JP6635571B2 - 伸線用潤滑剤及びそれを用いた母材の伸線方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼、非鉄金属製の伸線すべき母材である被加工原材を型鋼から引抜く際、それら互いの直接接触による焼付きを防止し、安定した加工状態を維持するために用いられる伸線用潤滑剤、及びそれを用いた母材の伸線方法に関するものである。
鉄鋼や非鉄金属のような金属製の線材ロッドや棒ロッドのようなロッドと呼ばれる伸線すべき母材である被加工原材を、ダイスのような型鋼から引抜いて、線材や棒材に塑性変形させる伸線加工には、被加工原材の脱酸化被膜処理、前処理、母材の多段階の縮径処理などの多くの工程を必要としている。
例えば、伸線加工において、縮径処理を行う前では、被加工原材は酸化物で覆われている為、先ず、これを除去する目的で、塩酸や硫酸又は硝フッ酸などの酸を使用して化学的に脱酸化被膜処理を行う。酸を使用しない脱酸化被膜処理として、被加工原材を金ブラシ又はやすりで擦って強制的に酸化被膜を取り除く機械的な処理もある。
脱酸化被膜処理を行った後、一次的な防錆性を付与し、伸線工程で使用する乾式潤滑剤がダイスへ引き込まれ易くする引込性能を付与し、乾式潤滑剤とのシナジー効果で伸線加工後の圧造加工への滑り性や耐焼付き性といった効能を発現させる為、前処理を行う。
一般的な従来の前処理は、液状の前処理剤を被加工体表面に塗布して加熱等の乾燥を行うことで造膜させて行う。使用する前処理剤は、水溶性又は非水溶性の薬剤であり、石灰石鹸、ホウ酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩といった水溶性無機物を主体とし被加工原材表面成分と反応せず造膜して非反応性被膜を形成する前処理剤と、リン酸亜鉛、シュウ酸といった被加工体表面の成分と反応する事で造膜して反応性化学的被膜を形成する前処理剤とが知られている。
それぞれの前処理剤は、一長一短があり、各用途に応じて使い分けられている。例えば、伸線後にメッキ加工など施す場合では、伸線後の線材を洗浄した際、脱脂しやすい前処理剤を使用する必要があり、反応性被膜を形成するリン酸亜鉛等を使用せず、水溶性のホウ酸塩や硫酸塩等で形成される非反応性の物理的被膜が使用される。一方、伸線速度が高速であったり被加工原材が非常に硬い材質であったり更には伸線後に絞りなど加工度の厳しい圧造する必要がある場合では、リン酸亜鉛やシュウ酸等により被加工原材の表面分子と反応して形成される反応性被膜が使用される。
被加工原材への前処理剤の塗布方法は、ロッドの束を処理槽で浸漬する方法(バッチ法、例えば特許文献1)や伸線ラインに前処理ラインを組み込んで行う方法(インライン法、例えば特許文献2)がある。
バッチ法は大量に処理する事ができるが、束の重なり部分にて造膜のバラツキが生じる事や大型設備となり設置スペースなどの問題がある。そのため、伸線ラインに組み込めるインライン法が、現実の代替案として、検討される傾向がある。
しかし、物理的被膜と反応性被膜との何れにおいても、十分な乾燥が必要である為、乾燥ラインの熱風を高温にしなければならないという課題や、非常に長い乾燥ラインにしなければならず、伸線速度を上げることができず生産効率を向上させ難いという課題が、あげられていた。
更に、バッチ法とインライン法との何れとも、廃棄物が大量に生じることも課題であり、特に反応性被膜においては反応後に浸漬槽内に生じる汚泥物のような副次物(スラッジ)の廃棄物の発生が社会的に問題視されており、その解決費用が製品価格に影響していることも顧客から問題視されている。
特開2012−051014号公報 特開2001−220693号公報
本発明は前記の課題を解決する為になされたもので、従来の前処理剤のように液状ではなく、粉末状であって、スラッジを生じさせず、浸漬や乾燥を必要とせず、簡便な前処理剤となり得ると共に、潤滑性、追従性、展延性、展着性、付着性、耐熱性の性能を発現できる潤滑剤として作用する伸線用潤滑剤、及びそれを効果的に発揮する為の伸線方法を提供する事を目的とする。
前記の目的を達成するためになされた本発明の伸線用潤滑剤は、0.1μm〜100μmの体積平均粒子径の粉末を含むものであり、前記粉末は、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との金属石鹸混合物が含まれていることを特徴とする。
この伸線用潤滑剤は、例えば伸線処理されるべき母材への静電塗布被覆用である。
