JP2015181391A - 牛乳含有液及び牛乳含有食品の製造方法 - Google Patents

牛乳含有液及び牛乳含有食品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】牛乳を含有する食品において、簡便な方法で製造工程における乳風味の低下を抑制し、フレッシュ感のある乳風味とコク味を有する牛乳含有液及びこの牛乳含有液を用いて製造される牛乳含有食品の製造方法を提供する。
【解決手段】牛乳または牛乳及び食用油脂の混合液を30℃未満の温度から0.05℃〜6℃/分の昇温速度で30〜85℃の中から選択される最高加熱温度まで加熱処理し、該最高加熱温度に5分未満の保持により得られる牛乳含有液が優れたフレッシュ感のある牛乳風味を有し、該牛乳含有液を牛乳含有食品に配合することにより優れたフレッシュ感のある乳風味とコク味を有する牛乳含有食品を製造する方法。
【選択図】なし

Description


本発明は、牛乳を含有する牛乳含有食品、特にフレッシュな乳感が好まれる乳風味のフラワーペースト、ファットスプレッド、プリン、ムースなどの洋菓子やパンの素材として好適に使用できる牛乳を主要成分として含有する牛乳含有食品の製造方法に関するものである。

牛乳は蛋白質、カルシウム、脂肪、必須アミノ酸などの栄養成分をバランス良く豊富に含有するが、加えて独特のフレッシュ感のある風味を有するものであることから、直接飲用に供したり又はこれを原料とした食品の製造もしくは加工の用途に供されている。牛乳は、食品衛生法の乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号)いわゆる乳等省令によると、無添加の無調整牛乳及び調製牛乳とカルシウムや各種色素、風味材を添加した加工乳や乳飲料などの添加した牛乳に大別される。一般に流通している牛乳は、無調整の生乳100%を摂氏63℃で30分間の加熱殺菌(またはこれと同等以上の効果のある方法での加熱殺菌)されたもので、無脂乳固形分8.0%以上、乳脂肪分3.0%以上のものがほとんどである。

上記の一般に流通される牛乳は、保存性や衛生上の面から加熱殺菌工程を経て製造されるが、牛乳の持つ独特の乳味感は加熱殺菌工程での酸素や熱で変化しやすいものであることから、飲用に供される牛乳をできるだけ生乳に近いフレッシュな乳風味を有する形で消費者に提供するべく、各種の牛乳風味の劣化防止法が提案されている。

特許文献1は、牛乳等の溶存酸素を窒素ガスと置換して殺菌する方法及び窒素ガス置換装置に関し、牛乳等の殺菌にあたって殺菌臭の発生を低下させて風味を改善することを目的としたものである。

特許文献2は、原料乳を加熱殺菌処理する工程と、加熱殺菌された牛乳類を、不活性ガスで置換された無菌タンク内に貯留する工程と、前記無菌タンクに貯留された牛乳類を包装容器に充填する工程を有することを特徴とする牛乳類の製造方法である。本方法も、加熱殺菌工程を経て得られる牛乳類の風味を効果的に向上できる方法である。

特許文献3は、原飲料を加熱殺菌して飲料を製造する方法であって、原飲料を減圧下、75〜90℃の温度で5〜7分間脱気して溶存酸素濃度を2ppm以下に低減し、殺菌温度120〜130℃で1〜3秒加熱殺菌する、ことを特徴とする飲料の製造法である。本方法も、牛乳類、果汁などの飲料が、加熱処理前の生の風味のままのすぐれた風味を有する製造法である。

特許文献1〜3のような方法で得られた牛乳は優れたフレッシュ感のある乳風味を有するものであるが、かかる牛乳を原料とした食品の製造もしくは加工の用途に用いると、製造、加工段階における加熱処理の影響を受けて、牛乳の優れたフレッシュ感のある乳風味が失われたり大幅に低下したりするという問題がある。すなわち、牛乳風味のフラワーペースト、ファットスプレッド、プリン、ムースなどの製造において、牛乳を原材料の一部として使用する場合に、製造工程における乳風味の低下が問題になることが多い。

