JP2013188953A - 繊維強化複合体の製造方法 - Google Patents

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【課題】 本発明は、熱硬化性樹脂が十分に含浸された繊維強化材を発泡体の表面に強固に積層一体化させて機械的強度に優れた繊維強化複合体を製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の繊維強化複合体の製造方法は、発泡体2の表面に未硬化の熱硬化性樹脂が含浸された繊維強化材3が積層されてなる積層体4をバギングフィルム5によって密封し、上記バギングフィルム5で密封された空間部10内を排気することによって上記空間部10内を減圧後又は減圧と同時に、上記積層体4を加圧すると共に上記積層体4を加熱して、上記繊維強化材3を上記発泡体2の表面に沿って変形させると共に上記繊維強化材3中の上記熱硬化性樹脂を硬化させて上記繊維強化材3を上記発泡体2に積層一体化させることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、繊維強化複合体の製造方法に関する。
繊維で強化された繊維強化合成樹脂は軽量で且つ高い機械的強度を有していることから、自動車分野や航空機分野などの高い機械的強度及び軽量性が求められる分野において使用が拡大している。
繊維で強化された繊維強化合成樹脂としては、特許文献1には、下型に敷設した繊維強化材上にバギングフィルム又は上型を重ねて当該バギングフィルム周縁を下型に気密にシールし又は上型と下型とを型締めし、バギングフィルム又は上型と下型との間を排気すると共に繊維強化材に樹脂を注入して硬化させる樹脂トランスファー成形法において、バギングフィルム又は上型と下型との間に互いに平行な樹脂注入路と樹脂排出路を交互に又は1個づつ設けて樹脂注入路から樹脂の注入を行うと共にバギングフィルム又は上型と下型との間を樹脂排出路から排気して樹脂を樹脂注入路から樹脂排出路まで充満させた後、樹脂注入路と樹脂排出路とから樹脂を排出させながら硬化させる樹脂トランスファー成形法が開示されている。
しかしながら、上記樹脂トランスファー成形法は、繊維強化材に減圧雰囲気下にて樹脂の注入を行うものであり、バギングフィルムを外部から加圧することができないことから、繊維強化材内の気泡を十分に排出することができず、繊維強化材内にボイドが発生する虞れがある。繊維強化材内にボイドが発生すると繊維強化材の機械的強度が低下するという問題を生じる。
更に、繊維強化材内に樹脂を注入しており、樹脂の粘度が繊維強化材への含浸に大きな影響を与え、樹脂の選定にも制限があり、自由度が低いという問題点を有している。
又、高い機械的強度を得るために繊維強化合成樹脂を用い且つ軽量性を向上させるために芯材として発泡体を用いた繊維強化複合体も用いられている。
このような繊維強化複合体としては、特許文献2に、密度が400kg/m3以下のポリカーボネート系樹脂発泡体であって、その表層部はスチレンモノマーの浸透性が2.0g/cm2以下となるように形成されている繊維強化合成樹脂積層用ポリカーボネート系発泡体が開示されている。
しかしながら、実施例1からも明らかなように繊維強化合成樹脂積層用ポリカーボネート系発泡体はハンドレイアップ法によって製造されており、繊維層と発泡体との間に気泡が残存し易く、発泡体と繊維層との一体化が不十分となる虞れがあり、繊維強化合成樹脂積層用ポリカーボネート系発泡体の機械的強度が不十分となる虞れがあるという問題点を有している。
特開2005−212383号公報 特開平10−130413号公報
本発明は、熱硬化性樹脂が十分に含浸された繊維強化材を発泡体の表面に強固に積層一体化させて機械的強度に優れた繊維強化複合体を製造することができる製造方法を提供する。
本発明の繊維強化複合体の製造方法は、発泡体の表面に未硬化の熱硬化性樹脂が含浸された繊維強化材が積層されてなる積層体をバギングフィルムによって密封し、上記バギングフィルムで密封された空間部内を排気することによって上記空間部内を減圧後又は減圧と同時に、上記積層体を加圧すると共に上記積層体を加熱して、上記繊維強化材を上記発泡体の表面に沿って変形させると共に上記繊維強化材中の上記熱硬化性樹脂を硬化させて上記繊維強化材を上記発泡体に積層一体化させることを特徴とする。
本発明の繊維強化複合体の製造方法で用いられる発泡体を構成している合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂などが挙げられ、製造工程中に加えられる熱及び圧力に耐えることができ、得られる繊維強化複合体に歪みやボイドが見られない優れた外観を有し且つ耐熱性に優れた繊維強化複合体を製造することができることから、熱可塑性ポリエステル樹脂が好ましく、芳香族ポリエステル樹脂がより好ましい。なお、合成樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
熱可塑性ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸と二価アルコールとが、縮合反応を行った結果得られた高分子量の線状ポリエステルである。その代表的なものは芳香族ポリエステル樹脂である。
