JP2019135295A - 表面処理剤、樹脂組成物及びそれらの利用 - Google Patents

表面処理剤、樹脂組成物及びそれらの利用 Download PDF

Info

Publication number
JP2019135295A
JP2019135295A JP2019019257A JP2019019257A JP2019135295A JP 2019135295 A JP2019135295 A JP 2019135295A JP 2019019257 A JP2019019257 A JP 2019019257A JP 2019019257 A JP2019019257 A JP 2019019257A JP 2019135295 A JP2019135295 A JP 2019135295A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
triazole
resin
trimethoxysilyl
copper
propylthio
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019019257A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6771603B2 (ja
Inventor
みや 谷岡
Miya Tanioka
みや 谷岡
宗作 飯田
Sosaku Iida
宗作 飯田
崇仁 今峰
Takahito Imamine
崇仁 今峰
村井 孝行
Takayuki Murai
孝行 村井
昌三 三浦
Shozo Miura
昌三 三浦
真人 勝村
Masato Katsumura
真人 勝村
範明 山地
Noriaki Yamachi
範明 山地
浩彦 平尾
Hirohiko Hirao
浩彦 平尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shikoku Chemicals Corp
Original Assignee
Shikoku Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shikoku Chemicals Corp filed Critical Shikoku Chemicals Corp
Priority to JP2019019257A priority Critical patent/JP6771603B2/ja
Publication of JP2019135295A publication Critical patent/JP2019135295A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6771603B2 publication Critical patent/JP6771603B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Parts Printed On Printed Circuit Boards (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Non-Metallic Protective Coatings For Printed Circuits (AREA)

