JP2014240522A - 銅の表面処理液、表面処理方法及びその利用 - Google Patents

銅の表面処理液、表面処理方法及びその利用 Download PDF

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昌三 三浦
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Takayuki Murai
孝行 村井
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尚登 奥村
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みや 谷岡
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範明 山地
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Abstract

【課題】銅の表面とプリプレグやソルダーレジスト等の絶縁樹脂との接着性を高めることができる銅の表面処理液、表面処理方法および銅と樹脂の接着方法、並びにプリント配線板の提供。
【解決手段】化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物を含有する水溶液である銅の表面処理液。
Figure 2014240522

(XはH、−NH、−SH又は−SCH;Yは−NH−又は−S−;Rは−CH又は−CHCH;mは1〜12の整数;nは0〜3の整数)
【選択図】なし

Description

本発明は、銅の表面処理液、表面処理方法及びその利用に関する。
近年、プリント配線板は、電子機器・電子部品の小型化、薄型化等に対応すべく多層化が進められており、所謂多層プリント配線板は、片面または両面に銅箔等からなる回路を設けた内層用の回路板に、プリプレグを介して外層用回路板もしくは銅箔を重ね、これを一体化することによって製造されている。
ところで、このような多層プリント配線板においては、内層用の回路板に形成された銅回路と、外層用回路板または銅箔を積層させるプリプレグの絶縁接着樹脂との間の接着性の確保が重要な課題となっている。
特許文献1には、銅箔とプリプレグの接着性と、銅箔とプリプレグを接着して得られる銅張積層板の半田耐熱性を向上させる銅箔表面処理剤に関する発明が記載されている。
この文献には、該表面処理剤の成分として、イミダゾール環を有するトリアルコキシシラン化合物とテトラアルコキシシラン化合物を併用する点が開示されている。
特許文献2には、銅の表面をエッチング等の粗化処理を行うことなく、銅と樹脂等の絶縁材との間の密着性を維持することができる銅の表面調整組成物および表面処理方法に関する発明が記載されている。
この文献には、前記の表面調整組成物中に、シランカップリング剤を50〜10,000ppmの濃度で含有し、シランカップリング剤の縮合率が50%以上である点が開示され、シランカップリング剤として3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(NH2-CO-NH-C3H6-Si(OC2H5)3)等のウレイドシランが例示され、絶縁材との密着性に優れているという理由から、表面調整組成物の成分として、シラノール、トリシラノール等が好ましい点が開示されている。
また、当該表面調整組成物を含む溶液が、該組成物を、水と有機溶媒との混合溶媒に溶解させることにより調製し得る点が開示され、銅の表面に前記溶液を接触させた後は、水洗してから乾燥させても、水洗せずに乾燥させてもよい点、そして、水洗してから乾燥させた場合は、均一な厚さの膜が得られ、一方、水洗せずに乾燥した場合には、絶縁材との高い密着性が得られる点が開示されている。
特許文献3には、シランカップリング剤溶液の製造方法、シランカップリング剤溶液、それを用いた基材の表面処理方法等に関する発明が記載されてる。
この文献には、有機ケイ素化合物を水と混合して十分にシラノール基を形成させた後、さらにアルコールを混合すれば、高いシラノール化率を実現でき、かつ、均一な塗工も可能となり、優れた密着性が実現する点、そして、シラノール化率として60〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましい点が開示されている。
そして、前記の有機ケイ素化合物として、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランが例示されている。
なお、有機高分子化合物や無機材料から構成される基材と、液晶性化合物との密着性を優れたものとする点が発明の課題とされており、銅を基材とする場合の密着性については言及されていない。
特許文献4には、シランカップリング剤およびポリマー組成物に関する発明が記載されている。
この文献には、ガラスや金属とゴムの接着用プライマーに使用されるシランカップリング剤の成分として、トリアゾール等の含窒素複素環と、トリメトキシシリル基やトリエトキシシリル基等のシリル基が、有機基を介して結合された構造の物質が種々開示されている。
なお、金属が銅である点の開示はない。
特開平7−286160号公報 特開2009−263790号公報 特開2006−045189号公報 特開2002−363189号公報
