JP6629580B2 - 豆腐用凝固剤 - Google Patents

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Description

本発明は、豆腐用凝固剤に関する。
豆腐は、豆乳に凝固剤を加えてタンパク質を架橋し、ゲル化することで製造される。タンパク質が架橋されて形成される網目構造中には多数の水分子が保持され、豆腐特有の弾力とみずみずしさが発現する。この凝固剤として、古くから塩化マグネシウムを主成分とする苦汁が使用されてきた。塩化マグネシウムは豆腐にほどよい甘味を付与するため、塩化マグネシウムを用いることで風味のよい豆腐に仕上げることができる。一方で、塩化マグネシウムの凝固作用は速効性であり、豆乳中に均一に拡散する前に凝固反応が素早く進行する。したがって、塩化マグネシウムを凝固剤として用いてゲル組織の均一性の高い高品質の豆腐を得るには熟練した技術を要するとされる。
一方、上記凝固反応を遅効化する技術も知られている。例えば、塩化マグネシウムの水溶液を、油脂及び乳化剤と混合して油中水型に乳化分散し、これを凝固剤として用いることで、塩化マグネシウムが徐放性となり豆乳の凝固反応を遅効化することができる(例えば特許文献1及び2)。
塩化マグネシウム以外にも、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等の無機塩類が豆乳に対する凝固作用を示すことが知られている。
例えば特許文献1には、無機塩系豆腐用凝固剤と、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、油脂とを含有する豆腐用凝固剤組成物が記載され、この組成物を凝固剤として用いることにより、低温の豆乳を用いた凝固、高温の豆乳を用いた凝固の何れにおいても、十分な硬さを有し、風味にも優れた豆腐が得られることが記載されている。
また、特許文献2には、無機金属塩系豆腐用凝固剤と乳化剤と油脂とアスコルビン酸エステルとを含有する豆腐用凝固剤組成物が記載され、この組成物が保存安定性に優れ、この組成物を凝固剤として用いることで凝固能を制御することができ、品質に優れた豆腐を製造できることが記載されている。
また、特許文献3には、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、および塩化カルシウムの内の1種又は2種以上の混合物からなる無機塩系凝固剤が多価アルコール脂肪酸エステル中に分散されてなる豆腐用凝固剤組成物が記載され、この組成物を凝固剤として用いることにより、豆乳の凝固速度をコントロールし、内相が細かく均質で保水性がよく、かつ風味に優れた豆腐を製造できることが記載されている。
また、特許文献4には、(a)塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム及び塩化カルシウムの群から選ばれる1種又は2種以上からなる無機塩系凝固剤、(b)ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、(c)グリセリンと脂肪酸のエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルの群から選ばれる1種又は2種以上、並びに、(d)糖類、糖アルコール及び多価アルコールの群から選ばれる1種又は2種以上を含有する豆腐用凝固剤組成物が記載されている。特許文献4によれば、この組成物を凝固剤として用いることにより、内相のきめが細かく均一で保水性に優れ、食感及び風味に優れた豆腐を製造できるとされる。
また、特許文献5には、(a)塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム及び塩化カルシウムの群から選ばれる1種又は2種以上からなる無機塩系凝固剤、(b)特定の物性のポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、(c)グリセリンと脂肪酸のエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルの群から選ばれる1種又は2種以上、並びに、(d)糖類、糖アルコール及び多価アルコールの群から選ばれる1種又は2種以上を含有する豆腐用凝固剤組成物が記載され、この組成物を凝固剤として用いることにより、凝固作用がより遅効性となることが記載されている。
特開平10−57002号公報 特開平10−179072号公報 特開2006−94831号公報 特開2006−101848公報 特開2008−295381号公報
カルシウムの摂取量が不足すると、骨や歯の成長が阻害されたり、骨粗しょう症を発症したり、神経過敏になったりする等、健康に悪影響がでることが知られている。そして近年の健康志向の高まりも相俟ってカルシウム配合食品の需要が高まっている。
