JP7092778B2 - テトラゾールシラン化合物、該化合物の合成方法およびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なテトラゾールシラン化合物、並びに該テトラゾールシラン化合物を用いた表面処理液、表面処理方法およびその利用に関するものである。
シランカップリング剤の成分として、分子中にケイ素原子を有する有機化合物が使用されている。このような物質は、分子中に親和性の異なる官能基を有しており、通常では馴染まない有機材料と無機材料を結ぶ仲介役としての機能を発揮する。そのため、複合材料の開発や生産には不可欠の薬剤である。
特許文献1には、ガラスや金属とゴムの接着用プライマーに使用されるシランカップリング剤の成分として、トリアゾールやチアジアゾール等の含窒素複素環と、トリメトキシシリル基やトリエトキシシリル基等のシリル基が、チオエーテル(スルフィド)結合等を有する有機基を介して結合された構造の物質が種々提案されている。
特許文献2には、アルミニウムおよびマグネシウム合金の腐食抑制剤に使用されるシラン化合物として、1N-トリメトキシシリルプロピル-1,2,4-トリアゾールが提案されている。
日本国特開2002-363189号公報 米国特許出願公開第2012/0021232号明細書
本発明は、新規なテトラゾールシラン化合物およびその合成方法ならびに、前記新規テトラゾールシラン化合物を成分とするシランカップリング剤を提供することを目的とする。
また、当該テトラゾールシラン化合物を用いた表面処理液、表面処理方法および異なる材料の接着方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、テトラゾール化合物とハロゲン化アルキルシラン化合物を反応させることにより、新規なテトラゾールシラン化合物を合成し得ることを認め、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の〔1〕~〔34〕の通りである。
〔1〕化学式(I)で示されるテトラゾールシラン化合物。
Figure 0007092778000001
(式(I)中、Xは水素原子、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基、アラルキル基、炭素数1~6のアルキルチオ基または置換基を有してもよいアミノ基を表す。nは1~12の整数を表す。Rはメチル基またはエチル基を表す。)
〔2〕化学式(II)で示されるテトラゾール化合物と、化学式(III)で示されるハロゲン化アルキルシラン化合物を反応させる、前記〔1〕のテトラゾールシラン化合物の合成方法。
Figure 0007092778000002
(式(II)中、Xは前記と同様である。)
Figure 0007092778000003
(式(III)中、Rおよびnは前記と同様である。Halは塩素原子、臭素原子または沃素原子を表す。)
〔3〕下記化学式(IV)で示されるテトラゾールシラン化合物を成分とするシランカップリング剤。
Figure 0007092778000004
(式(IV)中、Xは水素原子、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基、アラルキル基、炭素数1~6のアルキルチオ基または置換基を有してもよいアミノ基を表す。nは1~12の整数を表す。Rはメチル基またはエチル基を表す。mは0または1~3の整数を表す。)
〔4〕下記化学式(IV)で示されるテトラゾールシラン化合物を含有する表面処理液。
Figure 0007092778000005
(式(IV)中、Xは水素原子、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基、アラルキル基、炭素数1~6のアルキルチオ基または置換基を有してもよいアミノ基を表す。nは1~12の整数を表す。Rはメチル基またはエチル基を表す。mは0または1~3の整数を表す。)
〔5〕金属、無機材料および樹脂材料からなる群から選択される少なくとも1つの表面を処理するために用いる前記〔4〕に記載の表面処理液。
〔6〕金属、無機材料および樹脂材料からなる群から選択される2つの材料を接着するために用いる前記〔4〕に記載の表面処理液。
〔7〕前記金属が、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、錫、鉄、銀、金およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つである前記〔5〕または〔6〕に記載の表面処理液。
〔8〕前記金属が、銅または銅合金である前記〔5〕または〔6〕に記載の表面処理液。
〔9〕前記無機材料が、シリコン、セラミック、ガラスおよび無機塩からなる群から選択される少なくとも1つである前記〔5〕または〔6〕に記載の表面処理液。
〔10〕前記セラミックが、アルミナ、炭化ケイ素、窒化アルミ、窒化ケイ素およびチタン酸バリウムからなる群から選択される少なくとも1つである前記〔9〕に記載の表面処理液。
〔11〕前記樹脂材料が、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、シリコーン樹脂およびポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1つである前記〔5〕または〔6〕に記載の表面処理液。
〔12〕前記〔4〕に記載の表面処理液を金属の表面に接触させる金属の表面処理方法。
〔13〕前記金属が、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、錫、鉄、銀、金およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つである前記〔12〕に記載の金属の表面処理方法。
〔14〕前記金属が、銅または銅合金である前記〔12〕に記載の金属の表面処理方法。
〔15〕前記表面処理液を銅または銅合金の表面に接触させる前に、銅イオンを含む水溶液を前記銅または銅合金の表面に接触させる前記〔14〕に記載の金属の表面処理方法。
〔16〕前記表面処理液を銅または銅合金の表面に接触させた後に、酸性水溶液またはアルカリ性水溶液を前記銅または銅合金の表面に接触させる前記〔14〕または〔15〕に記載の金属の表面処理方法。
〔17〕前記〔4〕に記載の表面処理液を無機材料の表面に接触させる無機材料の表面処理方法。
〔18〕前記無機材料が、シリコン、セラミック、ガラスおよび無機塩からなる群から選択される少なくとも1つである前記〔17〕に記載の無機材料の表面処理方法。
〔19〕前記セラミックが、アルミナ、炭化ケイ素、窒化アルミ、窒化ケイ素およびチタン酸バリウムからなる群から選択される少なくとも1つである前記〔18〕に記載の無機材料の表面処理方法。
〔20〕前記〔4〕に記載の表面処理液を樹脂材料の表面に接触させる樹脂材料の表面処理方法。
〔21〕前記樹脂材料が、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、シリコーン樹脂およびポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1つである前記〔20〕に記載の樹脂材料の表面処理方法。
〔22〕金属と樹脂材料の接着方法であって、前記〔4〕に記載の表面処理液を、金属および樹脂材料の少なくとも一方に接触させて化成皮膜を形成し、前記金属と前記樹脂材料とを前記化成皮膜を介して互いに接着する金属と樹脂材料の接着方法。
〔23〕無機材料と樹脂材料の接着方法であって、前記〔4〕に記載の表面処理液を、無機材料および樹脂材料の少なくとも一方に接触させて化成皮膜を形成し、前記無機材料と前記樹脂材料とを前記化成皮膜を介して互いに接着する無機材料と樹脂材料の接着方法。
〔24〕金属と無機材料の接着方法であって、前記〔4〕に記載の表面処理液を、金属および無機材料の少なくとも一方に接触させて化成皮膜を形成し、前記金属と前記無機材料とを前記化成皮膜を介して互いに接着する金属と無機材料の接着方法。
〔25〕金属、無機材料および樹脂材料からなる群から選択される2つの材料を、前記〔4〕に記載の表面処理液により形成された化成皮膜を介して接着したプリント配線板。
〔26〕金属、無機材料および樹脂材料からなる群から選択される2つの材料を、前記〔4〕に記載の表面処理液により形成された化成皮膜を介して接着した半導体ウェハ。
〔27〕金属、無機材料および樹脂材料からなる群から選択される2つの材料を、前記〔4〕に記載の表面処理液により形成された化成皮膜を介して接着した電子デバイス。
〔28〕前記〔3〕に記載のシランカップリング剤と樹脂材料または無機材料とを含有する絶縁性組成物。
〔29〕前記樹脂材料が、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、シリコーン樹脂およびポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1つである前記〔28〕に記載の絶縁性組成物。
〔30〕前記無機材料が、シリコン、セラミック、ガラスおよび無機塩からなる群から選択される少なくとも1つである前記〔28〕に記載の絶縁性組成物。
〔31〕前記〔28〕~〔30〕のいずれか1つに記載の絶縁性組成物を含有する絶縁材料。
〔32〕前記〔28〕~〔30〕のいずれか1つに記載の絶縁性組成物から得られる絶縁層を有するプリント配線板。
〔33〕前記〔28〕~〔30〕のいずれか1つに記載の絶縁性組成物から得られる絶縁層を有する半導体ウェハ。
〔34〕前記〔28〕~〔30〕のいずれか1つに記載の絶縁性組成物から得られる絶縁層を有する電子デバイス。
本発明のテトラゾールシラン化合物は、分子中にアルコキシシリルアルキル基と共に1,2,3,4-テトラゾール環を有する物質であり、これを成分とすることにより、テトラゾール化合物(アゾール化合物)の特徴である金属の防錆機能と、エポキシ樹脂やウレタン樹脂を硬化させる機能を併せ持つシランカップリング剤とすることが期待される。
また、本発明のテトラゾールシラン化合物を含有した表面処理液によれば、材質の異なる2つの材料、即ち、金属と無機材料、金属と樹脂材料および、無機材料と樹脂材料の接着性を高めることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
また、本明細書において、「質量」は「重量」と同義である。
(テトラゾールシラン化合物)
本発明のテトラゾールシラン化合物は、下記化学式(I)で示されるものである。
Figure 0007092778000006
(式(I)中、Xは水素原子、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基、アラルキル基、炭素数1~6のアルキルチオ基または置換基を有してもよいアミノ基を表す。nは1~12の整数を表す。Rはメチル基またはエチル基を表す。)
前記の化学式(I)で示されるテトラゾールシラン化合物(以下、テトラゾールシラン化合物(I)ということがある。)としては、例えば、
1-[(トリメトキシシリル)メチル]-1H-テトラゾール、
2-[(トリメトキシシリル)メチル]-2H-テトラゾール、
1-[2-(トリエトキシシリル)エチル]-1H-テトラゾール、
2-[2-(トリエトキシシリル)エチル]-2H-テトラゾール、
1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
1-[4-(トリエトキシシリル)ブチル]-1H-テトラゾール、
2-[4-(トリエトキシシリル)ブチル]-2H-テトラゾール、
1-[5-(トリエトキシシリル)ペンチル]-1H-テトラゾール、
2-[5-(トリエトキシシリル)ペンチル]-2H-テトラゾール、
1-[6-(トリエトキシシリル)ヘキシル]-1H-テトラゾール、
2-[6-(トリエトキシシリル)ヘキシル]-2H-テトラゾール、
1-[8-(トリエトキシシリル)オクチル]-1H-テトラゾール、
2-[8-(トリエトキシシリル)オクチル]-2H-テトラゾール、
1-[10-(トリエトキシシリル)デシル]-1H-テトラゾール、
2-[10-(トリエトキシシリル)デシル]-2H-テトラゾール、
1-[12-(トリエトキシシリル)ドデシル]-1H-テトラゾール、
2-[12-(トリエトキシシリル)ドデシル]-2H-テトラゾール、
5-メチル-1-[2-(トリエトキシシリル)エチル]-1H-テトラゾール、
5-メチル-2-[2-(トリエトキシシリル)エチル]-2H-テトラゾール、
5-メチル-1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-メチル-2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-メチル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-メチル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-メチル-1-[5-(トリメトキシシリル)ペンチル]-1H-テトラゾール、
5-メチル-2-[5-(トリメトキシシリル)ペンチル]-2H-テトラゾール、
5-メチル-1-[5-(トリエトキシシリル)ペンチル]-1H-テトラゾール、
5-メチル-2-[5-(トリエトキシシリル)ペンチル]-2H-テトラゾール、
5-メチル-1-[6-(トリエトキシシリル)ヘキシル]-1H-テトラゾール、
5-メチル-2-[6-(トリエトキシシリル)ヘキシル]-2H-テトラゾール、
5-メチル-1-[8-(トリエトキシシリル)オクチル]-1H-テトラゾール、
5-メチル-2-[8-(トリエトキシシリル)オクチル]-2H-テトラゾール、
