JP2014208418A - 繊維強化複合体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐衝撃性を有する繊維強化複合体及びその製造方法を提供する。【解決手段】 コア発泡層と、上記コア発泡層の両面に形成されてなる表面層とを含む発泡体、及び少なくとも一方の上記表面層に積層一体化されてなる繊維強化プラスチック層を有する繊維強化複合体であって、上記表面層のうち上記繊維強化プラスチック層が積層一体化されている表面層は、表面発泡層として形成されてなり、上記コア発泡層に含まれている気泡の平均アスペクト比が0.65〜1であり、且つ、上記表面発泡層に含まれている気泡の平均アスペクト比が0.5〜0.8であることを特徴とする繊維強化複合体。【選択図】図1

Description

本発明は、優れた耐衝撃性を有する繊維強化複合体及びその製造方法に関する。
炭素繊維やガラス繊維などの強化繊維によりプラスチックを強化させた繊維強化プラスチック(FRP)が知られている。近年、FRPは、軽量で且つ優れた剛性を有していることから、航空機、自動車、船舶、及び建築物などの様々な分野において、欠かせない構成部材となっている。
航空機、自動車、及び船舶などの乗り物には、地球環境への負荷低減のために燃費向上が必要とされており、そのためFRPにも更なる軽量化が求められている。そこで、発泡体からなる芯材の少なくとも一面に、FRPをスキン材として積層一体化させた繊維強化複合体が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。このように発泡体を用いることによって、FRPを薄くすることができ、大型でありながら軽量で剛性にも優れている繊維強化複合体を提供することが可能となる。
特開2007−144919号公報 特開2005−313613号公報
繊維強化複合体には、優れた耐衝撃性を有していることも求められている。繊維強化複合体の耐衝撃性を確保するためには、繊維強化複合体に外部からの衝撃が負荷された際に、繊維強化複合体が発泡体の弾性によって衝撃エネルギーを吸収できると共に、FRPの剛性によって変形を抑制して一定の形状を維持できることが必要とされている。
しかしながら、従来の繊維強化複合体では、発泡体が柔軟であるため、繊維強化複合体に強い衝撃が負荷された際にFRPが容易に変形して応力集中部が発生し、この応力集中部が起点となってFRPが破壊して、繊維強化複合体が変形する場合があった。そのため、従来の繊維強化複合体の耐衝撃性は十分ではなく改善が望まれている。
したがって、本発明は、優れた耐衝撃性を有する繊維強化複合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の繊維強化複合体は、コア発泡層と、上記コア発泡層の両面に形成されてなる表面層とを含む発泡体、及び少なくとも一方の上記表面層に積層一体化されてなる繊維強化プラスチック層を有する繊維強化複合体であって、
上記表面層のうち上記繊維強化プラスチック層が積層一体化されている表面層は、上記コア発泡層より硬質な表面発泡層として形成されてなり、
上記コア発泡層に含まれている気泡の平均アスペクト比(Ac)が0.65〜1であり、且つ、上記表面発泡層に含まれている気泡の平均アスペクト比(As)が0.5〜0.8であることを特徴とする。
また、本発明の繊維強化複合体の製造方法は、発泡体の少なくとも一方の面に、強化用合成樹脂が含浸されている強化繊維を含む繊維強化プラスチック層形成材が積層された積層体を、上記強化用合成樹脂のガラス転移温度より20℃低い温度以上で且つ上記強化用合成樹脂のガラス転移温度より60℃高い温度以下で加熱しながら、上記発泡体の圧縮変形率が1〜45%となるように圧縮する圧縮工程を有することを特徴とする。
本発明の繊維強化複合体は、芯材となる発泡体が上述したコア発泡層及び表面発泡層を有していることによって、優れた耐衝撃性を発揮することができる。
本発明の繊維強化複合体を示した縦断面図である。 本発明の繊維強化複合体の製造要領を示した断面図である。 合成樹脂発泡粒子の製造装置の一例を示した模式断面図である。 マルチノズル金型を正面から見た模式図である。
本発明の繊維強化複合体Aの模式断面図を図1に示す。本発明の繊維強化複合体Aは、発泡体1と、この発泡体1の両面に積層一体化されてなる繊維強化プラスチック層2とを有する。発泡体1において、発泡体1の表面と、この発泡体1の表面に対して直交する方向に、この方向における発泡体1の厚みTに対して2.5%の寸法だけ入った部分との間にある部分を表面層1b、1cとする。また、発泡体1において、表面層1b、1cを除いた残余部分をコア発泡層1aとする。図1において、発泡体1の表面に対して直交する方向に、この方向における発泡体1の厚みTに対して2.5%の寸法だけ入った部分を結んだ部分を仮想線L、Lで示した。そして、表面層1b、1cのうち、繊維強化プラスチック層2が積層一体化されている表面層は、表面発泡層として形成されている。
発泡体においてコア発泡層は、適度な弾性を発揮し、これにより繊維強化複合体に衝撃が加わった際にコア発泡層が衝撃エネルギーを吸収する役割を有する。また、発泡体において表面発泡層はコア発泡層より硬質な層であり、このような表面発泡層上に繊維強化プラスチック層を積層一体化させることによって、繊維強化複合体に衝撃が加わった際に、表面発泡層が繊維強化プラスチック層を支持して、繊維強化プラスチック層が変形して応力集中が発生することを高く低減する役割を有する。
したがって、発泡体が上述したコア発泡層及びこのコア層より硬質な表面発泡層を含んでいることによって、優れた衝撃エネルギー吸収性を発揮できると共に繊維強化プラスチック層の変形による破壊を高く低減することができ、耐衝撃性が向上された繊維強化複合体を提供することが可能となる。なお、本発明の効果が得られるメカニズムは明らかではなく、上記メカニズムは本発明者等の仮説である。以下、本発明の繊維強化複合体について順を追って説明する。
[発泡体]
本発明の繊維強化複合体を構成している発泡体は、合成樹脂を含んでいる。合成樹脂は、シアノ基、ヒドロキシ基(水酸基)、カルボニル基、アミノ基、エポキシ基、ハロゲン原子、オキソ基、及びフェニル基などの極性基を有していることが好ましい。極性基を有している合成樹脂を用いることによって、これを含む発泡体と繊維強化プラスチック層とを強固に一体化させることができる。これにより、繊維強化複合体に衝撃が加わった際に発泡体と繊維強化プラスチック層との剥離を低減させて、繊維強化複合体の耐衝撃性をより向上させることが可能となる。
発泡体に用いられる合成樹脂として、具体的には、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリスチレン系樹脂、及びポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。なお、合成樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、発泡体と繊維強化プラスチック層とをより強固に一体化することができることから、熱可塑性ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂が好ましく、アクリル樹脂がより好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸と二価アルコールとが、縮合反応を行った結果得られた高分子量の線状ポリエステルである。熱可塑性ポリエステル樹脂のなかでも、芳香族ポリエステル樹脂が好ましい。
芳香族ポリエステル樹脂とは、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とを含むポリエステルであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどが挙げられ、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。なお、芳香族ポリエステル樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なお、芳香族ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分及びジオール成分以外に、例えば、トリメリット酸などのトリカルボン酸、ピロメリット酸などのテトラカルボン酸などの三価以上の多価カルボン酸やその無水物、グリセリンなどのトリオール、ペンタエリスリトールなどのテトラオールなどの三価以上の多価アルコールなどを構成成分として含有していてもよい。
ポリエチレンテレフタレートは架橋剤によって架橋されていてもよい。架橋剤としては、公知のものが用いられ、例えば、無水ピロメリット酸などの酸二無水物、多官能エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物などが挙げられる。なお、架橋剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
(コア発泡層)
発泡体は、コア発泡層と、このコア発泡層の両面に形成されてなる表面層とを含んでいる。
