JP2001220693A - 銅又は銅合金材の防錆処理方法 - Google Patents

銅又は銅合金材の防錆処理方法

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JP2001220693A
JP2001220693A JP2000028463A JP2000028463A JP2001220693A JP 2001220693 A JP2001220693 A JP 2001220693A JP 2000028463 A JP2000028463 A JP 2000028463A JP 2000028463 A JP2000028463 A JP 2000028463A JP 2001220693 A JP2001220693 A JP 2001220693A
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bta
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Toshimizu Tomizuka
稔瑞 富塚
Nobuo Tanabe
信夫 田辺
Motohiro Wakabayashi
元宏 若林
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Fujikura Ltd
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  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 伸線速度で防錆処理を実施しても作業環境が
汚染されることなく、強固な防錆保護膜を均一に効率よ
く形成することができる銅又は銅合金材の防錆処理方法
を提供する。 【解決手段】 伸線加工ダイスによって所望の径に伸線
された銅線14を伸線ラインで前処理容器13内に通過
させると共に、ジェット噴流水を噴入口11から前処理
容器13の内部に噴入させる。そうすると、銅線14の
表面に存在する潤滑剤及び銅粉等が除去されると共に、
銅線14の表面にCu2Oからなる薄い皮膜が均一に形
成される。その後、引き続いて伸線ラインで銅線14を
防錆処理容器23内に導入すると共に、BTA溶液を噴
入口21から防錆処理容器23の内部に噴入させる。そ
うすると、銅線14の表面に強固で均一な防錆保護膜が
形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、線及びパイプ等か
らなる銅又は銅合金材に対して適用される防錆処理方法
に関し、特に、銅又は銅合金材の表面の油分等を短時間
で十分に除去することができると共に、強固な防錆膜を
均一に形成することができる銅又は銅合金材の防錆処理
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、銅又は銅合金材の防錆剤とし
て、ベンゾトリアゾール(BTA)又はその誘導体が使
用されている。以下、BTA及びその誘導体を総称し
て、単にBTAという。このBTAの防錆効果は、銅又
は銅合金材の表面にBTA高分子膜を形成することによ
るものである。即ち、銅又は銅合金材の表面には、必
ず、原子オーダーの薄い酸化銅の皮膜が自然に形成され
ているが、BTA分子はこの酸化銅と強い配位結合を形
成すると共に、BTA分子同士も共有結合を形成して、
銅又は銅合金材の表面に強固なBTA高分子膜を形成す
る。このようにして形成されたBTA高分子膜は、銅又
は銅合金材に対する密着性が優れていると共に、極めて
優れた耐食性を有し、銅又は銅合金材の表面を腐食及び
それに起因する変色から保護する効果を有する。
【0003】図2は従来の銅線の防錆処理方法を示すブ
ロック図である。以下、図2に示す防錆処理方法を第1
の従来技術という。図2に示すように、先ず、荒引銅線
を所望の線径となるまで連続伸線し(ステップ1)、こ
れを防錆剤に浸漬した後(ステップ2)、乾燥させる
(ステップ3)。
【0004】図3はステップ2において使用される浸漬
処理装置を示す断面図である。図3に示すように、処理
容器6の両側壁部には、夫々、銅線7の挿入口6a及び
銅線7の引出口6bが設けられている。また、処理容器
6の内部には、銅線7が所定の通路を通るように誘導す
る2本の軸6cが取り付けられている。引出口6bの先
端には、処理容器6内を通過した銅線7の表面に空気を
吹き付けるためのエアワイパ8が装着されている。ま
た、処理容器6内には、防錆剤として、水、アルコール
又はトリクロルエタン等の溶媒にBTAを溶解させたB
TA溶液9が入れられている。
【0005】このように構成された処理装置において