本発明は、銅の表面とプリプレグやソルダーレジスト等の絶縁樹脂との接着性を高めることができる銅の表面処理液、表面処理方法および銅と樹脂の接着方法、そして、これらの手段を適応したプリント配線板を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するトリアゾールシラン化合物を溶解させた水溶液が、所期の目的を達成することを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
即ち、第1の発明は、化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物を含有する水溶液であることを特徴とする銅の表面処理液である。
Figure 2014240522
(式中、Xは水素原子、−NH、−SHまたは−SCHを表し、Yは−NH−または−S−を表し、Rは−CHまたは−CHCHを表す。mは1〜12の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。)
第2の発明は、前記化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物を含有する水溶液であって、銅と樹脂を接着するために使用されることを特徴とする銅の表面処理液である。
第3の発明は、第1の発明または第2の発明の表面処理液を、銅に接触させることを特徴とする銅の表面処理方法である。
第4の発明は、第1の発明または第2の発明の表面処理液を銅に接触させた後に、銅の表面に樹脂層を形成させることを特徴とする銅と樹脂の接着方法である。
第5の発明は、第1の発明または第2の発明の表面処理液を銅に接触させた後に、銅の表面に樹脂層を形成させたことを特徴とするプリント配線板である。
本発明によれば、銅の表面とプリプレグやソルダーレジスト等の樹脂との接着性を高めることができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本願の特許請求の範囲と明細書中に現れる「銅」とは、いわゆる純銅(銅および不可避不純物のみからなる)または銅合金を指す。
そして、銅合金としては、銅を含む合金であれば特に制限はなく、例えば、Cu−Ag系、Cu−Te系、Cu−Mg系、Cu−Sn系、Cu−Si系、Cu−Mn系、Cu−Be−Co系、Cu−Ti系、Cu−Ni−Si系、Cu−Cr系、Cu−Zr系、Cu−Fe系、Cu−Al系、Cu−Zn系、Cu−Co系等の合金を挙げることができる。
また、前記の「銅」とは、電子基板、リードフレーム等の電子部品、装飾品、建材等に使用される箔(電解銅箔、圧延銅箔)、めっき膜(無電解銅めっき膜、電解銅めっき膜)、線、棒、管、板等の用途・形態において使用されるものである。なお、近年の高周波の電気信号が流れる銅配線の場合には、銅の表面が、平均粗さ(Ra)0.1μm以下の平滑面であることが好ましい。
本発明の銅の表面処理液(以下、単に表面処理液または処理液と云うことがある)は、前記の化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物を有効成分として含有するが、このトリアゾールシラン化合物は、化学式(Ia)〜(Id)で示されるトリアゾールシラン化合物を包含する。
Figure 2014240522
(式中、X、Y、Rおよびmは、前記と同様である。)
なお、化学式(Ia)で示されるトリアゾールシラン化合物は、前記の化学式(I)においてnが0である場合のトリアゾールシラン化合物(以下、トリアゾールトリアルコキシシラン化合物と云うことがある)である。
同様に、化学式(Ib)で示されるトリアゾールシラン化合物は、nが1である場合のトリアゾールシラン化合物であり、化学式(Ic)で示されるトリアゾールシラン化合物は、nが2である場合のトリアゾールシラン化合物であり、化学式(Id)で示されるトリアゾールシラン化合物は、nが3である場合のトリアゾールシラン化合物である。
化学式(Ib)〜(Id)で示されるトリアゾールシラン化合物は、表面処理液中に存在する化学式(Ia)で示されるトリアゾールトリアルコキシシラン化合物が、加水分解されて生成するもの(種)である。
本発明の実施においては、表面処理液中の成分の原料として、化学式(Ia)で示されるトリアゾールトリアルコキシシラン化合物を使用することが好ましい。
このトリアゾールトリアルコキシシラン化合物の例としては、
3−[3−(1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]メチルトリメトキシシラン、
3−[3−(1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリメトキシシラン、
3−[3−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]エチルトリメトキシシラン、
3−[3−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリメトキシシラン、
3−[3−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]ドデシルトリメトキシシラン、
3−[3−(5−メルカプト−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリメトキシシラン、
3−[3−(5−メルカプト−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]ブチルトリメトキシシラン、
3−[3−(5−メルカプト−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]ノニルトリメトキシシラン、
