JP6581995B2 - 難燃糸の新規な製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽光に対する保護を確保するための繊維製品表面を形成するのに適した糸の技術分野に関する。より正確には、本発明は、好ましくはハロゲンフリーである難燃糸の新規な製造方法に関する。
太陽光に対する保護のための繊維製品の製造の分野では、難燃性の糸を用いることが求められる。糸を難燃剤で処理する必要がある。このために、芯糸は、通常、難燃性のポリマー組成物で覆われる。特に、芯糸をPVCプラスチゾルを用いて被覆することが提案されているが、PVCプラスチゾルは、塩素が含まれているためにその使用が制限される場合がある。このような技術が、特に、文献EP2562208およびEP0900294に記載されており、これらの文献では、ホウ酸亜鉛と、含酸素アンチモン化合物と、アルミニウム、マグネシウム、スズ、亜鉛、および鉛からなる群より選択される金属の水和酸化物とを含む三成分混合物によって耐燃化されたPVCプラスチゾルでガラス繊維の芯糸を被覆することによって複合糸を得ることが提案されている。
他の方法としては、多量の難燃充填材を利用することによって、環境上の理由から望ましいハロゲンフリーの糸に十分な難燃性を与えることが提案されているが、微細な糸(約80tex〜120texの平均番手に相当する)を得るのには適していない。さらに、難燃充填材を多量に用いると、それら充填材の一部がフィラメントの近くに位置することになり、そこで充填材が研磨物質として作用して最終的に得られる糸の強度を低下させる。したがって、難燃剤の量がより少なくて済むハロゲン化ポリマーが好ましい。他の方法としては、例えばデカブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエタン、または塩素化パラフィンなどのハロゲン化難燃剤を用いる方法があり、これらハロゲン化難燃剤は特に効果が大きいため、単独でまたは三酸化アンチモンなどのアンチモン塩とともに、低い濃度で使用できる。この方法は、例えば、Mechoshade社によって販売されている、糸と鞘部とが熱可塑性オレフィンで形成された被覆糸織物に適用されている。Mechoshade社によって製造されている製品番号1350の織物は、直径が約500マイクロメートル(μm)の糸で作られている。この結果は、平均径が約300μmの芯糸に厚さが約100μmの鞘部を被着させることによって得られる。このようにして得られた織物は、優れた難燃性を有し、ある程度の稠密さで、フランス規格NPF92.507に規定されているM1等級を達成できる。それら織物中に含まれている臭素の量は、約4.5%である。さらに、臭素含有難燃剤のほとんどが毒性を持っている疑いがあること、また、現在のところ最も性能がよい臭素含有難燃剤の一つであり続けているデカブロモジフェニルエーテルは、欧州の化学物質の登録、評価、認可、および規制に関する規則(REACH)に定められてい高懸念物質(SVHC)の一覧に含まれていることに留意すべきである。
このように、現在のところ、鞘部を芯糸上に押し出すことによって得られる、高難燃性の繊維製品表面を形成するのに適した直径が小さい(平均径約200μm〜400μm)複合糸を作製可能な既知の技術方法は存在していない。「高難燃性」とは、フランス規格NFP92.507に準じたM1等級またはドイツ規格DIN4102に準じたB1等級に相当する繊維製品表面であることを意味する。
そこで、本発明の目的の一つは、太陽光に対する保護を確保する分野での用途に適合した高難燃性の繊維製品表面の形成に使用可能な直径が小さい難燃糸の新規な製造方法を提供することである。特に、好ましい実施形態では、本発明の方法は、有毒であると認められているハロゲン含有成分の利用を避けることが可能である。
より正確には、本発明は、ポリマー鞘部で覆われたマルチフィラメント芯部により構成された糸の製造方法であって、前記鞘部は、内側領域および外側領域と称される2つの連続した同軸のポリマー領域を含み、前記外側領域は、少なくとも1つの難燃剤を含み、前記外側領域における前記難燃剤の濃度は、前記内側領域における前記難燃剤の濃度よりも高く、
複数の溶融ポリマーの混和した混合物を前記マルチフィラメント芯部に被着させることによって前記鞘部を形成し、
前記混合物は、前記少なくとも1つの難燃剤と、溶融状態において互いの間に永続的な化学結合を形成しない少なくとも2つのポリマーとを含み、
前記少なくとも2つのポリマーのうち共難燃ポリマーと称される一方のポリマーのガラス転移温度が基材ポリマーと称される他方のポリマーのガラス転移温度よりも有意に低く、かつ、前記共難燃ポリマーの融点が前記基材ポリマーの融点よりも有意に低く、
