JP6633537B2 - デカリン誘導体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、デカリン誘導体、例えば、グリシジルオキシ基又はアリルオキシ基を有するデカリン誘導体に関する。また、本発明は、2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリンなどのデカリン誘導体の製造方法、並びにその製造方法に使用される原料化合物に関する。より詳細には、吸水性及び吸湿性が低く、機械的強度及び光学特性に優れたエポキシ樹脂(エポキシ化合物)などとして有用な2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリンなどのデカリン誘導体の製造方法及びその製造方法に使用される原料化合物に関する。
エポキシ基を有する化合物は、エポキシ基が高い反応性を有することから、化学工業・有機合成化学の分野において原料や中間体として有用であり、また最終製品としても利用されている。
エポキシ基を有する化合物を利用した最終製品としてはエポキシ樹脂が広く知られている。エポキシ樹脂は、耐熱性、電気特性、力学特性、接着性等に優れているため、各種の分野に使用されている。そして、近年、特に電気・電子分野においてはその発展に伴い、低吸水・低吸湿の硬化物を与えるエポキシ樹脂が求められている。また、発光ダイオード(LED)などに使用される場合には良好な光学的特性が求められており、このような用途には脂環式化合物からなるエポキシ化合物が適している。
さらに半導体封止等の電子部品分野に使用される場合は、製造工程において高温にさらされる割合が高まっており、高度な耐熱性が要求されている。また、塩素などのハロゲン含量が高いと腐食や劣化の原因となることから、ハロゲン含量の低い材料が望まれている。
しかし、特許文献1に記載されているように、これらをすべて満足するエポキシ樹脂は未だ得られていない。
このような問題から、本出願人は、2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリンなどのビス(グリシジルオキシ)デカリン類が、吸水性及び吸湿性が低く、機械的強度及び光学特性に優れたエポキシ樹脂(エポキシ化合物)として有用であることを見出し、当該物質及びその製造方法について特許出願を行い、特許を得ている(特許文献2参照)。
上記特許文献2に記載されるビス(グリシジルオキシ)デカリンの製造方法、即ち、ジヒドロキシナフタレンとエピハロヒドリンを反応させてビス(グリシジルオキシ)ナフタレンを得、次いで水素化反応に付して還元しビス(グリシジルオキシ)デカリンを得る方法は当該物質を効率的に製造し得る方法である。しかし、ビス(グリシジルオキシ)ナフタレンの水素化反応は高圧下(通常8MPa程度)に行う必要があり、装置的な問題などからコストの上昇をもたらしていた。
このような問題から、本発明者らは高圧水素化反応を伴わないビス(グリシジルオキシ)デカリンの製造方法を検討した。まず、ジヒドロキシナフタレンからデカヒドロナフタレンジオールへの水素化反応は比較的低圧で容易に進行することから、ジヒドロキシナフタレンを水素化し、生成したデカヒドロナフタレンジオールをエピハロヒドリンと反応させてビス(グリシジルオキシ)デカリンを得る方法を検討した。しかし、ジヒドロキシナフタレンの水酸基はフェノール性水酸基で反応性が高いのに対して、デカヒドロナフタレンジオールの水酸基はアルコール性水酸基で反応性が弱いためか、エピハロヒドリンとの反応によって高収率でビス(グリシジルオキシ)デカリンを得ることは困難であった。また、前述のように、エポキシ樹脂を電子部品用材料として使用する場合には、ハロゲン含量の少ないエポキシ樹脂が望まれるが、最終工程でエピハロヒドリンを使用する方法ではハロゲン含量を所定量以下に低減することが難しいことも判明した。
このような問題から、本発明者らは、製造方法の面から、2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンを、過酸化水素を使用して酸化し、2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリンを製造する方法を検討した。グリシジルオキシ基を有する化合物の合成法としては、アリルオキシ基を有する化合物を、過酸化水素を使用して酸化し、アリル基をエポキシ基へ変換する方法が知られている(例えば、特許文献3)。当該特許文献3に記載の方法は、アリルオキシアダマンタン化合物と過酸化水素水とニトリル類を塩基性物質の存在下に反応させて、グリシジルアダマンタン化合物を得る方法である。この方法は、ハロゲン化物を使用しない点で、目的物であるグリシジル化合物中のハロゲン含量を著しく低減し得る利点がある。しかし、特許文献3の実施例1〜13に示されるように、特許文献3に記載される方法によるグリシジルアダマンタン化合物の収率は60%台であり、工業的な製法としては収率的に不十分である。
特開2005−179401号公報 特開2007−91841号公報(特許第4796366号公報) 特開2008−239579号公報
上述のように、2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリンはエポキシ樹脂(エポキシ化合物)として有用であるが、エポキシ樹脂用モノマーとしての性能は、デカリン環上のグリシジルオキシ基の置換位置によっても異なることが予期され、置換位置によっては当該2,7−体よりも優れたエポキシ樹脂となる可能性がある。このことから、本発明は、さらに優れた機械的強度及び光学特性に優れたエポキシ樹脂(エポキシ化合物)を提供すること、さらに各種有機合成において有用な中間体としてのグリシジルオキシ基を有するデカリン誘導体を提供することを目的とする。
