持する。ノズル金型1のノズルの出口部1bにおける樹脂圧力の調整は、ノズルの直径、押出量、合成樹脂の溶融粘度及び溶融張力によって調整することができる。発泡剤量を適正な量に調整することによって金型内部において合成樹脂が発泡することを防止し、未発泡部を確実に形成することができる。
そして、全ての回転刃5はノズル金型1の前端面1aに常時、接触した状態で合成樹脂押出物を切断していることから、合成樹脂押出物は、ノズル金型1のノズルの出口部1bから吐出された直後の未発泡部において切断されて合成樹脂発泡粒子が製造される。
得られた合成樹脂発泡粒子は、合成樹脂押出物をその未発泡部で切断していることから、切断部の表面には気泡断面は全く存在しないか或いは存在していても僅かである。そして、合成樹脂発泡粒子の表面全面は、気泡断面が全くないか或いは僅かに存在している表皮層で被覆されている。従って、合成樹脂発泡粒子は、発泡ガスの抜けがなく優れた発泡性を有していると共に連続気泡率も低く、更に、表面の熱融着性にも優れている。
そして、合成樹脂発泡粒子を型内発泡成形に用いた時、合成樹脂発泡粒子の表面は、気泡断面が全く存在しないか或いは気泡断面が僅かしか存在しない表皮層から形成されていることから、発泡粒子同士の熱融着性が良好であり、得られる発泡成形体は、表面ムラがなく且つ気泡断面が表面に表れるようなことが殆どなくて外観性に優れていると共に優れた機械的強度を有している。
そして、上述のようにして得られた合成樹脂発泡粒子は、回転刃5による切断応力によって切断と同時に冷却ドラム41に向かって飛散され、冷却ドラム41の周壁部41bの内周面に直ちに衝突する。合成樹脂発泡粒子は、冷却ドラム41に衝突するまでの間も発泡をし続けており、合成樹脂発泡粒子は発泡によって略球状に成長している。従って、合成樹脂発泡粒子を金型のキャビティ内に充填して型内発泡成形を行うにあたって、合成樹脂発泡粒子は金型のキャビティ内への充填性に優れ、金型のキャビティ内に合成樹脂発泡粒子を均一に充填することができ、均質な発泡成形体を得ることができる。
上記では、合成樹脂発泡粒子を製造する方法として、図1、2に示した製造装置を用いた場合を説明したが、上記製造方法に限定されず、例えば、(1)合成樹脂を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練し、押出機の前端に取り付けたノズル金型から押出発泡によってストランド状の合成樹脂押出物を製造し、このストランド状の合成樹脂押出物を冷却した後にペレタイザーなどを用いて合成樹脂押出物を粒子状に切断して合成樹脂発泡粒子を製造する方法、(2)合成樹脂を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練し、押出機の前端に取り付けたTダイから合成樹脂シートを製造し、この合成樹脂シートを冷却した後に合成樹脂シートを粒子状に切断して合成樹脂発泡粒子を製造する方法、(3)合成樹脂を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練し、押出機の前端に取り付けたサーキュラダイから円環状の合成樹脂押出物を製造し、この円環状の合成樹脂押出物をその押出方向に内外周面間に亘って連続的に切断して円環状の合成樹脂押出物を展開して合成樹脂シートを製造した後、合成樹脂シートを粒子状に切断して合成樹脂発泡粒子を製造する方法などであってもよい。
合成樹脂発泡粒子の連続気泡率は、高いと、発泡ガスの保持性が低下して、型内発泡成形時における合成樹脂発泡粒子の発泡圧が不足して二次発泡粒子同士の熱融着が不十分となって、発泡成形体の機械的強度や外観性が低下することがあるので、30%未満が好ましく、15%以下がより好ましく、7%以下が特に好ましい。なお、合成樹脂発泡粒子の連続気泡率の調整は、押出機からの合成樹脂発泡粒子の押出発泡温度、押出機への発泡剤の供給量などを調整することによって行われる。
ここで、合成樹脂発泡粒子の連続気泡率は下記の要領で測定される。先ず、体積測定空気比較式比重計の試料カップを用意し、この試料カップの80%程度を満たす量の合成樹脂発泡粒子の全重量A(g)を測定する。次に、上記合成樹脂発泡粒子全体の体積B(cm3)を比重計を用いて1−1/2−1気圧法により測定する。なお、体積測定空気比較式比重計は、例えば、東京サイエンス社から商品名「1000型」にて市販されている。
続いて、金網製の容器を用意し、この金網製の容器を水中に浸漬し、この水中に浸漬した状態における金網製の容器の重量C(g)を測定する。次に、この金網製の容器内に上記合成樹脂発泡粒子を全量入れた上で、この金網製の容器を水中に浸漬し、水中に浸漬した状態における金網製の容器とこの金網製容器に入れた合成樹脂発泡粒子の全量とを併せた重量D(g)を測定する。
そして、下記式に基づいて合成樹脂発泡粒子の見掛け体積E(cm3)を算出し、この見掛け体積Eと上記合成樹脂発泡粒子全体の体積B(cm3)に基づいて下記式により合成樹脂発泡粒子の連続気泡率を算出することができる。なお、水1gの体積を1cm3 とした。
E=A+(C−D)
連続気泡率(%)=100×(E−B)/E
合成樹脂発泡粒子の嵩密度は、小さいと、合成樹脂発泡粒子の連続気泡率が上昇して、型内発泡成形における発泡時に合成樹脂発泡粒子に必要な発泡力を付与することができない虞れがある一方、大きいと、得られる合成樹脂発泡粒子の気泡が不均一となって、型内発泡成形時における合成樹脂発泡粒子の発泡性が不充分となることがあるので、0.05〜0.7g/cm3が好ましく、0.07〜0.6g/cm3がより好ましく、0.08〜0.5g/cm3が特に好ましい。なお、合成樹脂発泡粒子の嵩密度は、ノズル金型1のノズルの出口部1bにおける樹脂圧力や、発泡剤量などによって調整することができる。ノズル金型1のノズルの出口部1bにおける樹脂圧力の調整は、ノズルの直径、押出量及び合成樹脂の溶融粘度によって調整することができる。
なお、合成樹脂発泡粒子の嵩密度は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。即ち、JIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいて合成樹脂発泡粒子の嵩密度を測定することができる。
合成樹脂発泡粒子の嵩密度(g/cm3
=〔試料を入れたメスシリンダーの質量(g)−メスシリンダーの質量(g)〕
/〔メスシリンダーの容量(cm3)〕
上述したように、得られた合成樹脂発泡粒子の表面全面は、気泡断面が全く存在しないか或いは気泡断面が僅かしか存在しない表皮層で被覆されており、連続気泡率が低く、発泡ガスの保持性に優れている。
合成樹脂発泡粒子を構成する合成樹脂が結晶性樹脂である場合、合成樹脂発泡粒子の結晶化度は、高いと、型内発泡成形時に発泡粒子同士の熱融着性が低下することがあるので、15%未満が好ましく、10%以下がより好ましい。合成樹脂発泡粒子の結晶化度は、ノズル金型1から合成樹脂押出物が押出されてから合成樹脂発泡粒子が冷却液42に衝突するまでの時間や、冷却液42の温度によって調整することができる。
ここで、合成樹脂発泡粒子の結晶化度は、示差走査熱量計(DSC)を用いてJIS K7121に記載の測定方法に準拠して10℃/分の昇温速度にて昇温しながら測定された1mg当たりの結晶化熱量及び1mg当たりの融解熱量に基づいて算出することができる。なお、ΔH0は、100%結晶化している場合の理論融解熱量〔完全結晶融解熱量(理論値)〕を意味する。例えば、ポリエチレンテレフタレートのΔH0は140.1mJ/mg、ポリ乳酸のΔH0は93.0mJ/mgである。
結晶化度(%)
=100×(│融解熱量(mJ/mg)│−│結晶化熱量(mJ/mg)│)/ΔH0
