JP6346817B2 - 繊維強化複合体、及び、繊維強化複合体の製造方法 - Google Patents

繊維強化複合体、及び、繊維強化複合体の製造方法 Download PDF

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本発明は、繊維強化複合体、及び、繊維強化複合体の製造方法に関する。
従来、FRPなどと呼ばれる繊維強化樹脂材が、軽量で且つ高い機械的強度を有することから、自動車分野、船舶分野、航空機分野などにおいて広く利用されている。
近年、このような繊維強化樹脂材によって樹脂発泡体を覆い、前記繊維強化樹脂材からなる繊維強化樹脂層を表層部に備えさせた繊維強化複合体が各種の用途に利用されるようになってきている。
この繊維強化樹脂層を形成させるための繊維強化樹脂材としては、樹脂と短繊維とのコンポジット材をシート状に成形したもの(以下、「コンポジットシート」ともいう)が知られている。
近年、このようなコンポジットシートに比べて繊維強化複合体に優れた強度を発揮させ易い点において、アラミド繊維や無機繊維で出来た基布にエポキシ樹脂などを含浸担持させたプリプレグシートが繊維強化樹脂層の形成材料として採用されるようになってきている(下記特許文献1参照)。
なお、繊維強化複合体の芯材となる樹脂発泡体としては、いわゆる「押出発泡シート」や「ビーズ発泡成形体」などが利用されている。
この内、ビーズ発泡成形体は、その原材料となる複数の樹脂ビーズを収容するための空間と、前記樹脂ビーズを加熱する加圧水蒸気を前記空間に導入させるための通気孔とを備えた金型によって形成されている。
即ち、ビーズ発泡成形体は、通常、型内成形によって作製されており、発泡剤を含む複数の樹脂粒子を金型内で加熱し、該樹脂粒子を体積膨張させるとともに互いに熱融着させることで作製されている。
該ビーズ発泡成形体は、金型内の空間に対応した立体的な形状を備えさせることが容易で、押出発泡シートよりも高い強度を発揮させることが容易であるという利点を有する。
従って、繊維強化複合体は、ビーズ発泡成形体をその芯材として採用することで優れた強度が発揮され得る。
特開平9−314713号公報
前記繊維強化複合体は、優れた強度を有することが求められている。
なお、前記繊維強化樹脂層は、繊維強化複合体に優れた強度を発揮させる目的以外にも繊維強化複合体に硬質で平滑性に優れた表面性状を付与する目的で繊維強化複合体に設けられている。
しかしながら、強度と表面性状とに優れた繊維強化複合体を得るための具体的な方法はこれまで十分に検討されておらず、このような繊維強化複合体を得ることが従来困難な状況となっている。
本発明は、このような点に着目してなされたもので強度と表面性状とに優れた繊維強化複合体を提供することを課題としている。
上記課題を解決すべく、本発明者が鋭意検討を行ったところ、強度面や立体的形状付与の容易さなどからビーズ発泡成形体を繊維強化複合体の芯材に利用しようとした場合、ビーズ発泡成形体には、表面に微小な突起が狭い間隔で形成されていることがあり、この突起が繊維強化樹脂層の表面にまで影響し、繊維強化複合体の表面性状を十分に良好なものとする妨げとなっていることを見出した。
また、本発明者は、繊維強化樹脂層を複層構造として個々の層にそれぞれ特定の機能を発揮させることで上記課題を解決し得ることを見出して本発明を完成させるに至った。
即ち、上記課題を解決するための繊維強化複合体における本発明は、樹脂発泡体と、該樹脂発泡体の表面の一部又は全部を覆う繊維強化樹脂層とを有する繊維強化複合体であって、前記樹脂発泡体がビーズ発泡成形体で、発泡剤を含んだ複数の樹脂ビーズが金型内で加熱されて該樹脂ビーズどうしが融着されたものであり、前記金型が、前記樹脂ビーズを収容する空間と、前記樹脂ビーズを加熱する気体を前記空間に導入するための複数の通気孔とを有し、前記ビーズ発泡成形体が、前記通気孔に前記樹脂ビーズの一部を侵入させることによって形成された複数の突起を表面に有しており、該突起を有する箇所における前記繊維強化樹脂層は、2層以上の積層数を有する複層構造となっている繊維強化複合体を提供する。
