JP6610544B2 - エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、その製造方法、粉体塗料、及び成形体 - Google Patents

エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、その製造方法、粉体塗料、及び成形体 Download PDF

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Description

本発明は、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、粉体塗料、成形体、及びエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体の製造方法に関する。
エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体を含む粉体塗料により形成された塗膜は、耐熱性、耐薬品性、耐候性、機械的特性に優れている。このことから、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体を含む粉体塗料は、鋼材等の金属基材の表面を腐食等から保護するための、該表面上に形成されるライニング皮膜に有用である。
しかし、一般に、フッ素樹脂は、金属基材との接着性が低く、接着耐久性が充分でない場合があり、フッ素樹脂と金属基材との接着性を向上させることは重要な課題の一つである。
近年、フッ素樹脂と金属基材との接着性を向上させるために、フッ素樹脂の被膜と金属基材との間にプライマー層を形成する方法が開示されている。
例えば、特許文献1には、酸素を含む雰囲気下に200〜600℃で金属基材の表面を加熱処理し、次いで該表面上に所定の混合物からなるプライマーを塗布してプライマー層を形成し、次いで該プライマー層上にフッ素樹脂の被膜を形成する、フッ素樹脂の被膜の形成方法が記載されている。
また、プライマー層を形成せずに、フッ素樹脂と金属基材との接着性を向上させる方法が開示されている。
例えば、特許文献2には、塩素原子を含む連鎖移動剤(3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン)に基づく末端基を導入することにより、フッ素樹脂と金属基材との接着性を向上させたエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体が記載されている。
一方、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体が塩素原子を含むと、塗膜の耐熱性等が損なわれることが知られており、特許文献3では、実質的に塩素原子を含まない(70ppm以下)エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体が提案されている。
特開2006−167689号公報 特開2014−15551号公報 国際公開第2008/069278号
本発明は、形成した塗膜が金属基材への密着性に優れ、かつ、耐熱性に優れる、エチレン(以下、「E」とも称する。)/テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」とも称する。)共重合体(以下、「ETFE共重合体」とも称する。)、その製造方法、ETFE共重合体を含む粉体塗料、及び該粉体塗料から形成される塗膜を有する成形体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]共重合体中のいずれかの炭素原子に共有結合した塩素原子の含有量が100〜500質量ppmである、ETFE共重合体。
[2]エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体が、エチレンに基づく構成単位、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位、および他のモノマーに基づく構成単位を有し、該共重合体のいずれかの炭素原子に共有結合した塩素原子を有する、[1]に記載の共重合体。
[3]塩素原子が、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体中の末端における炭素原子に共有結合した塩素原子である、[1]又は[2]に記載の共重合体。
[4]ジクロロメチレン基を含有しない、[1]〜[3]のいずれかに記載の共重合体。
[5]共重合体中のエチレンに基づく構成単位及びテトラフルオロエチレンに基づく構成単位の合計の含有量が、共重合体の全構成単位に対して80〜99.5モル%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の共重合体。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の共重合体からなる塗料。
[7][1]〜[5]のいずれかに記載の共重合体を含む紛体塗料。
[8]金属基材と、該金属基材の表面に[7]に記載の粉体塗料により形成された塗膜を有する成形体。
[9][1]〜[5]のいずれかに記載の共重合体の製造方法であり、エチレンおよびテトラフルオロエチレンを含む単量体成分を、塩素原子を有する連鎖移動剤を用いて重合反応させることにより、前記共重合体中のいずれかの炭素原子に共有結合した塩素原子の全部又は一部を前記共重合体に導入することを特徴とする製造方法。
[10]塩素原子を有する連鎖移動剤と、塩素原子を含まない重合溶媒と、重合開始剤との存在下に、テトラフルオロエチレン、エチレンを含む単量体成分を共重合する、[9]に記載の共重合体の製造方法。
[11]1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンを含む連鎖移動剤と、ペルフルオロカーボン類、ハイドロフルオロカーボン類、及びハイドロフルオロアルキルエーテル類からなる群より選択される少なくとも1種の重合媒体と、重合開始剤との存在下に、
TFE、E、及びCH=CX(CFY(但し、X及びYは、それぞれ独立に水素原子又はフッ素原子であり、nは2〜8の整数である。)で表わされる化合物を共重合する、[10]に記載の製造方法。
[12]1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンが、全単量体成分の合計質量に対して0.05〜10質量%存在する、[11]に記載の製造方法。
[13]連鎖移動剤が、さらに塩素原子を有しない連鎖移動剤を含む、[11]に記載の製造方法。
[14]塩素原子を有しない連鎖移動剤がメタノールである、[13]に記載の製造方法。
[15]連鎖移動剤が、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンとメタノールとを含み、使用するメタノールの含有質量を1としたときの、使用する1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンの含有質量が0.1〜2.0である、[14]に記載の製造方法。
本発明のETFE共重合体によれば、形成した塗膜が金属基材への密着性に優れ、かつ、耐熱性に優れる。