合成樹脂発泡粒子中の発泡剤の含有量は、少ないと、型内発泡成形において合成樹脂発泡粒子の発泡力が低下し、合成樹脂発泡粒子を二次発泡させて得られる二次発泡粒子同士の熱融着性が低下し、得られる複合体用発泡体の機械的強度が低下し、又は、得られる複合体用発泡体の表面に形成された溝部の深さが深くなり、複合体用発泡体の表面に合成樹脂又は接着剤を介して補強材を積層一体化させる場合に、合成樹脂又は接着剤が複合体用発泡体の溝部に入り込んで吸収されてしまい、複合体用発泡体の表面に補強材を強固に積層一体化することができない。合成樹脂発泡粒子中の発泡剤の含有量は、多すぎると、得られた複合体用発泡体中の残存発泡剤量が多くなって、複合体用発泡体をその後に複合体用発泡体の表面に補強材を積層一体化させる工程などの工程において加熱された場合に、複合体用発泡体が発泡することによって変形し、又は、複合体用発泡体とこの複合体用発泡体の表面に積層一体化する補強材との界面に複合体用発泡体から発生したガスが溜まり、複合体用発泡体と補強材との一体化が不十分となるので、合成樹脂発泡粒子を構成している合成樹脂100重量部に対して0.05〜0.8重量部が好ましく、0.1〜0.5重量部がより好ましい。
合成樹脂発泡粒子中における発泡剤の含有量はガスクロマトグラフを用いて測定することができ、例えば、下記装置を用いて下記条件にて合成樹脂発泡粒子中における発泡剤の含有量を測定することができる。
合成樹脂発泡粒子の試料10〜30mgを20mLバイアル瓶に入れて精秤し、バイアル瓶を密閉してオートサンプラー付ガスクロマトグラフにセットし、バイアル瓶を210℃で20分間に亘って加熱した後、バイアル瓶の上部空間の気体をMHE(Multiple Headspace Extraction)法にて定量分析し、合成樹脂発泡粒子中の発泡剤の含有量W3を測定する。
ここでいうMHE法とは、気固平衡にある気相ガスの放出を繰り返すことで得られるピーク面積の減衰を利用する定量方法である。
〔GC測定条件〕
測定装置:ガスクロマトグラフ Clarus500(Perkin-Elmer社製)
カラム:DB−1(1.0μm×0.25mmφ×60m:J&W社製)
検出器:FID
GCオーブン昇温条件:初期温度50℃(6分)
昇温速度:40℃/分(250℃まで)
最終温度:250℃(1.5分)
キャリアーガス(He),注入口温度:230℃,検出温度:310℃
レンジ:20
ベントガス 30mL/分(He)、追加ガス 5mL/分(He)
ガス圧力:初期圧力18psi(10分),昇圧速度:0.5psi/min(24psiまで)
〔HS測定条件〕
測定装置:HSオートサンプラー TurboMatrix HS40(Perkin-Elmer社製)
加熱温度:210℃,加熱時間:20分,加圧ガス圧:25psi,加圧時間:1分
ニードル温度:210℃,トランスファーライン温度:210℃,試料導入時間:0.08分
〔算出条件〕
検量線用標準ガス:混合ガス(ジーエルサイエンス社製)
混合ガス含有量:i-ブタン 約1重量%,n-ブタン 約1重量%,バランス 窒素
算出方法:MHE法により試料の残存ガス量を算出した。結果は全てi-ブタン換算量とした。
合成樹脂発泡粒子を構成している合成樹脂100重量部に対する発泡剤の含有量は下記式に基づいて算出することできる。
合成樹脂発泡粒子を構成している合成樹脂の含有量W4
=合成樹脂発泡粒子の重量−合成樹脂発泡粒子中の発泡剤の含有量W3
合成樹脂発泡粒子を構成している合成樹脂100重量部に対する発泡剤の含有量(重量部)
=100×W3/W4
更に、後述する型内発泡成形前に、上記合成樹脂発泡粒子に更に不活性ガスを含浸させて、合成樹脂発泡粒子の発泡力を向上させてもよい。このように合成樹脂発泡粒子の発泡力を向上させることにより、型内発泡成形時に合成樹脂発泡粒子同士の融着性が向上し、得られる発泡成形体は更に優れた機械的強度を有する。なお、上記不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴンなどが挙げられ、二酸化炭素が好ましい。
合成樹脂発泡粒子に不活性ガスを含浸させた後、合成樹脂発泡粒子を予備発泡させて予備発泡粒子とした上で、予備発泡粒子を金型のキャビティ内に充填して加熱し、予備発泡粒子を発泡させることによって発泡成形体を成形してもよい。なお、合成樹脂発泡粒子に不活性ガスを含浸させる要領と同様の要領で、予備発泡粒子に不活性ガスを更に含浸させてもよい。
上記合成樹脂発泡粒子を用いて型内発泡成形によって複合体用発泡体の製造方法を説明する。先ず、合成樹脂発泡粒子を金型のキャビティ内に充填する(充填工程)。次に、金型のキャビティ内に加熱媒体を供給して合成樹脂発泡粒子を加熱し、合成樹脂発泡粒子を二次発泡させ、合成樹脂発泡粒子を発泡させて得られた二次発泡粒子同士をそれらの発泡圧によって互いに熱融着一体化させて複合体用発泡体を製造する(発泡工程)。この発泡工程において合成樹脂の結晶化度を上昇させて、融着性及び耐熱性に優れた発泡成形体とする。なお、金型のキャビティ内に充填した合成樹脂発泡粒子の加熱媒体としては、特に限定されず、水蒸気の他に、熱風、温水などが挙げられる。
金型のキャビティ内に供給する水蒸気のゲージ圧力は、低いと、合成樹脂発泡粒子の加熱が不十分となり、合成樹脂発泡粒子を二次発泡させてなる二次発泡粒子の熱融着及び結晶化度の上昇が不十分となり、得られる発泡成形体の耐熱性及び機械的強度が低下することがあり、高いと、金型のキャビティ内に充填した合成樹脂発泡粒子のうち、外側に位置する合成樹脂発泡粒子が内側に位置する合成樹脂発泡粒子に比して速く発泡して二次発泡粒子同士が熱融着一体化してしまい、内側に位置する合成樹脂発泡粒子に水蒸気が接触しにくくなって合成樹脂発泡粒子の加熱、発泡が不十分となって、二次発泡粒子同士の熱融着一体化が不十分となり、得られる発泡成形体の機械的強度が低下することがあるので、0.02MPa以上で且つ0.5MPa未満が好ましく、0.05〜0.4MPaがより好ましい。
金型のキャビティ内に水蒸気を供給する時間は、短いと、合成樹脂発泡粒子の加熱が不十分となり、合成樹脂発泡粒子を二次発泡させてなる二次発泡粒子の熱融着又は結晶化度の上昇が不十分となり、得られる発泡成形体の耐熱性及び機械的強度が低下することがあり、長くても、得られる発泡成形体の耐熱性が低下することがあり、又、合成樹脂発泡粒子の加熱に要する水蒸気量が多くなってしまい、発泡成形体の製造効率が低下することがあるので、60〜180秒が好ましく、60〜120秒がより好ましい。
金型のキャビティ内に供給する水蒸気の温度は、低いと、合成樹脂発泡粒子の加熱が不十分となり、合成樹脂発泡粒子を二次発泡させてなる二次発泡粒子の熱融着及び結晶化度の上昇が不十分となり、得られる発泡成形体の耐熱性及び機械的強度が低下することがあり、高いと、合成樹脂発泡粒子が加熱に耐えられずに収縮することがあるので、100〜130℃が好ましく、105〜125℃がより好ましい。
複合体用発泡体中における発泡剤の含有量は、多いと、得られる複合体用発泡体がその後に複合体用発泡体の表面に補強材を積層一体化させる工程などの工程において加熱された場合に、複合体用発泡体が発泡することによって変形し、又は、複合体用発泡体とこの複合体用発泡体の表面に積層一体化する補強材との界面に複合体用発泡体から発生したガスが溜まり、複合体用発泡体と補強材との一体化が不十分となるので、複合体用発泡体を構成している合成樹脂100重量部に対して0.3重量部以下に限定され、0.2重量部以下が好ましい。