上記のような乳風味の低下を補完する方法として、特許文献4や特許文献5のような方法が提案されている。特許文献4は、12−メチルトリデカナールをバター、チーズ、牛乳などの乳製品等に1ppt〜100ppmの濃度で含有させ、乳脂肪感、ボディ感、コク味などを増強する方法である。本方法によると、乳製品のコク味の付与または増強には効果的な方法であるが、牛乳の持つフレッシュ感のある乳風味とは異質な風味であり、自然な乳風味とは言い難いものであった。

特許文献5は、澱粉又は小麦粉、糖類及び乳酸発酵乳を含むペースト状食品において、pH5.5〜6.3に調整された乳酸発酵乳を5〜85重量%含み、油脂分3〜35重量%のペースト状食品に関する。本方法によると、上記の微発酵乳を使用することにより、食感がなめらかで口溶けが良好であって、発酵によるムレ臭がなくコク味と乳味に優れたペースト状食品が得られるが、やはり牛乳の持つフレッシュ感のある乳風味とは異質な風味であり、自然な乳風味に向けてさらに改良の余地のあるものであった。

特開2001−78665号公報 特開2003−144045号公報 特開2009−17864号公報 特開2010−158210号公報 特開2006−320269号公報

本発明の目的は、牛乳を含有する食品において、簡便な方法で製造工程における乳風味の低下を抑制し、フレッシュ感のある乳風味とコク味を有する牛乳含有食品を提供することにある。

本出願人は、牛乳の持つフレッシュ感のある乳風味に優れた牛乳含有食品の製造方法を追求する中で、市販の無調整牛乳または調製牛乳と食用油脂の混合液を温和な条件で加熱処理を行い、この加熱処理牛乳を牛乳含有食品の原材料の一部として配合することにより、製造工程における乳風味の低下が抑制されたフレッシュ感のある乳風味とコク味を有する牛乳含有食品が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。

即ち、本発明は、

(1)牛乳または牛乳及び食用油脂の混合液を30℃未満の温度から0.05℃〜6℃/分の昇温速度で30〜85℃の中から選択される最高加熱温度まで加熱処理し、該最高加熱温度での保持時間を5分未満とすることを特徴とする牛乳含有液の製造方法である。
(2)牛乳が生乳100%を原料とする無調製牛乳または調製牛乳のいずれかである(1)記載の牛乳含有液の製造方法である。

(3)牛乳40〜80重量%及び食用油脂20〜60重量%を含有する(1)または(2)記載の牛乳含有液の製造方法である。

(4)最高加熱温度が35〜60℃の中から選択される、(1)記載の牛乳含有液の製造方法である。

(5)(1)〜(4)記載の牛乳含有液を20〜80重量%含有する牛乳含有食品の製造方法である。

(6)さらに、pH5.5〜6.3に調整された乳酸発酵乳を2〜20重量%含有する(5)記載の牛乳含有食品の製造方法である。

本発明により、牛乳を含有する食品において、簡便な方法で製造工程における乳風味の低下を抑制し、フレッシュ感のある乳風味とコク味を有する牛乳含有食品を提供することが可能になった。

以下、本発明を詳細に説明する。

本発明において用いる牛乳は、市販の生乳100%を原料とする無調整牛乳または調製牛乳であるのが好ましく、特に好ましくは過度の加熱殺菌をされていない低温殺菌牛乳であるのが望ましい。具体的には、63℃で30分間、またはこれと同等以上の効果のある100℃未満の温度で30分間未満の加熱殺菌されたもので、無脂乳固形分8.0%以上、乳脂肪分3.0%以上のものである。100℃を超える超高温殺菌されたロングライフタイプの牛乳は、本発明による温和な加熱処理によりフレッシュ感のある乳風味が得られない傾向にあるため好ましくない。

本発明に用いる食用油脂とは、特に限定されず、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類の単独または混合油あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂(融点15〜40℃程度のもの)が例示できる。本発明においては、牛乳の風味、コク味発現を阻害しないような淡白な風味を有する融点10〜40℃の植物性油脂の単独または混合油あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂の使用がより好ましい。