コア発泡層中に含まれている気泡の平均アスペクト比(Ac)は、0.65〜1に限定されるが、0.7〜1が好ましく、0.75〜1がより好ましい。平均アスペクト比が上記範囲内である気泡を含むコア発泡層は、適度な弾性及び硬度を有しており、これにより繊維強化複合体に衝撃が加わった際に、衝撃エネルギーをコア発泡層の面方向に拡散させながら吸収することが可能となる。
なお、本発明において、コア発泡層、及び表面層(表面発泡層)に含まれている気泡のアスペクト比は、次の通りにして測定することができる。まず、繊維強化複合体をその厚み方向に切断し、切断面を走査型電子顕微鏡を用いて200倍で撮影する。次に、これにより得られた撮影像において、図1に示すように、発泡体1において、発泡体1の表面と、この発泡体1の表面に対して直交する方向に、この方向における発泡体1の厚みTに対して2.5%の寸法だけ入った部分との間にある部分を表面層1b、1cとする。また、発泡体1において、表面層1b、1cを除いた残余部分をコア発泡層1aとする。図1において、発泡体1の表面に対して直交する方向に、この方向における発泡体1の厚みTに対して2.5%の寸法だけ入った部分を結んだ部分を仮想線点線L、Lで示した。そして、表面層1b、1cのうち繊維強化プラスチック層2が積層一体化されている表面層は、表面発泡層とする。
次に、コア発泡層1a及び表面層(表面発泡層)1b、1cにそれぞれ含まれている30個の気泡についてアスペクト比を測定し、その相加平均値を平均アスペクト比とする。なお、アスペクト比は、気泡断面の長径及び短径を測定し、短径を長径で除することにより得られた値とする。そして、気泡断面の外側輪郭線上において相互の距離が最大となる任意の2点を選び、この2点間の距離を「気泡の長径」とする。また、この気泡の長径に対して直交する直線と気泡断面の外側輪郭線とが交わる任意の2点のうち相互の距離が最大となる任意の2点を選び、この2点間の距離を「気泡の短径」とする。
なお、発泡体1表面において断面が露出している気泡が存在している場合、このような気泡はアスペクト比の測定対象から除外する。例えば、発泡体1から未発泡の表皮を切断除去した場合などは、発泡体表面に断面が露出している気泡が存在している可能性がある。また、仮想線L2に跨がって存在している気泡もアスペクト比の測定対象から除外する。
コア発泡層に含まれている気泡の平均長径は、0.05〜0.8mmが好ましく、0.08〜0.7mmがより好ましい。気泡の平均長径が短過ぎるコア発泡層では硬度が高過ぎ、そのためコア発泡層が衝撃エネルギーを十分に吸収することができない虞れがある。また、気泡の平均長径が長過ぎるコア発泡層では柔軟になり過ぎ、そのため繊維強化複合体に強い衝撃が負荷された際に繊維強化プラスチック層が容易に変形して破壊する虞れがある。
なお、コア発泡層及び表面層(表面発泡層)に含まれている気泡の平均長径は、上述の通りにして、コア発泡層及び表面層(表面発泡層)にそれぞれ含まれている30個の気泡について長径を測定し、その相加平均値を算出することにより求めることができる。
コア発泡層の見掛け密度は、0.01〜0.9g/cm3が好ましく、0.02〜0.7g/cm3がより好ましい。コア発泡層の見掛け密度が低過ぎると、繊維強化複合体に強い衝撃が負荷された際に、コア発泡層に含まれている気泡の座屈によって、コア発泡層に応力集中部が発生し、これにより繊維強化プラスチック層が容易に変形して破壊する虞れがある。また、見掛け密度が高過ぎるコア発泡層では、硬度が高過ぎて、衝撃エネルギーを十分に吸収することができない虞れがある。
なお、本発明において、コア発泡層及び後述する表面発泡層(表面層)の見掛け密度は、発泡体からコア発泡層又は表面発泡層(表面層)のみを切り出し、コア発泡層又は表面発泡層(表面層)についてJIS K7222に準拠して測定された値とする。
コア発泡層のデュロメータ硬度は、5〜35が好ましく、10〜35がより好ましい。コア発泡層のデュロメータ硬度が低過ぎると、繊維強化複合体に強い衝撃が負荷された際に、コア発泡層に含まれている気泡の座屈によって、コア発泡層に応力集中部が発生し、これにより繊維強化プラスチック層が容易に変形して破壊する虞れがある。また、デュロメータ硬度が高過ぎるコア発泡層では、衝撃エネルギーを十分に吸収することができない虞れがある。
なお、コア発泡層及び後述する表面発泡層(表面層)のデュロメータ硬度は、JIS K6253に準拠して、荷重1kgfで加圧してから5秒後に測定された値とする。そして、発泡体からコア発泡層又は表面発泡層(表面層)のみを切り出し、コア発泡層又は表面発泡層(表面層)についてデュロメータ硬度を30箇所測定し、その相加平均値をコア発泡層又は表面発泡層(表面層)のデュロメータ硬度とする。デュロメータ硬度の測定は、硬度計(例えば、テクロック社製 商品名「HARDNESS TESTER GS−720N TYPE D」など)を用いて行うことができる。
(表面発泡層)
上述したコア発泡層の厚み方向における上下面のそれぞれに表面層が形成される。そして、表面層のうち、繊維強化プラスチック層が積層一体化されている表面層は、表面発泡層は、表面発泡層として形成される。このようにコア発泡層と繊維強化プラスチック層との間に表面発泡層を介在させることによって、表面発泡層が繊維強化プラスチック層を支持して、繊維強化プラスチック層の変形による破壊を低減することができる。
表面発泡層1b、1cは、図1に示すように、コア発泡層1aの両面に形成されている必要はなく、発泡体において繊維強化プラスチック層2が積層一体化されている面側に少なくとも形成されていればよい。したがって、発泡体1の上面のみに繊維強化プラスチック層2が積層一体化されている場合には、コア発泡層1aの上下面のそれぞれに形成されている表面層1b、1cのうちコア発泡層1aの上面に形成されている表面層1bのみが表面発泡層として形成されていればよい。このような場合では、コア発泡層1aの下面に形成されている表面層1cは、特に制限されず、発泡層であっても非発泡層であってもよいが、発泡層であることが好ましい。コア発泡層1aの下面に形成されている表面層1cが発泡層である場合、このような発泡層は、コア発泡層又は表面発泡層と同様の構成(例えば、気泡のアスペクト比や平均長径、見掛け密度、及びデュロメータ硬度など)を有していてもよい。
表面発泡層中に含まれている気泡の平均アスペクト比(As)は、0.5〜0.8に限定されるが、0.5〜0.75が好ましく、0.5〜0.7がより好ましい。平均アスペクト比が小さ過ぎる気泡を含む表面発泡層は、硬過ぎて靱性が低下した脆い層となる虞れがある。このような表面発泡層は、繊維強化複合体に衝撃エネルギーが加わった際に容易に割れるため、繊維強化プラスチック層の割れを十分に低減させることができない虞れがある。また、平均アスペクト比が大き過ぎる気泡を含む表面発泡層では、硬度が不足して、繊維強化複合体に衝撃が加わった際に繊維強化プラスチック層を十分に支持することができず、繊維強化プラスチック層が容易に変形して割れる虞れがある。
発泡体において、コア発泡層に含まれている気泡の平均アスペクト比(Ac)は、表面発泡層に含まれている気泡の平均アスペクト比(As)よりも大きいことが好ましい。特に、コア発泡層に含まれている気泡の平均アスペクト比(Ac)と、表面発泡層に含まれている気泡の平均アスペクト比(As)との差(Ac−As)は、0.14以上が好ましく、0.14〜0.5がより好ましく、0.2〜0.4が特に好ましい。差(Ac−As)が上記範囲内であるコア発泡層によれば、繊維強化複合体の耐衝撃性を向上させることができる。
表面発泡層に含まれている気泡の平均長径は、0.05〜0.7mmが好ましく、0.05〜0.6mmがより好ましい。気泡の平均長径が短過ぎる表面発泡層は、硬く脆い層となり、そのため繊維強化複合体に強い衝撃が負荷された際に表面発泡層が破壊される虞れがある。また、気泡の平均長径が長過ぎる表面発泡層では、硬度が不足して、繊維強化複合体に衝撃が加わった際に繊維強化プラスチック層を十分に支持することができず、繊維強化プラスチック層が容易に変形して割れる虞れがある。
表面発泡層の見掛け密度は、0.04〜0.9g/cm3が好ましく、0.06〜0.8g/cm3がより好ましい。見掛け密度が低過ぎる表面発泡層では、硬度が不足して、繊維強化複合体に衝撃が加わった際に繊維強化プラスチック層が容易に変形して破壊する虞れがある。また、見掛け密度が高過ぎる表面発泡層では、硬く脆い層となり、繊維強化複合体に衝撃エネルギーが加わった際に容易に割れ易くなり、結果として、繊維強化複合体の耐衝撃性を低下させる虞れがある。
表面発泡層のデュロメータ硬度は、10〜45が好ましく、15〜40がより好ましい。デュロメータ硬度が低過ぎる表面発泡層では、硬度が不足して、繊維強化複合体に衝撃が加わった際に繊維強化プラスチック層が容易に変形して破壊する虞れがある。また、デュロメータ硬度が高過ぎる表面発泡層では、硬く脆い層となり、繊維強化複合体に衝撃エネルギーが加わった際に容易に割れ易くなり、結果として、繊維強化複合体の耐衝撃性を低下させる虞れがある。
発泡体の総厚みは、繊維強化複合体が用いられる用途に応じて適宜設定すればよいが、1〜60mmが好ましく、2〜50mmがより好ましい。
[繊維強化プラスチック層]
本発明の繊維強化複合体に用いられる繊維強化プラスチック層は、強化繊維に強化用合成樹脂を含浸させてなるものである。
