JP5204467B2 - 乾式伸線用潤滑剤 - Google Patents

乾式伸線用潤滑剤 Download PDF

Info

Publication number
JP5204467B2
JP5204467B2 JP2007310382A JP2007310382A JP5204467B2 JP 5204467 B2 JP5204467 B2 JP 5204467B2 JP 2007310382 A JP2007310382 A JP 2007310382A JP 2007310382 A JP2007310382 A JP 2007310382A JP 5204467 B2 JP5204467 B2 JP 5204467B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
unsaturated fatty
dry
lubricant
salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007310382A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009132811A (ja
Inventor
啓嗣 奥山
謙三 藤井
和樹 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyoeisha Chemical Co Ltd
Original Assignee
Kyoeisha Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyoeisha Chemical Co Ltd filed Critical Kyoeisha Chemical Co Ltd
Priority to JP2007310382A priority Critical patent/JP5204467B2/ja
Publication of JP2009132811A publication Critical patent/JP2009132811A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5204467B2 publication Critical patent/JP5204467B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Metal Extraction Processes (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Description

本発明は、ダイスを用いて金属製被加工原材を引き抜き加工(伸線加工)する際に用いられる潤滑剤に関するものである。
鉄鋼のような金属製の被加工原材を、ダイスを用いて引抜いて、目的線径の線材や棒材に塑性変形させる伸線加工の際に、乾式伸線用潤滑剤が汎用されている。この潤滑剤は、被加工原材とダイスとが、直接接触して焼付くのを防止し、滑り易くして安定した加工状態を維持するために、用いられるものである。
汎用の乾式伸線用潤滑剤は、飽和脂肪酸の金属石鹸を主要有効成分とし、さらに無機物、添加剤を含んでいる。金属石鹸として、加工用途に応じてナトリウム系石鹸やカルシウム系石鹸が、適宜選択されて用いられている。
ナトリウム系のようなアルカリ金属系の石鹸を含む乾式伸線用潤滑剤は、滑り性を有した潤滑被膜を形成し易い。しかもその潤滑被膜が水溶性である。そのため、この潤滑剤は、メッキ前や、熱処理前工程の際に、除去し易いという特長を有している。その反面、高温に晒されると、液化してしまうため、潤滑剤に必要な追随性が失われ、線材への展着性が低下するという理由で、高速伸線などの過酷な条件で伸線加工するには、不向きである。さらに、折角、線材へ展着できたとしても、それにより形成された潤滑被膜が剥離し易い所為で、剥離した被膜から生じた粉塵による作業環境の悪化、作業者の健康被害、環境汚染などを引き起こすという問題があった。
一方、カルシウム系のようなアルカリ土類系の石鹸を含む乾式伸線用潤滑剤は、軟化点が高く、リゼクションの発生を低減するという特長を有している。その反面、加熱によって潤滑剤が硬くなり易い所為で、連続して伸線加工する際、ダイス通過数量が多くなるに従い、潤滑剤の展着性が失われ、潤滑剤の被膜切れを起こし易いという問題があった。
別な乾式伸線用潤滑剤として、例えば、特許文献1に、アルカリ金属硫酸塩及びアルカリ金属ホウ酸塩を必須成分とし、飽和脂肪酸のアルカリ金属塩、飽和脂肪酸のアルカリ土類金属塩、固体潤滑剤及び水溶性熱可塑性樹脂を含み、潤滑性、作業性に優れた潤滑剤組成物が、開示されている。
生産性の向上のために、従来の飽和脂肪酸の金属石鹸を含む乾式伸線用潤滑剤の特長を維持しつつ、さらに高温、高圧、高速下の過酷な条件で伸線加工するのに耐え得る高性能の乾式伸線用潤滑剤が求められていた
特開平10−36876号公報