この伸線用潤滑剤は、固体のままであって、乾式潤滑剤であることを特徴とする。即ち、水溶液や懸濁液の状態にせずとも母材に粉末状態で被覆することができるというものである。
この伸線用潤滑剤は、前処理剤を兼ねていることが好ましい。即ち、母材に対して、物理的被膜や反応性被膜を前処理として予め施す必要がないものである。
この伸線用潤滑剤中、例えば前記飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と前記直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との前記金属石鹸混合物が可逆的熱可塑性を示している
この伸線用潤滑剤中、前記金属石鹸混合物は、前記飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と前記直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸とが、夫々の固体状態で混合されたものであり、及び/又は一方の少なくとも一部が他方に固溶状態で混合されたものであることが好ましい。
この伸線用潤滑剤は、例えば、前記金属石鹸混合物を、10〜50質量%含むというものである。
この伸線用潤滑剤は、前記飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸が、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、及びメリシン酸から選ばれる少なくとも何れかの飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸からなるものであって、前記金属石鹸混合物中に50〜90質量%含まれていることが好ましい。
この伸線用潤滑剤は、前記直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸が、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸から選ばれる少なくとも何れかの直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸からなるものであって、前記金属石鹸混合物中に10〜50質量%含まれているものであってもよい。
この伸線用潤滑剤は、前記金属石鹸が、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、バリウム塩、チタン塩、ジルコニウム塩、及び/又はそれらの少なくとも何れかの複合金属塩であると好ましい。
この伸線用潤滑剤は、前記金属石鹸混合物中に、ホウ酸、ホウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、消石灰、酸化チタン、タルク、雲母、黒鉛、二硫化モリブデン、層状複水酸化物、フッ素樹脂、メラミン樹脂、ワックス及び/又は硫黄が、含まれていてもよい。
本発明の伸線用母材は、前記の伸線用潤滑剤が、伸線処理されるべき母材の表面へ、静電的に付着されているというものである。
この伸線用母材は、前記伸線用潤滑剤が、粉末のまま及び/又は少なくとも一部で膜状として、前記母材に付着していてもよい。
本発明の母材伸線方法は、前記の伸線用潤滑剤を、静電塗布により、伸線処理されるべき母材の表面に付着させて被覆する静電塗布処理工程と、前記母材をダイスで縮径して伸線する伸線工程とを、有するというものである。
この母材伸線方法は、前記静電塗布処理工程が、伸線前処理を兼ねていることが好ましい。
この母材伸線方法は、例えば前記母材が、金属製であるというものである。
この母材伸線方法は、前記伸線工程が、冷間加工であることが好ましい。冷間加工とは、常温加工とも称されるもので、加熱することなく伸線加工するもので、摩擦熱で母材表面だけがせいぜい400℃未満にしなからず、金属又は合金にその再結晶温度以下で塑性変形を与えるようなものである。
本発明の伸線用潤滑剤は、静電塗布可能な微細な粉末状であって、従来の様に液状ではない為、浸漬条件や乾燥条件に左右されることなく被加工原材である母材表面に短時間で均一に造膜させる事ができ、硬質材料や高速下の過酷な伸線加工条件で使用できる。
従って、この伸線用潤滑剤は、脱酸化被膜工程が酸洗いや機械的な方法に左右される事なく、更には乾燥ラインを必要とせず、伸線ラインに組み込め、簡便に用いられるものである。