繊維強化プラスチック層2は、図1に示すように、発泡体1の両面に積層一体化されている必要はなく、発泡体1の両面のうち少なくとも一方の面に繊維強化プラスチック層2が積層一体化されていればよい。繊維強化プラスチック層2の積層は、繊維強化複合体Aの用途に応じて決定すればよい。なかでも、繊維強化複合体Aの耐衝撃性を考慮すると、発泡体1の厚み方向における上下面のそれぞれに繊維強化プラスチック層2が積層一体化されていることが好ましい。このような繊維強化複合体Aは、図1に示すように、コア発泡層1aと、このコア発泡層1aの両面に表面層として形成されてなる表面発泡層1b、1cとを含む発泡体1、及び表面発泡層1b、1cにそれぞれ積層一体化されてなる繊維強化プラスチック層2を有する。
繊維強化プラスチック層を構成している強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、チラノ繊維、玄武岩繊維、セラミックス繊維などの無機繊維;ステンレス繊維やスチール繊維などの金属繊維;アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサドール(PBO)繊維などの有機繊維;ボロン繊維などが挙げられる。強化繊維は、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。なかでも、炭素繊維、ガラス繊維及びアラミド繊維が好ましく、炭素繊維がより好ましい。これらの強化繊維は、軽量であるにも関わらず優れた機械的強度を有している。
強化繊維は、所望の形状に加工された強化繊維基材として用いられることが好ましい。強化繊維基材としては、強化繊維を用いてなる織物、編物、不織布、及び強化繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)を糸で結束(縫合)してなる面材などが挙げられる。織物の織り方としては、平織、綾織、朱子織などが挙げられる。また、糸としては、ポリアミド樹脂糸やポリエステル樹脂糸などの合成樹脂糸、及びガラス繊維糸などのステッチ糸が挙げられる。
繊維強化基材は、一枚の繊維強化基材のみを積層せずに用いてもよく、複数枚の繊維強化基材を積層して積層繊維強化基材として用いてもよい。複数枚の繊維強化基材を積層した積層繊維強化基材としては、(1)一種のみの繊維強化基材を複数枚用意し、これらの繊維強化基材を積層した積層繊維強化基材、(2)複数種の繊維強化基材を用意し、これらの繊維強化基材を積層した積層繊維強化基材、(3)強化繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)を糸で結束(縫合)してなる面材を複数枚用意し、これらの面材を繊維束の繊維方向が互いに相違した方向を指向するように重ね合わせ、重ね合わせた面材同士を糸で一体化(縫合)してなる積層繊維強化基材などが用いられる。なお、糸としては、ポリアミド樹脂糸やポリエステル樹脂糸などの合成樹脂糸、及びガラス繊維糸などのステッチ糸が挙げられる。
繊維強化プラスチック層は強化繊維に強化用合成樹脂が含浸されてなるものである。含浸させた強化用合成樹脂によって、強化繊維同士を結着一体化させることができる。強化繊維に含浸させる強化用合成樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂の何れも用いることができ、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂とを予備重合した樹脂などが挙げられ、耐熱性、衝撃吸収性又は耐薬品性に優れていることから、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂には、硬化剤、硬化促進剤などの添加剤が含有されていてもよい。なお、熱硬化性樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
又、熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、アミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、サルファイド系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられ、発泡体との接着性又は繊維強化プラスチック層を構成している強化繊維同士の接着性に優れていることから、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂が好ましい。なお、熱可塑性樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
熱可塑性エポキシ樹脂としては、エポキシ化合物同士の重合体又は共重合体であって直鎖構造を有する重合体や、エポキシ化合物と、このエポキシ化合物と重合し得る単量体との共重合体であって直鎖構造を有する共重合体が挙げられる。具体的には、熱可塑性エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂が好ましい。なお、熱可塑性エポキシ樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
熱可塑性ポリウレタン樹脂としては、ジオールとジイソシアネートとを重合させて得られる直鎖構造を有する重合体が挙げられる。ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールなどが挙げられる。ジオールは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートが挙げられる。ジイソシアネートは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なお、熱可塑性ポリウレタン樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
繊維強化プラスチック層中における強化用合成樹脂の含有量は、20〜70重量%が好ましく、30〜60重量%がより好ましい。強化用合成樹脂の含有量が少な過ぎると、強化繊維同士の結着性や繊維強化プラスチック層と発泡体との接着性が不十分となり、繊維強化プラスチック層の機械的強度や繊維強化複合体の耐衝撃性を十分に向上することができない虞れがある。また、強化用合成樹脂の含有量が多過ぎると、繊維強化プラスチック層の機械的強度が低下して、繊維強化複合体の耐衝撃性を十分に向上させることができない虞れがある。
繊維強化プラスチック層の厚みは、0.02〜2mmが好ましく、0.05〜1mmがより好ましい。厚みが上記範囲内である繊維強化プラスチック層は、軽量であるにも関わらず機械的強度に優れている。
繊維強化プラスチック層の目付は、50〜4000g/m2が好ましく、100〜1000g/m2がより好ましい。目付が上記範囲内である繊維強化プラスチック層は、軽量であるにも関わらず機械的強度に優れている。
本発明の繊維強化複合体では、芯材となる発泡体が上述したコア発泡層及び表面発泡層を有していることによって、繊維強化プラスチック層の剛性を維持したまま、耐衝撃性が向上されている。したがって、このような繊維強化複合体は、特に制限されないが、航空機、自動車、船舶、及び建築物などの構成部材や電子機器の筐体として好適に用いられる。
繊維強化複合体の比吸収エネルギー量は、160J/g以上が好ましく、200J/g以上がより好ましい。比吸収エネルギー量が低過ぎる繊維強化複合体では、優れた耐衝撃性を有していない虞れがある。
なお、繊維強化複合体の比吸収エネルギー量の測定は、次の通りにして行うことができる。まず、繊維強化複合体を切断することにより、縦100mm×横15mm×高さ10mmの寸法形状を有する試験片を作製する。次に、試験片について、JIS K7221に準拠して、ロードセル1000N、試験速度20mm/分の条件下にて、荷重−変位曲線を作成する。そして、得られた荷重−変位曲線に基づいて試験片が破断するまでの荷重−変位積分値を算出して得られた値を吸収エネルギー[J]とし、この吸収エネルギー[J]を試験片の重量[g]で除して得られた値を比吸収エネルギー量[J/g]とする。
[製造方法]
本発明の繊維強化複合体の製造方法としては、公知の熱成形方法を用いることができ、例えば、真空成形法、圧空成形法などが挙げられる。真空成形法及び圧空成形法を応用した熱成形方法として、例えば、ストレート成形法、ドレープ成形法、プラグアシスト成形法、プラグアシスト・リバースドロー成形法、エアスリップ成形法、スナップバック成形法、リバースドロー成形法、プラグアシスト・エアスリップ成形法、マッチモールド成形法、及び、これらの成形法を組み合わせた熱成形方法が挙げられ、成形性に乏しい繊維強化プラスチック層形成材を使用しても外観の良好な繊維強化複合体を得ることができるので、マッチモールド成形法が好ましい。
繊維強化複合体を熱成形方法を用いて製造する要領の一例を具体的に説明する。本発明の繊維強化複合体の製造方法としては、発泡体の少なくとも一方の面に、強化用合成樹脂が含浸されている強化繊維を含む繊維強化プラスチック層形成材が積層されてなる積層体を、上記強化用合成樹脂のガラス転移温度より20℃低い温度以上で且つ上記強化用合成樹脂のガラス転移温度より60℃高い温度以下で加熱しながら、上記発泡体の圧縮変形率が1〜45%となるように圧縮する圧縮工程を有する方法が好ましく用いられる。なお、積層体の加熱温度とは、積層体の繊維強化プラスチック層形成材の表面温度をいう。