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、高温、高圧、高速下の過酷な伸線加工条件で使用でき、細径から太径までの幅広い線径への縮径や、低速から高速までの幅広い線速にも対応でき、潤滑性、追随性、展着性、付着性、耐熱性、加工性、作業性、安全性、耐久性等に優れた高性能の乾式伸線用潤滑剤を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲に記載の請求項1の乾式伸線用潤滑剤は、飽和脂肪酸の金属石鹸の30〜90重量%と、加熱下及び/又は加圧下で多量体になる不飽和脂肪酸が該加熱及び/又は該加圧によって多量化した該多量体金属石鹸の1〜30重量%とが、含まれており、該飽和脂肪酸の金属石鹸と該多量体の金属石鹸とが、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、バリウム塩から選ばれる複合金属塩であることを特徴とする。
請求項2の乾式伸線用潤滑剤は、請求項1に記載されたもので、前記飽和脂肪酸が、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、及び/又はメリシン酸であることを特徴とする。
請求項3の乾式伸線用潤滑剤は、請求項1に記載されたもので、不飽和脂肪酸が、オプツシル酸、カプロレイン酸、ウンデシレイン酸、リンデル酸、シズ酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスレピン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、ゴンドレイン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、セラコレイン酸、キシメン酸、ルメクエン酸から選ばれる少なくとも1種類のモノエン不飽和脂肪酸;ソルビン酸、リノール酸、ヒラゴ酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、プニカ酸、リノレイン酸、γ-リノレイン酸、モロクチ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ニシン酸から選ばれる少なくとも1種類のポリエン不飽和脂肪酸;タリリン酸、ステアロール酸、クレペニン酸、キシメニン酸から選ばれる少なくとも1種類のモノイン不飽和脂肪酸、及び/又はポリイン不飽和脂肪酸であることを特徴とする。
請求項4の乾式伸線用潤滑剤は、請求項1に記載されたもので、前記多量体が、前記不飽和脂肪酸のダイマー酸であることを特徴とする。
請求項5の乾式伸線用潤滑剤は、請求項1に記載されたもので、ホウ酸、ホウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、消石灰、酸化チタン、タルク、雲母、黒鉛、二硫化モリブデン、層状複水酸化物、及び/又は硫黄が、含まれていることを特徴とする。
本発明の乾式伸線用潤滑剤は、特に高速、高減面率の条件下にて伸線加工する際に用いられるものである。この潤滑剤は、その条件により分子間重合反応を起こし易い不飽和脂肪酸金属石鹸が含まれているので、伸線加工時に加熱面や加圧面で分子間重合反応が起こって多量化して、線材表面に柔軟性に富む潤滑性被膜を形成し、潤滑性、追随性、展着性、付着性を発現して、伸線加工し易くする。
この乾式伸線用潤滑剤は、従来のように飽和脂肪酸の金属石鹸を用いた乾式伸線用潤滑剤よりも、線材表面で剥がれ難い優れた滑り性を有する潤滑被膜を形成できる。この潤滑性被膜は、耐熱性や高温展着性に優れている。
この乾式伸線用潤滑剤は、従来の乾式伸線用潤滑剤を用いた伸線条件のみならず、それよりも遥かに過酷な高速、高減面率の伸線条件にも適しているので、太線から細線の幅広い線径の伸線を形成する際に、特に有用である。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
乾式伸線用潤滑剤の好ましい実施の一態様は、飽和脂肪酸の金属石鹸と、不飽和脂肪酸の金属石鹸とが、含まれたものである。
飽和脂肪酸は、炭素数4〜30のもので、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の飽和脂肪酸が挙げられ、より具体的には、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、複数組み合わせて用いられてもよい。飽和脂肪酸は、市販品であってもよく、多種類の飽和脂肪酸エステル及び不飽和脂肪酸エステルを含んでいる動物性油脂や植物性油脂のような天然油脂を、水素添加して加水分解したものであってもよい。
飽和脂肪酸の金属石鹸が、乾式伸線用潤滑剤中に、30〜90重量%含まれていることが好ましい。
不飽和脂肪酸は、炭素数6〜30のもので、直鎖状、分岐鎖状、又は環状で、不飽和二重結合基を1〜6基有するモノ−又はポリ−エン不飽和脂肪酸や、三重結合を1〜2基有するモノ−又はポリ−イン不飽和脂肪酸不が挙げられる。
モノエン不飽和脂肪酸として、例えば、炭素数10〜30で長鎖の鎖中又は末端に二重結合基を有するモノエン不飽和脂肪酸、より具体的には、オプツシル酸、カプロレイン酸、ウンデシレイン酸、リンデル酸、シズ酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスレピン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、ゴンドレイン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、セラコレイン酸、キシメン酸、ルメクエン酸が挙げられる。