3−[3−(5−メチルチオ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリメトキシシラン、
3−[3−(5−メチルチオ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]ペンチルトリメトキシシラン、
3−[3−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリエトキシシラン、
3−[3−(5−メルカプト−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリエトキシシラン、
3−[3−(5−メチルチオ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリエトキシシラン(以上、Yが−NH−の場合)や、
3−(トリメトキシシリル)プロピルチオカルバミン酸 S−(1,2,4−トリアゾル−3−イル)エステル、
3−(トリメトキシシリル)ヘキシルチオカルバミン酸 S−(1,2,4−トリアゾル−3−イル)エステル、
3−(トリメトキシシリル)プロピルチオカルバミン酸 S−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)エステル、
3−(トリメトキシシリル)ヘプチルチオカルバミン酸 S−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)エステル、
3−(トリメトキシシリル)プロピルチオカルバミン酸 S−(5−メルカプト−1,2,4−トリアゾル−3−イル)エステル、
3−(トリメトキシシリル)オクチルチオカルバミン酸 S−(5−メルカプト−1,2,4−トリアゾル−3−イル)エステル、
3−(トリメトキシシリル)ウンデシルチオカルバミン酸 S−(5−メルカプト−1,2,4−トリアゾル−3−イル)エステル、
3−(トリメトキシシリル)プロピルチオカルバミン酸 S−(5−メチルチオ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)エステル、
3−(トリメトキシシリル)デシルチオカルバミン酸 S−(5−メチルチオ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)エステル、
3−(トリエトキシシリル)プロピルチオカルバミン酸 S−(1,2,4−トリアゾル−3−イル)エステル、
3−(トリエトキシシリル)プロピルチオカルバミン酸 S−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)エステル、
3−(トリエトキシシリル)プロピルチオカルバミン酸 S−(5−メルカプト−1,2,4−トリアゾル−3−イル)エステル、
3−(トリエトキシシリル)プロピルチオカルバミン酸 S−(5−メチルチオ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)エステル(以上、Yが−S−の場合)等を挙げることができる。
なお、本発明の実施においては、これらから選択される2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の表面処理液は、前記の化学式(Ia)で示されるトリアゾールトリアルコキシシラン化合物と水を混合することにより調製されるが、水と共に有機溶剤を併用してもよい。
なお、表面処理液の調製に当たっては、当該トリアゾールトリアルコキシシラン化合物と水を混合した後に有機溶剤を加えてもよいし、該化合物と水および有機溶剤の混合液を混合してもよいし、該化合物と有機溶剤を混合した後に水を加えてもよい。
また、表面処理液の調製に使用される水としては、イオン交換水や蒸留水等の純水が好ましい。
前記の有機溶剤としては、
メタノール、
エタノール、
プロパノール、
2−プロパノール、
ブタノール、
エチレングリコール、
プロピレングリコール、
グリセリン、
ジエチレングリコール、
エチレングリコールモノメチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテル、
エチレングリコールモノブチルエーテル、
1−メトキシ−2−プロパノール、
1−エトキシ−2−プロパノール、
1−ブトキシ−2−プロパノール、
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル、
ジエチレングリコールモノブチルエーテル、
トリエチレングリコールモノメチルエーテル、
トリエチレングリコールモノエチルエーテル、
トリエチレングリコールモノブチルエーテル、
アセトン、
テトラヒドロフラン、
ジオキサンの他、
アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリエチルアミン、ピリジン等の水と自由に混和するものが好ましい。
なお、本発明の実施においては、これらから選択される2種以上を組み合わせて使用してもよい。
化学式(Ia)で示されるトリアゾールトリアルコキシシラン化合物は、前述のとおり、水と接触すると加水分解されるが、この加水分解の態様をスキーム(A)に示した。
このスキームにおいては、前記の化学式(Ia)〜(Ic)で示されるトリアゾールシラン化合物の有するシリル基が加水分解される態様、即ち、トリアルコキシシリル基が、漸次、ジアルコキシヒドロキシシリル基、ジヒドロキシアルコキシシリル基、トリヒドロキシシリル基に変化する様が簡略的に示される。