本発明の牛乳含有液は牛乳または牛乳及び食用油脂を含有するものであるが、より好ましくは牛乳40〜80重量%及び食用油脂20〜60重量%含有するものである。牛乳が40重量%未満であると、牛乳由来の乳風味が不十分となるため好ましくない。牛乳80〜100%でも優れたフレッシュ感のある乳風味が得られるが、その後の牛乳含有食品の製造工程における加熱による乳風味の低下が起きやすい傾向にあることから、食用油脂を20〜60重量%含有するのがより好ましい。食用油脂が60重量%を超えると、牛乳由来の乳風味が不十分となるため好ましくない。

本発明の牛乳含有液は、例えば、以下の手順で製造することができる。あらかじめ40〜60℃で加熱融解した食用油脂に対し、1〜10℃の冷蔵保管された牛乳を添加、混合する。混合は撹拌装置が付属された調合タンクの利用が好ましく、撹拌はプロペラ撹拌またはホモゲナイザー撹拌のいずれでもよい。上記により、必要に応じて加温して、品温20〜30℃未満の混合液を得る。

次いで、上記混合液を加熱処理する。加熱処理は、品温30℃未満の乳化液を30〜85℃の中から選択される最高加熱温度まで0.05〜6℃/分、さらに好ましくは0.5〜5℃/分、最も好ましくは1〜4℃/分の昇温速度で加熱し、加熱した乳化液を当該最高加熱温度に5分間未満保持して、本発明の牛乳含有液を得る。最高加熱温度が30℃未満であると、フレッシュ感のある乳風味とコク味の発現が不十分となり、逆に85℃を超えるとコク味は出るが加熱臭の発生が起こりやすくなる。最高加熱温度は、35〜60℃であるのがより好ましく、最も優れたフレッシュ感のある乳風味と適度なコク味を有する牛乳含有液を得ることができる。

加熱の昇温速度が0.05℃/分未満では緩慢すぎて能率が悪く、腐敗する危険性もあるので好ましくない。逆に、6℃/分を超えると最高加熱温度への温度調整が困難になるとともに加熱臭が発生しやすくなる。

当該最高加熱温度に昇温後は、当該最高加熱温度での保持は5分間未満とするのが望ましく、その後に加熱処理済の牛乳含有液を連続して牛乳含有食品の製造工程に供しない場合は、当該最高加熱温度到達後は速やかに冷却して、冷蔵保存するのが好ましい。当該加熱処理済の牛乳含有液を連続して牛乳含有食品の製造工程に供する場合は、当該最高加熱温度での保持5分間未満に次の牛乳含有食品の原材料として、牛乳含有食品の調合及び製造工程に供するのが好ましい。当該最高加熱温度での保持が5分間以上であると、フレッシュ感のある乳風味がやや低下して行く傾向がある。

本発明の牛乳と食用油脂の混合液の加熱方法としては、バッチ式、連続式、直接加熱、間接加熱、マイクロ波、高周波、通電加熱等の限定は特になく、どの方式を使用してもよいが、温水や蒸気による加熱ジャケット及びプロペラなどの撹拌装置の付属されたバッチ式の調合タンクの利用が簡便である。

特に、蒸気等の熱媒体を使用して加熱する場合、乳化液の加熱速度と加熱に用いる熱媒体との温度差が重要であり、接触面での過加熱による凝集物発生や焦げ付きが発生しないように、熱媒体温度は乳化液温度より8℃未満高い温度となるよう、熱媒体の温度を調整するのが好ましい。なお、マイクロ波、高周波、通電加熱を採用する場合には、昇温速度が重要であって熱媒体と混合液の温度差を考慮する必要はない。

本発明の牛乳含有液は優れたフレッシュ感のある乳風味とコク味を有するものであり、かつ十分な牛乳量が含まれるため、フラワーペースト、ファットスプレッド、プリン、ムースなどの牛乳含有食品の原材料として使用することができる。牛乳含有食品中の牛乳含有液の含有量は20〜80重量%であるのが好ましい。牛乳含有液の含有量が20重量%未満であると、牛乳含有食品のフレッシュ感のある乳風味とコク味が不十分となり、逆に80重量%を超えるとフレッシュ感のある乳風味とコク味は豊かであるが牛乳含有食品の風味や甘味調整が困難になり、硬さや可塑性の調製も困難になる。