芳香族ポリエステル樹脂とは、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とを含むポリエステルであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどが挙げられ、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。なお、芳香族ポリエステル樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なお、芳香族ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分及びジオール成分以外に、例えば、トリメリット酸などのトリカルボン酸、ピロメリット酸などのテトラカルボン酸などの三価以上の多価カルボン酸やその無水物、グリセリンなどのトリオール、ペンタエリスリトールなどのテトラオールなどの三価以上の多価アルコールなどを構成成分として含有していてもよい。
又、芳香族ポリエステル樹脂は、使用済のペットボトルなどから回収、再生したリサイクル材料を用いることもできる。
ポリエチレンテレフタレートは架橋剤によって架橋されていてもよい。架橋剤としては、公知のものが用いられ、例えば、無水ピロメリット酸などの酸二無水物、多官能エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物などが挙げられる。なお、架橋剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ポリエチレンテレフタレートを架橋剤によって架橋する場合には、後述する押出機にポリエチレンテレフタレートと共に架橋剤を供給すればよい。押出機に供給する架橋剤の量は、少ないと、ポリエチレンテレフタレートの溶融時の溶融粘度が小さくなりすぎて、破泡してしまうことがあり、多いと、ポリエチレンテレフタレートの溶融時の溶融粘度が大きくなりすぎて、発泡体を押出発泡によって製造する場合には押出発泡が困難となることがあるので、ポリエチレンテレフタレート100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、0.1〜1重量部がより好ましい。
上記発泡体の製造方法としては、公知の製造方法を用いることができる。具体的には、(1)合成樹脂発泡粒子を金型内に充填し、熱水や水蒸気などの熱媒体によって合成樹脂発泡粒子を加熱して発泡させ、合成樹脂発泡粒子の発泡圧によって発泡粒子同士を融着一体化させて所望形状を有する発泡体を製造する方法(型内発泡成形法)、(2)合成樹脂を押出機に供給して化学発泡剤又は物理発泡剤などの発泡剤の存在下にて溶融混練し押出機から押出発泡させて発泡体を製造する方法(押出発泡法)、(3)合成樹脂及び化学発泡剤を押出機に供給して化学発泡剤の分解温度未満にて溶融混練し押出機から発泡性樹脂成形体を製造し、この発泡性樹脂成形体を発泡させて発泡体を製造する方法などが挙げられ、所望形状の発泡体を容易に製造することができることから、上記(1)の型内発泡成形法が好ましい。
上記(1)の型内発泡成形法で用いられる合成樹脂発泡粒子の製造方法としては、(1)合成樹脂を押出機内に供給して物理発泡剤の存在下にて溶融混練して押出機に取り付けたノズル金型から合成樹脂押出物を押出発泡させながら切断した後に冷却して合成樹脂発泡粒子を製造する方法、(2)合成樹脂を押出機内に供給して物理発泡剤の存在下にて溶融混練して押出機に取り付けたノズル金型からストランド状の合成樹脂押出物を製造し、この合成樹脂押出物を所定間隔毎に切断して合成樹脂発泡粒子を製造する方法、(3)合成樹脂を押出機内に供給して物理発泡剤の存在下にて溶融混練して押出機に取り付けた環状ダイ又はTダイから押出発泡して発泡シートを製造し、この発泡シートを切断することによって合成樹脂発泡粒子を製造する方法などが挙げられる。
又、化学発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾイルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウムなどが挙げられる。なお、化学発泡剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
物理発泡剤は、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタンなどのフロン、二酸化炭素、窒素などが挙げられ、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素が好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンがより好ましく、ノルマルブタン、イソブタンが特に好ましい。なお、物理発泡剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
