JP2016119884A - クリーム様製品の製造方法 - Google Patents

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Tadahiro Abe
忠博 阿部
一宏 羽原
Kazuhiro Habara
一宏 羽原
西村 康宏
Yasuhiro Nishimura
康宏 西村
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Abstract

【課題】 本技術は、乳脂肪と無脂乳固形分とを含む乳化組成物を含有する原料を用いてクリーム様製品を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 乳脂肪と無脂乳固形分とを含む乳化組成物を含有する原料を用いてクリーム原料液を調製する工程、当該原料液の脂肪含量を調整して脂肪調整液を調製する工程、当該脂肪調整液を均質化する工程、及び均質化した脂肪調整液をエージングしてクリーム様製品を製造する工程、を含むクリーム様製品の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、乳脂肪と無脂乳固形分とを含む乳化組成物を含有する原料を用いてクリーム様製品を製造する方法に関する。
近年において、生クリームの原料となる乳の品不足により、原料価格の高騰が問題となっており、乳成分を含む様々な原料を使用して、クリーム製品等の乳化組成物の製造方法が提案されてきている。
例えば、特許文献1には、解凍した凍結クリーム及び/又は凍結クリームチーズ、乳成分及び澱粉から構成される食品添加物無添加の凍結解凍還元クリームが開示されており、凍結クリーム及び凍結クリームチーズとして、クリーム、クリームチーズ、ハイファットクリーム、ハイファットクリームチーズ等を凍結したものを原料に用いて、これらに乳成分や澱粉を追加して凍結解凍還元クリームを製造することが記載されている。
また、特許文献2には、生クリーム、クリームチーズ、デイリースプレッド又はバターの中から選択される乳脂原料から1種又は2種以上を配合し、該乳脂原料に由来する乳脂が乳化物の油分中60質量%以上を占め、かつタンパク質含有量が1.5質量%以下である起泡性水中油型乳化物が開示されており、原料として、生クリーム、バター、バターオイル、クリームチーズ、デイリースプレッド等の油分のうち60質量%以上が、生クリーム、クリームチーズ、デイリースプレッド又はバターの中から選択される1種又は2種以上よりなる乳脂原料によるものを使用し、リン脂質やミネラル、及び蛋白質等の水相成分を添加して、保存時の乳化安定性に優れ、ホイップタイムが良好かつ終点幅が広く、さらに生クリームと同等の濃厚な乳風味やコク味を有する起泡性水中油型乳化物及びホイップドクリームを製造できることが記載されている。
さらに、特許文献3には、全固形分が55重量%以上の乳製品と乳化剤とを含有する飲食品用乳化組成物であって、前記乳化剤が脂肪酸エステル類であり、前記乳製品はMFFB%((水分量)/(全重量−乳脂肪分量)の百分率)が73重量%以上である飲食品用乳化組成物が開示されており、全固形分が55重量%以上の乳製品として、チーズ、乳、全脂乳、濃縮乳、全脂粉乳、クリーム、バター、バターオイル、バターミルク、バターミルクパウダ一、バターセーラム、脱脂乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、乳タンパク、パーミエイ卜、乳糖、及び乳清ミネラルから選ばれる1種以上の乳製品が例示されている。
特開2001−269114号公報 特開2013−34462号公報 国際公開第2014/148633号
本発明者等は、前記の従来技術を鑑み、無脂乳固形分及び乳脂肪分の比率が高い乳由来の原料を用いてクリーム様製品を製造するための方法について鋭意研究を重ねた結果、乳脂肪と無脂乳固形分とを含み、無脂乳固形分が6質量%以上であり、[水分量]/[全質量−脂肪分量]の百分率(MFFB%)が85質量%以下であり、かつ[脂肪分量]/[全質量−水分量]の百分率(FDM%)が60質量%以上である乳化組成物を含有する原料を用いてクリーム様製品を製造できる手法について見出し、本技術を完成するに至った。
また、本技術は前記の乳化組成物において、チーズ類を使用することにより、チーズの風味を備えつつ、クリームの物性を備えた新たな製品を製造できる点についても明らかとなった。
すなわち、本技術は新たな風味と物性を兼ね備えたクリーム様製品を製造するための方法を提供することを目的としている。