豆腐の製造において、カルシウム塩を凝固成分として用いることにより、豆腐を食した際にカルシウムを摂取することが可能となる。しかし、上記特許文献1〜5においては、凝固成分としての効果が具体的に確認されているのは塩化マグネシウムのみであり、凝固成分としてカルシウム塩を用いた際の製造適性ないし得られる豆腐の品質等については不明な点が多い。
本発明は、凝固成分としてカルシウム塩を豊富に含む豆腐用凝固剤であって、この豆腐用凝固剤を用いて豆腐を製造することにより、苦汁の甘味が引き立ち、苦みは少なく、ゲル組織が均質で全体に亘って均一な硬さを有する豆腐を得ることができる、豆腐用凝固剤の提供に関する。
本発明者らは、上記豆腐用凝固剤を提供すべく鋭意検討を重ねた。その結果、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとも呼ばれる)の存在下、塩化マグネシウムと塩化カルシウムを特定量、特定量比で油脂中に分散し、カルシウムを豊富に含む油性分散物を調製し、この油性分散物を凝固剤として用いて豆腐を製造すると、得られる豆腐はカルシウムを豊富に含有しながらも苦汁の甘味が引き立ち、苦みは少なく、また、豆腐全体に亘って均一な硬さを有していることを見い出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
本発明は、油脂とポリグリセリン縮合リシノール酸エステルとを含む油相中に、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムが分散してなる豆腐用凝固剤であって、
上記豆腐用凝固剤中、マグネシウムの含有量1質量部に対するカルシウムの含有量が4.0〜50.0質量部であり、
上記豆腐用凝固剤中、マグネシウムの含有量とカルシウムの含有量が合計で9.0〜15.0質量%である、豆腐用凝固剤を提供するものである。
本発明の豆腐用凝固剤は、これを豆腐の製造に用いることにより、カルシウムを豊富に含有しながらも苦汁の風味が引き立ち、苦みは少なく、さらに硬さが均一で、しかも豆腐中に凝固剤の沈殿も生じにくい豆腐を得ることができる。
本発明の豆腐用凝固剤は、油脂及びポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを含有する油相中に、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムが特定量、特定量比で分散した形態の油性分散物である。本発明の豆腐用凝固剤の調製について以下に説明する。
本発明の豆腐用凝固剤の調製方法に特に制限はなく、例えば、塩化マグネシウムと塩化カルシウムを、油脂及びポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを含有する油脂組成物中(油相中)に分散することで得られる。
上記油脂組成物を構成する油脂としては、食用の動物性油脂、食用の植物性油脂、及び、多価アルコールと脂肪酸とのエステルから選ばれる、1種又は2種以上を用いることができる。
上記植物性油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、米油、ひまわり油、もしくは胡麻油、又はこれらの硬化油、これらのエステル交換油もしくは分別油が挙げられ、これらの油脂から選ばれる1種又は2種以上の油脂を用いることができる。
上記動物性油脂としては、ラード、牛脂等が挙げられ、これらの油脂から選ばれる1種又は2種以上の油脂を用いることができる。
上記の多価アルコールと脂肪酸とのエステルを構成する多価アルコールは、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビト−ル及びソルビタンから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
また、上記の多価アルコールと脂肪酸とのエステルを構成する脂肪酸は、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限は無く、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びエルカ酸等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。上記の多価アルコールと脂肪酸とのエステルは、例えば公知のエステル化反応により調製することができる。ここで、上記の多価アルコールと脂肪酸とのエステルを構成する脂肪酸には縮合リシノール酸は含まれないものとする。すなわち、本明細書において、「多価アルコールと脂肪酸とのエステル」には、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルは含まれない。