また、本発明は、上記課題を解決すべく、樹脂発泡体と、前記樹脂発泡体の表面の一部又は全部を覆う繊維強化樹脂層とを有する繊維強化複合体を製造する繊維強化複合体の製造方法であって、発泡剤を含んだ複数の樹脂ビーズを収容するための空間と、前記樹脂ビーズを加熱する気体を前記空間に導入させるための複数の通気孔とを備えた金型を用い、前記空間内に複数の前記樹脂ビーズを収容し、該空間内に前記気体を導入して前記樹脂ビーズを加熱し、該加熱によって前記樹脂ビーズの体積を膨張させるとともに樹脂ビーズどうしを融着させる型内成形を実施し、前記型内成形では、前記空間に対応した形状を有し、且つ、前記通気孔に樹脂ビーズの一部を侵入させてなる複数の突起を表面に有する樹脂発泡体を作製し、樹脂及び繊維を含む繊維強化樹脂材を前記樹脂発泡体の表面に積層して前記繊維強化樹脂層を形成させ、前記突起を有する箇所には2層以上の積層数を有する複層構造の繊維強化樹脂層を形成させる繊維強化複合体の製造方法を提供する。
本発明の繊維強化複合体は、上記のような構成を有していることから、強度と表面性状とに優れたものとされ得る。
一形態の繊維強化複合体の構造を示した概略断面図。 繊維強化複合体の芯材として用いられる樹脂発泡体の概略斜視図。 図2のX−X線矢視断面図。 図3に対応した箇所における繊維強化複合体の一部断面を示した概略断面図。
以下に本発明の実施の形態について説明する。
ここでは、図を参照しつつ繊維強化複合体が板状である場合について説明する。
図1は、本実施形態の繊維強化複合体の断面構造を示したもので、この図にも示されているように本実施形態の繊維強化複合体Aは、板状の樹脂発泡体からなる芯材A1の両面にシート状の繊維強化樹脂材が貼り合わされて形成されており、前記繊維強化樹脂材からなる繊維強化樹脂層A2が板状芯材A1の両面に備えられている。
本実施形態においては、発泡剤を含んだ複数の樹脂ビーズを用いた型内成形が実施されてなるビーズ発泡成形体が前記芯材A1に利用されている。
即ち、芯材A1は、発泡剤を含んだ複数の樹脂ビーズが金型内で加熱され、該加熱によって前記樹脂ビーズの体積が膨張されて該樹脂ビーズどうしが融着されてなる樹脂発泡体である。
また、本実施形態においては、このようにして形成されたビーズ発泡成形体が型内成形された状態のまま、切削加工などの外形加工が施されることなく前記芯材A1として使用されている。
即ち、板状の前記芯材A1は、金型の成形面の性状が表面に反映されたものとなっている。
図2は、この板状芯材A1を形成する樹脂発泡体10の概略斜視図であり、図3は、この概略斜視図におけるX−X線矢視断面図である。
また、図4は、この図3に示した箇所に対応した繊維強化複合体Aの断面を示したものである。
これらの図に示されているように本実施形態の繊維強化複合体Aの芯材A1として利用されている樹脂発泡体10は、複数の発泡樹脂粒子100どうしが熱融着されて形成されたもので、その表面10aを構成する発泡樹脂粒子100aの一部が突出されて突起11が備えられている。
より具体的には、本実施形態の樹脂発泡体10は、表面に線状突起11を有しており、複数本の前記線状突起11が並行している円形の領域11xを複数個所に備えている。
また、本実施形態の樹脂発泡体10は、複数の前記円形領域11xを、その表面全域に略等間隔に配置させている。
前記線状突起11は、突出方向に向けて狭幅となる形状を有しており、通常、平均突出高さが0.5mm〜1.5mm程度で、且つ、隣接する突起間の平均間隔(中心間距離)が0.5mm〜3.0mm程度となるように形成されている。
また、前記円形領域11xは、通常、3mm〜20mmの直径を有する大きさに形成され、隣接する別の円形領域との間の距離(中心間距離)が20mm〜100mmとなるようにして樹脂発泡体10に備えられている。
このような芯材A1に対して前記繊維強化樹脂層A2は、図に示されているように複層構造を有し、具体的には2層構造を有している。
即ち、前記繊維強化樹脂層A2は、前記樹脂発泡体10の表面に接する状態で樹脂発泡体10を覆う第1被覆層21と、前記樹脂発泡体10と接する側とは反対面において前記第1被覆層21に接し、繊維強化複合体Aの表面を成す第2被覆層22とを有している。