ポリエン不飽和脂肪酸として、例えば、炭素数6〜24で、鎖中又は末端に共役していても共役していなくてもよい二重結合基を有するポリエン不飽和脂肪酸、より具体的には、ソルビン酸、リノール酸のようなジエン不飽和脂肪酸;ヒラゴ酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、プニカ酸、リノレイン酸、γ-リノレイン酸のようなトリエン不飽和脂肪酸;モロクチ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸のようなテトラエン不飽和脂肪酸;イワシ酸のようなペンタエン不飽和脂肪酸;ニシン酸のようなヘキサエン不飽和脂肪酸が挙げられる。また、ポリエン不飽和脂肪酸として、タリリン酸、ステアロール酸、クレペニン酸、キシメニン酸のようなモノイン不飽和脂肪酸やポリイン不飽和脂肪酸も挙げられる。
不飽和脂肪酸は、モノエン不飽和脂肪酸、ポリエン不飽和脂肪酸の単独で用いられても、複数組み合わせて用いられてもよい。ポリエン不飽和脂肪酸を有するものであると、一層好ましい。
不飽和脂肪酸は、市販品であってもよく、多種類の飽和脂肪酸エステルや不飽和脂肪酸エステルやヒドロキシ脂肪酸エステルを含んでいる動物性油脂や植物性油脂のような天然油脂、または必要に応じて脱水してから、加水分解したものであってもよい。
乾式伸線用潤滑剤中、不飽和脂肪酸の金属石鹸が、乾式伸線用潤滑剤中に、1〜30重量%含まれていることが好ましい。その範囲よりも少ないと、従来の潤滑剤程度の伸線特性しか得られず、一方その範囲よりも多いと、伸線特性が上限に達し、価格高騰を招くだけでなく、粘度が高くなり過ぎてべたつくようになってしまう。不飽和脂肪酸は、オレイン酸のようなモノエン不飽和脂肪酸よりも多量化し易いリノール酸のようなポリエン不飽和脂肪酸を主成分とすることが好ましい。乾式伸線用潤滑剤中、不飽和脂肪酸例えばリノール酸を主成分とする不飽和脂肪酸の金属石鹸が、好ましくは2〜30重量%、一層好ましくは3〜10重量%含まれる。
不飽和脂肪酸は多量化させたダイマー酸のような多量体を含有していてもよい。
乾式伸線用潤滑剤中の飽和又は不飽和脂肪酸の金属石鹸は、特にその金属の種類が限定されないが、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、バリウム塩であってもよく、単一金属の塩であってもよく、それらの複合金属塩であってもよい。
乾式伸線用潤滑剤は、無機物や固体潤滑剤を含んでいてもよい。無機物や固体潤滑剤として、ホウ酸;ホウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、例えばそれらのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、バリウム塩;消石灰;酸化チタンのような金属酸化物;タルク;雲母;黒鉛;二硫化モリブデン;水分子や有機酸分子がインターカレートしている層状複水酸化物;硫黄が挙げられる。
乾式伸線用潤滑剤は、必要に応じて防腐剤、防食剤のような添加剤を含んでいてもよい。
乾式伸線用潤滑剤は、固形状、粉末状、顆粒状であってもよい。
乾式伸線用潤滑剤は、例えば、飽和脂肪酸と、不飽和脂肪酸と、苛性ソーダや苛性カリウムのような水酸化物又は消石灰と、必要に応じて、水のような媒体と、その他の無機物や固形潤滑剤や添加剤とを、混合して加熱し、乾燥後、粉砕することによって、調製される。
より具体的には、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸45〜65重量部と水道水15〜20重量部とを混合して加熱融解し、ホウ酸5〜15重部と約50重量%苛性ソーダ水溶液10〜30重量部と約50重量%苛性カリウム水溶液5〜15重量部とを、加え、加熱攪拌した後、乾燥し、粉砕すると、乾式伸線用潤滑剤が得られる。また、飽和脂肪酸30〜70重量部と不飽和脂肪酸5〜15重量部とを混合して加熱溶融し、消石灰25〜65重量部を加え、加熱攪拌した後、粉砕しても、乾式伸線用潤滑剤が得られる。
以下に、本発明を適用する乾式伸線用潤滑剤を試作した例を、実施例に示す。
(実施例1)
攪拌装置を備えた反応容器内に、工業用ステアリン酸45重量部と前記の多量化し易い不飽和脂肪酸5重量部と水道水15重量部とを加え、攪拌しながら加熱溶融させた後、ホウ酸9重量部を加え、さらに48%苛性ソーダ水溶液17重量部、48%苛性カリウム水溶液9重量部を加えた。水分が1.0%以下になるまで加熱攪拌を続けた。得られた乾燥した粗潤滑剤を、500メッシュ篩で通過率60%程度になるように粉砕し、ナトリウム系である乾式伸線用潤滑剤を得た。
(比較例1)
実施例1の不飽和脂肪酸を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、潤滑剤を得た。
(実施例2)
