JP6593568B2 - 植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、乳製品を含有せずに、フレッシュチーズ様の自然な乳味感、ボディ感があり、製菓材料としての作業性に優れた植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法に関する。
フレッシュチーズは、生クリームや脱脂粉乳を乳酸発酵させてカードを形成し、ホエーを分離、排除し、混合して製造される未熟成、あるいはほとんど未熟性のナチュラルチーズであり、熟成タイプのチーズに比べてチーズ臭が軽く、新鮮な作りたての味を楽しむものである。フレッシュチーズには、ミルクの香りをそのままに、ほんのりと甘味もあり、さわやかな軽い酸味を有するチーズ(クリームチーズ、フロマージュ・ブラン、カッテージなど)と、酸味を感じさせないチーズ(マスカルポーネ、リコッタ)があり、性状は半固形状からペースト状と様々である。特にマスカルポーネチーズはティラミスなどの洋菓子に使用されている。
上記のフレッシュチーズは、その柔らかい食感と、食べやすい小包装タイプの普及によって、大変需要が伸びてきている。一方、乳風味が強いことから、継続して食していると飽きてきてしまう点や乳製品が苦手な人、乳アレルギーの人が摂取できない等問題点もあり、乳製品を使用しない新しいタイプのフレッシュチーズも望まれてきている。
さらに健康に対する関心の高まりから植物性蛋白食品が評価されているが、特に豆乳を始めとする大豆蛋白は「畑の肉」と呼ばれる程良質の蛋白質を含んでいるため健康食品として注目されている。
上記の乳製品不使用の植物性フレッシュチーズ様食品の提供に向けて、従来より、豆乳などの大豆蛋白を乳蛋白の代わりに用いて、フレッシュチーズ様またはクリームチーズ様の食品を製造する種々の試みがなされている。
特許文献1は、大豆乳の蛋白質部分だけでなしに、その栄養分の全部を利用して、しかも品質の優れたクリームチーズ様食品を作る方法に関し、固形分6〜19重量%を含む大豆乳に食用油脂、安定剤及び乳化剤を加えて乳化し、加熱後、乳化物を圧力約140Kg/cm2以上で均質化し、冷却した後有機酸を加えて混練し、更に冷却固化せしめることを特徴とするクリームチーズ様食品を開示している。
特許文献2は、乳化食品の食欲を増進させる大豆蛋白が最も乳化し難いpH3.5〜6.0の弱酸性領域において、良好な乳化状態を示し、かつ食品として好ましい食感と物性上の特徴を有する乳化食品に関し、大豆を1価又は2価の塩類を含有する水溶液または熱水溶液を用いて抽出しかつ有機酸を添加してp
Hを3.5〜6.0、塩濃度をイオン強度0.2〜4.0に調整し加熱処理された豆乳を水相部として油を乳化して弱酸性乳化物を得ることを特徴とする豆乳を原料とする乳化組成物に関するものである。
特許文献3は、豆腐を主成分とし、簡便かつ安価に得られ、優れた組織と食感を有し、栄養的にも優れたチーズ様乳化食品に関し、大豆固形分10〜50%を含有する豆腐と油脂、熱凝固性物質及び安定剤とを必須成分として含有する配合物を混練し、加熱することを特徴とするチーズ様乳化食品を開示している。
特許文献1〜3は、保水性の高い大豆蛋白質をそのまま使用しているため、食感がややざらついた感じになりやすく、滑らかさが不十分であるとともに、風味的にも大豆特有の青臭みがあり、フレッシュチーズ様の乳味感も乏しいものであった。
特許文献4は、大豆蛋白原料を使用し、クリームチーズと変わらぬ滑らかな食感で風味良好なクリームチーズ様食品に関し、大豆蛋白原料及び油脂を混合して乳化物を調製し、大豆蛋白原料を中性ないしアルカリ性領域でプロテアーゼを作用させて大豆蛋白質を部分加水分解した乳化物を酸性処理するクリームチーズ様酸性乳化物である。本方法によると、滑らかな食感と風味の良いクリームチーズ様食品が得られるが、風味的にはフレッシュチーズ様の乳味感の乏しいものであった。
特許文献5は、低乳脂であるにもかかわらず、フレッシュチーズ様の乳味、ボディ感があり、低価格で作業性の良いフレッシュチーズ様食品に関し、植物性油脂、蛋白質及び水を含むフレッシュチーズ様食品であって、S2L型トリグリセリド(Sはステアリン酸、Lはリノール酸)を含み、pHが4.5〜6.4であることを特徴とするフレッシュチーズ様食品である。本方法は、特殊な油脂使用によりフレッシュチーズ近似の食感、ボディ感を有するが、蛋白質として植物性蛋白を使用すると、風味的にはフレッシュチーズ様とは言いがたい乳味感不十分なものであった。
特開昭59−6840号公報 特開昭59−146555号公報 特開昭60−78541号公報 特許4569630号公報 特開2012−75366号公報
上記のように、植物性フレッシュチーズ様またはクリームチーズ様食品が提案されているが、フレッシュチーズ同様の乳味感とボディ感を両立するものは得られておらず、特に乳味感に優れた嗜好性の高い植物性フレッシュチーズ様食品が求められていた。