前記課題を解決するための本技術における第一の発明は、乳脂肪と無脂乳固形分とを含み、無脂乳固形分が6質量%以上であり、[水分量]/[全質量−脂肪分量]の百分率(MFFB%)が85質量%以下であり、かつ[脂肪分量]/[全質量−水分量]の百分率(FDM%)が60質量%以上である乳化組成物を含有する原料を用いてクリーム原料液を調製する工程、当該原料液の脂肪含量を調整して脂肪調整液を調製する工程、当該脂肪調整液を均質化する工程、及び均質化した脂肪調整液をエージングしてクリーム様製品を製造する工程、を含むクリーム様製品の製造方法である。
また、前記第一の発明は以下(1)〜(3)を好ましい態様としている。
(1)前記乳化組成物が水中油型乳化物であって、当該水中油型乳化物が、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、及びチーズフードからなる群から選択される1又は複数のチーズ類であること。
(2)前記脂肪調整液を調製する工程が、前記クリーム原料液の脂肪分量を7〜45質量%に調整して脂肪調整液を調製する工程であること。
(3)前記脂肪調整液を均質化する工程が、脂肪調整液を60〜90℃に保持して0.5〜25MPaの圧力で均質化する工程であること。
前記課題を解決するための本技術における第二の発明は、第一の発明による製造方法により製造されるクリーム様製品であって、クリーム様製品の蛋白質含量が1.5質量%以上であることを好ましい態様としている。
前記課題を解決するための本技術における第三の発明は、第二の発明のクリーム様製品を用いてバター原料を調製する工程、当該バター原料をチャーニングしてバター粒を形成する工程、及び形成したバター粒をワーキングしてバター様製品を製造する工程、を含むバター様製品の製造方法である。
前記課題を解決するための本技術における第四の発明は、第三の発明による製造方法により製造されるバター様製品である。
本技術によれば、乳脂肪と無脂乳固形分とを含み、かつ無脂乳固形分が6質量%以上であり、MFFB%が85質量%以下であり、FDM%が60質量%以上である乳化組成物を含有する原料を使用してクリーム様製品を製造することが可能である。
また、製造されたクリーム様製品を原料に用いた、バター様製品の製造方法を提供できる。
次に、本技術の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本技術は以下の好ましい実施形態に限定されず、本技術の範囲内で自由に変更することができるものである。なお、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示であり、質量%と重量%とはほぼ同義であるものとする。
<クリーム様製品の製造>
本技術における第一の発明は、乳脂肪と無脂乳固形分とを含み、無脂乳固形分が6質量%以上であり、[水分量]/[全質量−脂肪分量]の百分率(MFFB%:Percentage moisture on a fat-free basis)が85質量%以下であり、かつ[脂肪分量]/[全質量−水分量]の百分率(FDM%:Percentage of fat in dry matter)が60質量%以上である乳化組成物を含有する原料を用いてクリーム原料液を調製する工程、当該原料液の脂肪含量を調整して脂肪調整液を調製する工程、当該脂肪調整液を均質化する工程、及び均質化した脂肪調整液をエージングしてクリーム様製品を製造する工程、を含むクリーム様製品の製造方法である。
第一の発明のクリーム様製品の製造方法で使用される原料に用いられる乳化組成物は、乳脂肪と無脂乳固形分とを含むものであり、前記無脂乳固形分は6質量%以上であり、25質量%以下であることが好ましい。この範囲であることにより、クリーム様製品にチーズ特有の風味(酸味、苦味、発酵臭等)が備わり、乳化安定性が良好となる。
前記原料に用いられる乳化組成物は、乳脂肪と無脂乳固形分とを含むものであればよいが、特に水中油型(O/W型)乳化物であることが好ましい。
中でも、水中油型乳化物としては、生乳、クリーム類、チーズ類等が例示され、第一の発明においては、チーズ類であることが好ましい。また、クリーム類としては、フレッシュクリーム、クロッテドクリーム、プラスティッククリーム、発酵クリーム、等が挙げられ、チーズ類としては、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、チーズフード等が挙げられる。
第一の発明においては、前記の水中油型乳化物のうち、チーズ感を有する風味の点でチーズ類を原料に使用することが好ましく、中でも、自然な風味が得られる点でナチュラルチーズを使用することがより好ましい。また、第一の発明で使用可能なナチュラルチーズとしては、クリームチーズ、マスカルポーネ、フロマージュ・ブラン等のFDM%が60質量%以上であるチーズ類が挙げられ、製造時の溶解性が良好である点、流動性が高い点等の理由から、クリームチーズを使用することが好ましく、非発酵型のクリームチーズであることが特に好ましい。