また、前記のように、過酸化水素を使用し、アリルオキシ基を有する化合物からグリシジルオキシ基を有する化合物の製造方法は、ハロゲン含量を低減し得る方法として優れているが、収率が低い問題があった。このような問題に対して、本発明者らが、反応条件の適正化を図ったところ目的物が高収率で得られることが明らかとなった。本発明は、グリシジルオキシ基を有するデカリン誘導体の新たな製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の目的は、温和な条件下、グリシジルオキシ基又はアリルオキシ基を有するデカリン誘導体を高い収率で製造できる方法、並びにこのような方法で得られた新規なデカリン誘導体を提供することにある。
本発明の他の目的は、ハロゲン含量が大きく低減した新規なエポキシ化合物(グリシジルオキシ基を有するデカリン誘導体)とその製造方法、このようなエポキシ化合物を製造するのに有用な新規なモノマー(アリルオキシ基を有するデカリン誘導体)とその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、アリルオキシ基を有するデカリン誘導体(2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンなど)を過酸化水素で酸化し、グリシジルオキシ基を有するデカリン誘導体(2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリンなど)を製造する方法について検討したところ、反応条件の適正化を図ることにより目的物が高純度及び高収率で得られること;デカリン環上のグリシジルオキシ基の置換位置によって、優れた機械的強度及び光学特性に優れたエポキシ化合物(又はエポキシ樹脂)を製造可能なモノマーが得られ、このモノマーを過酸化水素で酸化すると、各種有機合成において有用なグリシジルオキシ基を有するデカリン誘導体を高い純度及び収率で得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明のデカリン誘導体は、下記式(1)で表すことができる。
Figure 0006633537
(式中、Rはビニル基又はエポキシ基、nは1又は2である)
但し、デカリン誘導体から2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリンは除かれる。
本発明は、(グリシジルオキシ)デカリン誘導体を製造する方法も包含し、この方法では、式(1-1)
Figure 0006633537
(式中、nは1又は2である)
で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体と、過酸化水素と、
式 R−C≡N
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基又は置換基を有することのあるフェニル基である)
で表されるニトリル類を、塩基性物質を用いて反応液のpHを9〜11に維持しながら反応させ、式(1-2)
Figure 0006633537
(式中、nは前記と同じ)
で表される(グリシジルオキシ)デカリン誘導体を製造する。
この方法において、例えば、式(1-1)で表される化合物として2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンを用い、2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリンを製造してもよい。
前記ニトリル類は、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどであってもよい。また、反応液のpHは9.5〜10.5に調整しながら反応させてもよい。
前記式(1-1)で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体は、例えば、式(2)
Figure 0006633537
(式中、nは1又は2である)
で表されるヒドロキシデカリンに、相間移動触媒及び塩基性物質の存在下、アリルハライド(又はハロゲン化アリル)を反応させることにより調製してもよい。
この方法で、前記相間移動触媒は、トリC6−18アルキルモノC1−2アルキルアンモニウム塩、モノC6−18アルキルトリC1−2アルキルアンモニウム塩、及びモノC6−12アリールC1−4アルキルトリC1−2アルキルアンモニウム塩から選択された少なくとも一種であってもよく、例えば、トリオクチルメチルアンモニウム塩、トリラウリルメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、及びベンジルトリ−n−ブチルアンモニウム塩から選択された少なくとも一種であってもよい。
本発明のグリシジルオキシ基を有するデカリン誘導体は、各種の有機合成の中間体として有用であり、また最終製品としては電子部品分野で使用されるエポキシ樹脂(エポキシ化合物)として有用である。また、アリルオキシ基を有するデカリン誘導体は、各種の有機合成の中間体として有用であると共に上記のグリシジルオキシ基を有するデカリン誘導体の原料として有用である。
また、本発明では、アリルオキシ基を有するデカリン誘導体からグリシジルオキシ基を有するデカリン誘導体を高収率で得ることができる。例えば、2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンから2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリンを高純度・高収率で得ることができ、当該物質の製造コストの低減を図ることができる。さらに、反応試薬としてハロゲン系物質を使用していないので、生成物の一種であるグリシジルオキシ基を有するデカリン誘導体(ビス(グリシジルオキシ)デカリン誘導体など)はハロゲン含量が低く、電子部品用途に適した材料とすることができる。
さらに、本発明では、ヒドロキシデカリン誘導体からアリルオキシ基を有するデカリン誘導体を高収率で得ることができる。
本発明のデカリン誘導体は式(1)で表され、式(1)中、Rはエポキシ基又はビニル基であり、nは1又は2である。これらの化合物(デカリン誘導体)は、2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリンを除いて新規化合物である。