は、銅線7は上流側又は下流側に配置された夫々送り出
し又は巻取り装置(図示せず)によって、処理容器6内
を移動するように駆動される。即ち、銅線7は挿入口6
aから挿入され、軸6cによってBTA溶液9中に誘導
された後、引出口6bから引き出される。このとき、エ
アワイパ8によって銅線7の表面に空気が吹き付けられ
て、銅線7の表面に残存する余分のBTA溶液が除去さ
れる。
【0006】従来においては、このようにして銅線7の
表面にBTA溶液が塗布されることにより、防錆処理が
実施されていた。
【0007】しかし、第1の従来技術による防錆処理方
法を使用すると、以下に示す問題点が発生する。即ち、
伸線加工された直後の銅線7の表面には、潤滑剤及び銅
粉等が付着しており、この状態で銅線7をBTA溶液9
中に浸漬しても、これらの潤滑剤及び銅粉等が障害とな
って、銅線表面へのBTA溶液の濡れ性が悪くなる。ま
た、BTA分子は銅線表面に形成された薄い酸化銅(C
2O)と結合してCu−BTA保護膜(BTA高分子
層)を形成するが、伸線直後の銅線表面にはこのCu2
Oが均一に形成されていない。従って、伸線直後の銅線
表面には、均一にCu−BTA保護膜を形成することが
できない。
【0008】そこで、上述の問題点を解決するために、
伸線加工後の銅線を水洗して乾燥させる工程を有する防
錆処理方法が公知である。これを第2の従来技術とい
う。図4は第2の従来技術による防錆処理方法を示すブ
ロック図である。先ず、銅線を酸洗することにより脱脂
し(ステップ1a)、水洗した後(ステップ2a)、一
旦、乾燥する(ステップ3a)。ステップ1aの酸洗
は、銅線の表面に存在する酸化物の除去又は加工潤滑油
の除去を目的とし、硫酸、硝酸、リン酸又はクロム酸等
を使用して実施される。また、ステップ3aの乾燥処理
によって、銅線の表面には薄い酸化銅(Cu2O)の層
が形成されるので、銅線表面にCu−BTA保護膜が形
成されやすくなるという効果を得ることができる。
【0009】その後、銅線をBTAを含んだ溶液に浸漬
するか、又はこの溶液を銅線の表面に塗布してBTA処
理し(ステップ4a)、最後に、乾燥して(ステップ5
a)、製品とする。ステップ4aにおいては、第1の従
来技術と同様に、BTA溶液を使用した浸漬処理装置に
よってBTA処理することができる。このBTA溶液は
50乃至80℃であることが好ましい。
【0010】前記ステップ1a乃至5aの工程におい
て、BTA保護膜が処理材の表面に十分な厚さで被膜し
ていない場合は、再度、ステップ2aの水洗、ステップ
3aの乾燥、ステップ4aのBTA処理及びステップ5
aの乾燥の各工程を経て、十分な厚さのBTA保護膜を
形成する。なお、ステップ5aの乾燥は、形成されたB
TA保護膜をより強固にするために乾燥する。この乾燥
処理は、150℃以下の熱風を使用することができる。
【0011】また、図4に示すステップ2a乃至5aの
一連の工程は、通常、1回の工程のみで処理を終了する
場合が多いが、実際には2回以上繰り返すことが好まし
い。その場合には、ステップ5aの終了後、弱い酸洗を
行い、酸洗後にステップ2a乃至5aを実施してもよ
い。ステップ2a乃至5aを2回以上繰り返すのは、1
回の処理で完全なBTAの防錆膜が形成されないことが
あり、その欠陥部分に対して、2回目以降の処理によ
り、完全なBTAの防錆膜を形成しようとするためであ
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第2の
従来技術による防錆処理方法を使用して、前記ステップ
2a乃至5aを複数回繰り返しても、完全にはBTA保
護膜が形成されず、欠陥部分が残存するという問題点が
ある。そして、この欠陥部分が起点となって、腐食又は
変色が発生する。また、処理工程を複数回繰り返すこと
により、時間的なロスも生じる。
【0013】また、高速で伸線しているライン中におい
て、銅線をBTA溶液に浸漬することにより防錆処理を
実施すると、銅線の表面に付着物が存在していなくて
も、銅線表面へのBTA溶液の濡れ性が悪くなることが
あり、Cu−BTA保護膜を均一に形成することができ
ない。また、浸漬による防錆処理を高速で実施すると、
銅線の表面に付着したBTA溶液が銅線によって処理容
器の外部に持ち出され、これにより、作業環境が汚染さ
れると共に、作業効率が低下するという問題点も発生す
る。
【0014】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、伸線速度で防錆処理を実施しても、作業環
境が汚染されることなく、強固な防錆保護膜を均一に効
率よく形成することができる銅又は銅合金材の防錆処理
方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る銅又は銅合
