JP5663739B2 - 銅の表面調整組成物および表面処理方法 - Google Patents

銅の表面調整組成物および表面処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、銅の表面調整組成物および表面処理方法に関するものである。さらに詳しくは、銅の表面をエッチング等の粗化処理することなく、銅と樹脂等の絶縁材との間の密着性を維持することができる銅の表面調整組成物および表面処理方法に関するものである。
従来、一般的な多層配線基板(ビルドアップ配線基板)は、表面部に銅からなる導電層を有する内層基板が樹脂等の絶縁材を挟んで他の内層基板と積層プレスされることにより製造されている。上記導電層間は、孔壁が銅メッキされたスルーホールと呼ばれる貫通孔により、電気的に接続されている。
ここで、上記多層配線基板の配線として上記内層基板の表面部に用いられている銅には、樹脂等の絶縁材との密着性が要求されている。それゆえ、上記内層基板の表面部に用いられている銅の表面と、樹脂等の絶縁材との密着性を向上させるために、銅の表面処理が行われるのが一般的である。
銅の表面処理方法としては、例えば、銅の表面を塩化銅、硫酸・過酸化水素等でエッチングして銅の表面を粗化させ、銅の表面に凹凸形状の酸化皮膜を付ける方法等が挙げられる。この方法によれば、凹凸形状の酸化皮膜が樹脂等の絶縁材にくい込み、アンカー効果を生じて、銅と樹脂等の絶縁材との密着性が向上する。銅と樹脂等の絶縁材との密着性を向上させるための他の方法として、粗化させた銅の表面を、スズメッキ等で処理する方法も開発されている(例えば、特許文献1,2参照)。さらに、銅の表面にスズメッキした後、シランカップリング剤で処理する方法も開発されている(例えば、特許文献3参照)。
近年の電子機器・電子部品の小型化、薄型化等に対応するために、多層配線基板を薄くすることが要求されている。さらに、近年の電子機器・電子部品の高周波化、高密度化等に対応するために、多層配線基板の配線の微細化(ファイン化)が要求されている。
上記多層配線基板の表面部に用いられている銅の表面が粗い場合には、該多層配線基板に表面電流が流れ、電気的損失や信号の遅延が生じるという問題がある。
そこで、上記のエッチング等の粗化処理を用いる方法に代わる方法として、内層基板の表面部に用いられている銅の表面に、スズメッキ等によりスズ皮膜を形成する方法が示されている(例えば、特許文献4参照)。さらに、銅と樹脂等の絶縁材との密着性を向上させるために、内層基板の表面部に用いられている銅の表面にスズメッキした後、硝酸、シランカップリング剤等で処理する方法が示されている(例えば、特許文献5〜9参照)。
特開2000−340948号公報(平成12年12月8日公開) 特開平10−256736号公報(平成10年9月25日公開) 特開平10−289838号公報(平成10年10月27日公開) 特開平4−233793号公報(平成4年8月21日公開) 特開2005−23301号公報(平成17年1月27日公開) 特開平1−109796号公報(平成1年4月26日公開) 特開2003−201585号公報(平成15年7月18日公開) 特開平7−170064号公報(平成7年7月4日公開) 特許第3135516号公報(特開平10−46359号公報、平成10年2月17日公開)
しかしながら、上記特許文献1〜3に示される銅の表面処理方法では、いずれも性能、特に銅と樹脂等の絶縁材との密着性が不十分であるため、ほとんど実用化されていない。さらに、これらの方法では、粗化処理が銅を溶解するため銅幅が目減りし、これらの方法により表面処理された銅張り材料のファイン化が困難となり、かつ電気損失が大きくなる。さらに、これらの方法では、粗化処理後の経時変化に伴い酸化膜が成長するため不動態化が不十分となり、いずれも性能が劣化する。そのため、後処理としての防錆処理が一般的に行われている。
また、上記特許文献4に示される銅の表面処理方法では、銅の表面をエッチング等の粗化処理する方法と比較して、銅と樹脂等の絶縁材との密着性が十分ではないという問題点を有している。
また、上記特許文献5〜9に示される銅の表面処理方法では、銅の表面にスズメッキした後、硝酸、シランカップリング剤等で処理するので、処理工程が増加する。さらに、これらの方法でも、銅の表面をエッチング等の粗化処理する方法と比較して、銅と樹脂等の絶縁材との十分な密着性を維持できないという問題点がある。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、銅の表面をエッチング等の粗化処理することなく銅と樹脂等の絶縁材との間の密着性を維持することができる銅の表面調整組成物および表面処理方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、銅の表面処理に用いられる表面調整組成物において、シランカップリング剤を含有し、上記シランカップリング剤の一部をシランカップリング剤縮合体として含有し、上記シランカップリング剤の縮合率を50%以上とし、上記表面調整組成物に含有されるシランカップリング剤の濃度を50ppm以上100,000ppm以下の範囲内とすることで、銅と樹脂等の絶縁材との十分な密着性を維持することができることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の銅の表面調整組成物は、上記課題を解決するために、シランカップリング剤を含有し、上記シランカップリング剤がシランカップリング剤縮合体を含有し、上記表面調整組成物全体(表面調整組成物の溶液全体)に対するシランカップリング剤の濃度が50ppm以上、100,000ppm以下の範囲内であり、上記シランカップリング剤の縮合率が50%以上であることを特徴としている。
上記の発明によれば、本発明の銅の表面調整組成物は、上記表面調整組成物全体に対するシランカップリング剤の濃度が50ppm以上100,000ppm以下の範囲内となるように調整され、かつシランカップリング剤の縮合率が50%以上となるようにシランカップリング剤縮合体を含有しているので、シランカップリング剤が高分子となるため、密着性が向上するという理由により、シランカップリング剤を単量体としてのみ含有した表面調整組成物と比較して、シラン化合物を析出させる反応を促進させることができる。これにより、本発明の銅の表面調整組成物は、銅と樹脂等の絶縁材との十分な密着性を付与することができる。
また、本発明の銅の表面調整組成物は、上記シランカップリング剤全体を構成するケイ素原子に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体を構成するケイ素原子の割合が50%以上であることが好ましい。
これにより、本発明の銅の表面調整組成物は、3量体以上のシランカップリング剤縮合体を多量に含有することになり、銅と樹脂等の絶縁材との密着性をより一層付与することができる。
また、本発明の銅の表面調整組成物は、上記シランカップリング剤縮合体がメルカプト基、エポキシ基またはアミノ基を有するものであることが好ましい。
これにより、本発明の銅の表面調整組成物は、メルカプト基が銅に吸着しやすいので、シランカップリング剤が銅の表面に析出しやすくなる。さらに、メルカプト基はエポキシ樹脂等の絶縁材と反応できるので、メルカプト基を有するシランカップリング剤が銅の表面に存在していれば、エポキシ樹脂等の絶縁材との密着性が向上する。メルカプト基以外でも、エポキシ基、アミノ基等は絶縁材と反応できるのでエポキシ樹脂等の絶縁材との密着性が向上する。また、他の官能基として、シランカップリング剤のシラノール基やアルコキシル基がスズ酸化物に吸着する。