発泡体は気泡を含んでいることによって熱伝動性が低いため、発泡体中央部は加熱され難い。従って、圧縮工程において、積層体を所定の温度で加熱することによって、発泡体の表面部に含まれている合成樹脂を適度に軟化させることができる。また、圧縮工程において、積層体を所定の温度で加熱することによって、強化繊維に含浸されている強化用合成樹脂も適度に軟化させることができる。そして、このような加熱を行いながら積層体を圧縮することによって、繊維強化プラスチック層形成材が発泡体表面に沿って変形しながら発泡体表面を全面的に押圧することができる。これにより、発泡体の表面部に含まれている気泡を僅かに押しつぶして扁平化させ、発泡体の表面部に所望の平均アスペクト比を有する気泡を含む表面発泡層を形成することが可能となる。
強化繊維に含浸させる強化用合成樹脂に未硬化の熱硬化性樹脂が含有している場合には、圧縮工程において、積層体の加熱を調整することによって、好ましくは、繊維強化プラスチック層形成材の未硬化の熱硬化性樹脂を硬化させることなく流動性を保持した状態に保持して、繊維強化プラスチック層形成材を発泡体表面に沿って変形させた後、積層体の加熱時間を調整して未硬化の熱硬化性樹脂の硬化反応を進行させることによって、熱硬化性樹脂を硬化させて強化繊維同士を結着一体化させることができ、これにより発泡体上に強化繊維に熱硬化性樹脂が含浸されてなる繊維強化プラスチック層を形成することができる。強化繊維に含浸させる強化用合成樹脂に熱可塑性樹脂を用いた場合には、圧縮工程において積層体を加熱した後に積層体を冷却させることによって熱可塑性樹脂も冷却固化させ、これにより熱可塑性樹脂によって強化繊維同士を結着一体化させて、発泡体上に強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されてなる繊維強化プラスチック層を形成することができる。
発泡体の製造方法としては、公知の製造方法を用いることができる。具体的には、(1)合成樹脂発泡粒子を金型内に充填し、熱水や水蒸気などの熱媒体によって合成樹脂発泡粒子を加熱して発泡させ、合成樹脂発泡粒子の発泡圧によって発泡粒子同士を融着一体化させて所望形状を有する発泡体を製造する方法(型内発泡成形法)、(2)合成樹脂を押出機に供給して化学発泡剤又は物理発泡剤などの発泡剤の存在下にて溶融混練し押出機から押出発泡させて発泡体を製造する方法(押出発泡法)、(3)合成樹脂及び化学発泡剤を押出機に供給して化学発泡剤の分解温度未満にて溶融混練し押出機から発泡性樹脂成形体を製造し、この発泡性樹脂成形体を発泡させて発泡体を製造する方法などが挙げられる。なかでも、上記(1)の型内発泡成形法によれば、所望形状の発泡体を容易に製造することができる。
上記(1)の型内発泡成形法で用いられる合成樹脂発泡粒子の製造方法としては、(I)合成樹脂を押出機内に供給して物理発泡剤の存在下にて溶融混練して押出機に取り付けたノズル金型から合成樹脂押出物を押出発泡させながら切断した後に冷却して合成樹脂発泡粒子を製造する方法、(II)合成樹脂を押出機内に供給して物理発泡剤の存在下にて溶融混練して押出機に取り付けたノズル金型から押出発泡してストランド状の合成樹脂押出物を製造し、この合成樹脂押出物を所定間隔毎に切断して合成樹脂発泡粒子を製造する方法、(III)合成樹脂を押出機内に供給して物理発泡剤の存在下にて溶融混練して押出機に取り付けた環状ダイ又はTダイから押出発泡して発泡シートを製造し、この発泡シートを切断することによって合成樹脂発泡粒子を製造する方法などが挙げられる。
このような合成樹脂発泡粒子の製造方法の一例について説明する。先ず、合成樹脂発泡粒子を押出発泡で製造する場合に用いられる製造装置の一例について説明する。図3中、10は、押出機の前端に取り付けられたノズル金型である。図3及び4に示したように、ノズル金型10の前端面10a には、ノズルの出口部11、11・・・が複数個、同一仮想円C上に等間隔毎に形成されている。なお、押出機の前端に取り付けるノズル金型は、ノズル内において合成樹脂原料が発泡しなければ、特に限定されない。
そして、ノズル金型10の前端面10a におけるノズルの出口部11、11・・・で囲まれた部分には、回転軸20が前方に向かって突出した状態に配設されており、この回転軸20は、冷却部材40を構成する冷却ドラム41の前部41a を貫通してモータなどの駆動部材30に連結されている。
更に、上記回転軸20の後端部の外周面には一枚又は複数枚の回転刃50、50・・・が一体的に設けられており、全ての回転刃50は、その回転時には、ノズル金型10の前端面10a に常時、接触した状態となる。なお、回転軸20に複数枚の回転刃50、50・・・が一体的に設けられている場合には、複数枚の回転刃50、50・・・は回転軸20の周方向に等間隔毎に配列されている。又、図4では、一例として、四個の回転刃50、50・・・を回転軸20の外周面に一体的に設けた場合を示した。
そして、回転軸20が回転することによって回転刃50、50・・・は、ノズル金型10の前端面10a に常時、接触しながら、ノズルの出口部11、11・・・が形成されている仮想円C上を移動し、ノズルの出口部11、11・・・から押出された合成樹脂押出発泡物を順次、連続的に切断可能に構成されている。
又、ノズル金型10の少なくとも前端部と、回転軸20とを包囲するように冷却部材40が配設されている。この冷却部材40は、ノズル金型10よりも大径な正面円形状の前部41a と、この前部41a の外周縁から後方に向かって延設された円筒状の周壁部41b とを有する有底円筒状の冷却ドラム41とを備えている。
更に、冷却ドラム41の周壁部41b におけるノズル金型10の外方に対応する部分には、冷却液42を供給するための供給口41c が内外周面間に亘って貫通した状態に形成されている。冷却ドラム41の供給口41c の外側開口部には冷却液42を冷却ドラム41内に供給するための供給管41d が接続されている。
冷却液42は、供給管41d を通じて、冷却ドラム41の周壁部41b の内周面に沿って斜め前方に向かって供給されるように構成されている。そして、冷却液42は、供給管41dから冷却ドラム41の周壁部41bの内周面に供給される際の流速に伴う遠心力によって、冷却ドラム41の周壁部41b内周面に沿って螺旋状を描くように前方に向かって進む。そして、冷却液42は、周壁部41bの内周面に沿って進行中に、徐々に進行方向に直交する方向に広がり、その結果、冷却ドラム41の供給口41cより前方の周壁部41bの内周面は冷却液42によって全面的に被覆された状態となるように構成されている。
なお、冷却液42としては、合成樹脂発泡粒子を冷却することができれば、特に限定されず、例えば、水、アルコールなどが挙げられるが、使用後の処理を考慮すると、水が好ましい。
そして、冷却ドラム41の周壁部41bの前端部下面には、その内外周面間に亘って貫通した状態に排出口41eが形成されている。排出口41eの外側開口部には排出管41fが接続されている。合成樹脂発泡粒子及び冷却液42を連続的に排出口41eを通じて排出できるように構成されている。
このような製造装置を用いて、合成樹脂を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練した後、押出機の前端に取り付けたノズル金型10から合成樹脂を押出発泡させて得られた押出発泡物を回転刃50によって切断し合成樹脂粒子を製造することができる。また、架橋剤を用いる場合には、合成樹脂と架橋剤とを押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練して合成樹脂を架橋剤によって架橋した後、押出機の前端に取り付けたノズル金型10から合成樹脂を押出発泡させて得られた押出発泡物を回転刃50によって切断し合成樹脂粒子を製造することができる。
又、化学発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾイルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウムなどが挙げられる。なお、化学発泡剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
物理発泡剤は、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタンなどのフロン、二酸化炭素、窒素などが挙げられ、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素が好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンがより好ましく、ノルマルブタン、イソブタンが特に好ましい。なお、物理発泡剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
本発明の方法では、上述した発泡体の少なくとも一面に、合成樹脂が含浸されている強化繊維を含む繊維強化プラスチック層形成材が積層された積層体を用いる。発泡体における繊維強化プラスチック層形成材を積層する面は、得られる繊維強化複合体の用途に応じて決定すればよく、特に制限されない。したがって、発泡体の一方の面のみに繊維強化プラスチック層形成材を積層してもよい。なかでも、得られる繊維強化複合体の耐衝撃性を考慮すると、発泡体の両面にそれぞれ繊維強化プラスチック層形成材を積層することが好ましい。