本明細書においては、モノマーが重合することで形成される繰り返し単位を「構成単位」という。
[ETFE共重合体]
本発明のETFE共重合体は、少なくともEに基づく構成単位及びTFEに基づく構成単位を有し、さらに、該共重合体中の炭素原子に共有結合した塩素原子の含有量が100〜500質量ppmであることを特徴とする。
(Eに基づく構成単位及びTFEに基づく構成単位)
Eに基づく構成単位は、エチレンが重合することで形成される繰り返し単位である。Eに基づく構成単位を有することにより、ETFE共重合体を含む粉体塗料により形成された塗膜(以下、単に「塗膜」とも称する。)は、機械的強度、成膜性に優れたものになる。
TFEに基づく構成単位は、テトラフルオロエチレンが重合することで形成される繰り返し単位である。TFEに基づく構成単位を有することにより、塗膜は、耐熱性、耐候性、耐薬品性、ガスバリア性、燃料バリア性に優れたものになる。
ETFE共重合体における、Eに基づく構成単位とTFEに基づく構成単位とのモル比(E/TFE比)は、80/20〜20/80が好ましく、70/30〜30/70がより好ましく、50/50〜35/65が最も好ましい。
E/TFE比が前記上限値より大きいと、塗膜の耐熱性、耐候性、耐薬品性、薬液透過防止性等が低下する場合がある。一方、E/TFE比が前記下限値より小さいと、塗膜の機械的強度、成膜性等が低下する場合がある。E/TFE比が前記範囲にあると、塗膜が、耐熱性、耐候性、耐薬品性、薬液透過防止性、機械的強度、成膜性等に優れたものとなる。
ETFE共重合体が、下記の他のモノマーに基づく構成単位を有する場合における、Eに基づく構成単位及びTFEに基づく構成単位の合計の含有量は、ETFE共重合体の全構成単位に対して80〜99.5モル%が好ましく、90〜99.3モル%がより好ましく、95〜99.2モル%が最も好ましい。
(他のモノマーに基づく構成単位)
ETFE共重合体は、Eに基づく構成単位及びTFEに基づく構成単位以外の他のモノマーに基づく構成単位を有していてもよい。他のモノマーに基づく構成単位を有することにより、塗膜は、機械的特性や成膜性がより良好になる。
他のモノマーとしては、TFE以外の含フッ素モノマー、極性官能基含有モノマー(ただし、フッ素原子を有するものを除く。)、E以外のα−オレフィン類等が挙げられる。
<TFE以外の含フッ素モノマー>
含フッ素モノマーは、フッ素を有し、TFE以外のものであれば、特に限定されない。そのような含フッ素モノマーとしては、以下の(1)〜(6)が挙げられる。
(1)一般式CH=CX(CFY(ここで、X及びYは独立に水素又はフッ素原子、nは2〜8の整数である。)で表される化合物(以下、「FAE」とも言う。)。(2)フッ化ビニリデン(VDF)、フッ化ビニル(VF)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン(HFIB)等の不飽和基に水素原子を有するフルオロオレフィン。(3)ヘキサフルオロプロピレン(以下、「HFP」とも言う。)等の不飽和基に水素原子を有しないフルオロオレフィン(ただし、TFEを除く。)。
(4)ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、ペルフルオロ(ブチルビニルエーテル)(PBVE)等のペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、「PAVE」という。)。(5)CF=CFOCFCF=CF、CF=CFO(CFCF=CF等の不飽和結合を2個有するペルフルオロビニルエーテル類。(6)ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(PDD)、2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソール、ペルフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)等の脂肪族環構造を有する含フッ素モノマー類。
TFE以外の含フッ素モノマーは1種又は2種以上を用いることができる。また、上記(1)〜(6)の中でも、塗膜の耐熱性、耐薬品性、耐候性、非粘着性等の特性を良好にする観点から、(1)が好ましい。
上記(1)のFAEについては、一般式CH=CX(CFY(ここで、X及びYは独立に水素又はフッ素原子、nは2〜8の整数である。)におけるnが2未満であると、塗膜の特性が不充分(例えば、ストレスクラック発生等)になることがある。一方、上記一般式中のnが8を超えると重合反応性が不充分になることがある。nが2〜8であれば、塗膜は、耐熱性、耐薬品性、耐候性、非粘着性等の特性に優れ、FAEの重合反応性に優れる。
FAEとしては、具体的には、CH=CF(CFF、CH=CF(CFF、CH=CF(CFF、CH=CF(CFF、CH=CF(CFF、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFH、CH=CH(CFH、CH=CH(CFH、CH=CH(CFH、CH=CH(CFH等が挙げられる。
中でも、FAEは、上記CH=CH(CFY中のnが2〜6が好ましく、2〜4がより好ましい。この範囲にあれば、塗膜が耐ストレスラック性に著しく優れる。FAEとしては、CH=CH(CFFで表される、ペルフルオロブチルエチレンが特に好ましい。
FAEは1種又は2種以上を用いることができる。
ETFE共重合体がFAEに基づく構成単位を有する場合における、FAEに基づく構成単位の含有量は、全構成単位に対して、0.01〜20モル%が好ましく、0.1〜10モル%より好ましく、0.8〜5モル%が最も好ましい。FAEの含有量が0.01モル%未満であると、塗膜の耐ストレスクラック性が低く、ストレス下において割れる等の破壊現象が発生する場合がある。一方、20モル%を超えると、塗膜の機械的強度が低い場合がある。FAEの含有量が前記範囲にあると、塗膜は耐ストレスクラック性、機械的強度等の特性に優れる。
<極性官能基含有モノマー>
極性官能基含有モノマーは、極性官能基を有し、フッ素原子を有していなければ、特に限定されない。
極性官能基含有モノマー中の極性官能基としては、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、酸無水物残基などが挙げられる。中でも、後述する媒体化合物(1)を含む重合媒体に対してより溶解しやすく、重合反応系に添加しやすい点から、酸無水物残基が好ましい。
具体的な極性官能基含有モノマーとしては、水酸基若しくはエポキシ基を有するビニルエーテル類等;カルボキシ基を有する、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、ウンデシレン酸等;酸無水物残基を有する、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ハイミック酸等が挙げられる。中でも、後述する媒体化合物(1)を含む重合媒体に対してより溶解しやすく、重合反応系に添加しやすい点から、極性官能基含有モノマーは、無水マレイン酸、無水イタコン酸、又は無水ハイミック酸が好ましく、無水イタコン酸、及び無水ハイミック酸のうちいずれか1種以上であることが好ましい。