複合体用発泡体中の発泡剤の含有量は、合成樹脂発泡粒子中の発泡剤の含有量を測定する場合と同様の要領で測定することができる。具体的には、複合体用発泡体から10〜30mgの試験片を採取し、この試験片中に含まれている発泡剤の含有量W1を合成樹脂発泡粒子中の発泡剤の含有量を測定する場合と同様の要領で測定する。
試験片を構成している合成樹脂100重量部に対する発泡剤の含有量は下記式に基づいて算出することできる。
試験片を構成している合成樹脂の含有量W2
=試験片の重量−試験片中の発泡剤の含有量W1
複合体用発泡体を構成している合成樹脂100重量部に対する発泡剤の含有量(重量部)=100×W1/W2
次に、上述のようにして得られた複合体用発泡体を金型のキャビティ内にて又はキャビティから取りだした上で、複合体用発泡体を40〜80℃にて80時間以上に亘って養生(放置)する(養生工程)ことが好ましい。
上述のように、複合体用発泡体を40〜80℃にて80時間以上に亘って放置することによって、複合体用発泡体中に残存している発泡剤の含有量を更に低減することができる。
複合体用発泡体中の発泡剤の含有量を低減することによって、得られる複合体用発泡体がその後に複合体用発泡体の表面に補強材を積層一体化させる工程などの工程において加熱された場合にあっても、複合体用発泡体が発泡することによって変形する事態、及び、複合体用発泡体とこの複合体用発泡体の表面に積層一体化する補強材との界面に複合体用発泡体から発生したガスが溜まり、複合体用発泡体と補強材との一体化が不十分となるという事態を防止することができ、複合体用発泡体は、その後の加工工程にかかわらず、優れた機械的強度及び外観を維持することができる。
養生工程において、複合体用発泡体を保持する温度は、低いと、複合体用発泡体中に残存する発泡剤の含有量を十分に低減させることができず、上述のように、複合体用発泡体が変形し、又は、複合体用発泡体と補強材との一体化が不十分になるなどの問題を生じることがあり、高いと、複合体用発泡体中の発泡剤が抜ける前に複合体用発泡体が変形することがあるので、40〜80℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。
養生工程において、複合体用発泡体を養生する時間は、短いと、複合体用発泡体中に残存する発泡剤の含有量を十分に低減させることができず、上述のように、複合体用発泡体が変形し、又は、複合体用発泡体と補強材との一体化が不十分になるなどの問題を生じることがあるので、80時間以上が好ましく、100時間以上がより好ましい。一方、養生工程において、複合体用発泡体を養生する時間は、長くても、発泡成形体中の発泡剤の含有量を効率良く低減させることができないので、200時間以下が好ましく、170時間以下がより好ましい。
上述のように、複合体用発泡体は、型内発泡成形によって製造されたものであることから、金型のキャビティの形状を変化させることによって、所望形状を有する複合体用発泡体を容易に製造することができる。
得られた複合体用発泡体は、合成樹脂発泡粒子を二次発泡させてなる二次発泡粒子同士が熱融着一体化してなる。図3、4に示したように、複合体用発泡体の表面において、互いに熱融着一体化した二次発泡粒子61、61間には、外部に露出した二次発泡粒子の表面61a、61aによって凹部62が形成されており、この凹部62が連続することによって溝部63が形成されている。
そして、複合体用発泡体の表面に形成された溝部63の深さは何れの部分においても300μm以下であることが必要である。溝部63の深さが深くなると、複合体用発泡体の表面性が低下して外観が低下すると共に、複合体用発泡体の表面に補強材を合成樹脂などのバインダー又は接着剤を用いて積層一体化させる場合にバインダー又は接着剤が溝部63に入り込んでしまい、バインダー又は接着剤を過剰に用いないと、複合体用発泡体と補強材との一体化が不十分となり、補強材を複合体用発泡体の表面に積層一体化させて得られた複合体の機械的強度が低下し、又は、複合体用発泡体の軽量性が低下することがあるからである。
複合体用発泡体の表面に形成された溝部63において、深さが30〜300μmである溝部分の個数は、1cm2当たり0.5〜20個に限定され、1〜20個が好ましく、1.5〜18個がより好ましい。これは、深さが30〜300μmである溝部分の個数が少ないと、複合体用発泡体の表面に補強材を合成樹脂などのバインダー又は接着剤を介して積層一体化させるにあたって、補強材を複合体用発泡体の表面に十分な強度でもって積層一体化することができないからである。深さが30〜300μmである溝部分の個数が多いと、複合体用発泡体の表面の凹凸が大きくなって複合体用発泡体の表面平滑性が低下し、複合体用発泡体の表面に補強材を合成樹脂などのバインダー又は接着剤を介して積層一体化させるにあたって、バインダー又は接着剤を多量に必要とし、複合体用発泡体の軽量性が低下し、更に、複合体用発泡体の表面に補強材を積層一体化させてなる複合体の表面平滑性が低下するからである。
更に、複合体用発泡体の表面に形成された溝部63において、深さが90〜300μmである溝部分の個数は、1cm2当たり0〜5個が好ましく、0〜3個がより好ましい。なお、深さが90〜300μmである溝部分の個数が0個とは、深さが90〜300μmである溝部分が存在しないことを意味する。深さが90〜300μmである溝部分が適度に存在している又は存在しないことによって、複合体用発泡体の表面に補強材を合成樹脂などのバインダー又は接着剤を介してより強固に積層一体化させることができる。深さが90〜300μmである溝部分の数が多すぎると、複合体用発泡体の表面に補強材を合成樹脂などのバインダー又は接着剤を介して積層一体化させるにあたって、バインダー又は接着剤を多量に必要とし、複合体用発泡体の軽量性が低下し、更に、複合体用発泡体の表面に補強材を積層一体化させてなる複合体の表面平滑性が低下する
複合体用発泡体において、測定対象となる深さを有する溝部分の個数を測定する場合、溝部をその長さ方向に見たときに、測定対象となる深さが続いている限り、溝部分の個数は1個とする。例えば、深さが30〜300μmである溝部分の個数を測定する場合、溝部の深さが溝部の長さ方向に30〜300μmの範囲内で変動している限りは、溝部分の長さの如何にかかわらず、溝部分の数は1個と数える。従って、溝部の深さが溝部の長さ方向に30〜300μmの範囲で変動し、ある溝部の地点で深さが30μm未満となり、この深さが30μm未満の地点を超えると再び、溝部の深さが30〜300μmとなっている場合には、深さが30μm未満の溝部の境にして深さが30〜300μmの溝部が二個存在していることとする。
なお、複合体用発泡体の表面に形成された溝部の深さ及び所定範囲の深さを有する溝部分の個数は、JIS B0601「製品の幾何特性仕様−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ」-(年度2001)に準拠して測定することができる。複合体用発泡体の表面に形成された溝部の深さ及び所定範囲の深さを有する溝部分の個数は、例えば、高精度レーザー測定器(キーエンス社製 商品名「LT−9000」)と粗さ測定システム(コムス社製 商品名「MAP−2DS」)とを備えた測定装置を用いて基準長さ0.8mm、評価長さ10mm、測定ピッチ2μm、速度500μm/秒の条件下にて測定することができる。
具体的には、複合体用発泡体の表面における任意の部分に、長さが1cmの仮想直線を二本、互いに長さ方向の中央で且つ互いに直交するように描く。しかる後、各仮想直線上に存在する溝部の深さを上記測定装置を用いて測定し、仮想直線毎に、測定対象となる深さを有する溝部分の個数を算出する。次に、各仮想直線上における測定対象となる深さを有する溝部分の個数同士の積を算出し、1cm2当たりの測定対象となる深さを有する溝部分の個数とする。なお、二つの仮想直線上における測定対象となる深さを有する溝部分の個数が共に0個である場合は、各仮想直線上の溝部分の個数は共に0個とし、各仮想直線上における測定対象となる深さを有する溝部分の個数同士の積を算出する。一方の仮想直線上における測定対象となる深さを有する溝部分の個数のみが0個である場合、その仮想直線上の溝部分の個数は1個とし、各仮想直線上における測定対象となる深さを有する溝部分の個数同士の積を算出する。