なお、積層体に用いられる発泡体や繊維強化プラスチック層形成材に用いられる強化用合成樹脂及び強化繊維については、上述した繊維強化複合体における発泡体や繊維強化プラスチック層に用いられる強化用合成樹脂及び強化繊維と同様であるため、ここではこれらの詳細な説明を省略する。
積層体に用いられる発泡体の発泡倍率は、1.3〜60倍が好ましく、1.5〜30倍がより好ましく、5〜20倍がより好ましい。発泡倍率が上記範囲内である発泡体は、適度な熱伝動性を有しており、これにより圧縮工程において、発泡体の表面部に所望のアスペクト比を有する気泡を含む表面発泡層を形成することが容易となる。なお、本発明において、発泡体の発泡倍率の測定はJIS K7222に準拠して測定された値とする。
繊維強化プラスチック層形成材においては、強化繊維中に強化用合成樹脂が含浸されている。強化繊維中に強化用合成樹脂を含浸させる方法としては、特に限定されず、例えば、(1)強化繊維を強化用合成樹脂中に浸漬して強化繊維中に強化用合成樹脂を含浸させる方法、(2)強化繊維に強化用合成樹脂を塗布し、強化繊維に強化用合成樹脂を含浸させる方法、及び(3)強化繊維基材上に強化用合成樹脂を含むシートを積層した後にこれらを加熱加圧して、強化繊維基材を構成している強化繊維中にシートに含まれている強化用合成樹脂を含浸させる方法などが挙げられる。また、(1)及び(2)の方法では、強化繊維を強化繊維基材として用い、強化繊維基材を強化用合成樹脂に浸漬することによって、又は強化繊維基材に強化用合成樹脂を塗布することによって、強化繊維基材を構成している強化繊維に強化用合成樹脂を含浸させることもできる。
強化繊維に強化用合成樹脂として熱硬化性樹脂を含浸させる場合には、未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させることが好ましい。また、強化用合成樹脂の含浸順序は、特に制限されず、発泡体の両面に強化繊維を積層した後にこの強化繊維に強化用合成樹脂を含浸させてもよく、強化繊維に強化用合成樹脂を含浸させた後にこの強化繊維を発泡体に積層してもよい。
なお、強化繊維基材、又は強化用合成樹脂が含浸されている強化繊維基材を含む強化繊維プラスチック層形成材は市販されているものを用いることができる。強化繊維基材は、例えば、三菱レイヨン社から商品名「パイロフィル」にて市販されている。また、熱硬化性樹脂が含浸されている強化繊維基材を含む繊維強化プラスチック層形成材は、例えば、三菱レイヨン社から商品名「パイロフィルプリプレグ」にて市販されている。熱可塑性樹脂が含浸されている強化繊維基材を含む繊維強化プラスチック層形成材は、長瀬ケムテック社から商品名「NNGF60−03s」にて市販されている。
本発明の方法では、圧縮工程の前に、積層体を、強化繊維に含浸されている強化用合成樹脂のガラス転移温度より120℃低い温度以上で且つ上記強化用合成樹脂のガラス転移温度よりも20℃低い温度未満で加熱する予備加熱工程を実施することが好ましい。このような予備加熱工程を実施することによって、発泡体の繊維強化プラスチック層形成材が積層されている面における表面部を適度に軟化させ、その後に圧縮工程を実施することによって発泡体の表面部に含まれている気泡をより効率的に押圧して扁平化させ、所望の平均アスペクト比を有する気泡を含む表面発泡層を容易に形成することが可能となる。また、予備加熱工程によれば、強化繊維に含まれている強化用合成樹脂も適度に軟化させて、強化用合成樹脂と強化繊維との馴染み性を向上させて、これにより強化用合成樹脂によって強化繊維同士が強固に結着一体化された機械的強度に優れる繊維強化プラスチック層を形成することもできる。さらに、予備加熱工程において繊維強化に含まれている強化用合成樹脂を適度に軟化させることによって、軟化された強化用合成樹脂が発泡体表面の凹凸に入り込んでアンカー効果が得られ、これにより繊維強化プラスチック層と発泡体とを強固に接着一体化させることも可能となる。したがって、このような予備加熱工程を行うことによって、得られる繊維強化複合体の耐衝撃性をさらに向上させることが可能となる。
予備加熱工程における積層体の加熱温度は、強化繊維に含浸されている強化用合成樹脂のガラス転移温度を「Tg(℃)」とした時に、(Tg−120)℃以上で且つ(Tg+80)℃未満が好ましく、(Tg−100)℃以上で且つ(Tg+70)℃未満がより好ましく、(Tg−100)℃〜(Tg+60)℃が特に好ましい。積層体の加熱温度が低過ぎると、強化用合成樹脂と強化繊維との馴染み性が低下して、得られる繊維強化プラスチック層に気泡が発生し、これにより繊維強化複合体の耐衝撃性が低下する虞れがある。また、積層体の加熱温度が高過ぎると、発泡体中の気泡が潰れて、繊維強化複合体の耐衝撃性が低下する虞れがある。
なお、本発明において、熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定する。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下のように行う。示差走査熱量計装置を用いアルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんして、窒素ガス流量20mL/分のもと、試料を30℃から−40℃まで降温した後に10分間に亘って保持した後、試料を−40℃から290℃まで昇温(1st Heating)し290℃に10分間に亘って保持した後に290℃から−40℃まで降温(Cooling)、10分間に亘って保持した後に−40℃から290℃まで昇温(2nd Heating)した時のDSC曲線を得た。なお、全ての昇温速度及び降温速度は10℃/分で行い、基準物質としてアルミナを用いる。本発明において、ガラス転移点とは、2nd Heating過程で得られたDSC曲線より得られた中間点ガラス転移温度のことをいう。又、この中間点ガラス転移温度はJIS K7121:1987(9.3「ガラス転移温度の求め方」)より求める。なお、示差走査熱量計装置としては、例えば、エスアイアイナノテクノロジー社から商品名「DSC6220型」で市販されている示差走査熱量計装置を用いることができる。
本発明において、熱硬化性樹脂のガラス転移温度は下記の要領で測定された温度をいう。熱硬化性樹脂のガラス転移温度を測定する場合には熱硬化性樹脂を予め硬化させる必要がある。熱硬化性樹脂の硬化温度はJIS K7121:1987において測定される発熱ピーク温度±10℃が目安とされる。熱硬化性樹脂の硬化時間は60分間が目安とされ、硬化後の熱硬化性樹脂の発熱ピークをJIS K7121:1987に準拠して測定した際に、発熱ピークが観察されなければ、硬化が完了されたとみなせ、この硬化後の熱硬化性樹脂を用いて、後述する要領で熱硬化性樹脂のガラス転移温度を測定する。なお、上述した熱硬化性樹脂の硬化温度の目安となる発熱ピーク温度の詳細な測定方法は、下記の通りである。熱硬化性樹脂の発熱ピーク温度は、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定する。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下の要領で行う。示差走査熱量計装置を用いてアルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんして、窒素ガス流量20mL/分のもと、基準物質としてアルミナを用い、試料を30℃から220℃まで速度5℃/分で昇温させる。本発明において、熱硬化性樹脂の発熱ピーク温度とは1回目昇温時のピークトップの温度を読みとった値である。なお、示差走査熱量計装置としては、例えば、エスアイアイナノテクノロジー社から商品名「DSC6220型」にて市販されている示差走査熱量計装置を用いることができる。
熱硬化性樹脂のガラス転移温度は、JIS K7121(1987)「プラスチックの転移温度測定方法」における規格9.3「ガラス転移温度の求め方」に準拠して測定された温度とする。具体的には、ガラス転移温度を測定する、硬化後の熱硬化性樹脂6mgを試料として採取する。示差走査熱量計装置を用い、装置内で流量20mL/分の窒素ガス流の下、試料を20℃/分の昇温速度で30℃から200℃まで昇温して200℃にて試料を10分間に亘って保持する。その後、試料を装置から速やかに取出して25±10℃まで冷却した後、装置内で、流量20mL/分の窒素ガス流の下、20℃/分の昇温速度で試料を200℃まで再度、昇温した時に得られるDSC曲線よりガラス転移温度(中間点)を算出する。測定においては基準物質としてアルミナを用いる。なお、示差走査熱量計装置としては、例えば、エスアイアイナノテクノロジー社から商品名「DSC6220型」にて市販されている示差走査熱量計装置を用いることができる。
また、予備加熱工程では、積層体を圧縮しないことが好ましい。積層体を圧縮せずに予備加熱工程を実施することによって、繊維強化プラスチック層形成材などに含まれている気泡を効率的に除外できると共に、強化繊維に含まれている強化用合成樹脂を発泡体表面の凹凸により高く浸透させることができる。
次に、本発明の方法では、積層体を、強化繊維に含浸されている強化用合成樹脂のガラス転移温度より20℃低い温度以上で且つ上記強化用合成樹脂のガラス転移温度よりも60℃高い温度以下で加熱しながら、発泡体の圧縮変形率が1〜45%となるように圧縮する圧縮工程を実施する。