金材の防錆処理方法は、銅又は銅合金素材を連続伸線す
る伸線ラインにて伸線後の銅又は銅合金材に水をジェッ
ト噴流で吹き付けて前処理する前処理工程と、前記伸線
ラインにて前処理後の銅又は銅合金材にベンゾトリアゾ
ール又はその誘導体を含む溶液をジェット噴流で吹き付
けて防錆膜を形成する防錆膜形成工程とを有することを
特徴とする。
【0016】前記前処理工程は2回以上繰り返し実施す
ることが好ましく、前記防錆膜形成工程についても2回
以上繰り返し実施することが望ましい。
【0017】更に、前記前処理工程における水の温度は
常温乃至80℃であることが好ましく、前記防錆膜形成
工程におけるベンゾトリアゾール又はその誘導体を含む
溶液の温度についても常温乃至80℃であることが望ま
しい。
【0018】更にまた、前記前処理工程におけるジェッ
ト噴流の噴出圧力は0.98乃至19.6MPaである
ことが好ましく、前記防錆膜形成工程におけるジェット
噴流の噴出圧力についても0.98乃至19.6MPa
であることが望ましい。
【0019】なお、ジェット噴流とは、高圧下にある流
体が、これよりも低い圧力(通常は常圧)の空間に噴出
されて、高い運動エネルギーと方向性を得たものをい
う。
【0020】本発明においては、伸線後の銅又は銅合金
材に前処理として水をジェット噴流で吹き付けるので、
伸線後の銅又は銅合金材の表面に付着している潤滑剤及
び銅粉等がジェット噴流水によって効率よく除去され
る。これにより、活性なCu素地が銅又は銅合金材の表
面に現れて、薄い酸化銅(Cu2O)の皮膜が均一に形
成される。
【0021】そして、前処理後の銅又は銅合金材にベン
ゾトリアゾール又はその誘導体を含む溶液(BTA溶
液)をジェット噴流で吹き付けるので、その表面に均一
に形成されたCu2O膜とBTA溶液とが結合して、均
一な防錆保護膜が形成される。このとき、ジェット噴流
によって均一にBTA溶液を銅又は銅合金材の表面に吹
き付けることができるので、防錆保護膜の形成が不十分
となることがない。更に、防錆保護膜と下地のCu2
膜との結合が弱くなることがあっても、ジェット噴流の
BTA溶液によって直ちにその箇所の防錆保護膜が除去
され、再度防錆保護膜が形成されるので、銅又は銅合金
材の表面全面に強固な防錆保護膜を形成することができ
る。
【0022】このように、本発明においては、伸線ライ
ンにて伸線速度で前処理及び防錆膜形成処理を実施して
も、ジェット噴流を利用しているので均一な防錆保護膜
を形成することができると共に、銅又は銅合金材の表面
に付着したBTA溶液が処理装置等の外部に持ち出され
ることがない。従って、防錆処理工程が律速になること
がなく、高速で防錆処理を実施することができるので、
作業効率を向上させることができると共に、作業環境が
汚染されることを防止することができる。
【0023】また、前処理工程を2回以上繰り返すと、
銅又は銅合金材の表面に付着している潤滑剤及び銅粉等
の除去効率をより一層向上させることができ、均一なC
2O膜が形成されやすくなる。また、防錆膜形成工程
を2回以上繰り返すと、より一層均一で強固な防錆保護
膜を銅又は銅合金材の表面に形成することができる。な
お、本発明においては、前処理工程及び防錆膜形成工程
を2回以上繰り返して実施しても、全て伸線ラインにて
処理を実施することができるので、作業効率が低下する
ことがない。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について添
付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の
実施例に係る銅又は銅合金材の防錆処理方法を示す模式
的断面図である。本実施例において使用する前処理容器
13は箱状をなし、その上壁の2カ所には水の噴入口1
1が形成されており、下壁にはその排出口12が形成さ
れている。また、前処理容器13の両側壁には、伸線後
の銅線14が通過する孔が形成されている。従って、銅
線14は前処理容器13内を矢印方向に通過する間に、
この容器13内で前処理されるようになっている。
【0025】また、銅線14の進行方向下流側には、防
錆処理容器23が配置されている。防錆処理容器23の
上壁には、BTA溶液の噴入口21が形成されており、
下壁にはその排出口22が形成されている。また、前処
理容器13と同様に、防錆処理容器23の両側壁には銅
線14が通過するための孔が形成されている。従って、
銅線14が防錆処理容器23内を矢印方向に通過する間
に、銅線14の表面に防錆保護膜が形成されるようにな
っている。
【0026】なお、前処理容器13の上流側には、銅線
素材を伸線するための伸線加工ダイス(図示せず)等が