押出機には気泡調整剤が供給されることが好ましい。このような気泡調整剤としては、ポリテトラフルオロエチレン粉末、アクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレン粉末、タルクなどが好ましい。
本発明で用いられる発泡体の密度は、小さいと、積層体の加圧時に繊維強化材を発泡体が十分に受止することができず、繊維強化材中に存在する空気の排除が不十分となり、繊維強化材中にボイドが発生して繊維強化材の機械的強度が低下して得られる繊維強化複合体の機械的強度が低下し、或いは、繊維強化材と発泡体との一体化が不十分となって得られる繊維強化複合体の機械的強度が低下することがあり、大きいと、得られる繊維強化複合体の軽量性が低下することがあるので、45〜900kg/m3が好ましく、135〜675kg/m3がより好ましい。なお、発泡体の密度は、JIS K7222「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に準拠して測定された値をいう。
本発明で用いられる発泡体がポリエチレンテレフタレート発泡体である場合、発泡体の結晶化度は15%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。これは、発泡体の結晶化度が低いと、積層体の加圧時に発泡体が大きく変形し、繊維強化材を発泡体が十分に受止することができず、繊維強化材中に存在する空気の排除が不十分となり、繊維強化材中にボイドが発生して繊維強化材の機械的強度が低下して得られる繊維強化複合体の機械的強度が低下し、或いは、繊維強化材と発泡体との一体化が不十分となって得られる繊維強化複合体の機械的強度が低下することがあるからである。なお、発泡体の結晶化度は、例えば、型内発泡成形法においては、成形温度や成形時間を調整することによって調整することができる。
ここで、発泡体の結晶化度は、示差走査熱量計(DSC)を用いてJIS K7121に記載の測定方法に準拠して10℃/分の昇温速度にて昇温しながら測定された1mg当たりの結晶化熱量及び1mg当たりの融解熱量に基づいて下記式により算出することができる。
結晶化度(%)
=100×(│融解熱量(mJ/mg)│−│結晶化熱量(mJ/mg)│)/140.1
又、発泡体の連続気泡率は、高いと、繊維強化材に含浸させた熱硬化性樹脂が発泡体内に浸透し、発泡体と繊維強化材との接着に過剰の熱硬化性樹脂が必要となり、又は、得られる繊維強化複合体の外観が低下するため、25%未満が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下が特に好ましい。なお、発泡体の連続気泡率の調整は、型内発泡成形法を用いて発泡体を製造する場合、合成樹脂粒子を製造する際の押出発泡温度や押出機に供給する発泡剤量を調整することによって行うことができる。
ここで、発泡体の連続気泡率はASTM D−2856に記載の測定方法に準拠して下記の要領で測定される。先ず、発泡体の見掛け上の体積を測って見掛け体積A(cm3)とする。次に、発泡体の実際試料体積B(cm3)を体積測定空気比較式比重計を用いて1−1/2−1気圧法により測定する。なお、体積測定空気比較式比重計は、例えば、東京サイエンス社から商品名「1000型」にて市販されている。
そして、発泡体の見掛け体積A(cm3)と発泡体の実際試料体積B(cm3)に基づいて下記式により発泡体の連続気泡率を算出することができる。
連続気泡率(%)=100×(A−B)/A
繊維強化材を構成している繊維としては、特に限定されず、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、金属繊維などが挙げられ、優れた機械的強度及び耐熱性を有していることから、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましく、炭素繊維がより好ましい。
繊維強化材の形態としては、特に限定されず、例えば、織物、編物、不織布、繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)をポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂などの合成樹脂糸又はガラス繊維糸などのステッチ糸で結束(縫合)してなる面材などが挙げられる。織物の織り方としては、平織、綾織、朱子織などが挙げられる。
繊維強化材は、(1)織物、編物又は不織布を含む面材同士又はこれらの面材を任意の組み合わせで複数枚、積層してなる多層面材、(2)繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)をポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂などの合成樹脂糸又はガラス繊維糸などのステッチ糸で結束(縫合)してなる複数枚の面材を繊維束の繊維方向が互いに相違した方向を指向するように重ね合わせ、重ね合わせた面材同士をポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂などの合成樹脂糸又はガラス繊維糸などのステッチ糸で一体化(縫合)してなる多層面材であってもよい。