本発明の目的は、乳製品を含有せずに、フレッシュチーズ様の自然な乳味感、ボディ感があり、製菓材料としての展延性や絞り適性に優れた植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の蛋白質及び脂質を含有する大豆乳化組成物、大豆蛋白質中の脂質親和性蛋白質の割合が低減された特定の大豆蛋白素材及び蛋白質凝固剤を含有する乳化油脂組成物を特定のpHまでpH調整することにより、前記目的に合致する植物性フレッシュチーズ様食品が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は
(1)下記の大豆乳化組成物A由来の蛋白質0.5〜2.5重量%、大豆蛋白素材B由来の蛋白質1.0〜3.5重量%及び蛋白質凝固剤0.1〜0.5重量%を含有する乳化油脂組成物を乳酸発酵及び/または有機酸によりpH5.5〜6.3にpH調整することを特徴とする植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法。
大豆乳化組成物A:乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値(大豆蛋白質中の脂質親和性蛋白質含有割合)が55%以上である大豆乳化組成物。
大豆蛋白素材B:総蛋白質中の脂質親和性蛋白質の割合がLCI値として40%以下であり、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して10重量%未満である大豆蛋白素材。
(2)大豆乳化組成物A由来の蛋白質と大豆蛋白素材B由来の蛋白質の合計量が2〜5重量%である(1)記載の植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法。
(3)大豆乳化組成物A由来の蛋白質の大豆蛋白素材B由来の蛋白質に対する含有比率が0.1〜2である(1)または(2)記載の植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法。
(4)pH調整前の乳化油脂組成物が植物性油脂20〜40重量%を含有する(1)〜(3)のいずれか1記載の植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法。
(5)pH調整後の乳化油脂組成物60〜80重量部に対し、植物性油脂20〜40重量を混合する(1)〜(3)のいずれか1記載の植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法。
(6)乳化油脂組成物が、さらに分離大豆蛋白質0.5〜2重量%及び/または澱粉0.5〜3重量%を含有する(1)〜(5)記載の植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法。
に関するものである。
本発明によれば、乳製品を含有せずに、フレッシュチーズ様の自然な乳味感、ボディ感があり、製菓材料としての作業性に優れた植物性フレッシュチーズ様食品を製造することが可能となる。
本発明は、大豆乳化組成物Aと大豆蛋白素材Bを併用し、大豆乳化組成物A由来の蛋白質0.5〜2.5重量%、大豆蛋白素材B由来の蛋白質1.0〜3.5重量%及び蛋白質凝固剤0.1〜0.5重量%を含有する乳化油脂組成物を乳酸発酵及び/または有機酸によりpH5.5〜6.3にpH調整することを特徴とする植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法である。
大豆乳化組成物Aと大豆蛋白素材Bを併用し、さらに蛋白質凝固剤を添加して調製した乳化油脂組成物を前記pH調整することにより、従来の大豆乳や全脂豆乳、大豆粉、濃縮大豆蛋白、分離大豆蛋白を蛋白質原料として用いたフレッシュチーズ様またはクリームチーズ様食品と対比して、格段にフレッシュチーズ様の自然な乳味感に優れた植物性フレッシュチーズ様食品を製造することができる。
(大豆乳化組成物A)
本発明に用いる大豆乳化組成物Aとは、豆乳のように大豆蛋白質が脂質と乳化されている素材のうち、乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量が蛋白質含量に対して100重量%以上であることを特徴とするものである。
なお、水溶性窒素指数(NSI:Nitrogen Solubility Index)が特定の範囲になるまであらかじめ変性処理を施した大豆から得られるものが特に好ましい。このような原料から得られる大豆乳化組成物は、含まれる大豆蛋白質のうち、グリシニンやβ-コングリシニン以外の脂質親和性蛋白質(あるいは別の指標としてリポキシゲナーゼ蛋白質)の割合が特に高く、このため、中性脂質および極性脂質を多く含む乳化組成物である。すなわち、乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値(Lipophilic Proteins Content Index)が55%以上、より好ましくは60%以上であることを主要な特徴とするものである。ここで、LCI値は、蛋白質中の脂質親和性蛋白質の割合を推定する指標である。大豆乳化組成物の蛋白質および脂質の組成の詳細については、特開2013-143931号公報の記載を援用する。