極性官能基含有モノマーは1種又は2種以上を用いることができる。
ETFE共重合体が極性官能基含有モノマーを有する場合における、極性官能基含有モノマーに基づく構成単位の含有量は、全構成単位に対して0.01〜5モル%が好ましく、0.05〜3モル%がより好ましく、0.1〜1モル%が最も好ましい。極性官能基含有モノマーの含有量が前記下限値以上であれば、塗膜と金属基材との密着性がさらに良好になる。一方、極性官能基含有モノマーの含有量が前記上限値以下であれば、極性官能基含有モノマーのみのオリゴマーが生成することに起因する、塗膜と金属基材との密着性の低下が防げる。
<α−オレフィン類>
α−オレフィン類は、E以外のものであれば、特に限定されない。
α−オレフィン類としては、プロピレン、ブテン等が挙げられる。中でも、塗膜の耐熱性、機械特性等の物性がより良好になる点から、プロピレン、又は1−ブテンが好ましい。
α−オレフィン類は1種又は2種以上を用いることができる。
ETFE共重合体がα−オレフィン類を有する場合における、α−オレフィン類に基づく構成単位の含有量は、全構成単位に対して0.01〜20モル%が好ましく、0.1〜10モル%がより好ましく、0.5〜5モル%が最も好ましい。この範囲内であれば、耐熱性を損なうことなく、塗工性や塗膜の機械物性を調整できるので好ましい。
(塩素原子)
塩素原子は、ETFE共重合体中のいずれかの炭素原子に共有結合している。ETFE共重合体中に塩素原子が存在することにより、塗膜と金属基材との接着性が発揮される。
ただし、ETFE共重合体中の塩素原子は熱安定性が低く、分子鎖切断のきっかけとなってETFE共重合体の分子量低下を生じることがある。そこで、分子量低下によるETFE共重合体の耐熱性等の特性がより損なわれないようにする点から、塩素原子はETFE共重合体中の末端基における炭素原子に共有結合していることが好ましい。塩素原子がETFE共重合体中の末端に存在していれば、中心部に存在しているよりも分子量の低下が防げる。
塩素原子の由来は、特に限定されず、例えば、モノマー由来の塩素原子であってもよく、添加物由来の塩素原子であってもよい。塩素原子の含有量がより調整しやすい点から、添加物由来の塩素原子が好ましく、さらに添加物の中でも、ETFE共重合体中の末端基における炭素原子により共有結合しやすい点から、連鎖移動剤由来の塩素原子が好ましい。
ここで、共重合体の末端とは、共重合体を形成する構成単位の連鎖のうち一番長い鎖長を有する連鎖の末端をいい、塩素原子は、該末端の少なくとも1か所に共有結合しているのが好ましい。
塩素原子の含有量は100〜500質量ppmである。なお、前記塩素原子の含有量とは、ETFE共重合体の質量に対する、ETFE共重合体に含有される塩素原子の質量ppmである。塩素原子の含有量は、120〜450質量ppmが好ましく、150〜400質量ppmがより好ましく、150〜350質量ppmがさらに好ましい。200〜250質量ppmであることが特に好ましい。
塩素原子の含有量が前記下限値以上であれば、ETFE共重合体を含む粉体塗料を金属基材表面に塗布する際、加熱により充分な量の塩酸が発生し、この塩酸が金属基材の表面を適度に腐食し、塗膜と金属基材との密着性を高める。一方、前記上限値以下であれば、ETFE共重合体が熱分解しにくくなり、耐熱性等の特性に優れる。
また、ETFE共重合体中に含まれる塩素原子は、ETFE共重合体中においてジクロロメチレン基(−CCl−)として存在しないことが好ましい。例えば、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(以下、「AK225cb」と言う。)は、構造中にジクロロメチレン基を有さないため、連鎖移動剤としてAK225cbを用いることが好ましい。ETFE共重合体中にジクロロメチレン基が存在すると、ETFE共重合体を加熱した際に着色し、耐熱性に劣ることがある。一方、ETFE共重合体中にジクロロメチレン基を含有しなければ、耐熱性に優れる。
(Q値)
ETFE共重合体の容量流速(以下、「Q値」と称する。)は、0.1〜500mm/秒が好ましく、0.5〜200mm/秒がより好ましく、1〜100mm/秒が最も好ましい。Q値は、ETFE共重合体の溶融流動性を表す指標であり、分子量の目安となる。Q値が大きいと分子量が低く、小さいと分子量が高いことを示す。Q値は、フローテスター(例えば、島津製作所社製CFT−100D等)を用いて、樹脂の融点より50℃高い温度において、荷重7kg下に直径2.1mm、長さ8mmのオリフィス中に押出すときの含フッ素共重合体の押出し速度である。
ETFE共重合体のQ値が、前記上限値以下であれば、塗膜は機械的強度により優れ、前記下限値以上であれば、塗膜の厚みの均一性がより良好になる。
(融点)
ETFE共重合体の融点は、150〜280℃が好ましく、180〜275℃がより好ましく、240〜265℃が最も好ましい。ETFE共重合体の融点が前記下限値以上であれば、塗膜の耐熱性がより良好になる。一方、前記上限値以下であれば、加工の際の温度を低くできる。
(製造方法)
ETFE共重合体の製造方法は、エチレン及びテトラフルオロエチレンを少なくとも含み、前記他のモノマーを含んでもよい単量体成分を、連鎖移動剤と、重合媒体と、重合開始剤との存在下に共重合することを含む。
ETFE共重合体の製造の際の重合方法としては、懸濁重合、溶液重合、乳化重合等の方法が挙げられ、中でも、懸濁重合、溶液重合が好ましい。
重合条件は、特に限定されない。重合温度は、0〜100℃が好ましく、20〜90℃がより好ましい。重合圧力は、0.1〜10MPaが好ましく、0.5〜3MPaがより好ましい。重合時間は、1〜30時間が好ましく、2〜20時間がより好ましい。
ETFE共重合体中の塩素原子の含有量を100〜500質量ppmの範囲に調整する手法としては、以下の方法α、及び方法βなどが挙げられる。
方法α:重合反応系に塩素原子導入用の化合物を添加し、ETFE共重合体の末端に塩素原子を導入する方法。
方法β:モノマー成分としてE及びTFE以外に塩素原子を含有するモノマーを配合し、共重合を行う方法。
方法α及び方法βのうち、ETFE共重合体中の塩素原子の含有量がより調整しやすい点、塩素原子をETFE共重合体の末端基における炭素原子に共有結合させやすく、塗膜の耐熱性等の特性がより損なわれないようにする点から、方法αが好ましい。
方法αにおける塩素原子導入用の化合物は、特に限定されないが、例えば、塩素原子を有する連鎖移動剤、塩素原子を有する重合開始剤等が挙げられる。
塩素原子をETFE共重合体の末端基に導入でき、かつ、導入する塩素原子の導入量を調整しやすい点から、ETFE共重合体中の塩素原子の全部又は一部は、塩素原子を有する連鎖移動剤を用いて導入されることが好ましい。
方法αにおける塩素導入用の化合物の重合反応系における存在量は、全単量体成分の合計質量に対して、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.4〜3質量%が最も好ましい。方法αの塩素原子導入用の化合物の重合反応系における存在量を前記下限値以上とすれば、塩素原子をETFE共重合体に充分導入することができ、塗膜と金属基材との密着性がより優れたものになる。一方、前記上限値以下であれば、ETFE共重合体に取り込まれる塩素原子の量が多くなりすぎず、塗膜の耐熱性の低下が防げる。