配置されており、防錆処理容器23の下流側には、防錆
処理が実施された銅線14が巻き取られる巻取り装置
(図示せず)が配置されている。従って、銅線14は矢
印方向に移動するように駆動される。
【0027】このように構成された前処理容器13及び
防錆処理容器23を使用する本実施例方法においては、
伸線加工ダイスによって所望の径に伸線された銅線14
を矢印方向に移動させつつ、ジェット噴流水を噴入口1
1から前処理容器13の内部に噴入させる。そうする
と、この噴入された水が銅線14の表面に衝突し、その
表面に存在する潤滑剤及び銅粉等が除去されると共に、
銅線14の表面にCu2Oからなる薄い皮膜が均一に形
成される。
【0028】銅線14が前処理容器13内において水洗
された後、引き続いて銅線14は防錆処理容器23内に
導入される。これと同時に、BTA溶液を噴入口21か
ら防錆処理容器23の内部に噴入させる。そうすると、
ジェット噴流のBTA溶液が銅線14の表面に衝突し
て、Cu2Oからなる薄い皮膜とBTA溶液とが結合す
ることによって、銅線14の表面に防錆保護膜が形成さ
れる。
【0029】本発明において、前処理工程における水の
温度は常温乃至80℃であることが好ましい。これは、
常温未満に冷却された水を使用しても、前処理の効果を
向上させることができないと共に、水を冷却するための
工程が必要となり、作業効率が低下するからである。ま
た、前処理工程における水の温度が80℃を超えると、
コストがかかると共に、作業効率が低下し、更に、装置
各部の寿命が短くなる。
【0030】また、防錆膜処理工程におけるBTA溶液
の温度も常温乃至80℃であることが望ましい。このB
TA溶液の温度範囲限定理由は上述の水の場合と同じで
ある。
【0031】また、本発明において、前処理工程及び防
錆膜形成工程における水又はBTA溶液のジェット噴流
の噴出圧力は0.98乃至19.6MPaとすることが
好ましい。これは、噴出圧力が0.98MPa未満であ
ると、ジェット噴流による効果が発揮されず、通常、実
施されていた浸漬等と同程度の効果しか得られないから
である。一方、噴出圧力が19.6MPaを超えると、
噴出圧により銅又は銅合金材の表面が機械的に損傷され
るエロージョンが発生しやすくなる。また、0.98乃
至19.6MPaの圧力であれば、この圧力範囲内で液
体を噴出することができるプランジャポンプとして一般
に市販されているので、容易にこれらの工程を実施する
ことができる。
【0032】本実施例においては、前処理容器13内に
おいて、伸線後の銅線14に水をジェット噴流で吹き付
けるので、銅線14の表面に付着している潤滑剤及び銅
粉等がジェット噴流水によって効率よく除去されると共
に、その表面に薄い酸化銅(Cu2O)の皮膜を均一に
形成することができる。
【0033】その後、防錆処理容器23内において、前
処理後の銅線14にBTA溶液をジェット噴流で均一に
吹き付けるので、その表面に均一に形成されたCu2
膜とBTA溶液とが結合されて、銅線14の表面に強固
で均一な防錆保護膜(Cu−BTA膜)を形成すること
ができる。
【0034】このように、本実施例においては、伸線ラ
インにて伸線速度で前処理及び防錆膜形成処理を実施し
ても、ジェット噴流を利用しているので均一な防錆保護
膜を形成することができると共に、防錆膜形成工程にお
いて銅線14の表面に付着したBTA溶液が防錆処理容
器23の外部に持ち出されることがない。従って、従来
の浸漬による処理工程と比較して、防錆処理工程が律速
になることがなく、高速で防錆処理を実施することがで
きるので、作業効率を向上させることができると共に、
作業環境が汚染されることを防止することができる。
【0035】なお、本実施例においては、前処理容器1
3及び防錆処理容器23を1台ずつ配置して、銅線14
に対して1回の前処理と1回の防錆膜形成処理を施した
が、これらの前処理及び防錆膜形成処理は、夫々、2回
以上繰り返して実施することが好ましい。その場合は、
銅線14の進行方向に複数台の前処理容器13を配列す
ると共に、その下流側に複数台の防錆処理容器23を配
列することにより、2回以上の複数回の前処理及び防錆
膜形成処理を実施することができる。
【0036】このように、前処理工程を2回以上繰り返
すと、銅線14の表面に付着している潤滑剤及び銅粉等
の除去効率をより一層向上させることができ、均一なC
2O膜が形成されやすくなる。一方、防錆膜形成工程
を2回以上繰り返すと、1回目の工程で防錆膜の形成が
不十分な箇所が存在しても、2回目以降の防錆膜形成処
理によって完全な防錆膜を形成することができる。ま
た、1回目の防錆膜形成処理で、防錆膜の下地となるC
2O膜とBTAとの結合が弱い箇所が存在しても、2