式(1)で表される化合物において、nが1であるとき、基−O−CH−Rは、デカリン環の1−位、2−位に置換していてもよく、nが2であるとき、基−O−CH−Rは、デカリン環の任意に位置、例えば、デカリン環の一方の環に結合していてもよく、2つの環にそれぞれ結合していてもよい。例えば、nが2であるとき、デカリン環に対する基−O−CH−Rの置換位置は、1,2−位、1,3−位、1,4−位、1,5−位、1,6−位、1,7−位、1,8−位、2,3−位、2,4−位、2,5−位、2,6−位、2,7−位、2,8−位であってもよい。
Rがエポキシ基(オキシラニル基又は1,2−エポキシ基)であり、nが1の化合物としては、1−グリシジルオキシデカリン、2−グリシジルオキシデカリンが挙げられる。また、Rがエポキシ基であり、nが2の化合物、すなわちビス(グリシジルオキシ)デカリン誘導体において、グリシジルオキシ基は、デカリン環の一方の環に2個が結合していてもよく、また両方の環にそれぞれ結合する形態であってもよい。より具体的には、ビス(グリシジルオキシ)デカリン誘導体としては、例えば、2,3−ビス(グリシジルオキシ)デカリン、2,6−ビス(グリシジルオキシ)デカリン、1,5−ビス(グリシジルオキシ)デカリン、1,6−ビス(グリシジルオキシ)デカリン、1,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリンなどが挙げられる。ビス(グリシジルオキシ)デカリン誘導体は、通常、2,3−ビス(グリシジルオキシ)デカリン、2,6−ビス(グリシジルオキシ)デカリンであってもよい。
式(1)で表される化合物において、Rがビニル基である化合物は上記グリシジルオキシデカリン誘導体を製造する原料として有用であり、また各種有機合成の原料として利用することができる。
式(1)で表される化合物において、Rがビニル基であり、nが1の化合物としては、1−アリルオキシデカリン、2−アリルオキシデカリンが挙げられる。また、Rがビニル基であり、nが2である化合物、すなわちビス(アリルオキシ)デカリン誘導体において、アリルオキシ基は、デカリン環の一方の環に2個が結合していてもよく、また両方の環にそれぞれ結合する形態であってもよい。より具体的には、ビス(アリルオキシ)デカリン誘導体としては、例えば、2,3−ビス(アリルオキシ)デカリン、2,6−ビス(アリルオキシ)デカリン、2,7−ビス(アリルオキシ)デカリン、1,5−ビス(アリルオキシ)デカリン、1,6−ビス(アリルオキシ)デカリン、1,7−ビス(アリルオキシ)デカリンなどが挙げられる。ビス(アリルオキシ)デカリン誘導体は、通常、2,3−ビス(アリルオキシ)デカリン、2,6−ビス(アリルオキシ)デカリン、2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンであってもよい。
式(1)で表されるデカリン誘導体は、式(1)で表される構造から明らかなように、置換基の位置による異性体の他に、環構造に基づく異性体が存在するが、これらの異性体の全ては本発明の範囲に包含される。
次に、本発明の第1の製造方法では、前記式(1-1)で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体(2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンなど)と、過酸化水素と、
式 R−C≡N
(式中、Rは前記と同じ)
で表されるニトリル類を、塩基性物質を用いて反応液のpHを9〜11に維持しながら反応させ、前記式(1-2)で表される(グリシジルオキシ)デカリン誘導体を製造する。
この方法で原料として使用され、式(1-1)で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体(2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンなど)は新規物質であり、後述の方法などで得ることができる。
本発明の方法で使用する過酸化水素は、通常、過酸化水素水として使用され、種々の濃度で使用でき、20〜60質量%(例えば、25〜50質量%)、好ましくは30〜40質量%、特に反応性や取り扱いの観点から35質量%の過酸化水素水を使用するのが好ましい。
過酸化水素の使用量は、式(1-1)で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体に対して、少なくとも1モル当量((アリルオキシ)デカリン誘導体のアリルオキシ基に対する過酸化水素の当量)、以下、単に当量という)、好ましくは1〜5当量(例えば、2〜5当量)、より好ましくは3〜5当量(例えば、4当量)程度である。具体的には、過酸化水素の使用量は、2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンに対して、2〜6倍モル(1〜3当量)、好ましくは3〜4倍モル(1.5〜2当量)の範囲である。当量未満(例えば、2倍モル未満)では反応が完結せず、また過剰に使用しても(例えば、5当量を超えても)問題はないが、上記の量で反応は進行する。
本発明の方法で使用される、式R−C≡Nで表されるニトリル類において、Rは炭素数1〜6のアルキル基又は置換基を有することのあるフェニル基である。
炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であってよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。アルキル基は、入手の容易性からメチル基が好ましい。