複合体用発泡体の任意の10箇所について、上述と同様の要領で、測定箇所毎に1cm2当たりの測定対象となる深さを有する溝部分の個数を算出し、これら10箇所における溝部分の個数の相加平均値を、測定対象となる深さを有する溝部分の個数とする。
複合体用発泡体を構成している合成樹脂が結晶性樹脂である場合、複合体用発泡体において、表面部の結晶化度は低いと、複合体用発泡体の耐熱性が低下して、複合体用発泡体がその後に複合体用発泡体の表面に補強材を積層一体化させる工程などの工程において加熱された場合に、複合体用発泡体が変形することがあるので、15%以上であることが好ましい。
複合体用発泡体を構成している合成樹脂が結晶性樹脂である場合、複合体用発泡体において、表面部の結晶化度と、内部の結晶化度との差は7%以下であることが好ましい。表面部の結晶化度と、内部の結晶化度との差が7%を超えていると、複合体用発泡体の耐熱性が低下して、複合体用発泡体に加熱によって反りや膨張が発生することがあるからである。
複合体用発泡体の表面とこの表面に対して垂直方向に2mmだけ入った部分との間に存在する複合体用発泡体部分を表面部とする。複合体用発泡体の表面部から厚みが2mmで且つ重量が3〜10mgの直方体形状の試料を切り出す。次に、この試料をその厚み2mmを維持し且つ重量が約2mgの直方体形状となるように切除して表面試料を作製する。
更に、複合体用発泡体の表面部を含まないように且つ複合体用発泡体の重心を含むようにしながら、複合体用発泡体から厚みが2mmで且つ重量が3〜10mgの直方体形状の試料を切り出す。次に、この試料をその厚み2mmを維持し且つ重量が約2mgの直方体形状となるように切除して内部試料を作製する。
別に用意した4個の複合体用発泡体からも上述と同様の要領で表面試料及び内部試料を作製し、表面試料及び内部試料を合計5個作製した。
表面試料及び内部試料の結晶化度を、示差走査熱量計(DSC)を用いてJIS K7121に記載の測定方法に準拠して10℃/分の昇温速度にて昇温しながら測定された1mg当たりの結晶化熱量及び1mg当たりの融解熱量に基づいて算出することができる。なお、ΔH0は、100%結晶化している場合の理論融解熱量〔完全結晶融解熱量(理論値)〕を意味する。
結晶化度(%)
=100×(│融解熱量(mJ/mg)│−│結晶化熱量(mJ/mg)│)/ΔH0
5個の表面試料のそれぞれの結晶化度の相加平均値を複合体用発泡体の表面部の結晶化度とし、5個の内部試料のそれぞれの結晶化度の相加平均値を複合体用発泡体の内部の結晶化度とする。
複合体用発泡体の見掛け密度は、小さいと、複合体用発泡体の圧縮強さなどの機械的強度が低下することがあり、大きいと、複合体用発泡体の軽量性が低下することがあるので、0.05〜0.7g/cm3が好ましく、0.08〜0.7g/cm3がより好ましい。なお、複合体用発泡体の見掛け密度は、複合体用発泡体の重量を複合体用発泡体の見掛け体積で除した値をいう。なお、複合体用発泡体の見掛け密度は、JIS K6767:1999「発泡プラスチック及びゴム− 見掛け密度の測定」に準拠して測定した値をいう。
複合体用発泡体を構成している二次発泡粒子の直径は、小さいと、二次発泡粒子の発泡倍率が小さくなり、その結果、複合体用発泡体の見掛け密度が高くなって複合体用発泡体の軽量性が低下することがあり、大きいと、複合体用発泡体の表面に形成された溝部の深さが深くなり、複合体用発泡体の表面に補強材を合成樹脂などのバインダー又はバインダーを用いて積層一体化させる場合にバインダー又は接着剤が溝部に入り込んでしまい、複合体用発泡体と補強材との一体化が不十分となり、補強材を複合体用発泡体の表面に積層一体化させて得られた複合体の機械的強度が低下することがあるので、1.5〜5mmが好ましい。なお、複合体用発泡体を構成している二次発泡粒子の直径はノギスを用いて測定することができ、二次発泡粒子を包囲し得る最小限の真球の直径をいう。
複合体用発泡体の連続気泡率は、高いと、複合体用発泡体の機械的強度が低下することがあるので、30%未満が好ましく、20%未満がより好ましく、10%未満が特に好ましい。なお、複合体用発泡体の連続気泡率は、なお、複合体用発泡体の連続気泡率は、ASTM D−2856に記載の測定方法に準拠して下記の要領で測定される。
先ず、複合体用発泡体の見掛け上の体積を測って見掛け体積F(cm3)とする。次に、複合体用発泡体の実際試料体積G(cm3)を体積測定空気比較式比重計を用いて1−1/2−1気圧法により測定する。なお、体積測定空気比較式比重計は、例えば、東京サイエンス社から商品名「1000型」にて市販されている。そして、複合体用発泡体の見掛け体積F(cm3)と発泡体の実際試料体積G(cm3)に基づいて下記式により発泡体の連続気泡率を算出することができる。
連続気泡率(%)=100×(F−G)/F
上述のようにして製造された複合体用発泡体は、その表面に補強材を積層一体化させて複合体として用いられる。補強材としては、繊維強化材、金属シート、合成樹脂フィルムなどが挙げられ、繊維強化材が好ましい。
金属シートとしては、特に限定されず、例えば、アルミニウムシート、ステンレスシート、鉄シート、鋼シート、チタニウムシートなどが挙げられ、軽量性及び機械的強度の双方に優れているので、アルミニウムシートが好ましい。なお、アルミニウムシートには、アルミニウムを50重量%以上含有しているアルミニウム合金シートも含まれる。金属シートの厚みは、薄いと、機械的強度が低下することがあり、厚いと、軽量性が低下するので、0.1〜0.5mmが好ましく、0.2〜0.5mmがより好ましい。
繊維強化材を構成している繊維としては、特に限定されず、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、金属繊維などが挙げられ、優れた機械的強度及び耐熱性を有していることから、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましく、炭素繊維がより好ましい。
繊維強化材の形態としては、特に限定されず、例えば、織物、編物、不織布、繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)をポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂などの合成樹脂糸又はガラス繊維糸などのステッチ糸で結束(縫合)してなる面材などが挙げられる。織物の織り方としては、平織、綾織、朱子織などが挙げられる。
繊維強化材は、(1)織物、編物若しくは不織布同士又はこれらを任意の組み合わせで複数枚、積層してなる多層面材、(2)繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)をポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂などの合成樹脂糸又はガラス繊維糸などのステッチ糸で結束(縫合)してなる複数枚の面材を繊維束の繊維方向が互いに相違した方向を指向するように重ね合わせ、重ね合わせた面材同士をポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂などの合成樹脂糸又はガラス繊維糸などのステッチ糸で一体化(縫合)してなる多層面材であってもよい。