また、本発明の銅の表面調整組成物は、上記シランカップリング剤縮合体がメタクリロキシ基またはアクリロキシ基を有するものであることが好ましい。
絶縁材が感光性樹脂の場合、露光工程で絶縁材が硬化する。上記シランカップリング剤縮合体がメタクリロキシ基またはアクリロキシ基を有すると、露光時に絶縁材のアクリルモノマーなどとより一層架橋が進み、本発明の銅の表面調整組成物は、絶縁材との密着性をより一層付与することが考えられる。
また、本発明の銅の表面調整組成物は、上記シランカップリング剤縮合体が少なくとも2種類のシランカップリング剤からなるものであることが好ましい。
これにより、本発明の銅の表面調整組成物は、2種類以上のシランカップリング剤の特性を有することになり、銅と樹脂等の絶縁材との密着性をより一層付与する等の様々な効果を奏することができる。
また、本発明の銅の表面調整組成物は、上記シランカップリング剤縮合体がアミノ基およびエポキシ基を有するものであることが好ましい。
これにより、本発明の銅の表面調整組成物は、樹脂等の絶縁材と架橋しやすいアミノ基およびエポキシ基を有するので、樹脂等の絶縁材との密着性をより一層付与することができる。
また、本発明の銅の表面調整組成物は、上記シランカップリング剤縮合体がイソシアネートシランを含むものであることが好ましい。
これにより、本発明の銅の表面調整組成物は、樹脂等の絶縁材と架橋しやすいイソシアネートシランを含むので、樹脂等の絶縁材との密着性をより一層付与することができる。
また、本発明の銅の表面調整組成物は、さらにカルボキシル基含有有機物を含有するものであることが好ましい。カルボキシル基含有有機物は、本発明の銅の表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤と反応して結合していてもよい。
本発明の銅の表面調整組成物は、カルボキシル基含有有機物と上記シランカップリング剤縮合体とが共存することで、絶縁材との密着性をより一層付与することができる。
また、本発明の銅の表面処理方法は、銅の表面に上記表面調整組成物を接触させることが好ましい。
これにより、本発明の銅の表面処理方法は、銅の表面をエッチング等の粗化処理しなくとも十分な密着性を担保できるため、銅の表面を平滑な状態に処理することができる。その結果、本発明の銅の表面処理方法は、多層配線基板の小型化、薄型化、高周波化、高密度化等に対応するのに適している。
また、本発明の銅の表面処理方法は、銅の表面に酸洗処理、粗化処理(凹凸処理)、化成処理、防錆処理、酸化処理、還元処理、脱脂処理から選ばれる少なくとも一種の前処理をした後に、上記表面調整組成物を接触させてもよい。
これにより、本発明の銅の表面処理方法は、酸洗処理、脱脂処理により銅表面の汚れ、酸化物等を除去することができ、粗化処理、化成処理、防錆処理、酸化処理、還元処理により銅表面での化成性向上、銅の性能向上をより一層図ることができる。
また、本発明の銅の表面処理方法は、銅の表面にスズ化合物または酸化剤を接触させた後に、上記表面調整組成物を接触させることが好ましい。
これにより、本発明の銅の表面処理方法は、銅の表面にスズ化合物を接触させた後に上記表面調整組成物を接触させると、銅の表面にスズ皮膜を形成した後にシラン化合物を析出(付着)させることができる。一方、本発明の銅の表面処理方法は、銅の表面に酸化剤を接触させた後に上記表面調整組成物を接触させると、銅の表面に酸化膜を形成した後にシラン化合物を析出(付着)させることができる。その結果、本発明の銅の表面処理方法は、銅と樹脂等の絶縁材との密着性をより一層担保できる。
本発明の銅の表面調整組成物は、以上のように、銅の表面処理に用いられる表面調整組成物であって、シランカップリング剤縮合体を含有し、上記表面調整組成物全体(表面調整組成物の溶液全体)に対するシランカップリング剤の濃度が50ppm以上、100,000ppm以下の範囲内であり、上記シランカップリング剤の縮合率が50%以上であるものである。
それゆえ、本発明の銅の表面調整組成物は、銅の表面をエッチング等の粗化処理することなく銅と樹脂等の絶縁材との間の密着性を維持することができるという効果を奏する。
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更して実施し得るものである。具体的には、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書等において、便宜上、「重量ppm」を単に「ppm」,「重量%」を単に「%」と記載する。
(I)本発明における銅の表面調整組成物で表面処理される物質等
本発明における銅の表面調整組成物で表面処理される物質は、銅を50%以上含有するものであれば特に限定されない。つまり、銅を50%以上含有していれば、銅以外の物質が含まれていても本発明に含まれる。例えば、銅単体、銅を含む銅合金材、クロメート等の表面処理された銅、メッキされた銅など等が挙げられる。
本発明における銅として、具体的には電子基板、リードフレーム等の電子部品、装飾品、建材等に使用される箔(電解銅箔、圧延銅箔)、めっき膜(無電解銅めっき膜、電解銅めっき膜)、線、棒、管、板など、種々の用途の銅を挙げることができる。上記銅は、黄銅、青銅、白銅、ヒ素銅、ケイ素銅、チタン銅、クロム銅等、その目的に応じて他の元素を含有したものであってもよい。また、近年の高周波の電気信号が流れる銅配線の場合には、銅の表面は平均粗さが0.1μm以下の平滑面であることが好ましい。
本発明において、銅と密着する樹脂等の絶縁材は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、シアネートエステル等の熱硬化性樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は官能基によって変性されていてもよく、ガラス繊維、アラミド繊維、その他の繊維等で強化されていてもよい。例えば、ビルドアップ工程でのプリント配線基板用途では、内層絶縁材、プリプレグ、外層ソルダーレジストなどが挙げられる。
(II)本発明における銅の表面調整組成物に用いられる材料等
本発明の銅の表面調整組成物は、シランカップリング剤を含有するものである。さらに、本発明の銅の表面調整組成物は、該表面調整組成物の特性を阻害しない限り、必要に応じて、スズ化合物、還元剤、錯化剤、フッ素化合物、金属化合物、酸・アルカリのpH調整剤、上記物質以外の物質(以下、「他の物質」という)を含有していてもよい。上記物質および他の物質を含有する方法としては、特に限定されるものではない。
<シランカップリング剤>
本発明の銅の表面調整組成物は、シランカップリング剤を含有するものである。また、本発明の銅の表面調整組成物は、少なくとも2種類のシランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、後述する溶媒に対して可溶性のものであれば特に限定されない。シランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリルシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリロキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピルシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィドシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン、それらの混合物などが挙げられる。