方法βにおける塩素原子を含有するモノマーとしては、クロロトリフルオロエチレン等のクロロフルオロオレフィン類、モノクロロジフルオロエチレン、モノクロロモノフルオロエチレン等のハイドロクロロフルオロオレフィン類、塩化ビニル、1,2−ジクロロエチレン等のハイドロクロロオレフィン類等が挙げられる。
<連鎖移動剤>
本明細書において、連鎖移動剤とは、重合反応中の共重合体末端におけるラジカルにより水素原子又は塩素原子が引き抜かれ、その水素原子又は塩素原子が共重合体末端に結合することにより重合反応を停止させ得る化合物を意味する。中でも、連鎖移動剤の水素原子が引き抜かれ、その水素原子が共重合体末端に結合することにより重合反応を停止させうる化合物であることが好ましい。重合反応系における連鎖移動剤の存在量を適切に調整することにより、ETFE共重合体の分子量の調整が可能となる。また、水素原子又は塩素原子が引き抜かれた連鎖移動剤は、ラジカルを生成し、重合反応を開始する場合もある。
連鎖移動剤は塩素原子を有する連鎖移動剤と、塩素原子を有しない連鎖移動剤とに分けられる。塩素原子を有する連鎖移動剤による連鎖移動反応によれば、塩素原子はETFE共重合体の末端に導入される。中でも、重合反応中の共重合体末端におけるラジカルにより、塩素原子を有する連鎖移動剤の水素原子が引き抜かれることで重合反応が停止され、水素原子が引き抜かれた連鎖移動剤から生成したラジカルが重合反応を開始することが可能な連鎖移動剤を用いることが好ましい。
塩素原子を有する連鎖移動剤としては、メチルクロライド、メチレンクロライド、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハイドロクロロカーボン類、AK225cb等のハイドロクロロフルオロカーボン類等が挙げられる。中でも、ETFE共重合体中においてジクロロメチレン基を生じさせないことから、メチルクロライド、1,2−ジクロロエタン、AK225cbが好ましく、AK225cbが特に好ましい。
上述の塩素原子を有する連鎖移動剤を用いる場合も用いない場合も、ETFE共重合体の製造の際の重合反応系には、塩素原子を有しない連鎖移動剤を添加してもよい。いずれの場合も、連鎖移動剤の総量を調整することにより、製造されるETFE共重合体の分子量が調整しやすくなる。
塩素原子を有しない連鎖移動剤としては、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール等のアルコール類、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のハイドロカーボン類、CH等のハイドロフルオロカーボン類、アセトン等のケトン類、メチルメルカプタン等のメルカプタン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類が挙げられる。
中でも、連鎖移動定数がより高く、得られるETFE共重合体の末端基の安定性が高い点から、アルコール類、ハイドロカーボン類、及びハイドロフルオロカーボン類からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、アルコール類及びハイドロカーボン類のいずれか一方又は両方がより好ましく、アルコール類であることがさらに好ましい。
アルコール類としては、水に溶解しやすく、製造後、得られたETFE共重合体と分離しやすい点から、メタノール、又はエタノールが好ましく、メタノールが特に好ましい。
ハイドロカーボン類としては、連鎖移動定数がより高く、得られるETFE共重合体の末端基の安定性が高く、沸点が室温より充分に高く100℃以下である点から、n−ペンタン、又はシクロヘキサンが好ましい。
連鎖移動剤は1種又は2種以上を用いることができる。また、塩素原子を有する連鎖移動剤のみを用いても、塩素原子を有しない連鎖移動剤のみを用いてもよいが、これらを併用することがETFE共重合体中の塩素原子の含有量を本発明の範囲内に調整する上で有利な場合がある。
塩素原子を有する連鎖移動剤と、塩素原子を有しない連鎖移動剤の併用としては、AK225cbとメタノールの併用が好ましい。その場合、使用するメタノールの含有質量を1としたときの、使用するAK225cbの含有質量が0.1〜2.0であることが好ましく、0.2〜1.5であることがより好ましく、0.4〜1.0であることがさらに好ましい。
<重合媒体>
ETFE共重合体は、重合媒体中で重合して製造される。重合媒体は、重合反応で一般に用いられるものであれば、特に限定されない。重合媒体は、塩素原子を有しているものでもよく、塩素原子を有していないものでもよいが、オゾン層破壊のおそれの無い塩素を有していない重合媒体がより好ましい。塩素を有する重合媒体を使用する場合、塩素を有する重合媒体が僅かに連鎖移動反応し、ETFE共重合体に塩素原子が導入される場合もある。このような場合、塩素を有する重合媒体は重合媒体として用いつつ連鎖移動剤として用いてもよい。
具体的な重合媒体としては、ペルフルオロカーボン類、ハイドロフルオロカーボン類、ハイドロフルオロエーテル類が挙げられる。
ペルフルオロカーボン類としては、n−ペルフルオロヘキサン、n−ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロシクロブタン、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロベンゼン等が挙げられる。
ハイドロフルオロカーボン類としては、1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタン、CFCHF(CFF、CF(CFH、CFCFCHF(CFF、CF(CHF)(CFF、CHFCHF(CFF、CF(CFH、CFCH(CF)(CFF、CFCF(CF)CHF(CFF、CFCF(CF)(CHF)CF、CFCH(CF)CHF(CFF、CFCFCHCH、CF(CF(CHH等が挙げられる。中でも、連鎖移動定数が充分に小さく、連鎖移動剤として作用しない点、沸点が室温より充分に高く100℃以下であるため、取り扱いが容易である点、ETFE共重合体のスラリーを水中で重合媒体を蒸発回収しながら造粒できる点から、CF(CFHが特に好ましい。
ハイドロフルオロエーテル類としては、下記式(a)で表される化合物が挙げられる。
2m+1−x−O−C2n+1−y ・・・(a)
[ただし、前記式(a)中、mは1〜6の整数、nは1〜6の整数、xは0〜(2m+1)、yは0〜2n、(x+y)は1以上である。]
上記式(a)中の「C2m+1−x」及び「C2n+1−y」は、直鎖状でもよく、分岐状でもよい。「C2m+1−x」及び「C2n+1−y」の炭素原子の合計数は、3〜8が好ましく、4〜6がより好ましい。炭素原子の合計数が前記下限値より少ないと、沸点が低すぎて取扱いにくくなる。一方、炭素原子の合計数が前記上限値より多いと、沸点が高すぎて重合体との分離が困難になる。
「C2m+1−x」及び「C2n+1−y」のフッ素原子の合計数は、水素原子とフッ素原子の合計数に対して60%以上が好ましい。フッ素原子の量が多くなると連鎖移動定数が小さくなるので好ましいが、多すぎると地球温暖化係数が高くなるので好ましくない。また、水素原子の量が多すぎると連鎖移動定数が大きくなるので好ましくない。