なお、本実施形態における前記繊維強化複合体Aは、樹脂発泡体10の一面側の繊維強化樹脂層A2aと他面側の繊維強化樹脂層A2bとで層数等を共通させる必要はない。
また、本実施形態の繊維強化複合体Aは、場所によって層数が異なる繊維強化樹脂層A2を有していてもよい。
前記第1被覆層21及び前記第2被覆層22についても、これらは、互いに厚みを共通させている必要はなく、それぞれ異なる厚みを有していてもよい。
さらに、前記第1被覆層21と前記第2被覆層22とは、材質を共通させる必要はなく、互いに異なる材質のものであっても良い。
本実施形態の繊維強化複合体Aは、繊維強化樹脂層A2が第1被覆層21と第2被覆層22との2層構成となっているために、これらに互いに異なる機能を発揮させることができる。
本実施形態の繊維強化複合体Aは、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維などの無機繊維や、アラミド繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維などの有機繊維などからなる糸を用いて織成されてなる織布、前記糸が編成されてなる編地、前記無機繊維や前記有機繊維などによる不織布といった基布に樹脂を含浸担持させたシート状の繊維強化樹脂材(繊維強化樹脂シート)によって第1被覆層21や第2被覆層22を形成させることができる。
また、本実施形態の繊維強化複合体Aは、このようなものの他に、樹脂と短繊維とを含むコンポジット材からなるシート状の繊維強化樹脂材(繊維強化樹脂シート)によっても第1被覆層21や第2被覆層22を形成させることができる。
従って、本実施形態の繊維強化複合体Aは、第1被覆層21と第2被覆層22とを同じ2枚の繊維強化樹脂シートで形成させて、個々に求められる機能をそれぞれ発揮させるようにすることができる他に第1被覆層21と第2被覆層22とを全く異なる繊維強化樹脂シートで形成させ、個々に求められる機能を顕著に発揮させるようにすることもできる。
前記のように、本実施形態において繊維強化複合体Aの芯材A1を構成する樹脂発泡体10は、表面に突起11を有している。
そして、前記第1被覆層21には、通常、樹脂発泡体への優れた接着性を有することが求められている。
そのため前記第1被覆層21は、樹脂発泡体の表面に対する優れた追従性を有することが好ましい。
従って、前記第1被覆層21は、コンポジットシートや、柔軟性に優れた基布を有する繊維強化樹脂シートなどによって構成させることが好ましい。
また、前記第2被覆層22には、通常、表面硬度や表面平滑性に優れることが求められる。
基布に樹脂を含浸担持させたタイプの繊維強化樹脂シートは、熱プレスなどにより、樹脂単体の硬質で平滑な被膜を表面に形成させることができる。
そのため、このタイプの繊維強化樹脂シートは、前記第2被覆層22の形成材料として適していると言える。
ここで、前記第1被覆層21、及び、前記第2被覆層22には、通常、優れた強度を発揮することが求められる。
このような点において、前記繊維強化樹脂シートは、基布に樹脂を含浸担持させたタイプのものであれば、例えば、炭素繊維又はガラス繊維のマルチフィラメント糸を平織、綾織、又は繻子織することによって得られた基布にエポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂などの反応硬化性を有する樹脂を含浸担持させたものが好ましい。
また、前記第1被覆層21や前記第2被覆層22を形成させるための繊維強化樹脂シートは、コンポジットシートであれば、ガラス繊維や炭素繊維をエポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂に分散させたタイプのものが好ましい。
この内、 “炭素繊維強化プラスチックス(CFRP)シート”などと呼ばれる炭素繊維からなる基布を備えた繊維強化樹脂シートで、且つ、0.1mm〜3mmの厚みを有するものが前記第1被覆層21や前記第2被覆層22を形成させるための繊維強化樹脂シートとして特に好適である。