また、この伸線用潤滑剤は、前処理剤及び乾式潤滑剤として働くのに有用な可逆的熱可塑性を示す金属石鹸混合物が含まれている。伸線の際に1ダイス目の伸線前に静電塗布機により付着させ、1ダイス目には乾式潤滑剤を使用せずとも安定に伸線加工が行え、尚且つ伸線加工時に加熱面や加圧面で本発明の伸線用潤滑剤が溶融又は半溶融して、線材表面に柔軟性に富む潤滑性被膜を形成し、潤滑性、追従性、展延性、展着性、付着性、耐熱性の性能を発現して、伸線加工及び圧造加工をし易くする。
従って、この伸線用潤滑剤は、簡便な前処理剤となり得ると共に、潤滑性等のこれら性能を発現できる潤滑剤として作用する。更に、伸線加工により形成された粉末前処理剤と乾式潤滑剤との相乗効果により潤滑性等のこれらの性能を発現することによって、圧造工程といった加工においても従来の反応性被膜と同等又はそれ以上の効果が発揮できる。
また、この伸線用潤滑剤を用いれば、廃棄物の発生が抑えられ、母材表面に静電付着させることができ、粉末状の付着層を形成できる。静電付着した粉末は、反応性被膜でなく反応性被膜を形成させる浸漬槽を有しない為、浸漬槽内でスラッジが生じる恐れがなく、環境にやさしく、スラッジの廃棄費用の大幅な削減ができる。
本発明の伸線用母材は、伸線用潤滑剤が伸線直前に静電付着しているので伸線加工が簡便となる。
また本発明の母材伸線方法によれば、従来のように液状でなく粉末状の伸線用潤滑剤を用いており、乾燥ラインを必要とせずそれに左右されない為、伸線速度の高速化ができ生産性の向上が図れ、効率の良い伸線加工を行って、高品質の伸線を歩留まり良く製造することができる。
また、この母材伸線方法中、伸線用潤滑剤で伸線の際に形成される被膜が反応被膜ではない為、スラッジの発生がなく、消費電力や廃棄費用等の製造費用が大幅に削減できると共に環境問題への対策にも貢献できる。
以下、本発明の実施のための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明の伸線用潤滑剤の好ましい実施の一態様は、0.1μm〜100μm、好ましくは1〜50μmの体積平均粒子径の粉末を含むものであり、冷間加工で伸線すべき母材、例えば金属製の母材に粉末状態で静電塗布によって静電的に付着させて被覆させるためのものである。体積平均粒子径が0.1μmを下回ると静電装置内で流動性が不安定となり塗布不良が生じ易くなり、一方100μmを上回ると粒子径が大きくなり過ぎて、静電付着し難くなってしまう。
この伸線用潤滑剤は、水溶液や懸濁液のような液状とせずとも、粉末の固体のまま乾式潤滑剤として用いられるもので、前処理剤を兼ねている。
この伸線用潤滑剤中、粉末は、体積平均粒子径を0.1μm〜100μmとしつつ、最大粒子径が150μm未満好ましくは120μm未満とするものである。この最大粒径を超えた大きな粉末粒子は静電付着し難くなってしまったり、それ未満の粒子径の粉末粒子を吸着してより大きな凝集粒子となってしまったりするので、生産性を低下させてしまう。
この伸線用潤滑剤中、粉末は、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との金属石鹸混合物のみからなっていてもよく、含んでいてもよい。
この伸線用潤滑剤中、粉末は、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸とが、夫々の固体状態で混合されたものである。また、この粉末は、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸の一部又は全部が、直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸に固溶状態で混合されたものであってもよく、直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸の一部又は全部が、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸に固溶状態で混合されたものであってもよい。
この伸線用潤滑剤中、粉末は、金属石鹸混合物を10〜50質量%含んでいることが好ましく、残余の主成分を無機物及び添加剤とすることが好ましい。