5-エチル-1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-エチル-2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-プロピル-1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-プロピル-2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-イソプロピル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-イソプロピル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-ブチル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-ブチル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-tert-ブチル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-tert-ブチル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-ペンチル-1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-ペンチル-2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-ヘキシル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-ヘキシル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-ヘプチル-1-[6-(トリエトキシシリル)ヘキシル]-1H-テトラゾール、
5-ヘプチル-2-[6-(トリエトキシシリル)ヘキシル]-2H-テトラゾール、
5-オクチル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-オクチル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-ノニル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-ノニル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-デシル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-デシル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-ウンデシル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-ウンデシル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-ドデシル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-ドデシル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-フェニル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-フェニル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-(p-トリル)-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-(p-トリル)-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-ベンジル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-ベンジル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-フェネチル-1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-フェネチル-2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-メチルチオ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-メチルチオ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-エチルチオ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-エチルチオ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-プロピルチオ-1-[4-(トリエトキシシリル)ブチル]-1H-テトラゾール、
5-プロピルチオ-2-[4-(トリエトキシシリル)ブチル]-2H-テトラゾール、
5-イソプロピルチオ-1-[4-(トリエトキシシリル)ブチル]-1H-テトラゾール、
5-イソプロピルチオ-2-[4-(トリエトキシシリル)ブチル]-2H-テトラゾール、
5-ブチルチオ-1-[4-(トリエトキシシリル)ブチル]-1H-テトラゾール、
5-ブチルチオ-2-[4-(トリエトキシシリル)ブチル]-2H-テトラゾール、
5-ペンチルチオ-1-[4-(トリエトキシシリル)ブチル]-1H-テトラゾール、
5-ペンチルチオ-2-[4-(トリエトキシシリル)ブチル]-2H-テトラゾール、
5-ヘキシルチオ-1-[2-(トリメトキシシリル)エチル]-1H-テトラゾール、
5-ヘキシルチオ-2-[2-(トリメトキシシリル)エチル]-2H-テトラゾール、
5-アミノ-1-[(トリメトキシシリル)メチル]-1H-テトラゾール、
5-アミノ-2-[(トリメトキシシリル)メチル]-2H-テトラゾール、
5-アミノ-1-[2-(トリエトキシシリル)エチル]-1H-テトラゾール、
5-アミノ-2-[2-(トリエトキシシリル)エチル]-2H-テトラゾール、
5-アミノ-1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-アミノ-2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-アミノ-1-[4-(トリエトキシシリル)ブチル]-1H-テトラゾール、
5-アミノ-2-[4-(トリエトキシシリル)ブチル]-2H-テトラゾール、
5-アミノ-1-[5-(トリメトキシシリル)ペンチル]-1H-テトラゾール、
5-アミノ-2-[5-(トリメトキシシリル)ペンチル]-2H-テトラゾール、
5-アミノ-1-[5-(トリエトキシシリル)ペンチル]-1H-テトラゾール、
5-アミノ-2-[5-(トリエトキシシリル)ペンチル]-2H-テトラゾール、
5-アミノ-1-[6-(トリエトキシシリル)ヘキシル]-1H-テトラゾール、
5-アミノ-2-[6-(トリエトキシシリル)ヘキシル]-2H-テトラゾール、
5-アミノ-1-[8-(トリエトキシシリル)オクチル]-1H-テトラゾール、
5-アミノ-2-[8-(トリエトキシシリル)オクチル]-2H-テトラゾール、
5-アミノ-1-[10-(トリエトキシシリル)デシル]-1H-テトラゾール、
5-アミノ-2-[10-(トリエトキシシリル)デシル]-2H-テトラゾール、
5-アミノ-1-[12-(トリエトキシシリル)ドデシル]-1H-テトラゾール、
5-アミノ-2-[12-(トリエトキシシリル)ドデシル]-2H-テトラゾール、
5-メチルアミノ-1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-メチルアミノ-2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-エチルアミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-エチルアミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-フェニルアミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-フェニルアミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-アセトアミド-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、
5-アセトアミド-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、
5-グアニジノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールおよび
5-グアニジノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール等が挙げられる。
これらのテトラゾールシラン化合物(I)の中では、1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、5-メチル-1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、5-メチル-2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、5-フェニル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、5-フェニル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、5-ベンジル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、5-ベンジル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、5-メチルチオ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、5-メチルチオ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、5-アミノ-1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、5-アミノ-2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾール、5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール、5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールが好ましい。
本発明のテトラゾールシラン化合物(I)は、後述するシランカップリング剤の成分として使用する場合には、種類の異なるテトラゾールシラン化合物を組み合わせて使用してもよい。
また、下記の化学式(III)で示されるハロゲン化アルキルシラン化合物を反応させることにより、1H-テトラゾール化合物と2H-テトラゾール化合物のように異性体が混合した状態のテトラゾール化合物を得て、使用してもよい。1H-テトラゾール化合物:2H-テトラゾール化合物の混合比としては、0:100~100:0であることが好ましい。製造コストの面から、混合比(モル比)は、5:95~95:5であることが更に好ましく、また、30:70~70:30であることがより好ましい。
本発明の化学式(I)で示されるテトラゾールシラン化合物は、下記化学式(II)で示されるテトラゾール化合物(以下、テトラゾール化合物(II)ということがある。)と、下記化学式(III)で示されるハロゲン化アルキルシラン化合物(以下、ハロゲン化アルキルシラン化合物(III)ということがある。)を反応させることにより得られる。
Figure 0007092778000007
(式(II)中、Xは水素原子、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基、アラルキル基、炭素数1~6のアルキルチオ基または置換基を有してもよいアミノ基を表す。)
Figure 0007092778000008
(式(III)中、Halは塩素原子、臭素原子または沃素原子を表す。nは1~12の整数を表す。Rはメチル基またはエチル基を表す。)
具体的には、下記反応スキーム(A)に示すように、テトラゾールシラン化合物(I)は、テトラゾール化合物(II)とハロゲン化アルキルシラン化合物(III)を脱ハロゲン化水素剤の存在下、適量の反応溶媒中において適宜の反応温度および反応時間にて反応させることにより、概ね高収率で合成することができる。
なお、この反応においては、テトラゾール環の1位のN原子にアルコキシシリルアルキル基が結合した、化学式(Ia)で示される「5-X-1-(トリアルコキシシリル)アルキル-1H-テトラゾール」と、同2位のN原子にシリルアルキル基が結合した、化学式(Ib)で示される「5-X-2-(トリアルコキシシリル)アルキル-2H-テトラゾール」が、協奏的に生成する。
Figure 0007092778000009
(式(I)~(III)、(Ia)および(Ib)中、X、R、Halおよびnは、前記と同様である。)
前記の化学式(II)で示されるテトラゾール化合物としては、
1H-テトラゾール、
5-メチル-1H-テトラゾール、
5-エチル-1H-テトラゾール、
5-プロピル-1H-テトラゾール、
5-イソプロピル-1H-テトラゾール、
5-ブチル-1H-テトラゾール、
5-tert-ブチル-1H-テトラゾール、
5-ペンチル-1H-テトラゾール、
5-ヘキシル-1H-テトラゾール、
5-ヘプチル-1H-テトラゾール、
5-オクチル-1H-テトラゾール、
5-ノニル-1H-テトラゾール、
5-デシル-1H-テトラゾール、
5-ウンデシル-1H-テトラゾール、
5-ドデシル-1H-テトラゾール、
5-フェニル-1H-テトラゾール、
5-(p-トリル)-1H-テトラゾール、
5-ベンジル-1H-テトラゾール、
5-フェネチル-1H-テトラゾール、
5-メチルチオ-1H-テトラゾール、
5-エチルチオ-1H-テトラゾール、
5-プロピルチオ-1H-テトラゾール、
5-イソプロピルチオ-1H-テトラゾール、
5-ブチルチオ-1H-テトラゾール、
5-ペンチルチオ-1H-テトラゾール、
5-ヘキシルチオ-1H-テトラゾール、
5-アミノ-1H-テトラゾール、
5-メチルアミノ-1H-テトラゾール、
5-エチルアミノ-1H-テトラゾール、
5-フェニルアミノ-1H-テトラゾール、
5-アセトアミド-1H-テトラゾールおよび
5-グアニジノ-1H-テトラゾール等が挙げられる。
前記の化学式(III)で示されるハロゲン化アルキルシラン化合物としては、