Abstract

【課題】金属、無機材料および樹脂材料から選択される材質の異なる2つの材料の接着性を高めることができる表面処理剤を提供する。【解決手段】化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物を含有する表面処理剤。(式中、Xは水素原子、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アミノ基、フェニル基またはベンジル基を表す。R1およびR2は同一または異なって、メチル基もしくはエチル基を表す。nは1〜12の整数を表し、AおよびBは同一または異なって、0〜3の整数を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、トリアゾールシラン化合物を含有する表面処理剤、該表面処理剤を使用した銅箔、プリプレグ、銅張積層板、層間絶縁材、樹脂付銅箔およびプリント配線板に関する。
また、本発明は、樹脂またはその硬化前化合物とトリアゾールシラン化合物とを含有する樹脂組成物、該樹脂組成物を使用したソルダーレジストインク、プリプレグ、銅張積層板、層間絶縁材、樹脂付銅箔、プリント配線板および半導体封止材料に関する。
近年、プリント配線板は、電子機器・電子部品の小型化、薄型化等に対応すべく多層化が進められており、所謂多層プリント配線板は、片面または両面に銅箔等からなる回路を設けた内層用の回路板に、プリプレグを介して外層用回路板もしくは銅箔を重ね、これを一体化することによって製造されている。ところで、このような多層プリント配線板においては、内層用の回路板に形成された銅回路と、外層用回路板または銅箔を積層させるプリプレグの絶縁接着樹脂との間の接着性の確保が重要な課題となっている。
特許文献1には、銅箔とプリプレグの接着性と、銅箔とプリプレグを接着して得られる銅張積層板の半田耐熱性を向上させる銅箔表面処理剤に関する発明が記載されている。この文献には、該表面処理剤の成分として、イミダゾール環を有するトリアルコキシシラン化合物とテトラアルコキシシラン化合物を併用する点が開示されている。
特許文献2には、銅の表面をエッチング等の粗化処理を行うことなく、銅と樹脂等の絶縁材との間の密着性を維持することができる銅の表面調整組成物および表面処理方法に関する発明が記載されている。この文献には、絶縁材との密着性に優れているという理由から、表面調整組成物の成分として、アルコキシル基を有するシランカップリング剤、例えばシラノール、トリシラノール等も好ましい点、そして、その中でも、銅とエポキシ樹脂等の絶縁材との密着性を向上させるという理由から、メルカプト基を有するシランカップリング剤が好ましい点が開示されている。また、当該表面調整組成物を含む溶液が、該組成物を、水と有機溶媒との混合溶媒に溶解させることにより調製し得る点が開示され、銅の表面に前記溶液を接触させた後は、水洗してから乾燥させても、水洗せずに乾燥させてもよい点、そして、水洗してから乾燥させた場合は、均一な厚さの膜が得られ、一方、水洗せずに乾燥した場合には、絶縁材との高い密着性が得られる点が開示されている。
特許文献3には、シランカップリング剤溶液の製造方法、シランカップリング剤溶液、それを使用した基材の表面処理方法等に関する発明が記載されている。この文献には、有機ケイ素化合物を水と混合して十分にシラノール基を形成させた後、更にアルコールを混合すれば、高いシラノール化率を実現でき、かつ、均一な塗工も可能となり、優れた密着性が実現する点、そして、シラノール化率として60〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましい点が開示されている。そして、前記の有機ケイ素化合物として、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランや、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが開示されている。なお、有機高分子化合物や無機材料から構成される基材と、液晶性化合物との密着性を優れたものとする点が発明の課題とされており、銅を基材とする場合の密着性については言及されていない。
特許文献4には、シランカップリング剤およびポリマー組成物に関する発明が記載されている。この文献には、ガラスや金属とゴムの接着用プライマーに使用されるシランカップリング剤の成分として、トリアゾールやチアジアゾール等の含窒素複素環と、トリメトキシシリル基やトリエトキシシリル基等のシリル基が、チオエーテル(スルフィド)結合等を有する有機基を介して結合された構造の物質が種々開示されている。なお、金属が銅である点の開示はない。
次に、本発明に至る過程において、本発明者等が見出した知見・成果について、文献を引用して概説する。
本発明者らは、シランカップリング剤の成分として好適な、化学式(II´)で示される新規なトリアゾールシラン化合物を開発し、この物質の使用方法(用途)を種々提案している(特許文献5〜10参照)。
Figure 2019135295
(式中、Xは水素原子、−CH、−NH、−SHまたは−SCHを表す。Yは−NH−または−S−を表す。Rは−CHまたは−CHCHを表す。mは1〜12の整数を表し、nは0または1〜3の整数を表す。)
一方、反応スキーム(A)や反応スキーム(B)に示される如く、複素環中の窒素原子に、尿素結合とアルキレン鎖を介して、アルコキシシリル基を導入する手法を採用し、種々のアゾール化合物を開発している(特許文献11〜12と特許文献13〜15参照)。
Figure 2019135295
Figure 2019135295
特開平7−286160号公報 特開2009−263790号公報 特開2006−045189号公報 特開2002−363189号公報 特開2015−010079号公報 特開2015−092020号公報 特開2016−056449号公報 特開2016−121348号公報 特開2016−125143号公報 特開2016−125144号公報 特開2015−182969号公報 特開2015−206115号公報 特開2015−044750号公報 特開2015−143395号公報 特開2016−117901号公報
本発明の目的は、金属、無機材料および樹脂材料から選択される材質の異なる2つの材料の接着性を高めることができる表面処理剤を提供することにある。
また、この表面処理剤を使用して製造される銅箔、プリプレグ、銅張積層板、層間絶縁材、樹脂付銅箔およびプリント配線板を提供することにある。
本発明の他の目的は、金属や無機材料に対して高い接着性を有する樹脂層を形成できる樹脂組成物を提供することにある。
また、この樹脂組成物を使用して製造されるソルダーレジストインク、プリプレグ、銅張積層板、層間絶縁材、樹脂付銅箔、プリント配線板および半導体封止材料を提供することにある。
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ある種のトリアゾールシラン化合物を含有する表面処理剤を使用すると、金属、無機材料および樹脂材料から選択される材質の異なる2つの材料の接着性、特に金属と樹脂材料との接着性が大きく向上することを見出した。また、このトリアゾールシラン化合物を含有する樹脂組成物を使用すると、樹脂と金属または無機材料との接着性が大きく向上することを見出した。本発明はこれらの知見に基づき、更に検討を重ねて完成したものである。
即ち、第1の発明は、化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物を含有する表面処理剤である。
Figure 2019135295
(式中、Xは水素原子、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アミノ基、フェニル基またはベンジル基を表す。RおよびRは同一または異なって、メチル基もしくはエチル基を表す。nは1〜12の整数を表し、AおよびBは同一または異なって、0〜3の整数を表す。)
第2の発明は、第1の発明の表面処理剤による皮膜を有する銅箔である。
第3の発明は、第1の発明の表面処理剤による皮膜を有するプリプレグである。
第4の発明は、第1の発明の表面処理剤による皮膜を有する銅張積層板である。
第5の発明は、第1の発明の表面処理剤による皮膜を有する層間絶縁材である。
第6の発明は、銅箔と樹脂層が第1の発明の表面処理剤による皮膜を介して積層された樹脂付銅箔である。
第7の発明は、第1の発明の表面処理剤による皮膜を有する部材を備えるプリント配線板である。
第8の発明は、樹脂またはその硬化前化合物と、前記の化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物を含有する樹脂組成物である。
第9の発明は、第8の発明の樹脂組成物から構成されたソルダーレジストインクである。
第10の発明は、第9の発明のソルダーレジストインクから形成されたソルダーレジストを備えるプリント配線板である。
第11の発明は、基材と第8の発明の樹脂組成物から構成されたプリプレグである。
第12の発明は、銅箔と第11の発明のプリプレグから構成された銅張積層板である。
第13の発明は、第8の発明の樹脂組成物から構成された層間絶縁材である。
第14の発明は、銅箔と第8の発明の樹脂組成物により形成された樹脂層から構成された樹脂付銅箔である。
第15の発明は、第8の発明の樹脂組成物により形成された樹脂層を備えるプリント配線板である。
第16の発明は、第8の発明の樹脂組成物から構成された半導体封止材料である。
本発明の表面処理剤によれば、金属、無機材料および樹脂材料から選択される材質の異なる2つの材料間の接着性を高めることができる。そのため、該表面処理剤を使用することにより、被積層体に対する接着性や、それ自体の層間接着性に優れた銅箔、プリプレグ、銅張積層板、層間絶縁材、樹脂付銅箔およびプリント配線板等を得ることができる。
また、本発明の樹脂組成物によれば、金属や無機材料に対して高い接着性を有する樹脂層を形成できる。そのため、この樹脂組成物を使用することにより、被積層体との接着性やそれ自体の層間接着性に優れた銅張積層板、層間絶縁材、樹脂付銅箔およびプリント配線板、半導体封止材料等を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[トリアゾールシラン化合物]
本発明の実施においては、前記の化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物が使用される。このトリアゾールシラン化合物の例としては、例えば、化学式(I)におけるAとBが同一である場合の、化学式(Ia)〜(Id)で示されるトリアゾールシラン化合物が挙げられる。
Figure 2019135295
(式中、R、R、Xおよびnは前記と同様である。)
即ち、化学式(Ia)で示されるトリアゾールシラン化合物は、前記の化学式(I)において、AとBが0である場合のトリアゾールシラン化合物(以下、トリアゾールシラン化合物(Ia)と云うことがある)である。
同様に、化学式(Ib)で示されるトリアゾールシラン化合物は、AとBが1である場合のトリアゾールシラン化合物(以下、トリアゾールシラン化合物(Ib)と云うことがある)であり、化学式(Ic)で示されるトリアゾールシラン化合物は、AとBが2である場合のトリアゾールシラン化合物(以下、トリアゾールシラン化合物(Ic)と云うことがある)であり、化学式(Id)で示されるトリアゾールシラン化合物は、AとBが3である場合のトリアゾールシラン化合物(以下、トリアゾールシラン化合物(Id)と云うことがある)である。
化学式(Ib)〜(Id)で示されるトリアゾールシラン化合物は、表面処理剤中に存在するトリアゾールシラン化合物(Ia)が、加水分解されて生成する種である。
本発明の実施においては、表面処理剤および樹脂組成物の成分として、トリアゾールシラン化合物(Ia)を使用することが好ましい。
このトリアゾールシラン化合物(Ia)としては、例えば、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−[2−(トリメトキシシリル)エチルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−メチル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−メチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−メチル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−メチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−エチル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−エチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−エチル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−エチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−イソプロピル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−プロピル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−プロピル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−プロピル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−プロピル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−ブチル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−ブチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−ブチル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−ブチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−ペンチル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−ペンチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−ペンチル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−ペンチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−ヘキシル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−ヘキシル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−ヘキシル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−ヘキシル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−ヘプチル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−ヘプチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−ヘプチル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−ヘプチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−ドデシル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−アミノ−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−アミノ−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−アミノ−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−アミノ−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−アミノ−3−[12−(トリメトキシシリル)ドデシルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−フェニル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−フェニル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−フェニル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−フェニル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−フェニル−3−[6−(トリメトキシシリル)ヘキシルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−ベンジル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−ベンジル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−ベンジル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−ベンジル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド、
N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−ベンジル−3−[8−(トリメトキシシリル)オクチルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド等が挙げられる。
なお、本発明の実施においては、これらの化合物等から選択される2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の実施において使用するトリアゾールシラン化合物は、化学式(II)で示されるトリアゾールシラン化合物と、化学式(III)で示されるイソシアナトプロピルシラン化合物を、適量の反応溶媒中において適宜の反応温度および反応時間にて反応させることにより、概ね定量的に合成される(反応スキーム(C)参照)。
Figure 2019135295
(式中、X、R、Rおよびnは前記と同様である。)
化学式(II)で示されるトリアゾールシラン化合物(以下、単にトリアゾール化合物と云うことがある)の例としては、