繊維強化材には合成樹脂が含浸されていることが好ましい。合成樹脂としては、未硬化の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂を予備重合した樹脂などが挙げられ、耐熱性、弾性率及び耐薬品性に優れていることから、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂には、硬化剤、硬化促進剤などの添加剤が含有されていてもよい。なお、熱硬化性樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
又、熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。
繊維強化材中における合成樹脂の含有量は、少ないと、繊維強化材を構成している繊維同士の結合が弱くなり、得られる複合体の機械的強度が低下することがあり、多いと、繊維強化材を構成している繊維間に存在する合成樹脂の量が多くなりすぎ、かえって繊維強化材の機械的強度が低下し、得られる複合体の機械的強度が低下することがあるので、20〜70重量%が好ましく、30〜60重量%がより好ましい。
繊維強化材中に合成樹脂を含浸させる方法としては、特に限定されず、例えば、(1)繊維強化材を合成樹脂中に浸漬して繊維強化材中に合成樹脂を含浸させる方法、(2)繊維強化材に合成樹脂を塗布し、繊維強化材に合成樹脂を含浸させる方法などが挙げられる。
複合体用発泡体の表面に補強材を積層一体化させる方法としては、特に限定されず、例えば、(1)複合体用発泡体の表面に接着剤を介して補強材を積層一体化する方法、(2)複合体用発泡体の表面に、熱可塑性樹脂が含浸された繊維強化材を積層し、繊維強化材中に含浸させた熱可塑性樹脂をバインダーとして複合体用発泡体の表面に繊維強化材を積層一体化する方法、(3)複合体用発泡体の表面に、未硬化の熱硬化性樹脂が含浸された繊維強化材を積層し、繊維強化材中に含浸させた熱硬化性樹脂をバインダーとし、熱硬化性樹脂を硬化させて複合体用発泡体の表面に繊維強化材を積層一体化する方法などが挙げられる。
上記(3)の方法を一例を示して具体的に説明する。図5に示したように、複合体用発泡体6の表面に、未硬化の熱硬化性樹脂が含浸された繊維強化材7を積層して積層体8を形成する。なお、図5では、複合体用発泡体6として板状のものを用い、この板状の複合体用発泡体6の両面に未硬化の熱硬化性樹脂が含浸された繊維強化材7、7を積層して積層体8を形成している。
更に、積層体8の繊維強化材7上にリリースフィルム10を介してブリーザークロス11を積層する。なお、図5では、一方の繊維強化材7上にのみリリースフィルム10を介してブリーザークロス11を積層した場合を示したが、両方の繊維強化材7上にリリースフィルム10を介してブリーザークロス11を積層してもよい。
上記リリースフィルム10は、繊維強化材7に対して容易に剥離可能に構成されている。
リリースフィルム10は、合成樹脂フィルムから構成されており、表裏面間に亘って貫通する貫通孔が形成されていてもいなくてもよいが、繊維強化材7中に含浸させている余分な熱硬化性樹脂を円滑にブリーザークロス11に吸収させることができるので、貫通孔が形成されていることが好ましい。
リリースフィルム10に貫通孔が形成されていない場合、繊維強化材7中に含浸させている余分な熱硬化性樹脂は、リリースフィルム10の外方を通じてブリーザークロス11に吸収される。
リリースフィルム10にその表裏面間に亘って貫通する貫通孔が多数、形成されている場合、リリースフィルム10の貫通孔を通じて繊維強化材7中に含浸させていた余分な熱硬化性樹脂をブリーザークロス11に吸収させることができる。リリースフィルム10を構成している合成樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(4フッ化エチレン−エチレン共重合体)などのフッ素系樹脂などが挙げられる。
上記ブリーザークロス11は、繊維強化材7中に含浸させていた余分な熱硬化性樹脂を吸収するために用いられ、積層体8の加熱、加圧時に変形、変質しないものであればよく、例えば、ナイロン繊維などのアミド樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維などからなる不織布、ガラスクロスなどが挙げられる。
次に、積層体8を型12上に載置し、積層体8上にバギングフィルム9を被せてバギングフィルム9によって積層体8を密封する。バギングフィルム9の外周縁部の全周と型12との対向間には封止材13を介在させて気密性を確保する。型12における積層体8の載置面は、得られた複合体の繊維強化材を容易に剥離することができるように離型処理121が施されている。
図5では、積層体8を型12上に載置し、積層体8上にバギングフィルム9を被せて積層体8をバギングフィルム9で密封した場合を説明したが、バギングフィルム9を袋状に形成し、袋状のバギングフィルム9内に積層体8を収納してバギングフィルム9によって積層体8を密封してもよい。
しかる後、バギングフィルム9で密封された空間部14内を排気することによって空間部14内を減圧する。空間部14内の真空度は、小さいと、繊維強化材中に存在している空気の排除が不十分となることがあり、得られた複合体の繊維強化材中にボイドが発生して複合体の機械的強度が低下することがあり、大きいと、繊維強化材中に含浸させた熱硬化性樹脂も吸引されてしまい、繊維強化材中の熱硬化性樹脂の含有量が少なくなって繊維強化材の機械的強度が低下し、得られる複合体の機械的強度が低下することがあるので、0.08〜0.14MPaが好ましく、0.10〜0.12MPaがより好ましい。
次に、バギングフィルムで密封された空間部14内の減圧後又は減圧の開始と同時に空間部14内の積層体8を加熱して、繊維強化材7中の熱硬化性樹脂を軟化させる。熱硬化性樹脂が軟化した後、積層体を加圧すると共に上記加熱を継続する。なお、積層体8の加熱及び加圧中において空間部14内の減圧状態は維持されている。
積層体8の加圧度は、小さいと、繊維強化材中に存在する空気の排除が不十分となり、繊維強化材中にボイドが発生して繊維強化材の機械的強度が低下し、若しくは、繊維強化材中の熱硬化性樹脂を繊維強化材の全体に良好になじませることができないために繊維強化材を構成している繊維同士を良好に一体化させることができず、得られる複合体の機械的強度が低下し、又は、繊維強化材と複合体用発泡体との一体化が不十分となって得られる複合体の機械的強度が低下することがあり、大きいと、複合体用発泡体が変形する虞れがあるので、0.05〜1.5MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
一方、積層体8を加圧することによって繊維強化材中に含浸されている余分な熱硬化性樹脂が繊維強化材の表面に浮き出してくることがあるが、このような場合には、リリースフィルム10に形成された貫通孔を通じて余分な熱硬化性樹脂がブリーザークロス11に吸収され、得られる複合体の繊維強化材の表面は余分な熱硬化性樹脂は存在せず優れた外観性を有している。
上述のように積層体を加圧した状態において積層体の加熱を継続しており、この加熱によって積層体の繊維強化材中に含浸させている熱硬化性樹脂を硬化させる。なお、熱硬化性樹脂の軟化後において、積層体の加熱温度は同一であってもよいし変化させてもよいが、熱硬化性樹脂の硬化を促進するために積層体の加熱温度を上昇させることが好ましい。
上記熱硬化性樹脂の硬化によって繊維強化材の繊維同士は結着、固定されると共に繊維強化材は複合体用発泡体の表面に沿って変形した状態にて複合体用発泡体の表面に熱硬化性樹脂によって積層一体化されて複合体を得ることができる。
