JP5879709B2 - 乳酸発酵された水中油型乳化物及びシュー生地の製造方法 - Google Patents
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Description
洋菓子の中でもシューは老若男女を問わず幅広く好まれており、洋菓子店、コンビニエンスストア、スーパーなどの量販店等、様々な市場でシューを用いた商品を目にすることができる。
例えば、特許文献1では、高品質で形状の良いシュー皮を安定且つ簡易に製造する方法として油脂を水中油型乳化組成物にして使用することを特徴とするシュー皮の製造方法が提案されている、一方、特許文献2では、水の一部を水中油型乳化物の状態で用いることを特徴とするシュー生地の製造方法が提案されている。
また、特許文献3では、酸性のカゼイン分散液を使用することを特徴とするシュー生地の製造方法が提案されており、さらに特許文献4では、シュー生地のpHを40℃において5.6〜7.3に調整することを特徴とするシュー生地の製造方法が提案されている。
しかしながら、これらの製造方法はいずれも、ボリュームや形状など外観の改良を提案するものであり、より美味しく、よりやわらかく、より口溶けのよいシューパフを得る方法は、これまで見出されていなかった。
(1)植物性油脂を含有し、無脂乳固形分が10〜20重量%及び油脂分が5〜30重量%であり、20℃におけるpHが5.5〜6.4となるように乳酸発酵された水中油型乳化物、
(2)カルシウムイオン封鎖剤を含有しない(1)記載の水中油型乳化物、
(3)合成乳化剤を含有しない(1)記載の水中油型乳化物、
(4)シュー生地の製造に用いることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のシュー用水中油型乳化物、
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載の水中油型乳化物を含む、油中水型乳化物、
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の乳化物を使用することを特徴とする焼成菓子の製造方法、
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載の乳化物を使用することを特徴とするシュー生地の製造方法、
(8)シュー生地にカゼインナトリウムを含有する(7)記載のシュー生地の製造方法である。
さらに、植物性油脂以外の油脂として、バター、生クリームなどに由来する乳脂、あるいは牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示できる。
さらに、これら動植物性油脂の単独または混合油、あるいはこれら油脂に分別、水素添加、エステル交換等施した加工油脂を組み合わせて使用することができる。
融点が下限未満であると油っぽい食感となりやすく、上限を超えると口溶けに影響を及ぼすおそれがある。
油脂分が上限を超えると乳化が不安定になりやすく、下限未満であるとシューパフの口溶けに影響を及ぼすおそれがある。
上記乳原料を無脂乳固形分として10〜20重量%含有し、好ましくは11〜19重量%、より好ましくは12〜18重量%含有する。
無脂乳固形分が上限を超えると乳化が不安定になりやすく、下限未満であるとシューパフの口溶けに影響を及ぼすおそれがある。
pHが上限を超えると良好な風味のシューパフが得られず、下限未満であると硬い食感となり、噛み出しのソフトなシューパフが得られない。
カルシウムイオン封鎖剤としては、リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭酸塩等)等が挙げられる。
合成乳化剤としては、グリセリン脂肪酸モノエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
これらを含有しないことにより、より美味しく、より口溶けの良いシューパフが得られる。
水85.3部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、脱脂粉乳12.7部、卵黄2部を徐々に添加して水相を調製した。上記を、70℃で30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌スターターを添加し、20℃で発酵を行い、所定のpHとなったところで、80℃で30分間加熱殺菌した後、10MPaの圧力下で均質化、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷して、20℃でのpHが5.7の水中油型乳化物を得た。この乳酸発酵された水中油型乳化物の無脂乳固形分は、12.1重量%、油脂分は0.8重量%であった。この乳酸発酵された水中油型乳化物を小麦粉100重量部に対して10重量部の割合で、シュー生地の製造に用いたが、口溶けが良好なシューパフは得られなかった。
パーム菜種混合硬化油16.8部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水76.2部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、脱脂粉乳5部、卵黄2部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃で30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌スターターを添加し、20℃で発酵を行い、所定のpHとなったところで、80℃で30分間加熱殺菌した後、10MPaの圧力下で均質化、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷して、20℃でのpHが5.7の水中油型乳化物を得た。この乳酸発酵された水中油型乳化物の無脂乳固形分は、4.8重量%、油脂分は17.5重量%であった。この乳酸発酵された水中油型乳化物を小麦粉100重量部に対して10重量部の割合で、シュー生地の製造に用いたが、風味・口溶けが良好なシューパフは得られなかった。
パーム菜種混合硬化油16.8部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水68.5部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、脱脂粉乳12.7部、卵黄2部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃で30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物を発酵せずに、80℃で30分間加熱殺菌した後、10MPaの圧力下で均質化、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷して、20℃でのpHが6.5の水中油型乳化物を得た。この水中油型乳化物の無脂乳固形分は、12.1重量%、油脂分は17.6重量%であった。この水中油型乳化物を小麦粉100重量部に対して10重量部の割合で、シュー生地の製造に用いたが、風味の良好なシューパフは得られなかった。
パーム菜種混合硬化油16.8部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水68.5部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、脱脂粉乳12.7部、卵黄2部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃で30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物に50%乳酸を添加しpH調整した後、80℃で30分間加熱殺菌した後、10MPaの圧力下で均質化、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷して、20℃でのpHが5.7の水中油型乳化物を得た。この水中油型乳化物の無脂乳固形分は、12.1重量%、油脂分は17.6重量%であった。この水中油型乳化物を小麦粉100重量部に対して10重量部の割合で、シュー生地の製造に用いたが、風味の良好なシューパフは得られなかった。
パーム菜種混合硬化油16.8部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水68.5部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、脱脂粉乳12.7部、卵黄2部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃で30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌スターターを添加し、20℃で完全に発酵を行い、80℃で30分間加熱殺菌した後、10MPaの圧力下で均質化、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷して、20℃でのpHが5.0の水中油型乳化物を得た。この乳酸発酵された水中油型乳化物の無脂乳固形分は、12.1重量%、油脂分は17.6重量%であった。この乳酸発酵された水中油型乳化物を小麦粉100重量部に対して10重量部の割合で、シュー生地の製造に用いたが、やや硬い食感となり噛み出しのソフトなシューパフは得られなかった。
Claims (4)
- シュー生地の製造方法において、植物性油脂を含有し、無脂乳固形分が10〜20重量%及び油脂分が5〜30重量%であり、20℃におけるpHが5.5〜6.4となるように乳酸発酵された水中油型乳化物を小麦粉100重量部に対して、5〜20重量部含むことを特徴とする、シュー生地の製造方法。
- 請求項1記載の水中油型乳化物がカルシウムイオン封鎖剤を含有しないシュー生地の製造方法。
- 請求項1記載の水中油型乳化物が合成乳化剤を含有しないシュー生地の製造方法。
- シュー生地にカゼインナトリウムを含有する請求項1〜3いずれか1項に記載のシュー生地の製造方法。
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