攪拌装置を備えた反応容器内に、工業用水添牛脂50重量部と、実施例1で用いたのと同種の不飽和脂肪酸5重量部とを加え、撹拌しながら加熱融解させた後、消石灰45重量部を加えた。この混合物に粘性が生じるまで加熱攪拌を続けた。混合物が硬くなったら加熱攪拌を止め、取り出して冷却し、500メッシュ篩で通過率が60%程度になるように粉砕し、カルシウム系である乾式伸線用潤滑剤を得た。
(比較例2)
実施例2の不飽和脂肪酸を用いなかったこと以外は、実施例2と同様にして、潤滑剤を得た。
実施例1〜2及び比較例1〜2の乾式伸線用潤滑剤を用いて、伸線機により伸線加工し、その性能評価を行った。
(伸線加工条件)
ダイスを用いて、伸線加工を行う加工条件は、下記の通りである。
被加工原材の材質:72A材
線速:40m/分
線径の縮径:2.8mmφ→2.5mmφ→2.25mmφ→2.00mmφの3段階
(1パスを繰り返して行い、3パス伸線した。)
前処理:ボラックス(ホウ砂)
伸線加工の加工方法及びそれの性能評価方法は、以下の通りである。
(伸線加工の加工方法及び平均引抜力測定試験)
被加工線材を12重量%塩酸水溶液を用いて、被加工線材表面の酸化スケールを酸洗除去した後、水洗を数回施し、80℃程度に熱した1重量%ボラックス水溶液中に浸漬した。被加工線材をボラックス水溶液から引き上げ乾燥させることで被加工線材上にボラックス被膜を形成させ、前処理加工を行った。続いてダイスボックス内に評価潤滑剤を任意量投入して、前処理を施した被加工線材の伸線評価を上記の条件に従い、行った。ダイスにロードセルを取り付けて、伸線時間20〜30秒間で、伸線加工したときの平均引抜力を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0005204467
表1から明らかな通り、いずれの線径においても、実施例1の乾式伸線用潤滑剤を用いた場合は、比較例1の潤滑剤を用いた場合よりも、平均引抜力が低い数値を示した。一方、実施例2及び比較例2の乾式伸線用潤滑剤を用いた場合は、1パス目の伸線(線径2.8→2.5mmφ)で、平均引抜力の差が認められなかった。しかし、2パス目以降の伸線(線径2.5→2.25mmφ、及び2.25mmφ→2.0mmφ)で、実施例1の乾式伸線用潤滑剤を用いた場合は、比較例1の潤滑剤を用いた場合よりも、平均引抜力が低い数値を示した。
(伸線後の線材表面の目視観察試験)
伸線加工した線材を伸線線材用洗浄剤(共栄社化学株式会社製;商品名)で洗浄し、その表面を目視で観察した。その結果を表2に示す。
Figure 0005204467
表2から明らかな通り、いずれの線径においても、実施例1の乾式伸線用潤滑剤を用いた場合は、伸線後の線材表面に潤滑剤が均一なフィルム状に展着していたのに対し、比較例1の潤滑剤を用いた場合は、伸線後の線材表面に潤滑剤が粉状又は斑状に付着していた。一方、実施例2の乾式伸線用潤滑剤を用いた場合は、いずれの線径においても伸線後の線材表面に潤滑剤が均一なフィルム状に展着していたのに対し、比較例2の潤滑剤を用いた場合は、伸線後線材表面に潤滑剤が粉状又は斑状に付着していたり、一部分にのみ潤滑剤が粉状に付着し他の一部分で付着せずに線材素地が晒されていたりしていた。このような相違が、表1の平均引抜力の違いとなって表れたものと推察される。
(伸線後の線材表面の顕微鏡観察試験)
伸線加工した線材を洗浄剤で洗浄し、その表面をレーザー顕微鏡で400倍に拡大して観察した。その結果を表3に示す。
Figure 0005204467
表3から明らかな通り、実施例1及び2の乾式伸線用潤滑剤を用いた場合は、いずれの線径においても、ダイスと線材との直接接触によって生じる平坦な部分、即ち顕微鏡で観察したとき白く筋状乃至斑点状に観察される部分が極めて少ないため、伸線状態が良好であると確認された。それに対し、比較例1及び2の潤滑剤を用いた場合は、いずれの線径においても、実施例1の場合よりも平坦な部分、即ち顕微鏡による白筋状乃至斑点状部分が極めて多く生じており、伸線状態が不良であると確認された。さらに比較例2の場合には、細く縮径するに連れ、その平坦な部分が増加していることが認められた。
(伸線後の線材表面の乾式伸線用潤滑剤付着量測定試験)
伸線加工した線材の重量を測定し、それを洗浄剤で洗浄し、再度、線材の重量を測定して、洗浄前後の重量差と、その線材の径及び長さとから、付着量を算出した。その結果を表4に示す。
Figure 0005204467
表4から明らかな通り、いずれの線径においても、実施例1の乾式伸線用潤滑剤を用いた場合は、比較例1の潤滑剤を用いた場合よりも、多量の潤滑剤が伸線に付着していた。一方、線径2.5mmφにした伸線の潤滑剤の付着量は、実施例2と比較例2で差がなかったが、それより細い線径2.25及び2.5mmφにした伸線の潤滑剤の付着量は、実施例2の潤滑剤を用いた場合の方が、比較例の潤滑剤を用いた場合よりも、多量に付着していた。このような相違が、表3のような顕微鏡観察での表面の筋状又は斑点状に観察される平坦部分の拡大となって表れたものと推察される。
本発明の高性能乾式伸線用潤滑剤は、鉄鋼のような金属製のようなワイヤ、棒、ロッド等の被加工原材を、ダイスを用いて引抜いて縮径する伸線加工の際に用いられる。