3−[2−(トリメトキシシリル)エチルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−メチル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−メチル−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−エチル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−エチル−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−イソプロピル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−プロピル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−プロピル−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−ブチル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−ブチル−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−ペンチル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−ペンチル−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−ヘキシル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−ヘキシル−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−ヘプチル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−ヘプチル−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−ドデシル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−アミノ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−アミノ−5−[12−(トリメトキシシリル)ドデシルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−フェニル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−フェニル−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−フェニル−5−[6−(トリメトキシシリル)ヘキシルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−ベンジル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−ベンジル−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール、
3−ベンジル−5−[8−(トリメトキシシリル)オクチルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。
化学式(III)で示されるイソシアナトプロピルシラン化合物(以下、単に、イソシアナト化合物と云うことがある)は、
3−イソシアナトプロピルトリメトキシシランおよび
3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランを表す。
前記の反応溶媒としては、トリアゾール化合物およびイソシアナト化合物に対して不活性な溶剤であれば特に制限なく使用可能であるが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール等のアルコール系溶剤;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤やジメチルスルホキシド、アセトニトリル等が挙げられる。
トリアゾール化合物の使用量(仕込量)に対する、イソシアナト化合物の使用量(仕込量)は、反応温度や反応時間の他、使用する原料や反応溶媒の種類、反応スケール等の要因を考慮して、0.8〜1.2倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。
イソシアナト化合物の仕込み量が1.2倍モルよりも多いと、該化合物が重合してゲル化する惧れがあり、0.8倍モルよりも少ないと、生成物の純度が低下したり、生成物の分離操作が煩雑になる等の惧れがある。
前記の反応温度は、0〜100℃の範囲が好ましく、5〜65℃の範囲がより好ましい。
また、前記の反応時間は、設定した反応温度に応じて適宜決定されるが、30分〜10時間の範囲が好ましく、1〜5時間の範囲がより好ましい。
[表面処理剤]
本発明の表面処理剤は、前記の化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物を含有する。本発明の表面処理剤は、このトリアゾールシラン化合物と共に溶媒を含有していてもよい。溶媒としては、水、有機溶剤、水と有機溶剤の混合液が挙げられる。この場合の表面処理剤は、このトリアゾールシラン化合物と溶媒とを、適宜の混合手段を採用して混合することにより調製できる。なお、以下、表面処理剤を処理液と云うことがある。
前記有機溶剤としては、可溶化剤として作用するものであれば、液体または固体を問わず、特に制限なく使用されるが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、2−ピロリドン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、炭酸ジメチル、エチレンカーボネート、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、グリセリン酸、マロン酸、コハク酸、レブリン酸、フェノール、安息香酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチル、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アリルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジンが好ましい。これらの有機溶剤(可溶化剤)は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、固体の可溶化剤を使用する場合には、水および/または液体の可溶化剤と組み合わせて使用する。
溶媒として水と有機溶剤の混合液を使用する場合、表面処理剤の調製方法としては、化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物と水を混合した後に有機溶剤を加えてもよいし、該化合物と水および有機溶剤の混合液を混合してもよいし、該化合物と有機溶剤を混合した後に水を加えてもよい。また、表面処理剤の調製に使用される水としては、イオン交換水や蒸留水等の純水が好ましい。
化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物(AとBが同時に3である場合を除く)は、前述のとおり、水と接触すると加水分解されるが、この加水分解の態様をスキーム(D)に示した。このスキームにおいては、前記の化学式(Ia)〜(Ic)で例示されるトリアゾールシラン化合物の有するシリル基が加水分解される態様、即ち、トリアルコキシシリル基が、漸次、ジアルコキシヒドロキシシリル基、ジヒドロキシアルコキシシリル基、トリヒドロキシシリル基に変化する様が簡略的に示される。
Figure 2019135295
(式中、Rは前記のRまたはRを示す。Yは繰り返し単位の数を表す整数である。)
一般に、分子中にアルコキシシリル基を有する物質は、シランカップリング剤として作用することが知られている。例えば、銅と樹脂材料との接着を例に挙げると、本発明の実施において使用するトリアゾールシラン化合物は、分子中にトリアゾール環とアルコキシシリル基(−Si−OR)を有しており、トリアゾール環は、樹脂および銅と相互作用し、化学結合を形成する。また、アルコキシシリル基は加水分解を受けて、ヒドロキシシリル基(−Si−OH)に変換され、このヒドロキシシリル基は銅の表面に点在する酸化銅と化学結合する。従って、銅と表面処理剤を接触させることにより、銅の表面にはトリアゾール環やヒドロキシシリル基との結合により、化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物に由来する化成皮膜が形成されて、この化成皮膜の表面に樹脂層を形成させた場合には、銅の表面に直に樹脂層を形成させる場合に比べて、銅と樹脂との接着性を高めることができる。
本発明の実施においては、表面処理剤中における化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物の濃度が、トリアルコキシ体のトリアゾールシラン化合物(Ia)の濃度に換算して、0.001〜10重量%であることが好ましく、0.01〜5重量%であることがより好ましい。この濃度が0.001重量%未満である場合には、接着性の向上効果が十分ではなく、この濃度が10重量%を超える場合には、接着性の向上効果がほぼ頭打ちとなり、トリアゾールシラン化合物の使用量が増えるばかりで経済的ではない。
ところで、表面処理剤中に生成したヒドロキシシリル基を有する、例えば、前述のトリアゾールシラン化合物(Ib)〜(Id)は、徐々に、互いに反応して脱水縮合し、ヒドロキシシリル基がシロキサン結合(Si−O−Si)を形成し(スキーム(D)参照)、水に溶け難いシランオリゴマー(スキーム(D)中の化学式(e)で示される基を有するトリアゾールシラン化合物)に変換される。
表面処理剤中におけるシランオリゴマーの生成量が多くなると、不溶解分が析出して(表面処理剤が白濁し)、処理槽や処理槽に接続された配管、表面処理剤中に浸漬された該処理剤の温度や液面を検出するためのセンサー類に付着し、円滑な表面処理が阻害される惧れがある。これを避けるために、水に難溶性であるシランオリゴマーの溶解剤として、有機溶剤を表面処理剤中に含有させることが好ましい。有機溶剤の含有量については、水100重量部に対して、0.1〜900重量部の割合とすることが好ましく、1〜500重量部とすることがより好ましいが、特にこの割合に規定されるものではない。この有機溶剤としては、前述の有機溶剤として例示したものを使用できる。
本発明の表面処理剤の調製においては、トリアゾールシラン化合物(Ia)の加水分解を促進させるために、酢酸や塩酸等の酸、あるいは、水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカリを使用してもよい。
同様に、表面処理剤の安定性や化成皮膜の均一性を向上させるために、塩素イオン、臭素イオン等のハロゲンイオンや銅イオン、鉄イオン、亜鉛イオンなどの金属イオンを生成する物質を使用することもできる。
また、本発明の効果を損なわない範囲において、公知のカップリング剤を併用してもよい。公知のカップリング剤としては、チオール基(メルカプト基)、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、アミノ基、クロロプロピル基等を有するシラン系カップリング剤が挙げられる。
このようなシラン系カップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン化合物、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン化合物、p−ビニルフェニルトリメトキシシラン等のビニルフェニルシラン化合物、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン化合物、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリロキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシシラン化合物、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン化合物、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピルシラン化合物、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィドシラン化合物、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン化合物等を挙げることができる。その他、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等も挙げることができる。
なお、本発明の表面処理剤は、前記のほか、適用する被処理材(後述)の種類、用途等に応じて、適宜の添加剤を含有していてもよい。
[被処理材]
本発明の表面処理剤を適用する被処理材としては、例えば、金属、無機材料、樹脂材料等から形成された粒状、針状、繊維状、薄膜状、板状、無定形等のものが挙げられる。
前記の金属としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、スズ、鉄、銀、金およびこれらの合金等が挙げられる。前記合金の具体例としては、銅合金では、銅を含む合金であれば特に限定されず、例えば、Cu−Ag系、Cu−Te系、Cu−Mg系、Cu−Sn系、Cu−Si系、Cu−Mn系、Cu−Be−Co系、Cu−Ti系、Cu−Ni−Si系、Cu−Zn−Ni系、Cu−Cr系、Cu−Zr系、Cu−Fe系、Cu−Al系、Cu−Zn系、Cu−Co系等の合金が挙げられる。また、その他の合金では、アルミニウム合金(Al−Si合金)、ニッケル合金(Ni−Cr合金)、鉄合金(Fe−Ni合金、ステンレス)等が挙げられる。これらの金属の中では、銅および銅合金が好ましい。
また、金属の態様としては、プリント配線板、リードフレーム等の電子デバイス、装飾品、建材等に使用される箔(例えば、電解銅箔、圧延銅箔)、めっき膜(例えば、無電解銅めっき膜、電解銅めっき膜)、蒸着法、スパッタ法、ダマシン法等により形成された薄膜や、粒状、針状、繊維状、線状、棒状、管状、板状等の用途・形態において使用されるものが挙げられる。なお、近年の高周波の電気信号が流れる銅配線の場合には、銅の表面は平均粗さが0.1μm以下の平滑面であることが好ましい。銅の表面に、前処理として、ニッケル、亜鉛、クロム、スズ等のめっきを施してもよい。
前記の無機材料としては、例えば、シリコン、セラミックや、フィラーとして使用されるカーボン、無機塩およびガラス等が挙げられる。具体的には、シリコン、炭化ケイ素、シリカ、ガラス、珪藻土、珪酸カルシウム、タルク、硝子ビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト等のケイ素化合物、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化チタン等の酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム、石膏等の硫酸塩、チタン酸バリウム等のチタン酸塩、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、鱗片状黒鉛(天然黒鉛)、膨張黒鉛、膨張化黒鉛(合成黒鉛)等のグラファイト類、活性炭類、炭素繊維類、カーボンブラック等が挙げられる。これらの無機材料の中では、シリコン、セラミック(アルミナ、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素やチタン酸バリウム)、ガラスおよび無機塩が好ましい。
前記の樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の何れであってもよい。具体的には、耐熱性や絶縁性に優れた、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリブタジエン樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶樹脂等が挙げられ、これらを混合したり、互いに変性したりして、組み合わせたものであってもよい。また、これらの樹脂の重合度に特に制限はなく、表面処理後に、適宜重合(硬化)したものであってもよい。これらの樹脂材料の中では、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂およびポリイミド樹脂が好ましい。
[表面処理方法]
本発明の表面処理剤を被処理材の表面に接触させる方法としては、特に制限はなく、浸漬、塗布、スプレー等の手段を採用することができる。表面処理剤と被処理材を接触させる時間(処理時間)については、1秒〜10分とすることが好ましく、5秒〜3分とすることがより好ましい。処理時間が1秒未満の場合には、被処理材表面に形成される皮膜の膜厚が薄くなり、材質の異なる材料間の接着力が十分に得られず、一方10分より長くしても、皮膜の膜厚に大差はなく、接着性の向上も期待できない。また、表面処理剤を被処理材表面に接触させる際の該処理剤の温度については、5〜50℃とすることが好ましいが、前記の処理時間との関係において、適宜設定すればよい。
本発明の表面処理剤と被処理材を接触させた後は、水洗してから乾燥してもよいし、水洗せずに乾燥させてもよい。乾燥は、室温〜150℃の温度とすることが好ましい。なお、水洗に使用する水としては、イオン交換水や蒸留水等の純水が好ましいが、水洗の方法や時間には特に制限なく、スプレーや浸漬等の手段による適宜の時間で構わない。
本発明の表面処理剤を金属の表面に接触させる場合は、その前に、当該金属の表面に、酸洗処理、アルカリ洗処理、粗化処理、耐熱処理、防錆処理または化成処理から選択される少なくとも1つの前処理を行ってもよい。
また、本発明の表面処理剤を無機材料または樹脂材料の表面に接触させる場合は、その前に、当該無機材料または樹脂材料の表面に、酸洗処理、アルカリ洗処理、粗化処理または耐熱処理から選択される少なくとも1つの前処理を行ってもよい。
前記の酸洗処理は、金属、無機材料または樹脂材料の表面に付着した油脂成分を除去する為と、金属の表面の酸化皮膜を除去する為に行うものである。この酸洗処理には、塩酸系溶液、硫酸系溶液、硝酸系溶液、硫酸−過酸化水素系溶液、有機酸系溶液、無機酸−有機溶媒系溶液、有機酸−有機溶媒系溶液等の溶液を使用することができる。
前記のアルカリ洗処理は、金属、無機材料または樹脂材料の表面に付着した油脂成分を除去する為に行うものである。このアルカリ洗処理には、水酸化ナトリウム系溶液、水酸化カリム系溶液、水酸化マグネシウム系溶液、水酸化カルシウム系溶液、アミン系溶液、無機アルカリ−有機溶媒系溶液、アミン−有機溶媒系溶液等の溶液を使用することができる。
前記の粗化処理は、金属、無機材料または樹脂材料の表面に凹凸形状を形成して、そのアンカー効果により金属、無機材料および樹脂材料から選択される2つの材料の接着性(密着性)を高める為に行うものである。この粗化処理には、デスミア法、プラズマエッチング法、金属スパッタリング法、無電解めっき法、電気めっき法、防錆処理、酸化・還元法、ブラシ研磨法、ジェットスクラブ法等の方法を採用することができる。