1-クロロメチルトリメトキシシラン、
1-クロロメチルトリエトキシシラン、
2-クロロエチルトリメトキシシラン、
2-クロロエチルトリエトキシシラン、
3-クロロプロピルトリメトキシシラン、
3-クロロプロピルトリエトキシシラン、
3-ブロモプロピルトリメトキシシラン、
3-ブロモプロピルトリエトキシシラン、
3-ヨードプロピルトリメトキシシラン、
3-ヨードプロピルトリエトキシシラン、
4-ブロモブチルトリメトキシシラン、
4-ブロモブチルトリエトキシシラン、
5-ブロモペンチルトリメトキシシラン、
5-ブロモペンチルトリエトキシシラン、
6-ブロモヘキシルトリメトキシシラン、
6-ブロモヘキシルトリエトキシシラン、
8-ブロモオクチルトリメトキシシラン、
8-ブロモオクチルトリエトキシシラン、
10-ブロモデシルトリメトキシシラン、
10-ブロモデシルトリエトキシシラン、
12-ブロモドデシルトリメトキシシランおよび
12-ブロモドデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記の反応溶媒としては、原料のテトラゾール化合物(II)とハロゲン化アルキルシラン化合物(III)に対して不活性な溶剤であれば特に制限なく使用することができ、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶剤;
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;
メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤;
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;
アセトニトリル、ジメチルスルホキシドやヘキサメチルホスホロアミド等を挙げることができる。
前記の脱ハロゲン化水素剤としては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムt-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸アルカリ塩;
ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基や水素化ナトリウム等を挙げることができる。
本発明のテトラゾールシラン化合物(I)の合成反応は、前記の反応スキーム(A)に示される如く、化学量論的に進行するが、原料のテトラゾール化合物(II)の使用量(仕込量)に対する、ハロゲン化アルキルシラン化合物(III)の使用量(仕込量)を、反応温度や反応時間の他、使用する原料や反応溶媒の種類、反応スケール等の要因を考慮して、0.8~1.2倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。
ハロゲン化アルキルシラン化合物(III)の仕込み量が1.2倍モルよりも多いと、該化合物が重合してゲル化する惧れがあり、0.8倍モルよりも少ないと、生成物の純度が低下したり、生成物の分離操作が煩雑になる等の惧れがある。
また、脱ハロゲン化水素剤は、テトラゾール化合物(II)とハロゲン化アルキルシラン化合物(III)の反応により副生するハロゲン化水素を中和する為に使用されるので、その使用量(仕込量)は、ハロゲン化アルキルシラン化合物(III)の使用量に対して等モル以上であればよい。
前記の反応温度に特に制限はないが、反応を円滑(効率的)に進める観点から、0~150℃の範囲に設定することが好ましく、5~100℃の範囲に設定することがより好ましい。
前記の反応時間は、設定した反応温度に応じて適宜決定されるが、30分~24時間の範囲に設定することが好ましく、4~20時間の範囲に設定することがより好ましい。
(シランカップリング剤)
本発明のテトラゾールシラン化合物は、シランカップリング剤として好適である。
本発明のシランカップリング剤は、下記化学式(IV)で示されるテトラゾールシラン化合物(以下、テトラゾールシラン化合物(IV)ということがある。)を成分とする。
Figure 0007092778000010
(式(IV)中、Xは水素原子、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基、アラルキル基、炭素数1~6のアルキルチオ基または置換基を有してもよいアミノ基を表す。nは1~12の整数を表す。Rはメチル基またはエチル基を表す。mは0または1~3の整数を表す。)
本発明のテトラゾールシラン化合物(IV)を成分とするシランカップリング剤を使用するに当たっては、従来のシランカップリング剤を使用する場合と同様な手法を採用することができる。
例えば、基材の表面処理(表面改質)に使用する場合の手法として、(a)適宜量のシランカップリング剤を、有機溶剤または有機溶剤と水の混合液で希釈(溶解/分散)して調製した処理液を、基材にスプレー塗布する方法や、(b)前記の処理液に基材を浸漬する方法等を挙げることができる。
また、(c)表面処理による効果を高めるために、表面処理した基材を更に加熱する方法も挙げられる。
本発明のシランカップリング剤を、基材の表面処理に使用した場合には、基材の表面の親油性が高まって、樹脂等に対する親和性(接着性、密着性)を向上させることが期待される。
前記の有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、へプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、n-オクタン等の炭化水素系溶剤;
ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤;
メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、n-ブチルアルコール、2-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系溶剤を挙げることができる。
前記の基材としては、例えば、金属、無機材料、樹脂材料等から形成された粒状、針状、繊維状、織物状、板状、箔状、無定形等の基材を挙げることができる。
前記の金属としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、錫、鉄、銀、金およびこれらの合金等が挙げられ、これらからなる群から選択される少なくとも1つを使用することが好ましく、またこれらの金属からなる板や箔、めっき膜などを基材とすることができる。
前記合金の具体例としては、銅合金では、銅を含む合金であれば特に限定されず、例えば、Cu-Ag系、Cu-Te系、Cu-Mg系、Cu-Sn系、Cu-Si系、Cu-Mn系、Cu-Be-Co系、Cu-Ti系、Cu-Ni-Si系、Cu-Zn-Ni系、Cu-Cr系、Cu-Zr系、Cu-Fe系、Cu-Al系、Cu-Zn系、Cu-Co系等の合金が挙げられる。
また、その他の合金では、アルミニウム合金(Al-Si合金)、ニッケル合金(Ni-Cr合金)、鉄合金(Fe-Ni合金、ステンレス、鋼)等が挙げられる。
これらの金属の中では、銅および銅合金が好ましい。
前記の無機材料としては、例えば、シリコン、セラミックや、フィラーとして使用されるカーボン、無機塩およびガラス等が挙げられる。
具体的には、シリコン、炭化ケイ素、シリカ、ガラス、珪藻土、珪酸カルシウム、タルク、硝子ビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、アルミノケイ酸塩、マイカ等のケイ素化合物、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン等の酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム、石膏等の硫酸塩、チタン酸バリウム等のチタン酸塩、窒化アルミ、窒化ケイ素等の窒化物、鱗片状黒鉛(天然黒鉛)、膨張黒鉛、膨張化黒鉛(合成黒鉛)等のグラファイト類、活性炭類、炭素繊維類、カーボンブラック等が挙げられる。
これらの無機材料の中では、シリコン、セラミック(アルミナ、炭化ケイ素、窒化アルミ、窒化ケイ素およびチタン酸バリウム等)、ガラスおよび無機塩からなる群から選択されることが好ましい。
前記の樹脂材料としては、ナイロン、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶樹脂等が挙げられ、これらを混合したり、互いに変性したりして、組み合わせたものであってもよい。
これらの樹脂材料の中では、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、シリコーン樹脂およびポリイミド樹脂からなる群から選択されることが好ましい。
このような表面処理を基材に施すことにより、基材の表面の親油性が高まって、樹脂等に対する親和性(接着性、密着性)を向上させることができる。
なお、この処理による効果をより発揮させるために、表面処理した基材を更に加熱処理してもよい。
(表面処理液)
本発明の表面処理液は、前記のテトラゾールシラン化合物(IV)を含有する表面処理液であるが、このテトラゾールシラン化合物(IV)は、以下の化学式(I)と化学式(IVa)~(IVc)で示されるテトラゾールシラン化合物を包含する。
Figure 0007092778000011
(式中、X、Rおよびnは前記と同様である。)
即ち、テトラゾールシラン化合物(I)は、前記の化学式(IV)においてmが0である場合のテトラゾールシラン化合物(トリアルコキシ体)である。
同様に、化学式(IVa)で示されるテトラゾールシラン化合物(以下、テトラゾールシラン化合物(IVa)ということがある。)は、mが1である場合のテトラゾールシラン化合物であり、化学式(IVb)で示されるテトラゾールシラン化合物(以下、テトラゾールシラン化合物(IVb)ということがある。)は、mが2である場合のテトラゾールシラン化合物であり、化学式(IVc)で示されるテトラゾールシラン化合物(以下、テトラゾールシラン化合物(IVc)ということがある。)は、mが3である場合のテトラゾールシラン化合物である。
テトラゾールシラン化合物(IVa)~(IVc)は、表面処理液中に存在するテトラゾールシラン化合物(I)が、加水分解されて生成する種であり、これらは、トリアルコキシ体のテトラゾールシラン化合物(I)と共に、シランカップリング剤の成分として好適なものである。また、テトラゾールシラン化合物(IVa)~(IVc)は、例えば、表面処理液から揮発分を除去することにより表面処理液から抽出して用いることができる。
本発明の実施においては、表面処理液を調製する際の原料として、テトラゾールシラン化合物(I)を用いることが好ましい。
このテトラゾールシラン化合物(I)の例としては、前述のとおりである。
本発明の表面処理液は、前記の化学式(I)で示される本発明のテトラゾールシラン化合物(I)と有機溶剤又はテトラゾールシラン化合物(I)と可溶化剤と水を混合することにより調製される。可溶化剤としては、酸、アルカリ、有機溶剤が挙げられる。これらの可溶化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、可溶化剤と水を使用する場合の表面処理液の調製方法については、当該テトラゾールシラン化合物と水を混合した後に可溶化剤を加えてもよいし、当該テトラゾールシラン化合物に、水および可溶化剤の混合液を混合し加えてもよいし、当該テトラゾールシラン化合物と可溶化剤を混合した後に水を加えてもよい。
また、表面処理液の調製に用いられる水としては、イオン交換水や蒸留水等の純水が好ましい。
前記の酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2-エチル酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、グリセリン酸、マロン酸、コハク酸、レブリン酸、安息香酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、アミノ酸等の有機酸等が挙げられる。これらの酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
前記のアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、へプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、アリルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール、N,N-ジメチルエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン等のアミン類等が挙げられる。これらのアルカリは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
前記の有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、tert-ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、2-ピロリドン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、炭酸ジメチル、エチレンカーボネート、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
可溶化剤の含有量としては、表面処理液中0.1~50質量%であることが好ましい。可溶化剤の含有量が0.1質量%以上であると、表面処理液中でのテトラゾールシラン化合物の溶解性を高める作用が顕著である。また、50質量%を超えると経済的ではないため、50質量%を上限とすることが好ましい。可溶化剤の含有量は、表面処理液中、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、また、30質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下が更に好ましい。
<テトラゾールシラン化合物の加水分解>
本発明のテトラゾールシラン化合物(I)は、前述のとおり、水と接触すると加水分解されるが、この加水分解の態様をスキーム(B)に示す。