上記油脂組成物を構成する油脂は、20℃において液状の油脂であることが好ましく、5℃において液状の植物性油脂であることがより好ましい。本明細書において「20℃において液状の油脂」とは、20℃において固体脂含量が1質量%以下である油脂を意味する。また、「5℃において液状の植物性油脂」とは、5℃において固体脂含量が1質量%以下である油脂を意味する。油脂の固体脂含量は、日本油化学協会制定の規準油脂分析試験法の2.2.9固体脂含量 NMR法 に記載の方法に従い測定することができる。
上記油脂組成物中の油脂の含有量は、豆腐の風味の観点から、65質量%以上とすることが好ましく、85質量%以上とすることがより好ましく、93質量%以上とすることがさらに好ましい。また、凝固剤中の無機塩類の分散性の観点からは、油脂組成物中の油脂の含有量は99質量%以下とすることが好ましく、98.3質量%以下とすることがより好ましく、98.2質量%以下とすることがさらに好ましい。
上記ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを構成するポリグリセリンのグリセリン単位の数に特に制限はない。凝固剤中の無機塩類の分散性の観点からは、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを構成するポリグリセリンのグリセリン重合度(平均重合度)を4〜6とすることが好ましい。ポリグリセリンのグリセリン重合度は水酸基価に基づき下記式(3)より算出される。
MW=74n+18・・・式(1)
OHV=56110(n+2)/MW・・・式(2)
n=(112220−18OHV)/(74OHV−56110)・・・式(3)
MW:ポリグリセリンの平均分子量
n:ポリグリセリン重合度(平均重合度)
OHV:ポリグリセリンの水酸基価
また、同様の観点から、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを構成する縮合リシノール酸は、2〜5分子のリシノール酸が縮合した構造であることが好ましい。
また、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの市販品としては、サンソフトNo.818SK(商品名、太陽化学社製)、サンソフトNo.818R(商品名、太陽化学社製)、サンソフトNo.818DG(商品名、太陽化学社製)、SYグリスターCR−500(商品名、阪本薬品工業社製)、ポエムPR−300(商品名、理研ビタミン社製)を挙げることができる。
上記油脂組成物中のポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの含有量は、凝固剤中の無機塩類の分散性の観点から、1.0質量%以上とすることが好ましく、1.2質量%以上とすることがより好ましく、1.5質量%以上とすることがさらに好ましい。また、豆腐の風味の観点からは、油脂組成物中のポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの含有量を10.0質量%以下とすることが好ましく、5.0質量%以下とすることがより好ましく、3.0質量%以下とすることがさらに好ましい。
上記油脂組成物は、上記の油脂、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの他、着色料、酸化防止剤、調味料、強化剤等から選ばれる1種又は2種以上を含有してもよい。
本発明の豆腐用凝固剤は、分散質として塩化マグネシウム及び塩化カルシウムを含有する。
本発明に用いる塩化マグネシウムに特に制限はなく、無水物であっても水和物を用いてもよい。通常は、塩化マグネシウム6水和物(6水塩)が用いられる。また、本発明に用いる塩化カルシウムにも特に制限はなく、無水物であっても水和物であってもよい。通常は塩化カルシウム2水和物(2水塩)が用いられる。
本発明の豆腐用凝固剤は、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムの他に、本発明の効果を損なわない範囲で、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の無機塩を分散質として含有していてもよい。すなわち、本発明において「油相中に、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムが分散してなる豆腐用凝固剤」とは、塩化マグネシウム以外で且つ塩化カルシウム以外の無機塩を分散質として含有する形態を包含する意味である。本発明の豆腐用凝固剤の分散質を構成する無機塩の総量(水和水由来の水を除いた総量)中、塩化マグネシウムと塩化カルシウムの総含有量は90〜100質量%が好ましく、95〜100質量%がより好ましく、98〜100質量%がさらに好ましい。