また、銅に吸着しやすいので銅の表面に析出しやすくなり、エポキシ樹脂等の絶縁材との密着性に優れているという理由からメルカプト基を有するシランカップリング剤、例えばメルカプトシランが好ましく、絶縁材と架橋しやすいという理由から、例えばアミノシラン、エポキシシラン、イソシアネートシランが好ましく、多種の絶縁材との適合性に優れているという理由からアミノ基を有するシランカップリング剤とエポキシ基を有するシランカップリング剤との混合物または共縮合物、例えばアミノシランとエポキシシランとの混合物または共縮合物が好ましい。また、絶縁材との密着性に優れているという理由からアルコキシル基を有するシランカップリング剤、例えばシラノール、トリシラノール等も好ましい。その中でも、銅とエポキシ樹脂等の絶縁材との密着性を極めて向上させるという理由からメルカプト基を有するシランカップリング剤が特に好ましい。なお、イソシアネートシランは、ブロック化されていてもブロック化されていなくてもよい。
本発明の銅の表面調整組成物は、上記シランカップリング剤を縮合体としても含有している。上記シランカップリング剤の縮合率は、50%以上であり、好ましく80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。上記シランカップリング剤の縮合率が50%未満であると、銅とエポキシ樹脂等の絶縁材との密着性を十分に発揮しないおそれがあり、好ましくない。
ここで、本明細書でいうシランカップリング剤の縮合率とは、次に示す式(1)
z=x/(x+y)×100・・・(1)
[式(1)中、xはシランカップリング剤縮合体(2量体以上のシランカップリング剤)を構成するケイ素原子のシランカップリング剤全体に含まれるケイ素に対する割合を表し、yはシランカップリング剤単量体を構成するケイ素原子のシランカップリング剤全体に含まれるケイ素に対する割合を表し、zはシランカップリング剤の縮合率(%)を表す]で規定されるものを意味する。
なお、シランカップリング剤縮合体を構成するケイ素原子またはシランカップリング剤単量体を構成するケイ素原子のシランカップリング剤全体に含まれるケイ素に対する割合については、29Si−NMRを用いて導き出すことができる。具体的には、シランカップリング剤中のケイ素原子が酸素原子を介して1個以上の他のケイ素原子と結合しているものをシランカップリング剤縮合体を構成するケイ素原子とし、上記ケイ素原子が酸素原子を介して他のケイ素原子と結合していないものをシランカップリング剤単量体を構成するケイ素原子として、シランカップリング剤縮合体を構成しているケイ素およびシランカップリング剤単量体を構成しているケイ素のシランカップリング剤全体のケイ素に対するそれぞれの割合を導き出すことができる。
また、本発明の銅の表面調整組成物は、上記シランカップリング剤全体のケイ素原子に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体を構成するケイ素原子の割合が、好ましくは50%以上、より好ましく60%以上、特に好ましくは70%以上である。上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合が50%未満であると、銅とエポキシ樹脂等の絶縁材との密着性を十分に発揮しないおそれがあり、好ましくない。
なお、上記シランカップリング剤全体のケイ素原子に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体を構成するケイ素原子の割合は、29Si−NMRを用いて導き出すことができる。具体的には、シランカップリング剤中のケイ素原子が酸素原子を介して2個以上の他のケイ素原子と結合しているものを3量体以上のシランカップリング剤縮合体を構成するケイ素原子として、シランカップリング剤全体のケイ素に対する割合を導き出すことができる。
シランカップリング剤縮合体は、シランカップリング剤単量体を縮合して用いても良いし、市販のシランカップリング剤縮合体をそのまま、あるいは加工して用いても良い。シランカップリング剤は、例えば次のようにして縮合体を製造することができる。イオン交換水、または有機溶剤を含むイオン交換水中に、シランカップリング剤を任意の温度、滴下速度、反応時間、濃度で混合反応させ、縮合体を形成する。場合によっては脱ソルをしてもよい。市販のシランカップリング剤縮合体としては、例えばKBP90が挙げられる。
従来の銅の表面処理方法では、シランカップリング剤を低濃度(約0.5%)の溶液として表面調整組成物に添加していた。なぜなら、低濃度のシランカップリング剤溶液は、表面調整組成物中に容易に混合することができるからである。上記表面調整組成物により、銅と絶縁材との密着性をある程度は向上させることができていた。
上記表面調整組成物全体(表面調整組成物の溶液全体)に対する上記シランカップリング剤の濃度は、50ppm以上100,000ppm以下の範囲内であり、好ましくは100ppm以上5,000ppm以下、特に好ましくは200ppm以上2,000ppm以下の範囲内である。上記表面調整組成物全体に対する上記シランカップリング剤の濃度が50ppm未満であると、樹脂等の絶縁材との密着性が低下するおそれがあり、好ましくない。一方、100,000ppmを超えても濃度に見合う効果が得られず不経済である。
<スズ化合物>
本発明の銅の表面調整組成物は、スズ化合物を含有していてもよい。スズ化合物としては、後述する溶媒に対して可溶性のものであれば特に限定されないが、その溶解性から酸との塩類が好ましい。例えば、硫酸第一スズ、硫酸第二スズ、ホウフッ化第一スズ、フッ化第一スズ、フッ化第二スズ、硝酸第一スズ、硝酸第二スズ、塩化第一スズ、塩化第二スズ、ギ酸第一スズ、ギ酸第二スズ、酢酸第一スズ、酢酸第二スズ等の第一スズ塩や第二スズ塩などが挙げられる。その中でも、スズ皮膜の形成速度が速いという理由から第一スズ塩が好ましく、後述する溶媒との溶液中での安定性が高く、均一なスズ皮膜を形成することができるという理由から、第二スズ塩が好ましい。さらに、銅のエッチングに悪影響を及ぼさないという理由から硫酸第二スズが特に好ましい。
上記表面調整組成物全体(表面調整組成物の溶液全体)に対する上記スズ化合物の濃度は、好ましくは10ppm以上200,000ppm以下、より好ましくは25ppm以上10,000ppm以下、特に好ましくは100ppm以上2,000ppm以下の範囲内である。上記表面調整組成物全体に対する上記スズ化合物の濃度が10ppm未満であると、銅および樹脂等の絶縁材との密着性が低下するおそれがあり、好ましくない。一方、200,000ppmを超えると、銅の表面に多量のスズが析出し、スズ皮膜が凝集破壊するおそれがあり、かつ溶液安定性が劣るとの理由から銅の表面にスズ皮膜を形成し難くなるおそれがあり、好ましくない。
<錯化剤>
本発明の銅の表面調整組成物は、錯化剤を含有していてもよい。ここで、本明細書でいう錯化剤とは、銅に配位してキレートを形成し、銅表面の電位を下げ還元しやすいような状態にするものを意味する。錯化剤は、上記スズ化合物とともに含有することが好ましい。錯化剤としては、例えば、チオ尿素、チオ硫酸、エチレンチオウレア、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、シアン類等が挙げられる。その中でも、上記表面調整組成物を溶液で用いた場合に、スズとの錯体を形成しやすく、より一層濁りの少ない安定な溶液とすることができ、かつ銅との錯体を形成しやすく、銅の表面の電位を低くするためより一層スズ皮膜を形成しやすくすることができるという理由からチオ尿素が好ましい。