(大豆乳化組成物Aの蛋白質)
本発明に用いられる大豆乳化組成物Aの蛋白質含量は乾物あたり25重量%以上、好ましくは30重量%以上である。また蛋白質含量の上限は限定されないが、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
本発明における蛋白質含量はケルダール法により窒素量として測定し、該窒素量に6.25の窒素換算係数を乗じて求めるものとする。
(大豆乳化組成物Aの脂質)
本発明に用いられる大豆乳化組成物Aの脂質含量は蛋白質含量に対して100重量%以上、好ましくは120〜300重量%、さらに好ましくは120〜200重量%であり、蛋白質よりも脂質が多いことが特徴である。
一般に脂質含量はエーテル抽出法で測定されるが、大豆乳化組成物中には中性脂質のほかにエーテルで抽出されにくい極性脂質も多く含まれるため、本発明における脂質含量は、クロロホルム:メタノールが2:1(体積比)の混合溶媒を用い、常圧沸点において30分間抽出された抽出物量を総脂質量として、脂質含量を算出した値とする。溶媒抽出装置としてはFOSS社製の「ソックステック」を用いることができる。
(大豆乳化組成物Aの乾物含量)
本発明に用いられる大豆乳化組成物Aは通常生クリーム様の性状であり、通常の乾物(dry matter)は15〜30重量%程度であるが、特に限定されるものではない。すなわち加水により低粘度の液状としたものや、濃縮加工されてより高粘度のクリーム状としたものであってもよく、また粉末加工されて粉末状としたものであってもよい。
(大豆乳化組成物Aの製造態様)
本発明に用いられる、上記大豆乳化組成物Aは、例えば全脂大豆に加水して懸濁液や豆乳を調製した後、遠心分離機によって分画し、比重が軽い上層部分を取り分けることにより得ることができる。
また、LCI値が55%以上の大豆乳化組成物を効率的に得るには、特定の性質をもつ大豆を原料として使用する。例えば水溶性窒素指数(Nitrogen Solubility Index)が20〜77など、特定の水溶性蛋白を含みかつ乾物あたりの脂質含量が15重量%以上の全脂大豆などの含脂大豆に対して、加水して懸濁液を調製する工程の後、該懸濁液を固液分離し、中性脂質及び極性脂質を不溶性画分に移行させて、蛋白質及び糖質を含む水溶性画分を除去し、不溶性画分を回収することにより得ることができる。この製造態様の詳細については特開2013-143931号報の記載を援用する。
(大豆蛋白素材B)
本発明の原料として使用される特定の大豆蛋白素材Bは、大豆から水抽出されるグリシニン及びβ−コングリシニンを主体とする蛋白質を主な構成成分とし、かつ総蛋白質中の脂質親和性蛋白質の割合が少ないものである。
すなわち、総蛋白質中の脂質親和性蛋白質の割合がLCI値として40%以下であることを特徴とする大豆蛋白素材である
(大豆蛋白素材Bの製品形態)。
大豆蛋白素材Bの製品の形態としては上記要件を満たす限り特に限定されず、具体的には豆乳が挙げられるが、豆乳以外の形態としては、該豆乳を原料としてさらに蛋白質の純度を高めた形態が挙げられ、典型的には豆乳から糖質、灰分等の水溶性成分を除去して蛋白質の純度を高めた分離大豆蛋白や、前記豆乳あるいは分離大豆蛋白の蛋白質をさらに分画してグリシニンあるいはβ−コングリシニンの純度を高めた分画大豆蛋白の形態が挙げられる。
(大豆蛋白素材Bの蛋白質)
大豆蛋白素材Bの蛋白質含量は乾物あたりで30〜99重量%の範囲が好ましい。大豆蛋白素材が豆乳の形態の場合、通常は下限が乾物あたり45重量%以上、あるいは50重量%以上、あるいは55重量%以上であり、上限が70重量%以下、あるいは65重量%以下でありうる。蛋白質の分画や他の成分の添加など、加工方法によっては30重量%以上45重量%未満の範囲にもなりうる。また大豆蛋白素材が当該豆乳をさらに精製して蛋白質純度を高めた分離大豆蛋白の形態の場合は、下限が70重量%超、あるいは80重量%以上であり、上限は99重量%以下、あるいは95重量%以下でありうる。なお、本発明における蛋白質含量はケルダール法により窒素量として測定し、該窒素量に6.25の窒素換算係数を乗じて求めるものとする。
脂質親和性蛋白質は、大豆の主要な酸沈殿性大豆蛋白質の内、グリシニン(7Sグロブリン)とβ−コングリシニン(11Sグロブリン)以外のマイナーな酸沈殿性大豆蛋白質群をいい、レシチンや糖脂質などの極性脂質を多く随伴するものである。以下、単に「LP」と略記することがある。
LPは雑多な蛋白質が混在したものであるが故、各々の蛋白質を全て特定し、LPの含量を厳密に測定することは困難であるが、下記LCI(Lipophilic Proteins Content Index:大豆蛋白質中の脂質親和性蛋白質含有割合))値を求めることにより推定することができる。
これによれば、大豆蛋白素材B中の蛋白質のLCI値は通常40%以下、より好ましくは38%以下、さらに好ましくは36%以下である。