また、Rは置換基を有することのあるフェニル基であってもよく、当該置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基など)、ハロゲン基(例えば、クロロ基、ブロモ基など)、ニトロ基などが挙げられる。置換基を有していてもよいフェニル基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ニトロフェニル基などが挙げられる。
上記ニトリル類の具体的な化合物としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ヘキサンニトリル、ベンゾニトリル、o−トルニトリル、m−トルニトリル、p−トルニトリル、2−クロロベンゾニトリル、3−クロロベンゾニトリル、4−クロロベンゾニトリル、2−ブロモベンゾニトリル、3−ブロモベンゾニトリル、4−ブロモベンゾニトリル、4−ニトロベンゾニトリルなどが例示できる。これらのニトリル類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。入手の容易性及び反応性の観点から、アセトニトリル、ベンゾニトリルが好ましい。
上記ニトリル類の使用量は、式(1-1)で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体に対して、少なくとも1当量、好ましくは1〜5当量(例えば、2〜5当量)、より好ましくは2.5〜4当量の範囲で使用される。具体的には、ニトリル類の使用量は、2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンに対して、少なくとも2倍モル(少なくとも1当量)、好ましくは2〜10倍モル(1〜5当量)、より好ましくは3〜8倍モル(1.5〜4当量)、特に5〜8倍モル(2.5〜4当量)程度の範囲で使用される。ニトリル類の使用量が(アリルオキシ)デカリン誘導体に対して、少なすぎると(例えば、1当量未満では)未反応物が多くなり、また多すぎても(例えば、5当量を超えても)問題はないが、上記の量で十分に反応が進行する。
本発明の方法は、通常、反応に不活性な親水性有機溶媒の存在下に行うことができる。親水性有機溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類(アセトンなど)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが例示できる。これらの溶媒は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。前記反応は、特にアルコール類の存在下で行うのが好ましい。アルコール類としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどが例示される。これらのアルコール類は単独で又は二種以上組み合わせ使用できる。コスト及び反応性の点からメタノールが好ましい。
上記溶媒は必要に応じて適宜の量で使用でき、通常、式(1-1)で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体1質量部に対して、0.1〜10質量部(例えば、0.3〜7質量部)、好ましくは0.5〜2質量部程度の割合で使用してもよく、(アリルオキシ)デカリン誘導体に対して、5〜10倍モル(又は2.5〜5当量)程度の割合で使用してもよい。
本発明の方法は、塩基性物質を用いて、反応液のpHを9〜11、好ましくは9.5〜10.5程度に維持しながら反応を遂行することを特徴とする。このpH範囲で反応を行うと、副反応が少なく、目的物を高純度・高収率で得ることができることが明らかとなった。
塩基性物質(又は塩基)としては、例えば、無機塩基類[アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなど)など]、有機塩基類(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリンなど)が挙げられる。これらに塩基性物質は単独で又は二種以上組み合わせ使用できる。塩基性物質としては、アルカリ金属水酸化物、特に水酸化ナトリウムが好適に使用される。また、これらの塩基性物質は、必要に応じて、水溶液として使用できる。
塩基性物質の使用量は、反応液のpHをモニタリングしならが、pHが9〜11、好ましくは9.5〜10.5程度に調整するだけの量であればよく、通常、式(1-1)で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体に対して、0.01〜0.6当量(例えば、0.1〜0.6当量)、好ましくは0.05〜0.5当量程度から選択できる。より具体的には、塩基性物質の使用量は、通常、2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンに対して、0.1〜0.6倍モル(例えば、0.05〜0.3当量)程度である。
本発明の方法は、反応液のpHをコントロールしつつ、ニトリル類の存在下、式(1-1)で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体と、過酸化水素とを反応させればよく、種々の方法で行うことができる。この方法において、式(1-1)で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体(例えば、2,7−ビス(アリルオキシ)デカリン)、過酸化水素水、ニトリル類、有機溶媒及び塩基性物質を一度に混合すると、反応が急激に進行するおそれがある。そこで、(アリルオキシ)デカリン誘導体(例えば、2,7−ビス(アリルオキシ)デカリン)、ニトリル類及び有機溶媒の混合物、さらに必要に応じて適量の塩基性物質を添加した混合物に、過酸化水素水を滴下する方法が好ましい。この反応では、反応液のpHをモニタリングしてpHが9〜11、好ましくは9.5〜10.5程度の範囲となるように、塩基性物質又はその水溶液を添加する方法が好ましい。
反応温度は、通常、冷却下〜室温程度、好ましくは20〜30℃程度であり、反応時間は反応温度などにより異なり、1〜10時間程度であってもよく、通常、4〜7時間程度で反応が終了する。