圧縮工程における積層体の加熱温度は、強化繊維に含浸されている強化用合成樹脂のガラス転移温度を「Tg」とした時、(Tg−50)℃〜(Tg+60)℃に限定されるが、(Tg−40)℃〜(Tg+40)℃が好ましい。積層体の加熱温度が低過ぎると、圧縮工程において繊維強化プラスチック層形成材と発泡体とを十分に接着一体化させることができず、そのため耐衝撃吸収性に優れた繊維強化複合体が得られない虞れがある。また、積層体の加熱温度が高過ぎると、発泡体の気泡が潰れて、繊維強化複合体の耐衝撃性が低下する虞れがある。
圧縮工程において積層体の圧縮は、発泡体の圧縮変形率が1〜45%となるように調整することが好ましく、発泡体の圧縮変形率が1〜40%となるように調整することがより好ましい。発泡体の圧縮変形率が小さ過ぎると、繊維強化プラスチック層形成材によって発泡体表面を十分に押圧して発泡体表面に含まれている気泡を偏平化させることができない虞れがある。また、発泡体の圧縮変形率が高過ぎると、発泡体全体が変形する虞れがある。
なお、発泡体の圧縮変形率とは、圧縮工程前(予備加熱工程を行った場合には予備加熱工程前)の発泡体の厚みT1と、圧縮工程後の発泡体の厚みT2とを任意の点10箇所にてそれぞれ測定し、下記式に基づいて各測定箇所における発泡体の圧縮変形率を算出し、各測定箇所での圧縮変形率の相加平均値を発泡体の圧縮変形率とする。なお、発泡体の厚みT2とは、発泡体の厚みT1を測定した発泡体部分の寸法とする。
発泡体の圧縮変形率(%)
=100×(│T1(mm)−T2(mm)│)/│T1(mm)│
発泡体の圧縮変形率の調整は、積層体への加圧度を調整することによって行うことができる。例えば、発泡体の圧縮変形率を調整する方法としては、積層体をその厚み方向に押圧部材によって挟持し、これらの押圧部材によって積層体に付加する押圧力を調整する方法などが用いられる。この時、積層体の外方、例えば、積層体の幅方向又は長さ方向における両端部外側にスペーサを配置することが好ましい。スペーサの高さを調整することによって積層体への加圧度や発泡体の圧縮変形率を容易に調整することが可能となる。
なお、スペーサを用いる場合、スペーサは、積層体の外方に配置すればよく、例えば、積層体の幅方向又は長さ方向における両端部外側に少なくとも配置すればよく、積層体の幅方向における両端部外側及び長さ方向における両端部外側の双方に配置してもよい。
上述した通り、圧縮工程において積層体を加熱圧縮させることによって、発泡体と、この発泡体の少なくとも一方の面に積層一体化されてなり且つ強化繊維に強化用合成樹脂が含浸されてなる繊維強化プラスチック層とを含む繊維強化複合体が得られる。
上述の通りに圧縮工程を行った後に積層体に含まれている発泡体をその厚み方向の中央部において切断することによって、発泡体の一方の面のみに繊維強化プラスチック層が積層一体化されてなる繊維強化複合体を得ることもできる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1)
アクリル系樹脂Aを含み且つ表面に未発泡の表皮を有する平面矩形状の発泡体(発泡倍率10倍、積水化成品工業株式会社製 製品名「フォーマック #1000グレード」)を原反発泡体として用意した。発泡体から表皮を切断除去して、発泡体表面に気泡断面を露出させた。表皮を切断除去した後の発泡体1’の厚みは20mmであった。
一方、炭素繊維からなる綾織の織物からなる強化繊維基材に、未硬化のエポキシ樹脂(ガラス転移温度128℃)が40重量%含浸されている繊維強化プラスチック層形成材(厚み0.3mm、目付:200g/m2、三菱レイヨン社製 商品名「パイロフィルプリプレグ TR3523 381KMP」)を2枚用意した。繊維強化プラスチック層形成材は、縦10cm×横30cmの平面長方形状であった。そして、2枚の繊維強化プラスチック層形成材を、互いに隣接する強化繊維基材の経糸の長さ方向同士の交差角度が90°となるように重ね合わせた。
次に、アルミニウム板を用意し、このアルミニウム板の上面に離型剤(ケムリースジャパン社製 商品名「ケムリース2166」)を塗布して一日放置し、アルミニウム板の上面に離型処理を施した。なお、アルミニウム板上面の外周縁部には、後記する封止材8やバックバルブ9を配置するため、離型処理は施さなかった。
上面に離型処理を施したアルミニウム板を押圧部材3aとして用い、図2に示すように、押圧部材3aの離型処理を施した面上に、重ね合わせた2枚の繊維強化プラスチック層形成材2’を載置し、これらの繊維強化プラスチック層形成材2’上に発泡体1’を載置した。
上記とは別に、上記と同一の繊維強化プラスチック層形成材を2枚用意し、2枚の繊維強化プラスチック層形成材を上記と同様の要領で重ね合わせた。これらの重ね合わせた2枚の繊維強化プラスチック層形成材2’を発泡体1’上に載置して積層体A’を作製した。
次に、押圧部材3aの離型処理を施した面上において、積層体A’の幅方向両端部の外側に一対のスペーサ4a、4bを載置した。なお、スペーサ4a、4bはアルミニウム板からなり、18.2mmの厚みを有していた。また、スペーサ4a、4bにおいて後記する押圧部材3bと接触する上面には予め離型処理を施した。そして、上記と同様にして、下面に離型処理を施したアルミニウム板を押圧部材3bとして用意し、積層体A’及びスペーサ4a、4b上に押圧部材3bを積層した。この時、押圧部材3bの離型処理面が積層体A’と接触するようにした。
しかる後、押圧部材3b上に、この押圧部材3bを全面的に被覆するように、貫通孔を有するリリースフィルム5(AIRTECH社製 商品名「WL5200B−P」)及びブリーザークロス6(AIRTECH社製 商品名「AIRWEAVE N4」)を順に積層した。リリースフィルム5は、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体フィルムから形成され、両面間に亘って貫通し且つ繊維強化プラスチック層形成材2’中のエポキシ樹脂が通過可能な貫通孔が多数、形成されていた。ブリーザークロス6は、ポリエステル樹脂繊維から構成された不織布から形成されており、エポキシ樹脂を含浸可能に構成されていた。
ブリーザークロス6上にバギングフィルム7(AIRTECH社製 商品名「WL7400」)を被せ、バギングフィルム7の外周縁部とこれに対向する押圧部材3aとの間を封止材8としてシーラントテープ(AIRTECH社製 商品名「GS43MR」)を用いて気密的に接合して積層体A’をバギングフィルム7によって密封した。バギングフィルム7は、ナイロンフィルムから構成されていた。バギングフィルム7の一部にバックバルブ9(AIRTECH社製 商品名「VAC VALVE 402A」)を配置して積層構造体を作製した。
次に、積層構造体をオートクレーブ内に供給し、積層構造体のバックバルブ9を真空ラインと接続し、バギングフィルム7で密封された空間部B内を積層体A’からこの積層体A’の側面をスペーサ4a、4bを介して被覆しているブリーザークロス6の方向に排気して真空度0.10MPaに減圧した。なお、空間部Bの減圧はその後も継続して行った。
しかる後、繊維強化プラスチック層形成材2’中に存在している空気を吸引、除去しながら、オートクレーブ内を昇温速度4℃/分にて90℃となるまで昇温して、積層体A’を圧縮することなく繊維強化プラスチック層形成材が90℃となるように90分間に亘って加熱し(予備加熱工程)、これにより繊維強化プラスチック層形成材2’中のエポキシ樹脂を軟化させて繊維強化プラスチック層形成材2’を発泡体1’の表面に沿って変形させると共に、発泡体1’の繊維強化プラスチック層形成材2’が積層されている面における表面部に含まれているアクリル樹脂Aを適度に軟化させた。
次に、オートクレーブ内をゲージ圧力0.1MPaに加圧して積層体A’に押圧部材3a、3bを介して押圧力を加えると共に、オートクレーブ内を昇温速度4℃/分にて130℃となるまで昇温して、積層体A’を繊維強化プラスチック層形成材が130℃となるように60分間に亘って加熱し(圧縮工程)、これにより発泡体1’の繊維強化プラスチック層形成材2’が積層されている面における表面部に含まれている気泡を押しつぶして偏平化させた後、繊維強化プラスチック層形成材2’中のエポキシ樹脂を硬化させて繊維強化プラスチック層2を得た。その後、オートクレーブ内を冷却してオートクレーブ内が60℃となった時点でオートクレーブ内の加圧を解除して大気圧に戻して、積層体A’を取り出し、積層体A’を室温まで冷却した。これにより、図1に示すように、コア発泡層1aと、このコア発泡層1aの上面に形成されてなる上面側表面発泡層1bと、コア発泡層1aの下面に形成されてなる下面側表面発泡層1cとを含む発泡体1、及び上面側表面発泡層1b及び下面側表面発泡層1cにそれぞれ積層一体化されてなる繊維強化プラスチック層2を有する繊維強化複合体Aを得た。重ね合わせた繊維強化プラスチック層形成材同士はこれらに含まれている硬化したエポキシ樹脂によって一体化して繊維強化プラスチック層2を形成していた。なお、積層体A’への加圧によって繊維強化材2’、 2’中の余分なエポキシ樹脂はリリースフィルム5の貫通孔及び外方を通じてブリーザークロス6に吸収されていた。
(実施例2)