通常の未変性(NSI 90以上)の大豆を原料として一般的な大豆蛋白素材を製造する場合ではLPは可溶性の状態で存在するため、水抽出すると水溶性画分側へ抽出される。一方、大豆蛋白素材Bでは、LPを原料大豆中において加熱処理によって変性させ不溶化させて製造するため、LPが抽出されにくく不溶性画分側に残る。
このように蛋白質中におけるLPの割合を低減することによって脂質の含有量を極めて低レベルに保った大豆蛋白素材を得ることがきる。
○蛋白質の各成分の組成分析
大豆蛋白素材Bの蛋白質の各成分組成はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分析することができる。
界面活性剤であるSDSと還元剤であるメルカプトエタノールの作用によって蛋白質分子
間の疎水性相互作用、水素結合、分子間のジスルフィド結合が切断され、マイナスに帯電した蛋白質分子は固有の分子量に従った電気泳動距離を示ことにより、蛋白質に特徴的な泳動パターンを呈する。電気泳動後に色素であるクマシーブリリアントブルー(CBB)にてSDSゲルを染色した後に、デンシトメーターを用い、全蛋白質のバンドの濃さに対する各種蛋白質分子に相当するバンドの濃さが占める割合を算出する方法により求めることができる。
〔LP含量の推定・LCI値の測定方法〕
(a) 各蛋白質中の主要な蛋白質として、7Sはαサブユニット及びα'サブユニット(α+α')、11Sは酸性サブユニット(AS)、LPは34kDa蛋白質及びリポキシゲナーゼ蛋白質(P34+Lx)を選択し、SDS−PAGEにより選択された各蛋白質の染色比率を求める。電気泳動は表1の条件で行うことが出来る。
(b) X(%)=(P34+Lx)/{(P34+Lx)+(α+α’)+AS}×100(%)を求める。
(c) 低変性脱脂大豆から調製された分離大豆蛋白のLP含量は凡そ38%となることから、X=38(%)となるよう(P34+Lx)に補正係数k*=6を掛ける。
(d) すなわち、以下の式によりLP推定含量(Lipophilic Proteins Content Index、以下
「LCI」と略する。)を算出する。
(表1)
Figure 0006593568
Figure 0006593568
大豆蛋白素材Bは糖質及び蛋白質が乾物の大部分を占める主成分であることができ、この場合は炭水化物(乾物から脂質、蛋白質及び灰分を除いたもの)の含量は、蛋白質との総含量で表すと乾物あたり80重量%以上が好ましく、より好ましくは85重量%以上である。乾物の残成分は灰分と微量の脂質からほぼ構成され、灰分は乾物当たり通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下である。食物繊維は炭水化物に含まれるものの、大豆蛋白素材Aは食物繊維質が除去されているので、乾物当たり3重量%以下、好ましくは2重量%以下の微量である。
(大豆蛋白素材Bの脂質)
大豆蛋白素材Bは、原料である大豆粉の脂質含量/蛋白質含量の比よりも低い値の脂質しか含まれず、中性脂質と共に極性脂質の含量も低いことが好ましい。これに対し、一般に脱脂豆乳などは大豆をヘキサンで脱脂した脱脂大豆を水抽出して得られるが、この脱脂豆乳は極性脂質が除去されておらずなお多く含まれる。
そのため、大豆蛋白素材B中の脂質含量は、試料を凍結乾燥後、クロロホルム:メタノールが2:1(体積比)の混合溶媒を用い、常圧沸点において30分間抽出された抽出物量を総脂質量として、脂質含量を算出した値とする。溶媒抽出装置としてはFOSS社製の「ソックステック」を用いることができる。なお上記の測定法は「クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出法」と称するものとする。
大豆蛋白素材Bは、脂質含量が蛋白質含量に対して10重量%未満が好ましく、より好ましくは9重量%未満、さらに好ましくは8重量%未満、さらに好ましくは5重量%未満、さらに好ましくは4重量%以下であり、3重量%以下とすることも可能である。すなわち蛋白質よりも中性脂質と極性脂質を含めた総脂質が極めて少ない大豆蛋白素材が1つの好ましい態様である。LPが少なくかつ総脂質が少ない大豆蛋白素材を乳酸発酵に供することにより、青臭みが極めて感じにくいすっきりとした風味の乳酸発酵物を得ることができる。このような素材としては、例えば特開2012−16348号に開示される「減脂大豆蛋白素材」が該当する。通常の有機溶剤を用いて脱脂された脱脂大豆から抽出した脱脂豆乳も中性脂質は殆ど含まれないが、極性脂質が一部抽されるため、蛋白質に対する脂質含量はおよそ5〜6重量%である。この態様の場合、乾物あたりでの脂質含量も5重量%以下が好ましく、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1.5重量%以下でありうる。
(大豆蛋白素材Bの乾物含量)
大豆蛋白素材Bが豆乳の形態で、性状が液体の場合、乾物(dry matter)は通常3〜20重量%程度であるが、特に限定されるものではない。すなわち加水して低粘度の液状としたものや、減圧濃縮や凍結濃縮等の濃縮加工により高粘度化したものであってもよく、また噴霧乾燥や凍結乾燥等の粉末加工により粉末状としたものであってもよい。