このスキーム(B)においては、前記のテトラゾールシラン化合物(I)、(IVa)および(IVb)の有するシリル基が加水分解される態様、即ち、トリアルコキシシリル基が、漸次、ジアルコキシヒドロキシシリル基、ジヒドロキシアルコキシシリル基、トリヒドロキシシリル基に変化する様が示される。
Figure 0007092778000012
一般に、分子中にアルコキシシリル基を有する物質は、シランカップリング剤として作用することが知られている。
例えば、銅と樹脂材料との接着を例に挙げると、本発明の実施において用いるテトラゾールシラン化合物は、分子中にテトラゾール環とアルコキシシリル基(-Si-OR)を有しており、テトラゾール環は、樹脂および銅と相互作用し、化学結合を形成する。
また、アルコキシシリル基は加水分解を受けて、ヒドロキシシリル基(-Si-OH)に変換され、このヒドロキシシリル基は銅の表面に点在する酸化銅と化学結合する。
従って、銅と表面処理液を接触させることにより、該銅の表面にはテトラゾール環やヒドロキシシリル基との結合により、テトラゾールシラン化合物(IV)に由来する化成皮膜が形成されて、この化成皮膜の表面に樹脂材料からなる樹脂層を形成させた場合には、銅の表面に直に樹脂層を形成させる場合に比べて、銅と樹脂材料との接着性を高めることができる。
本発明の実施においては、表面処理液中におけるテトラゾールシラン化合物(IV)の濃度が、トリアルコキシ体のテトラゾールシラン化合物(I)の濃度に換算して、0.001~10質量%であることが好ましく、0.01~5質量%であることがより好ましい。
この濃度が0.001質量%未満である場合には、接着性の向上効果が十分ではなく、この濃度が10質量%を超える場合には、接着性の向上効果がほぼ頭打ちとなり、テトラゾールシラン化合物の使用量が増えるばかりで経済的ではない。
ところで、表面処理液中に生成したヒドロキシシリル基を有するテトラゾールシラン化合物(IVa)~(IVc)は、徐々に、互いに反応して脱水縮合し、ヒドロキシシリル基がシロキサン結合(Si-O-Si)を形成し(スキーム(B)参照)、水に溶け難いシランオリゴマー(スキーム(B)中の化学式(e)で示される基を有するテトラゾールシラン化合物)に変換される。なお、化学式(e)で示される基のXは繰り返し単位の数を表す整数である。
表面処理液中におけるシランオリゴマーの生成量が多くなると、不溶解分が析出して(処理液が白濁し)、処理槽や処理槽に接続された配管、処理液中に浸漬されて処理液の温度や液面を検出するためのセンサー類に付着し、円滑な表面処理が阻害される惧れがある。
これを避けるために、表面処理液の調製には、水に難溶性であるシランオリゴマーの可溶化剤として、有機溶剤を表面処理液中に含有させることが好ましい。また、表面処理液の調製においては、テトラゾールシラン化合物の溶解を促進させる為に、酸やアルカリを含有させることが好ましい。なお、前記の有機溶剤は、テトラゾールシラン化合物の溶解性を高める機能も有しているから、本発明の表面処理液には、可溶化剤として、酸、アルカリ、有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有させることが好ましい。
同様に、表面処理液の安定性や化成皮膜の均一性を向上させるために、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等のハロゲンイオンや銅イオン、鉄イオン、亜鉛イオンなどの金属イオンを生成する物質を用いることもできる。
また、本発明の効果を損なわない範囲において、公知のカップリング剤を併用してもよい。公知のカップリング剤としては、チオール基(メルカプト基)、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、アミノ基、クロロプロピル基等を有するシラン系カップリング剤が挙げられる。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルを意味する。
このようなシラン系カップリング剤の例としては、例えば、
3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン化合物、
ビニルトリクロルシラン、
ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン化合物、
p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリルシラン化合物、
2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、
3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン化合物、
3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリロキシシラン化合物、
メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、
メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシシラン化合物、
N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、
N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、
3-アミノプロピルトリメトキシシラン、
3-アミノプロピルトリエトキシシラン、
3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、
N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、
N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物、
3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン化合物、
3-クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピルシラン化合物、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィドシラン化合物、および
3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等のイソシアナトシラン化合物
等を挙げることができる。
その他、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等も挙げることができる。
(処理方法)
本発明の表面処理液を基材の表面に接触させる方法としては、特に制限はなく、前述のシランカップリング剤の場合と同様に、スプレー、浸漬や塗布等の手段を採用することができる。
表面処理液と基材を接触させる時間(処理時間)については、1秒~10分とすることが好ましく、5秒~3分とすることがより好ましい。処理時間が1秒未満の場合には基材表面に形成される化成皮膜の膜厚が薄くなり、材質の異なる材料間の接着力が十分に得られず、一方10分より長くしても、化成皮膜の膜厚に大差はなく、接着性の向上も期待できない。
また、表面処理液を基材表面に接触させる際の処理液の温度については、5~50℃とすることが好ましいが、前記の処理時間との関係において、適宜設定すればよい。
本発明の表面処理液と基材を接触させた後は、水洗してから乾燥してもよいし、水洗せずに乾燥させてもよい。
乾燥は、室温~150℃の温度とすることが好ましい。
なお、水洗に用いる水としては、イオン交換水や蒸留水等の純水が好ましいが、水洗の方法や時間には特に制限なく、スプレーや浸漬等の手段による適宜の時間で構わない。
本発明において、乾燥後の化成皮膜に対し、プラズマ、レーザー、イオンビーム、オゾン、加熱、加湿等の処理を行い、化成皮膜の表面を改質させてもよい。あるいは、プラズマ、レーザー、イオンビーム、パーミス・ブラシなどの機械研磨やドリル等加工方法を用いて、金属表面の樹脂・イオン残渣除去を目的とした洗浄を行ってもよい。
本発明の表面処理液を銅または銅合金(以下、両者を指して、単に銅ということがある。)の表面に接触させる前に、当該銅の表面に、酸洗処理、アルカリ処理、粗化処理、耐熱処理、防錆処理または化成処理から選択される少なくとも1つの前処理を行ってもよい。
前記の酸洗処理とは、銅の表面に付着した油脂成分を除去する為と、銅の表面の酸化皮膜を除去する為に行うものである。この酸洗処理には、塩酸系溶液、硫酸系溶液、硝酸系溶液、硫酸-過酸化水素系溶液、有機酸系溶液、無機酸-有機溶媒系溶液、有機酸-有機溶媒系溶液等の溶液を用いることができる。
前記のアルカリ処理とは、銅の表面に付着した油脂成分を除去する為や、前工程の残渣(例えば、銅回路形成用ドライフィルムレジストなど)を除去する為に行うものである。このアルカリ処理には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物や、アンモニア、エタノールアミン、モノプロパノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン類、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム等を含む水溶液や有機溶媒系溶液等の溶液を用いることができる。
前記の粗化処理とは、アンカー効果による銅と樹脂の接着性を高める為に行うものであり、銅の表面に凹凸形状が付与され、銅と樹脂材料との密着性を高めることができる。この粗化処理においては、マイクロエッチング法、電気めっき法、無電解めっき法、酸化法(ブラックオキサイド、ブラウンオキサイド)、酸化・還元法、ブラシ研磨法、ジェットスクラブ法等の方法を採用することができる。
マイクロエッチング法においては、例えば、有機酸-第二銅イオン系、硫酸-過酸化水素系、過硫酸塩系、塩化銅系や塩化鉄系の各エッチング剤を使用することができる。電気めっき法においては、銅の表面に微細な銅粒子を析出させることにより、銅の表面に凹凸を形成させる。
前記の耐熱処理においては、銅の表面に、ニッケル、ニッケル-リン、亜鉛、亜鉛-ニッケル、銅-亜鉛、銅-ニッケル、銅-ニッケル-コバルトまたはニッケル-コバルトから選択される少なくとも1種の皮膜が形成される。この皮膜の形成は公知の電気めっきによる方法を採用して行うことができるが、電気めっきに限定されるものではなく、蒸着その他の手段を使用しても何ら差し支えない。
前記の防錆処理とは、銅の表面が酸化腐食することを防止する為に行うものであり、銅の表面に、亜鉛または亜鉛合金組成のめっき皮膜や、電解クロメートのめっき皮膜を形成させる方法を採用することができる。また、ベンゾトリアゾール系防錆剤など有機化合物系の防錆剤を含む処理液を前記銅の表面に接触させてもよい。
前記の化成処理においては、錫の不動態皮膜を形成する方法や、酸化銅の不動態皮膜を形成する方法を採用することができる。
本発明の表面処理液を銅の表面に接触させる前に、銅イオンを含む水溶液を前記銅の表面に接触させてもよい。この銅イオンを含む水溶液は、銅の表面に形成される化成皮膜の厚みを均一にさせる機能を有する。
銅イオンを含む水溶液の銅イオン源としては、水に溶解する銅塩であれば特に限定されず、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、ギ酸銅、酢酸銅などの銅塩が挙げられる。銅塩を水に可溶化するために、アンモニアや塩酸などを添加してもよい。
本発明の表面処理液を銅の表面に接触させた後に、酸性水溶液またはアルカリ性水溶液を前記銅の表面に接触させてもよい。この酸性水溶液またはアルカリ性水溶液も、前記の銅イオンを含む水溶液と同様に、銅の表面に形成される化成皮膜の厚みを均一にさせる機能を有する。
酸性水溶液およびアルカリ性水溶液は、特に限定されないが、酸性水溶液としては、硫酸、硝酸、塩酸等の鉱酸を含む水溶液や、ギ酸、酢酸、乳酸、グリコール酸、アミノ酸などの有機酸を含む水溶液等が挙げられる。アルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物や、アンモニア、エタノールアミン、モノプロパノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン類、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム等を含む水溶液が挙げられる。
本発明の表面処理液を銅の表面に接触させる前に、公知のカップリング剤を含む水溶液を前記銅の表面に接触させてもよい。
本発明の表面処理液を銅の表面に接触させた後に、公知のカップリング剤を含む水溶液を前記銅の表面に接触させてもよい。
本発明の表面処理液を銅の表面に接触させた後に、例えばベンゾトリアゾール系の防錆剤などの公知の有機化合物系防錆剤を含む処理液を接触させてもよい。
本発明の表面処理液は、前記の金属、無機材料および樹脂材料からなる群から選択される少なくとも1つの基材の表面を処理するために用いることができる。本発明の表面処理液を用いて基材の表面を処理することで、基材表面に化成皮膜を形成し、他の材料との接着性を高めることができる。
本発明において、前記の金属、無機材料、樹脂材料等からなる群から選択される2つの材料を本発明の表面処理液を用いて接着させることができる。本発明の表面処理液により形成される化成皮膜の層を介して2つの材料を接着することで、互いの親和性を向上させることができるため、材質の異なる材料同士であってもより強固に接着することができる。
(接着方法)
前記の金属、無機材料、樹脂材料から選択される2つの材料を本発明の表面処理液を用いて接着させることができる。本発明の表面処理液により形成される皮膜を介して2つの材料を接着することで、互いの親和性を向上させることができるため、材質の異なる材料同士であってもより強固に接着することができる。前記皮膜の厚みは、0.0001~1μmであることが好ましく、0.001~0.5μmであることがより好ましい。
接着方法としては、公知の方法により行うことができる。金属、無機材料または樹脂材料からなる基材の表面に本発明の表面処理液を接触させて化成皮膜を形成し、形成した化成皮膜の一部または全体に他の基材を塗布、圧着、混合等の手段や、接着剤、接着シート(フィルム)の利用あるいはこれらの手段を組み合わせて接着する方法が挙げられる。