アクリル系樹脂Aを含み且つ表面に未発泡の表皮を有する発泡体(発泡倍率10倍、積水化成品工業株式会社製 製品名「フォーマック #1000グレード」)に代えて、アクリル系樹脂Aを含み且つ表面に未発泡の表皮を有する発泡体(密度0.77g/cm3、発泡倍率15倍、積水化成品工業株式会社製 製品名「フォーマック #1500グレード」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、繊維強化複合体Aを得た。
(実施例3)
アクリル系樹脂Aを含み且つ表面に未発泡の表皮を有する発泡体(発泡倍率10倍、積水化成品工業株式会社製 製品名「フォーマック #1000グレード」)に代えて、アクリル系樹脂Bを含み且つ表面に未発泡の表皮を有する発泡体(密度0.76g/cm3、発泡倍率15倍、積水化成品工業株式会社製 製品名「耐熱フォーマック」)を用い、スペーサの厚みを20.2mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維強化複合体Aを得た。
(実施例4)
図3及び図4に示した製造装置を用いた。先ず、ポリエチレンテレフタレート(PET、三井化学社製 商品名「SA−135」、ガラス転移温度78℃、融点:247.1℃)100重量部、ポリエチレンテレフタレートにタルクを含有させてなるマスターバッチ(ポリエチレンテレフタレート含有量:60重量%、タルク含有量:40重量%)1.8重量部及び無水ピロメリット酸0.2重量部を含むポリエチレンテレフタレート組成物を口径が65mmで且つL/D比が35の単軸押出機に供給して290℃にて溶融混練した。
続いて、押出機の途中から、イソブタン35重量%及びノルマルブタン65重量%からなるブタンをポリエチレンテレフタレート100重量部に対して0.8重量部となるように溶融状態のポリエチレンテレフタレート組成物に圧入して、ポリエチレンテレフタレート中に均一に分散させた。
しかる後、押出機の前端部において、溶融状態のポリエチレンテレフタレート組成物を280℃に冷却した後、押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型10の各ノズルからポリエチレンテレフタレート組成物を押出発泡させた。
なお、マルチノズル金型10は、出口部11の直径が1mmのノズルを20個有しており、ノズルの出口部11は全て、マルチノズル金型10の前端面10a に想定した、直径が139.5mmの仮想円C上に等間隔毎に配設されていた。
そして、回転軸20の後端部外周面には、2枚の回転刃50が回転軸20の周方向に180°の位相差でもって一体的に設けられており、各回転刃50はマルチノズル金型10の前端面10a に常時、接触した状態で仮想円C上を移動するように構成されていた。
更に、冷却部材40は、正面円形状の前部41aと、この前部41aの外周縁から後方に向かって延設され且つ内径が320mmの円筒状の周壁部41bとからなる冷却ドラム41を備えていた。そして、供給管41d及び冷却ドラム41の供給口41cを通じて冷却ドラム41内に20℃の冷却水42が供給されていた。冷却ドラム41内の容積は17684cm3であった。
冷却水42は、供給管41dから冷却ドラム41の周壁部41bの内周面に供給される際の流速に伴う遠心力によって、冷却ドラム41の周壁部41b内周面に沿って螺旋状を描くように前方に向かって進んでおり、冷却液42は、周壁部41bの内周面に沿って進行中に、徐々に進行方向に直交する方向に広がり、その結果、冷却ドラム41の供給口41cより前方の周壁部41bの内周面は冷却液42によって全面的に被覆された状態となっていた。
そして、マルチノズル金型10の前端面10a に配設した回転刃50を2500rpmの回転数で回転させてあり、マルチノズル金型10の各ノズルの出口部11から押出発泡されたポリエチレンテレフタレート押出物を回転刃50によって切断して略球状のポリエチレンテレフタレート発泡粒子を製造した。ポリエチレンテレフタレート押出物は、マルチノズル金型10のノズルから押出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する発泡途上の発泡部とからなっていた。そして、ポリエチレンテレフタレート押出物は、ノズルの出口部11の開口端において切断されており、ポリエチレンテレフタレート押出物の切断面は未発泡部において行われていた。
なお、上述の型内発泡成形用ポリエチレンテレフタレート発泡粒子の製造にあたっては、先ず、マルチノズル金型10に回転軸20を取り付けず且つ冷却部材40をマルチノズル金型10から退避させておいた。この状態で、押出機からポリエチレンテレフタレート押出物を押出発泡させ、ポリエチレンテレフタレート押出物が、マルチノズル金型10のノズルから押出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する発泡途上の発泡部とからなることを確認した。次に、マルチノズル金型10に回転軸20を取り付け且つ冷却部材40を所定位置に配設した後、回転軸20を回転させ、ポリエチレンテレフタレート押出物をノズルの出口部11の開口端において回転刃50で切断してポリエチレンテレフタレート発泡粒子を製造した。
このポリエチレンテレフタレート発泡粒子は、回転刃50による切断応力によって外方或いは前方に向かって飛ばされ、冷却部材40の冷却ドラム41の内面に沿って流れている冷却水42にこの冷却水42の流れの上流側から下流側に向かって冷却水42を追うように冷却水42の表面に対して斜交する方向から衝突し、ポリエチレンテレフタレート発泡粒子は冷却水42中に進入して直ちに冷却された。
冷却されたポリエチレンテレフタレート発泡粒子は、冷却ドラム41の排出口41eを通じて冷却水42と共に排出された後、脱水機にて冷却水42と分離された。
ポリエチレンテレフタレート発泡粒子は、その連続気泡率が2%、嵩密度が0.5g/cm3、結晶化度が5%であった。ポリエチレンテレフタレート発泡粒子中におけるブタンの含有量は、ポリエチレンテレフタレート100重量部に対して0.5重量部であった。
金型(雄金型と雌金型)を備えた型内発泡成形機を用意した。雄金型と雌金型とを型締めした状態において、雌雄金型間には内法寸法が縦30mm×横300mm×高さ300mmの直方体形状のキャビティが形成されていた。
型内発泡成形機の金型のキャビティ内にポリエチレンテレフタレート発泡粒子を充填して金型を型締めした。しかる後、金型のキャビティ内に105℃の水蒸気をゲージ圧力0.13MPaにて90秒間に亘って供給してポリエチレンテレフタレート発泡粒子を二次発泡させ、ポリエチレンテレフタレート発泡粒子を二次発泡させて得られた二次発泡粒子同士をこれらの発泡圧力によって熱融着一体化させて縦30mm×横300mm×高さ300mmの直方体形状の発泡成形体を得た。
次に、金型のキャビティ内に冷却水を供給して発泡成形体を冷却した後にキャビティを開いて発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を大気圧下において60℃にて168時間に亘って放置(養生)して発泡体(発泡倍率6倍)を得た。この発泡体の表面には未発泡の表皮が形成されていた。
アクリル系樹脂Aを含み且つ表面に未発泡の表皮を有する発泡体(発泡倍率10倍、積水化成品工業株式会社製 製品名「フォーマック #1000グレード」)に代えて、上記の通りに作製した発泡体を用い、スペーサの厚みを17.2mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維強化複合体Aを得た。
(実施例5)
雌雄金型間の内法寸法を縦20mm×横300mm×高さ300mmとし、縦20mm×横300mm×高さ300mmの直方体形状の発泡成形体を得た以外は、実施例4と同様にして、表面に未発泡の表皮が形成されている発泡体(発泡倍率6倍)を作製した。そして、アクリル系樹脂Aを含み且つ表面に未発泡の表皮を有する発泡体(発泡倍率10倍、積水化成品工業株式会社製 製品名「フォーマック #1000グレード」)に代えて、上記の通りに作製した発泡体を用い、表皮を切断除去せず、さらに、スペーサの厚みを17.2mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維強化複合体Aを得た。
(実施例6)
押出機の途中から、ブタンをポリエチレンテレフタレート100重量部に対して1.0重量部となるように溶融状態のポリエチレンテレフタレート組成物に圧入した以外は、実施例4と同様にして、表面に未発泡の表皮が形成されている発泡体(発泡倍率10倍)を得た。そして、アクリル系樹脂Aを含み且つ表面に未発泡の表皮を有する発泡体(発泡倍率10倍、積水化成品工業株式会社製 製品名「フォーマック #1000グレード」)に代えて、上記の通りに作製した発泡体を用い、表皮を切断除去せず、さらに、スペーサの厚みを14.2mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維強化複合体Aを得た。
(実施例7)
雌雄金型間の内法寸法を縦20mm×横300mm×高さ300mmとし、縦20mm×横300mm×高さ300mmの直方体形状の発泡成形体を得た以外は、実施例4と同様にして、表面に未発泡の表皮が形成されている発泡体(発泡倍率6倍)を作製した。表皮を切断除去することなく発泡体を用いた。