本発明において、大豆乳化組成物A、大豆蛋白素材B及び蛋白質凝固剤を併用して乳化油脂組成物を調製するが、大豆乳化組成物A由来の蛋白質含量は0.5〜2.5重量%であり、より好ましくは1〜2重量%、最も好ましくは1〜1.5重量%である。下限未満では豆乳感が希薄になり、乳味感に乏しくなる傾向がある。逆に上限を超えると豆乳感がやや強すぎて、やはり乳味感が乏しくなる傾向にある。また、大豆蛋白素材B由来の蛋白質含量は1.0〜3.5重量%であり、より好ましくは1.5〜3重量%である。下限未満では、豆乳感が希薄になり、乳味感に乏しくなる傾向がある。逆に上限を超えると豆乳感がやや強すぎて、やはり乳味感が乏しくなる傾向にある。
本発明においては、pH調整前またはpH調製後の乳化油脂組成物に対し、蛋白質凝固剤を添加する必要がある。蛋白質凝固剤としては、グルコノデルタラクトン、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、塩田にがりを挙げることができ、より望ましくは、塩田にがりである。その量は0.1〜0.5重量%であり、好ましくは0.1〜0.3重量%である。かかる蛋白質凝固剤の適量添加により、コク味とボディ感の優れた植物性フレッシュチーズ様食品を得ることができる。
本発明において、大豆乳化組成物A由来の蛋白質と大豆蛋白素材B由来の蛋白質の合計量は2〜5重量%であるのが好ましく、より好ましくは3〜4.5重量%である。合計量が2重量%未満であると、コク味と乳味感に乏しいものになる。逆に、5重量%を超えると豆乳感がやや強すぎて、乳味感が乏しくなる傾向にある。
大豆乳化組成物A由来の蛋白質の大豆蛋白素材B由来の蛋白質に対する含有比率は、0.1〜2であるのが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5である。含有比率が0.1未満であると、豆乳感が希薄になり、乳味感に乏しくなる傾向がある。逆に上限を超えると豆乳感がやや強すぎて、やはり乳味感が乏しくなる傾向にある。
本発明において、大豆乳化組成物Aと大豆蛋白素材Bを併用して乳化油脂組成物を調製するが、その調製の一態様は以下の通りである。
大豆乳化組成物Aとして、例えば特開2013-143931号公報の記載の生クリーム様性状の大豆乳化組成物(乾物含量15〜30重量%、乾物中の蛋白質含量25〜50重量%、乾物中の脂質含量40〜75重量%)を使用し、大豆蛋白素材Bとして、例えば特開2012−16348号公報記載の減脂大豆蛋白素材(乾物含量3〜20重量%、乾物中の蛋白質含量45〜70重量%、乾物中の脂質含量10重量%以下)使用する場合は、大豆乳化組成物A10〜40重量部と大豆蛋白素材B30〜60重量部を調合し、好ましくは大豆乳化組成物Aと大豆蛋白素材Bの合計量を60〜80重量部となるよう調合することにより、目的とする乳化油脂組成物を得ることができる。
本発明における乳化油脂組成物を調製する別の一態様は、大豆乳化組成物Aとして前記生クリーム様性状の大豆乳化組成物に代えて、その濃縮物や乾燥粉末を使用することができる。また、大豆蛋白素材Bとして前記減脂大豆蛋白素材に代えて、その濃縮物や乾燥粉末を使用することができる。かかる濃縮物や乾燥粉末を使用する場合は、大豆乳化組成物Aと大豆蛋白素材B由来の蛋白質含量を調整するよう適量の水に分散、溶解して、乳化油脂組成物を調製することができる。
本発明においては、前記の乳化油脂組成物を乳酸発酵及び/または有機酸によりpH5.5〜6.3にpH調整するが、乳酸発酵により上記pH調整を行う場合は、乳酸菌を用い、20〜50℃で、pH5.5〜pH6.3 になるまで行うが、pH3.8〜pH4.8まで醗酵後、アルカリ性塩を用いpH5.5〜pH6.3に調整することもできる。乳酸醗酵に供する乳酸菌の種類としては、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属及びビフィドバクテリウム属の乳酸菌が上げられるが、これらの乳酸菌は2種類以上の組み合わせでも任意に使用することができる。
上記pH調整を有機酸添加で行う場合は、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸から選択される1種または2種以上が使用できる。有機酸の濃度は特に制限はないが、20〜70重量%の水溶液の添加が好ましい。また、pH調整は、乳酸発酵と有機酸添加の併用により、調整することもできる。
pH調整後のpHは5.5〜6.3である必要があり、より好ましくは5.7〜6.1であり、最も好ましくは5.8〜6.0である。pHが5.5未満であると、酸味が強くなりすぎる傾向がある。pHが6.3を超えると、フレッシュチーズ様の風味が乏しくなる傾向にある。