デスミア法においては、例えば、過マンガン酸カリウム塩系や過マンガン酸ナトリウム塩系のデスミア剤を使用することができる。また、デスミア法による粗化処理前後に膨潤処理や中和処理を行っても良い。
金属スパッタリング法や無電解めっき法においては、金属、無機材料または樹脂材料の表面に微細な金属粒子を析出させることにより、金属、無機材料または樹脂材料の表面に凹凸を形成させる。
前記の耐熱処理は、金属、無機材料または樹脂材料の表面に、ニッケル、ニッケル−リン、亜鉛、亜鉛−ニッケル、銅−亜鉛、銅−ニッケル、銅−ニッケル−コバルトまたはニッケル−コバルトから選択される少なくとも1種の皮膜が形成される。
この皮膜の形成においては、公知の無電解めっき法を採用することができるが、蒸着その他の手段であってもよい。
前記の防錆処理は、金属の表面が酸化腐食することを防止する為に行うものであり、金属の表面に、亜鉛または亜鉛合金組成のめっき皮膜や、電解クロメートのめっき皮膜を形成させる方法を採用することができる。
前記の化成処理は、スズの不動態皮膜を形成する方法や、酸化銅の不動態皮膜を形成する方法を採用することができる。
本発明の表面処理剤を金属、無機材料または樹脂材料の表面に接触させる場合は、その前に、銅イオンを含む水溶液を当該金属、無機材料または樹脂材料の表面に接触させてもよい。この銅イオンを含む水溶液は、金属、無機材料または樹脂材料の表面に形成される化成皮膜の厚みを均一にさせる機能を有する。銅イオンを含む水溶液の銅イオン源としては、水に溶解する銅塩であれば特に限定されず、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、ギ酸銅、酢酸銅等の銅塩が挙げられる。銅塩を水に可溶化するために、アンモニアや塩酸等を併用してもよい。
また、本発明の表面処理剤を金属、無機材料または樹脂材料の表面に接触させた後に、酸性水溶液またはアルカリ性水溶液を当該金属、無機材料または樹脂材料の表面に接触させてもよい。この酸性水溶液またはアルカリ性水溶液も、前記の銅イオンを含む水溶液と同様に、金属、無機材料または樹脂材料の表面に形成される化成皮膜の厚みを均一にさせる機能を有する。
酸性水溶液またはアルカリ性水溶液は、特に限定されないが、酸性水溶液としては、硫酸、硝酸、塩酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、乳酸、グリコール酸、アミノ酸等の有機酸を含む水溶液等を挙げることができる。アルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、アンモニア、エタノールアミン、モノプロパノールアミン等のアミン類を含む水溶液を挙げることができる。
本発明の表面処理剤を前記の金属、無機材料または樹脂材料の表面に接触させる前あるいは接触させた後に、プラズマ、レーザー、イオンビーム、オゾン、加熱もしくは加湿等の処理を行い、金属、無機材料または樹脂材料の表面を改質してもよい。また、プラズマ、レーザー、イオンビーム、パーミス・ブラシ等の機械研磨やドリル等の加工により、金属、無機材料または樹脂材料の樹脂・イオン残渣除去を目的とした洗浄を行ってもよい。
とりわけ、金属めっきを行う工程あるいは、部品を実装する工程において、本発明の表面処理剤を接触させた金属の表面に、プラズマ、レーザー、イオンビーム、オゾン、加熱もしくは加湿等の処理を行い、表面改質や、残渣除去を目的とした洗浄を行うことが好ましい。
また、金属めっきを行う工程あるいは、部品を実装する工程において、本発明の表面処理剤を接触させた金属の表面に、密着性を向上させる為に、有機皮膜や金属皮膜等を形成させるプライマー処理を行ってもよい。
これらの前処理および後処理は、適宜に組み合わせて実施してもよい。
本発明の表面処理剤は、前記の金属の表面処理に、好適に使用することができる。本発明の表面処理剤を使用して金属の表面を処理することで、金属表面に皮膜を形成し、他の材料との接着性を高めることができる。この皮膜は耐熱性が高く、例えば、はんだリフロー加熱(260℃程度)によっても接着力は保持される。
なお、この処理による効果を高めるために、表面処理した被処理材を加熱処理してもよい。
本発明の表面処理剤を使用した表面処理方法によれば、金属と樹脂の接着性を高める為の化成皮膜を、金属の表面に形成させることができる。そして、当該化成皮膜を、金属と樹脂を接着させた後の、有機溶剤や腐食性の薬液が接触する場合等において、有機溶剤や腐食性の薬液に冒されることのない、耐薬品性に優れた強固な化成皮膜とすることができる。
また、このような表面処理方法は、例えば、銅回路(銅配線層)と、プリプレグ、ソルダーレジスト(絶縁樹脂層)や、金めっき、銀めっき、ニッケルめっき、パラジウムめっき、錫めっき、半田めっき等のめっきレジスト、あるいはエッチングレジストなどのドライフィルムレジスト層との間の接着性(密着性)を高めることを目的とする銅の表面処理に好適である。
[接着方法]
本発明の実施において、前記の金属、無機材料、樹脂材料から選択される2つの材料を本発明の表面処理剤を使用して接着させることができる。本発明の表面処理剤により形成される皮膜を介して2つの材料を接着することで、互いの親和性を向上させることができるため、材質の異なる材料同士であってもより強固に接着することができる。前記皮膜の厚みは、0.0001〜1μm、好ましくは0.001〜0.5μmである。
接着方法としては、公知の方法を採用することができる。金属、無機材料または樹脂材料から選択される被処理材の表面に、本発明の表面処理剤を接触させて皮膜を形成し、形成した皮膜の一部または全体に、他の被処理材を塗布、圧着、混合する等の手段や、接着剤、接着シート(フィルム)の利用や、これらの手段を組合わせて接着する方法が挙げられる。
また、金属、無機材料、樹脂材料から選択される2つの被処理材の表面に、本発明の表面処理剤を接触させて、それぞれの表面に皮膜を形成し、2つの被処理材を圧着、混合する等の手段や、接着剤、接着シート(フィルム)の利用や、これらの手段を組合わせて接着する方法が挙げられる。
このような接着方法によれば、前述の場合と同様に、銅回路と、プリプレグやソルダーレジスト、金めっき、銀めっき、ニッケルめっき、パラジウムめっき、錫めっきや半田めっき等のめっきレジスト、あるいはエッチングレジストなどのドライフィルムレジスト層との間の接着性を高めることができる。
即ち、銅回路と前記のレジスト類(樹脂)との接着部が、各種めっき工程やはんだ付工程、エッチング工程において使用される種々の腐食性の薬液(薬剤)に曝されても、劣化し難いので、銅と樹脂との良好な接着性(密着性)を保持することができる。
これらの工程に使用される薬液としては、各種めっき処理の前処理に使用される塩酸、硫酸等の酸洗用水溶液や、水酸化ナトリウム、アミン類を含むアルカリ性脱脂剤、有機溶剤、過酸化水素−硫酸、過硫酸塩等の銅エッチング剤、過マンガン酸塩等の樹脂酸化剤(デスミア溶液)、銅めっき、金めっき、銀めっき、ニッケルめっき、パラジウムめっき、錫めっき等の各種めっき薬剤、半田めっき、半田付け時に使用されるポストフラックス等が挙げられる。
なお、前記の有機溶剤とは、種々の分野で一般的に使用されているものであり、例えば、本願明細書の段落0029や同0033で例示されたものを包含する。
前記の銅回路については、無電解めっき法、電解めっき法、蒸着法、スパッタ法、ダマシン法等どのような方法で作製されたものでもよく、インナービアホール、スルーホール、接続端子等を含んだものでもよい。
[表面処理剤の利用]
本発明の表面処理剤を使用することにより、前記のように2つの材料、特に材質の異なる2つの材料を接着させることができるので、電気・電子用途(各種電気・電子部品やプリント配線板等の電子デバイス)、建築用途、土木用途、自動車用途、医療材料用途等に好適に利用することができる。
本発明の表面処理剤は、金属、特に銅または銅合金から形成される被処理材に対して、好適に使用することができる。例えば、銅回路(銅配線層)と、半硬化または硬化したプリプレグやソルダーレジスト、半硬化または硬化したドライフィルム(絶縁樹脂層)との間の接着性(密着性)を高めることを目的とする場合に好適であり、銅配線層に接して絶縁樹脂層を有するプリント配線板において、銅配線層と絶縁樹脂層との間の接着性を高めることができる。
本発明の表面処理剤を、材料の表面処理に使用した例として、当該表面処理剤による処理により形成された皮膜を有する銅箔、プリプレグ、銅張積層板、層間絶縁材、シート状部材や、銅箔と樹脂層とが当該表面処理剤による皮膜を介して積層された樹脂付銅箔の他、これらの部材を備えたプリント配線板等を挙げることができる。
前記のプリント配線板は、例えば、本発明の表面処理剤と銅配線層の表面を接触させて、次いで水洗・乾燥した後、銅配線層表面に絶縁樹脂層を形成させることにより製造することができる。この接触の方法については、前述のとおりであり、表面処理剤中への銅配線層の浸漬または該表面処理剤による銅配線層表面へのスプレー等が、簡便かつ確実であり好ましい。
また、銅配線層表面に絶縁樹脂層を形成させた後に、部品の実装や上下の配線を導通させる為の、絶縁樹脂を一部取り除く工程においては、銅回路上の残渣除去と併せて、プラズマ、レーザー、イオンビーム、パーミス・ブラシ等の機械研磨や、ドリル等の加工、酸性水溶液、アルカリ性水溶液または溶剤等による洗浄を、単独または組み合わせて行ってもよい。
前記の水洗の方法に制限はないが、洗浄水中への銅配線層の浸漬または洗浄水による銅配線層表面へのスプレーが簡便かつ確実であり好ましい。前記の絶縁樹脂層の形成には、公知の方法、例えば半硬化の樹脂材料を貼り付ける方法や溶剤を含む液状の樹脂材料を塗布する手段等を採用することができる。次いで、上下の配線を導通させる為に、ビアホールを形成する。このプロセスを繰り返すことにより、多層プリント配線板を製造できる。
また、本発明に係る「銅」とは、前述の場合と同様であるが、プリント配線板、リードフレーム等の電子デバイス、装飾品、建材等に使用される箔(電解銅箔、圧延銅箔)、めっき膜(無電解銅めっき膜、電解銅めっき膜)、蒸着法、スパッタ法、ダマシン法等により形成された薄膜や、粒状、針状、繊維状、線状、棒状、管状、板状等の用途・形態において使用されるものである。なお、近年の高周波の電気信号が流れる銅配線の場合には、銅の表面は平均粗さが0.1μm以下の平滑面であることが好ましい。銅の表面に、前処理として、ニッケル、亜鉛、クロム、スズ等のめっきを施してもよい。
ところで、特開2009−19266号公報には、金属表面にシランカップリング剤を含む液を塗布する工程と、前記液を塗布した金属表面を、25〜150℃の温度で且つ5分以内で乾燥を行う工程と、乾燥させた金属表面を水洗する工程を含むことを特徴とするシランカップリング剤皮膜の形成方法に関する発明が記載されている。また、前記金属表面には、予め表面処理として、浸漬めっき液によりスズ等の接着性金属層を形成してよいとされている。本発明の表面処理剤は、前記のシランカップリング剤を含む液として使用することができるものである。なお、この特許公報に記載された事項は、引用により本明細書の一部を成すものとする。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、樹脂またはその硬化前化合物と、前記化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物を含有する。
前記「樹脂またはその硬化前化合物」は、熱可塑性樹脂、熱または活性エネルギー線硬化性樹脂(硬化物)、それらの原料モノマー、該モノマーの部分重合物または半硬化物を包含する。熱または活性エネルギー線硬化性樹脂の場合、Aステージ樹脂、Bステージ樹脂およびCステージ樹脂から選択される何れの状態の樹脂であってもよい。
前記の樹脂としては、耐熱性や絶縁性に優れた、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶樹脂等が挙げられ、これらを混合したり、互いに変性したりして、組み合わせたものであってもよい。これらの樹脂材料の中では、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂およびポリイミド樹脂が好ましい。
本発明の樹脂組成物中の前記化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物の含有量は、0.001〜10重量%であることが好ましく、0.01〜5重量%であることがより好ましい。該トリアゾールシラン化合物の含有量が0.001重量%未満である場合には、接着性の向上効果が十分ではなく、この含有量が10重量%を超える場合には、接着性の向上効果がほぼ頭打ちとなり、トリアゾールシラン化合物の使用量が増えるばかりで経済的ではない。
当該樹脂組成物には、樹脂またはその硬化前化合物と、化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物のほか、用途等に応じて、溶媒(水、有機溶剤、水と有機溶剤の混合液)、添加剤(硬化剤、硬化促進剤、難燃剤、染料、顔料、紫外線吸収剤、滑剤、フィラーなど)等を適宜量含んでいてもよい。前記有機溶剤としては、前述の有機溶剤(可溶化剤)として例示したものを使用できる。
当該樹脂組成物は公知の方法により調製することができる。例えば、化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物を有機溶剤に溶解させ、固形または液状の樹脂材料に混合することにより、樹脂組成物を調製することができる。また、化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物を液状の樹脂材料に直接添加して混合して、樹脂組成物を調製してもよい。
[樹脂組成物の利用]
本発明の樹脂組成物は、化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物を含むので、硬化後の樹脂層は、隣接する層や部材、例えば、金属または無機材料の層や部材と高い強度で密着(接着)する。そのため、各種電気・電子用途(電気・電子部品等や、プリント配線板等の電子デバイス)、建築用途、土木用途、自動車用途、医療材料用途等に好適に利用することができる。
本発明の樹脂組成物を使用する具体例としては、例えば、本発明の樹脂組成物から構成されたソルダーレジストインク、該ソルダーレジストインクにより形成されたソルダーレジストを備えるプリント配線板、基材(紙、ガラスクロス、ガラス不織布等)と本発明の樹脂組成物から構成されたプリプレグ、該プリプレグと銅箔から構成された銅張積層板、本発明の樹脂組成物から構成された層間絶縁材(層間絶縁膜等)、銅箔と、本発明の樹脂組成物により形成された樹脂層とから構成された樹脂付銅箔、本発明の樹脂組成物により形成された樹脂層を備えるプリント配線板、本発明の樹脂組成物から構成された半導体封止材料等を挙げることができる。
前記ソルダーレジストは、化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物と、樹脂またはその硬化前化合物(硬化性化合物)とを含む本発明の樹脂組成物からなるソルダーレジストインクを適宜の基板上に塗布し、乾燥して形成される硬化性樹脂層を、熱や活性エネルギー線を使用して硬化させることにより得られる。
前記プリント配線板は、前記ソルダーレジストインクを使用して公知の方法で製造できる。前記プリプレグは、例えば、基材(紙、ガラスクロス、ガラス不織布等)に本発明の樹脂組成物を塗布したり、前記基材を当該樹脂組成物中に浸漬して含浸させることにより製造できる。
前記銅張積層板は、前記のプリプレグと銅箔とを積層することにより製造できる。
前記層間絶縁材は、本発明の樹脂組成物を適宜の基板上に塗布し、乾燥、半硬化または硬化させることにより製造できる。
前記樹脂付銅箔は、銅箔上に本発明の樹脂組成物を塗布し、乾燥、半硬化または硬化させることにより製造できる。
前記プリント配線板における「本発明の樹脂組成物により形成された樹脂層」は、形状を問わず、層状に形成されたものであればよいが、好ましくは、前記ソルダーレジスト、プリプレグ、層間絶縁材、樹脂付銅箔における樹脂である。本発明の樹脂組成物は半導体封止材料として好適に使用することができる。
また、本発明の表面処理剤や樹脂組成物を適用した部材には、優れた接着性、耐熱性、絶縁性等を付与できるので、必要に応じて適宜の助剤を含有させることにより、導電性ペースト、アンダーフィル、ダイアタッチ材、半導体チップマウンティング材、非導電性接着剤、液晶シール剤、ディスプレイ材料、リフレクター、塗料、接着剤、硬化剤、ワニス、エラストマー、インク、ワックス、シール剤等とすることができる。
以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例において使用したシランカップリング剤成分(トリアゾールシラン化合物)の合成例を、参考例1−1〜参考例6−1に示した。そして、比較例において使用したシランカップリング剤成分(イミダゾールシラン化合物)の合成例を、参考例7に示した。
なお、参考例1−1〜参考例6−1において、原料として使用した前駆体(トリアゾールシラン化合物)の合成例を、参考例1−2〜参考例6−2に示した。
また、これらの参考例において使用した主原料は、以下のとおりである。
[参考例において使用した主原料]
・3−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール:東京化成工業社製
・3−メチル−5−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール:特表平5−509176号公報に記載の方法に準拠して合成した。
・3−アミノ−5−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール:東京化成工業社製
・3−フェニル−5−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール:特表平5−509176号公報に記載の方法に準拠して合成した。
・3−ベンジル−5−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール:特表平5−509176号公報に記載の方法に準拠して合成した。
・3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製
・3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン:信越化学工業社製、商品名「KBE−9007」
・(3−ヨードプロピル)トリメトキシシラン:ALDRICH社製
・(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン:信越化学工業社製、商品名「KBM−703」
・(3−クロロプロピル)トリエトキシシラン:東京化学工業社製
〔参考例1−1〕
<N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミドの合成>