本発明の豆腐用凝固剤の分散質を構成する成分を総称して「分散質成分」という。
本発明の豆腐用凝固剤の調製では、作業性ないし安全面から、分散質成分を上記油脂組成物中に分散させる工程(分散工程)の温度を90℃以下とすることが好ましく、85℃以下とすることがより好ましく、80℃以下とすることがさらに好ましい。
本発明の豆腐用凝固剤の調製における上記分散工程には、通常の分散方法を採用することができる。例えば、上述してきた油脂組成物を、上記好ましい温度まで加温し、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムを混合して製造される。混合する方法としては、特に限定されず、例えば撹拌機及び撹拌混合槽を用いることができる。撹拌機としては、TKホモミキサー(プライミクス社)、クレアミックス(エム・テクニック社)、プロペラ撹拌機等が挙げられる。また、湿式粉砕機を用いることができる。湿式粉砕機としては、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社)、スターミル(アシザワ・ファインテック社)等が挙げられる。上記分散工程における混合比は、ハンドリング性及び凝固剤中の塩化マグネシウムと塩化カルシウムの含有量をより高める観点から、質量比で、分散質成分:油脂組成物=35:65〜75:25とすることが好ましく、40:60〜70:30とすることがより好ましい。また、豆腐用凝固剤の他の調製方法として、分散質成分を水に溶解し、乳化した後乾燥することにより製造することができる。
続いて本発明の豆腐用凝固剤の組成ないし物性について説明する。
本発明の豆腐用凝固剤は、凝固剤中のマグネシウム(Mg)の含有量とカルシウム(Ca)の含有量が下記(a)及び(b)を満たす。
(a)マグネシウムの含有量1質量部に対するカルシウムの含有量が4.0〜50.0質量部
(b)マグネシウムの含有量とカルシウムの含有量が合計で9.0〜15.0質量%
上記(a)及び(b)を満たすことにより、カルシウムを豊富に含み、且つ、苦汁の甘味を感じ、苦みは抑えられた豆腐を得ることができる。
本発明の豆腐用凝固剤中、マグネシウムの含有量1質量部に対するカルシウムの含有量は、苦汁の風味をより引き立たせる観点から、5.0〜46.0質量部が好ましく、8.0〜40.0質量部がより好ましく、10.0〜35.0質量部がより好ましく、13.0〜25.0質量部がより好ましく、13.0〜17.0質量部がさらに好ましい。
また、豆腐の製造において凝固剤の使用量を低減する観点から、本発明の豆腐用凝固剤中、マグネシウムの含有量とカルシウムの含有量の合計を10.0質量%以上とすることが好ましい。また、凝固剤中の無機塩の分散性をより高める観点から、マグネシウムの含有量とカルシウムの含有量の合計を14.5質量%以下とすることが好ましく、14.0質量%以下とすることがより好ましく、13.5質量%以下とすることがさらに好ましい。
また、豆腐の製造において凝固剤の使用量を低減する観点から、本発明の豆腐用凝固剤中、マグネシウムの含有量を0.1質量%以上とすることが好ましく、0.2質量%以上とすることがより好ましく、0.3質量%以上とすることがより好ましく、0.5質量%以上とすることがさらに好ましい。また、凝固剤中の無機塩の分散性をより高める観点から、マグネシウムの含有量を2.5質量%以下とすることが好ましく、2.2質量%以下とすることがより好ましく、2.0質量%以下とすることがさらに好ましい。
また、カルシウムを豊富に含み、且つ、苦汁の甘味を感じ、苦みは抑えられた豆腐を得る観点から、本発明の豆腐用凝固剤中、カルシウムの含有量を7.0質量%以上とすることが好ましく、7.5質量%以上とすることがより好ましく、8.0質量%以上とすることがより好ましく、8.5質量%以上とすることがさらに好ましい。また、同様の観点から、カルシウムの含有量を15.0質量%以下とすることが好ましく、14.5質量%以下とすることがより好ましく、14.0質量%以下とすることがさらに好ましい。
本発明の豆腐用凝固剤中の油脂の含有量は、凝固剤のハンドリング性の観点から25.0質量%以上とすることが好ましく、30.0質量%以上とすることがより好ましく、35.0質量%以上とすることがより好ましく、40.0質量%以上とすることがさらに好ましい。また、凝固剤の分散性の観点から、豆腐用凝固剤中の油脂の含有量は、65.0質量%以下とすることが好ましく、60.0質量%以下とすることがより好ましく、55.0質量%以下とすることがさらに好ましい。
