JP6591284B2 - 金属の表面処理液、表面処理方法およびその利用 - Google Patents
金属の表面処理液、表面処理方法およびその利用 Download PDFInfo
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Description
ところで、このような多層プリント配線板においては、内層用の回路板に形成された銅回路と、外層用回路板または銅箔を積層させるプリプレグの絶縁接着樹脂との間の接着性の確保が重要な課題となっている。
特許文献1には、銅箔とプリプレグの接着性と、銅箔とプリプレグを接着して得られる銅張積層板の半田耐熱性を向上させる銅箔表面処理剤に関する発明が記載されている。
この文献には、該表面処理剤の成分として、イミダゾール環を有するトリアルコキシシラン化合物とテトラアルコキシシラン化合物を併用する点が開示されている。
この文献には、絶縁材との密着性に優れているという理由から、表面調整組成物の成分として、アルコキシル基を有するシランカップリング剤、例えばシラノール、トリシラノール等も好ましい点、そして、その中でも、銅とエポキシ樹脂等の絶縁材との密着性を向上させるという理由から、メルカプト基を有するシランカップリング剤が好ましい点が開示されている。
また、当該表面調整組成物を含む溶液が、該組成物を、水と有機溶媒との混合溶媒に溶解させることにより調製し得る点が開示され、銅の表面に前記溶液を接触させた後は、水洗してから乾燥させても、水洗せずに乾燥させてもよい点、そして、水洗してから乾燥させた場合は、均一な厚さの膜が得られ、一方、水洗せずに乾燥した場合には、絶縁材との高い密着性が得られる点が開示されている。
この文献には、有機ケイ素化合物を水と混合して十分にシラノール基を形成させた後、さらにアルコールを混合すれば、高いシラノール化率を実現でき、かつ、均一な塗工も可能となり、優れた密着性が実現する点、そして、シラノール化率として60〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましい点が開示されている。
そして、前記の有機ケイ素化合物として、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランや、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが開示されている。
なお、有機高分子化合物や無機材料から構成される基材と、液晶性化合物との密着性を優れたものとする点が発明の課題とされており、銅を基材とする場合の密着性については言及されていない。
この文献には、ガラスや金属とゴムの接着用プライマーに使用されるシランカップリング剤の成分として、トリアゾールやチアジアゾール等の含窒素複素環と、トリメトキシシリル基やトリエトキシシリル基等のシリル基が、チオエーテル(スルフィド)結合等を有する有機基を介して結合された構造の物質が種々開示されている。
即ち、第1の発明は、化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物と、アルカリ剤を含有することを特徴とする金属の表面処理液である。
第3の発明は、金属が、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、スズ、鉄、銀、金およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つである第1の発明または第2の発明の金属の表面処理液である。
第4の発明は、金属が銅または銅合金である第1の発明または第2の発明の金属の表面処理液である。
第5の発明は、第1の発明または第2の発明の表面処理液と、金属を接触させる金属の表面処理方法である。
第6の発明は、金属が、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、スズ、鉄、銀、金およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つである第5の発明の金属の表面処理方法である。
第7の発明は、金属が、銅または銅合金である第5の発明の金属の表面処理方法である。
第8の発明は、表面処理液を金属の表面に接触させる前に、当該金属の表面に、酸洗処理、アルカリ洗処理、粗化処理、耐熱処理、防錆処理または化成処理からなる群から選択される少なくとも1つの前処理を行う第5の発明〜第7の発明のいずれか一つの金属の表面処理方法である。
第9の発明は、表面処理液を金属の表面に接触させる前に、銅イオンを含む水溶液を当該金属の表面に接触させる第5の発明〜第8の発明のいずれか一つの金属の表面処理方法である。
第10の発明は、表面処理液を金属の表面に接触させた後に、酸性水溶液またはアルカリ性水溶液を当該金属の表面に接触させる第5の発明〜第9の発明のいずれか一つの金属の表面処理方法である。
第11の発明は、金属と樹脂材料の接着方法であって、第1の発明または第2の発明の表面処理液を金属の表面に接触させて、金属の表面に化成皮膜を形成し、該化成皮膜を介して金属と樹脂材料を接着させる金属と樹脂材料の接着方法である。
第12の発明は、第1の発明または第2の発明の表面処理液を金属の表面に接触させて、金属の表面に形成された化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物に由来する化成皮膜を介して、金属と樹脂材料が接着した電子デバイスである。
第13の発明は、第1の発明または第2の発明の表面処理液を金属の表面に接触させて、金属の表面に形成された化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物に由来する化成皮膜を介して、金属と樹脂材料が接着したプリント配線板である。
本発明の金属の表面処理液(以下、単に表面処理液または処理液ということがある)は、前記の化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物を有効成分として含有するが、このアゾールシラン化合物は、化学式(Ia)〜(Id)で示されるアゾールシラン化合物を包含する。
同様に、化学式(Ib)で示されるアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(Ib)ということがある)は、nが1である場合のアゾールシラン化合物であり、化学式(Ic)で示されるアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(Ic)ということがある)は、nが2である場合のアゾールシラン化合物であり、化学式(Id)で示されるアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(Id)ということがある)は、nが3である場合のアゾールシラン化合物である。