また、フッ素原子と水素原子が混在すると連鎖移動定数がより小さくなる点から、「C2m+1−x」及び「C2n+1−y」の両方にフッ素原子と水素原子を含むこと、すなわち、xが1以上かつyが1以上であることが好ましい。ただし、mが1,2である場合には、xが0であっても、連鎖移動定数は充分に小さい。
上記式(a)で表される化合物の具体例としては、CFCHO(CFH、CHFCFCHO(CFH、CHO(CFH、CHOCFCF(CF、CFCHFCFOCF等が挙げられる。中でも、連鎖移動定数が充分に小さく、連鎖移動剤として作用しない点、沸点が室温より充分に高く100℃以下であるため、取り扱いが容易である点、ETFE共重合体のスラリーを水中で重合媒体を蒸発回収しながら造粒できる点から、CFCHO(CFHが特に好ましい。
<重合開始剤>
ETFE共重合体の製造においては、一般に、重合反応を開始させるために重合開始剤が用いられる。
重合開始剤は、塩素原子を有しているものでもよく、塩素原子を有していないものでもよい。
重合開始剤としては、半減期が10時間である温度が0〜100℃であるラジカル重合開始剤が好ましく、20〜90℃であるラジカル重合開始剤がより好ましい。具体例としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシアセテート等のペルオキシエステル、イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の非フッ素系ジアシルペルオキシド、(Z(CF)pCOO)(ここで、Zは水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、pは1〜10の整数である。)等の含フッ素ジアシルペルオキシド、ペルフルオロtert−ブチルペルオキシド、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等が挙げられる。
[粉体塗料]
本発明の粉体塗料は、上述のETFE共重合体を含む。粉体塗料は、ETFE共重合体以外に、熱安定剤やその他の添加剤を含んでいてもよい。以下、熱安定剤、及びその他の添加剤について説明する。
粉体塗料は、上述のETFE共重合体を含めば優れた耐熱性を発揮するが、製造時等に受ける熱に対する耐熱性をさらに向上させるため、接着性を低下させない範囲でETFE共重合体以外に熱安定剤を含んでいてもよい。
熱安定剤としては、銅化合物、錫化合物、鉄化合物、鉛化合物、チタン化合物及びアルミニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
熱安定剤の具体例としては、酸化銅、ヨウ化銅、アルミナ、硫酸錫、硫酸ゲルマニウム、塩基性硫酸鉛、亜硫酸錫、燐酸バリウム、ピロリン酸錫等が挙げられる。中でも、酸化銅、ヨウ化銅、アルミナ、硫酸錫、塩基性硫酸鉛、亜硫酸錫、又はピロリン酸錫が好ましく、酸化銅、又はヨウ化銅が特に好ましい。
粉体塗料は、熱安定剤以外に、用途、目的に応じて、着色のための顔料等のその他の添加剤を含んでいてもよい。
粉体塗料中の熱安定剤やその他の添加剤の含有量は、粉体塗料全体の質量に対して、0.0001〜50質量%が好ましく、0.0002〜20質量%がより好ましい。粉体塗料中の熱安定剤及びその他の添加剤の含有量が前記下限値以上であれば、塗膜に耐熱性向上や着色といった熱安定剤やその他の添加剤の機能が付加される。一方、前記上限値以下であれば、耐薬品性、機械特性等のETFE共重合体が有する特性を低下させない。
粉体塗料における粉体の平均粒径は、0.01〜1000μmが好ましい。平均粒径が前記下限値以上であれば、粉体としての取り扱いがより容易になる。一方、前記上限値以下であれば、塗膜成形後の表面平滑性がより良好になる。
静電塗装に使用する場合の平均粒径は、0.5〜300μmが好ましく、1〜200μmがより好ましい。また、回転成形に使用する場合の平均粒径は、1〜500μmが好ましく、5〜300μmがより好ましい。本明細書において、粉体の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される50%体積平均粒子径を意味する。
粉体塗料の製造方法としては、ETFE共重合体に、配合剤を添加、混合することにより行われる。混合方法としては、粉体塗料の製造において公知の方法を用いればよい。
また、ETFE共重合体は、混合前に、ハンマーミル、ターボミル、ジェットミル等の粉砕機で粉砕して、所望の粒子径の粉体としてもよい。
[成形体]
本発明の成形体は、上記粉体塗料により、金属基材表面に塗膜が形成されてなり、金属基材と、その表面に上記粉体塗料により形成された塗膜を有する。
前記金属基材としては、例えば、鉄、アルミニウム、銅、錫、チタン、クロム、ニッケル、亜鉛等を含む鋼材が挙げられる。
具体的な鋼材としては、JIS G 3101に規格されるSS400等の一般鋼材、JIS SUS304やJIS SUS316などのステンレス鋼が挙げられる。
塗膜の厚さは、1μm〜10mmが好ましく、50μm〜5mmがより好ましく、100μm〜3mmが特に好ましい。塗膜の厚さが前記下限値以上であれば、塗膜による金属基材表面の腐食等からの保護性に優れる。一方、前記上限値以下であれば、粉体塗料の使用量が抑えられるため、原料コストが抑えられる。
塗膜は、金属基材の表面全体に形成されていてもよく、金属基材の表面の一部のみに形成されていてもよい。例えば、金属基材の一方の表面のみ、若しくは金属基材の一方の表面の一部のみに塗膜が形成されていてもよい。
成形体の形状としては、パイプ、チューブ、フィルム、板、タンク、ロール、ベッセル、バルブ、エルボー等が挙げられる。
粉体塗料を用いて、金属基材表面に塗膜を形成する方法は、公知の方法でよく、例えば、静電粉体塗装や回転成形等が挙げられる。
本発明においては、粉体塗料により金属基材表面に直接塗膜を形成しても優れた塗膜と金属基材との接着性を発揮するが、必要に応じて、塗膜と金属基材との間に、既存のプライマー層等の任意の層を設けてもよい。かかるプライマー層としては、WO2015/083730に記載されるものが挙げられる。
本発明のETFE共重合体によれば、形成した塗膜が金属基材への密着性に優れ、かつ、耐熱性に優れる。
ETFE共重合体中のいずれかの炭素原子に共有結合している塩素原子は、ETFE共重合体中のいずれかの炭素原子に共有結合している水素原子又は水分と反応し、炭素原子から脱離し、塩化水素を生成しやすいと考えられる。ETFE共重合体を含む粉体塗料により金属基材表面に塗膜を形成した場合、ETFE共重合体から脱離した塩化水素によって、金属基材表面が荒れる又は酸化等の反応が起こる。そうすると、金属基材表面は、表面積が増大し又は新たな化学結合が生じやすい状態になり、ETFE共重合体をアンカーしやすくなる。その結果、塗膜と金属基材との接着性が高まるものと推定される。
一方、分子内に存在する塩素原子はETFE共重合体を分解しやすく、ETFE共重合体の耐熱性等の特性を損ねやすい。しかし、本発明者らの検討により、ETFE共重合体中の塩素原子の含有量が本発明の範囲内であれば、ETFE共重合体の耐熱性が低下しにくいことが分かった。また、ETFE共重合体中にジクロロメチレン基を含有しないことでも、特に加熱時の着色の懸念という観点において、ETFE共重合体の耐熱性が低下しにくいことが分かった。