回目以降の工程でこの弱い結合箇所を除去した後に、再
びBTAが結合されるので、より一層均一で強固な防錆
保護膜を銅線14の表面に形成することができる。
【0037】更に、前処理工程及び防錆膜形成工程を2
回以上繰り返して実施しても、全て伸線ラインにて高速
で防錆処理を実施することができるので、作業効率が低
下することがない。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例に係る銅又は銅合金材
の防錆処理方法により防錆試験を実施した試験結果につ
いて、その比較例による試験結果と比較して具体的に説
明する。先ず、伸線ラインにて連続伸線後の銅線に対し
て、種々の方法で防錆処理を実施し、これらの銅線につ
いて、硫化ソーダ試験を実施した。この硫化ソーダ試験
は、銅又は銅合金材の防錆効果を評価する方法として一
般に実施されているものであり、100ppmの硫化ソ
ーダ水溶液中に試験材を浸漬し、一定時間経過後の試験
材の変色程度を評価するものである。
【0039】但し、下記表1に示す実施例No.1乃至
3はジェット噴流を利用した前処理及びジェット噴流を
利用した防錆膜形成処理の工程数を変化させたものであ
る。例えば、実施例No.3は、連続伸線された銅線に
対して2回の前処理を実施した後、2回の防錆膜形成処
理を実施したものである。また、比較例No.4は前処
理及び防錆膜形成処理を施していないものであり、比較
例No.5は従来の浸漬法によって前処理及び防錆膜形
成処理を実施したものである。更に、比較例No.6は
前処理を施さず、ジェット噴流を利用した防錆膜形成処
理のみを実施したものであり、比較例No.7はジェッ
ト噴流を利用した前処理のみを実施して、防錆膜形成処
理を実施しなかったものである。
【0040】なお、前処理及び防錆膜形成処理において
は、水及びBTA溶液の温度を夫々80℃とし、ジェッ
ト噴流を利用したものについては、ジェット噴流の噴出
圧力を7.84(MPa)とした。また、防錆膜形成処
理においては、0.1質量%のBTA水溶液を使用し
た。
【0041】これらの処理条件及び評価結果を下記表1
に示す。但し、下記表1はウォータージェット回数の効
果を示し、表1中における評価結果欄において、○は試
験材の表面が全く変色しないこと、△はわずかに変色し
たこと、×は銅線の表面全面が変色したことを示す。
【0042】
【表1】
【0043】上記表1に示すように、実施例No.1乃
至3はジェット噴流を利用した前処理及び防錆膜形成処
理を実施しているので、硫化ソーダ水溶液への浸漬時間
が8分を経過した後でも、試験材の表面の変色が認めら
れず、極めて優れた防錆処理を実施することができた。
特に、実施例No.2は防錆膜形成処理を2回実施して
いるので、実施例No.1と比較して良好な結果が得ら
れた。また、実施例No.3は前処理及び防錆膜形成処
理を2回ずつ実施しているので、実施例No.1及び2
と比較して更に一層優れた防錆効果を得ることができ
た。
【0044】一方、比較例No.4及び5は、硫化ソー
ダ水溶液への浸漬時間が1分を経過するまでにいずれも
変色が発生した。ジェット噴流を利用して前処理又は防
錆膜形成処理を実施した比較例No.6及び7について
も、前処理及び防錆膜形成処理のいずれか一方を実施し
ていないので、実施例と比較して不良となった。
【0045】次に、下記表2及び表3に示す種々の温度
で各1回の前処理及び防錆膜形成処理を施した銅線につ
いて、上記表1に示す硫化ソーダ試験と同様の条件によ
って防錆効果を評価した。但し、前処理工程及び防錆膜
形成処理工程におけるジェット噴流の噴出圧力は7.8
4(MPa)に統一した。これらの評価結果を下記表2
及び表3に併せて示す。なお、下記表2においては、水
の温度又はBTA水溶液の温度が本発明の好ましい範囲
から外れているものを比較例とした。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】上記表2に示すように、実施例No.11
乃至13は前処理工程における水の温度及び防錆膜処理
工程におけるBTA水溶液の温度が本発明の好ましい範
囲内であるので、伸線速度で防錆処理を実施しても、容
易に良好な防錆効果を得ることができた。
【0049】次いで、下記表4及び表5に示す種々の噴
出圧力のジェット噴流を利用して各1回の前処理及び防
錆膜形成処理を施した銅線について、上記表1乃至3に
示す硫化ソーダ試験と同様の条件によって防錆効果を評
価した。但し、前処理工程及び防錆膜形成処理工程にお
ける水及びBTA水溶液の温度は60(℃)に統一し
た。これらの評価結果を下記表3に併せて示す。なお、
下記表3においては、前処理工程及び防錆膜形成処理工