上記表面調整組成物全体(表面調整組成物の溶液全体)に対する上記錯化剤の濃度は、好ましくは0.01%以上50%以下、より好ましくは0.1%以上30%以下、特に好ましくは1%以上15%以下の範囲内である。上記表面調整組成物全体に対する上記錯化剤の濃度が0.01%未満であると、銅表面に錯体を形成し難くなるおそれがあり、好ましくない。一方、50%を超えると、銅の溶解性が悪くなり、銅の表面にスズ皮膜を形成しながらシラン化合物を析出させる反応を阻害するおそれがあり、好ましくない。
<還元剤>
本発明の銅の表面調整組成物は、還元剤を含有していてもよい。還元剤は、上記スズ化合物とともに含有することが好ましい。還元剤としては、例えば、チオ尿素、ジエチルチオ尿素、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミノボラン、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、ホルムアルデヒド等が挙げられる。その中でも、スズ化合物に電子を付加して、スズ単体、酸化スズ等からなるスズ皮膜を形成しやすいという理由から少なくともチオ尿素を含有することが好ましい。なお、還元剤には、副次的に後述する錯化剤としても働くものもある。その中で、チオ尿素は、副次的に後述する錯化剤としても働くものである。
上記表面調整組成物全体(表面調整組成物の溶液全体)に対する上記還元剤の濃度は、好ましくは0.01%以上50%以下、より好ましくは0.1%以上30%以下、特に好ましくは1%以上15%以下の範囲内である。上記表面調整組成物全体に対する上記還元剤の濃度が0.01%未満であると、上記スズ皮膜を形成しないおそれがあり、好ましくない。一方、50%を超えると、スズおよびシランカップリング剤が溶解し難くなるとの理由から銅の表面にスズ皮膜を形成しながらシラン化合物を析出させ難くなるおそれがあり、好ましくない。
<フッ素化合物、有機酸>
本発明の銅の表面調整組成物は、フッ素化合物および/または有機酸を含有していてもよい。フッ素化合物、有機酸いずれを含有する場合も、上記スズ化合物とともに含有することが好ましい。フッ素化合物としては、例えば、フッ化水素、ホウフッ化水素酸、酸性フッ化ナトリウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、ケイフッ化水素等が挙げられる。その中でも、上記表面調整組成物を溶液で用い、pHが5以下である場合に、スズとの錯体を形成しやすく、より一層濁りの少ない安定な溶液とすることができるという理由からフッ化水素、酸性フッ化ナトリウムが好ましい。有機酸は、スズとの錯体を形成しやすく、より一層濁りの少ない安定な溶液とすることができるという理由から、イセチオン酸、メタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ホスホン酸等が望ましい。
上記表面処理剤全体に対する上記フッ素化合物および有機酸の合計の濃度は、好ましくは10ppm以上200,000ppm以下、より好ましくは25ppm以上5000ppm以下、特に好ましくは100ppm以上2000ppm以下の範囲内である。上記表面処理剤全体に対する上記フッ素化合物および有機酸の合計の濃度が10ppm未満であると、スズとフッ素とが錯体を形成していないおそれがあり、好ましくない。一方、200,000ppmを超えると、銅の表面にスズ皮膜を形成する反応を阻害するおそれがあり、好ましくない。
上記表面調整組成物全体(表面調整組成物の溶液全体)に対する上記フッ素化合物中の遊離フッ素の濃度は、好ましくは0.1ppm以上100ppm以下、より好ましくは1ppm以上50ppm以下、特に好ましくは2ppm以上20ppm以下の範囲内である。上記表面調整組成物全体に対する上記フッ素化合物中の遊離フッ素の濃度が0.1ppm未満であると、スズとの錯体を形成し難くなるおそれがあり、好ましくない。一方、100ppmを超えると、銅の表面にスズ皮膜を形成しながらシラン化合物を析出させる反応を阻害するおそれがあり、好ましくない。
ここで、遊離フッ素(フッ素イオン)について以下に説明する。本発明の銅の表面調整組成物の溶液には、遊離フッ素が存在していることが好ましい。上記遊離フッ素を存在させるには、上記表面調整組成物にフッ素化合物を含めておく。上記遊離フッ素は、上記表面調整組成物の溶液中におけるスズ化合物の安定性を向上させる作用を有している。さらに、上記遊離フッ素は、上記表面調整組成物の溶液による表面処理の対象である銅に対しての上記スズ化合物の反応を促進する作用も有している。遊離フッ素は通常のフッ素イオンメーターを用いて測定することができる。
<防錆剤>
本発明の銅の表面調整組成物は、防錆剤を含有していてもよい。防錆剤としては、例えば、アミノテトラゾール、メチルメルカプトテトラゾール、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アミノメルカプトトリアゾール、イミダゾール、メチルイミダゾール、トリアジンチオール、トリメルカプトトリアジン若しくはこれらの塩、またはこれらの類似化合物;メルカプトシラン;チオグリコール酸;チオグリセロール;グアニルチオ尿素;チオ尿素類;等が挙げられる。その中でも、銅表面での防錆機能と化成性との両立という理由から、テトラゾール、トリアゾール、イミダゾール、チオール類の防錆剤が好ましい。
<金属化合物>
本発明の銅の表面調整組成物は、金属化合物を含有していてもよい。金属化合物は、上記スズ化合物および/または上記フッ素化合物とともに含有することが好ましい。金属化合物としては、金属塩等が挙げられる。また、金属化合物としては、例えば、アルミニウム化合物、ジルコニル化合物、チタニウム化合物、カルシウム化合物、ナトリウム化合物、マグネシウム化合物、ストロンチウム化合物、マンガン化合物、バナジウム化合物、イットリウム化合物、ニオブ化合物、亜鉛化合物、インジウム化合物、銀化合物、鉄化合物等が挙げられる。その中でも、フッ素と錯体を形成しやすいという理由からアルミニウム化合物、ジルコニル化合物、チタニウム化合物、カルシウム化合物が好ましい。
上記表面調整組成物全体(表面調整組成物の溶液全体)に対する上記金属化合物の濃度は、好ましくは1ppm以上10,000ppm以下、より好ましくは10ppm以上2,000ppm以下、特に好ましくは100ppm以上1,000ppm以下の範囲内である。上記表面調整組成物全体に対する上記金属化合物の濃度が1ppm未満であると、フッ素と錯体を形成し難くなるおそれがあり、好ましくない。一方、10,000ppmを超えると、銅の表面にスズ皮膜を形成しながらシラン化合物を析出させる反応を阻害するおそれがあり、好ましくない。
<pH調整剤>
本発明の銅の表面調整組成物は、酸・アルカリのpH調整剤を含有していてもよい。pH調整剤は、上記スズ化合物および/または上記フッ素化合物とともに含有することが好ましい。ここで、本発明の銅の表面調整組成物は、pHが5以下であることが好ましい。酸のpH調整剤としては、無機酸および有機酸から選択される少なくとも1種の酸を使用することができる。本発明で使用することができる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、ホウフッ化水素酸、リン酸などの無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のアルカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸等の芳香族スルホン酸などの有機酸;が挙げられる。その中でも、樹脂等の絶縁材との密着層を形成する速度、スズ化合物の溶解性等という理由から硫酸が好ましい。