また、これに対し、前記樹脂発泡体は、繊維強化複合体Aに優れた強度を発揮させる上において、その主成分たる樹脂が、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などの内のいずれかであることが好ましい。
なかでも、前記樹脂発泡体の主成分たる樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂であることが好ましく、とりわけ、ポリエチレンテレフタレート樹脂であることが好ましい。
なお、ここで“主成分たる樹脂”とは、樹脂発泡体に最も多くの質量割合で含まれている樹脂を意味している。
上記のような好ましい態様の繊維強化複合体Aは、例えば、以下のA)〜C)のような工程を順に実施して作製することができる。

A)炭化水素や二酸化炭素などの発泡剤を含むポリエステル系樹脂粒子を型内成形して芯材A1となる樹脂発泡体10を作製する芯材作製工程。
B)前記芯材作製工程で得られた樹脂発泡体10を2枚重ねのCFRPシートで覆って予備成形体を作製する予備成形体作製工程。
C)前記予備成形体を熱プレスやオートクレーブによって加熱・加圧して樹脂発泡体10と2枚のCFRPシートとを接着一体化させ繊維強化複合体を得る複合化工程。
上記のようにして、第1被覆層21と第2被覆層22とがそれぞれCFRPシートで出来た繊維強化複合体を得ることができる。
また、第1被覆層21をコンポジットシートによって形成させる場合は、CFRPシートを2枚重ねにしたものに代えて、コンポジットシートとCFRPシートとを重ね合わせたものを用い、且つ、コンポジットシートが内側となるようにして樹脂発泡体10を覆って予備成形体を作製し、この予備成形体を上記のように加熱・加圧して繊維強化複合体を作製すればよい。
なお、ビーズ発泡成形体は、通常、雄型と雌型とを有する金型によって形成され、前記雄型と前記雌型とを合わせた際にこれらの間に形成される成形空間を利用して作製される。
前記雄型及び前記雌型は、通常、成形空間の内壁面となる部位に通気孔を開口させており、前記成形空間に加圧水蒸気などの高温気体を導入し得るように形成されている。
そして、前記芯材A1となる樹脂発泡体は、通常、このような成形空間と、前記成形空間に加圧水蒸気などを導入させるための通気孔とを備えた金型を用いて作製される。
より具体的に説明すると、本実施形態の樹脂発泡体10は、前記金型として、例えば、中空ボディーの内壁に円形孔を複数有し、該円形孔にスリット状の部材が装着されて線状の通気孔が複数箇所に備えられたものを利用して以下のa1)〜a3)のような工程により作製され得る。
a1)ポリエステル系樹脂組成物を押出機に供給して所定の温度(例えば、290℃)にて溶融混練し、押出機の途中から発泡剤を圧入して均一に分散させ、その後、押出機の前端部において、溶融状態のポリエステル系樹脂組成物を冷却(例えば、270℃程度まで)した後、押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型の各ノズルからポリエステル系樹脂組成物を押出発泡させ、マルチノズル金型の前端面に配設した回転刃を回転させ、マルチノズル金型の各ノズルから押出発泡されたポリエステル系樹脂の押出物(押出発泡体)を、回転刃によって切断して、平均粒径(D50)が1〜5mm程度の予備発泡粒子を作製する予備発泡粒子作製工程。
a2)前記予備発泡粒子(樹脂ビーズ)を金型の成形空間に充填し、該予備発泡粒子を軟化させるのに十分な温度を有する気体を前記通気孔を通じて前記成形空間に導入し、前記予備発泡粒子を二次発泡させてビーズ発泡成形体を得る二次発泡工程。
a3)前記二次発泡工程で作製されたビーズ発泡成形体を冷却し、金型を開放してビーズ発泡成形体を金型から取り出す取出工程。
なお、前記二次発泡工程において、前記成形空間に収容させた複数の予備発泡粒子は、前記気体が成形空間に導入されることで加熱されて軟化状態とされ、内部に残存する発泡剤によって体積膨張を生じ、前記発泡剤の発泡力によって互いに押圧されて融着一体化される。