本発明においては、乳化油脂組成物60〜80重量部に対し、植物性油脂20〜40重量部を混合するのが好ましい。植物性油脂を混合することにより、フレッシュチーズ様の適度なボディ感と製菓材料としての展延性や絞り適性を付与することができる。植物性油脂としては、食用として使用できるもので、口溶けの良さと適度な保形性を有するものが好ましく、融点20〜40℃のものを広く採用することができ、例えばナタネ油、大豆油、ひまわり油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等が例示でき、上記油脂類の単独または混合油あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂が例示できる。植物性油脂混合量が20重量部未満であると、ボディ感と展延性や絞り適性が不十分となる傾向がある。逆に、40重量部を超えると、やや油っぽい食感になり、フレッシュチーズ様のさっぱり感が低下する傾向にある。
本発明において、前記の植物性油脂は、pH調整前またはpH調製後の乳化油脂組成物のいずれに混合しても良い。好ましくは、pH調整作業がより容易になるよう、pH調整後の乳化油脂組成物に混合するのが好ましい。
本発明において、pH調整前またはpH調製後の乳化油脂組成物に対して、さらに分離大豆蛋白質0.5〜2重量%及び/または澱粉0.5〜3重量%を含有させるのが好ましい。これらを含有させることにより、植物性フレッシュチーズ様食品に対して、適度な保形性、冷蔵保存での離水耐性及び焼成耐性を付与することができる。その結果、製菓材料として展延性、絞り作業性に優れた植物性フレッシュチーズ様食品を製造することができる。分離大豆蛋白質添加により、保形性と焼成耐性を向上させることが可能であるが、添加量としては0.5〜2重量%であるのが好ましい。0.5重量%未満であると保形性と焼成耐性の向上効果が不十分となり、2重量%を超えると、大豆蛋白質特有の青臭みが感じられる傾向にある。澱粉添加により、保形性及び冷蔵保存での離水耐性を付与することができる。添加量としては0.5〜3重量%であるのが好ましい。0.5重量%未満であると、保形性及び冷蔵保存での離水耐性の向上効果が不十分となる。3重量%を超えると、口溶けが低下する傾向にある。澱粉としては、コーン、米、馬鈴薯、タピオカ、小麦、甘薯などから得られる澱粉類及びそれらのリン酸化澱粉、α化澱粉などの加工澱粉類が例示できる。
本発明の植物性フレッシュチーズ様食品においては、糖類を使用してもよく、蔗糖、マルトース、ブドウ糖、乳糖、果糖、ソルビトール、マルチトール等の如何なる糖質であっても良い。これら以外にも乳製品由来の乳糖であっても良い。
本発明の植物性フレッシュチーズ様食品においては、植物性フレッシュチーズ様食品を調製する際に通常使用する乳化剤を適宜選択使用することが出来る。例えば、レシチン、モノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤が例示できる。
本発明の植物性フレッシュチーズ様食品については、各種塩類を使用することが出来る。塩類としては、ヘキサメタリン酸塩、第2リン酸塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸塩、重曹等が例示できる。その他所望により安定剤、香料、着色料、保存料等を使用することが出来る。
本発明の植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法としては、前記乳化油脂組成物のpH調整後、例えば、均質化、加熱殺菌後、必要に応じて、さらに均質化を行い、充填、冷却するといった方法を挙げることができる。上記方法により得られた本発明の植物性フレッシュチーズ様食品は、冷蔵温度〜常温において半固形状〜ペースト状の性状を示し、製菓材料としての展延性や絞り適性に優れた物性を有するものである。
以下、本発明について実施例を示し、より詳細に説明する。なお、例中の%及び部はいずれも重量基準を意味する。
(風味評価法)
各例の植物性フレッシュチーズ様食品の風味評価は下記のようにムース状食品を調製して、該ムース状食品の風味評価を下記基準でパネラー5人の平均値により評価した。
(ムース状食品の調製方法)
植物性フレッシュチーズ様食品385部と白ワイン20部を混合したものに対し、卵黄67部、グラニュー等94部及び水30部をパータポンプを用いて混合したものを加えて混合する。本混合物を、別途にあらかじめ7分立てした濃久里夢ホイップ(「濃久里夢」ベースの起泡性水中油型乳化物:不二製油株式会社製)385部に加え、混合して、小型カップに充填して5℃、1晩放置して、ティラミス様のムース状食品を得る。
(風味評価基準)
(豆乳風味):◎程よく、すっきりした豆乳風味
○やや弱いが、すっきりした豆乳風味
△豆乳風味が弱すぎる
×豆乳風味が殆どない又は強すぎる
(乳味感):◎非常に良好 ○:良好 △:やや弱い ×:乳味感なし
(コク味):◎非常に良好 ○:良好 △:やや弱い ×:コク味なし
実施例1