Figure 2014240522
一般に、分子中にアルコキシシリル基を有する物質は、シランカップリング剤として作用することが知られている。
本発明の実施において使用するトリアゾールトリアルコキシシラン化合物は、分子中にトリアゾール環とアルコキシシリル基(-Si-OR)を有しており、トリアゾール環は、樹脂および銅と相互作用し、化学結合を形成すると推定される。
また、アルコキシシリル基は加水分解を受けて、ヒドロキシシリル基(-Si-OH)に変換され、このヒドロキシシリル基は銅表面に点在する酸化銅と化学結合すると推定される。
従って、銅と表面処理液を接触させることにより、銅の表面にはトリアゾール環やヒドロキシシリル基との結合により、化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物に由来する化成皮膜が形成されて、この化成皮膜の表面に樹脂層を形成させた場合には、銅の表面に直に樹脂層を形成させる場合に比べて、銅と樹脂との接着性を高めることができる。
本発明の実施においては、表面処理液中における化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物の濃度が、トリアゾールトリアルコキシシラン化合物の濃度に換算して、0.001〜10重量%であることが好ましく、0.01〜5重量%であることがより好ましい。
この濃度が0.001重量%未満である場合には、接着性の向上効果が十分ではなく、この濃度が10重量%を超える場合には、接着性の向上効果がほぼ頭打ちとなり、トリアゾールトリアルコキシシラン化合物の使用量が増えるばかりで経済的ではない。
ところで、表面処理液中に生成したヒドロキシシリル基を有するトリアゾールシラン化合物(前記の化学式(Ib)〜(Id)参照)は、徐々に、互いに反応して脱水縮合し、ヒドロキシシリル基がシロキサン結合(Si-O-Si)を形成し(スキーム(A)参照)、水に溶け難いシランオリゴマー(スキーム(A)中の化学式(e)で示される基を有するトリアゾールシラン化合物)に変換される。
表面処理液中におけるシランオリゴマーの生成量が多くなると、不溶解分が析出して(処理液が白濁し)、処理槽や処理槽に接続された配管、処理液中に浸漬された処理液の温度や液面を検出するためのセンサー類に付着し、円滑な表面処理が阻害される惧れがある。
これを避けるために、水に難溶性であるシランオリゴマーの溶解剤として、有機溶剤を表面処理液中に含有させることが好ましい。
有機溶剤の含有量については、水100重量部に対して0.1〜90重量部の割合とすることが好ましく、1〜50重量部の割合とすることがより好ましい。
本発明の表面処理液の調製においては、トリアゾールトリアルコキシシラン化合物の加水分解を促進させる為に、酢酸や塩酸等の酸、あるいは、水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカリを使用してもよい。
同様に、表面処理液の安定性や、前述のトリアゾールシラン化合物に由来する化成皮膜の均一性を向上させるために、塩素イオン、臭素イオン等のハロゲンイオンや銅イオン、鉄イオン、亜鉛イオンなどの金属イオンを生成する物質を使用することもできる。
また、本発明の効果を損なわない範囲において、公知のカップリング剤を併用してもよい。公知のカップリング剤としては、チオール基(メルカプト基)、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、アミノ基、クロロプロピル基等を有するシラン系カップリング剤が挙げられる。
このようなシラン系カップリング剤の例としては、
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン化合物、
ビニルトリクロルシラン、
ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン化合物、
p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリルシラン化合物、
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン化合物、
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリロキシシラン化合物、
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシシラン化合物、
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物、
3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン化合物、
3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピルシラン化合物、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィドシラン化合物、
3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン化合物等を挙げることができる。
その他、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等も挙げることができる。
本発明の表面処理液を銅の表面に接触させる方法に、特に制限はなく、浸漬、塗布、スプレー等の手段を採用することができる。