本発明の牛乳含有食品には、さらに爽快なアクセントのあるフレッシュ感のある乳風味を付与するために、例えば特許文献5に開示される、pH5.5〜6.3に調整された乳酸発酵乳を添加することができる。該乳酸発酵液の添加量は2〜20重量%が適当であるが、好ましくは5〜15重量%である。かかる微発酵の乳酸発酵乳を添加することにより、爽快感及びフレッシュ感のある乳風味にさらにコク味を上乗せしたバランスの良い乳風味を得ることができる。

上記乳酸発酵乳とは、天然の生クリーム又は、牛乳、加工乳、あるいは脱脂乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、酸カゼイン、レンネットカゼイン、若しくはカゼインナトリウム等のカゼイン類、または乳清蛋白質等に由来する乳蛋白質、その他各種動物性由来の蛋白質を含んだクリームミックスを乳酸発酵したものである。その他これら蛋白質と油脂原料を乳化させたクリームミックスを原料とし乳酸発酵乳を調製することもできる。油脂原料としては例えば、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア油、サル油、カカオ油、ヤシ油、パーム各油等の植物性並びに乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類の単独または混合油あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂等、如何なる油脂であっても良く、また、バター、生クリーム等を乳脂源として使用することもできる。上記したクリームミックスの乳酸発酵乳の組成は略同じであって、蛋白質分0.5〜15重量%、油脂分0〜50重量%、水分40〜95重量%のものが好ましい。また本乳酸発酵乳の無脂乳固形分は3〜30重量%が好ましく、より好ましくは5〜20重量%である。

本発明の乳酸発酵に供する乳酸菌の種類としては、代表的にはラクトバチルス属の単独菌、またはラクトバチルス属と高温菌に分類されるストレプトコッカス属の混合菌が例示できるが、その他、如何なる乳酸菌であってもよい。乳酸発酵乳の発酵は殺菌冷却後のpHが5.5〜6.3となるように微発酵するのがよくpHが6.3を越えるとペースト状食品を製造した際発酵による風味、コク味が十分でなく、逆にpHが5.5未満であるとペースト状食品を製造した際、発酵的ムレ臭が生じ特に昨今の潮流である香料を極力使用しない本格的カスタードクリームを製造する際に違和感が生じる。微発酵乳とはすなわち乳酸菌による発酵を終点まで行わず5.5〜6.3の限定したpH域にて発酵停止し、次いで殺菌されたものを示す。実際の工業的には、発酵途中にある発酵乳を可及的迅速に目的pHに発酵停止した後、殺菌する方法が理想的であり、発酵タンク内に大型の攪拌羽根を設け攪拌しながらジャケットに冷媒を通し急冷する方法が望ましい。

本発明の牛乳含有食品は、風味調整のため香料を添加することもできるが、香料無添加でもフレッシュ感のある乳風味を有するため、例えば、ミルク風味やクリーム風味香料を添加することなく、フレッシュ感のある乳風味を有するフラワーペースト、ファットスプレッド、プリン、ムースなどを製造することができる。

本発明の牛乳含有食品には、牛乳含有液及び乳酸発酵乳以外の原材料として、食用油脂、生クリーム、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、ホエーパウダー、乳清蛋白などの乳製品、各種澱粉類、糖類、卵白、カゼイン、分離大豆蛋白、小麦グルテンなどの各種蛋白質含有素材、増粘多糖類、ガム類、乳化剤、塩類、色素、抗菌剤などを目的、用途に応じて適宜配合することができる。

以下、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、各例中の部及び%はいずれも重量基準である。

各例中の牛乳含有液及び牛乳含有食品の風味及び食感の評価は、10名のパネラーによる官能評価の平均点で評価した。評価基準は以下の通りである。牛乳含有液、牛乳含有食品ともフレッシュ感のある乳風味:3点以上でかつコク味:3点以上を風味合格とした。

(フレッシュ感のある乳風味)

非常に良好:5点 、良好 :4点 、やや物足りない:3点

物足りない:2点 、異臭あり不良:1点

(コク味)

非常に良好:5点 、良好 :4点 、やや物足りない:3点

物足りない:2点 、淡白すぎる:1点

(食感)