大豆乳化物A(不二製油(株)製「濃久里夢」:乾物含量19.8%、乾物あたりの蛋白含量28.3%、乾物あたりの脂質62.1%、LCI値67%)40部、大豆蛋白素材B(不二製油(株)製「美味投入」:乾物含量10.0%、乾物あたりの蛋白質含量54.0%、乾物あたりの脂質5%、LCI値34%)28部及び塩田にがり0.2部を混合し、30℃に加温し、乳酸を含むpH調整剤1部を添加、混合し、30℃、20分間静置した。その後、パームエース10(精製パームスーパーオレイン、不二製油株式会社製)10部、精製硬化ヤシ油(不二製油株式会社製)18部、食塩0.2部及び水3.8部をホモミキサーで攪拌しながら添加し、最終43℃まで昇温して、pHを5.74の乳化油脂組成物を得た。この乳化油脂組成物をホモゲナイザーで100 Kg/cm2の圧力下に均質化した後、80℃で30分加熱殺菌し、43℃まで冷却後に再度ホモゲナイザーで100Kg/cm2の圧力下に均質化し、1リットルピロー容器に充填し、−25℃、20分の冷却を行い、植物性フレッシュチーズ様食品を得た。本食品の大豆乳化物A由来の蛋白質は2.2%(28.3×0.198×0.4)、大豆蛋白素材B由来の蛋白質1.5%(54.0×0.10×0.28)であった。
実施例2
実施例1の大豆乳化物A40部を30部に、大豆蛋白素材B28部を38部に代えて、実施例1同様に植物性フレッシュチーズ様食品を調製した。本食品の大豆乳化物A由来の蛋白質は1.7%(28.3×0.198×0.3)、大豆蛋白素材B由来の蛋白質2.1%(54.0×0.10×0.38)であった。
実施例3
実施例1の大豆乳化物A40部を20部に、大豆蛋白素材B28部を48部に代えて、実施例1同様に植物性フレッシュチーズ様食品を調製した。本食品の大豆乳化物A由来の蛋白質は1.1%(28.3×0.198×0.2)、大豆蛋白素材B由来の蛋白質2.6%(54.0×0.10×0.48)であった。
実施例4
実施例1の大豆乳化物A40部を10部に、大豆蛋白素材B28部を58部に代えて、実施例1同様に植物性フレッシュチーズ様食品を調製した。本食品の大豆乳化物A由来の蛋白質は0.6%(28.3×0.198×0.1)、大豆蛋白素材B由来の蛋白質3.1%(54.0×0.10×0.58)であった。
比較例1
実施例1の大豆乳化物A40部を0部に、大豆蛋白素材B28部を68部に代えて、実施例1同様に植物性フレッシュチーズ様食品を調製した。本食品の大豆乳化物A由来の蛋白質は0%、大豆蛋白素材B由来の蛋白質3.7%(54.0×0.10×0.68)であった。
比較例2
実施例1の大豆乳化物A40部を50部に、大豆蛋白素材B28部を18部に代えて、実施例1同様に植物性フレッシュチーズ様食品を調製した。本食品の大豆乳化物A由来の蛋白質は2.8%(28.3×0.198×0.5)、大豆蛋白素材B由来の蛋白質1.0%(54.0×0.10×0.18)であった。
比較例3
脱皮脱胚軸大豆1部に水10部を加え、85℃で60分間以上浸漬して十分に吸水した脱皮脱胚軸大豆(水分含量40〜55%)1部に対し、熱水(90℃)3部を加えたものをグラインダーで処理し、これに重曹溶液を添加してpHを7.3以上8.0以下に調整した。これをホモゲナイザー(APV社製)に供給し、150kg/cm2で均質化処理した。均質化した磨砕液は遠心分離によって3000Gで5分間分離して全脂豆乳とおからを得た。この全脂豆乳は固形分9.0%、蛋白質4.5%でpH7.5であった。
実施例1の大豆乳化物A40部及び大豆蛋白素材B28部を、上記全脂豆乳68部に代えて、実施例1同様に植物性フレッシュチーズ様食品を調製した。
表2に実施例1〜4及び比較例1〜3の植物性フレッシュチーズ様食品を用いて調製した
ムース状食品の風味評価結果を示す。
表2
Figure 0006593568
表2に示すように、大豆乳化物Aと大豆蛋白素材Bをそれぞれ特定量含有する実施例1〜4は豆乳風味、乳味感及びコク味に優れたものであった。大豆乳化物Aを含まない比較例1や大豆乳化物Aの含有量が高すぎる比較例2では、豆乳風味及び乳味感が弱いものであった。また、大豆乳化物Aと大豆蛋白素材Bの併用に代えて全脂豆乳を用いた比較例3も、豆乳風味、乳味感及びコク味が弱いものであった。
比較例4
実施例2において、塩田にがり0.2部を無添加に代えて、実施例2同様に植物性フレッシュチーズ様食品を調製した。実施例2同様に、植物性フレッシュチーズ様食品を用いて調製したムース状食品の風味評価を行った結果、豆乳風味△、乳味感△、コク味△の評価であり、水くさく物足りない風味であった。
実施例5
大豆乳化物A(不二製油(株)製「濃久里夢」:乾物含量19.8%、乾物あたりの蛋白含量28.3%、乾物あたりの脂質62.1%、LCI値67%)20部、大豆蛋白素材B(不二製油(株)製「美味投入」:乾物含量10.0%、乾物あたりの蛋白質含量54.0%、乾物あたりの脂質5%、LCI値34%)47部、塩田にがり0.2部を混合し、30℃に加温し、乳酸菌バルクスターター1部を添加、混合し、30℃、20分間静置した。その後、パームエース10(精製パームスーパーオレイン、不二製油株式会社製)10部、精製硬化ヤシ油(不二製油株式会社製)18部、食塩0.2部、分離大豆蛋白質(商品名:プロリーナHD101R,不二製油株式会社製)1部、ジェランガム(商品名:ケルコゲル、CPケルコ社製)0.06部及び水3.5部をホモミキサーで攪拌しながら添加し、最終43℃まで昇温して乳化油脂組成物を得た。この乳化油脂組成に対し、50%乳酸0.1%を添加し、pHを5.74に調整し、ホモゲナイザーで100 Kg/cm2の圧力下に均質化した後、80℃で30分加熱殺菌し、43℃まで冷却後に再度ホモゲナイザーで100 Kg/cm2の圧力下に均質化し、1リットルピロー容器に充填し、−25℃、20分の冷却を行い、植物性フレッシュチーズ様食品を得た。本食品の大豆乳化物A由来の蛋白質は1.1%(28.3×0.198×0.2)、大豆蛋白素材B由来の蛋白質2.5%(54.0×0.10×0.47)であった。