また、前記成形空間に収容させた複数の予備発泡粒子は、前記二次発泡工程において、成形空間に充満されることになり、この成形空間の形状に対応したビーズ発泡成形体とされる。
このときビーズ発泡成形体に成形空間の形状をより正確に反映させるという観点、及び、発泡樹脂粒子100どうしの接着性を向上させて強度に優れた樹脂発泡体10を得るという観点からは、前記二次発泡工程における成形空間の内圧をある程度以上のものとすることが好ましい。
二次発泡工程をそのような条件下で実施して樹脂発泡体を作製すると、樹脂発泡体10の表面10aを構成する発泡樹脂粒子100の表皮110一部が通気孔に侵入し易くなり、作製される樹脂発泡体10は、表面に複数の突起11を有することになる。
ここで、一般的なCFRPシートによって繊維強化樹脂層を形成させる場合、CFRPシートに余分に担持されている樹脂によって繊維強化樹脂層の表面に樹脂単体による薄い被膜が形成され、該被膜によって表面滑性や表面光沢に優れた繊維強化樹脂層が形成される。
そして、先述のように2枚のCFRPシートによって複層構造の繊維強化樹脂層を形成させるのに代えて、例えば、1枚の厚いCFRPシートで繊維強化樹脂層を形成させようとした場合、CFRPシートと樹脂発泡体とを積層一体化させる際に突起形成部位において他の部位よりも基布が樹脂発泡体から遠ざけられた状態となり易い。
このようにして繊維強化樹脂層の厚み方向における基布の位置が突起形成部と他の部位とで異なるのは、一般的な樹脂の中でも比較的硬質なポリエステル樹脂を樹脂発泡体の主成分とする場合に顕著なものとなり易い。
即ち、樹脂発泡体がポリプロピレン系樹脂のような軟質なものである場合、CFRPシートを積層する際の圧力によって突起がある程度押し潰されることを期待できるもののポリエステル樹脂製の樹脂発泡体では、このような期待をすることが難しい。
そして、前記のように他の部位においてはCFRPシートに含まれている樹脂単体による薄い被膜が繊維強化複合体の表面に形成され易いのに対して突起形成部位では炭素繊維が表面露出し易い状態になり、優れた表面性状を有する繊維強化複合体を得ることが難しくなる。
このようなことを防止すべく、易変形性という点においてCFRPシートなどに比べて優れているコンポジットシートで繊維強化樹脂層を形成させ、突起形成部位と他部位とで表面性状に違いが生じることを防止することも考え得る。
しかし、コンポジットシートは、CFRPシートのような繊維の連続性を有していないことから、CFRPシートに比べると繊維強化樹脂層に優れた強度を発揮させることが難しい。
また、コンポジットシートは、CFRPシートのように繊維の配置が固定されているわけではないのでCFRPシートに比べると繊維強化樹脂層の表面に繊維を露出させ易く、CFRPシートに比べると表面平滑な繊維強化樹脂層を形成させることが難しい。
或いは、樹脂発泡体側での対策として、突起を予め削り取った樹脂発泡体や、突起を予め押し潰しておいた樹脂発泡体を芯材として利用することも考え得るが、その場合、この突起の影響を排除するために多くの手間を必要とすることになり、繊維強化複合体の生産効率の観点からは好ましいことではない。
一方で本実施形態においては、第1被覆層21と第2被覆層22との間で、この突起11の影響が繊維強化複合体Aの表面に及ぶのを緩和することができ、突起11に対して予め特別な処理を施していなくても繊維強化複合体Aに優れた表面性状を付与することができる。
即ち、本実施形態の繊維強化複合体は、強度と表面性状とに優れているばかりでなく、生産効率の観点においても有利な効果を有するものである。
なお、突起11の影響が繊維強化複合体Aの表面に及ぶのをさらに抑制させるべく、第1被覆層21をCFRPシートではなく、コンポジットシートによって形成させることもできる。
繊維強化樹脂層を形成する各層について、特に第1被覆層21は、その厚みが薄すぎると突起11の影響が繊維強化複合体Aの表面に及ぶのを緩和し難くなるため、0.1mm以上の厚みを有することが好ましく、0.2mm以上の厚みを有することがより好ましい。
なお、繊維強化樹脂層を形成する各層の厚みは、通常、3mm以下であり、1mm以下であることが好ましい。