非常に滑らか:5点 、滑らか:4点 、やや粗い:3点 、

ややザラツキあり:2点 、ざらつきあり:1点

実施例1

50℃、30分以上で加熱融解した精製パーム油(融点36℃、不二製油株式会社製)17.1部、精製パーム低融点部(融点10℃、不二製油株式会社製)17.1部を調合タンクに投入し、撹拌しながら品温5℃の北海道牛乳(牛乳100%使用、乳脂肪分3.9%以上の成分無調製の市販品)65.8部を添加混合して、牛乳を含有した乳化液を調製した。乳化液の温度を25℃に加温して10分間調合後、軽く撹拌しながら25℃から最高加熱温度40℃まで1℃/分の昇温速度にて、乳化液の温度上昇に伴って乳化液温度より+3℃高い温度に温度調整した温水を熱媒体として用いて加熱した。最高加熱温度30℃に到達後、当該温度で保持することなく加熱済の乳化液を速やかに10℃冷水を用いて冷却し、牛乳含有液を得た。

実施例2

実施例1の最高加熱温度30℃までの加熱を、最高加熱温度40℃までの加熱に変更して、実施例1同様に牛乳含有液を得た。

実施例3

実施例1の最高加熱温度30℃までの加熱を、最高加熱温度55℃までの加熱に変更して、実施例1同様に牛乳含有液を得た。

実施例4

実施例3の最高加熱温度55℃までの加熱後、当該温度で保持することなく加熱済の乳化液を速やかに10℃冷水を用いて冷却に代えて、当該温度で4分間保持してから実施例1同様に冷却して、牛乳含有液を得た。得られた牛乳含有液の乳風味は3.8、コク味は3.8の風味評価であり、実施例3対比でコク味のわずかな上昇はあったがフレッシュ感のある乳風味は許容範囲ではあるがやや低下していた。

実施例5

実施例1の最高加熱温度30℃までの加熱を、最高加熱温度65℃までの加熱に変更して、実施例1同様に牛乳含有液を得た。

実施例6

実施例1の最高加熱温度30℃までの加熱を、最高加熱温度80℃までの加熱に変更して、実施例1同様に牛乳含有液を得た。

比較例1

実施例1の最高加熱温度30℃までの加熱処理を行わず、乳化液の温度を25℃に加温して10分間調合後に速やかに10℃冷水を用いて冷却し、牛乳含有液を得た。
比較例2
実施例1の最高加熱温度30℃までの加熱を、最高加熱温度90℃までの加熱に変更して、実施例1同様に牛乳含有液を得た。

比較例3

実施例3の最高加熱温度55℃までの加熱後、当該温度で保持することなく加熱済の乳化液を速やかに10℃冷水を用いて冷却に代えて、当該温度で10分間保持してから実施例1同様に冷却して、牛乳含有液を得た。得られた牛乳含有液の乳風味は2.8、コク味は4.0の風味評価であり、コク味の上昇はあったがフレッシュ感のある乳風味は低下していた。

表1に、実施例1〜6及び比較例1〜3の牛乳含有液の風味の評価結果を示した。

表1

Figure 2015181391


表1に示す通り、25℃から最高加熱温度30〜80℃まで加熱処理した実施例1〜実施例6は、加熱処理を行っていない比較例1と対比して、優れたフレッシュ感のある乳風味とコク味を有していた。最高加熱温度90℃まで加熱処理した比較例2及び最高加熱温度55℃まで加熱後10分間保持した比較例3は、コク味の上昇はあったがフレッシュ感のある乳風味はやや物足りないものであった。

実施例7

実施例1で調製した牛乳含有液38部に対し、脱脂粉乳1.0部、ホエーパウダー4.5部、砂糖9.3部、マルトース(商品名:マルスター720)8.3部、澱粉(コーンスターチの化工澱粉)5.2部、全卵4部及び水29.7部を添加、混合し、58℃で10分間調合した後、pHが5.9になるように炭酸Naにて調製を行い、さらに50Kg/cm2の圧力下に均質化した後、ニーダーを用いて83℃まで撹拌しながら加熱し、83℃で1分間保持して澱粉をα化して糊状とした。その後、40Kg/cm2で均質化後、速やかに冷水を用いて冷却し、牛乳風味のフラワーペーストを得た。