本発明の豆腐用凝固剤中、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの含有量に特に制限はないが、分散性をより高める観点から0.2質量%以上とすることが好ましく、0.3質量%以上とすることがより好ましく、0.4質量%以上とすることがより好ましく、0.5質量%以上とすることがさらに好ましい。豆腐の風味の観点からは、豆腐用凝固剤中のポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの含有量を10.0質量%以下とすることが好ましく、8.0質量%以下とすることがより好ましく、5.0質量%以下とすることがより好ましく、2.0質量%以下とすることがさらに好ましい。
本発明の豆腐用凝固剤を用いた豆腐の製造は、凝固剤として本発明の豆腐用凝固剤を用いること以外は常法により実施することができる。すなわち、本発明の豆腐用凝固剤と豆乳とを混合し、豆乳中のタンパク質に架橋構造を形成させてゲル化することにより、豆腐が得られる。
豆腐の製造に際し、豆乳と本発明の豆腐用凝固剤との混合は、豆乳100gに対して、凝固剤中のカルシウム量が40〜100mgとなるように、豆乳と本発明の豆腐用凝固剤とを混合することが好ましく、豆乳100gに対して、凝固剤中のカルシウム量が50〜80mgとなるように、豆乳と本発明の豆腐用凝固剤とを混合することがより好ましい。
また、豆乳と本発明の豆腐用凝固剤とを混合する際の温度は、15℃以下とすることが好ましく、10℃以下とすることがより好ましい。当該温度は通常は5℃以上とする。
豆乳と本発明の豆腐用凝固剤との混合は、通常のミキサーを用いて均質に撹拌することにより行うことができる。豆乳と本発明の豆腐用凝固剤とを混合して数秒〜数十秒間撹拌した後、所望の形状の豆腐充填容器に充填し、通常は80〜90℃程度の温度下で40〜50分間程度熟成させることにより、豆腐が得られる。
本発明の豆腐用凝固剤を用いて製造される豆腐の種類に特に制限はなく、絹豆腐であっても木綿豆腐であってもよく、充填豆腐であってもよい。
本発明を実施例に基づき以下に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[分析方法]
(豆腐用凝固剤中のカルシウム含有量)
豆腐用凝固剤(試料)0.2gを採取し、これにエタノールを約30ml加えて溶解した。この溶液に10%水酸化ナトリウム溶液を5ml加え、10%塩酸ヒドロキシルアミン溶液を数滴加え、よく撹拌し5分間放置した。この溶液にNN試薬を数滴加え、0.025mol/LのEDTAで滴定した。終点は赤色から青色に変わった点とした。下記計算式(I)より豆腐用凝固剤中のカルシウム含有量(質量%)を算出した。

− 式(I) −
豆腐用凝固剤中のカルシウム含有量(質量%)
=[滴定量(単位:ml)×0.1002]/試料採取量(単位:g)
(豆腐用凝固剤中のマグネシウム含有量)
豆腐用凝固剤(試料)0.2gを採取し、これにエタノールを30ml加えて溶解し、この溶液にアンモニア・塩化アンモニウム緩衝液(塩化アンモニウム67.5gを1000mLメスフラスコに量り、アンモニア水570mLを加えて溶かし、蒸留水を加えて1000mLとした溶液)を5mL加えて混合した。次いでエリオクロムブラックT溶液を2滴加え、0.025mol/LのEDTAで滴定した。終点は赤色から青色に変わった点とした。下記計算式(II)より豆腐用凝固剤中のマグネシウム含有量(質量%)を算出した。

− 式(II) −
豆腐用凝固剤中のマグネシウム含有量(質量%)
={[0.0025×滴定量(単位:ml)/試料採取量(単位:g)]−[豆腐用凝固剤中のカルシウム含有量(質量%)/40.078]}×24.305
[豆腐用凝固剤の製造]
実施例1〜7、比較例1〜8
下記表1に示す配合組成(単位:質量部)で全量1000gの油性分散物よりなる豆腐用凝固剤を得た。
下記表1に記載の塩化カルシウム2水和物(CaCl・2HO)として塩化カルシウム(試薬・食品添加物グレード、和光純薬工業社製)を、塩化マグネシウム6水和物(MgCl・6HO)としてソフトウエハー(赤穂化成社製)を用いた。
また、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルとしてヘキサグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:サンソフトNo.818SK、太陽化学社製)を用いた。また、油脂としてコーン油(商品名:コーンサラダ油、日清オイリオ社製)を用いた。
豆腐用凝固剤のより具体的な調製方法を以下に説明する。
下記表1に記載の比でポリグリセリン縮合リシノール酸エステルと油脂とを混合し、油脂組成物を調製した。油脂組成物を80℃まで加温した。アンカー羽(Φ58mm)を用いて300rpmで上記油脂組成物を撹拌しながら、下記表1に記載の比で塩化カルシウム2水和物及び塩化マグネシウム6水和物を添加後、アンカー羽を500rpmに設定し5分間撹拌し予備分散物を得た。上記予備分散物をホモミキサー(プライミクス社製、TKホモミキサーMARKII)を用いて13000rpmで、5分間撹拌することで分散し、油中分散型の豆腐用凝固剤を得た。