また、金属、無機材料、樹脂材料から選択される2つの基材の表面に、本発明の表面処理液を接触させて、2つの基材の表面にそれぞれ化成皮膜を形成し、2つの基材を塗布、圧着、混合等の手段や、接着剤、接着シート(フィルム)の利用あるいはこれらの手段を組み合わせて接着する方法が挙げられる。
本発明の表面処理液を用いることにより、前記のように2つの材料、特に材質の異なる2つの材料を接着させることができるので、各種電気・電子部品や半導体ウェハ、プリント配線板等の電子デバイスに好適に利用することができる。
なお、本発明において、金属、特に銅または銅合金から形成される基材に対して、本発明の表面処理液は好適に用いることができる。例えば、銅回路(銅配線層)と、半硬化または硬化したプリプレグやソルダーレジスト、半硬化または硬化したドライフィルムレジスト(絶縁樹脂層)との間の接着性(密着性)を高めることを目的とする銅または銅合金の表面処理に好適であり、銅配線層に接して絶縁樹脂層を有するプリント配線板において、銅配線層と絶縁樹脂層との間の接着性を高めることができる。
半導体ウェハにおける利用例では、半導体ウェハ上に形成された半導体回路と保護膜、例えば感光性ポジ型、感光性ネガ型、非感光性のバッファーコートやバンプ保護膜などの絶縁性保護膜との間の接着性(密着性)を高めることを目的とする半導体回路の表面処理に好適である。
また、半導体ウェハ上に再配線層を形成するパッケージ基板(WL-CSP)において、銅回路再配線層と絶縁材料との接着性(密着性)を高めることを目的とする銅回路再配線層の表面処理に好適である。
さらに、ICやAP、NANDやDRAM、MCP、SiP、MEMSなどの半導体ウェハ上やプリント配線板上に形成された金属回路と封止材料、例えばエポキシモールディングコンパウンド(EMC)などのトランスファーモールド封止材、コンプレッションモールド封止材や、モールドアンダーフィル(MUF)や、キャピラリーアンダーフィル(CUF)、非導電性接着剤(NCP)、非導電性フィルム(NCF)などのプリント基板やパッケージ基板にフリップチップ実装する際にはんだボールなどのバンプとの隙間を充填する液状硬化性樹脂アンダーフィル材料、ダイボンドペースト(DBP)、などの絶縁材料との間の接着性(密着性)を高めることを目的とする半導体回路の表面処理に好適である。
また、導電性ペーストや、ダイアタッチ材、半導体チップマウンティング材、非導電性接着剤、液晶シール剤、ディスプレイ材料、リフレクター、塗料、接着剤、ワニス、エラストマー、インク、ワックス、シール剤等にも好適である。
前記の保護膜や絶縁材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂やポリベンゾオキサゾール樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
前記のプリント配線板は、本発明の表面処理液と銅配線の表面を接触させて、その後水洗・乾燥した後、銅配線表面に絶縁樹脂層を形成させることにより作製することができる。この接触の方法については、前述のとおりであり、表面処理液中への銅配線の浸漬または該処理液による銅配線へのスプレー等が簡便かつ確実であり好ましい。
また、前記の水洗の方法についても特に制限はないが、洗浄水中への銅配線の浸漬または洗浄水による銅配線表面へのスプレーが簡便かつ確実であり好ましい。
前記の絶縁樹脂層の形成には、公知の方法、例えば半硬化の樹脂材料を貼り付ける方法や溶剤を含む液状の樹脂材料を塗布する手段等を採用することができる。次いで、上下の配線を導通させる為に、ビアホールを形成する。このプロセスを繰り返すことにより、多層プリント配線板を作製できる。
前記のプリント配線板の回路形成方法において、本発明の表面処理液を使用するセミアディティブ工法の例を以下に示す。
(a)絶縁性基板またはスルーホール貫通孔およびビア孔を有する絶縁性基板の第1面および第1面とは反対側の第2面並びにスルーホール貫通孔およびビア孔内壁に第1導電層を有する絶縁性基板を準備する工程、
(b)第1面および第2面に光架橋性樹脂層およびマスク層を形成して、第1面および第2面並びにスルーホール貫通孔およびビア孔内壁の第1導電層を光架橋性樹脂層およびマスク層で覆う工程、
(c)第1面および第2面並びにスルーホール貫通孔およびビア孔周辺の光架橋性樹脂層をパターン露光する工程、
(d)第1面および第2面並びにスルーホール貫通孔およびビア孔周辺のマスク層を除去する工程、
(e)光架橋性樹脂層除去液を使用して、第1面および第2面、並びにスルーホール貫通孔およびビア孔周辺の未硬化光架橋性樹脂層を現像除去し、第1面上の第1導電層および第2面上の第1導電層並びにスルーホール貫通孔およびビア孔周辺の第1導電層を露出する工程、
(f)第1面上および第2面上並びにスルーホール貫通孔およびビア孔内壁に露出している第1導電層上に電解めっき処理により第2導電層を形成する工程、
(g)第1面上および第2面上並びにスルーホール貫通孔およびビア孔周辺の硬化光架橋性樹脂層を除去して、第1面上および第2面上並びにスルーホール貫通孔およびビア孔内壁の第1および第2導電層を露出する工程、
(h)露出する第1導電層をフラッシュエッチングして除去する工程、
(i)第1面上および第2面上並びにスルーホール貫通孔およびビア孔内壁の第1および第2導電層に無電解めっきおよび電解めっき処理により第3導電層を形成する工程、および
(j)第1面上および第2面上並びにスルーホール貫通孔およびビア孔内壁の第1、第2および第3導電層上に絶縁樹脂層を積層する工程、
を少なくとも1つ以上含む回路基板の製造方法において、第1面上および第2面上並びにスルーホール貫通孔およびビア孔内壁の第1、第2および第3導電層、絶縁樹脂基板、エッチングレジスト層やめっきレジスト層に使用する光架橋性樹脂層、絶縁樹脂積層の内の少なくとも1つ以上の金属層もしくはレジスト層に本発明の表面処理液を接触させ、プリント配線板を製造する。
さらに、前記のプリント配線板の回路形成方法において、本発明の表面処理液を使用するサブトラクティブ工法の例を以下に示す。
(a)絶縁性基板またはスルーホール貫通孔およびビア孔を有する絶縁性基板の第1面および第1面とは反対側の第2面並びにスルーホール貫通孔およびビア孔内壁に第1導電層を有する絶縁性基板を準備する工程、
(b)第1面および第2面に光架橋性樹脂層およびマスク層を形成して、第1面および第2面並びにスルーホール貫通孔およびビア孔内壁の第1導電層を光架橋性樹脂層およびマスク層で覆う工程、
(c)第1面および第2面並びにスルーホール貫通孔およびビア孔周辺の光架橋性樹脂層をパターン露光する工程、
(d)第1面および第2面並びにスルーホール貫通孔およびビア孔周辺のマスク層を除去する工程、
(e)光架橋性樹脂層除去液を使用して、第1面および第2面、並びにスルーホール貫通孔およびビア孔周辺の未硬化光架橋性樹脂層を現像除去し、第1面上の第1導電層および第2面の第1導電層並びにスルーホール貫通孔およびビア孔周辺の第1導電層を露出する工程、
(f)第1面上および第2面上並びにスルーホール貫通孔およびビア孔内壁に露出している第1導電層をエッチングして除去する工程、
(g)第1面上および第2面上並びにスルーホール貫通孔およびビア孔周辺の硬化光架橋性樹脂層を除去して、第1面上および第2面上並びにスルーホール貫通孔およびビア孔内壁の第1および第2導電層を露出する工程、
(h)第1面上および第2面上並びにスルーホール貫通孔およびビア孔内壁の第1および第2導電層に無電解めっきおよび電解めっき処理により第3導電層を形成する工程、および
(i)第1面上および第2面上並びにスルーホール貫通孔およびビア孔内壁の第1、第2および第3導電層上に絶縁樹脂層を積層する工程、
を少なくとも1つ以上含む回路基板の製造方法において、第1面上および第2面上並びにスルーホール貫通孔およびビア孔内壁の第1、第2および第3導電層、絶縁樹脂基板、エッチングレジスト層やめっきレジスト層に使用する光架橋性樹脂層、絶縁樹脂積層の内の少なくとも1つ以上の金属層もしくはレジスト層に本発明の表面処理液を接触させ、プリント配線板を製造する。
前記の銅配線や導電層については、無電解めっき法、電解めっき法、蒸着法、スパッタ法、ダマシン法等どのような方法で作製されたものでもよく、インナービアホール、スルーホール、接続端子等を含んだものでもよい。
また、本発明に係る「銅」とは、プリント配線板、リードフレーム等の電子デバイス、装飾品、建材等に用いられる箔(電解銅箔、圧延銅箔、樹脂付銅箔、キャリア付銅箔、無電解銅箔、スパッタ銅箔、薄銅箔)、めっき膜(無電解銅めっき膜、電解銅めっき膜)、蒸着法、スパッタ法、ダマシン法等により形成された薄膜や、粒、針、繊維、線、棒、管、板等の用途・形態において用いられるものである。なお、近年の高周波の電気信号が流れる銅配線の場合には、銅の表面は平均粗さが0.1μm以下の平滑面であることが好ましい。銅の表面に、前処理として、ニッケル、亜鉛、クロム、錫等のめっきを施してもよい。
また、本発明の表面処理液で処理されるキャリア付銅箔とは、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法の何れかの方法によって回路を形成する工程を含むプリント配線板に使用される極薄電解銅箔であり、銅箔キャリアと、銅箔キャリア上に積層された剥離層と、剥離層の上に積層された極薄銅層とを備えたものである。銅の表面に、酸洗処理、アルカリ処理、粗化処理、耐熱処理、防錆処理または化成処理からなる群から選択される少なくとも1つの前処理を施してもよい。
(絶縁性組成物)
本発明のシランカップリング剤を、樹脂材料または無機材料に含有させることにより絶縁性組成物とすることができる。
また、テトラゾールシラン化合物(IV)を有機溶剤等に溶解して、樹脂材料または無機材料と混合することにより絶縁性組成物を得ることもできる。
絶縁性組成物中のテトラゾールシラン化合物(IV)の含有量は、0.001~10質量%であることが好ましく、0.01~5質量%であることがより好ましい。テトラゾールシラン化合物(IV)の含有量が絶縁性組成物中0.001質量%未満である場合には、接着性の向上効果が十分ではなく、この濃度が10質量%を超える場合には、接着性の向上効果がほぼ頭打ちとなり、テトラゾールシラン化合物(IV)の使用量が増えるばかりで経済的ではない。
前記絶縁性組成物は公知の方法により作製することができる。例えば、テトラゾールシラン化合物(IV)を有機溶剤に溶解させ、固形または液状の樹脂材料に混合することにより、絶縁性組成物を作製することができる。また、テトラゾールシラン化合物(IV)を液状の樹脂材料に直接添加して混合して、絶縁性組成物を作製してもよい。
本発明の絶縁性組成物は、高い接着強度を有する絶縁材料を与えるので、各種電気・電子部品等や、プリント配線板等の電子デバイスに好適に用いることができる。
ところで、日本国特開2009-19266号公報には、金属表面にシランカップリング剤を含む液を塗布する工程と、前記液を塗布した金属表面を、25~150℃の温度で且つ5分以内で乾燥を行う工程と、乾燥させた金属表面を水洗する工程を含むことを特徴とするシランカップリング剤皮膜の形成方法に関する発明が記載されている。
また、前記金属表面には、予め表面処理として、浸漬めっき液により錫等の接着性金属層を形成してよいとされている。
本発明の表面処理液は、前記のシランカップリング剤を含む液として用いることができるものである。なお、この特許公報に記載された事項は、引用により本明細書の一部を成すものとする。
以下、本発明を実施例(合成試験、評価試験)および比較例(評価試験)によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、合成試験に使用した原料のテトラゾール化合物およびハロゲン化アルキルシラン化合物は、以下のとおりである。
[テトラゾール化合物]
・1H-テトラゾール:東京化成工業社製
・5-メチル-1H-テトラゾール:東洋紡社製
・5-フェニル-1H-テトラゾール:同上
・5-ベンジル-1H-テトラゾール:東京化成工業社製
・5-メチルチオ-1H-テトラゾール:和光純薬工業社製
・5-アミノ-1H-テトラゾール:東京化成工業社製
[ハロゲン化アルキルシラン化合物]
・3-クロロプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業社製
・3-クロロプロピルトリエトキシシラン:東京化成工業社製
比較例1(評価試験)において使用したトリアゾールシラン化合物は、以下のとおりである。
[トリアゾールシラン化合物]
・1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2,4-トリアゾール:特許文献2(米国特許出願公開第2012/0021232号明細書)に記載された方法に準拠して合成した。
[実施例1]
<1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールおよび2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの合成>
1H-テトラゾール14.2g(0.203mol)および脱水N,N-ジメチルホルムアミド80mLからなる溶液に、室温下、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液39.2g(0.203mol)を加えて30分間攪拌した。
続いて、3-クロロプロピルトリメトキシシラン40.3g(0.203mol)を30分間かけて滴下し、88~91℃にて4時間攪拌した。
懸濁状の反応液を3℃に冷却し、不溶物を濾去した後、揮発分(溶媒他)を減圧留去して、無色液体44.2g(0.190mol、収率93.7%)を得た。
得られた液体のH-NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
1H-NMR (DMSO-d6) δ:0.57(t, 2H, J=6Hz, -CH2-Si), 1.96(m, 2H, -CH2CH2-Si), 3.47(s, 9H, SiOCH3), 4.43(t, 1.1H, J=6.8Hz, NCH2-), 4.68(t, 0.9H, J=6.8Hz, NCH2-), 8.96(s, 0.55H, テトラゾール環C-H), 9.41(s, 0.45H, テトラゾール環C-H).