上記表面調整組成物全体(表面調整組成物の溶液全体)に対する上記pH調整剤の濃度は、好ましくは10ppm以上10,000ppm以下、より好ましくは50ppm以上2,000ppm以下、特に好ましくは100ppm以上1,000ppm以下の範囲内である。上記表面調整組成物全体に対する上記pH調整剤の濃度が10ppm未満であると、スズ化合物が溶解し難くなり、フッ素がスズとの錯体を形成し難くなるおそれがあり、好ましくない。一方、10,000ppmを超えると、銅の表面にスズ皮膜を形成しながらシラン化合物を析出させる反応を阻害するおそれがあり、好ましくない。
<カルボキシル基含有有機物>
本発明で用いるカルボキシル基含有有機物は、例えばポリアクリル酸、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂などの有機物でカルボキシル基を有するものが挙げられる。また、本発明で用いるカルボキシル基含有有機物は、カルボキシル基以外にアミノ基、エポキシ基、チオール基、カルボニル基、スルホン基、水酸基、リン酸基、イミノ基およびシラノール基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を含有していてもよい。その中でも、コスト面および設計の自由度の面から優れているという理由から、ポリアクリル酸を含有することが好ましい。カルボキシル基含有有機物の分子量は、特に限定されないが、200以上10,000,000以下、好ましくは2,000以上1,000,000以下である。
<他の物質>
本発明の銅の表面調整組成物は、樹脂等の絶縁材との均一な密着層を形成するための界面活性剤、樹脂等の絶縁材との密着層の形成を促進するための重合開始剤等、必要に応じて、銅の表面にシラン化合物を析出させる反応を阻害しないような種々の添加剤を含有してもよい。
(III)本発明における銅の表面調整組成物の製造方法
本発明の銅の表面調整組成物は、従来公知の混合方法・混合装置により製造される。本発明の銅の表面調整組成物に含有される物質を混合する順番は、特に限定されない。また、上記物質は、一度に混合してもよく、分割して混合してもよい。
(IV)本発明における銅の表面調整組成物を含む溶液
本発明における銅の表面処理方法は、銅の表面に、上記表面調整組成物を溶液として接触させることが好ましい。上記溶液は、溶質である上記表面調整組成物と溶媒とから構成される。本発明に用いられる溶媒は、上記表面調整組成物を溶解することができれば特に限定されない。例えば、水、および有機溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、n−へプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン等の炭化水素;ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンおよびトリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、メチルセルソルブ等のエーテル類;メタノール、エタノール、メトキシプロパノール等のアルコール類;などが挙げられる。上記溶媒は、単独で用いてもよく、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。また、上記水としては、イオン交換水、純水、超純水等のイオン性物質や不純物を除去した水が好ましい。
上記溶液中の上記有機溶媒の濃度は、溶液の温度、上記表面調整組成物の成分等によって決まり特に限定されるものではないが、環境配慮との理由から、好ましくは0%以上10%以下、より好ましくは0%以上1%以下、特に好ましくは0%以上0.1%以下の範囲内である。
(V)本発明における銅の表面処理方法
本発明の銅の表面処理方法は、銅の表面に上記表面調整組成物を接触させる方法である。さらに、本発明の銅の表面処理方法は、銅の表面に酸洗処理、粗化処理、化成処理、防錆処理、酸化処理、還元処理、脱脂処理から選ばれる少なくとも一種の前処理をした後に、上記表面調整組成物を接触させることが好ましい。さらに、本発明の銅の表面処理方法は、銅の表面にスズ化合物または酸化剤を接触させた後に、上記表面調整組成物を接触させることが好ましい。
ここで、上記酸化剤は、銅の表面に酸化膜を形成することができれば特に限定されない。例えば、銅、過酸化水素、過硫酸化合物等が挙げられる。
また、化成処理とは、スズなどの不動態皮膜を形成したり、酸化剤などで銅酸化膜不動態皮膜を形成する処理である。
銅の表面に上記表面調整組成物を接触させる方法としては特に限定されない。例えば、上記表面調整組成物を含む溶液に銅を浸漬させる方法、銅の表面に上記表面調整組成物を含む溶液をスプレーによって噴射する方法、銅の表面に上記表面調整組成物を含む溶液を塗布する方法等が挙げられる。また、上記表面調整組成物は、一度に接触させてもよく、分割して接触させてもよい。
銅の表面に上記表面調整組成物を接触させる際の温度は、上記表面調整組成物の成分等によって決まり特に限定されるものではないが、反応性に優れているとの理由から、好ましくは10℃以上60℃以下、より好ましくは20℃以上50℃以下、特に好ましくは30℃以上40℃以下の範囲内である。
銅の表面に上記表面調整組成物を接触させる時間は、上記表面調整組成物の成分等によって決まり特に限定されるものではないが、反応性に優れているとの理由から、好ましくは1秒以上600秒以下、より好ましくは5秒以上300秒以下、特に好ましくは15秒以上120秒以下の範囲内である。
本発明における銅の表面処理方法は、銅の表面に上記表面調整組成物を接触させた後に、水洗してから乾燥させても、水洗せずに乾燥させてもよい。水洗してから乾燥させた場合は、均一な厚さの膜が得られる。一方、水洗せずに乾燥した場合は、絶縁材との高い密着性が得られる。また、本発明における銅の表面処理方法は、銅の表面に上記表面調整組成物を接触させた後に、熱処理等を行ってもよい。
本発明における銅の表面処理方法により表面処理される前の銅張り材料としては、一般的な電子基板、リードフレーム等の電子部品、装飾品、建材等を挙げることができる。また、本発明における銅の表面処理方法により表面処理された後の銅張り材料を備えた多層配線基板(ビルドアップ配線基板)は、従来公知の多層配線基板の製造方法により製造することができる。具体的には、表面部が銅からなる導電層を有する内層基板を、樹脂等の絶縁材を挟んで他の内層基板と積層プレスすることにより製造することができる。また、表面部が銅からなる導電層を有する基板を最外層として、樹脂等の絶縁材および内層基板とともに積層プレスすることにより製造することもできる。つまり、上記多層配線基板は、最外層に上記銅張り材料を備えている外層基板および単層基板を含む。また、上記外層基板には、最外層面に上記銅張り材料を片面または両面に備えている片面または両面の外層基板を含む。例えば、ビルドアップ工程でのプリント配線基板用途では、内層絶縁材、プリプレグ、外層ソルダーレジストに対しても優れた密着性を確保できる。
以下、実施例、参考例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
参考例1〕
<銅の表面処理工程>
厚さ35μmの電解銅箔(古河サーキットフォイル株式会社製、商品名:「F−WS箔」)の表面を、スズ化合物を含む表面処理剤で処理した。