上記(1)の多層面材において、織物を複数枚、積層してなる多層面材の場合、各織物を構成している経糸(緯糸)の長さ方向が織物の平面方向からみて放射状に配列されていることが好ましい。具体的には、図1及び図2に示したように、各織物を構成している経糸(緯糸)の長さ方向をそれぞれ1a、1b・・・としたとき、これら経糸(緯糸)の長さ方向1a、1b・・・が放射状に配列されていることが好ましく、経糸(緯糸)の長さ方向1a、1b・・・のうちの任意の経糸(緯糸)の長さ方向1aを特定したとき、特定の経糸(緯糸)の長さ方向1aを中心にして他の経糸(緯糸)の長さ方向1b、1c・・・が線対称となるように配列していることがより好ましい。
また、各織物を構成している経糸(緯糸)の長さ方向1a、1b・・・同士の交差角度は、繊維強化材の強度が一方向に偏らず任意の方向において略同一の機械的強度を付与することができるので、織物を二枚重ね合わせる場合には90°が好ましく、織物を三枚以上重ね合わせる場合には45°が好ましい。
上記(2)の多層面材において、各面材を構成している繊維束の繊維の長さ方向が面材の平面方向からみて放射状に配列されていることが好ましい。具体的には、図1及び図2に示したように、各面材を構成している繊維束の繊維の長さ方向をそれぞれ1a、1b・・・としたとき、これら繊維の長さ方向1a、1b・・・が放射状に配列されていることが好ましく、繊維の長さ方向1a、1b・・・のうちの任意の長さ方向1aを特定したとき、特定の長さ方向1aを中心にして線対称となるように他の長さ方向1b、1c・・・が配列していることがより好ましい。
また、各面材を構成している繊維束の繊維の長さ方向1a、1b・・・同士の交差角度は、繊維強化材の強度が一方向に偏らず任意の方向において略同一の機械的強度を付与することができることから、面材を二枚重ね合わせる場合には90°が好ましく、面材を三枚以上重ね合わせる場合には45°が好ましい。
繊維強化材には未硬化の熱硬化性樹脂が含浸されている。熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂を予備重合した樹脂などが挙げられ、耐熱性、弾性率及び耐薬品性に優れていることから、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂には、硬化剤、硬化促進剤などの添加剤が含有されていてもよい。なお、熱硬化性樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
繊維強化材中における熱硬化性樹脂の含有量は、少ないと、繊維強化材を構成している繊維同士の結合が弱くなり又は繊維強化材と発泡体との接着が不十分となって、得られる繊維強化複合体の機械的強度が低下することがあり、多いと、繊維強化材を構成している繊維間に存在する熱硬化性樹脂の量が多くなりすぎ、かえって繊維強化材の機械的強度が低下し、得られる繊維強化複合体の機械的強度が低下することがあるので、20〜70重量%が好ましく、30〜60重量%がより好ましい。
繊維強化材中に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させる方法としては、特に限定されず、例えば、(1)繊維強化材を熱硬化性樹脂中に浸漬して繊維強化材中に熱硬化性樹脂を含浸させる方法、(2)繊維強化材に熱硬化性樹脂を塗布し、繊維強化材に熱硬化性樹脂を含浸させる方法などが挙げられる。
なお、熱硬化性樹脂を含浸した繊維強化材及び繊維強化材は市販されているものを用いることができる。熱硬化性樹脂を含浸した繊維強化材は、例えば、三菱レイヨン社から商品名「パイロフィルプリプレグ」にて市販されている。繊維強化材は、例えば、三菱レイヨン社から商品名「パイロフィル」にて市販されている。
熱硬化性樹脂を含浸させた後の繊維強化材の厚みは、薄いと、繊維強化複合体の機械的強度が不十分となることがあり、厚いと、繊維量が増加して繊維強化複合体の軽量性が低下することがあるので、0.02〜2mmが好ましく、0.05〜1mmがより好ましい。
熱硬化性樹脂を含浸させた後の繊維強化材の目付は、小さいと、繊維強化複合体の機械的強度が低下することがあり、大きいと、繊維強化複合体の軽量性が低下することがあるので、50〜4000g/m2が好ましく、100〜1000g/m2がより好ましい。
図3に示したように、発泡体2の表面に、未硬化の熱硬化性樹脂が含浸された繊維強化材3を積層して積層体を形成する。なお、図3では、発泡体2として板状の型内発泡成形体を用い、この板状の型内発泡成形体2の両面に未硬化の熱硬化性樹脂が含浸された繊維強化材3、3を積層して積層体4を形成している。
更に、図3に示したように、積層体4の繊維強化材3上にリリースフィルム6を介してブリーザークロス7を積層する。図3では積層体4の上面に積層されたブリーザークロス7が積層体4の側面も覆うように積層体4の繊維強化材3上にリリースフィルム6を介して積層されている。ブリーザークロス7は積層体4の上面に、この積層体4の両側面を覆うように積層することが好ましく、積層体4を全面的に覆うように積層することがより好ましい。このようにブリーザークロス7を積層することによって、発泡体2の両面に積層された繊維強化材3中の余分な熱硬化性樹脂を一枚のブリーザークロス7によって吸収、除去することができる。なお、図3では、一方の繊維強化材3上にのみリリースフィルム6を介してブリーザークロス7を積層した場合を示したが、両方の繊維強化材3上にリリースフィルム6を介してブリーザークロス7を積層してもよい。又、ブリーザークロス7は積層体4の側面を必ずしも覆う必要はない。