3−トリメトキシシリルメチルチオ−1,2,4−トリアゾール、
3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−[6−(トリエトキシシリル)ヘキシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−[12−(トリメトキシシリル)ドデシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メチル−5−[2−(トリエトキシシリル)エチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メチル−5−[4−(トリメトキシシリル)ブチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メチル−5−[10−(トリメトキシシリル)デシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−アミノ−5−(トリエトキシシリル)メチルチオ−1,2,4−トリアゾール、
3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−アミノ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−アミノ−5−[6−(トリメトキシシリル)ヘキシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−アミノ−5−[12−(トリメトキシシリル)ドデシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メルカプト−5−[2−(トリメトキシシリル)エチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メルカプト−5−[5−(トリメトキシシリル)ペンチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メルカプト−5−[8−(トリメトキシシリル)オクチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メチルチオ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メチルチオ−5−[4−(トリエトキシシリル)ブチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メチルチオ−5−[10−(トリメトキシシリル)デシルチオ]−1,2,4−トリアゾール(以上、Yが−NH−の場合)や、
2−トリメトキシシリルメチルチオ−1,3,4−チアジアゾール、
2−[6−(トリメトキシシリル)ヘキシルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−[8−(トリエトキシシリル)オクチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
5−メチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
5−メチル−2−[5−(トリメトキシシリル)ペンチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
5−メチル−2−[12−(トリエトキシシリル)ドデシルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−アミノ−5−[2−(トリエトキシシリル)エチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−アミノ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−アミノ−5−[8−(トリメトキシシリル)オクチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メルカプト−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メルカプト−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メルカプト−5−[5−(トリメトキシシリル)ペンチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メルカプト−5−[10−(トリエトキシシリル)デシルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メチルチオ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メルカプト−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メチルチオ−5−[4−(トリメトキシシリル)ブチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メチルチオ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メチルチオ−5−[8−(トリエトキシシリル)オクチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール(以上、Yが−S−の場合)等を挙げることができる。
なお、本発明の実施においては、これらから選択される2種以上を組み合わせて使用してもよい。
3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、
3−メチル−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、
3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、
3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール、
3−メルカプト−5−メチルチオ−1,2,4−トリアゾール、
2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、
2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール、