その後、表面処理された電解銅箔を、シランカップリング剤としての50%エタノール溶液で5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm、信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM−803」)を含む表面調整組成物の溶液に室温(25℃)・30秒の条件で浸漬させた後、イオン交換水で洗浄し、80℃・5分の条件で乾燥させた。上記シランカップリング剤の縮合率は90%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は50%であった。
<多層配線基板製造工程>
表面処理された電解銅箔の銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性を評価するため、表面処理された電解銅箔の両面にビルドアップ配線板用絶縁材(松下電工株式会社製汎用プリプレグ、商品名:「FR−4」)を重ねて、150℃・20kg/m→150℃・30kg/m・0.5時間→180℃・30kg/m・1.5時間の条件で加熱しながら積層プレスし、その後に、80℃・1.5時間の条件で冷却した。その後積層プレスを終了し、20℃・20分間の条件で冷却した。
<銅の表面処理後の物性>
(1)銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観
銅の表面処理後における電解銅箔の外観は、SEM(Scanning Electron Microscope、日本電子株式会社製、商品名:「JSM5310」)により、倍率を1000倍および5000倍にして目視にて評価した。その結果、凹凸がない(平坦な)状態を「○」とし、凹凸がほとんどない状態を「△」とし、凹凸がある状態を「×」とした。
(2)銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性
多層配線基板の銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性、即ち多層配線基板における絶縁材からの銅箔の引き剥がし強さは、万能試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、商品名:「テンシロン」)により、JIS C 6481に準拠してロードセル100kg/m、レンジ2%、クロスヘッドスピード50mm/min、チャートスピード20mm/minの条件で測定した。
(3)上記物性の評価結果
上記物性の評価結果は、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.80kN/mであった。
参考例2〕
表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.20kN/mであった。
参考例3〕
電解銅箔を、クロメート電解銅箔に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.00kN/mであった。
参考例4〕
電解銅箔の表面処理を、スズ化合物を含む表面処理剤での処理から酸化剤を含む表面処理剤での粗化処理(凹凸処理、ソフトエッチング)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「△」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.40kN/mであった。
参考例5〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から30%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は80%であった。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.30kN/mであった。
参考例6〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとエポキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM403」)との混合物(表面調整組成物全体に対する上記混合物の濃度:1000ppm)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は70%であった。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.40kN/mであった。
参考例7〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとアミノシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM903」)との混合物(表面調整組成物全体に対する上記混合物の濃度:1000ppm)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は80%であった。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.40kN/mであった。
参考例8〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとイソシアネートシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:「KBE9007」)との混合物(表面調整組成物全体に対する上記混合物の濃度:1000ppm)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は80%であった。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.40kN/mであった。
参考例9〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から5%に希釈したアミノシランとエポキシシランとの混合物(表面調整組成物全体に対する上記混合物の濃度:1000ppm)に変更したこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は70%であった。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.70kN/mであった。
参考例10〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から5%に希釈したアミノシランとエポキシシランとの混合物(表面調整組成物全体に対する上記混合物の濃度:1000ppm)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は70%であった。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.30kN/mであった。
〔実施例
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から、5%に希釈したエポキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM403」)と5%に希釈したポリアクリル酸(分子量2万ホモポリマー)とを混合して80℃で3時間攪拌して得られた生成物(表面調整組成物全体に対するエポキシシランの濃度:1000ppm、ポリアクリル酸の濃度:1000ppm)に変更したこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は50%であった。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.70kN/mであった。