これより、得られた液体は、化学式(Ia-1)で示される1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールと、化学式(Ib-1)で示される2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールを、各々55:45の割合(モル%)で含む混合物であるものと認められた。
Figure 0007092778000013
[実施例2]
<5-メチル-1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールおよび5-メチル-2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの合成>
5-メチル-1H-テトラゾール13.9g(0.165mol)および脱水N,N-ジメチルホルムアミド85mLからなる溶液に、室温下、ナトリウムメトキシド(粉末)9.4g(0.174mol)を加えて30分間攪拌した。
続いて、3-クロロプロピルトリメトキシシラン32.9g(0.166mol)を加え、89~92℃にて4時間攪拌した。
懸濁状の反応液を3℃に冷却し、不溶物を濾去した後、揮発分(溶媒他)を減圧留去して、濃縮物を得た。
この濃縮物を酢酸イソプロピル150mLで希釈(分散・溶解)して、飽和食塩水100mLで3回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、揮発分(溶媒他)を減圧留去して、無色液体35.9g(0.146mol、収率88.5%)を得た。
得られた液体のH-NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
1H-NMR (DMSO-d6) δ:0.57(m, 2H, -CH2-Si), 1.86(m, 0.7H, -CH2CH2-Si), 1.95(m, 1.3H, -CH2CH2-Si), 2.45(s, 1.9H, CH3), 2.52(s, 1.1H, CH3), 3.48(s, 9H, SiOCH3), 4.29(t, 1.3H, J=7.4Hz, NCH2-), 4.58(t, 0.7H, J=7.4Hz, NCH2-).
これより、得られた液体は、化学式(Ia-2)で示される5-メチル-1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールと、化学式(Ib-2)で示される5-メチル-2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールを、各々35:65の割合(モル%)で含む混合物であるものと認められた。
Figure 0007092778000014
[実施例3]
<5-フェニル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールおよび5-フェニル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの合成>
5-フェニル-1H-テトラゾール18.1g(0.124mol)および脱水N,N-ジメチルホルムアミド100mLからなる溶液に、室温下、水素化ナトリウム(油性、63%)4.9g(0.129mol)を3回に分けて加えて30分間攪拌した。
続いて、3-クロロプロピルトリエトキシシラン29.9g(0.124mol)を加え、88~90℃にて4時間攪拌した。
懸濁状の反応液を3℃に冷却し、不溶物を濾去した後、揮発分(溶媒他)を減圧留去して、濃縮物を得た。
この濃縮物を酢酸イソプロピル150mLで希釈(分散・溶解)して、飽和食塩水100mLで3回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、揮発分(溶媒他)を減圧留去して、淡黄褐色液体38.9g(0.111mol、収率89.7%)を得た。
得られた液体のH-NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
1H-NMR (DMSO-d6) δ:0.59(t, 2H, J=8Hz, -CH2-Si), 1.14(t, 9H, J=7Hz, CH3), 2.05(m, 2H, -CH2CH2-Si), 3.75(q, 6H, J=7Hz, Si-O-CH2-), 4.52(t, 0.2H, J=7Hz, NCH2-),4.73(t, 1.8H, J=7Hz, NCH2-), 7.56(m, 3H, Ph), 8.08(m, 2H, Ph).
これより、得られた液体は、化学式(Ia-3)で示される5-フェニル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールと、化学式(Ib-3)で示される5-フェニル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールを、各々10:90の割合(モル%)で含む混合物であるものと認められた。
Figure 0007092778000015
[実施例4]
<5-ベンジル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールおよび5-ベンジル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの合成>
5-ベンジル-1H-テトラゾール17.3g(0.108mol)および脱水N,N-ジメチルホルムアミド100mLからなる溶液に、室温下、水素化ナトリウム(油性、63%)4.2g(0.111mol)を3回に分けて加えて30分間攪拌した。
続いて、3-クロロプロピルトリエトキシシラン26.0g(0.108mol)を加え、88~90℃にて4時間攪拌した。
懸濁状の反応液を室温に冷却し、不溶物を濾去した後、揮発分(溶媒他)を減圧留去して、濃縮物を得た。
この濃縮物を酢酸イソプロピル150mLで希釈(分散・溶解)して、飽和食塩水100mLで3回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、揮発分(溶媒他)を減圧留去して、淡褐色液体35.9g(0.099mol、収率91.2%)を得た。
得られた液体のH-NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
1H-NMR (DMSO-d6) δ:0.50(t, 2H, J=8Hz,-CH2-Si), 1.13(t, 9H, J=7Hz, CH3), 1.71(m, 0.5H, -CH2CH2-Si), 1.94(m, 1.5H, -CH2CH2-Si), 3.72(q, 6H, J=7Hz, Si-O-CH2-), 4.23(s, 1.5H, -CH2Ph), 4.32(t, 0.5H, J=6.8Hz, NCH2-), 4.36(s, 0.5H, -CH2Ph), 4.61(t, 1.5H, J=6.8Hz, NCH2-), 7.28(m, 5H, Ph).
これより、得られた液体は、化学式(Ia-4)で示される5-ベンジル-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールと、化学式(Ib-4)で示される5-ベンジル-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールを、各々25:75の割合(モル%)で含む混合物であるものと認められた。
Figure 0007092778000016
[実施例5]
<5-メチルチオ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールおよび5-メチルチオ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの合成>
5-メチルチオ-1H-テトラゾール15.0g(0.129mol)および脱水N,N-ジメチルホルムアミド100mLからなる溶液に、室温下、水素化ナトリウム(油性、63%)5.0g(0.131mol)を3回に分けて加えて30分間攪拌した。
続いて、3-クロロプロピルトリエトキシシラン31.1g(0.129mol)を加え、89~92℃にて5時間攪拌した。
懸濁状の反応液を室温に冷却し、不溶物を濾去した後、揮発分(溶媒他)を減圧留去して、濃縮物を得た。
この濃縮物を酢酸イソプロピル150mLで希釈(分散・溶解)して、飽和食塩水100mLで3回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、揮発分(溶媒他)を減圧留去して、淡黄色液体37.6g(0.117mol、収率90.7%)を得た。
得られた液体のH-NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
1H-NMR (DMSO-d6) δ:0.54(t, 2H, J=8Hz, -CH2-Si), 1.14(t, 9H, J=7Hz, Si-O-CH2CH3), 1.86(m, 0.5H, -CH2CH2-Si), 1.96(m, 1.5H, -CH2CH2-Si), 2.65(s, 2.2H, SCH3), 2.76(s, 0.8H, SCH3), 3.74(q, 6H, J=7Hz, Si-O-CH2), 4.26(t, 0.5H, J=7Hz, NCH2-), 4.63(s, 1.5H, J=7Hz, NCH2-).
これより、得られた液体は、化学式(Ia-5)で示される5-メチルチオ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールと、化学式(Ib-5)で示される5-メチルチオ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールを、各々25:75の割合(モル%)で含む混合物であるものと認められた。
Figure 0007092778000017
[実施例6]
<5-アミノ-1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールおよび5-アミノ-2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの合成>
5-アミノ-1H-テトラゾール23.0g(0.270mol)および脱水N,N-ジメチルホルムアミド200mLからなる溶液に、室温下、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液51.9g(0.270mol)を加えて30分間攪拌した。
続いて、3-クロロプロピルトリメトキシシラン53.7g(0.270mol)を加え、89~92℃にて22時間攪拌した。
懸濁状の反応液を8℃に冷却し、不溶物を濾去した後、揮発分(溶媒他)を減圧留去して、濃縮物100gを得た。
この濃縮物を酢酸イソプロピル150mLで希釈(分散・溶解)して、飽和食塩水150mLで3回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、揮発分(溶媒他)を減圧留去して、液状の濃縮物58.3gを得た。
この濃縮物をヘキサン100mLで2回洗浄し、減圧下、乾燥して放冷し、白色ロウ状固体54.7g(0.221mol、収率81.9%)を得た。
得られた固体のH-NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
1H-NMR (DMSO-d6) δ:0.54(t, 2H, J=8Hz, -CH2-Si), 1.75(m, 0.8H, -CH2CH2-Si), 1.88(m, 1.2H, -CH2CH2-Si), 3.47(s, 9H, SiOCH3), 4.05(t, 0.8H, J=7Hz, NCH2-), 4.35(t, 1.2H, J=7Hz, NCH2-), 5.98(s, 1.2H, NH2), 6.66(s, 0.8H, NH2).
これより、得られた固体は、化学式(Ia-6)で示される5-アミノ-1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールと、化学式(Ib-6)で示される5-アミノ-2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールを、各々40:60の割合(モル%)で含む混合物であるものと認められた。
Figure 0007092778000018
[実施例7]
<5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールおよび5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの合成>
5-アミノ-1H-テトラゾール23.4g(0.275mol)および脱水N,N-ジメチルホルムアミド220mLからなる溶液に、室温下、20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液93.6g(0.275mol)を加えて70℃に加熱して1時間攪拌した。
続いて、70℃にて3-クロロプロピルトリエトキシシラン66.3g(0.275mol)を1時間かけて滴下し、98~100℃にて20時間攪拌した。
懸濁状の反応液を7℃に冷却し、不溶物を濾去した後、揮発分(溶媒他)を減圧留去して、濃縮物91gを得た。
この濃縮物を酢酸イソプロピル220mLで希釈(分散・溶解)して、飽和食塩水220mLで3回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、揮発分(溶媒他)を減圧留去して、液状の濃縮物73.6gを得た。
この濃縮物をヘキサン220mLで洗浄し、揮発分(溶媒他)を減圧留去して、淡褐色液体65.8g(0.227mol、収率82.7%)を得た。
得られた液体のH-NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
1H-NMR (DMSO-d6) δ:0.52(t, 2H, J=8Hz, -CH2-Si), 1.14(t, 9H, J=7Hz, Si-O-CH2CH3), 1.75(m, 0.8H, -CH2CH2-Si), 1.88(m, 1.2H, -CH2CH2-Si), 3.74(q, 6H, J=7Hz, Si-O-CH2),4.06(t, 0.8H, J=7Hz, NCH2-), 4.36(t, 1.2H, J=7Hz, NCH2-), 5.97(s, 1.2H, NH2), 6.65(s, 0.8H, NH2).