反応終了後、必要に応じて不溶物を除去した後、分液し(例えば、疎水性有機溶媒を添加し、有機層を分取し)、水洗した後、薄膜蒸留、カラムクロマトグラフィーなどの精製手段で精製することにより、式(1-2)で表される(グリシジルオキシ)デカリン(例えば、2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリン)を得ることができる。
得られた式(1-2)で表される(グリシジルオキシ)デカリン(2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリンなど)は、既述のとおり、環構造に基づく異性体が存在するが、これらの異性体の全ては本発明の範囲に包含される。
前述のように、本発明の第1の製造方法の原料化合物である、式(1-1)で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体(2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンなど)は新規物質であり、この新規物質は種々の方法で調製できる。本発明の第2の製造方法では、前記式(2)で表されるモノ又はジヒドロキシデカリン(デカヒドロナフタレンモノ又はジオール)とアリルハライド(又はハロゲン化アリル)とを反応させることにより、前記式(1-1)で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体を製造する。例えば、2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンは、2,7−ジヒドロキシデカリン(デカヒドロ−2,7−ナフタレンジオール)とアリルハライドを反応させることにより得ることができる。
なお、ヒドロキシナフタレン類の水酸基は、フェノール性水酸基であり、反応性が高いのに対して、ヒドロキシデカリン類の水酸基は、アルコール性水酸基であり、反応性が弱いためか、塩基性物質の存在下、アリルハライドとの反応によって高収率で(アリルオキシ)デカリン類を得ることは困難であった。本発明者らは、この反応を、相間移動触媒及び塩基性物質の存在下に行うと高収率で(アリルオキシ)デカリン誘導体が得られることを見出した。
本発明の第2の製造方法で使用されるアリルハライド(又はハロゲン化アリル)としては、アリルクロライド、アリルブロマイドなどが例示できる。これらのアリルハライドは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのアリルハライドのうち、コスト的な理由からアリルクロライドを使用するのが好ましい。
上記アリルハライド(又はハロゲン化アリル)の使用量は、式(2)で表されるヒドロキシデカリンのヒドロキシル基に対して、少なくとも1当量、好ましくは2〜10当量(例えば、3〜10当量)、さらに好ましくは4〜8当量で、特に4〜5当量である。具体的には、アリルハライドの使用量は、2,7−ジヒドロキシデカリンに対して、少なくとも2倍モル、例えば、5〜20倍モル(2.5〜10当量)、好ましくは8〜15倍モル(4〜7.5当量)、より好ましくは8〜12倍モル(4〜6当量)(例えば、10倍モル(5当量))程度である。アリルハライドの使用量が少なすぎると(例えば、1当量未満であると)、未反応物が増加し、多すぎても(例えば、10当量より多くしても)収率の向上に優位性はなく、上記の量で十分である。なお、アリルハライド(又はハロゲン化アリル)は溶媒を兼ねて使用してもよい。本発明者らは、他の有機溶媒を併用すると、目的物の収率が低下することを見出しており、他の有機溶剤は使用せずに、アリルハライドを反応溶媒として使用するのが好ましい。
相間移動触媒としては慣用の第4級アンモニウム塩が使用される。より、具体的には、例えば、トリアルキルアンモニウム塩(テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラ−n−プロピルアンモニウム塩、テトラ−n−ブチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、トリラウリルメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩など)、アリールトリアルキルアンモニウム塩(フェニルトリメチルアンモニウム塩など)、アラルキルトリアルキルアンモニウム塩(ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリ−n−ブチルアンモニウム塩など)などが例示できる。これらの第4級アンモニウム塩は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、アルキルアンモニウム塩の塩としては、クロライド、ブロマイド、ヨージドなどのハロゲン化物、水酸化物、硫酸水素塩などが例示される。
上記の相間移動触媒である第4級アンモニウム塩のうち、有機置換基の少なくとも一つの置換基が高い疎水性を有する基である第4級アンモニウム塩を用いると、目的物の収率が向上することを本発明者らは見出している。このような疎水性が高い基としては、具体的には炭素数6〜18(例えば、6〜16)、好ましくは炭素数7〜17のアルキル基又はアラルキル基(ベンジル基などのC6−12アリール−C1−4アルキル基)などが例示できる。このような疎水性基を有する相間移動触媒としては、例えば、トリC6−18アルキルモノC1−2アルキルアンモニウム塩(例えば、トリオクチルメチルアンモニウム塩、トリラウリルメチルアンモニウム塩など)、モノC6−18アルキルトリC1−2アルキルアンモニウム塩(例えば、セチルトリメチルアンモニウム塩など)、モノC6−12アリールC1−4アルキルトリC1−2アルキルアンモニウム塩(例えば、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリ−n−ブチルアンモニウム塩)が好適に使用される。