〔実施例
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から、5%に希釈したエポキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM403」)と5%に希釈したポリアクリル酸(分子量2万ホモポリマー)とを混合して80℃で3時間攪拌して得られた生成物(表面調整組成物全体に対するエポキシシランの濃度:1000ppm、ポリアクリル酸の濃度:1000ppm)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は50%であった。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.40kN/mであった。
参考例1
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から、5%に希釈したエポキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM403」)と5%に希釈したメタクリロキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM503」)とを混合して80℃で3時間攪拌して得られた生成物(表面調整組成物全体に対するエポキシシランの濃度:500ppm、メタクリロキシシランの濃度:500ppm)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は95%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は50%であった。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.30kN/mであった。
参考例1
電解銅箔の表面処理を、スズ化合物を含む表面処理剤で処理した後にシランカップリング剤としての5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)を含む表面調整組成物で処理する操作から、スズ化合物を含む表面処理剤での処理と5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む表面調整組成物での処理とを同時に行う操作に変更したこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は90%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は50%であった。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.10kN/mであった。
〔比較例1〕
電解銅箔の表面処理を、スズ化合物を含む表面処理剤で処理した後にシランカップリング剤を含む表面調整組成物で処理しなかったこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.50kN/mであった。
〔比較例2〕
電解銅箔の代わりにクロメート電解銅箔を用いたこと以外は、参考例3と同様の操作を行った。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.20kN/mであった。
〔比較例3〕
電解銅箔の表面処理を、酸化剤を含む表面処理剤で粗化処理(凹凸処理、ソフトエッチング)した後にシランカップリング剤を含む表面調整組成物で処理しなかったこと以外は、参考例4と同様の操作を行った。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「×」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が1.00kN/mであった。
〔比較例4〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から3−アミノプロピルトリメトキシシランモノマー(表面調整組成物全体に対する3−アミノプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm、信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM−903」)に変更したこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は0%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は0%であった。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.50kN/mであった。
〔比較例5〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランモノマー(表面調整組成物全体に対する3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm、信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM−403」)に変更したこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は0%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は0%であった。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.50kN/mであった。
〔比較例6〕
表面調整組成物に含まれるシランカップリング剤を、5%に希釈した3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(表面調整組成物全体に対する3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm)から3−アミノプロピルトリメトキシシランモノマー(表面調整組成物全体に対する3−アミノプロピルトリメトキシシランの濃度:1000ppm、信越化学工業株式会社製、商品名:「KBM−903」)に変更し、かつ表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。上記シランカップリング剤の縮合率は0%、上記シランカップリング剤全体に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体の割合は0%であった。
その結果、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観が「○」、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が0.50kN/mであった。
〔実施例のまとめ〕
表1に、銅の表面処理後における上記物性の評価結果をまとめた。
Figure 0005663739