3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール10.0g(38mmol)をテトラヒドロフラン50mlに溶解し、トリエチルアミン0.7g(7mmol)を加えた後、室温下、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン7.8g(38mmol)を滴下した。滴下終了後、65℃で4時間加熱撹拌し、反応液を減圧下で揮発分を留去して、無色液体として化学式(Ia-1)で示される標題のトリアゾールシラン化合物17.8g(38.0mmol、収率100%)を得た。
Figure 2019135295
〔参考例1−2〕
<前駆体である3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾールの合成>
3−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール3.0g(30mmol)および脱水メタノール50mlからなる懸濁液を10℃に冷却し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液5.8g(30mmol)を加えて均一な溶液にした後、室温に戻して30分間撹拌した。これに、(3−ヨードプロピル)トリメトキシシラン8.7g(30mmol)および脱水メタノール10mlからなる溶液を10分間かけて滴下し、更に27〜30℃で3時間30分間撹拌した。
反応液を減圧濃縮して得られた12.5gの白色粘稠物をジエチルエーテル40mlで3回抽出し、抽出液から不溶物をろ去後、ろ液を減圧濃縮し微黄褐色油状の標題のトリアゾール化合物7.3g(27.7mmol、収率92.3%)を得た。
〔参考例2−1〕
<N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−メチル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミドの合成>
3−メチル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール8.40g(30mmol)およびテトラヒドロフラン50mlからなる溶液に、室温下、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン6.28g(31mmol)を5分間かけて滴下した後、10分間撹拌した。これに、トリエチルアミン1.2g(12mmol)を加え63℃で5時間撹拌した。
反応液を減圧下で揮発分を留去して、淡黄色液体として化学式(Ia-2)で示される標題のトリアゾールシラン化合物14.2g(29.4mmol、収率98.1%)を得た。
Figure 2019135295
〔参考例2−2〕
<前駆体の3−メチル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾールの合成>
3−メチル−5−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール25.0g(0.217mol)および脱水N,N−ジメチルホルムアミド120mlからなる溶液に、室温下、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液42.0g(0.218mol)を加えて20分間撹拌した。これに、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン43.1g(0.217mol)を加え、更に76℃で3時間撹拌した。
反応液を室温まで冷却した後、不溶物をろ去し、ろ液を減圧乾固して白色固体の標題のトリアゾール化合物60.7g(0.219mol、収率100.8%)を得た。
〔参考例3−1〕
<N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−アミノ−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミドの合成>
3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール8.34g(30mmol)をテトラヒドロフラン50mlに溶解し、これにトリエチルアミン0.7g(7mmol)を加えた後、室温下、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン6.15g(30mmol)を滴下した。滴下終了後、65℃で4時間加熱撹拌し、反応液を減圧下で揮発分を留去して、淡黄色液体として化学式(Ia-3)で示される標題のトリアゾールシラン化合物15.8g(30.0mmol、収率100%)を得た。
Figure 2019135295
〔参考例3−2〕
<前駆体の3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾールの合成>
3−アミノ−5−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール6.96g(60mmol)および脱水メタノール100mlからなる懸濁液を10℃に冷却し、ナトリウムメトキシド(固体)3.24g(60mmol)を加えて均一な溶液にした後、室温に戻して30分間撹拌し、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン17.42g(60mmol)および脱水メタノール20mlからなる溶液を30分間かけて滴下し、更に27〜30℃にて3時間30分撹拌した。
反応液を減圧濃縮し得られた白色粘稠物26.4gをジエチルエーテル100mlで3回抽出し、抽出液をろ過後、減圧濃縮し微黄褐色油状物の標題のトリアゾール化合物9.20g(33mmol、収率55.1%)を得た。
〔参考例4−1〕
<N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−アミノ−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミドの合成>
3−アミノ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール9.6g(30mmol)をテトラヒドロフラン50mlに溶解し、これにトリエチルアミン0.7g(7mmol)を加えた後、室温下、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン7.4g(30mmol)を滴下した。滴下終了後、65℃で4時間加熱撹拌し、反応液を減圧下で揮発分を留去して、淡黄色液体として化学式(Ia-4)で示される標題のトリアゾールシラン化合物17.0g(30.0mmol、収率100%)を得た。
Figure 2019135295
〔参考例4−2〕
<前駆体の3−アミノ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾールの合成>
3−アミノ−5−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール3.48g(30mmol)および脱水エタノール50mlからなる懸濁液を10℃に冷却し、20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液10.2g(30mmol)を加えて均一な溶液にした後、室温に戻して30分間撹拌した。これに、(3−クロロプロピル)トリエトキシシラン6.74g(30mmol)および脱水エタノール10mlからなる溶液を10分間かけて滴下し、更に78℃で6時間撹拌した。
反応液を減圧濃縮して得られた10.8gの白色粘稠物をジエチルエーテル40mlで3回抽出し、抽出液から不溶物をろ去後、ろ液を減圧濃縮し低融点結晶性固体の標題のトリアゾール化合物8.2g(25.7mmol、収率85.6%)を得た。
〔参考例5−1〕
<N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−フェニル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミドの合成>
3−フェニル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール9.50g(28mmol)およびテトラヒドロフラン50mlからなる溶液に、室温下、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン5.74g(28mmol)を5分間かけて滴下した後、10分間撹拌した。これに、トリエチルアミン1.14g(11mmol)を加え63℃で4時間30分間撹拌した。
反応液を減圧下で揮発分を留去して、淡黄色液体として化学式(Ia-5)で示される標題のトリアゾールシラン化合物14.62g(26.8mmol、収率95.8%)を得た。
Figure 2019135295
〔参考例5−2〕
<前駆体の3−フェニル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾールの合成>
3−フェニル−5−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール25.0g(0.141mol)および脱水N,N−ジメチルホルムアミド140mlからなる懸濁液に、室温下、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液27.3g(0.142mol)を加えて20分間撹拌した。これに、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン28.0g(0.141mol)を加え、更に73℃で4時間撹拌した。
反応液を室温まで冷却し、不溶物をろ去し、ろ液を減圧乾固して淡黄色固体の標題のトリアゾール化合物49.8g(0.147mol、収率104.0%)を得た。
〔参考例6−1〕
<N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−ベンジル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミドの合成>
3−ベンジル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール9.03g(26mmol)およびテトラヒドロフラン50mlからなる溶液に、室温下、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン5.23g(25mmol)を5分間かけて滴下した後、10分間撹拌した。これに、トリエチルアミン1.0g(10mmol)を加え63℃で5時間撹拌した。
反応液を減圧下で揮発分を留去して、淡黄色液体として化学式(Ia-6)で示される標題のトリアゾールシラン化合物13.73g(24.6mmol、収率98.3%)を得た。
Figure 2019135295
〔参考例6−2〕
<前駆体の3−ベンジル−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾールの合成>
3−ベンジル−5−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール25.0g(0.131mol)および脱水N,N−ジメチルホルムアミド120mlからなる溶液に、室温下、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液25.6g(0.133mol)を加えて10分間撹拌した。これに、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン26.2g(0.132mol)を加え、更に73℃で3時間撹拌した。
反応液を室温まで冷却し、不溶物をろ去し、ろ液を減圧濃縮して淡黄色液体の標題のトリアゾール化合物48.0g(0.134mol、収率102.2%)を得た。
〔参考例7〕
<イミダゾールシラン化合物の合成>
イミダゾール3.4g(0.05mol)を95℃で融解し、アルゴン雰囲気下で撹拌しながら、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名「KBM−403」)11.8g(0.05mol)を30分間かけて滴下した。滴下終了後、更に95℃の温度で1時間反応させた。
反応生成物は透明な橙色の粘稠な液体として得られた(特開平5−186479号公報から引用)。
注:特開平5−186479号公報によると、反応生成物は、化学式(IV-1)〜(IV-3)で示されるイミダゾールシラン化合物の混合物とされている。
Figure 2019135295
実施例1〜6および比較例1〜3において採用した接着性の評価試験(a)〜(g)は、次のとおりである。
[接着性の評価試験(a)]
(1)金属
金属として、電解銅箔(厚み:18μm)を使用した。
(2)金属の表面処理
以下の工程イ〜ハに従って行った。
イ.酸清浄(5%硫酸水溶液)/1分間(室温)、水洗
ロ.酸清浄(同上)/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
ハ.表面処理剤に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)金属と樹脂の接着
処理した電解銅箔のS面に、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレスし、銅箔とプリプレグを接着して銅張積層板を作製した。
(4)接着性の評価
この銅張積層板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、プレッシャークッカー処理(121℃/湿度100%/100時間)した後、銅箔の引き剥がし強さを測定した。
[接着性の評価試験(b)]
電解銅箔のS面に、「ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレス」する代わりに、「ビルドアップ配線板用樹脂(味の素ファインテクノ社製、品名「GX−13」)をラミネート」した以外は、評価試験(a)と同様の手順で、銅箔と樹脂の接着性を評価した。
[接着性の評価試験(c)]
(1)金属
金属として、両面銅張積層板(基材:FR4,板厚:1.0mm,銅箔厚:18μm,縦120mm×横110mm)の電解銅箔を利用した。
(2)金属の表面処理
以下の工程イ〜ニに従って行った。
イ.酸清浄/1分間(室温)、水洗
ロ.過酸化水素・硫酸によるマイクロエッチング/1分(室温)、水洗
ハ.酸清浄/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
ニ.表面処理剤に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)金属への樹脂層の形成
処理した電解銅箔に、ソルダーレジストインク(太陽インキ製造社製、アクリレート・エポキシ樹脂、品名「PSR−4000AUS308」)を塗布した後、乾燥(80℃/30分)、硬化(150℃/60分)を行って、13μm厚の樹脂層(塗膜)を形成させた。
(4)接着性の評価
「JIS K5400−8.5(1990)」に従って、電解銅箔に形成した塗膜を1mm×1mmの碁盤目にクロスカット(100マス)し、プレッシャークッカー処理(121℃/湿度100%/100時間)した後、テープピールテストを行い、塗膜が剥離しないマス目の数を計測した。また、塗膜の傷み具合を目視にて観察した。
なお、接着性の判定基準を、表1に示した。
Figure 2019135295
[接着性の評価試験(d)]
(1)金属
金属として、アルミ箔(厚み:50μm)を使用した。
(2)金属の表面処理
以下の工程イ〜ロに従って行った。
イ.酸清浄/1分間(室温)、水洗
ロ.表面処理剤に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)金属と樹脂の接着
処理したアルミ箔に、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレスし、アルミ箔とプリプレグを接着して積層板を作製した。
(4)接着性の評価
この積層板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、アルミ箔の引き剥がし強さを測定した。
[接着性の評価試験(e)]
(1)樹脂材料
樹脂材料として、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を使用した。
(2)樹脂材料の表面処理
プリプレグの表面に、スプレー方式による表面処理剤の処理を行った。
(3)樹脂材料と銅箔の接着
処理したプリプレグに、電解銅箔(厚み:35μm)S面を積層プレスし、プリプレグと銅箔を接着して銅張積層板を作製した。
(4)接着性の評価
この銅張積層板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、銅箔の引き剥がし強さを測定した。
[接着性の評価試験(f)]
(1)無機材料の表面処理
表面処理剤100重量部に対して硫酸バリウムを10重量部添加して5分間撹拌した。続いて、硫酸バリウムを濾別し、100℃のオーブンで1時間乾燥して、シランカップリング剤成分が担持された硫酸バリウムを調製した。
(2)樹脂組成物の調製
ソルダーレジストインク(前記と同様)100重量部に対して、シランカップリング剤成分が担持された硫酸バリウムを1重量部添加し、30分間撹拌を行い、樹脂組成物(ソルダーレジストインク組成物)を調製した。
(3)プリント配線板の作製
得られた樹脂組成物を、両面銅張積層板(基材:FR4,板厚:1.0mm,銅箔厚:18μm,縦120mm×横110mm)の電解銅箔に塗布した後、150℃のオーブンで1時間加熱して、この樹脂組成物の硬化物と銅箔が接着したプリント配線板を作製した。
(4)接着性の評価
このプリント配線板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、銅箔の引き剥がし強さを測定した。
[接着性の評価試験(g)]
(1)樹脂組成物の調製
ソルダーレジストインク(前記と同様)100重量部に対して、ヒドロキシシリル基を有するシランカップリング剤成分(加水分解物)1重量部を添加し、30分間撹拌を行い、樹脂組成物(ソルダーレジストインク組成物)を調製した。
(2)プリント配線板の作製
得られた樹脂組成物を、両面銅張積層板(基材:FR4,板厚:1.0mm,銅箔厚:18μm,縦120mm×横110mm)の電解銅箔に塗布し後、乾燥(80℃/30分)、硬化(150℃/60分)を行って、この樹脂組成物の硬化物と銅箔が接着したプリント配線板を作製した。
(3)接着性の評価
このプリント配線板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、銅箔の引き剥がし強さを測定した。
〔実施例1〕
シランカップリング剤成分として、『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて1晩撹拌し、表面処理剤(以下、処理液Aという)を調製した。
この処理液Aについて、トリアゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(f)を行った。