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、
2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールおよび
2−メルカプト−5−メチルチオ−1,3,4−チアジアゾール等を挙げることができる。
クロロメチルトリメトキシシラン、
クロロメチルトリエトキシシラン、
2−クロロエチルトリメトキシシラン、
2−クロロエチルトリエトキシシラン、
3−クロロプロピルトリメトキシシラン、
3−クロロプロピルトリエトキシシラン、
3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、
3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、
3−ヨードプロピルトリメトキシシラン、
3−ヨードプロピルトリエトキシシラン、
4−ブロモブチルトリメトキシシラン、
4−ブロモブチルトリエトキシシラン、
5−ブロモペンチルトリメトキシシラン、
5−ブロモペンチルトリエトキシシラン、
6−ブロモヘキシルトリメトキシシラン、
6−ブロモヘキシルトリエトキシシラン、
8−ブロモオクチルトリメトキシシラン、
8−ブロモオクチルトリエトキシシラン、
10−ブロモデシルトリメトキシシラン、
10−ブロモデシルトリエトキシシラン、
12−ブロモドデシルトリメトキシシランおよび
12−ブロモドデシルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
この濃度が0.001重量%未満である場合には、接着性の向上効果が十分ではなく、この濃度が10重量%を超える場合には、接着性の向上効果がほぼ頭打ちとなり、アゾールシラン化合物の使用量が増えるばかりで経済的ではない。
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属の水酸化物やアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の四級アンモニウムヒドロキシド化合物、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アリルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−1−プロパノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン等の水に溶解するものが好ましく、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アリルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−1−プロパノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン等のアミン化合物がより好ましい。
なお、本発明の実施においては、これらから選択される2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、可溶化剤を使用する場合の表面処理液の調製方法については、当該アゾールシラン化合物(Ia)とアルカリ剤と水を混合した後に可溶化剤を加えてもよいし、該化合物と、アルカリ剤、水および可溶化剤の混合液を混合してもよいし、該化合物とアルカリ剤と可溶化剤を混合した後に水を加えてもよい。
メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、2−ピロリドン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、炭酸ジメチル、エチレンカーボネート、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、グリセリン酸、マロン酸、コハク酸、レブリン酸、フェノール、安息香酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチル等の水と混和するものが好ましい。これらの可溶化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このスキーム(B)においては、前記のアゾールシラン化合物(Ia)〜(Ic)の有するシリル基が加水分解される態様、即ち、トリアルコキシシリル基が、漸次、ジアルコキシヒドロキシシリル基、ジヒドロキシアルコキシシリル基、トリヒドロキシシリル基に変化する様子が簡略的に示される。
例えば、銅と樹脂材料との接着を例に挙げると、本発明の実施において、表面処理液中の成分として好ましく使用されるアゾールシラン化合物(Ia)は、分子中にアゾール環とアルコキシシリル基(−Si−OR)を有しており、アゾール環は、樹脂および銅と相互作用し、化学結合を形成する。
また、アルコキシシリル基は加水分解を受けて、ヒドロキシシリル基(−Si−OH)に変換され、このヒドロキシシリル基は銅表面に点在する酸化銅と化学結合する。
従って、銅と表面処理液を接触させることにより、銅の表面にはアゾール環やヒドロキシシリル基との結合により、化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物に由来する化成皮膜が形成されて、この化成皮膜の表面に樹脂材料からなる樹脂層を形成させた場合には、銅の表面に直に樹脂層を形成させる場合に比べて、銅と樹脂材料との接着性を高めることができる。
これを避けるために、前述の可溶化剤を表面処理液中に含有させることが好ましい。
可溶化剤の含有量については、水100重量部に対して0.1〜90重量部の割合とすることが好ましく、1〜50重量部の割合とすることがより好ましい。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン化合物、
ビニルトリクロルシラン、
ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン化合物、
p−ビニルフェニルトリメトキシシラン等のビニルフェニルシラン化合物、
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン化合物、
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリロキシシラン、
メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、
メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシシラン化合物、