次に、複合体を冷却すると共に複合体に加えている加圧力を解除した後、空間部14内の減圧を解除した上で空間部14を開放して複合体を取り出せばよい。
得られた複合体は、図6に示したように、硬化した熱硬化性樹脂によって繊維同士が結着され且つ固化された繊維強化材7、7が複合体用発泡体6の表面に沿って密着した状態に積層一体化されている。
上述のように、複合体用発泡体の表面に補強材を積層一体化させるにあたって、複合体用発泡体の表面と補強材との間には接着剤又は合成樹脂が介在している。一方、複合体用発泡体の表面には溝部が形成されており、この溝部には深さが30〜300μmの溝部分が1cm2当たり0.5〜20個形成されている。従って、複合体用発泡体と補強材との間に介在している接着剤又は合成樹脂が、複合体用発泡体の表面に適度な数量でもって形成された深さが30〜300μmの溝部分に入り込んでアンカー効果によって、複合体用発泡体と補強材とを一体化させることができる。更に、深さが30〜300μmの溝部分は上述の通り適度な数量でもって形成されていることから、複合体用発泡体の表面性に殆ど影響を与えるものではなく、複合体用発泡体は優れた表面性を有しており、この複合体用発泡体上に補強材を美麗な状態に積層一体化させることができ、外観性に優れた複合体を製造することができる。
更に、複合体用発泡体の表面には、互いに熱融着一体化した二次発泡粒子によって形成された凹部が連続することによって溝部が形成されていることから、複合体用発泡体の表面と補強材との界面に存在している空気を溝部を通じて円滑に排除することができ、更に、補強材が繊維強化材である場合には繊維強化材に含まれている空気も溝部を通じて円滑に排除することができ、複合体用発泡体の表面に補強材を強固に積層一体化させることができる。
図1及び図2に示した製造装置を用いて製造された合成樹脂発泡粒子は、上述の通り、その表面に二次発泡粒子の気泡断面が全く存在しないか或いは存在していても僅かであることから、この合成樹脂発泡粒子を用いて型内発泡成形によって製造された複合体用発泡体は、その表面に二次発泡粒子の気泡断面が存在していないか或いは存在していても僅かである。従って、複合体用発泡体の表面に露出した気泡断面に合成樹脂又は接着剤が入り込んでしまって複合体用発泡体と補強材との間に介在する合成樹脂又は接着剤の量が減少し、複合体用発泡体と補強材との一体化が不十分となることはない。一方、上述のように、複合体用発泡体の表面には深さが30〜300μmの溝部分が1cm2当たり0.5〜20個形成されており、複合体用発泡体と補強材との間に介在している接着剤又は合成樹脂が、深さが30〜300μmの溝部分に確実に入り込んで優れたアンカー効果によって、複合体用発泡体と補強材とを強固に一体化させることができる。
又、図1及び図2に示した製造装置以外の製造装置を用いて製造された合成樹脂発泡粒子を用いて型内発泡成形によって製造された複合体用発泡体においても、少なくとも補強材を積層一体化させる面には二次発泡粒子の気泡断面が露出していないことが好ましい。
本発明の複合体用発泡体は、上述の如き構成を有しており、その表面には溝部が形成されており、上記溝部の深さは300μm以下であると共に、上記溝部において深さが30〜300μmである溝部分の個数が1cm2当たり0.5〜20個であることから、複合体用発泡体の表面に補強材を合成樹脂又は接着剤を介して積層一体化させるにあたって、合成樹脂又は接着剤を溝部分に十分に入り込ませてアンカー効果によって複合体用発泡体の表面に補強材を強固に積層一体化させることができ、機械的強度に優れた複合体を得ることができる。
更に、本発明の複合体用発泡体は、その表面に形成された深さが30〜300μmである溝部分の個数が1cm2当たり0.5〜20個であることから優れた表面性を有しており、複合体用発泡体の表面に積層一体化させて得られる複合体も優れた表面性を有している。
又、本発明の複合体用発泡体は、その表面に溝部を有していることから、複合体用発泡体の表面に補強材を積層一体化させる際に、複合体用発泡体の表面と補強材との界面に存在している空気を溝部を通じて容易に排出、除去することができ、複合体用発泡体の表面に補強材を強固に積層一体化させて、優れた機械的強度及び外観を有する複合体を得ることができる。
更に、本発明の複合体用発泡体は、金型のキャビティ内において合成樹脂発泡粒子を二次発泡させてなる二次発泡粒子同士を熱融着一体化させて製造されたものであることから、金型のキャビティ形状を変更することによって複合体用発泡体を種々の所望の立体形状に容易に対応することができ、よって、本発明の複合体用発泡体を用いることによって所望形状を有する複合体を容易に製造することができる。
合成樹脂発泡粒子の製造装置の一例を示した模式断面図である。 マルチノズル金型を正面から見た模式図である。 複合体用発泡体の溝部の断面を示した模式断面図である。 複合体用発泡体の表面を示した模式図である。 複合体の製造要領を示した断面図である。 複合体を示した縦断面図である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本実施例に何ら限定されるものでない。
(実施例1)
図1及び図2に示した製造装置を用いた。先ず、ポリエチレンテレフタレート(三井化学社製 商品名「SA−135」、融点:247.1℃)100重量部、ポリエチレンテレフタレートにタルクを含有させてなるマスターバッチ(ポリエチレンテレフタレート含有量:60重量%、タルク含有量:40重量%)1.8重量部及び無水ピロメリット酸0.2重量部を含むポリエチレンテレフタレート組成物を口径が65mmで且つL/D比が35の単軸押出機に供給して290℃にて溶融混練した。
続いて、押出機の途中から、イソブタン35重量%及びノルマルブタン65重量%からなるブタンをポリエチレンテレフタレート100重量部に対して0.7重量部となるように溶融状態のポリエチレンテレフタレート組成物に圧入して、ポリエチレンテレフタレート中に均一に分散させた。
しかる後、押出機の前端部において、溶融状態のポリエチレンテレフタレート組成物を280℃に冷却した後、押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型1の各ノズルからポリエチレンテレフタレート組成物を押出発泡させた。
なお、マルチノズル金型1は、出口部1bの直径が1mmのノズルを20個有しており、ノズルの出口部1bは全て、マルチノズル金型1の前端面1aに想定した、直径が139.5mmの仮想円A上に等間隔毎に配設されていた。
そして、回転軸2の後端部外周面には、2枚の回転刃5が回転軸2の周方向に180°の位相差でもって一体的に設けられており、各回転刃5はマルチノズル金型1の前端面1aに常時、接触した状態で仮想円A上を移動するように構成されていた。
更に、冷却部材4は、正面円形状の前部41aと、この前部41aの外周縁から後方に向かって延設され且つ内径が320mmの円筒状の周壁部41bとからなる冷却ドラム41を備えていた。そして、供給管41d及び冷却ドラム41の供給口41cを通じて冷却ドラム41内に20℃の冷却水42が供給されていた。冷却ドラム41内の容積は17684cm3であった。
冷却水42は、供給管41dから冷却ドラム41の周壁部41bの内周面に供給される際の流速に伴う遠心力によって、冷却ドラム41の周壁部41b内周面に沿って螺旋状を描くように前方に向かって進んでおり、冷却液42は、周壁部41bの内周面に沿って進行中に、徐々に進行方向に直交する方向に広がり、その結果、冷却ドラム41の供給口41cより前方の周壁部41bの内周面は冷却液42によって全面的に被覆された状態となっていた。