続いて、処理液A中の揮発分を減圧下にて除去して、シランカップリング剤成分の加水分解物(ヒドロキシシリル基を有するシランカップリング剤成分)を得た。得られた加水分解物について、接着性の評価試験(g)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
〔実施例2〕
『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』の代わりに、『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−メチル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』を使用した以外は、実施例1と同様にして、表面処理剤(以下、処理液Bという)を調製した。
この処理液Bについて、トリアゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(f)を行った。
また、実施例1と同様にして、処理液Bからシランカップリング剤成分の加水分解物を得て、接着性の評価試験(g)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
〔実施例3〕
シランカップリング剤成分として、『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−アミノ−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水789g、更に酢酸1gを加えて、室温にて2時間撹拌し、表面処理剤(以下、処理液Cという)を調製した。
この処理液Cについて、トリアゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(f)を行った。
また、実施例1と同様にして、処理液Cからシランカップリング剤成分の加水分解物を得て、接着性の評価試験(g)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
〔実施例4〕
『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−アミノ−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』の代わりに、『N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−5−アミノ−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』を使用した以外は、実施例3と同様にして表面処理剤(以下、処理液Dという)を調製した。
この処理液Dについて、トリアゾールシラン化合物のエトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(f)を行った。
また、実施例1と同様にして、処理液Dからシランカップリング剤成分の加水分解物を得て、接着性の評価試験(g)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
〔実施例5〕
シランカップリング剤成分として、『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−フェニル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、50℃にて2時間撹拌し、表面処理剤(以下、処理液Eという)を調製した。
この処理液Eについて、トリアゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(f)を行った。
また、実施例1と同様にして、処理液Eからシランカップリング剤成分の加水分解物を得て、接着性の評価試験(g)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
〔実施例6〕
『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−フェニル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』の代わりに、『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−ベンジル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』を使用した以外は、実施例5と同様にして表面処理剤(以下、処理液Fという)を調製した。
この処理液Fについて、トリアゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(f)を行った。
また、実施例1と同様にして、処理液Fからシランカップリング剤成分の加水分解物を得て、接着性の評価試験(g)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
〔比較例1〕
『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』の代わりに、『イミダゾールシラン化合物』を使用した以外は、実施例1と同様にして表面処理剤(以下、処理液Gという)を調製した。
この処理液Gについて、イミダゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(f)を行った。
また、実施例1と同様にして、処理液Gからシランカップリング剤成分の加水分解物を得て、接着性の評価試験(g)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
〔比較例2〕
『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』の代わりに、『3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、品名「KBM−903」)』を使用した以外は、実施例1と同様にして表面処理剤(以下、処理液Hという)を調製した。
この処理液Hについて、3−アミノプロピルトリメトキシシランのメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(f)を行った。
また、実施例1と同様にして、処理液Hからシランカップリング剤成分の加水分解物を得て、接着性の評価試験(g)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
〔比較例3〕
シランカップリング剤を使用することなく、エチレングリコールブチルエーテル200gと水790gを混合し、室温にて2時間撹拌して、表面処理剤(以下、処理液Iという)を調製した。
この処理液Iについて、接着性の評価試験(a)〜(f)を行ったところ、得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
また、接着性の評価試験(g)については、ソルダーレジストに何も加えずに実施した。得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
Figure 2019135295
実施例7〜11および比較例4〜6において採用した接着性の評価試験(h)は、次のとおりである。
[接着性の評価試験(h)]
(1)金属
金属として、電解銅箔(厚み:18μm)を使用した。
(2)金属の表面処理
以下の3つの処理方法(α〜γ)から選択される何れか1つを実施した。
<処理方法α>
イ.酸清浄(5%硫酸水溶液)/1分間(室温)、水洗
ロ.マイクロエッチング(エッチング量3μm)/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
ハ.表面処理剤に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
<処理方法β>
イ.酸清浄(5%硫酸水溶液)/1分間(室温)、水洗
ロ.マイクロエッチング(エッチング量3μm)/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
ハ.表面処理剤を刷毛塗り、乾燥/1分(100℃)
<処理方法γ>
イ.酸清浄(5%硫酸水溶液)/1分間(室温)、水洗
ロ.マイクロエッチング(エッチング量3μm)/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
ハ.表面処理剤を刷毛塗り、加熱/5分(100℃)、メタノール洗浄、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)金属と樹脂の接着
処理した銅箔のS面に、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレスし、銅箔とプリプレグを接着して銅張積層板を作製した。
(4)接着性の評価
この銅張積層板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、銅箔の引き剥がし強さを測定した。また、リフロー加熱2回後(ピーク温度260℃、大気)の引き剥がし強さについても測定した。
〔実施例7〕
シランカップリング剤成分として、『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−アミノ−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』10gに、水とメタノールの1:1混合液を990g加え、室温にて2時間撹拌し、表面処理剤(以下、処理液Jという)を調製した。
この処理液Jについて、トリアゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(h)(処理方法γ)を行った。
得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
〔実施例8〕
実施例7において調製した処理液Jを使用して、接着性の評価試験(h)(処理方法β)を行った。得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
〔実施例9〕
水とメタノールの1:1混合液の代わりに、メタノールを使用した以外は、実施例7と同様にして、表面処理剤(以下、処理液Kという)を調製した。
この処理液Kについて、接着性の評価試験(h)(処理方法γ)を行った。
得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
〔実施例10〕
処理液Kを使用して、接着性の評価試験(h)(処理方法β)を行った。得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
〔実施例11〕
水とメタノールの1:1混合液の代わりに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて、水790gを加えた以外は、実施例7と同様にして、表面処理剤(以下、処理液Lという)を調製した。
この処理液Lについて、トリアゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(h)(処理方法α)を行った。
得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
〔比較例4〕
『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−アミノ−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』の代わりに、『3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン』(信越化学工業社製、商品名「KBM−803」)を使用した以外は、実施例7と同様にして、表面処理剤(以下、処理液Mという)を調製した。
この処理液Mについて、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランのメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(h)(処理方法γ)を行った。
得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
〔比較例5〕
『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−アミノ−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』の代わりに、『3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン』(信越化学工業社製、商品名「KBM−403」)を使用した以外は、実施例7と同様にして、表面処理剤(以下、処理液Nという)を調製した。
この処理液Nについて、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(h)(処理方法γ)を行った。
得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
〔比較例6〕
シランカップリング剤を使用することなく、メタノール500gと水500gを混合し、室温にて1時間撹拌して、表面処理剤(以下、処理液Oという)を調製した。
この処理液Oについて、接着性の評価試験(h)(処理方法α)を行ったところ、得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
Figure 2019135295
実施例12〜14および比較例7〜8において採用した接着性の評価試験(i)は、次のとおりである。
[接着性の評価試験(i)]
(1)樹脂材料
樹脂材料として、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を使用した。
(2)樹脂材料の表面処理
以下の3つの処理方法(α〜γ)から選択される何れか1つを実施した。
<処理方法α>
イ.酸清浄(5%硫酸水溶液)/1分間(室温)、水洗
ロ.表面処理剤に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
<処理方法β>
イ.酸清浄(5%硫酸水溶液)/1分間(室温)、水洗
ロ.表面処理剤を刷毛塗り、乾燥/1分(100℃)
<処理方法γ>
イ.酸清浄(5%硫酸水溶液)/1分間(室温)、水洗
ロ.表面処理剤を刷毛塗り、加熱/10分(100℃)、メタノール洗浄、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)樹脂材料と銅箔の接着
表面処理したプリプレグに、電解銅箔(厚み:35μm)S面を積層プレスし、プリプレグと銅箔を接着して銅張積層板を作製した。
(4)接着性の評価
この銅張積層板について、接着性の評価試験(h)の場合と同様にして行った。
〔実施例12〕
シランカップリング剤成分として、『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−メチル−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』10gに、メタノール990gを加え、室温にて2時間撹拌し、表面処理剤(以下、処理液Pという)を調製した。
この処理液Pについて、接着性の評価試験(i)(処理方法γ)を行った。
得られた試験結果は、表4に示したとおりであった。
〔実施例13〕
シランカップリング剤成分として、『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−アミノ−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』10gに、水とメタノールの1:1混合液を990g加え、50℃にて1時間撹拌し、表面処理剤(以下、処理液Qという)を調製した。
この処理液Qについて、トリアゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、実施例12の場合と同様の接着性の評価試験を行った。
得られた試験結果は、表4に示したとおりであった。
〔実施例14〕
実施例13において調製した処理液Qを使用して、接着性の評価試験(i)(処理方法β)を行った。得られた試験結果は、表4に示したとおりであった。
〔比較例7〕
比較例4において調製した処理液Mを使用して、実施例12の場合と同様の接着性の評価試験を行った。得られた試験結果は、表4に示したとおりであった。
〔比較例8〕
『N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−アミノ−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキサミド』の代わりに、イミダゾールシラン化合物を使用した以外は、実施例13と同様にして、表面処理剤(以下、処理液Rという)を調製した。
この処理液Rについて、イミダゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、実施例12の場合と同様の接着性の評価試験を行った。
得られた試験結果は、表4に示したとおりであった。
Figure 2019135295
実施例15および比較例9において採用した接着性の評価試験(j)は、次のとおりである。
[接着性の評価試験(j)]
(1)金属
金属として、銀めっき(厚み:0.1〜0.3μm)を施した銅箔を使用した。
(2)金属の表面処理
以下の工程イ〜ロに従って行った。
イ.酸清浄(5%硫酸水溶液)/1分間(室温)、水洗
ロ.表面処理剤を刷毛塗り、加熱/5分(100℃)、メタノール洗浄、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)金属と樹脂の接着
表面処理した銀めっき銅箔の銀めっき面に、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレスし、銀めっき銅箔とプリプレグを接着して銀めっき銅張積層板を作製した。
(4)接着性の評価
この銀めっき銅張積層板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、銀めっき銅箔の引き剥がし強さを測定した。
〔実施例15〕
実施例13において調製した処理液Qを使用して、接着性の評価試験(j)を行った。得られた試験結果は、表5に示したとおりであった。
〔比較例9〕
比較例6において調製した処理液Oを使用して、実施例13の場合と同様の接着性の評価試験を行った。得られた試験結果は、表5に示したとおりであった。
Figure 2019135295
本発明によれば、金属、無機材料および樹脂材料の接着性(密着性)を十分に確保できるので、被処理材の表面を粗化することなく、平滑な状態に保持することができる。従って、本発明は、多層プリント配線板の小型化、薄型化、高周波化、高密度化等の実現に大いに貢献し得るものであるから、産業上の利用可能性は多大である。