これより、得られた液体は、化学式(Ia-7)で示される5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールと、化学式(Ib-7)で示される5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールを、各々40:60の割合(モル%)で含む混合物であるものと認められた。
Figure 0007092778000019
[実施例8]
<5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールおよび5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの合成>
実施例7で得られた5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールおよび5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの混合物40gにヘキサン300mLを加え10分間加熱還流し、室温に戻し、上澄みのヘキサン層を傾斜で分取した。残った油状物を同様にヘキサン300mLでさらに3回抽出した。ヘキサン抽出後の残渣の揮発分を減圧下に除いて無色液体14.1gを得た。
得られた液体のH-NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
1H-NMR (DMSO-d6) δ:0.52(t, 2H, J=8Hz, -CH2-Si), 1.14(t, 9H, J=7Hz, Si-O-CH2CH3), 1.75(m, 1.2H, -CH2CH2-Si), 1.88(m, 0.8H, -CH2CH2-Si), 3.74(q, 6H, J=7Hz, Si-O-CH2),4.06(t, 1.2H, J=7Hz, NCH2-), 4.36(t, 0.8H, J=7Hz, NCH2-), 5.97(s, 0.8H, NH2), 6.65(s, 1.2H, NH2).
これより、得られた液体は、化学式(Ia-8)で示される5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールと、化学式(Ib-8)で示される5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールを、各々60:40の割合(モル%)で含む混合物であるものと認められた。
Figure 0007092778000020
[実施例9]
<5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールおよび5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの合成>
実施例7で得られた5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールおよび5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの混合物40gにヘキサン300mLを加え10分間加熱還流し、室温に戻し、上澄みのヘキサン層を傾斜で分取した。残った油状物を同様にヘキサンでさらに3回抽出した。ヘキサン抽出液を合わせ、約300mLまで減圧下に濃縮し、濃縮液を1時間水冷静置して、上澄みのヘキサン層を傾斜で分取し、減圧下にヘキサンを留去し無色液体8.1gを得た。
得られた液体のH-NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
1H-NMR (DMSO-d6) δ:0.52(t, 2H, J=8Hz, -CH2-Si), 1.14(t, 9H, J=7Hz, Si-O-CH2CH3), 1.75(m, 0.2H, -CH2CH2-Si), 1.88(m, 1.8H, -CH2CH2-Si), 3.74(q, 6H, J=7Hz, Si-O-CH2),4.06(t, 0.2H, J=7Hz, NCH2-), 4.36(t, 1.8H, J=7Hz, NCH2-), 5.97(s, 1.8H, NH2), 6.65(s, 0.2H, NH2).
これより、得られた液体は、化学式(Ia-9)で示される5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールと、化学式(Ib-9)で示される5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールを、各々5:95の割合(モル%)で含む混合物であるものと認められた。
Figure 0007092778000021
[実施例10]
<5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールおよび5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの合成>
実施例7で得られた5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールおよび5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの混合物40gにヘキサン500mLを加え10分間加熱還流し、室温に戻し、上澄みのヘキサン層を傾斜で分取した。残った油状物を同様にヘキサン500mLでさらに5回抽出した。ヘキサン抽出後の残渣の揮発分を減圧下に除いて白色固体7.3gを得た。
得られた固体のH-NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
1H-NMR (DMSO-d6) δ:0.52(t, 2H, J=8Hz, -CH2-Si), 1.14(t, 9H, J=7Hz, Si-O-CH2CH3), 1.75(m, 1.8H, -CH2CH2-Si), 1.88(m, 0.2H, -CH2CH2-Si), 3.74(q, 6H, J=7Hz, Si-O-CH2),4.06(t, 1.8H, J=7Hz, NCH2-), 4.36(t, 0.2H, J=7Hz, NCH2-), 5.97(s, 0.2H, NH2), 6.65(s, 1.8H, NH2).
これより、得られた固体は、化学式(Ia-10)で示される5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールと、化学式(Ib-10)で示される5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールを、各々95:5の割合(モル%)で含む混合物であるものと認められた。
Figure 0007092778000022
[実施例11]
<5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの合成>
実施例7で得られた5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールおよび5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの混合物12gにヘキサン200mLを加え10分間加熱還流し、室温に戻し、上澄みのヘキサン層を傾斜で分取し、-20℃の冷凍庫に一夜置き、析出した固体をグラスフィルターでろ取し、減圧下に揮発分を除き無色液体1.5gを得た。
得られた液体のH-NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
1H-NMR (DMSO-d6) δ:0.52(t, 2.0H, J=8Hz, -CH2-Si), 1.14(t, 9.0H, J=7Hz, Si-O-CH2CH3), 1.88(m, 2.0H, -CH2CH2-Si), 3.74(q, 6.0H, J=7Hz, Si-O-CH2) 4.36(t, 2.0H, J=7Hz, NCH2-), 5.97(s, 2.0H, NH2).
これより、得られた液体は、化学式(Ib-11)で示される5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールであると認められた。
Figure 0007092778000023
[実施例12]
<5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールの合成>
実施例7で得られた5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾール及び5-アミノ-2-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2H-テトラゾールの混合物35gにヘキサン400mLを加え10分間加熱還流し、室温に戻し、上澄みのヘキサン層を傾斜で除き、抽出残渣の油状物を室温で1日置くと結晶が析出した。結晶をグラスフィルターでろ取し、ヘキサン300mLを用いて同じ操作をもう一度繰り返した。得られた結晶を減圧下に乾燥し白色結晶3.6gを得た。
得られた固体のH-NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。
1H-NMR (DMSO-d6) δ:0.52(t, 2H, J=8Hz, -CH2-Si), 1.14(t, 9H, J=7Hz, Si-O-CH2CH3), 1.75(m, 2H, -CH2CH2-Si), 3.74(q, 6H, J=7Hz, Si-O-CH2),4.06(t, 2H, J=7Hz, NCH2-), 6.65(s, 2.0H, NH2).
これより、得られた固体は、化学式(Ia-12)で示される5-アミノ-1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1H-テトラゾールであるものと認められた。
Figure 0007092778000024
<銅の表面処理液の調製および接着性の評価>
[実施例13]
シランカップリング剤成分として、実施例1において合成したテトラゾールシラン化合物(混合物)を使用して銅の表面処理液を調製した。
即ち、この混合物のテトラゾールシラン化合物10gにエチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間攪拌し、銅の表面処理液(以下、処理液Aという。)を調製した。
この処理液Aについて、テトラゾールシラン化合物のトリメトキシシリル基が、トリヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、下記の接着性の評価試験(a)~(c)およびハローイングの評価試験(d)、(e)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
[実施例14~24]
実施例13と同様にして、実施例1において合成したテトラゾールシラン化合物(混合物)の代わりに、実施例2~12において合成したテトラゾールシラン化合物(混合物)を使用して、銅の表面処理液(以下、各々処理液B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、Lという。)を調製した。
これらの処理液中のテトラゾールシラン化合物のトリメトキシシリル基またはトリエトキシシリル基が、トリヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、下記の接着性の評価試験(a)~(c)およびハローイングの評価試験(d)、(e)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
[比較例1]
実施例13と同様にして、実施例1において合成したテトラゾールシラン化合物(混合物)の代わりに、1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2,4-トリアゾールを使用して、銅の表面処理液(以下、処理液Mという。)を調製した。
この処理液Mについて、トリアゾールシラン化合物のトリメトキシシリル基が、トリヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、下記の接着性の評価試験(a)~(c)およびハローイングの評価試験(d)、(e)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
[比較例2]
シランカップリング剤成分を使用しない以外は、前記の処理液Aと同様の組成を有する銅の表面処理液(以下、処理液Nという。)を調製し、下記の接着性の評価試験(a)~(c)およびハローイングの評価試験(d)、(e)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
<接着性の評価試験>
[接着性の評価試験(a)]
(1)試験片
試験片として、電解銅箔(厚み:18μm)を用いた。
(2)試験片の処理
以下の工程i~iiに従って試験片の処理を行った。
i. 酸清浄/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
ii. 表面処理液に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)試験片と樹脂の接着
処理した試験片のS面(光沢面)に、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR-4グレード)を積層プレスし、試験片と樹脂を接着してプリント配線板を作製した。
(4)接着性の評価
このプリント配線板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、プレッシャークッカー処理(121℃/湿度100%/100時間)した後、銅箔の引き剥がし強さ(kN/m)を測定した。
[接着性の評価試験(b)]
試験片のS面(光沢面)に、「ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR-4グレード)を積層プレス」する代わりに、「ビルドアップ配線板用樹脂(味の素ファインテクノ社製、品名「GX-T31」)をラミネート」した以外は、接着性の評価試験(a)と同様の手順で、銅と樹脂の接着性を評価した。
[接着性の評価試験(c)]
(1)試験片