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物、
3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン化合物、
3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピルシラン化合物、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィドシラン化合物、
3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン化合物等を挙げることができる。
その他、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等も挙げることができる。
本発明の表面処理液で処理される金属としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、スズ、鉄、銀、金およびこれらの合金を好ましく挙げることができる。
銅合金の例としては、銅を含む合金であれば特に限定されず、例えば、Cu−Ag系、Cu−Te系、Cu−Mg系、Cu−Sn系、Cu−Si系、Cu−Mn系、Cu−Be−Co系、Cu−Ti系、Cu−Ni−Si系、Cu−Zn−Ni系、Cu−Cr系、Cu−Zr系、Cu−Fe系、Cu−Al系、Cu−Zn系、Cu−Co系等の合金を挙げることができる。
また、その他の合金では、アルミニウム合金(Al−Si合金)、ニッケル合金(Ni−Cr合金)、鉄合金(Fe−Ni合金、ステンレス)等を挙げることができる。
これらの金属の中では、銅および銅合金(以下、両者を指して、単に銅ということがある)がより好ましい。
これらの樹脂材料の中では、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂およびポリイミド樹脂が好ましい。
表面処理液と金属を接触させる時間(処理時間)については、1秒〜10分とすることが好ましく、5秒〜3分とすることがより好ましい。処理時間が1秒未満の場合には、金属の表面に形成される化成皮膜の膜厚が薄くなり、樹脂との接着力が十分に得られず、一方10分より長くしても、化成皮膜の膜厚に大差はなく、接着性の向上も期待できない。
また、表面処理液を金属の表面に接触させる際の処理液の温度については、5〜50℃とすることが好ましいが、前記の処理時間との関係において、適宜設定すればよい。
乾燥温度は、室温〜150℃とすることが好ましい。
水洗に使用する水としては、イオン交換水や蒸留水等の純水が好ましいが、水洗の方法や時間には特に制限なく、例えば、浸漬やスプレー等の手段によって適宜の時間洗浄すればよい。
この粗化処理においては、マイクロエッチング法、電気メッキ法、無電解メッキ法、酸化法(ブラックオキサイド、ブラウンオキサイド)、酸化・還元法、ブラシ研磨法、ジェットスクラブ法等の方法を採用することができる。
電気メッキ法においては、金属の表面に微細な金属粒子を析出させることにより、金属の表面に凹凸を形成させる。
この皮膜の形成は公知の電気メッキによる方法を採用して行うことができるが、電気メッキに限定されるものではなく、蒸着その他の手段であってもよい。
銅イオン源としては、水に溶解する銅塩であれば特に限定されず、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、ギ酸銅、酢酸銅等の銅塩を挙げることができる。銅塩を水に可溶化するために、アンモニアや塩酸などを添加してもよい。
酸性水溶液およびアルカリ性水溶液は、特に限定されないが、酸性水溶液としては、硫酸、硝酸、塩酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、乳酸、グリコール酸、アミノ酸等の有機酸を含む水溶液等を挙げることができる。アルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、アンモニア、エタノールアミン、モノプロパノールアミン等のアミン類を含む水溶液を挙げることができる。
本発明の表面処理液を接触させて表面に化成皮膜を形成した金属と、樹脂材料を接着する方法としては、公知の方法を採用することができる。例えば、金属の表面に本発明の表面処理液を接触させて化成皮膜を形成し、形成した化成皮膜の一部または全体に樹脂材料を塗布した後に加熱及び/又は加圧する方法や、接着剤、接着シート(フィルム)を利用して前記の化成皮膜を形成した金属と樹脂材料を貼り合わせて接着する方法、あるいはこれらを組み合わせた方法等を挙げることができる。
また、前記の水洗の方法についても特に制限はないが、洗浄水中への銅配線層の浸漬や、洗浄水による銅配線層表面へのスプレーが簡便かつ確実であり好ましい。
前記の絶縁樹脂層の形成は、公知の方法、例えば半硬化の樹脂材料を貼り付ける方法や溶剤を含む液状の樹脂材料を塗布する手段等を採用して実施することができる。次いで、上下の銅配線層を導通させる為に、ビアホールを形成する。このプロセスを繰り返すことにより、多層プリント配線板を作製することができる。なお、樹脂材料は前述のアクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等であり、半硬化または硬化したプリプレグ、ドライフィルムや、ソルダーレジスト、液状のソルダーレジストインクの態様を有する。
また、前記金属表面には、予め表面処理として浸漬メッキ液によりスズ等の接着性金属層を形成してよいとされている。
本発明の表面処理液は、前記のシランカップリング剤を含む液として使用し得るものである。なお、この公報に記載された事項は、引用により本明細書の一部を成すものとする。
・3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール(参考例1に合成例を示した)
・3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール(参考例2に合成例を示した
・3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾールの合成(参考例3に合成例を示した)
・3−アミノ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール(参考例4に合成例を示した)
・3−アミノ−5−[6−(トリメトキシシリル)ヘキシルチオ]−1,2,4−トリアゾール(参考例5に合成例を示した)
・5−メチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール(参考例6に合成例を示した)