Claims (9)

  1. 樹脂またはその硬化前化合物と、化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物を含有する樹脂組成物。
    Figure 2019135295
    (式中、Xは水素原子、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アミノ基、フェニル基またはベンジル基を表す。RおよびRは同一または異なって、メチル基もしくはエチル基を表す。nは1〜12の整数を表し、AおよびBは同一または異なって、0〜3の整数を表す。)
  2. 請求項1記載の樹脂組成物から構成されたソルダーレジストインク。
  3. 請求項2記載のソルダーレジストインクから形成されたソルダーレジストを備えるプリント配線板。
  4. 基材と請求項1記載の樹脂組成物から構成されたプリプレグ。
  5. 銅箔と請求項4記載のプリプレグから構成された銅張積層板。
  6. 請求項1記載の樹脂組成物から構成された層間絶縁材。
  7. 銅箔と請求項1記載の樹脂組成物により形成された樹脂層から構成された樹脂付銅箔。
  8. 請求項1記載の樹脂組成物により形成された樹脂層を備えるプリント配線板。
  9. 請求項1記載の樹脂組成物から構成された半導体封止材料。
JP2019019257A 2019-02-06 2019-02-06 樹脂組成物及びその利用 Active JP6771603B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019019257A JP6771603B2 (ja) 2019-02-06 2019-02-06 樹脂組成物及びその利用