特に、塩素原子を導入する方法として、塩素原子を有する連鎖移動剤、特にAK225cbを用いる方法を採用すると、塗膜の耐熱性が低下しにくい。これは、連鎖移動剤由来の塩素原子がETFE共重合体中の末端基における炭素原子に共有結合しているため、ETFE共重合体の中心部における分解を生じさせにくく、ETFE共重合体の平均分子量を低下させないためであると推定される。
さらに、少量の連鎖移動剤由来の塩素原子は、分子量が比較的小さいETFE共重合体に優先的に導入されやすく、分子量が比較的大きいETFE共重合体には導入されにくいと考えられる。その結果、耐熱性を発現するために重要な、分子量が比較的大きいETFE共重合体が実質的に分解されないため、塩素原子がETFE共重合体に導入されていても、塗膜の耐熱性がより維持されやすいと考えられる。
また、連鎖移動剤として塩素原子を有しない連鎖移動剤、特にメタノールを併用し、その量を適切に制御することにより、ETFEの分子量を適切に調整すると同時に、ETFE共重合体中の塩素原子の含有量を本発明の範囲内に調整することができることが明らかとなった。
以上により、本発明のETFE共重合体を含む粉体塗料により形成された塗膜は、接着性と耐熱性に優れたものになる。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
[評価方法]
(容量流速:Q値(mm/秒))
フロ−テスタ(島津製作所社製CFT−100D、炉体断面積1cm)を用いて、ETFE共重合体の融点の50℃高い温度で、荷重7kg下に直径2.1mm、長さ8mmのオリフィスからETFE共重合体を押出すときの押出し速度で示す。ただし、本実施例においては、測定温度として297℃を用いた。
(融点(℃))
走査型示差熱分析器(SII社製、DSC7200)を用いて、空気雰囲気下に300℃まで10℃/分で加熱した際の吸熱ピークから求めた。
(ETFE共重合体の組成(モル%))
全フッ素量測定及び溶融F−NMR測定の結果から算出した。
(塩素原子含有量(質量ppm))
ETFE共重合体をJIS K 7229に記載の酸素フラスコ法で燃焼処理し、発生した分解ガスを吸収液に吸収させ、吸収液に含まれる塩化物イオンをイオンクロマトグラフ法(DIONEX社製 DX−500i)により塩化物イオンを定量した。
(引張伸度保持率(%))
ETFE共重合体をプレス成型し、1mm厚みのシートを作製成した。作製成したシートからASTM D−638 Type Vのダンベル状試験片を切り出し、引張速度200mm/分で引張試験を行って引張伸度を測定し、熱処理前の引張伸度とした。
次いで、ダンベル状試験片を200℃のオーブンに入れ、720時間熱処理した。熱処理の後、熱処理前と同じ引張試験を行って引張伸度を測定し、熱処理後の引張伸度とした。
引張伸度保持率(%)を下記式(2)により算出した。なお、引張伸度保持率が高いほど、耐熱性が高いことを示す。
引張伸度保持率(%)=(熱処理後伸度/熱処理前伸度)×100 ・・・(2)
(接着力(N/cm))
縦50mm、横150mm、厚さ2mmのJIS G 3101に規格されるSS400鋼材を400℃で1時間焼成した。次いで、焼成した鋼材の表面を60メッシュのアルミナ粒子を用いて、表面粗さ(JIS B 0601で測定)であるRa=5〜10μmとなるようサンドブラスト処理した。次いで、サンドブラスト処理した鋼材の表面をエタノールで清浄して、試験用金属基材を作製した。
試験用金属基材の表面上に、冷凍粉砕により平均粒子径を100±20μmにした、ETFE共重合体を含む粉体塗料を乗せ、300℃のオーブンで30分間加熱し、膜厚が500±50μmの塗膜を形成して、試験片を得た。
試験片の長手方向の片端部を、カッターナイフを使って樹脂塗膜と金属基材の間に切り込みを入れて剥離させた。塗膜の剥離した部分をチャックに固定し、引張り試験機(エー・アンド・デイ社製「テンシロン」)を用いて、前記片端部から50mmの位置まで、塗膜を剥離した。剥離条件は、引張り速度を50mm/分、試験用金属基材と塗膜との角度を90度、最大荷重を剥離強度(単位:N/10cm)とした。なお、剥離強度が大きいほど、塗膜と試験用金属基材との接着力が高いことを示す。
(耐熱性試験(着色試験))
縦×横が50mm×70mm、厚さ1mmのスペーサーを使って、ETFE共重合体をプレス成型した。プレスする際、10kgf/cmの圧力下に320℃で30分間ポリマーを保持した。成形されたプレスシートの着色度合いで、ポリマーの耐熱性を評価した。
[実施例1]
内容積1.2Lのジャケット付きステンレス製重合槽内に、真空引きにより、FAEであるCH=CH(CFF(以下、「PFBE」という。)の0.54質量%、塩素原子を有しない連鎖移動剤であるメタノールの0.95質量%、塩素原子を有する連鎖移動剤であるAK225cbの0.5質量%を含むCF(CFH溶液の0.74Lを供給した。次いで、反応溶液を攪拌しながら、重合槽内を66℃に加熱した。次いで、重合槽内に、TFE/E=84/16(モル比)の混合ガスを供給して内圧(ゲージ圧)を1.5MPaGとし、そこに重合開始剤であるtert−ブチルペルオキシピバレートの1質量%を含むCF(CFH溶液の7.6mLを供給することにより、重合反応を開始した。
重合反応中、内圧(ゲージ圧)が1.5MPaGを保持するようにTFE/E=54/46(モル比)の混合ガスを連続的に供給すると同時に、前記混合ガスに対して1.5モル%に相当するPFBEを連続的に供給した。混合ガスを90g仕込んだ時点でガスの供給を停止し、重合槽を冷却し、残モノマーガスをパージしてETFE共重合体のスラリーを得た。
得られたスラリーをフラスコに移し、スラリーと同体積の水を加え、加熱しながら溶媒を除去し、ETFE共重合体(以下、「ETFE1」という。)を得た。
ETFE1のQ値は34mm/秒、融点は258℃、組成はTFE/E/PFBE=53.0/45.5/1.5(モル%)、塩素含有量は200質量ppm、引張伸度保持率は103%、接着力は45N/cmであった。また、着色試験において、プレスシートは白色透明だった。
[実施例2]
重合開始前に供給するCF(CFH溶液中の組成を、PFBEの0.74質量%、メタノールの0.71質量%、AK225cbの0.7質量%にし、また、tert−ブチルペルオキシピバレートの1質量%を含むCF(CFH溶液の供給量を12mLにし、さらに、重合反応中、TFE/E=54/46(モル比)の混合ガスに対して2.1モル%に相当するPFBEを供給する以外は、実施例1と同様にしてETFE共重合体(以下、「ETFE2」という。)を得た。
ETFE2のQ値は31mm/秒、融点は253℃、組成はTFE/E/PFBE=52.8/45.1/2.1(モル%)、塩素含有量は310質量ppm、引張伸度保持率は71%、接着力は48N/cmであった。また、着色試験において、プレスシートは白色透明だった。
[実施例3]