上記リリースフィルム6は、繊維強化材3に対して容易に剥離可能に構成されている。リリースフィルム6は、合成樹脂フィルムから構成されており、表裏面間に亘って貫通する貫通孔が形成されていてもいなくてもよいが、繊維強化材3中に含浸させている余分な熱硬化性樹脂を円滑にブリーザークロス7に吸収させることができるので、貫通孔が形成されていることが好ましい。
リリースフィルム6に貫通孔が形成されていない場合、繊維強化材3中に含浸させている余分な熱硬化性樹脂は、リリースフィルム6の外方を通じてブリーザークロス7に吸収される。
リリースフィルム6にその表裏面間に亘って貫通する貫通孔が多数、形成されている場合、リリースフィルム6の貫通孔を通じて繊維強化材3中に含浸させていた余分な熱硬化性樹脂をブリーザークロス7に吸収させることができる。リリースフィルム6を構成している合成樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(4フッ化エチレン−エチレン共重合体)などのフッ素系樹脂などが挙げられる。
上記ブリーザークロス7は、繊維強化材3中に含浸させていた余分な熱硬化性樹脂を吸収するために用いられ、積層体4の加熱、加圧時に変形、変質しないものであればよく、不織布が挙げられる。不織布としては、例えば、ナイロン繊維などのアミド樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維などからなる不織布、ガラスクロスなどが挙げられる。
次に、積層体4を型8上に載置し、積層体4上にバギングフィルム5を被せてバギングフィルム5によって積層体4を密封する。なお、積層体4上へのリリースフィルム6及びブリーザークロス7の積層作業は、型8上で行ってもよいし、積層体4を型8上に載置する前に行ってもよい。バギングフィルム5は、積層体4を密封し、積層体4全体を真空引きするためのフィルムである。バギングフィルム5を構成している合成樹脂としては、ナイロンなどのアミド樹脂が挙げられる。バギングフィルム5の外周縁部の全周と型8との対向間には封止材9を介在させて気密性を確保する。なお、バギングフィルム5内の型8上において、発泡体2の表面に、未硬化の熱硬化性樹脂が含浸された繊維強化材3、3を積層して積層体4を形成してもよい。型8における積層体4の載置面は、得られた繊維強化複合体の繊維強化材を容易に剥離することができるように離型処理81が施されている。
図3では、積層体4を型8上に載置し、積層体4上にバギングフィルム5を被せて積層体4をバギングフィルム5で密封した場合を説明したが、バギングフィルム5を袋状に形成し、袋状のバギングフィルム5内に積層体4を収納してバギングフィルム5によって積層体4を密封してもよい。
しかる後、バギングフィルム5で密封された空間部10内を排気することによって空間部10内を減圧する。空間部10内の真空度は、小さいと、繊維強化材中に存在している空気の排除が不十分となることがあり、得られた繊維強化複合体の繊維強化材中にボイドが発生して繊維強化複合体の機械的強度が低下することがあり、大きいと、繊維強化材中に含浸させた熱硬化性樹脂も吸引されてしまい、繊維強化材中の熱硬化性樹脂の含有量が少なくなって繊維強化材の機械的強度が低下し、得られる繊維強化複合体の機械的強度が低下することがあるので、0.08〜0.14MPaが好ましく、0.10〜0.12MPaがより好ましい。
次に、バギングフィルムで密封された空間部10内の減圧後又は減圧の開始と同時に空間部10内の積層体4を加熱して、繊維強化材3中の熱硬化性樹脂を軟化させる。熱硬化性樹脂が軟化した後、積層体を加圧すると共に上記加熱を継続する。なお、積層体4の加熱及び加圧中において空間部10内の減圧状態は維持されている。
積層体4への加圧度(圧力)は、小さいと、繊維強化材中に存在する空気の排除が不十分となり、繊維強化材中にボイドが発生して繊維強化材の機械的強度が低下し、若しくは、繊維強化材中の熱硬化性樹脂を繊維強化材の全体に良好になじませることができないために繊維強化材を構成している繊維同士を良好に一体化させることができず、得られる繊維強化複合体の機械的強度が低下し、又は、繊維強化材と発泡体との一体化が不十分となって得られる繊維強化複合体の機械的強度が低下することがあり、大きいと、発泡体が変形する虞れがあるので、0.05〜1.5MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
又、積層体4への加圧は、発泡体の圧縮変形率が25%以下となるように調整することが好ましく、20%以下となるように調整することがより好ましい。これは、発泡体の変形量が大きくなると、得られる繊維強化複合体の密度が大きくなり、軽量性が低下し、更に、繊維強化複合体の表面に凹凸が形成されて外観が低下することがあるからである。