相間移動触媒の使用量は、式(2)で表されるヒドロキシデカリンに対して、0.01〜0.5当量(例えば、0.1〜0.5当量)、好ましくは0.03〜0.3当量である。具体的には、相間移動触媒の使用量は、2,7−ジヒドロキシデカリンに対して、0.05〜0.2倍モル(0.025〜0.1当量)、好ましくは0.07〜0.15倍モル(0.035〜0.075当量)(例えば、0.1倍モル(0.05当量))程度である。
塩基性物質(塩基)の種類としては、例えば、無機塩基類[アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなど)など]、有機塩基類(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリンなど)が挙げられる。これらの塩基性物質は、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき。これらの塩基性物質のうち、アルカリ金属水酸化物、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好適に使用される。
塩基性物質の使用量は、式(2)で表されるヒドロキシデカリンに対して、5〜20当量、好ましくは10〜15当量である。具体的には、塩基性物質の使用量は、2,7−ジヒドロキシデカリンに対して、10〜40倍モル(5〜20当量)、好ましくは20〜35倍モル(10〜17.5当量)程度である。
反応方法としては、相間移動触媒及び塩基性物質の存在下、式(2)で表されるヒドロキシデカリンとアリルハライドとを反応させる限り、種々の方法により実施でき、好ましくは、式(2)で表されるヒドロキシデカリンと過剰のアリルハライドとを混合した後、常温以下(好ましくは20℃以下)に冷却し、この混合液に相間移動触媒を添加した後、塩基性物質の水溶液(通常、50W/V%程度の水溶液)を冷却下(好ましくは10〜20℃)で滴下し、その温度で5〜24時間、通常、6〜12時間反応させることにより行うことができる。
反応終了後、必要に応じて水を添加した後、有機層を分取し、水洗し、蒸留により未反応アリルハライドを回収した後、薄膜蒸留、カラムクロマトグラフィーなどの精製手段で精製することにより、式(1-1)で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体(2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンなど)を得ることができる。
このようにして得られた式(1-1)で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体(2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンなど)は、環構造に基づく異性体が存在するが、これらの異性体の全ては本発明の範囲に包含される。
本発明の目的物質である式(1-2)で表される(グリシジルオキシ)デカリン誘導体において、ビス(グリシジルオキシ)デカリン誘導体(2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリンなど)は、吸水性及び吸湿性が低く、機械的強度及び光学特性に優れている。そのため、エポキシ樹脂(又はエポキシ化合物)として有用であり、常法に準じて、硬化剤を用いて硬化させることにより、封止剤(発光ダイオードLED、半導体などの封止材)、電子部品の絶縁材料、接着剤などとして種々の分野で利用できる。なお、エポキシ樹脂(又はエポキシ化合物)には、必要に応じて、溶剤、着色剤、充填剤などの慣用の材料を添加してもよい。
さらに、式(1-2)で表される(グリシジルオキシ)デカリン誘導体(2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンなど)は、異種の複数の(グリシジルオキシ)デカリン誘導体を組み合わせて使用してもよく、1種又は複数の他のエポキシ化合物(又はエポキシ樹脂)と併用してもよく、共重合体(共重合エポキシ樹脂)を形成してもよい。また、前記(グリシジルオキシ)デカリン誘導体は、カチオン重合開始剤と組み合わせて、硬化させてもよく、光酸発生剤と組み合わせ、光照射により所定のパターンを形成してもよい。さらに、式(1-2)で表される(グリシジルオキシ)デカリン誘導体のうち低粘度化合物(例えば、n=1の化合物)は、エポキシ樹脂の反応性希釈剤として利用してもよい。
また、式(1)で表されるデカリン誘導体は、各種化学工業、有機合成化学の分野において原料や中間体としても利用される。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリン
3Lのフラスコに、メタノール389.4g、2,7−ビス(アリルオキシ)デカリン401.2g(純度98.0%、1.57モル)、アセトニトリル387.1g(9.42モル、6当量)を仕込み、0〜15℃に冷却し、35%過酸化水素水610.1g(6.28モル、4当量)を10〜15℃の範囲で5時間以上かけて滴下すると共に8%水酸化ナトリウム水を適宜滴下し、反応液のpHを9.5〜10.5に調整した。その後、20〜30℃に温調し4時間反応させた。
反応後、5L分液ロートへ移送し、トルエン1570gを加え室温で30分撹拌、30分静置した後、下層の水層を分液して有機層を分取した。その後、有機層をイオン交換水785gにて洗浄・分液を2回行い、減圧濃縮、薄膜蒸留(蒸留条件:熱媒温度200℃、真空度2hPa)することによって373.4gの2,7−ビス(ジグリシジルオキシ)デカリンを無色〜ごく薄い黄色透明液として得た。(純度:97.0%、全Cl分:500ppm以下、ハーゼン色数40以下、収率81.7%)。
実施例2
2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリン
3Lのフラスコに、メタノール389.4g、2,7−ビス(アリルオキシ)デカリン401.2g(純度98.0%、1.57モル)、アセトニトリル387.1g(9.42モル、6当量)及び炭酸カリウム43.4g(0.31モル、0.2当量)を仕込み、0〜15℃に冷却し、35%過酸化水素水610.1g(6.28モル、4当量)を10〜15℃の範囲で5時間以上かけ滴下すると共に炭酸カリウムを適宜添加し、反応液のpHを9.5〜10.5に調整した。その後、20〜30℃に温調し4時間反応させた。
以下、実施例1と同様に処理し、2,7−ビス(ジグリシジルオキシ)デカリンを得た(収率:80.2%)。
実施例3
実施例1において、反応液のpHをほぼ9に維持する以外は同様に反応及び処理して、2,7−ビス(ジグリシジルオキシ)デカリンを得た(収率:77.5%)。
実施例4
実施例1において、アセトニトリルに代えてベンゾニトリルを使用する以外は実質的に同様に反応及び処理して、2,7−ビス(ジグリシジルオキシ)デカリンを得た(収率:81.3%)。
製造例1
2,7−ビス(アリルオキシ)デカリン
3Lのフラスコに、50%水酸化ナトリウム2720.0g(34.0モル、20当量)を仕込み、15〜25℃に温調した後、ベンジル−n−トリブチルアンモニウムクロリド53.0g(0.17モル、0.1当量)、アリルクロライド520.2g(6.8モル、4当量)、2,7−ジヒドロキシデカリン289.5g(1.7モル)をそれぞれ加えた後、15〜25℃の範囲で7時間反応させた。反応後、5L分液ロートへ移送し、トルエン850gを加え室温で30分撹拌、30分静置した後下層の水層を分液し有機層を分取した。その後、有機層をイオン交換水850gにて洗浄・分液を2回行い、減圧濃縮、薄膜蒸留(蒸留条件:熱媒温度150℃、真空度4hPa)によって402.2gの2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンを無色透明液で得た。(純度98.0%、全Cl分900ppm以下、収率92.6%)
H NMR(400MHz,CDCl)δ: 1.17−2.10(m,14H), 3.20−3.29(m,1H), 3.40−3.49(m,1H), 3.93−4.04(m,4H), 5.11−5.17(m,2H),5.22−5.30(m,2H), 5.85−5.98(m,2H)ppm。
製造例2
製造例1において、アリルクロライドを2,7−ジヒドロキシデカリンに対して10倍モル使用する以外は同様に反応・処理して、2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンを得た(収率:91.0%)。
実施例5
1−アリルオキシデカリン
Figure 0006633537
3Lのフラスコに、50%水酸化ナトリウム2720.0g(34.0モル、20当量)を仕込み、15〜25℃に温調した後、ベンジル−n−トリブチルアンモニウムクロリド53.0g(0.17モル、0.1当量)、アリルクロライド520.2g(6.8モル、4当量)、1−ヒドロキシデカヒドロナフタレン262.3g(1.7モル)をそれぞれ加えた後、15〜25℃の範囲で7時間反応する。反応後、5L分液ロートへ移送し、トルエン850gを加え室温で30分撹拌、30分静置した後下層の水層を分液した。その後イオン交換水850gにて洗浄分液を2回行い、減圧濃縮、薄膜蒸留(蒸留条件:熱媒温度100℃、真空度4hPa)することによって316.6gの1−アリルオキシデカリンを無色透明液で得た(純度97.0%、全Cl分500ppm以下、ハーゼン色数30以下、収率93.0%)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ: 0.77−2.22(m,16H), 2.84−3.38(m,1H), 3.80−4.13(m,2H), 5.10−5.16(m,1H), 5.23−5.30(m,1H), 5.89−5.95(m,1H)ppm。
実施例6
1−グリシジルオキシデカリン
Figure 0006633537
3Lのフラスコに、メタノール1884.0g、1−アリルオキシデカリン314.2g(純度97.0%、1.57モル)、アセトニトリル387.1g(9.42モル、6当量)を仕込み、0〜15℃に冷却し、炭酸カリウム21.7g(0.157モル、0.1当量)を加え、35%過酸化水素水610.1g(6.28モル、4当量)を10〜15℃の範囲で5時間以上かけ滴下し、20〜30℃に温調し7時間反応する。反応後、5L分液ロートへ移送し、トルエン1570gを加え室温で30分撹拌、30分静置した後下層の水層を分液した。その後イオン交換水785gにて洗浄分液を2回行い、減圧濃縮、薄膜蒸留(蒸留条件:熱媒温度130℃、真空度4hPa)によって319.7gの1−ジグリシジルオキシデカリンを無色〜ごく薄い黄色透明液として得た(純度:95.0%、全Cl分:500ppm以下、ハーゼン色数40以下、収率92.0%)
H NMR(400MHz,CDCl)δ: 0.78−2.23(m,16H), 2.58−2.65(m,1H), 2.76−2.81(m,1H), 3.11−3.16(m,1H), 3.30−3.81(m,3H)ppm。
実施例7
2−アリルオキシデカリン
Figure 0006633537
実施例5において、1−ヒドロキシデカヒドロナフタレンに代えて2−ヒドロキシデカヒドロナフタレンを使用する以外は同様に反応及び処理して、2−アリルオキシデカリンを得た(純度98.0%、全Cl分500ppm以下、ハーゼン色数30以下、収率94.0%)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ: 1.20−1.78(m,16H), 3.28−3.30(m,1H), 4.01−4.03(m,2H), 5.13−5.16(m,1H), 5.24−5.30(m,1H), 5.89−5.98(m,1H)ppm。
実施例8
2−グリシジルオキシデカリン
Figure 0006633537