・5−メチル−2−[5−(トリメトキシシリル)ペンチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール(参考例7に合成例を示した)
・2−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール(参考例8に合成例を示した)
・2−メルカプト−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール(参考例9に合成例を示した)
・2−メチルチオ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール(参考例10に合成例を示した)
・イミダゾールシラン化合物(参考例11に合成方法を示した)
・3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、品名「KBM−903」)
・エチレングリコールモノブチルエーテル(和光純薬工業社製、試薬)
・ソルダーレジストインク(アクリレート・エポキシ樹脂、太陽インキ製造社製、品名「PSR−4000AUS308」)
<3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾールの合成>
3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール3.0g(30mmol)および脱水メタノール50mLからなる懸濁液を10℃に冷却し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液5.8g(30mmol)を加えて均一溶液とした後、室温に戻して30分間攪拌し、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン8.7g(30mmol)および脱水メタノール10mLからなる溶液を、室温にて10分間かけて滴下し、更に27〜30℃にて3時間30分間攪拌した。
反応液を減圧濃縮し、得られた白色粘稠物12.5gをジエチルエーテル40mLで3回抽出し、抽出液をろ過後、減圧濃縮して、微黄褐色の油状物として化学式(Ia−1)で示される標題のアゾールシラン化合物7.3g(27mmol、収率92.3%)を得た。
<3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾールの合成>
3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール3.0g(30mmol)および脱水エタノール50mLからなる懸濁液を10℃に冷却し、20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液10.2g(30mmol)を加えて均一溶液とした後、室温に戻して30分間攪拌し、3−クロロプロピルトリエトキシシラン6.74g(30mmol)および脱水エタノール10mLからなる溶液を、室温にて10分間かけて滴下し、更に78℃にて6時間攪拌した。
反応液を減圧濃縮し、得られた白色粘稠物10.8gをジエチルエーテル40mLで3回抽出し、抽出液をろ過後、減圧濃縮して、微黄褐色の油状物として化学式(Ia−2)で示される標題のアゾールシラン化合物7.8g(25mmol、収率85.7%)を得た。
<3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾールの合成>
3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール7.0g(60mmol)および脱水メタノール100mLからなる懸濁液を10℃に冷却し、ナトリウムメトキシド(固体)3.2g(60mmol)を加えて均一溶液とした後、室温に戻して30分間攪拌し、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン17.4g(60mmol)および脱水メタノール20mLからなる溶液を、室温にて30分間かけて滴下し、更に27〜30℃にて3時間30分間攪拌した。
反応液を減圧濃縮し、得られた白色粘稠物26.4gをジエチルエーテル100mLで3回抽出し、抽出液をろ過後、減圧濃縮して、微黄褐色の油状物として化学式(Ia−3)で示される標題のアゾールシラン化合物9.2g(33mmol、収率55.1%)を得た。
<3−アミノ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾールの合成>
3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール3.48g(30mmol)および脱水エタノール50mLからなる懸濁液を10℃に冷却し、20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液10.2g(30mmol)を加えて均一溶液とした後、室温に戻して30分間攪拌し、3−クロロプロピルトリエトキシシラン6.74g(30mmol)および脱水エタノール10mLからなる溶液を、同温度にて10分間かけて滴下し、更に78℃にて6時間攪拌した。
反応液を減圧濃縮し、得られた白色粘稠物10.8gをジエチルエーテル40mLで3回抽出し、抽出液をろ過後、減圧濃縮して、微黄褐色の結晶として化学式(Ia−4)で示される標題のアゾールシラン化合物7.8g(25mmol、収率85.7%)を得た。
<3−アミノ−5−[6−(トリメトキシシリル)ヘキシルチオ]−1,2,4−トリアゾールの合成>
3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール3.5g(30mmol)および脱水メタノール50mLからなる懸濁液を10℃に冷却し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液5.8g(30mmol)を加えて均一溶液とした後、室温に戻して30分間攪拌し、6−ブロモヘキシルトリメトキシシラン9.4g(30mmol)および脱水メタノール10mLからなる溶液を、室温にて10分間かけて滴下し、更に60℃にて6時間攪拌した。
反応液を減圧濃縮し、得られた白色粘稠物14.2gをジエチルエーテル40mLで3回抽出し、抽出液をろ過後、減圧濃縮して、微黄褐色の油状物として化学式(Ia−5)で示される標題のアゾールシラン化合物5.3g(16mmol、収率52%)を得た。
<5−メチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾールの合成>