なお、これらの乳化組成物は、1種を単独で使用しても良く、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。2種類以上を組み合わせて用いる場合、乳化組成物の無脂乳固形分やMFFB%、FDM%の値は、使用した乳化組成物の全質量を100質量%とし、各々の水分量や脂肪分量の合計値を定めた上で算出される。
また、前記乳化組成物における[水分量]/[全質量−脂肪分量]の百分率、すなわちMFFB%(Percentage moisture on a fat-free basis)とは、Codex standard 283-1978に定める硬さによってチーズを分類するための値である。第一の発明の原料に用いられる乳化組成物のMFFB%は、85質量%以下であれば良く、75質量%以下であることが好ましい。この範囲であると製造されるクリーム様製品のチーズ感を有する風味が濃厚となる点で好ましい。
さらに、前記乳化組成物における[脂肪分量]/[全質量−水分量]の百分率、すなわちFDM%(Percentage of fat in dry matter)とは、Codex standard 283-1978に定める乾燥原料中の脂肪含量によってチーズを分類するための値である。第一の発明の原料に用いられる乳化組成物のFDM%は、60質量%以上であれば良く、75質量%以上であることが好ましい。この範囲であると製造されるクリーム様製品のコクが濃厚となる点で好ましい。
第一の発明においては、前記の乳化組成物に水等を添加してクリーム原料液を調製する。乳化組成物と水等との混合方法は特に限定されるものではなく、乳化組成物を水等に分散後、加熱し、クリーム原料液を調製することが可能である。なお、乳化組成物に40〜80℃の温水を添加してクリーム原料液を調製しても良い。
調製されたクリーム原料液は、必要に応じて油脂類を添加して特定の範囲の脂肪含量に調整して脂肪調整液を調製しても良い。
この際にクリーム原料液に添加される油脂類としては、乳由来の脂肪分であっても、また植物由来の脂肪分であっても、いずれも第一の発明の脂肪調整液を調製する工程において使用が可能である。
ここで、乳由来の脂肪としては、フレッシュクリーム、並びに生乳、バター、バターオイル、及びデイリースプレッド等由来の脂肪分が挙げられる。また、植物由来の脂肪としては、豆乳、大豆油、カカオバター、ココナッツ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、ひまわり油、菜種油等の植物性油脂、これらの植物性油脂を精製したり、水素添加やエステル交換等で加工した油脂等が挙げられる。
クリーム原料液の脂肪含量を調整して得られる脂肪調整液の脂肪含量の範囲は、5〜50質量%であることが好ましく、7〜45質量%であることが特に好ましい。この範囲であることにより、クリーム様製品の流動性が良好となり、コクが濃厚となる。なお、乳化組成物にチーズ類を使用した場合、チーズ類由来の脂肪分が脂肪分全体の50%以上になるように配合することが好ましい。
調製された脂肪調整液は、次いで均質化を行う。第一の発明における均質化する工程は、前記脂肪調整液を50〜95℃、好ましくは60〜90℃に保持し、保持液を0.5MPa以上、好ましくは0.5〜25MPaの圧力条件下で均質化を行う。均質化する処理では、ホモミキサーやホモジナイザーを使用することが可能であり、均質化処理は1回でもよく、2回以上に分けて行うこともできる。2回以上に分けて均質化すれば、第一の発明により製造されるクリーム様製品の安定性が向上する点で好ましい。
なお、均質化を行う前に、脂肪調整液は、低温保持殺菌、高温保持殺菌、高温短時間殺菌、超高温瞬間殺菌といった殺菌方法にて殺菌処理を行っても良い。例えば、通常の乳製品の製造工程と同様、原料の加熱殺菌を行うことが好ましく、例えば、80〜85℃で10秒〜5分程度や、110〜140℃で1〜60秒程度での加熱処理が挙げられる。その殺菌方法には特に制限はないが、熱による風味の劣化が少ないという点では超高温瞬間又は高温短時間の殺菌が好ましく、例えば、プレート式間接加熱殺菌法、チューブ式間接加熱殺菌法、インジェクション式直接加熱殺菌法、インフュージョン式直接加熱殺菌法、ジュール式加熱殺菌法で行われることが好ましい。
均質化後の脂肪調整液は、次いで冷却工程を経た後、エージング処理を施してクリーム様製品を製造する。
通常、冷却工程では、冷却水による1次冷却と、チルド水による2次冷却によって構成され、前記脂肪調整液は、1次冷却により20〜35℃、2次冷却により1〜10℃に各々冷却される。