そして、マルチノズル金型1の前端面1aに配設した回転刃5を2500rpmの回転数で回転させてあり、マルチノズル金型1の各ノズルの出口部1bから押出発泡されたポリエチレンテレフタレート押出物を回転刃5によって切断して略球状のポリエチレンテレフタレート発泡粒子を製造した。ポリエチレンテレフタレート押出物は、マルチノズル金型1のノズルから押出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する発泡途上の発泡部とからなっていた。そして、ポリエチレンテレフタレート押出物は、ノズルの出口部1bの開口端において切断されており、ポリエチレンテレフタレート押出物の切断は未発泡部において行われていた。
なお、上述の型内発泡成形用ポリエチレンテレフタレート発泡粒子の製造にあたっては、先ず、マルチノズル金型1に回転軸2を取り付けず且つ冷却部材4をマルチノズル金型1から退避させておいた。この状態で、押出機からポリエチレンテレフタレート押出物を押出発泡させ、ポリエチレンテレフタレート押出物が、マルチノズル金型1のノズルから押出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する発泡途上の発泡部とからなることを確認した。次に、マルチノズル金型1に回転軸2を取り付け且つ冷却部材4を所定位置に配設した後、回転軸2を回転させ、ポリエチレンテレフタレート押出物をノズルの出口部1bの開口端において回転刃5で切断してポリエチレンテレフタレート発泡粒子を製造した。
このポリエチレンテレフタレート発泡粒子は、回転刃5による切断応力によって外方或いは前方に向かって飛ばされ、冷却部材4の冷却ドラム41の内面に沿って流れている冷却水42にこの冷却水42の流れの上流側から下流側に向かって冷却水42を追うように冷却水42の表面に対して斜交する方向から衝突し、ポリエチレンテレフタレート発泡粒子は冷却水42中に進入して直ちに冷却された。
冷却されたポリエチレンテレフタレート発泡粒子は、冷却ドラム41の排出口41eを通じて冷却水42と共に排出された後、脱水機にて冷却水42と分離された。
ポリエチレンテレフタレート発泡粒子は、その連続気泡率が2%、嵩密度が0.5g/cm3、結晶化度が5%であった。ポリエチレンテレフタレート発泡粒子中におけるブタンの含有量は、ポリエチレンテレフタレート100重量部に対して0.5重量部であった。
金型(雄金型と雌金型)を備えた型内発泡成形機を用意した。雄金型と雌金型とを型締めした状態において、雌雄金型間には内法寸法が縦30mm×横300mm×高さ300mmの直方体形状のキャビティが形成されていた。
型内発泡成形機の金型のキャビティ内にポリエチレンテレフタレート発泡粒子を充填して金型を型締めした。しかる後、金型のキャビティ内に105℃の水蒸気をゲージ圧力0.13MPaにて90秒間に亘って供給してポリエチレンテレフタレート発泡粒子を二次発泡させ、ポリエチレンテレフタレート発泡粒子を二次発泡させて得られた二次発泡粒子同士をこれらの発泡圧力によって熱融着一体化させて縦30mm×横300mm×高さ300mmの直方体形状の発泡成形体を得た。
次に、金型のキャビティ内に冷却水を供給して発泡成形体を冷却した後にキャビティを開いて発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を大気圧下において60℃にて168時間に亘って放置(養生)して複合体用発泡体を得た。
型12としてアルミニウム板を用意し、このアルミニウム板の上面に離型剤(ケムリースジャパン社製 商品名「ケムリース2166」)を塗布して一日放置し、アルミニウム板の上面に離型処理121を施した。
炭素繊維からなる綾織の織物から形成された繊維強化材(三菱レイヨン社製 商品名「TR3523 331KMP」、目付:200g/m2)を2枚、用意した。繊維強化材は、縦10cm×横30cmの平面長方形状であった。繊維強化材には、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が50重量%含有されていた。2枚の繊維強化材をそれらの経糸の長さ方向が互いに直角となるように重ね合わせた。
次に、アルミニウム板12の離型処理面121上に、重ね合わせた2枚の繊維強化材7を載置し、これらの繊維強化材7上に上述の複合体用発泡体6を載置した。
上記とは別に、上記と同一の繊維強化材を2枚用意し、2枚の繊維強化材を上記と同様の要領で重ね合わせた。これらの重ね合わせた2枚の繊維強化材7を複合体用発泡体6上に載置して積層体8を作製した。
しかる後、積層体8の上側の繊維強化材7上に、リリースフィルム(AIRTECH社製 商品名「WL5200B−P」)及びブリーザークロス(AIRTECH社製 商品名「AIRWEAVE N4」)を順に積層した。リリースフィルムは、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体フィルムから形成され、両面間に亘って貫通し且つ繊維強化材中の熱硬化性樹脂が通過可能な貫通孔が多数、形成されていた。ブリーザークロスは、ポリエステル樹脂繊維から構成された不織布から形成されており、熱硬化性樹脂を含浸可能に構成されていた。
積層体8上にバギングフィルム9(AIRTECH社製 商品名「WL7400」)を被せ、バギングフィルム9の外周縁部とこれに対向するアルミニウム板との間を封止材13としてシーラントテープ(AIRTECH社製 商品名「GS43MR」)を用いて気密的に接合して積層体8をバギングフィルム9によって密封した。バギングフィルム9の一部にバックバルブ15(AIRTECH社製 商品名「VAC VALVE 402A」)を配置して積層構造体を作製した。
次に、上記積層構造体を加熱硬化試験用オートクレーブ(羽生田鉄工所社製 商品名「DL−2010」)内に供給し、積層構造体のバックバルブ15を真空ラインと接続し、バギングフィルム9で密封された空間部14内を真空度0.10MPaに減圧した。なお、空間部14の減圧はその後も継続して行った。
しかる後、オートクレーブ内を昇温速度4℃/分にて90℃となるまで昇温して積層体8を加熱し、オートクレーブ内を90℃に90分間に亘って加熱して繊維強化材中の熱硬化性樹脂を軟化させて繊維強化材を複合体用発泡体6の表面に沿って変形させると共に、繊維強化材中に存在している空気を吸引、除去した。
次に、オートクレーブ内をゲージ圧力0.05MPaに加圧して積層体8に0.05MPaの押圧力を加えると共に、オートクレーブ内を昇温速度4℃/分にて130℃となるまで昇温して積層体8を加熱して、オートクレーブ内を130℃にて60分間に亘って加熱して繊維強化材中の熱硬化性樹脂を硬化させると共に、繊維強化材7、7を複合体用発泡体6の両面に積層一体化させて複合体を得た。なお、積層体8の加圧によって繊維強化材7中の余分な熱硬化性樹脂はリリースフィルム10の貫通孔を通じてブリーザークロス11に吸収されていた。
オートクレーブ内を冷却してオートクレーブ内が60℃となった時点でオートクレーブ内の加圧を解除して大気圧に戻して複合体を取り出した。
(実施例2)
押出機の途中から、イソブタン35重量%及びノルマルブタン65重量%からなるブタンをポリエチレンテレフタレート100重量部に対して0.9重量部となるように溶融状態のポリエチレンテレフタレート組成物に圧入したこと以外は実施例1と同様にして複合体用発泡体及び複合体を製造した。ポリエチレンテレフタレート発泡粒子は、その連続気泡率が3%、嵩密度が0.2g/cm3、結晶化度が5%であった。ポリエチレンテレフタレート発泡粒子中におけるブタンの含有量は、ポリエチレンテレフタレート100重量部に対して0.5重量部であった。