表面処理液と銅を接触させる時間(処理時間)については、1秒〜10分とすることが好ましく、5秒〜3分とすることがより好ましい。処理時間が1秒未満の場合には、銅の表面に形成される化成皮膜の膜厚が薄くなり、銅と樹脂の接着力が十分に得られず、一方10分より長くしても、化成皮膜の膜厚に大差はなく、接着性の向上も期待できない。
また、表面処理液を銅の表面に接触させる際の該処理液の温度については、5〜50℃とすることが好ましいが、前記の処理時間との関係において、適宜設定すればよい。
本発明の表面処理液と銅を接触させた後は、銅を水洗することが好ましい。
水洗操作により、銅と化学結合することなく、単に銅に付着したトリアゾールシラン化合物を除去することができ、更に銅以外の材質の部材表面に付着したトリアゾールシラン化合物も除去することができる。
このように、単に付着したトリアゾールシラン化合物を除去することにより、後工程(例えば、めっき処理)で使用される薬液への汚染を防止することができる。
銅を水洗した後は、室温〜150℃の温度で乾燥することが好ましい。
なお、水洗に使用する水としては、イオン交換水や蒸留水等の純水が好ましいが、水洗の方法や時間に特に制限はなく、浸漬やスプレー等の手段による適宜の時間で構わない。
本発明は、例えば、銅回路(銅配線層)とプリプレグ(絶縁樹脂層)との間の接着性(密着性)を高めることを目的とする銅の表面処理に好適である。
本発明によれば、銅配線層に接して絶縁樹脂層を有する積層体(例えば、多層配線構造を有するプリント配線板)において、銅配線層と絶縁樹脂層との間の接着性を高めることができる。
前記の積層体は、本発明の表面処理液と銅配線の表面を接触させて、その後水洗して、銅配線表面に絶縁樹脂層を形成させることにより作製することができる。この接触の方法については、前述のとおりであり、表面処理液中への銅配線の浸漬または該処理液による銅配線へのスプレー等が簡便かつ確実であり好ましい。
また、前記水洗の方法についても特に制限はないが、洗浄水中への銅配線の浸漬または洗浄水による銅配線表面へのスプレーが簡便かつ確実であり好ましい。
前記の絶縁樹脂層の形成には、公知の方法、例えば半硬化の樹脂を貼り付ける方法や、溶剤を含む液状の樹脂(ワニス)を塗布する手段等を採用することができる。次いで、上下の配線を導通させる為に、ビアホールを形成する。このプロセスを繰り返すことにより、多層プリント配線板を作製できる。
前記の銅配線については、無電解メッキ法、電解メッキ法、蒸着法、スパッタ法、ダマシン法等どのような方法で作製されたものでもよく、インナービアホール、スルーホール、接続端子等を含んだものでもよい。
前記の絶縁樹脂層については、公知の樹脂を材質とするものであって構わない。
具体的な樹脂としては、耐熱性や絶縁性に優れた、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル(ポリフェニレンオキサイド)樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等を挙げることができ、これらを混合したり、互いに変性したりして、組み合わせたものであってもよい。
本発明の表面処理液は、銅以外の金属、例えば、スズ、アルミニウム、チタン等の金属や、それらの合金の表面処理にも適用し得ることが期待される。
ところで、特開2009−19266号公報には、金属表面にシランカップリング剤を含む液を塗布する工程と、前記液を塗布した金属表面を、25〜150℃の温度で且つ5分以内で乾燥を行う工程と、乾燥させた金属表面を水洗する工程とを含むことを特徴とするシランカップリング剤皮膜の形成方法に関する発明が記載されている。
また、前記金属表面には、予め表面処理として浸漬めっき液によりスズ等の接着性金属層を形成してよいとされている。
本発明の表面処理液は、前記のシランカップリング剤を含む液として使用し得るものである。なお、この特許公報に記載された事項は、引用により本明細書の一部を成すものとする。
以下、実施例および比較例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において採用した、銅と樹脂の接着性の評価試験(イ)〜(ハ)は、次のとおりである。
[接着性の評価試験(イ)]
(1)試験片の基材
試験片の基材として、電解銅箔(厚み:18μm)を使用した。
(2)基材の処理
以下の工程a〜cに従って行った。
a.酸清浄/1分間(室温)、水洗
b.酸清浄/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
c.銅の表面処理液に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)基材と樹脂の接着
処理した基材のS面に、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレスし、基材と樹脂を接着してプリント配線板を作成した。
(4)接着性の評価
このプリント配線板から、「JIS C6481」に従って、幅10mmの試験片を作成し、プレッシャークッカー処理(121℃/湿度100%/100時間)した後、銅箔の引き剥がし強さを測定した。
[接着性の評価試験(ロ)]
基材のS面に、「ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレス」する代わりに、「ビルドアップ配線板用樹脂(味の素ファインテクノ社製、品名「GX−13」)をラミネート」した以外は、評価試験(イ)と同様の手順で、銅と樹脂の接着性を評価した。