参考例1と参考例2とを比較すると、参考例2では参考例1と比べて表面処理された電解銅箔を表面調整組成物の溶液に浸漬させた後、イオン交換水で洗浄しなかったことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が向上するという結果になった。
参考例2と参考例3とを比較すると、参考例3では参考例2と比べて電解銅箔の表面処理を、スズ化合物を含む表面処理剤での処理から亜鉛化合物を含む表面処理剤での処理(クロメート)に変更したことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性は低下するものの、十分な密着性は維持しているという結果になった。
参考例2と参考例4とを比較すると、参考例4では参考例2と比べて電解銅箔の表面処理を、スズ化合物を含む表面処理剤での処理から酸化剤を含む表面処理剤での粗化処理(凹凸処理、ソフトエッチング)に変更したことにより、銅の表面処理後における電解銅箔のSEM外観に凹凸がほとんどなく、上記電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が向上するという結果になった。
参考例2と参考例5〜8とを比較すると、参考例5〜8では参考例2と比べてシランカップリング剤の縮合率を増加させたことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が向上するという結果になった。
参考例1と参考例9とを比較すると、参考例9では参考例1と比べてシランカップリング剤の種類を変更したことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性は低下するものの、シランカップリング剤の縮合率を増加させたことにより、十分な密着性は維持しているという結果になった。
参考例2と参考例10とを比較すると、参考例10では参考例2と比べてシランカップリング剤の縮合率を増加させたことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が向上するという結果になった。
参考例9と実施例とを比較すると、実施例では参考例9と比べてアミノシランをポリアクリル酸に変更しても、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性は同等であるという結果になった。
参考例10と実施例とを比較すると、実施例では参考例10と比べてアミノシランをポリアクリル酸に変更したことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が向上するという結果になった。
参考例6と参考例11とを比較すると、参考例11では参考例6と比べてメルカプトプロピルトリメトキシシランをメタクリロキシシランに変更しても、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性は同等であるという結果になった。
参考例1と参考例12とを比較すると、参考例12では参考例1と比べてスズ化合物を含む表面処理剤での処理とシランカップリング剤を含む表面調整組成物での処理とを同時に行ったことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が向上するという結果になった。
実施例1,2および参考例1〜12と比較例1,2とを比較すると、比較例1,2では実施例1,2および参考例1〜12と比べてシランカップリング剤を含む表面調整組成物で処理しなかったことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が低下するという結果になった。
参考例4と比較例3とを比較すると、比較例3では参考例4と比べてシランカップリング剤を含む表面調整組成物で処理しなかったことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が低下するという結果になった。
実施例1,2および参考例1〜12と比較例4〜6とを比較すると、比較例4〜6では実施例1,2および参考例1〜12と比べてシランカップリング剤をモノマー(縮合率0%)として含めたことにより、銅の表面処理後における電解銅箔を備えた多層配線基板での銅箔と樹脂等の絶縁材との密着性が低下するという結果になった。
本発明の銅の表面調整組成物および表面処理方法は、銅の表面をエッチング等の粗化処理することなく銅と樹脂等の絶縁材との間の密着性を維持することができるため、近年の電子機器・電子部品の高周波化、高密度化等に対応することができる。また、従来の粗化処理(凹凸処理)では、処理後に酸化膜が成長し、電子機器・電子部品としての機能を発揮しないため、多くの場合には後処理として防錆処理を施していた。また、銅エッチングするため、廃水中の銅を除去するのに多大な廃水処理コストがかかっていた。本発明の銅の表面調整組成物は、密着および防錆(不動態化)を同時に行うため、従来の粗化処理と比較して、電子機器・電子部品の生産工程を削減することができる。さらに、皮膜形成過程において銅の溶解を従来の1/10以下に抑えることができるため、大幅な排水処理負荷低減となる。具体的には、本発明の銅の表面調整組成物および表面処理方法は、微細(ファイン)配線を有するプリント配線基板、半導体実装品、液晶デバイス、エレクトロルミネッセンス等の各種電子機器・電子部品に利用することが可能である。

Claims (9)

  1. 銅の表面処理に用いられる表面調整組成物であって、
    シランカップリング剤およびポリアクリル酸を含有し、
    上記表面調整組成物全体に対するシランカップリング剤の濃度が50ppm以上、100,000ppm以下の範囲内であり、
    上記シランカップリング剤はシランカップリング剤縮合体を含有し、
    上記シランカップリング剤の縮合率が50%以上であることを特徴とする銅の表面調整組成物。
  2. 上記シランカップリング剤全体を構成するケイ素原子に対する3量体以上のシランカップリング剤縮合体を構成するケイ素原子の割合が50%以上であることを特徴とする請求項に記載の銅の表面調整組成物。
  3. 上記シランカップリング剤縮合体がメルカプト基、エポキシ基、アミノ基、メタクリロキシ基またはアクリロキシ基を有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の銅の表面調整組成物。
  4. 上記シランカップリング剤縮合体が少なくとも2種類のシランカップリング剤からなるものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の銅の表面調整組成物。
  5. 上記シランカップリング剤縮合体がアミノ基およびエポキシ基を有するものであることを特徴とする請求項に記載の銅の表面調整組成物。
  6. 上記シランカップリング剤縮合体がイソシアネートシランを含むものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の銅の表面調整組成物。
  7. 銅の表面に請求項1〜のいずれか1項に記載の銅の表面調整組成物を接触させることを特徴とする銅の表面処理方法。
  8. 銅の表面に酸洗処理、粗化処理、化成処理、防錆処理、酸化処理、還元処理、脱脂処理から選ばれる少なくとも一種の前処理をした後に、上記表面調整組成物を接触させることを特徴とする請求項に記載の銅の表面処理方法。
  9. 銅の表面にスズ化合物または酸化剤を接触させた後に、上記表面調整組成物を接触させることを特徴とする請求項またはに記載の銅の表面処理方法。
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