実施例8

実施例7の実施例1で調製した牛乳含有液を実施例2で調製した牛乳含有液に置き換えて、実施例7同様に牛乳風味のフラワーペーストを得た。

実施例9

実施例7の実施例1で調製した牛乳含有液を実施例3で調製した牛乳含有液に置き換えて、実施例7同様に牛乳風味のフラワーペーストを得た。

実施例10

実施例7の実施例1で調製した牛乳含有液を実施例4で調製した牛乳含有液に置き換えて、実施例7同様に牛乳風味のフラワーペーストを得た。

実施例11

実施例7の実施例1で調製した牛乳含有液を実施例5で調製した牛乳含有液に置き換えて、実施例7同様に牛乳風味のフラワーペーストを得た。

実施例12

実施例7の実施例1で調製した牛乳含有液を実施例6で調製した牛乳含有液に置き換えて、実施例7同様に牛乳風味のフラワーペーストを得た。

比較例4

実施例7の実施例1で調製した牛乳含有液を比較例1で調製した牛乳含有液に置き換えて、実施例7同様に牛乳風味のフラワーペーストを得た。

比較例5

実施例7の実施例1で調製した牛乳含有液を比較例2で調製した牛乳含有液に置き換えて、実施例7同様に牛乳風味のフラワーペーストを得た。
比較例6
実施例7の実施例1で調製した牛乳含有液を比較例3で調製した牛乳含有液に置き換えて、実施例7同様に牛乳風味のフラワーペーストを得た。

表2に、実施例7〜12及び比較例4〜6の牛乳風味のフラワーペーストの風味、食感の評価結果を示す。

Figure 2015181391


表2に示す通り、25℃から最高加熱温度30〜80℃まで加熱処理した実施例1〜実施例6の牛乳含有液を配合した実施例7〜実施例12フラワーペーストは、優れたフレッシュ感のある乳風味、適度なコク味を有するとともに、滑らかな食感を有するものであった。加熱処理を行っていない比較例1の牛乳含有液または最高加熱温度90℃まで加熱処理した比較例2の牛乳含有液を配合した比較例4及び比較例5のフラワーペーストは、フレッシュ感のある乳風味において物足りないものであった。また、最高加熱温度55℃で10分間保持した比較例3の牛乳含有液を配合した比較例6のフラワーペーストは、フレッシュ感のある乳風味が物足りないものであった。

実施例13

50℃、30分以上で加熱融解した精製パーム油(融点36℃、不二製油株式会社製)19.6部、精製パーム低融点部(融点10℃、不二製油株式会社製)19.6部を調合タンクに投入し、撹拌しながら品温5℃の蒜山ジャージー牛乳(牛乳100%使用、乳脂肪分4.2%の成分微調整の市販品)60.8部を添加混合して、牛乳を含有した乳化液を調製した。乳化液の温度を25℃に加温して10分間調合後、軽く撹拌しながら25℃から最高加熱温度40℃まで1℃/分の昇温速度にて、乳化液の温度上昇に伴って乳化液温度より+3℃高い温度に温度調整した温水を熱媒体として用いて加熱した。最高加熱温度40℃に到達後、当該温度で保持することなく加熱済の乳化液を速やかに10℃冷水を用いて冷却し、牛乳含有液を得た。

得られた牛乳含有液29.6部に対し、脱脂粉乳1.0部、ホエーパウダー5.5部、砂糖9.3部、マルトース(商品名:マルスター720)8.3部、澱粉(コーンスターチの化工澱粉)5.1部、全卵4部、水30部及び下記乳酸発酵乳7.2部を添加、混合し、58℃で10分間調合した後、pHが5.9になるように炭酸Naにて調製を行い、さらに50Kg/cm2の圧力下に均質化した後、ニーダーを用いて83℃まで撹拌しながら加熱し、83℃で1分間保持して澱粉をα化して糊状とした。その後、40Kg/cm2で均質化後、速やかに冷水を用いて冷却し、牛乳風味のフラワーペーストを得た。本フラワーペースト中のジャージー牛乳配合量は加熱処理済牛乳が18%、乳酸発酵乳配合量は7.2%である。なお、上記乳酸発酵液は下記のように調製したものを用いた。