冷却された脂肪調整液は、油脂の結晶化を促進させ、クリームの品質を安定化させるために、エージング処理される。第一の発明においては、脂肪調整液は、10℃以下で1時間〜48時間保持することによりエージング処理が施される。
前記の方法により製造されるクリーム様製品には、原料に公知の乳製品、乳化剤、安定剤、カゼインNa、カゼインK、リン酸塩、クエン酸塩、酸化防止剤、pH調整剤、香料、着色料、保存料、調味料、砂糖等の糖類、甘味料からなる群から選択される成分を1種類以上添加してクリーム様製品を製造することが可能である。
なお、前記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。また、前記安定剤としては、キサンタンガム、グアーガム、タマリンドガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギン酸塩、澱粉、加工澱粉、セルロース、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストラン等が挙げられる。
<クリーム様製品>
本技術における第二の発明は、前記第一の発明に記載の製造方法により製造されるクリーム様製品である。
また、前記クリーム様製品は、クリーム様製品の蛋白質含量が1.5質量%以上であることが好ましく、2質量%以上がより好ましい。これにより、チーズ特有の風味を有する点で、特徴的なクリーム様製品を提供することが可能である。
<バター様製品の製造>
本技術における第三の発明は、前記第二の発明に記載のクリーム様製品を用いてバター原料を調製する工程、当該バター原料をチャーニングしてバター粒を形成する工程、及び形成したバター粒をワーキングしてバター様製品を製造する工程、を含むバター様製品の製造方法である。
すなわち、第二の発明に記載のクリーム様製品をバター原料として使用し、当該バター原料をチャーニングしてバター粒形成の工程を行う。このバター粒形成の工程、すなわちチャーニング工程では、撹拌によってクリーム中の脂肪球を破壊し凝集させて、バター粒が形成される。
なお、当該バター原料中の脂肪含量は、30〜45質量%であることが好ましい。また、本工程におけるチャーニング温度は、5〜15℃の範囲であれば良く、7〜13℃であることが好ましい。
チャーニング工程後は、バター粒はバターミルクより低い温度の水又は冷却したバターミルクにより水洗し、バターミルクを洗い出す。
チャーニングにより形成されたバター粒はワーキング(練圧)してバター様製品を製造する。有塩バターを製造する場合は、ワーキング中に加塩工程を追加して行うことが含まれる。なお、発酵バターを製造する場合は、ワーキング中に発酵液を添加する工程を追加して行うことができる。このワーキング工程により、バター中の結晶脂肪、水分、塩分、発酵液を均一な組織とし、余分な水分は排出されてW/O型のエマルションが形成される。また、ワーキング工程中に脱気工程を実施して、バター中の気泡を除去する。
本工程におけるワーキング温度は、7〜15℃の範囲であれば良く、9〜13℃であることが好ましい。また、ワーキング工程中における脱気圧は、−0.06〜−0.11MPaの範囲であれば良く、−0.07〜−0.1MPaの範囲であることが好ましい。
なお、第三の発明のバター様製品の製造方法に係るチャーニング工程、ワーキング工程等の一連の製造工程は、バッチ式製造法又は連続式製造法に基づく、チャーン、ホイップマシン、連続式バターマシン等を使用した一般的なバターの製造条件で実施することができる。
<バター様製品>
本技術における第四の発明は、前記第三の発明に記載の製造方法により製造されるバター様製品である。
また、第四の発明により、コクの風味を有する点で、特有の風味を備えたバター様製品を提供することが可能である。
以下に実施例を用いて本技術をさらに詳しく説明するが、本技術はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(クリーム様製品の製造)
市販の脂肪分54質量%のクリームチーズを使用して、これを60℃の温水に溶解してクリーム原料液を調製し、当該クリーム原料液の脂肪分量を41質量%に調整して脂肪調整液を調製した。当該クリームチーズの組成は表1のとおりである。
Figure 2016119884
調製した脂肪調整液を60℃で保持して、均質圧を1段目は2MPa、2段目は0.5MPaに設定して均質化した。更に85℃15秒間の殺菌処理を実施した後、均質化した脂肪調整液を、7℃で24時間エージングして本技術のクリーム様製品を製造した。
製造したクリーム様製品の蛋白質含量は4.4質量%であり、当該クリーム様製品の組成は表2のとおりである。
Figure 2016119884