この伸線用潤滑剤の粉末中、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸として、炭素数3〜29のもので、直鎖状、分岐鎖状、及び/又は環状の飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸が挙げられ、より具体的には、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、及びメリシン酸から選ばれる少なくとも何れかの飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、複数組み合わせて用いられてもよい。飽和脂肪族モノカルボン酸は、市販品であってもよく、多種類の飽和脂肪族モノカルボン酸エステル及び不飽和脂肪族モノカルボン酸エステルを含んでいる動物性油脂や植物性油脂のような天然油脂を、水素添加して加水分解したものであってもよい。
この伸線用潤滑剤の粉末中、直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸として、例えば炭素数4〜18の直鎖型で直鎖両末端にカルボキシル基を有する飽和脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸が挙げられ、より具体的にはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸から選ばれる少なくとも何れかの直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、複数組み合わせて用いられてもよい。
この伸線用潤滑剤の粉末中、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との重量比が、50〜90質量%:10〜50質量%、好ましくは60〜90質量%:10〜40質量%、一層好ましくは70〜90質量%:10〜30質量%である。
飽和脂肪族モノカルボン酸と直鎖脂肪族ジカルボン酸との夫々の金属石鹸が、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、バリウム塩、チタン塩、ジルコニウム塩であってもよい。飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と、直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸とは夫々独立して、単一金属の塩であってもよく、それら塩の何れかの複合金属塩であってもよい。
この粉末は、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸とが、夫々の固体状態で混合されて調製されてもよい。また、一方の少なくとも一部が他方に固溶状態で混合、例えば低融点の一方が高融点の他方に溶融して混合されて冷却され、又は両方が均一に溶融して混合されて冷却されて調製されてもよい。
この伸線用潤滑剤の粉末は、金属石鹸混合物を10〜50質量%含み、残余の主成分を無機物及び添加剤とする場合、その無機物及び添加剤としてホウ酸、ホウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、消石灰、酸化チタン、タルク、雲母、黒鉛、二硫化モリブデン、層状複水酸化物、フッ素樹脂、メラミン樹脂、ワックス及び/又は硫黄が挙げられる。この粉末は、金属石鹸混合物とこれらの無機物及び添加剤とが何れも前記の平均粒径の範囲内とする必要がある。このような無機物及び添加剤は、金属石鹸混合物と共存することにより、耐熱性及び極圧性の向上として作用する。
伸線用潤滑剤は、必要に応じて増粘剤、バインダー、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、防食剤、消泡剤、荷電制御剤のような添加剤を含んで総量が調整されていてもよい。これらの添加剤は、伸線用潤滑剤中、50〜90質量%含まれることが好ましい。
この伸線用潤滑剤を調製する際、この粉末が前記の平均粒径となるように乾式粉砕及び湿式粉砕方法によって粉砕することによって得られたものであってもよく、必要に応じ粒径分級したものであってもよい。乾式粉砕法としてジェットミルを使用して粉砕する。必要に応じ所定の粒径になるまで複数回ジェットミルに通し粉砕する。体積平均粒径・最大粒径はマイクロトラック(レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置)により評価する。
伸線用潤滑剤は前処理剤を兼ねるので、伸線用母材を予め液状の前処理剤で母材に塗布して加熱等の乾燥を行うことで非反応性被膜又は反応性化学的被膜を造膜させるような面倒な前処理工程が必要ない。