2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール7.9g(60mmol)および脱水メタノール100mLからなる懸濁液を10℃に冷却し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液11.6g(60mmol)を加えて均一溶液とした後、室温に戻して30分間攪拌し、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン17.4g(60mmol)および脱水メタノール20mLからなる溶液を、室温にて30分間かけて滴下し、更に34〜40℃にて4時間攪拌した。
反応液を減圧濃縮し、得られた白色粘稠物26.5gをジエチルエーテル80mLで3回抽出し、抽出液をろ過後、減圧濃縮して、微黄褐色の油状物として化学式(Ia−6)で示される標題のアゾールシラン化合物16.9g(60mmol、収率99.9%)を得た。
<5−メチル−2−[5−(トリメトキシシリル)ペンチルチオ]−1,3,4−チアジアゾールの合成>
2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール3.3g(25mmol)および脱水メタノール40mLからなる懸濁液を10℃に冷却し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液4.8g(25mmol)を加えて均一溶液とした後、室温に戻して30分間攪拌し、5−ブロモペンチルトリメトキシシラン6.8g(25mmol)および脱水メタノール10mLからなる溶液を室温にて10分間かけて滴下し、更に60℃にて6時間攪拌した。
反応液を減圧濃縮し、得られた白色粘稠物10.4gをジエチルエーテル40mLで3回抽出し、抽出液をろ過後、減圧濃縮して、微黄褐色の油状物として化学式(Ia−7)で示される標題のアゾールシラン化合物6.1g(19mmol、収率75.7%)を得た。
<2−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾールの合成>
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール8.0g(60mmol)および脱水メタノール90mLからなる懸濁液に、室温にてナトリウムメトキシド(固体)3.24g(60mmol)を加えて均一溶液とした後、30分間攪拌し、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン17.4g(60mmol)および脱水メタノール17mLからなる溶液を30分間かけて滴下し、更に37〜40℃にて5時間攪拌した。
反応液を減圧濃縮し、得られた白色粘稠物27.1gにジエチルエーテル100mLを加え攪拌し、不溶物をろ去した後、減圧濃縮して、微黄褐色の結晶として化学式(Ia−8)で示される標題のアゾールシラン化合物17.5g(59mmol、収率98.7%)を得た。
<2−メルカプト−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾールの合成>
2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール9.0g(60mmol)および脱水メタノール90mLからなる懸濁液に、室温にてナトリウムメトキシド(固体)3.24g(60mmol)を加えて均一溶液とした後、30分間攪拌し、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン17.4g(60mmol)および脱水メタノール17mLからなる溶液を、水冷下15〜17℃にて30分間かけて滴下し、更に42〜44℃にて4時間攪拌した。
反応液を減圧濃縮し、得られた白色粘稠物27.5gにジエチルエーテル100mLを加えて攪拌し、不溶物をろ去した後、減圧濃縮して、淡黄色の油状物として化学式(Ia−9)で示される標題のアゾールシラン化合物16.7g(53mmol、収率89.1%)を得た。
<2−メチルチオ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾールの合成>
2−メルカプト−5−メチルチオ−1,3,4−チアジアゾール11.4g(69.4mmol)および脱水メタノール120mLからなる懸濁液に、室温にてナトリウムメトキシド(固体)3.75g(69.4mmol)を加えて均一溶液とした後、30分間攪拌し、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン20.1g(69.3mmol)および脱水メタノール20mLからなる溶液を30分間かけて滴下し、更に34〜37℃にて5時間攪拌した。
反応液を減圧濃縮し、得られた白色粘稠物32.6gにジエチルエーテル130mLを加えて攪拌し、不溶物をろ去した後、減圧濃縮して淡黄色の油状物として化学式(Ia−10)で示される標題のアゾールシラン化合物22.5g(68.9mmol、収率99.3%)を得た。
<イミダゾールシラン化合物の合成>
イミダゾール3.4g(0.05mol)を95℃で融解し、アルゴン雰囲気下で撹拌しながら、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン11.8g(0.05mol)を30分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに95℃の温度で1時間反応させた。
反応生成物は透明な橙色の粘稠な液体として得られた(特開平5−186479号公報から引用)。
注:特開平5−186479号公報によると、反応生成物は、化学式(IV−1)〜(IV−3)で示されるイミダゾールシラン化合物の混合物とされている。
以下の実施例および比較例において行った金属と樹脂材料の接着性の評価試験(a)〜(d)は、以下のとおりである。
(1)金属
金属として、電解銅箔(厚み:18μm)を使用した。
(2)金属の表面処理
以下の工程i〜iiiに従って行った。
i.酸清浄/1分間(室温)、水洗
ii.酸清浄/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
iii.表面処理液に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)金属と樹脂の接着
処理した銅箔のS面に、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレスし、銅箔とプリプレグを接着して銅張積層板を作製した。
(4)接着性の評価