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019019257A JP6771603B2 (ja) 2019-02-06 2019-02-06 樹脂組成物及びその利用

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016149690A Division JP6561019B2 (ja) 2016-07-29 2016-07-29 表面処理剤、樹脂組成物及びそれらの利用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019135295A true JP2019135295A (ja) 2019-08-15
JP6771603B2 JP6771603B2 (ja) 2020-10-21

Family

ID=67623685

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019019257A Active JP6771603B2 (ja) 2019-02-06 2019-02-06 樹脂組成物及びその利用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6771603B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP6771603B2 (ja) 2020-10-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6561019B2 (ja) 表面処理剤、樹脂組成物及びそれらの利用
EP3608327B1 (en) Triazole silane compound, method for synthesizing said compound and use thereof
JP7092778B2 (ja) テトラゾールシラン化合物、該化合物の合成方法およびその利用
JP6370836B2 (ja) 表面処理剤、樹脂組成物およびそれらの利用
WO2015002158A1 (ja) アゾールシラン化合物、表面処理液、表面処理方法およびその利用
JP6560976B2 (ja) 無機材料または樹脂材料の表面処理液、表面処理方法およびその利用
JP6445946B2 (ja) 銅箔用の表面処理液およびその利用
JP2014240522A (ja) 銅の表面処理液、表面処理方法及びその利用
JP6440440B2 (ja) 金属の表面処理液、表面処理方法およびその利用
JP6421073B2 (ja) 金属の表面処理液及びその利用
JP2016151046A (ja) 表面処理剤、樹脂組成物及びそれらの利用
JP6591284B2 (ja) 金属の表面処理液、表面処理方法およびその利用
JP2018145475A (ja) 防錆処理液及びその利用
JP6523942B2 (ja) 無機材料または樹脂材料の表面処理液、表面処理方法およびその利用
JP6440484B2 (ja) 金属の表面処理液、表面処理方法およびその利用
JP6766200B2 (ja) 樹脂組成物及びその利用
JP6436819B2 (ja) 表面処理剤、樹脂組成物及びそれらの利用
JP6771603B2 (ja) 樹脂組成物及びその利用
JP2016204725A (ja) 金属の表面処理方法及びその利用
TW202348611A (zh) 三唑化合物、該三唑化合物之合成方法、偶合劑及該等之利用
JP2016211035A (ja) 金属の表面処理方法及びその利用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200120

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200407

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200601

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200730

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200730

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200907

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200929

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6771603

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250