伸線用潤滑剤は、従来の前処理等として液状の前処理剤中に母材を浸漬させるような面倒な操作を必要とせず、従って前処理剤を湛えた浸漬槽内に前処理を繰り返すことにより生じる汚泥物のような副次物(スラッジ)の除去処理が不要であり、環境に優しい。
伸線用母材は以下のようにして製造される。例えば飽和脂肪族モノカルボン酸と直鎖脂肪族ジカルボン酸とを夫々別々に金属石鹸にしてから任意に添加される無機物や添加物と共に加熱することなく個別に混合し、又は飽和脂肪族モノカルボン酸と直鎖脂肪族ジカルボン酸とを任意に添加される無機物や添加物と共に混合しながら加熱して、金属石鹸の混合物にする。その後、粉砕し、必要に応じて分級し、必須成分の飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との金属石鹸混合物及び任意成分の無機物や添加物が含まれた微細な粉末を含む乾式伸線用潤滑剤を製造することによって、得られる。
次いで伸線用潤滑剤が伸線処理されるべき母材の表面へ、伸線処理直前に用時、静電的に付着される。付着には静電塗布が用いられる。静電塗布には、例えばコロナ帯電式静電塗布装置を使用する。静電塗布の条件は、例えば、エア圧0.5〜0.9MPa、風量40〜70L/分、吐出量を0.2〜1.0g/秒、塗着電圧・電流を80kV・80μAで行うというものである。エア圧が0.5MPa未満では塗布量が不足となる、0.9MPaを上回ると装置限界となる。風量及び吐出量が下限を下回ると付着量が少なくなり伸線が困難となる。このように市販の静電塗布装置を用いて静電塗布することにより、伸線用潤滑剤の十分な量が母材の表面に静電付着する。
その後、伸線工程を行う。伸線用潤滑剤が静電付着したまま伸線処理、例えばダイスのような鋼型を通して伸線する冷間加工を行うと、多少の摩擦熱で静電付着した伸線用潤滑剤の一部又は全部が熱溶融又は加圧及び摩擦で母材表面に被膜を形成することとなる。この被膜は、引き続く段階的な伸線による縮径の際に、さらに静電塗布を行う必要がなく、膜状又は層状の潤滑剤として引き続き作用する。多段階のうち二段階目以降の縮径の際、この伸線用潤滑剤の微細粉末よりも大粒径の粉状又は粒状の潤滑剤や潤滑シートを用いて伸線を行ってもよい。
以下、本発明を適用する実施例と本発明を適用外の比較例について説明する。
(実施例1)
攪拌装置を備えた反応容器内に、純度65%の工業用ステアリン酸(残余は炭素数12〜16の脂肪族モノカルボン酸)25質量部と、純度99.5%の工業用セバシン酸を15質量部とを加え、撹拌しながら加熱融解させた後、消石灰50質量部、二硫化モリブデン10質量部を加えた。この混合物に粘性が生じるまで加熱攪拌を続けた。混合物が硬くなったら加熱攪拌を止め、取り出して冷却し、体積平均粒子径が5μm程度となるように、ジェットミル装置(株式会社セイシン企業製、製品名STJ−200型超微粉砕実験装置)により粉砕圧力を0.4MPa〜0.6MPaの間に調整し、送風量を3.0m/min以下の条件にて粉砕し、実施例1の乾式伸線用潤滑剤を得た。なお、体積平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(日機装株式会社製、製品名Microtac MT3000 EX II)により、溶媒にイソプロピルアルコールを用いて超音波により粒子を均一に分散させ、レーザー回折・散乱法に準じて測定した。
(比較例1)
攪拌装置を備えた反応容器内に、純度65%の工業用ステアリン酸(残余は炭素数12〜16の脂肪族モノカルボン酸)40質量部を撹拌しながら加熱融解させた後、消石灰50質量部、二硫化モリブデン10質量部を加えた。この混合物に粘性が生じるまで加熱攪拌を続けた。混合物が硬くなったら加熱攪拌を止め、取り出して冷却し、体積平均粒子径が5μm程度(前記同様にレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置により測定。)になるように粉砕し、比較例1の潤滑剤を得た。
(比較例2)
攪拌装置を備えた反応容器内に、純度65%の工業用ステアリン酸(残余は炭素数12〜16の脂肪族モノカルボン酸)40質量部を撹拌しながら加熱融解させた後、消石灰50質量部、二硫化モリブデン10質量部を加えた。この混合物に粘性が生じるまで加熱攪拌を続けた。混合物が硬くなったら加熱攪拌を止め、取り出して冷却し、篩目開き500μmの篩で通過率が60%程度になるように粉砕し、比較例2の潤滑剤を得た。