この銅張積層板から、「JIS C6418(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、プレッシャークッカー処理(121℃/湿度100%/100時間)した後、銅箔の引き剥がし強さを測定した。
電解銅箔のS面に、「ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレス」する代わりに、「ビルドアップ配線板用樹脂(味の素ファインテクノ社製、品名「GX−13」)をラミネート」した以外は、評価試験(a)と同様の手順で、銅箔と樹脂の接着性を評価した。
(1)金属
金属として、両面銅張積層板(基材:FR4,板厚:1.0mm,電解銅箔厚:18μm,縦120mm×横110mm)の電解銅箔を利用した。
(2)金属の表面処理
以下の工程i〜ivに従って行った。
i.酸清浄/1分間(室温)、水洗
ii.過酸化水素・硫酸によるマイクロエッチング/1分(室温)、水洗
iii.酸清浄/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
iv.表面処理液に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)金属への樹脂層の形成
処理した電解銅箔に、ソルダーレジストインクを塗布した後、乾燥(80℃/30分)、硬化(150℃/60分)を行って、13μm厚の樹脂層(塗膜)を形成させた。
(4)接着性の評価
「JIS K5400−8.5(1990)」に従って、電解銅箔に形成した塗膜を1mm×1mmの碁盤目にクロスカット(100マス)し、プレッシャークッカー処理(121℃/湿度100%/100時間)した後、テープピールテストを行い、塗膜が剥離しないマス目の数を計測した。また、塗膜の傷み具合を目視にて観察した。
なお、接着性の判定基準は、表1に示したとおりである。
(1)金属
金属として、アルミ箔(厚み:50μm)を使用した。
(2)金属の表面処理
以下の工程i〜iiに従って行った。
i.酸清浄/1分間(室温)、水洗
ii.表面処理液に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)金属と樹脂の接着
処理したアルミ箔に、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレスし、アルミ箔とプリプレグを接着して積層板を作製した。
(4)接着性の評価
この積層板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、アルミ箔の引き剥がし強さを測定した。
3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、アンモニア水を適量加えてpHを7に調整して表面処理液(以下、処理液A−1という)を調製した。
この処理液A−1について、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、アンモニア水を適量加えてpHを11に調整して表面処理液(以下、処理液A−2という)を調製した。
この処理液A−2について、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、ブチルアミンを適量加えてpHを11に調整して表面処理液(以下、処理液A−3という)を調製した。
この処理液A−3について、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、トリエタノールアミンを適量加えてpHを11に調整した表面処理液(以下、処理液A−4という)を調製した。
この処理液A−4について、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、モノイソプロパノールアミンを適量加えてpHを11に調整した表面処理液(以下、処理液A−5という)を調製した。
この処理液A−5について、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、シクロヘキシルアミンを適量加えてpHを11に調整した表面処理液(以下、処理液A−6という)を調製した。
この処理液A−6について、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、水酸化ナトリウムを5g加えて、続いてアンモニア水を適量加えてpHを11に調整した表面処理液(以下、処理液A−7という)を調製した。
この処理液A−7について、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、アンモニア水を適量加えてpHを11に調整した表面処理液(以下、処理液Bという)を調製した。
この処理液Bについて、当該アゾールシラン化合物のエトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、アンモニア水を適量加えてpHを11に調整した表面処理液(以下、処理液Cという)を調製した。
この処理液Cについて、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
3−アミノ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、アンモニア水を適量加えてpHを11に調整した表面処理液(以下、処理液Dという)を調製した。
この処理液Dについて、当該アゾールシラン化合物のエトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
3−アミノ−5−[6−(トリメトキシシリル)ヘキシルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、アンモニア水を適量加えてpHを11に調整した表面処理液(以下、処理液Eという)を調製した。
この処理液Eについて、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
5−メチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、アンモニア水を適量加えてpHを11に調整した表面処理液(以下、処理液Fという)を調製した。
この処理液Fについて、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
5−メチル−2−[5−(トリメトキシシリル)ペンチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、アンモニア水を適量加えてpHを11に調整した表面処理液(以下、処理液Gという)を調製した。