[接着性の評価試験(ハ)]
(1)試験片の基材
試験片の基材として、電解銅メッキ(メッキ厚:20μm)を施した両面銅張積層板(基板:FR4,板厚:1.0mm,銅箔厚:18μm,縦120mm×横110mm)を使用した。
(2)基材の処理
以下の工程a〜dに従って行った。
a.酸清浄/1分間(室温)、水洗
b.過酸化水素・硫酸によるマイクロエッチング/1分(室温)、水洗
c.酸清浄/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
d.銅の表面処理液に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)基材への樹脂層の形成
処理した基材に、ソルダーレジスト(太陽インキ製造社製、品名「PSR−4000AUS308」)を塗布した後、乾燥(80℃/30分)、ポストキュア(150℃/60分)を行って、13μm厚の樹脂層(塗膜)を形成させ、プリント配線板の試験片を作成した。
(4)接着性の評価
「JIS K5400−8.5」に従って、試験片の表面に形成した塗膜を1mm×1mmの碁盤目にクロスカット(100マス)し、プレッシャークッカー処理(121℃/湿度100%/100時間)した後、テープピールテストを行い、塗膜が剥離しないマス目の数を計測した。また、塗膜の傷み具合を目視にて観察した。
なお、接着性の判定基準は、表1に示したとおりである。
Figure 2014240522
[実施例1]
シランカップリング剤成分として、化学式(Ia-1)で示される3−[3−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリメトキシシラン10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌し、銅の表面処理液(以下、処理液Aと云う)を調製した。
Figure 2014240522
この処理液Aについて、シランカップリング剤成分のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(イ)〜(ハ)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
[実施例2]
シランカップリング剤成分として、前記の3−[3−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリメトキシシランの代わりに、化学式(Ia-2)で示される3−[3−(5−メルカプト−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリメトキシシランを使用した以外は、実施例1と同様にして銅の表面処理液(以下、処理液Bと云う)を調製した。
Figure 2014240522
この処理液Bについて、シランカップリング剤成分のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(イ)〜(ハ)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
[実施例3]
シランカップリング剤成分として、前記の3−[3−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリメトキシシランの代わりに、化学式(Ia-3)で示される3−[3−(5−メチルチオ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリメトキシシランを使用した以外は、実施例1と同様にして銅の表面処理液(以下、処理液Cと云う)を調製した。
Figure 2014240522
この処理液Cについて、シランカップリング剤成分のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(イ)〜(ハ)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
[実施例4]
シランカップリング剤成分として、前記の3−[3−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリメトキシシランの代わりに、化学式(Ia-4)で示される3−[3−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリエトキシシランを使用した以外は、実施例1と同様にして銅の表面処理液(以下、処理液Dと云う)を調製した。
Figure 2014240522
この処理液Dについて、シランカップリング剤成分のエトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(イ)〜(ハ)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
[実施例5]
シランカップリング剤成分として、前記の3−[3−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリメトキシシランの代わりに、化学式(Ia-5)で示される3−[3−(5−メルカプト−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリエトキシシランを使用した以外は、実施例1と同様にして銅の表面処理液(以下、処理液Eと云う)を調製した。
Figure 2014240522