実施例6
実施例5において、分離大豆蛋白質1部を澱粉(商品名:スターチ100、日澱化学社製)1部に代えて、実施例5同様に植物性フレッシュチーズ様食品を得た。
実施例7
実施例5において、「美味投入」47部を46部に代えて、分離大豆蛋白質1部を分離大豆蛋白質1部及び澱粉(商品名:スターチ100、日澱化学社製)1部に代えて、実施例5同様に植物性フレッシュチーズ様食品を得た。
実施例3及び実施例5〜7の保形性、冷蔵保存での離水耐性及び焼成耐性を下記方法で評価した。
(保形性)
5℃、3日保存後の硬さをレオメーター(g/3cmプランジャー)で測定し、展延性及び絞り適性のある硬さ200〜1000gを合格とした。
測定条件:品温5℃、直径3cmプランジャー、テーブルスピード5cm/分、不動工業(株)製)
(冷蔵保存での離水耐性)
植物性フレッシュチーズ様食品を絞り袋で造花したものを、5℃の恒温槽中で10日間放置した後の離水の程度を目視で評価した。
◎:離水なし、○:わずかに離水、△:やや離水多い、×:離水多い
(焼成耐性)
内径8.5cm、厚さ3cmの円形の蓋付き耐熱性容器にロ紙を置き、その上に植物性フレッシュチーズ様食品を内径13mmの丸口金で10g絞り、植物性フレッシュチーズ様食品の10重量%に相当する水をロ紙に添加した後、200℃のオーブンで10分間焼成する。焼成前の高さと焼成後の高さを測定して、次式から高さ減少率を計算する。
高さ減少率(%)={(焼成前の高さ−焼成後の高さ)/焼成前の高さ}×100
この高さ減少率が50%以下の焼成耐性を持つものが好ましく、適度な焼成後の保形性を持つものである。
◎:減少率30%以下、○:50%以下、△70%以下、×70%を超える
表3に、実施例3及び実施例5〜7の保形性、冷蔵保存での離水耐性及び焼成耐性の評価結果を示す。
表3
Figure 0006593568
表3に示すように、分離大豆蛋白質及び澱粉無添加の実施例3は、ソフトなボディ性及び展延性は有するものの冷蔵保存での離水耐性及び焼成耐性を保持しないものであった。分離大豆蛋白を添加した実施例5は、焼成耐性が良好であった。一方、澱粉を添加した実施例6は、離水耐性の向上したものであった。分離大豆蛋白及び澱粉を配合した実施例7は、離水耐性及び焼成耐性とも非常に良好であった。
本発明により、乳製品を含有せずに、フレッシュチーズ様の自然な乳味感、ボディ感があり、製菓材料としての展延性や絞り適性に優れた植物性フレッシュチーズ様食品の製造が可能となる。

Claims (5)

  1. 下記の大豆乳化組成物A由来の蛋白質1〜2重量%、大豆蛋白素材B由来の蛋白質1.5〜3重量%、塩田にがり0.1〜0.5重量%、及び分離大豆蛋白質0.5〜2重量%及び澱粉0.5〜3重量%を含有する乳化油脂組成物を乳酸発酵及び/または有機酸によりpH5.5〜6.3にpH調整することを特徴とする植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法。
    大豆乳化組成物A:乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値(大豆蛋白質中の脂質親和性蛋白質含有割合)が55%以上である大豆乳化組成物。
    大豆蛋白素材B:総蛋白質中の脂質親和性蛋白質の割合がLCI値として40%以下であり、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して10重量%未満である大豆蛋白素材。
  2. 大豆乳化組成物A由来の蛋白質と大豆蛋白素材B由来の蛋白質の合計量が3〜4.5重量%である請求項1記載の植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法。
  3. 大豆乳化組成物A由来の蛋白質の大豆蛋白素材B由来の蛋白質に対する含有比率が0.2〜1.5である請求項1または2記載の植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法。
  4. pH調整前の乳化油脂組成物が植物性油脂20〜40重量%を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法。
  5. pH調整後の乳化油脂組成物60〜80重量部に対し、植物性油脂20〜40重量を混合する請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物性フレッシュチーズ様食品の製造方法。
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