試験例1 豆腐用凝固剤を用いて製造した豆腐の評価
カナダ産白目大豆を原料として得たBrix11.5の豆乳を使用し、上記で製造した豆腐用凝固剤を用いて豆腐を製造した。具体的には、10℃に調整した豆乳500g中に凝固剤を、豆乳100gに対してカルシウム量が60mgになるように添加し、TKアジホモミクサー(プライミクス社製、2M−03型)を用いて6000rpmで20秒間撹拌し分散処理液とした。上記分散処理液を豆腐充填容器(第一パック製、型式C−150、83×83×H34mm)に150g充填し、80℃にて40分間熟成した。熟成後の豆腐を、5℃で一晩保存後、豆腐の風味及び物性を評価した。
なお、下記表1中の豆腐評価の欄において、「Ca含有量60mg」とは、豆乳100gに対してカルシウム量が60mgとなるように凝固剤を添加したことを意味する。
− 豆腐の風味評価 −
豆腐の風味を専門パネル5名が下記評価基準により点数化し、専門パネル5名の平均点により、豆腐の風味を評価した。結果を下記表1に示す。
<風味評価基準>
4点:苦汁の甘味がほどよく引き立ち、且つ、苦味を感じない。
3点:苦汁の甘味を感じ、且つ、苦味は少ない。
2点:苦汁の甘味が弱い、又は、苦味を感じる。
1点:苦汁の甘味がより弱い、又は、苦味がより強い。
− 豆腐の硬さムラの評価 −
豆腐の上部に位置する任意の2ヶ所、及び豆腐の下部に位置する任意の2ヶ所から直径28mm、高さ15mmの円柱を切り出した測定サンプルを小型卓上試験機Ez−TEST(島津製作所製)を用いて圧縮破断試験を行った。ここで、豆腐の上部とは、豆腐充填容器で保存した際の豆腐上面から、当該上面に対して垂直方向に15mm入った位置までの間にある豆腐の部分をいう。また、豆腐の下部とは、豆腐充填容器で保存した際の豆腐底面から、当該底面に対して垂直方向に15mmまで入った位置までの間にある豆腐の部分をいう。
上記圧縮破断試験の結果に基づき、各豆腐において、破断点の強度(単位:gf)の最大値から最小値を引いた値を算出し、下記表1に示した。この値が大きいほど硬さムラが大きい。
Figure 0006629580
上記表1に示されるように、塩化マグネシウムを含有しない凝固剤は、苦汁の甘味を感じず、風味に劣る結果となった(比較例1)。
また、塩化マグネシウムを含有する場合であっても、マグネシウムの含有量に対するカルシウムの含有量の比が本発明で規定するよりも高い場合には、苦汁の甘味を感じず、やはり風味に劣る結果となった(比較例2、7)。逆に、マグネシウムの含有量に対するカルシウムの含有量の比が本発明で規定するよりも低い場合には、苦汁の苦みが強く、やはり風味に劣る結果となった(比較例3、4)。
また、マグネシウムの含有量に対するカルシウムの含有量の比が本発明で規定する範囲内であっても、マグネシウムの含有量とカルシウムの含有量の合計が本発明で規定するよりも少ないと、均一な凝固にならず、硬さムラが生じる結果となった(比較例5、6)。逆に、マグネシウムの含有量とカルシウムの含有量の合計が本発明で規定するよりも多い場合には、凝固剤の分散製剤化が困難であった(比較例8)。
これらに対し、本発明の規定を満たす実施例1〜7の豆腐用凝固剤を用いて豆腐を製造した場合には、得られる豆腐は苦汁の甘味を感じ、苦みが少なく、風味に優れると共に、豆腐の硬さも均一であった。

Claims (5)

  1. 油脂とポリグリセリン縮合リシノール酸エステルとを含む油相中に、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムが分散してなる豆腐用凝固剤であって、
    前記豆腐用凝固剤中、マグネシウムの含有量1質量部に対するカルシウムの含有量が5.035.0質量部であり、
    前記豆腐用凝固剤中、マグネシウムの含有量とカルシウムの含有量が合計で9.0〜15.0質量%である、豆腐用凝固剤。
  2. 前記豆腐用凝固剤中のポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの含有量が0.5〜10.0質量%である、請求項1に記載の豆腐用凝固剤。
  3. 前記豆腐用凝固剤中の油脂の含有量が25.0〜65.0質量%である、請求項1又は2に記載の豆腐用凝固剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の豆腐用凝固剤を含有する豆腐。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の豆腐用凝固剤を用いた豆腐の製造方法。
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