この処理液Eについて、シランカップリング剤成分のエトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(イ)〜(ハ)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
[実施例6]
シランカップリング剤成分として、3−[3−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリメトキシシランの代わりに、化学式(Ia-6)で示される3−(トリメトキシシリル)プロピルチオカルバミン酸 S−(1,2,4−トリアゾル−3−イル)エステルを使用した以外は、実施例1と同様にして銅の表面処理液(以下、処理液Fと云う)を調製した。
Figure 2014240522
この処理液Fについて、シランカップリング剤成分のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(イ)〜(ハ)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
[実施例7]
シランカップリング剤成分として、3−[3−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリメトキシシランの代わりに、化学式(Ia-7)で示される3−(トリメトキシシリル)プロピルチオカルバミン酸 S−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)エステル使用した以外は、実施例1と同様にして銅の表面処理液(以下、処理液Gと云う)を調製した。
Figure 2014240522
この処理液Gについて、シランカップリング剤成分のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(イ)〜(ハ)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
[比較例1]
シランカップリング剤成分として、前記の3−[3−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリメトキシシランの代わりに、化学式(II-1)〜(II-3)で示されるイミダゾールシラン化合物の混合物(特開平5−186479号公報参照)を使用した以外は、実施例1と同様にして銅の表面処理液(以下、処理液Hと云う)を調製した。
Figure 2014240522
この処理液Hについて、シランカップリング剤成分のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(イ)〜(ハ)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
[比較例2]
シランカップリング剤成分として、前記の3−[3−(5−アミノ−1,2,4−トリアゾル−3−イル)ウレイド]プロピルトリメトキシシランの代わりに、3−アミノプロピルトリメトキシシランを使用した以外は、実施例1と同様にして銅の表面処理液(以下、処理液Iと云う)を調製した。
この処理液Iについて、シランカップリング剤成分のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(イ)〜(ハ)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
[比較例3]
シランカップリング剤を使用することなく、エチレングリコールモノブチルエーテル200gと水790gを混合し、室温にて2時間撹拌して、銅の表面処理液(以下、処理液Jと云う)を調製した。
この処理液Jについて、接着性の評価試験(イ)〜(ハ)を行ったところ、得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
Figure 2014240522
本発明によれば、銅と樹脂の接着性(密着性)を十分に確保できるので、銅の表面を粗化することなく、平滑な状態に保持することができる。従って、本発明は、多層プリント配線板の小型化、薄型化、高周波化、高密度化等の実現に大いに貢献し得るものであるから、産業上の利用可能性は多大である。


Claims (5)

  1. 化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物を含有する水溶液であることを特徴とする銅の表面処理液。
    Figure 2014240522
    (式中、Xは水素原子、−NH、−SHまたは−SCHを表し、Yは−NH−または−S−を表し、Rは−CHまたは−CHCHを表す。mは1〜12の整数を表し、nは0〜3の整数を表す。)
  2. 前記化学式(I)で示されるトリアゾールシラン化合物を含有する水溶液であって、銅と樹脂を接着するために使用されることを特徴とする銅の表面処理液。
  3. 請求項1または請求項2に記載の表面処理液を、銅に接触させることを特徴とする銅の表面処理方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載の表面処理液を銅に接触させた後に、銅の表面に樹脂層を形成させることを特徴とする銅と樹脂の接着方法。
  5. 請求項1または請求項2に記載の表面処理液を銅に接触させた後に、銅の表面に樹脂層を形成させたことを特徴とするプリント配線板。
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