Claims (5)

  1. 飽和脂肪酸の金属石鹸の30〜90重量%と、加熱下及び/又は加圧下で多量体になる不飽和脂肪酸が該加熱及び/又は該加圧によって多量化した該多量体金属石鹸の1〜30重量%とが、含まれており、該飽和脂肪酸の金属石鹸と該多量体の金属石鹸とが、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、バリウム塩から選ばれる複合金属塩であることを特徴とする乾式伸線用潤滑剤。
  2. 前記飽和脂肪酸が、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、及び/又はメリシン酸であることを特徴とする請求項1に記載の乾式伸線用潤滑剤。
  3. 前記不飽和脂肪酸が、オプツシル酸、カプロレイン酸、ウンデシレイン酸、リンデル酸、シズ酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスレピン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、ゴンドレイン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、セラコレイン酸、キシメン酸、ルメクエン酸から選ばれる少なくとも1種類のモノエン不飽和脂肪酸;ソルビン酸、リノール酸、ヒラゴ酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、プニカ酸、リノレイン酸、γ-リノレイン酸、モロクチ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ニシン酸から選ばれる少なくとも1種類のポリエン不飽和脂肪酸;タリリン酸、ステアロール酸、クレペニン酸、キシメニン酸から選ばれる少なくとも1種類のモノイン不飽和脂肪酸、及び/又はポリイン不飽和脂肪酸であることを特徴とする請求項1に記載の乾式伸線用潤滑剤。
  4. 前記多量体が、前記不飽和脂肪酸のダイマー酸であることを特徴とする請求項1に記載の乾式伸線用潤滑剤。
  5. ホウ酸、ホウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、消石灰、酸化チタン、タルク、雲母、黒鉛、二硫化モリブデン、層状複水酸化物、及び/又は硫黄が、含まれていることを特徴とする請求項1に記載の乾式伸線用潤滑剤。
JP2007310382A 2007-11-30 2007-11-30 乾式伸線用潤滑剤 Active JP5204467B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007310382A JP5204467B2 (ja) 2007-11-30 2007-11-30 乾式伸線用潤滑剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007310382A JP5204467B2 (ja) 2007-11-30 2007-11-30 乾式伸線用潤滑剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009132811A JP2009132811A (ja) 2009-06-18
JP5204467B2 true JP5204467B2 (ja) 2013-06-05