実施例1の乾式伸線用潤滑剤及び比較例1、2の潤滑剤を用いて、伸線機により伸線加工し、その性能評価を行った。先ず、ダイスを用いて、伸線加工を行った。その加工条件及び性能評価方法並びにその結果は、下記の通りである。
(加工条件1とその性能評価)
被加工原材の材質:ステンレス鋼材 SUS−304の皮むき材
線速:40m/分
前処理:なし
線径の縮径:2.6mmφ→2.25mmφ→2.00mmφの2段階
潤滑剤:実施例1の乾式伸線用潤滑剤、比較例1・2の潤滑剤を1パス目のみ使用して伸線
より具体的には、加工条件1では、ステンレス鋼材SUS−304の皮むき材を酸洗いやショット及び従来の前処理剤などによる前処理を行わずに、被加工線材である母材として使用した。1パス目において、予め、実施例1の乾式伸線用潤滑剤又は比較例1の潤滑剤を、静電塗布装置(旭サナック株式会社製、製品名EC Corona−X)による静電塗布装にて被加工線材へ塗布した。塗布条件は塗布距離を100mm,吐出量を0.4g/秒、塗着電圧・電流を80kV・80μAで行った。2.6mmφ→2.25mmφへと室温条件下で伸線した。次に2パス目において、実施例1、比較例1の潤滑剤を使用せずにそのまま、室温条件下で、2.25mmφ→2.00mmφへと伸線した。
伸線後の線材に焼付き及びダイスマークの有無により伸線性の確認を行った。
実施例1、比較例1の各潤滑剤を使用した条件における伸線加工の結果を、下記表にまとめる。
Figure 0006635571
実施例1の乾式伸線用潤滑剤及び比較例1の潤滑剤を用いた場合、静電塗布により付きまわり性に優れ被加工材に均一に付着する事が認められ、1パス目では何れも焼付きやダイスマークは認められず伸線状態は良好であった。実施例1の乾式伸線用潤滑剤では2パス目も1パス目で付着した被膜が十分に残存し焼付き・ダイスマークが生じず伸線状態は良好であった。しかし、比較例1の潤滑剤では2パス目では著しい焼付きが生じ伸線する事が困難であった。
実施例1の乾式伸線用潤滑剤は展延性に優れた可逆的な熱可塑性を有している為、1パス目に付着した実施例1が2パス目以降においても伸線加工熱により溶融又は半溶融状態を発現し、良好な伸線性を示したと考えられる。それに対し、比較例1の潤滑剤は、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との金属石鹸混合物でない為に可逆的な熱可塑性がなく、また被膜展延性が悪い為に2パス目まで被膜が残存せず、伸線不良であった。
(加工条件2及びその性能評価)
被加工原材の材質:ステンレス鋼材 SUS−304の皮むき材
線速:40m/分
前処理:前処理剤(硫酸カリウムを主体とした前処理剤;共栄社化学株式会社製、商品名ライトコートSP−3V)
線径の縮径:2.6mmφ→2.25mmφ→2.00mmφの2段階
潤滑剤:比較例2の潤滑剤を1パス目に使用して伸線
より具体的には、加工条件2では、ステンレス鋼材SUS−304の皮むき材にラインで実績のある前処理剤(共栄社化学株式会社製、商品名:ライトコートSP−3V、硫酸カリウム系前処理剤)を15wt%含有する水溶液に浸漬し、105℃で完全に乾燥させて前処理を施したものを、被加工線材である母材として使用した。続いてダイスボックス内に比較例2の潤滑剤を任意量投入して、1パス目として2.6mmφ→2.25mmφの伸線加工を室温条件下で行った。次いで2パス目として2.25mmφ→2.00mmφの伸線加工について、潤滑剤を使用せずに室温条件下で行なった。
伸線後の線材に焼付き及びダイスマークの有無により伸線性の確認を行った。
比較例2の潤滑剤を使用した条件における伸線加工の結果を、下記表に示す。
Figure 0006635571
表2に示すように、加工条件2において比較例2の乾式伸線用潤滑剤は、線材表面に前処理剤被膜による凹凸が形成されている為、1パス目の伸線は可能であった。しかし2パス目は、潤滑剤の展延性と被膜残存性が乏しいため伸線不良となった。
(加工条件3及びその性能評価)
被加工原材の材質:ステンレス鋼材 SUS−304の皮むき材
線速:40m/分
前処理:なし
線径の縮径:2.6mmφ→2.25mmφ→2.00mmφの2段階
乾式潤滑剤:比較例2の潤滑剤を1パス目に使用して伸線
より具体的には、加工条件3では、ステンレス鋼材SUS−304の皮むき材を酸洗いやショット及び従来の前処理剤などの処理を行わずに、被加工線材である母材として使用した。1パス目においてダイスボックス内に比較例2を任意量投入して、2.6mmφ→2.25mmφを伸線した。2パス目となる2.25→2.00mmは比較例2なしにて室温条件で伸線し、その伸線評価を行なった。