また、第1被覆層21を構成する炭素繊維の目付は、小さすぎると突起11の影響が繊維強化複合体Aの表面に及ぶのを緩和し難くなるため、100g/m以上が好ましく、150g/m以上がより好ましい。
該炭素繊維の目付は、通常、400g/m以下であり、300g/m以下であることが好ましい。
なお、本実施形態の繊維強化複合体が上記のような効果を発揮するのは、通気孔によって形成される突起が線状である場合に限られたものではなく、通気孔が円形開口を有するもので突起が円錐状のものである場合についても共通するものである。
また、本実施形態の繊維強化複合体が上記のような効果を発揮するのは、繊維強化樹脂層が上記例示のごとく2層構造である場合のみならず、3層以上の複層構造を有する場合も同じである。
なお、本発明の繊維強化複合体が上記例示に限定されないことは、説明するまでもなく当然の事柄である。
このことについて、例えば、本実施形態においては、繊維強化複合体を単純な板状のものとして例示しているが、本発明の繊維強化複合体は、複雑な形状に賦形されたものでもよい。
さらに、繊維強化複合体やその製造方法などに関し、従来公知となっている事柄については、本発明の効果が著しく損なわれない範囲において適宜採用可能である。
10 樹脂発泡体
11 突起
21 第1被覆層
22 第2被覆層
100 発泡樹脂粒子
A 繊維強化複合体
A1 芯材(樹脂発泡体)
A2 繊維強化樹脂層(繊維強化樹脂材)

Claims (3)

  1. 樹脂発泡体と、
    該樹脂発泡体の表面の一部又は全部を覆う繊維強化樹脂層とを有する繊維強化複合体であって、
    前記樹脂発泡体がビーズ発泡成形体で、発泡剤を含んだ複数の樹脂ビーズが金型内で加熱されて該樹脂ビーズどうしが融着されたものであり、
    前記金型が、前記樹脂ビーズを収容する空間と、前記樹脂ビーズを加熱する気体を前記空間に導入するための複数の通気孔とを有し、
    前記ビーズ発泡成形体が、前記通気孔に前記樹脂ビーズの一部を侵入させることによって形成された複数の突起を表面に有しており、
    該突起を有する箇所における前記繊維強化樹脂層は、前記ビーズ発泡成形体に接する第1被覆層と、前記ビーズ発泡成形体に接する側とは反対面において前記第1被覆層に接する第2被覆層とを含む2層以上の積層数を有する複層構造となっており、少なくとも前記第1被覆層が短繊維と樹脂とのコンポジット材によるシートによって形成されており、前記第2被覆層が基布に樹脂を含浸担持させた繊維強化樹脂シートによって形成されている繊維強化複合体。
  2. 前記樹脂ビーズの主成分がポリエステル系樹脂である請求項1記載の繊維強化複合体。
  3. 樹脂発泡体と、前記樹脂発泡体の表面の一部又は全部を覆う繊維強化樹脂層とを有する繊維強化複合体を製造する繊維強化複合体の製造方法であって、
    発泡剤を含んだ複数の樹脂ビーズを収容するための空間と、
    前記樹脂ビーズを加熱する気体を前記空間に導入させるための複数の通気孔とを備えた金型を用い、
    前記空間内に複数の前記樹脂ビーズを収容し、
    該空間内に前記気体を導入して前記樹脂ビーズを加熱し、
    該加熱によって前記樹脂ビーズの体積を膨張させるとともに樹脂ビーズどうしを融着させる型内成形を実施し、
    前記型内成形では、前記空間に対応した形状を有し、且つ、前記通気孔に樹脂ビーズの一部を侵入させてなる複数の突起を表面に有する樹脂発泡体を作製し、
    樹脂及び繊維を含む繊維強化樹脂材を前記樹脂発泡体の表面に積層して前記繊維強化樹脂層を形成させ、
    前記突起を有する箇所には前記樹脂発泡体に接する第1被覆層と、前記樹脂発泡体に接する側とは反対面において前記第1被覆層に接する第2被覆層とを含む2層以上の積層数を有する複層構造の繊維強化樹脂層を形成させ、且つ、少なくとも前記第1被覆層を短繊維と樹脂とのコンポジット材によるシートによって形成させ、前記第2被覆層を基布に樹脂を含浸担持させた繊維強化樹脂シートによって形成させる繊維強化複合体の製造方法。
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