(実施例3)
押出機の途中から、イソブタン35重量%及びノルマルブタン65重量%からなるブタンをポリエチレンテレフタレート100重量部に対して1.0重量部となるように溶融状態のポリエチレンテレフタレート組成物に圧入したこと以外は実施例1と同様にして複合体用発泡体及び複合体を製造した。ポリエチレンテレフタレート発泡粒子は、その連続気泡率が5%、嵩密度が0.1g/cm3、結晶化度が6%であった。ポリエチレンテレフタレート発泡粒子中におけるブタンの含有量は、ポリエチレンテレフタレート100重量部に対して0.5重量部であった。
(実施例4)
結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製 商品名「TERRAMAC HV−6250H 」、融点:169.1℃、D体比率:1.2モル% 、L体比率:98.8モル%)1 00重量部および気泡調整剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末(旭硝子社製 商品名「フルオンL169J」)0.1重量部を押出機に供給して溶融混練した。なお、押出機内において、ポリ乳酸系樹脂を始めは190℃にて溶融混練した後に220℃まで昇温させながら溶融混練した。続いて、押出機の途中から、イソブタン35重量%及びノルマルブタン65重量%からなるブタンをポリ乳酸系樹脂100重量部に対して1.1重量部となるように溶融状態のポリ乳酸系樹脂に圧入して、ポリ乳酸系樹脂中に均一に分散させた。
しかる後、押出機の前端部において、溶融状態のポリ乳酸系樹脂を190℃に冷却した後、押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型1の各ノズルからポリエチレンテレフタレート組成物を押出発泡させた。上述以外は実施例1と同様の要領で複合体用発泡体及び複合体を得た。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、その連続気泡率が28%、嵩密度が0.1g/cm3、結晶化度が17%であった。ポリ乳酸系樹脂発泡粒子中におけるブタンの含有量は、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.5重量部であった。
(実施例5)
実施例1と同様の要領で複合体用発泡体を製造した。複合体用発泡体の表面に、厚みが30μmのポリオレフィン系ホットメルト接着剤フィルム(クラボウ社製 商品名「クランベターX−2300」)を積層し、更に、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤フィルム上に、厚みが0.2mmのアルミニウムシートを積層して積層体8を製造し、この積層体8を用いたこと以外は実施例1と同様にして複合体を製造した。なお、積層体8のアルミニウムシート上にリリースフィルム10及びブリーザークロス11を積層した。
(比較例1)
金型のキャビティ内に水蒸気を40秒間に亘って供給したこと以外は実施例1と同様にして複合体用発泡体及び複合体を得た。得られた発泡成形体は結晶化度が低く、発泡成形体はその養生工程において表面性が悪化し、得られた複合体用発泡体の表面性は悪かった。この複合体用発泡体を用いて得られた複合体も表面性が悪かった。
(比較例2)
実施例1において発泡成形体を養生しなかったこと、この養生しなかった発泡成形体を複合体用発泡体の代わりに用いて実施例1と同様にして複合体を得た。
実施例及び比較例で得られた複合体用発泡体又は発泡成形体について、深さが30〜300μmである溝部分の個数、深さが90〜300μmである溝部分の個数、二次発泡粒子を構成している合成樹脂100重量部に対する発泡剤の含有量、表面部の結晶化度、内部の結晶化度、見掛け密度、二次発泡粒子の直径及び連続気泡率を上述の要領で、溝部の最大深さ及び加熱寸法変化率を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。なお、表1において、比較例2の発泡成形体については便宜上、「複合体用発泡体」の欄に記載した。
実施例及び比較例で得られた複合体について、繊維強化材の表面平滑性及び加熱寸法変化率を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
〔複合体用発泡体及び発泡成形体〕
(溝部の最大深さ)
複合体用発泡体及び発泡成形体の表面に形成された溝部の深さをJIS B0601「製品の幾何特性仕様−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ」-(年度2001)に準拠して測定した。複合体用発泡体及び発泡成形体の表面に形成された溝部の深さを高精度レーザー測定器(キーエンス社製 商品名「LT−9000」)を用いて基準長さ0.8mm、評価長さ10mm、測定ピッチ2μm、速度500μm/秒の条件下にて測定した。
具体的には、複合体用発泡体の表面における任意の部分に、長さが1cmの仮想直線を二本、互いに長さ方向の中央で且つ互いに直交するように描いた。しかる後、各仮想直線上に存在する溝部の最大深さを上記高精度レーザー測定器を用いて測定した。
複合体用発泡体の任意の10箇所について、上述と同様の要領で、各仮想直線上に存在する溝部の最大深さを上記高精度レーザー測定器を用いて測定し、各仮想直線上に存在する溝部の最大深さのうちの最大値を「溝部の最大深さ」とした。
(加熱寸法変化率)
複合体用発泡体及び発泡成形体の加熱寸法変化率をJIS K6767に準拠して測定した。加熱温度を150℃、加熱時間を168時間として複合体用発泡体及び発泡成形体の厚み方向のみの変位を測定量(−が収縮、+が膨張)とし下記式に基づいて算出した。
加熱寸法変化率(%)=100×(加熱後寸法−加熱前寸法)/加熱前寸法
〔複合体〕
(表面平滑性)
複合体の表面に形成された溝部の最大深さを、複合体用発泡体の場合と同様の要領で測定した。なお、比較例2において、複合体用発泡体の表面平滑性は優れていたが、複合体の製造時、複合体用発泡体が発泡してしまい、得られた複合体の表面平滑性が低下した。
(加熱寸法変化率)
複合体の加熱寸法変化率をJIS K6767に準拠して測定した。複合体の厚み方向のみの変位を測定量(+が収縮、−が膨張)とし、加熱時間は168時間とした。
Figure 0006078671
1 ノズル金型
2 回転軸
3 駆動部材
4 冷却部材
41 冷却ドラム
42 冷却液
5 回転刃
6 複合体用発泡体
61 二次発泡粒子
61a 表面
62 凹部
63 溝部
7 繊維強化材
8 積層体
9 バギングフィルム
10 リリースフィルム
11 ブリーザークロス
12 型
13 封止材
14 空間部
15 バックバルブ

Claims (1)

  1. 金型のキャビティ内において合成樹脂発泡粒子を二次発泡させてなる二次発泡粒子同士を熱融着一体化させて製造され且つ表面に補強材を積層一体化させて用いられる複合体用発泡体であって、表面には互いに熱融着一体化した二次発泡粒子によって形成された凹部が連続することによって溝部が形成されており、上記溝部の深さは300μm以下であると共に、上記溝部において深さが30〜300μmである溝部分の個数が1cm2当たり0.5〜20個であり、発泡剤の含有量が上記複合体用発泡体を構成している合成樹脂100重量部に対して0.3重量部以下である複合体用発泡体と、上記複合体用発泡体の表面に積層一体化された補強材とを含むことを特徴とする複合体。
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