被加伸線後の線材に焼付き及びダイスマークの有無により伸線性の確認を行った。
比較例2の潤滑剤を使用した条件伸線加工の結果を、下記表に示す。
Figure 0006635571
前処理剤を施した加工条件2では、1パス目は焼付きやダイスマークを生じずに伸線する事ができた。2パス目は焼付きが認められた。一方、前処理を施さない加工条件3では、1パス目より焼付きが生じる結果となった。加工条件3の結果と加工条件2の前処理剤を使用した結果より、本発明の乾式伸線用潤滑剤は従来の前処理剤を施した伸線加工状態と同等若しくはそれ以上の潤滑性及び展延性を有しているといえる。
(加工条件4及びその性能評価)
被加工原材の材質:72A材
線速:10m/分
前処理:なし
線径の縮径:2.8mmφ→2.5mmφ→2.25mmφ→2.00mmφの3段階
潤滑剤:実施例1の乾式伸線用潤滑剤(1パスのみ実施例1の乾式伸線用潤滑剤を静電塗布装置にて付着させて伸線し、2,3パス目は静電塗布及び潤滑剤を使用せずに伸線した。)
より具体的には、加工条件4では、被加工線材を12質量%塩酸水溶液にて、被加工線材表面の酸化スケールを酸洗除去した後、水洗を数回施し、乾燥し被加工線材である母材として使用した。2.8mmφ→2.5mmφの1パス目において、予め実施例1の乾式伸線用潤滑剤を静電塗布装にて被加工線材へ塗布した。塗布条件は、塗布距離を100mm、吐出量を0.4g/秒、塗着電圧・電流を80kV・80μAで行った。室温条件下で伸線した。次に2.5mmφ→2.25mmφ及び2.25mmφ→2.0mmφの伸線加工を、実施例1の乾式伸線用潤滑剤を使用せずに、室温条件下で行った。
伸線後の線材に焼付き及びダイスマークの有無により伸線性の確認を行った。
実施例1の乾式伸線用潤滑剤を使用した条件における伸線加工の結果を、下記表に示す。
Figure 0006635571
実施例1の乾式伸線用潤滑剤は、静電塗布により付きまわり性に優れ被加工材に均一に付着する事が認められ、1パス目では何れも焼付きやダイスマークは認められず伸線状態は良好であった。実施例1乾式伸線用潤滑剤は、2,3パス目も1パス目で付着した被膜が十分に残存し焼付き・ダイスマークが生じず伸線状態は良好であった。
(加工条件5及びその性能評価)
被加工原材の材質:72A材
線速:10m/分
前処理:リン酸亜鉛
線径の縮径:2.8mmφ→2.5mmφ→2.25mmφ→2.00mmφの3段階
潤滑剤:比較例2の潤滑剤を1パス目に使用して伸線
より具体的には、加工条件5では、被加工線材を12質量%塩酸水溶液で処理して、被加工線材表面の酸化スケールを酸洗除去した後、80℃に加熱した4%のリン酸亜鉛水溶液に10分間浸漬し、水洗を数回施し、乾燥し被加工線材である母材とした。続いてダイスボックス内に比較例2の潤滑剤を任意量投入して、被加工線材の伸線評価を上記の条件に従い行った。2.8mmφ→2.5mmφの伸線加工に比較例2の潤滑剤を使用して伸線加工を行った。次に2.5→2.25mmφ及び2.25→2.0mmφの伸線加工は比較例2を使用せずに伸線加工を行った。伸線後の線材に焼付き及びダイスマークの有無により伸線性の確認を行った。
比較例2の潤滑剤を使用した条件における伸線加工の結果を、下記表に示す。
Figure 0006635571
圧造加工で実績のあるリン酸亜鉛皮膜で前処理した線材では、何れのパスでも焼付きやダイスマークなしで安定に伸線する事ができた。加工条件4の結果と加工条件5の結果が同様である事から、加工条件4で造膜した実施例1の乾式伸線用潤滑剤の場合によれば、反応性被膜と同等の潤滑性及び展延性を有していると考えられ、圧造加工においても同等の結果が得られると考えられる。
本発明の伸線用潤滑剤は、鉄鋼のような金属製のワイヤ、管、棒、ロッド等の被加工原材である母材を、ダイス等の型鋼から引抜いて、線材や棒材に塑性変形させて縮径する伸線加工の際に、用いられる。
本発明の伸線用母材及びそれを用いた母材伸線方法によれば、前処理を必要とせず、伸線加工を行うことができる。

Claims (17)

  1. 0.1μm〜100μmの体積平均粒子径の粉末を含むものであり、前記粉末は、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との金属石鹸混合物が含まれていることを特徴とする伸線用潤滑剤。
  2. 伸線処理されるべき母材への静電塗布被覆用であることを特徴とする請求項1に記載の伸線用潤滑剤。