発泡体の圧縮変形率は、積層体を加熱及び加圧する前の発泡体の厚みT1と、得られた繊維強化複合体の発泡体の厚みT2を任意の点10箇所にてそれぞれ測定し、下記式に基づいて各測定箇所における発泡体の圧縮変形率を算出し、各測定箇所での圧縮変形率の相加平均値を発泡体の圧縮変形率とする。
なお、発泡体の厚みT1とは、積層体の載置面に対して平行な一対の上下仮想面を想定し、発泡体を上下方向から上下仮想面でそれぞれの仮想面が発泡体に接した状態となるように挟んだ状態において、上下仮想面間の距離が最大となった距離をいう。又、発泡体の厚みT2とは、繊維強化複合体において、発泡体の厚みT1を測定した発泡体部分の寸法をいう。
発泡体の圧縮変形率(%)
=100×(│T1(mm)│−│T2(mm)│)/│T1(mm)│
この積層体4の加圧によって、繊維強化材中の空気をより確実に排除して、繊維強化材中にボイドが生成されるのを防止することができると共に繊維同士の密着性を向上させ、更に、繊維強化材を発泡体の表面に沿って変形させつつ、繊維強化材を発泡体の表面に押圧させて、繊維強化材を発泡体の表面に全面的に密着した状態に積層させることができる。特に、発泡体の表面に角部や凹凸部が形成されている場合にも、繊維強化材を発泡体の表面に沿って変形させつつ、繊維強化材を発泡体の表面に押圧させて、繊維強化材を発泡体の表面に全面的に密着した状態に積層させることができる。更に、繊維強化材が発泡体の表面に沿って密着された状態に積層された状態において、繊維強化材と発泡体の表面との界面に存在していた空気は略完全に排除されており、繊維強化材は発泡体の表面に良好に密着した状態となっている。
加えて、積層体4を加圧することによって、繊維強化材中に含浸させた熱硬化性樹脂を繊維全体になじませて繊維同士を必要最小限の量の熱硬化性樹脂で確実に結着することができる。このように、必要最小限の量の熱硬化性樹脂によって繊維同士を結着することができるので、繊維間に余分な熱硬化性樹脂が存在することはなく、繊維を高度に配向させた状態とすることができ、繊維強化材の機械的強度の向上を図ることができると共に、繊維強化材の外観も優れたものとなる。
又、繊維強化材が多層面材である場合には、加圧によって互いに重ね合わせられている面材同士を強固に一体化することができ、得られる繊維強化複合体は機械的強度に優れている。
一方、積層体4を加圧することによって繊維強化材中に含浸されている余分な熱硬化性樹脂が繊維強化材の表面に浮き出してくることがあるが、このような場合には、リリースフィルム6の外方を通じて、又は、リリースフィルム6に形成された貫通孔を通じて余分な熱硬化性樹脂がブリーザークロス7に吸収され、得られる繊維強化複合体の繊維強化材の表面は余分な熱硬化性樹脂は存在せず優れた外観性を有している。ブリーザークロス7が積層体4の側面を被覆している場合には、積層体4からこの積層体4の側面を被覆しているブリーザークロス7の方向に、バギングフィルム5で密封された空間部10内を排気することによって、発泡体2の両面に積層した繊維強化材3、3中の余分な熱硬化性樹脂をブリーザークロス7によって確実に吸収、除去することができる。
上述のように積層体を加圧した状態において積層体の加熱を継続しており、この加熱によって積層体の繊維強化材中に含浸させている熱硬化性樹脂を硬化させる。なお、熱硬化性樹脂の軟化後において、積層体の加熱温度は同一であってもよいし変化させてもよいが、熱硬化性樹脂の硬化を促進するために積層体の加熱温度を上昇させることが好ましい。
上記熱硬化性樹脂の硬化によって繊維強化材の繊維同士は結着、固定されると共に繊維強化材は発泡体の表面に沿って変形した状態にて発泡体の表面に熱硬化性樹脂によって積層一体化されて繊維強化複合体Aを得ることができる。
次に、繊維強化複合体を冷却すると共に繊維強化複合体に加えている加圧力を解除した後、空間部10内の減圧を解除した上で空間部10を開放して繊維強化複合体Aを取り出せばよい。
得られた繊維強化複合体Aは、図4に示したように、硬化した熱硬化性樹脂によって繊維同士が結着され且つ固化された繊維強化材3が発泡体2の表面に沿って密着した状態に積層一体化されている。
このようにして得られた繊維強化複合体は、発泡体の表面に、硬化した熱硬化性樹脂で繊維同士が強固に結着されてなる繊維強化材が強固に積層一体化されており、優れた機械的強度を有していると共に、一部に発泡体を有していることから軽量性にも優れている。
更に、製造工程中に繊維強化材を加圧することによって繊維強化材中に熱硬化性樹脂が全面的になじんだ状態となっていると共に余分な熱硬化性樹脂はブリーザークロスに吸収、除去されているので、得られる繊維強化複合体はその外観が優れている。
本発明の繊維強化複合体の製造方法は、製造工程中において、積層体の繊維強化材を加圧していることから、繊維強化材中に存在している空気を繊維強化材中から確実に除去することができると共に、繊維強化材中に含浸されている熱硬化性樹脂を繊維強化材の全体になじませることができるので、繊維同士を必要最小限の量の熱硬化性樹脂によって全体的に互いに密着させた状態に結着させることができ、得られる繊維強化複合体の繊維強化材は優れた機械的強度を有していると共に、繊維強化材は発泡体の表面に沿って強固に一体化されており、よって、得られる繊維強化複合体は優れた機械的強度を有していると共に外観性にも優れている。