炭素繊維からなる綾織の織物から形成された強化繊維基材に、熱硬化性樹脂として未硬化のエポキシ樹脂(ガラス転移温度:121℃)を40重量%含有させた厚みが0.23mmの繊維強化プラスチック層形成材(三菱レイヨン社製 商品名「パイロフィルプリプレグ TR3523−395GMP」、目付:200g/m2)を2枚、用意した。繊維強化プラスチック層形成材は、一辺300mmの平面正方形状であった。2枚の繊維強化プラスチック層形成材をそれらの経糸の長さ方向が互いに90°の角度をなすように重ね合わせた。更に、同一の繊維強化プラスチック層形成材を2枚用意し、2枚の繊維強化プラスチック層形成材をそれらの経糸の長さ方向が互いに90°の角度をなすように重ね合わせた。
上記発泡体の両面のそれぞれに、重ね合わせた2枚の繊維強化プラスチック層形成材を積層して積層体を作製した。
一対の金型を用意した。一対の金型を型締めした状態において、一対の金型間には、縦300mm×横300mm×高さ17.2mmの直方体形状のキャビティが形成されていた。なお、金型から繊維強化複合体を容易に取り出すことができるようにするために、実施例1と同様の要領で金型のキャビティの内面全面に離型処理を施した。
一対の金型のキャビティを開いてキャビティ内に積層体を配設した後、一対の金型を型締めしてキャビティを閉止した。次に、金型温度を140℃に加熱して、一対の金型のキャビティ内に収納している積層体をその繊維強化プラスチック層形成材が140℃となるように1分間に亘って加熱した。この積層体の加熱によって、発泡体の繊維強化プラスチック層形成材を積層させている面における表面部に含まれている気泡を押しつぶして偏平化させた。
更に、金型を型締めした状態において、金型温度を昇温速度1℃/分にて145℃となるまで昇温して、積層体をその繊維強化プラスチック層形成材が145℃となるように5分間に亘って加熱して繊維強化プラスチック層形成材中のエポキシ樹脂を硬化させると共に、繊維強化プラスチック層形成材を発泡体の表面に積層一体化させて繊維強化複合体を得た。なお、繊維強化プラスチック層形成材同士もこれらに含有されている硬化したエポキシ樹脂によって一体化していた。繊維強化複合体を冷却すると共に一対の金型を開いて、繊維強化複合体を得た。得られた繊維強化複合体は、硬化したエポキシ樹脂によって強化繊維同士が結着、固定された繊維強化プラスチック層が、硬化したエポキシ樹脂によって、発泡体の両面にそれらの表面に沿って全面的に密着した状態に積層一体化されていた。
(実施例8)
アクリル系樹脂Aを含み且つ表面に未発泡の表皮を有する発泡体(密度0.77g/cm3、発泡倍率15倍、積水化成品工業株式会社製 製品名「フォーマック #1500グレード」)を原反発泡体として用意した。発泡体から表皮を切断除去して、発泡体表面に気泡断面を露出させた。表皮を切断除去した後の発泡体は、一辺300mmの平面正方形状で且つ厚みが20mmであった。
ガラス繊維(日東紡績社製 商品名「WE181D」)からなる朱子織の織物から形成された強化繊維基材に熱可塑性エポキシ樹脂(ガラス転移温度:97℃)を40重量%含浸させた繊維強化プラスチック層形成材(長瀬ケムテック社製 商品名「NNGF60−03s」、目付:300g/m2、厚み:0.3mm)を2枚、用意した。繊維強化プラスチック層形成材は、一辺300mmの平面正方形状であった。2枚の繊維強化プラスチック層形成材をそれらの経糸の長さ方向が互いに90°の角度をなすように重ね合わせた。更に、同一の繊維強化プラスチック層形成材を2枚用意し、2枚の繊維強化プラスチック層形成材をそれらの経糸の長さ方向が互いに90°の角度をなすように重ね合わせた。
上記発泡体の両面のそれぞれに、重ね合わせた2枚の繊維強化プラスチック層形成材を積層して積層体を作製した。
一対の金型を用意した。一対の金型を型締めした状態において、一対の金型間には、縦300mm×横300mm×高さ18.2mmの直方体形状のキャビティが形成されていた。なお、金型から繊維強化複合体を容易に取り出すことができるようにするために、実施例1と同様の要領で金型のキャビティの内面全面に離型処理を施した。
一対の金型のキャビティを開いてキャビティ内に積層体を配設した後、一対の金型を型締めしてキャビティを閉止した。次に、金型温度を125℃に加熱して、一対の金型のキャビティ内に収納している積層体をその繊維強化プラスチック層形成材が125℃となるように1分間に亘って加熱した。この積層体の加熱によって、発泡体の繊維強化プラスチック層形成材を積層させている面における表面部に含まれている気泡を押しつぶして偏平化させた。
更に、金型を型締めした状態において、金型温度を昇温速度1℃/分にて130℃となるまで昇温して、積層体をその繊維強化プラスチック層形成材が130℃となるように5分間に亘って加熱した後に積層体を30℃以下となるまで冷却して繊維強化プラスチック層形成材を発泡体の表面に積層一体化させて繊維強化複合体を得た。なお、繊維強化プラスチック層形成材同士もこれらに含有されている硬化したエポキシ樹脂によって一体化していた。繊維強化複合体を冷却すると共に一対の金型を開いて、繊維強化複合体を得た。得られた繊維強化複合体は、熱可塑性エポキシ樹脂によって強化繊維同士が結着、固定された繊維強化プラスチック層が、熱可塑性エポキシ樹脂によって、発泡体の両面にそれらの表面に沿って全面的に密着した状態に積層一体化されていた。
(実施例9)
実施例7と同様の要領で発泡体を作製し、この発泡体を用いたこと、一対の金型間に形成されたキャビティの高さが17.2mmであったこと以外は実施例8と同様にして繊維強化複合体を得た。
(比較例1)
スペーサ4a、4bの厚みを11.2mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維強化複合体Aを得た。
(比較例2)
積層体A’の幅方向両端部の外側にスペーサ4a、4bを載置しなかった以外は、実施例1と同様にして、繊維強化複合体Aを得た。
(比較例3)
スペーサ4a、4bの厚みを21.2mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維強化複合体Aを得た。
(比較例4)
スペーサ4a、4bの厚みを21.2mmに変更した以外は、実施例5と同様にして、繊維強化複合体Aを得た。
(比較例5)
スペーサ4a、4bの厚みを21.2mmに変更した以外は、実施例6と同様にして、繊維強化複合体Aを得た。
(比較例6)
一対の金型間に形成されたキャビティの高さが11.2mmであったこと以外は、実施例8と同様にして繊維強化複合体を得た。
(評価)
繊維強化複合体に含まれている発泡体を構成しているコア発泡層、上面側表面発泡層及び下面側表面発泡層のそれぞれについて、気泡の平均アスペクト比、気泡の平均長径、見掛け密度、及びデュロメータ硬度を、上述した手順に従って測定した。また、圧縮工程における発泡体の圧縮変形率を、上述した手順に従って測定した。さらに、繊維強化複合体Aの比吸収エネルギー量を上述した手順に従って評価した。これらの結果を表1及び2に示す。
Figure 2014208418
Figure 2014208418
A 繊維強化複合体
1a コア発泡層
1b 表面層(表面発泡層)
1c 表面層(表面発泡層)
1 発泡体
2 繊維強化プラスチック層
3a 押圧部材
3b 押圧部材
4a スペーサ
5 リリースフィルム
6 ブリーザークロス
7 バギングフィルム
8 封止材
9 バックバルブ
B 空間部
10 ノズル金型
11 出口部
20 回転軸
30 駆動部材
40 冷却部材
41 冷却ドラム
42 冷却液
C 仮想円
50 回転刃

Claims (5)

  1. コア発泡層と、上記コア発泡層の両面に形成されてなる表面層とを含む発泡体、及び少なくとも一方の上記表面層に積層一体化されてなる繊維強化プラスチック層を有する繊維強化複合体であって、
    上記表面層のうち上記繊維強化プラスチック層が積層一体化されている表面層は、コア発泡層より硬質な表面発泡層として形成されてなり、
    上記コア発泡層に含まれている気泡の平均アスペクト比(Ac)が0.65〜1であり、且つ、上記表面発泡層に含まれている気泡の平均アスペクト比(As)が0.5〜0.8であることを特徴とする繊維強化複合体。
  2. コア発泡層に含まれている気泡の平均アスペクト比(Ac)が、表面発泡層に含まれている気泡の平均アスペクト比(As)よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合体。
  3. コア発泡層に含まれている気泡の平均アスペクト比(Ac)に対する表面発泡層に含まれている気泡の平均アスペクト比(As)の差(Ac−As)が、0.14以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維強化複合体。
  4. 発泡体の少なくとも一方の面に、強化用合成樹脂が含浸されている強化繊維を含む繊維強化プラスチック層形成材が積層された積層体を、上記強化用合成樹脂のガラス転移温度より50℃低い温度以上で且つ上記強化用合成樹脂のガラス転移温度より60℃高い温度以下で加熱しながら、上記発泡体の圧縮変形率が1〜45%となるように圧縮する圧縮工程を有することを特徴とする繊維強化複合体の製造方法。
  5. 圧縮工程の前に、積層体を、強化用合成樹脂のガラス転移温度より120℃低い温度以上で且つ上記強化用合成樹脂のガラス転移温度より80℃高い温度未満で加熱する予備加熱工程を有していることを特徴とする請求項4に記載の繊維強化複合体の製造方法。
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