重合開始前に供給するCF(CFH溶液中の組成を、PFBEの0.27質量%、メタノールの0.81質量%、AK225cbの0.6質量%にし、また、tert−ブチルペルオキシピバレートの1質量%を含むCF(CFH溶液の供給量を3.8mLにし、さらに、重合反応中、TFE/E=54/46(モル比)の混合ガスに対して1.0モル%に相当するPFBEを供給する以外は、実施例1と同様にしてETFE共重合体(以下、「ETFE3」という。)を得た。
ETFE3のQ値は5.8mm/秒、融点は263℃、組成はTFE/E/PFBE=53.4/45.7/0.9(モル%)、塩素含有量は240質量ppm、引張伸度保持率は75%、接着力は43N/cmであった。また、着色試験において、プレスシートは白色透明だった。
[実施例4]
重合開始前に供給するCF(CFH溶液中の組成を、AK225cbの0.4質量%にしする以外は、実施例1と同様にしてETFE共重合体(以下、「ETFE11」という。)を得た。
ETFE11のQ値は32mm/秒、融点は258℃、組成はTFE/E/PFBE=53.0/45.5/1.5(モル%)、塩素含有量は150質量ppm、引張伸度保持率は105%、接着力は41N/cmであった。また、着色試験において、プレスシートは白色透明だった。
[比較例1]
重合開始前に供給するCF(CFH溶液中の組成を、PFBEの0.38質量%、メタノールの0質量%、AK225cbの24質量%にし、また、tert−ブチルペルオキシピバレートの1質量%を含むCF(CF)5H溶液の供給量を3.8mLにし、さらに、重合反応中、TFE/E=54/46(モル比)の混合ガスに対して1.0モル%に相当するPFBEを供給する以外は、実施例1と同様にしてETFE共重合体(以下、「ETFE4」という。)を得た。
ETFE4のQ値は5.9mm/秒、融点は262℃、組成はTFE/E/PFBE=53.3/45.7/1.0(モル%)、塩素含有量は750質量ppm、引張伸度保持率は38%、接着力は55N/cmであった。
[比較例2]
重合開始前に供給するCF(CFH溶液中の組成を、PFBEの1.0質量%、メタノールの0質量%、AK225cbの34質量%にし、また、tert−ブチルペルオキシピバレートの1質量%を含むCF(CFH溶液の供給量を13mLにし、さらに、重合反応中、TFE/E=54/46(モル比)の混合ガスに対して2.1モル%に相当するPFBEを供給する以外は、実施例1と同様にしてETFE共重合体(以下、「ETFE5」という。)を得た。
ETFE5のQ値は29mm/秒、融点は252℃、組成はTFE/E/PFBE=52.9/44.9/2.2(モル%)、塩素含有量は820質量ppm、引張伸度保持率は45%、接着力は58N/cmであった。
[比較例3]
重合開始前に供給するCF(CFH溶液中の組成を、PFBEの0.27質量%、メタノールの0.85質量%、AK225cbの0質量%にし、また、tert−ブチルペルオキシピバレートの1質量%を含むCF(CFH溶液の供給量を3.8mLにし、さらに、重合反応中、TFE/E=54/46(モル比)の混合ガスに対して1.0モル%に相当するPFBEを供給する以外は、実施例1と同様にしてETFE共重合体(以下、「ETFE6」という。)を得た。
ETFE6のQ値は32mm/秒、融点は259℃、組成はTFE/E/PFBE=53.3/45.7/1.0(モル%)、塩素含有量は50質量ppm、引張伸度保持率は77%、接着力は33N/cmであった。
[比較例4]
重合開始前に供給するCF(CFH溶液中の組成を、PFBEの0.54質量%、メタノールの0.98質量%、AK225cbの0質量%にする以外は、実施例1と同様にしてETFE共重合体(以下、「ETFE7」という。)を得た。
ETFE7のQ値は30mm/秒、融点は257℃、組成はTFE/E/PFBE=52.9/45.5/1.6(モル%)、塩素含有量は60質量ppm、引張伸度保持率は105%、接着力は35N/cmであった。
[比較例5]
本例では、重合媒体として、CFCHO(CFHを用いた。
内容積1.2Lのジャケット付きステンレス製重合槽内に、真空引きにより、PFBEの0.37質量%、メタノールの1.2質量%を含むCFCHO(CFH溶液の0.74Lを供給した。次いで、反応溶液を攪拌しながら、重合槽内を66℃に加熱した。次いで、重合槽内に、TFE/E=84/16(モル比)の混合ガスを供給して内圧(ゲージ圧)を1.5MPaGとし、そこに重合開始剤であるtert−ブチルペルオキシピバレートの1質量%を含むCFCHO(CFH溶液の6mLを供給することにより、重合反応を開始した。
重合反応中、内圧(ゲージ圧)が1.5MPaGを保持するようにTFE/E=54/46(モル比)の混合ガスを連続的に供給すると同時に、前記混合ガスに対して1.0モル%に相当するPFBEを連続的に供給した。混合ガスを90g仕込んだ時点でガスの供給を停止し、重合槽を冷却し、残モノマーガスをパージしてETFE共重合体のスラリーを得た。
得られたスラリーをフラスコに移し、スラリーと同体積の水を加え、加熱しながら溶媒を除去し、ETFE共重合体(以下、「ETFE8」という。)を得た。
ETFE8のQ値は28mm/秒、融点は265℃、組成はTFE/E/PFBE=53.3/45.7/1.0(モル%)、塩素含有量は50質量ppm、引張伸度保持率は81%、接着力は33N/cmであった。
[比較例6]
重合開始前に供給するCFCHO(CFH溶液中の組成を、PFBEの0.56質量%、メタノールの0.7質量%にし、また、tert−ブチルペルオキシピバレートの1質量%を含むCFCHO(CFH溶液の供給量を7.7mLにし、さらに、重合反応中、TFE/E=54/46(モル比)の混合ガスに対して1.5モル%に相当するPFBEを供給する以外は、比較例5と同様にしてETFE共重合体(以下、「ETFE9」という。)を得た。
ETFE9のQ値は6mm/秒、融点は260℃、組成はTFE/E/PFBE=52.9/45.6/1.5(モル%)、塩素含有量は60質量ppm、引張伸度保持率は98%、接着力は36N/cmであった。
[比較例7]
重合開始前に供給するCFCHO(CFH溶液中の組成を、PFBEの0.74質量%、メタノールの0.8質量%にし、また、tert−ブチルペルオキシピバレートの1質量%を含むCFCHO(CFH溶液の供給量を10mLにし、さらに、重合反応中、TFE/E=54/46(モル比)の混合ガスに対して2.0モル%に相当するPFBEを供給する以外は、比較例5と同様にしてETFE共重合体(以下、「ETFE10」という。)を得た。
ETFE10のQ値は18mm/秒、融点は254℃、組成はTFE/E/PFBE=53.3/44.9/1.9(モル%)、塩素含有量は60質量ppm、引張伸度保持率は95%、接着力は32N/cmであった。
以上の実施例1〜3及び比較例1〜7における結果を以下の表1に示す。
Figure 0006610544
表1に示されるように、ETFE共重合体中の塩素原子の含有量が200質量ppmの実施例1、320質量ppmの実施例2、240質量ppmの実施例3、及び150質量ppmの実施例4では、接着力は41N/cm以上であり、かつ、引張伸度保持率が71%以上であった。すなわち、実施例1〜4のETFE共重合体を含む粉体塗料から形成した塗膜は、金属基材への密着性に優れ、かつ、耐熱性に優れていることが分かった。