Family

ID=40865013

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007310382A Active JP5204467B2 (ja) 2007-11-30 2007-11-30 乾式伸線用潤滑剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5204467B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102612323B1 (ko) * 2018-08-07 2023-12-12 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 윤활 피막을 갖는 강판 및 그 제조 방법
CN112980555A (zh) * 2021-03-04 2021-06-18 天津市弘亚润滑粉制造有限公司 一种用于干式拉丝的拉丝皂
CN115851352B (zh) * 2022-11-29 2024-07-19 宁波金田铜业(集团)股份有限公司 一种铜及铜合金制备用润滑剂及其使用方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56136219A (en) * 1980-03-26 1981-10-24 Sumitomo Wiring Syst Ltd Drawing method for wire of copper and copper alloy
JP2706735B2 (ja) * 1989-08-01 1998-01-28 共栄社化学株式会社 金属材料の引抜加工用乾式潤滑剤
JP2005179630A (ja) * 2003-03-24 2005-07-07 Sanyo Chem Ind Ltd 水系金属加工油用潤滑剤
JP4384641B2 (ja) * 2006-02-28 2009-12-16 株式会社神戸製鋼所 塑性加工用金属材料

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009132811A (ja) 2009-06-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2013129268A1 (ja) 塑性加工用水溶性潤滑剤、塑性加工用金属材および金属加工品
WO2002014458A1 (fr) Composition aqueuse permettant la formation d'une pellicule protectrice
JP5612253B2 (ja) 金属成形加工用潤滑剤、それを塗布した金属加工材、及び金属成形加工方法
JP3354024B2 (ja) アルミニウム及びアルミニウム合金板の低温成形用潤滑剤
EP1449936A1 (en) Process for producing metal wire rod for plastic working
JPH108085A (ja) 金属材料の冷間塑性加工用水系潤滑剤
JP5202848B2 (ja) 金属材料加工用の潤滑油とそれを用いた金属材料の加工方法
KR20120098409A (ko) 금속재료의 수성 소성가공용 윤활제 조성물
JP3939700B2 (ja) 金属石けん被覆粒子及びそれを用いる物及び製法、並びに潤滑皮膜剤及び潤滑皮膜
JP5355583B2 (ja) 乾燥膜状耐食性冷間成形潤滑剤
JP5204467B2 (ja) 乾式伸線用潤滑剤
WO2005095563A1 (ja) 塑性加工用潤滑剤組成物
GB2257712A (en) Lubricants for aluminium alloy forging
JP5204625B2 (ja) ホウ酸塩非含有の乾式伸線用潤滑剤
JP6635571B2 (ja) 伸線用潤滑剤及びそれを用いた母材の伸線方法
JP3826164B2 (ja) アルミニウム又はアルミニウム合金の成形加工用潤滑剤、並びに成形加工用アルミニウム又はアルミニウム合金板
JP2008111028A (ja) 塑性加工用水溶性潤滑剤、塑性加工用金属材および金属加工品
JP6952970B2 (ja) 潤滑剤
US2377106A (en) Lubricant and process for preparing and using same
CN103695120A (zh) 钛及钛合金材料冷锻造的润滑剂
JP2002361302A (ja) 金属材料板の圧延方法
JP2007229743A (ja) 塑性加工用金属材料
JP2001152173A (ja) 冷間加工用潤滑剤
JP2012184331A (ja) 塑性加工用潤滑被膜の形成方法
JP2007084663A (ja) 鋼板用潤滑防錆油

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121004

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130215

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5204467

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160222

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250