プリント配線板の試験片として、電解銅メッキ(メッキ厚:20μm)を施した両面銅張積層板(基材:FR4,板厚:1.0mm,銅箔厚:18μm,縦120mm×横110mm)を用いた。
(2)試験片の処理
以下の工程i~iiに従って試験片の処理を行った。
i. 酸清浄/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
ii. 表面処理液に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)試験片への絶縁樹脂層の形成
処理した試験片に、ソルダーレジスト(太陽インキ製造社製、商品名「PSR-4000AUS308」)を塗布した後、乾燥(80℃/30分)、ポストキュア(150℃/60分)を行って、13μm厚の絶縁樹脂層(塗膜)を形成させた。
(4)接着性の評価
「JIS K5400-8.5(1990)」に従って、試験片に形成した塗膜を1mm×1mmの碁盤目にクロスカット(100マス)し、プレッシャークッカー処理(121℃/湿度100%/100時間)した後、テープピールテストを行い、塗膜が剥離しないマス目の数を計測した。また、塗膜の傷み具合を目視にて観察した。
なお、接着性の判定基準は、表1に示したとおりである。
Figure 0007092778000025
<ハローイングの評価試験(d)>
(1)試験片
試験片として、銅張積層板(銅厚み35μm、板厚1.0mm)を用いた。
(2)試験片の処理
以下の工程i~iiに従って試験片の処理を行った。
i. 酸洗浄/1分間(室温)、水洗
ii. 表面処理液に浸漬/1分間(30℃)、水洗、乾燥/1分間(100℃)
(3)プリント配線板の作製
試験片の銅表面にソルダーレジスト(太陽インキ製造社製、商品名「PSR-4000AUS308」)を塗布した後、以下の工程iii~ivを行って、銅開口部(開口径150μm、5穴)を有するソルダーレジストの硬化物と試験片(銅張積層板)が接着したプリント配線板を作製した。
iii.露光工程(420mJ/cm、オーク製作所社製HMW-680使用)、現像工程(1質量%炭酸ソーダ水溶液/90秒間(30℃))
iv. 乾燥(80℃/30分間)、ポストキュア(150℃/60分間)
(4)めっき処理
プリント配線板の銅開口部について、めっき液としてパラジウム触媒(奥野製薬工業社製、商品名「ICPニコロン アクセラ」、ニッケルめっき(奥野製薬工業社製、商品名「ICPニコロンGM」と金めっき(小島化学薬品社製、商品名「オーエルII」)を用いて、以下の工程vを行って、金めっき処理を行った。
v. ソフトエッチング/1分間(30℃)、水洗、パラジウム触媒/2分間(室温)、ニッケルめっき/35分間(75℃)、金めっき/5分間(80℃)
(5)ハローイング性の評価
得られたプリント配線板の金めっきした銅開口部(開口径150μm)について、薬液のもぐりこみによるハローイング(ソルダーレジスト剥がれ)の幅(単位:μm)を光学顕微鏡SZ-61(OLYMPUS社製)により測定した。なお測定は5穴について行い、それらの平均値を算出した。
<ハローイングの評価試験(e)>
(1)試験片
試験片として、銅張積層板(銅厚み35μm、板厚1.0mm)を用いた。
(2)試験片の処理
以下の工程i~iiに従って試験片の処理を行った。
i. 酸洗浄/1分間(室温)、水洗
ii. 表面処理液に浸漬/1分間(30℃)、水洗、乾燥/1分間(100℃)
(3)プリント配線板の作製
試験片の銅表面に「ビルドアップ配線板用樹脂(味の素ファインテクノ社製、品名「GX-T31」)をラミネートした後、熱硬化させて、ビルドアップ樹脂との硬化物と試験片(銅張積層板)が接着したプリント配線板を作製し、レーザー加工して銅開口部(開口径50μm、100穴)を形成した。
(4)めっき処理
プリント配線板の銅開口部について、奥野製薬工業社製OPCカッパーシステムを使用して化学銅めっき処理を行い、さらに、奥野製薬工業社製トップルチナシステムを使用して開口部にビア銅めっき処理を行った。
(5)ハローイング性の評価
得られたプリント配線板の銅めっきした銅開口部(開口径50μm)について、薬液のもぐりこみによるハローイング(ビルドアップ樹脂の剥がれ)の幅(単位:μm)をFIB断面加工機JIB4000(日本電子社製)と電子顕微鏡JSM7610F(日本電子社製)により測定した。なお測定は5穴について行い、それらの平均値を算出した。
Figure 0007092778000026
表2に示した試験結果によると、本発明のテトラゾールシラン化合物をシランカップリング剤成分として使用した銅の表面処理液は、銅と樹脂の接着力とハローイング耐性を高める優れた効果を発揮しているものと認められる。
特に、アミノ基またはメチル基を有するテトラゾールシラン化合物と、無置換のテトラゾールシラン化合物の場合に、銅と樹脂の接着力とハローイング耐性を高める効果が顕著であり、中でも、アミノ基を有するテトラゾールシラン化合物の場合には、前記の接着力とハローイング耐性が飛躍的に高められている。
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお、本出願は、2017年9月22日付けで出願された日本特許出願(特願2017-182673)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
本発明のテトラゾールシラン化合物は、アゾール化合物の特徴である金属の防錆機能と、エポキシ樹脂やウレタン樹脂を硬化させる機能を併せ持つシランカップリング剤とすることができるので、種類の異なる材料が組み合わされて製造されるプリント配線板の如き複合材料への利用が期待される。
また、本発明によれば、金属、無機材料および樹脂材料の接着性(密着性)を十分に確保できるので、基材の表面を粗化することなく、平滑な状態に保持することができる。従って、本発明は、多層プリント配線板の小型化、薄型化、高周波化、高密度化等の実現に大いに貢献し得るものであるから、産業上の利用可能性は多大である。

Claims (34)

  1. 化学式(I)で示されるテトラゾールシラン化合物(ただし、1-[11-(トリメトキシシリル)ウンデシル]-1H-テトラゾールは除く。)
    Figure 0007092778000027

    (式(I)中、Xは水素原子、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基、アラルキル基、炭素数1~6のアルキルチオ基または置換基を有してもよいアミノ基を表す。nは1~12の整数を表す。Rはメチル基またはエチル基を表す。)
  2. 化学式(II)で示されるテトラゾール化合物と、化学式(III)で示されるハロゲン化アルキルシラン化合物を反応させる、請求項1記載のテトラゾールシラン化合物の合成方法。
    Figure 0007092778000028

    (式(II)中、Xは前記と同様である。)
    Figure 0007092778000029

    (式(III)中、Rおよびnは前記と同様である。Halは塩素原子、臭素原子または沃素原子を表す。)
  3. 下記化学式(IV)で示されるテトラゾールシラン化合物を成分とするシランカップリング剤(ただし、前記化学式(IV)で示されるテトラゾールシラン化合物が1-[11-(トリメトキシシリル)ウンデシル]-1H-テトラゾールである場合は除く。)
    Figure 0007092778000030

    (式(IV)中、Xは水素原子、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基、アラルキル基、炭素数1~6のアルキルチオ基または置換基を有してもよいアミノ基を表す。nは1~12の整数を表す。Rはメチル基またはエチル基を表す。mは0または1~3の整数を表す。)
  4. 下記化学式(IV)で示されるテトラゾールシラン化合物を含有する表面処理液(ただし、前記化学式(IV)で示されるテトラゾールシラン化合物が1-[11-(トリメトキシシリル)ウンデシル]-1H-テトラゾールである場合は除く。)
    Figure 0007092778000031

    (式(IV)中、Xは水素原子、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基、アラルキル基、炭素数1~6のアルキルチオ基または置換基を有してもよいアミノ基を表す。nは1~12の整数を表す。Rはメチル基またはエチル基を表す。mは0または1~3の整数を表す。)
  5. 金属、無機材料および樹脂材料からなる群から選択される少なくとも1つの表面を処理するために用いる請求項4に記載の表面処理液。
  6. 金属、無機材料および樹脂材料からなる群から選択される2つの材料を接着するために用いる請求項4に記載の表面処理液。
  7. 前記金属が、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、錫、鉄、銀、金およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つである請求項5または請求項6に記載の表面処理液。
  8. 前記金属が、銅または銅合金である請求項5または請求項6に記載の表面処理液。
  9. 前記無機材料が、シリコン、セラミック、ガラスおよび無機塩からなる群から選択される少なくとも1つである請求項5または請求項6に記載の表面処理液。
  10. 前記セラミックが、アルミナ、炭化ケイ素、窒化アルミ、窒化ケイ素およびチタン酸バリウムからなる群から選択される少なくとも1つである請求項9に記載の表面処理液。
  11. 前記樹脂材料が、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、シリコーン樹脂およびポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1つである請求項5または請求項6に記載の表面処理液。
  12. 請求項4に記載の表面処理液を金属の表面に接触させる金属の表面処理方法。
  13. 前記金属が、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、錫、鉄、銀、金およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つである請求項12に記載の金属の表面処理方法。
  14. 前記金属が、銅または銅合金である請求項12に記載の金属の表面処理方法。
  15. 前記表面処理液を銅または銅合金の表面に接触させる前に、銅イオンを含む水溶液を前記銅または銅合金の表面に接触させる請求項14に記載の金属の表面処理方法。
  16. 前記表面処理液を銅または銅合金の表面に接触させた後に、酸性水溶液またはアルカリ性水溶液を前記銅または銅合金の表面に接触させる請求項14または請求項15に記載の金属の表面処理方法。
  17. 請求項4に記載の表面処理液を無機材料の表面に接触させる無機材料の表面処理方法。
  18. 前記無機材料が、シリコン、セラミック、ガラスおよび無機塩からなる群から選択される少なくとも1つである請求項17に記載の無機材料の表面処理方法。
  19. 前記セラミックが、アルミナ、炭化ケイ素、窒化アルミ、窒化ケイ素およびチタン酸バリウムからなる群から選択される少なくとも1つである請求項18に記載の無機材料の表面処理方法。
  20. 請求項4に記載の表面処理液を樹脂材料の表面に接触させる樹脂材料の表面処理方法。
  21. 前記樹脂材料が、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、シリコーン樹脂およびポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1つである請求項20に記載の樹脂材料の表面処理方法。
  22. 金属と樹脂材料の接着方法であって、
    請求項4に記載の表面処理液を、金属および樹脂材料の少なくとも一方に接触させて化成皮膜を形成し、前記金属と前記樹脂材料とを前記化成皮膜を介して互いに接着する金属と樹脂材料の接着方法。
  23. 無機材料と樹脂材料の接着方法であって、
    請求項4に記載の表面処理液を、無機材料および樹脂材料の少なくとも一方に接触させて化成皮膜を形成し、前記無機材料と前記樹脂材料とを前記化成皮膜を介して互いに接着する無機材料と樹脂材料の接着方法。
  24. 金属と無機材料の接着方法であって、
    請求項4に記載の表面処理液を、金属および無機材料の少なくとも一方に接触させて化成皮膜を形成し、前記金属と前記無機材料とを前記化成皮膜を介して互いに接着する金属と無機材料の接着方法。
  25. 金属、無機材料および樹脂材料からなる群から選択される2つの材料を、請求項4に記載の表面処理液により形成された化成皮膜を介して接着したプリント配線板。
  26. 金属、無機材料および樹脂材料からなる群から選択される2つの材料を、請求項4に記載の表面処理液により形成された化成皮膜を介して接着した半導体ウェハ。
  27. 金属、無機材料および樹脂材料からなる群から選択される2つの材料を、請求項4に記載の表面処理液により形成された化成皮膜を介して接着した電子デバイス。
  28. 請求項3に記載のシランカップリング剤と樹脂材料または無機材料とを含有する絶縁性組成物。
  29. 前記樹脂材料が、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、シリコーン樹脂およびポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1つである請求項28に記載の絶縁性組成物。
  30. 前記無機材料が、シリコン、セラミック、ガラスおよび無機塩からなる群から選択される少なくとも1つである請求項28に記載の絶縁性組成物。
  31. 請求項28~請求項30のいずれか1項に記載の絶縁性組成物を含有する絶縁材料。
  32. 請求項28~請求項30のいずれか1項に記載の絶縁性組成物から得られる絶縁層を有するプリント配線板。
  33. 請求項28~請求項30のいずれか1項に記載の絶縁性組成物から得られる絶縁層を有する半導体ウェハ。
  34. 請求項28~請求項30のいずれか1項に記載の絶縁性組成物から得られる絶縁層を有する電子デバイス。
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