[実施例2]
(バター様製品の製造)
実施例1にて製造したクリーム様製品をバター原料として使用した。当該バター原料をシモン製バターマシンを用いて、11℃の温度下でチャーニングしてバター粒を形成させ、続いて形成したバター粒をワーキングして本技術のバター様製品を製造した。
Figure 2016119884
[試験例1]
本試験は、実施例1で製造したクリーム様製品の風味を評価するために行った。
(1)試料の調製
実施例1で製造したクリーム様製品を試験試料1とした。
また、生乳をクリームセパレータにて分離して乳脂肪分48質量%のクリームを調製し、調製したクリームを、脱脂乳を使用して、脂肪分量を41質量%に調整した。次いで、脂肪調整液に対して均質化処理、殺菌処理、エージング処理を実施例1に記載の方法と同様の条件で実施してクリーム様製品を製造し、このクリーム様製品を比較試料1とした。
(2)風味評価試験
前記で調製した試験試料1及び比較試料1のクリーム様製品について、「チーズ由来の風味」、及び「コクの強さ」に関する風味評価を、15名の訓練されたパネラーによる官能試験によって実施した。
官能試験では、下記に示す5段階で評価して評点を付け、15名の平均点を各クリーム様製品の評価点とした。次に、この評価点と下記判定基準に基づき、クリーム様製品の評価を決定した。
A)チーズ由来の風味
(評点):(評価)
5点:チーズの風味が強く感じられる。
4点:チーズの風味がやや強く感じられる。
3点:チーズの風味が感じられる。
2点:チーズの風味がやや感じられる。
1点:チーズの風味がほとんど感じられない。
B)コクの強さ
(評点):(評価)
5点:乳風味のコクが強く感じられる。
4点:乳風味のコクがやや強く感じられる。
3点:乳風味のコクが感じられる。
2点:乳風味のコクがやや感じられる。
1点:乳風味のコクがほとんど感じられない。
(3)物性評価試験
前記で調製した試験試料1及び比較試料1のクリーム様製品について、以下の方法及び評価にて「流動性試験」、「ホイップ特性試験」、及び「ホイップドクリーム作業性試験」をそれぞれ行った。
C)流動性試験
流動性試験は、東機産業製B型粘度計を使用して、粘度が1〜300mPa・sを「○(最良)」、300〜500mPa・sを「△(良)」、500mPa・s以上を「×(不良)」として評価した。
D)ホイップ特性試験
ホイップ特性試験は、試料をホイップした後の比重が0.35〜0.55であり、かつホイップ時間が1〜4分であるいずれの条件も満たした場合に「○(最良)」、試料をホイップした後の比重が0.35〜0.55、又はホイップ時間が1〜4分であるいずれか一方の条件のみを満たした場合に「△(良)」、試料をホイップした後の比重が0.35〜0.55、かつホイップ時間が1〜4分のいずれの条件も満たさない場合に「×(不良)」として評価した。
E)ホイップドクリームの作業性試験
製菓製造の専門家2名により製菓作成時の作業性について評価した。試料が41%フレッシュクリームと同等に扱える物性(伸び、滑らかさ、保形性)の場合に「○(最良)」、試料が41%フレッシュクリームよりも扱い辛い場合に「△(良)」、試料が41%フレッシュクリームよりも非常に扱いづらい場合に「×(不良)」として評価した。
(4)試験結果
本試験の結果を表4に示す。結果から明らかなとおり、原料にクリームチーズを使用して製造したクリーム様製品(試験試料1)は、通常のクリームを原料に使用して製造したクリーム様製品(比較試料1)に比して、チーズ由来の風味が強く、またコクも濃厚なクリーム様製品であることが判明し、新規な風味を有することが明らかとなった。なお、物性評価試験の結果については、試験試料1及び比較試料1に効果の差は無かった。
Figure 2016119884
[試験例2]
本試験は、実施例2で製造したバター様製品の風味を評価するために行った。
(1)試料の調製
実施例2で製造したバター様製品を試験試料2とした。
また、試験例1で使用した比較試料1であるクリーム様製品を使用して、実施例2に記載の方法と同様の条件で実施してバター様製品を製造し、このバター様製品を比較試料2とした。
(2)風味評価試験
前記で調製した試験試料2及び比較試料2のバター様製品について、「チーズ由来の風味」、「コクの強さ」、及び「パイの風味評価」に関する風味評価を、15名の訓練されたパネラーによる官能試験によって実施した。
官能試験では、下記に示す5段階で評価して評点を付け、15名の平均点を各バター様製品の評価点とした。次に、この評価点と下記判定基準に基づき、バター様製品の評価を決定した。
F)チーズ由来の風味
(評点):(評価)
5点:チーズの風味が強く感じられる。
4点:チーズの風味がやや強く感じられる。
3点:チーズの風味が感じられる。