これに対し、ETFE共重合体中の塩素原子の含有量が、750質量ppmである比較例1、及び820質量ppmである比較例2では、引張伸度保持率が実施例1〜実施例4よりも低く、比較例1及び比較例2のETFE共重合体を含む粉体塗料から形成した塗膜は、耐熱性に劣ることが分かった。
また、ETFE共重合体中の塩素原子の含有量が、50質量ppmである比較例3、比較例5、及び60質量ppmである比較例4、比較例6、比較例7では、接着力が実施例1〜実施例4よりも低く、比較例3〜比較例7のETFE共重合体を含む粉体塗料から形成した塗膜は、金属基材への密着性に劣ることが分かった。
以上の結果より、実施例1〜実施例4のETFE共重合体を含む粉体塗料から形成した塗膜は、比較例1〜7のETFE共重合体を含む粉体塗料から形成した塗膜では達成しえない、金属基材への密着性と耐熱性との両立が可能となることが明らかとなった。
本発明のエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体を含む粉体塗料により形成された塗膜は、耐熱性、耐薬品性、耐候性、機械的特性に優れ、鋼材等の金属基材の表面を腐食等から保護するための、該表面上に形成されるライニング皮膜などに広範に利用される。
なお、2014年6月24日に出願された日本特許出願2014−128992号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (13)

  1. 共重合体中の末端における炭素原子に共有結合した塩素原子の含有量が100〜500質量ppmであり、ジクロロメチレン基を含有しない、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体であって、
    前記塩素原子が連鎖移動剤由来の塩素原子であり、前記連鎖移動剤がメチルクロライド、1,2−ジクロロエタン及び1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンからなる群より選択されるいずれか1種である、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体
  2. 前記エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体が、エチレンに基づく構成単位、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位、および他のモノマーに基づく構成単位を有する、請求項1に記載のエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体。
  3. 前記エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体中の前記エチレンに基づく構成単位及び前記テトラフルオロエチレンに基づく構成単位の合計の含有量が、前記エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体の全構成単位に対して80〜99.5モル%である請求項1または2に記載のエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体を含む塗料。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体を含む粉体塗料。
  6. 金属基材と、該金属基材の表面に請求項に記載の粉体塗料により形成された塗膜を有する成形体。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載のエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体の製造方法であり、エチレンおよびテトラフルオロエチレンを含む単量体成分を、メチルクロライド、1,2−ジクロロエタン及び1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンからなる群より選択されるいずれか1種を含む連鎖移動剤を用いて重合反応させることにより、前記エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体中の末端における炭素原子に共有結合した塩素原子の全部又は一部を前記共重合体に導入することを特徴とするエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体の製造方法。
  8. メチルクロライド、1,2−ジクロロエタン及び1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンからなる群より選択されるいずれか1種を含む連鎖移動剤と、塩素原子を含まない重合溶媒と、重合開始剤との存在下に、テトラフルオロエチレン、エチレンを含む単量体成分を共重合する、請求項に記載のエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体の製造方法。
  9. 1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンを含む連鎖移動剤と、ペルフルオロカーボン類、ハイドロフルオロカーボン類、及びハイドロフルオロアルキルエーテル類からなる群より選択される少なくとも1種の重合媒体と、重合開始剤との存在下に、
    テトラフルオロエチレン、エチレン、及びCH=CX(CFY(但し、X及びYは、それぞれ独立に水素原子又はフッ素原子であり、nは2〜8の整数である。)で表わされる化合物を共重合する、請求項に記載のエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体の製造方法。
  10. 1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンが、全単量体成分の合計質量に対して0.05〜10質量%存在する、請求項に記載のエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体の製造方法。
  11. 前記連鎖移動剤が、さらに塩素原子を有しない連鎖移動剤を含む、請求項10のいずれかに記載のエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体の製造方法。
  12. 前記塩素原子を有しない連鎖移動剤がメタノールである、請求項11に記載のエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体の製造方法。
  13. 前記連鎖移動剤が、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンとメタノールとを含み、メタノールの含有質量を1としたときの、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンの含有質量が0.1〜2.0である、請求項12に記載のエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体の製造方法。
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