  3. 固体のままであって、乾式潤滑剤であることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の伸線用潤滑剤。
  4. 前処理剤を兼ねることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の伸線用潤滑剤。
  5. 前記飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と前記直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との前記金属石鹸混合物が可逆的熱可塑性を示していることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の伸線用潤滑剤。
  6. 前記金属石鹸混合物は、前記飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と前記直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸とが、夫々の固体状態で混合されたものであり、及び/又は一方の少なくとも一部が他方に固溶状態で混合されたものであることを特徴とする請求項5に記載の伸線用潤滑剤。
  7. 前記金属石鹸混合物を、10〜50質量%含むことを特徴とする請求項5〜6の何れかに記載の伸線用潤滑剤。
  8. 前記飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸が、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、及びメリシン酸から選ばれる少なくとも何れかの飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸からなるものであって、前記金属石鹸混合物中に50〜90質量%含まれていることを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の伸線用潤滑剤。
  9. 前記直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸が、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸から選ばれる少なくとも何れかの直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸からなるものであって、前記金属石鹸混合物中に10〜50質量%含まれていることを特徴とする請求項5〜8の何れかに記載の伸線用潤滑剤。
  10. 前記金属石鹸が、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、バリウム塩、チタン塩、ジルコニウム塩、及び/又はそれらの少なくとも何れかの複合金属塩であることを特徴とする請求項5〜9の何れかに記載の伸線用潤滑剤。
  11. 前記金属石鹸混合物中に、ホウ酸、ホウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、消石灰、酸化チタン、タルク、雲母、黒鉛、二硫化モリブデン、層状複水酸化物、フッ素樹脂、メラミン樹脂、ワックス及び/又は硫黄が、含まれていることを特徴とする請求項5〜10の何れかに記載の伸線用潤滑剤。
  12. 請求項1〜11の何れかに記載の伸線用潤滑剤が、伸線処理されるべき母材の表面へ、静電的に付着されていることを特徴とする伸線用母材。
  13. 前記伸線用潤滑剤が、粉末のまま及び/又は少なくとも一部で膜状として、前記母材に付着していることを特徴とする請求項12に記載の伸線用母材。
  14. 請求項1〜11の何れかに記載の伸線用潤滑剤を、静電塗布により、伸線処理されるべき母材の表面に付着させて被覆する静電塗布処理工程と、
    前記母材をダイスで縮径して伸線する伸線工程とを、
    有することを特徴とする母材伸線方法。
  15. 前記静電塗布処理工程が、伸線前処理を兼ねていることを特徴とする請求項14に記載の母材伸線方法。
  16. 前記母材が、金属製であることを特徴とする請求項14〜15の何れかに記載の伸線方法。
  17. 前記伸線工程が、冷間加工であることを特徴とする請求項14〜16の何れかに記載の伸線方法。
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