上記繊維強化複合体の製造方法において、発泡体が熱可塑性ポリエステル樹脂を含む場合には、発泡体は優れた耐熱性を有しており、製造工程中に発泡体が変形するようなことはなく、積層体に加えられた圧力を発泡体が十分に受止することができ、発泡体の表面に積層した繊維強化材に十分に圧力を加えて、上述の如く、優れた機械的強度及び外観性に優れた繊維強化複合体をより容易に製造することができる。
上記繊維強化複合体の製造方法において、バギングフィルム内の真空度が0.08〜0.14MPaである場合には、繊維強化材中、及び、繊維強化材と発泡体との界面に存在する空気を効率良く除去することができ、優れた機械的強度及び外観性に優れた繊維強化複合体をより容易に製造することができる。
上記繊維強化複合体の製造方法において、繊維強化材上に、リリースフィルムを介してブリーザークロスを積層している場合には、繊維強化材中に含浸された余分な熱硬化性樹脂をブリーザークロスに吸収、除去することができる。従って、繊維強化材に過剰とならないようにしながら必要量の熱硬化性樹脂を含浸させ、繊維強化材の繊維同士を繊維が高度に配向した状態に熱硬化性樹脂によって結着させることができ、よって、得られる繊維強化複合体は優れた機械的強度を有していると共に、繊維強化材の表面には余分な熱硬化性樹脂が残存していないので、得られる繊維強化複合体は優れた外観を有している。
上記繊維強化複合体の製造方法において、発泡体の圧縮変形率が25%以下となるように積層体を加圧する場合には、発泡体の変形を少なくしながら、発泡体の表面に繊維強化材を強固に積層一体化することができ、更に機械的強度の優れた繊維強化複合体を製造することができる。
繊維強化材を構成している繊維の配向性を示した図である。 繊維強化材を構成している繊維の配向性を示した図である。 本発明の繊維強化複合体の製造要領を示した模式断面図である。 繊維強化複合体を示した断面図である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本実施例に何ら限定されるものでない。
(実施例1〜8)
型8としてアルミニウム板を用意し、このアルミニウム板の上面に離型剤(ケムリースジャパン社製 商品名「ケムリース2166」)を塗布して一日放置し、アルミニウム板の上面に離型処理81を施した。
炭素繊維からなる綾織の織物から形成された厚みが0.3mmの繊維強化材(三菱レイヨン社製 商品名「TR3523 331KMP」、目付:200g/m2)を4枚、用意した。繊維強化材は、縦10cm×横30cmの平面長方形状であった。繊維強化材には、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が50重量%含有されていた。
4枚の繊維強化材をそれらの経糸の長さ方向1a〜1dが、図2のように、任意の経糸の長さ方向1aを特定したときに、この特定の経糸の長さ方向1aを中心にしてその他の経糸の長さ方向1b〜1dが線対称となるように配設され且つ互いに隣接する経糸の長さ方向同士の交差角度が45°となるように重ね合わせた。
型内発泡成形法によって成形された縦10cm×横30cm×高さ3cmの直方体形状の芳香族ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート)発泡体を用意した。なお、芳香族ポリエステル樹脂発泡体の密度、発泡倍率、結晶化度及び連続気泡率は表1に示した通りであった。
次に、アルミニウム板8の離型処理面81上に、重ね合わせた4枚の繊維強化材3を載置し、これらの繊維強化材3上に芳香族ポリエステル樹脂発泡体を載置した。
上記とは別に、上記と同一の繊維強化材を4枚用意し、4枚の繊維強化材を上記と同様の要領で重ね合わせた。これらの重ね合わせた4枚の繊維強化材3を芳香族ポリエステル樹脂発泡体上に載置して積層体4を作製した。
しかる後、積層体4の上側の繊維強化材3上に、この繊維強化材を全面的に被覆するように、貫通孔を有するリリースフィルム6(AIRTECH社製 商品名「WL5200B−P」)及びブリーザークロス7(AIRTECH社製 商品名「AIRWEAVE N4」)を順に積層した。ブリーザークロス7は積層体4の両側面(図3における左右側面)も被覆していた。リリースフィルムは、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体フィルムから形成され、両面間に亘って貫通し且つ繊維強化材中の熱硬化性樹脂が通過可能な貫通孔が多数、形成されていた。ブリーザークロスは、ポリエステル樹脂繊維から構成された不織布から形成されており、熱硬化性樹脂を含浸可能に構成されていた。
積層体4上にバギングフィルム5(AIRTECH社製 商品名「WL7400」)を被せ、バギングフィルム5の外周縁部とこれに対向するアルミニウム板との間を封止材9としてシーラントテープ(AIRTECH社製 商品名「GS43MR」)を用いて気密的に接合して積層体4をバギングフィルム5によって密封した。バギングフィルム5は、ナイロンフィルムから構成されていた。バギングフィルム5の一部にバックバルブ11(AIRTECH社製 商品名「VAC VALVE 402A」)を配置して積層構造体を作製した。