2点:チーズの風味がやや感じられる。
1点:チーズの風味がほとんど感じられない。
G)コクの強さ
(評点):(評価)
5点:乳風味のコクが強く感じられる。
4点:乳風味のコクがやや強く感じられる。
3点:乳風味のコクが感じられる。
2点:乳風味のコクがやや感じられる。
1点:乳風味のコクがほとんど感じられない。
H)パイの風味評価
(評点):(評価)
5点:ふっくらときれいに層状の組織が形成され、とても美味しい
4点:ややふっくらと層状の組織が形成され、美味しい。
3点:層状の組織が形成されている。通常の風味。
2点:層状の組織がややつぶれ気味である。やや美味しくない。
1点:層状になっていない。美味しくない。
(3)物性評価試験
前記で調製した試験試料2及び比較試料2のバター様製品について、以下の方法及び評価にて「製菓(パイ)作成時の作業性試験」、「凍結耐性試験」をそれぞれ行った。
I)製菓(パイ)作成時の作業性試験
製菓製造の専門家2名によりパイ作成時の作業性について評価した。試料がバターと同等に扱える物性(硬さ、割れやすさ、伸び、滑らかさ)を有する場合に「○(最良)」、バターよりも若干扱いづらい場合に「△(良)」、バターよりも非常に扱いづらい場合に「×(不良)」として評価した。
J)凍結耐性試験
試料における凍結解凍後の組織が、凍結前と同等であり、変化がない場合に「○(最良)、若干の変化(ぼそぼそする、均一性がなくなる)が認められる場合に「△(良)」、変化が大きい場合に「×(不良)」として評価した。
(4)試験結果
本試験の結果を表5に示す。結果から明らかなとおり、原料にクリームチーズを使用して製造したクリーム様製品をバター原料に使用し、このバター原料により製造したバター様製品(試験試料2)は、通常のクリームを原料に使用して製造したバター(比較試料2)に比して、チーズ由来の風味が強く、またコクもわずかに有することが判明し、新規な風味を有することが明らかとなった。なお、パイの風味評価や物性評価試験の結果については、試験試料2及び比較試料2に効果の差は無かった。
Figure 2016119884

Claims (9)

  1. 乳脂肪と無脂乳固形分とを含み、無脂乳固形分が6質量%以上であり、[水分量]/[全質量−脂肪分量]の百分率が85質量%以下であり、かつ[脂肪分量]/[全質量−水分量]の百分率が60質量%以上である乳化組成物を含有する原料を用いてクリーム原料液を調製する工程、当該原料液の脂肪含量を調整して脂肪調整液を調製する工程、当該脂肪調整液を均質化する工程、及び均質化した脂肪調整液をエージングしてクリーム様製品を製造する工程、を含むクリーム様製品の製造方法。
  2. 前記乳化組成物が水中油型乳化物である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記水中油型乳化物が、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、及びチーズフードからなる群から選択される1又は複数のチーズ類である請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記脂肪調整液を調製する工程が、前記クリーム原料液の脂肪分量を7〜45質量%に調整して脂肪調整液を調製する工程である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記脂肪調整液を均質化する工程が、脂肪調整液を60〜90℃に保持して0.5〜25MPaの圧力で均質化する工程である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法により製造されるクリーム様製品。
  7. 前記クリーム様製品の蛋白質含量が1.5質量%以上である、請求項6に記載のクリーム様製品。
  8. 請求項6又は7に記載のクリーム様製品を用いてバター原料を調製する工程、当該バター原料をチャーニングしてバター粒を形成する工程、及び形成したバター粒をワーキングしてバター様製品を製造する工程、を含むバター様製品の製造方法。
  9. 請求項8に記載の製造方法により製造されるバター様製品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017159845A1 (ja) * 2016-03-18 2017-09-21 雪印メグミルク株式会社 水中油滴型乳化物
JP2021052667A (ja) * 2019-09-30 2021-04-08 雪印メグミルク株式会社 食品、食品の製造方法およびその評価方法

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