この処理液Gについて、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
2−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、アンモニア水を適量加えてpHを11に調整した表面処理液(以下、処理液Hという)を調製した。
この処理液Hについて、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
2−メルカプト−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、アンモニア水を適量加えてpHを11に調整した表面処理液(以下、処理液Iという)を調製した。
この処理液Iについて、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
2−メチルチオ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、アンモニア水を適量加えてpHを11に調整した表面処理液(以下、処理液Jという)を調製した。
この処理液Jについて、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、酢酸を適量加えてpHを4に調整して表面処理液(以下、処理液A−8という)を調製した。
この処理液A−8について、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
イミダゾールシラン化合物10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、酢酸を適量加えてpHを4に調整して表面処理液(以下、処理液K−1という)を調製した。
この処理液K−1について、当該イミダゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
イミダゾールシラン化合物10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、アンモニア水を適量加えてpHを11に調整した表面処理液(以下、処理液K−2という)を調製した。
この処理液K−2について、当該イミダゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
3−アミノプロピルトリメトキシシラン10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、酢酸を適量加えてpHを4に調整して表面処理液(以下、処理液L−1という)を調製した。
この処理液L−1について、3−アミノプロピルトリメトキシシランのメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
3−アミノプロピルトリメトキシシラン10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌した後、アンモニア水を適量加えてpHを11に調整した表面処理液(以下、処理液L−2という)を調製した。
この処理液L−2について、3−アミノプロピルトリメトキシシランのメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(d)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
シランカップリング剤を使用することなく、エチレングリコールモノブチルエーテル200gと水790gを混合し、室温にて2時間撹拌して、表面処理液(以下、処理液Mという)を調製した。
この処理液Mについて、接着性の評価試験(a)〜(d)を行ったところ、得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
Claims (13)
- pHが8〜14である請求項1に記載の金属の表面処理液。
- 金属が、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、スズ、鉄、銀、金およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1または請求項2に記載の金属の表面処理液。
- 金属が銅または銅合金である請求項1または請求項2に記載の金属の表面処理液。
- 請求項1または請求項2に記載の表面処理液と、金属を接触させる金属の表面処理方法。
- 金属が、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、スズ、鉄、銀、金およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つである請求項5に記載の金属の表面処理方法。
- 金属が、銅または銅合金である請求項5に記載の金属の表面処理方法。
- 表面処理液を金属の表面に接触させる前に、当該金属の表面に、酸洗処理、アルカリ洗処理、粗化処理、耐熱処理、防錆処理または化成処理からなる群から選択される少なくとも1つの前処理を行う請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の金属の表面処理方法。
- 表面処理液を金属の表面に接触させる前に、銅イオンを含む水溶液を当該金属の表面に接触させる請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の金属の表面処理方法。
- 表面処理液を金属の表面に接触させた後に、酸性水溶液またはアルカリ性水溶液を当該金属の表面に接触させる請求項5〜請求項9のいずれか一項に記載の金属の表面処理方法。
- 金属と樹脂材料の接着方法であって、請求項1または請求項2に記載の表面処理液を金属の表面に接触させて、金属の表面に化成皮膜を形成し、該化成皮膜を介して金属と樹脂材料を接着させる金属と樹脂材料の接着方法。
- 請求項1または請求項2に記載の表面処理液を金属の表面に接触させて、金属の表面に形成された化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物に由来する化成皮膜を介して、金属と樹脂材料が接着した電子デバイス。
- 請求項1または請求項2に記載の表面処理液を金属の表面に接触させて、金属の表面に形成された化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物に由来する化成皮膜を介して、金属と樹脂材料が接着したプリント配線板。
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