次に、上記積層構造体を加熱硬化試験用オートクレーブ(羽生田鉄工所社製 商品名「DL−2010」)内に供給し、積層構造体のバックバルブ11を真空ラインと接続し、バギングフィルム5で密封された空間部10内を積層体4からこの積層体4の側面を被覆しているブリーザークロス7の方向に排気して真空度0.10MPaに減圧した。なお、空間部10の減圧はその後も継続して行った。
しかる後、オートクレーブ内を昇温速度4℃/分にて90℃となるまで昇温して積層体4を加熱し、オートクレーブ内を90℃に90分間に亘って加熱して繊維強化材中の熱硬化性樹脂を軟化させて繊維強化材を芳香族ポリエステル樹脂発泡体の表面に沿って変形させると共に、繊維強化材中に存在している空気を吸引、除去した。
次に、オートクレーブ内を表1に示したゲージ圧力に加圧して積層体4に押圧力を加えると共に、オートクレーブ内を昇温速度4℃/分にて130℃となるまで昇温して積層体4を加熱して、オートクレーブ内を130℃にて60分間に亘って加熱して繊維強化材中の熱硬化性樹脂を硬化させると共に、繊維強化材3、3を芳香族ポリエステル樹脂発泡体2の両面に積層一体化させて繊維強化複合体を得た。なお、積層体4への加圧によって繊維強化材3、3中の余分な熱硬化性樹脂はリリースフィルム6の貫通孔及び外方を通じてブリーザークロス7に吸収されていた。
オートクレーブ内を冷却してオートクレーブ内が60℃となった時点でオートクレーブ内の加圧を解除して大気圧に戻して繊維強化複合体を取り出した。芳香族ポリエステル樹脂発泡体の圧縮変形率は表1に示した通りであった。
(比較例1)
空間部10内の真空度を0.01MPaとしたこと、オートクレーブ内のゲージ圧力を0MPaとして積層体を加圧しなかったこと以外は実施例1と同様にして繊維強化複合体を得た。
(比較例2)
空間部10内の真空度を0.01MPaとしたこと、オートクレーブ内のゲージ圧力を0MPaとして積層体を加圧しなかったこと以外は実施例4と同様にして繊維強化複合体を得た。
(比較例3)
空間部10内の真空度を0.01MPaとしたこと、オートクレーブ内のゲージ圧力を0MPaとして積層体を加圧しなかったこと以外は実施例6と同様にして繊維強化複合体を得た。
得られた繊維強化複合体の外観性及び機械的強度を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
(外観性)
繊維強化複合体の外観を目視観察して下記の基準に基づいて評価を行った。繊維強化複合体の繊維強化材表面の凹部とは、発泡体の不均一な収縮によって、1.0mm以上陥没している部分とした。
○・・・繊維強化複合体の繊維強化材表面に凹部が無く、外観が美麗であった。
△・・・繊維強化複合体の繊維強化材表面に凹部は無いものの、発泡体の不均一な収縮に
よる紋様が確認された。
×・・・発泡体の不均一な収縮に起因して、繊維強化複合体の繊維強化材表面に凹部が確
認された。
(機械的強度)
繊維強化複合体上に、直径63mm、重量1000gの鉄球を高さ50cmの位置から自然落下させた後、繊維強化複合体の表面を目視観察して下記基準に基づいて評価を行った。
○・・・繊維強化複合体表面に鉄球の落下による繊維の破断及び亀裂が見られなかった。
×・・・鉄球の落下によって繊維の破断又は亀裂が確認された。
Figure 2013188953
2 発泡体
3 繊維強化材
4 積層体
5 バギングフィルム
6 リリースフィルム
7 ブリーザークロス
8 型
9 封止材
10 空間部
A 繊維強化複合体

Claims (5)

  1. 発泡体の表面に未硬化の熱硬化性樹脂が含浸された繊維強化材が積層されてなる積層体をバギングフィルムによって密封し、上記バギングフィルムで密封された空間部内を排気することによって上記空間部内を減圧後又は減圧と同時に、上記積層体を加圧すると共に上記積層体を加熱して、上記繊維強化材を上記発泡体の表面に沿って変形させると共に上記繊維強化材中の上記熱硬化性樹脂を硬化させて上記繊維強化材を上記発泡体に積層一体化させることを特徴とする繊維強化複合体の製造方法。
  2. 発泡体が熱可塑性ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合体の製造方法。
  3. バギングフィルム内の真空度が0.08〜0.14MPaであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の繊維強化複合体の製造方法。
  4. 繊維強化材上に、リリースフィルムを介してブリーザークロスを積層していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の繊維強化複合体の製造方法。
  5. 積層体を0.05〜1.5MPaの圧力で加圧することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の繊維強化複合体の製造方法。
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