<乳酸発酵乳の調製>

菜種硬化油(融点10℃)15部、水75部をそれぞれ30℃に加温したものをホモミキサーで撹拌しながら脱脂粉乳10部を添加し十分分散溶解させた。次いで撹拌加熱し70℃で30分予備乳化し、次いでホモゲナイザーで100Kg/cm2の圧力下に均質化した後、20℃まで急冷してクリームミックスを調製した。このクリームミックスの組成は、油分15.1%、蛋白質3.4%、水分75.4%であった。こうして得られたクリームミックス100部に対し乳酸菌バルクスターター1部(ストレプトコッカス・クレモリス及びストレプトコッカス・ラクティスの混合菌)を添加し、20℃で発酵に供し発酵開始後、4時間後から30分毎にpH測定を行い、pH5.70となった時点で5℃まで急冷して発酵停止させた。次いで直ちにこの発酵物を80℃で30分間の加熱殺菌後、5℃まで急冷し微発酵の乳酸発酵乳を得た。得られた乳酸発酵乳のpHは5.75であった。

実施例14

実施例13の乳酸発酵乳7.2部を実施例13で調製した牛乳含有液に置換して、実施例13同様に牛乳風味のフラワーペーストを得た。本フラワーペースト中のジャージー牛乳配合量は、加熱処理済牛乳が22.4%である。

比較例7

50℃、30分以上で加熱融解した精製パーム油(融点36℃、不二製油株式会社製)7.2部、精製パーム低融点部(融点10℃、不二製油株式会社製)7.2部を調合タンクに投入し、撹拌しながら品温5℃の蒜山ジャージー牛乳22.4部、脱脂粉乳1.0部、ホエーパウダー5.5部、砂糖9.3部、マルトース(商品名:マルスター720)8.3部、澱粉(コーンスターチの化工澱粉)5.1部、全卵4部及び水30部を添加、混合し、58℃で10分間調合した後、pHが5.9になるように炭酸Naにて調製を行い、さらに50Kg/cm2の圧力下に均質化した後、ニーダーを用いて83℃まで撹拌しながら加熱し、83℃で1分間保持して澱粉をα化して糊状とした。その後、40Kg/cm2で均質化後、速やかに冷水を用いて冷却し、牛乳風味のフラワーペーストを得た。本フラワーペースト中のジャージー牛乳配合量は、未加熱処理牛乳が22.4%である。

表3に、実施例13〜実施例14及び比較例7の牛乳風味のフラワーペーストの風味、食感の評価結果を示す。

表3

Figure 2015181391


表3に示すように、25℃から最高加熱温度40℃まで加熱処理した牛乳含有液及び乳酸発酵液を配合した実施例13のフラワーペーストは、爽快なフレッシュ感のある乳風味とアクセントのあるコク味を有するものであった。25℃から最高加熱温度40℃まで加熱処理した牛乳含有液のみを配合した実施例14は、加熱処理なしの牛乳を含有した比較例7よりもフレッシュ感のある乳風味、コク味とも優れたものであったが、実施例13との相対評価ではフレッシュ感のある乳風味、コク味ともやや低いものであった。

本発明は、牛乳を含有する食品において、簡便な方法で製造工程における乳風味の低下を抑制し、フレッシュ感のある乳風味とコク味を有する牛乳含有食品の製造方法に関するものである。


Claims (6)


  1. 牛乳または牛乳及び食用油脂の混合液を30℃未満の温度から0.05℃〜6℃/分の昇温速度で30〜85℃の中から選択される最高加熱温度まで加熱処理し、該最高加熱温度での保持時間を5分未満とすることを特徴とする牛乳含有液の製造方法。

  2. 牛乳が生乳100%を原料とする無調製牛乳または調製牛乳のいずれかである請求項1記載の牛乳含有液の製造方法。

  3. 牛乳40〜80重量%及び食用油脂20〜60重量%を含有する請求項1または請求項2記載の牛乳含有液の製造方法。

  4. 最高加熱温度が35〜60℃の中から選択される、請求項1記載の牛乳含有液の製造方法。

  5. 請求項1〜請求項4記載の牛乳含有液を20〜80重量%含有する牛乳含有食品の製造方法。

  6. さらに、pH5.5〜6.3に調整された乳酸発酵乳を2〜20重量%含有する請求項5記載の牛乳含有食品の製造方法。


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