程におけるジェット噴流の噴出圧力が本発明の好ましい
範囲から外れているものを比較例とした。
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】上記表4及び表5に示すように、実施例N
o.21乃至23は前処理工程におけるジェット噴流水
の噴出圧力及び防錆膜処理工程におけるジェット噴流の
BTA水溶液の噴出圧力が本発明の好ましい範囲内であ
るので、伸線速度で防錆処理を実施しても、容易に良好
な防錆効果を得ることができた。
【0053】なお、表1〜5における本実施例について
は、銅線を使用したが、線材以外のパイプ等においても
同様の効果が得られる
【0054】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明方法によれ
ば、水をジェット噴流で銅又は銅合金材に吹き付けるこ
とにより前処理を施した後、この銅又は銅合金材にBT
A溶液をジェット噴流で吹き付けることにより防錆膜形
成処理を施すので、伸線速度で防錆処理を実施しても作
業環境が汚染されることなく、強固な防錆保護膜を均一
に効率よく銅又は銅合金材の表面に形成することができ
る。また、前記前処理及び防錆膜形成処理を2回以上繰
り返して実施すると、より一層防錆効果を高めることが
できる。更に、前処理工程及び防錆膜形成処理工程にお
いて、ジェット噴流の噴出圧力を適切に規定すると、よ
り一層均一な防錆膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る銅又は銅合金材の防錆処
理方法を示す模式的断面図である。
【図2】従来の銅線の防錆処理方法を示すブロック図で
ある。
【図3】ステップ2において使用される浸漬処理装置を
示す断面図である。
【図4】第2の従来技術による防錆処理方法を示すブロ
ック図である。
【符号の説明】
6、13、23;処理容器 7、14;銅線 9;BTA溶液 11、21;噴入口 12、22;排出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若林 元宏 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 Fターム(参考) 4K062 AA01 BB18 CA08 FA13 GA08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅又は銅合金素材を連続伸線する伸線ラ
    インにて伸線後の銅又は銅合金材に水をジェット噴流で
    吹き付けて前処理する前処理工程と、前記伸線ラインに
    て前処理後の銅又は銅合金材にベンゾトリアゾール又は
    その誘導体を含む溶液をジェット噴流で吹き付けて防錆
    膜を形成する防錆膜形成工程とを有することを特徴とす
    る銅又は銅合金材の防錆処理方法。
  2. 【請求項2】 前記前処理工程は2回以上繰り返し実施
    することを特徴とする請求項1に記載の銅又は銅合金材
    の防錆処理方法。
  3. 【請求項3】 前記防錆膜形成工程は2回以上繰り返し
    実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の銅又
    は銅合金材の防錆処理方法。
  4. 【請求項4】 前記前処理工程における水の温度は常温
    乃至80℃であることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の銅又は銅合金材の防錆処理方法。
  5. 【請求項5】 前記前処理工程におけるジェット噴流の
    噴出圧力は0.98乃至19.6MPaであることを特
    徴とする請求項1、2及び4のいずれか1項に記載の銅
    又は銅合金材の防錆処理方法。
  6. 【請求項6】 前記防錆膜形成工程におけるベンゾトリ
    アゾール又はその誘導体を含む溶液の温度は常温乃至8
    0℃であることを特徴とする請求項1又は3に記載の銅
    又は銅合金材の防錆処理方法。
  7. 【請求項7】 前記防錆膜形成工程におけるジェット噴
    流の噴出圧力は0.98乃至19.6MPaであること
    を特徴とする請求項1、3及び6のいずれか1項に記載
    の銅又は銅合金材の防錆処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20190132391A (ko) 2017-03-31 2019-11-27 교에이샤 케미칼 주식회사 신선용 윤활제 및 이것을 이용한 모재의 신선방법

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