実施例6において、1−アリルオキシデカリンに代えて2−アリルオキシデカリンを使用する以外は同様に反応及び処理して、2−グリシジルオキシデカリンを得た(純度96.1%、全Cl分500ppm以下、ハーゼン色数40以下、収率91.5%)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ: 1.19−1.78(m,16H), 2.61−2.63(m,1H), 2.79−2.81(m,1H), 3.12−3.16(m,1H), 3.30−3.32(m,1H), 3.45−3.49(m,1H), 3.69−3.73(m,1H)ppm。
実施例9
2,3−ビス(アリルオキシ)デカリン
Figure 0006633537
実施例5において、1−ヒドロキシデカヒドロナフタレンに代えて2,3−ジヒドロキシデカヒドロナフタレンを使用する以外は同様に反応及び処理して、2,3−ビス(アリルオキシ)デカリンを得た(純度98.3%、全Cl分500ppm以下、ハーゼン色数50以下、収率91.4%)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ: 1.20−1.82(m,14H), 3.20−3.33(m,1H), 3.37−3.47(m,1H), 4.12−4.37(m,4H), 5.12−5.16(m,2H), 5.25−5.31(m,2H), 5.90−6.00(m,2H)ppm。
実施例10
2,3−ビス(グリシジルオキシ)デカリン
Figure 0006633537
実施例6において、1−アリルオキシデカリンに代えて2,3−ビス(アリルオキシ)デカリンを使用する以外は同様に反応及び処理して、2,3−ビス(グリシジルオキシ)デカリンを得た(純度97.9%、全Cl分500ppm以下、ハーゼン色数40以下、収率91.0%)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ: 1.20−1.85(m,14H), 2.60−2.65(m,2H), 2.77−2.82(m,2H), 3.13−3.17(m,2H), 3.26−3.28(m,1H), 3.36−3.58(m,2H), 3.59−3.66(m,1H), 3.75−3.97(m,2H)ppm。
実施例11
2,6−ビス(アリルオキシ)デカリン
Figure 0006633537
実施例5において、1−ヒドロキシデカヒドロナフタレンに代えて2,6−ジヒドロキシデカヒドロナフタレンを使用する以外は同様に反応及び処理して、2,6−ビス(アリルオキシ)デカリンを得た(純度96.2%、全Cl分500ppm以下、ハーゼン色数50以下、収率91.0%)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ: 1.31−2.08(m,14H), 3.23−3.68(m,2H), 3.94−4.02(m,4H), 5.12−5.16(m,2H), 5.24−5.30(m,2H), 5.87−5.96(m,2H)ppm。
実施例12
2,6−ビス(グリシジルオキシ)デカリン
Figure 0006633537
実施例6において、1−アリルオキシデカリンに代えて2,6−ビス(アリルオキシ)デカリンを使用する以外は同様に反応及び処理して、2,6−ビス(グリシジルオキシ)デカリンを得た(純度96.9%、全Cl分500ppm以下、ハーゼン色数40以下、収率90.0%)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ: 1.34−2.10(m,14H), 2.59−2.63(m,2H), 2.78−2.81(m,2H), 3.11−3.15(m,2H), 3.30−3.49(m,4H), 3.66−3.74(m,2H)ppm。
式(1)で表されるデカリン誘導体は各種有機合成化学などの原料・中間体又はエポキシ樹脂用モノマーとして有用であり、半導体、LEDなどの封止材、電子部品の絶縁材料、接着剤などとして利用できる。

Claims (6)

  1. 式(1-1)
    Figure 0006633537
    (式中、nは1又は2である)
    で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体と、過酸化水素と、
    式 R−C≡N
    (式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基又は置換基を有することのあるフェニル基である)
    で表されるニトリル類を、塩基性物質を用いて反応液のpHを9〜11に維持しながら反応させ、式(1-2)
    Figure 0006633537
    (式中、nは前記と同じ)
    で表される(グリシジルオキシ)デカリン誘導体を製造する方法。
  2. 式(1-1)で表される化合物として2,7−ビス(アリルオキシ)デカリンを用い、2,7−ビス(グリシジルオキシ)デカリンを製造する請求項記載の方法。
  3. ニトリル類が、アセトニトリル又はベンゾニトリルである請求項1又は2記載の方法。
  4. 反応液のpHを9.5〜10.5に調整しながら反応させる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 請求項1記載の式(1-1)で表される(アリルオキシ)デカリン誘導体を、式(2)
    Figure 0006633537
    (式中、nは1又は2である)
    で表されるヒドロキシデカリンに、相間移動触媒及び塩基性物質の存在下、アリルハライドを反応させて製造する請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 相間移動触媒が、トリオクチルメチルアンモニウム塩、トリラウリルメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリ−n−ブチルアンモニウム塩から選択された少なくとも一種である請求項記載の製造方法。
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