前記被着の後に冷却工程を行い、前記冷却工程時に、前記基材ポリマーがまず凝固し、前記共難燃ポリマーが前記難燃剤の少なくとも一部を伴って外側へ移動することを特徴とする、方法を提供する。
本発明の方法によれば、特に、ハロゲンフリーの糸を製造することが可能である。そのために、マルチフィラメント芯部、ポリマー鞘部、および含まれる1つまたは複数の難燃剤を構成する材料は、ハロゲンフリーとなるように選択される必要がある。本発明の方法によって製造される糸はマルチフィラメント芯部によって構成され、該マルチフィラメント芯部はポリマー鞘部で覆われている。本発明の必須の特徴によれば、上記鞘部は、内側領域および外側領域と称される2つの連続した同軸のポリマー領域を有し、外側領域は少なくとも1つの難燃剤を含み、外側領域における難燃剤の濃度は内側領域における難燃剤の濃度よりも高い。好ましい態様では、マルチフィラメント芯部は有機質である。
本発明の方法では、溶融状態において混和する複数のポリマーの特定の混合物を用いることで、形成される鞘部の内側領域によって保護されたマルチフィラメント芯部を最終的に得ることができ、該内側領域には難燃剤がほとんどまたは全く充填されない。鞘部の外側領域に難燃剤を集中させることは、難燃剤の作用を糸の周縁領域に集中させることに役立ち、優れた耐燃性を得ることにつながる。
用いるポリマーの量は、通常、鞘部が糸の全重量の40重量%〜80重量%、好ましくは50重量%〜70重量%を構成している糸が得られるように選択される。
良好な難燃性を得るためには、外側領域が鞘部の全重量に対して15重量パーセント(wt%)〜50wt%、好ましくは20wt%〜30wt%に相当する量の難燃剤を含有している糸が得られるように、配合される1つまたは複数の難燃剤の量を選択する必要がある。この重量百分率は、鞘部の全重量に対する難燃剤の重量の比を100倍した値に相当する。
本発明の方法によって得られる糸は、有利には、平均径が150μm〜500μmの範囲内、好ましくは200μm〜400μmの範囲内である。この平均径は、特に、Zumbach社によって販売されているMSD25型装置を用いて得た複数の直径測定値、例えば10個の測定値全ての算術平均である。
本発明の方法は、2回の被着処理を用いる製造方法と比べて、実施が簡便で煩雑でないという利点を有する。2回の被着処理とは、以下の工程を含む。
・マルチフィラメント芯部に第1の組成物を被着させる第1の被着工程であって、該第1の組成物を被着させて鞘部の内側領域を構成する第1のポリマー層を形成する工程;および
・得られた第1のポリマー層に、少なくとも1つの難燃剤を含む第2の組成物を被着させる第2の被着工程であって、該第2の組成物を被着させて鞘部の外側領域を形成する工程。
被着工程が1回のみである本発明の方法によれば、同一の材料をポリマー層全体にわたって存在させてポリマー層の連続性を得ることも可能である。これにより、材料中の界面の数が減少し、ひいては材料の一体性が向上する。
添付の図面を参照してなされる以下の詳細な説明により、本発明がよりよく理解できる。
図1は、本発明に係る方法によって得られる糸の概略断面図である。 図2は、被着処理が1回である本発明の方法を実施するための装置の一例の概略図である。
本発明において、鞘部は、従来通り、マルチフィラメント芯部を保護するとともにフィラメント同士を一体化させて、糸を工業用の加工機械で使用可能にする役割を果たす。
本発明において、マルチフィラメント芯部の周囲に形成された鞘部は、i)断面が円形で直径が均一な被覆糸を得る、ii)糸に難燃性を付与する、という2つの機能を果たす。したがって、本発明の方法によって作製された糸は、断面が円形であり、糸の全長にわたって変動が±10%の範囲内である均一な直径を有する。すなわち、複数の直径の測定値はそれぞれ、平均値から±10%の範囲内となる。この平均値は、特にZumbach社によって販売されているMSD25型装置を用いて得た複数の直径測定値全ての算術平均である。好ましい態様では、内側領域に囲まれたマルチフィラメント芯部は、平均径が100μm〜400μmで変動が±10%の範囲内、好ましくは平均径が125μm〜300μmで変動が±10%の範囲内であり、それにより、外側領域を合わせて、全体の平均径が150μm〜500μmで変動が±10%の範囲内、好ましくは全体の平均径が200μm〜400μmで変動が±10%の範囲内である糸が得られる。
糸の周縁部において難燃剤の濃度が高いことは、直径が小さく耐燃性が良好な糸に適合する。さらに、本発明では難燃剤が主に鞘部の外側領域に配されるため、鞘部の内側領域は、難燃剤が含まれているためにマルチフィラメント芯部が被る可能性のある侵襲からマルチフィラメント芯部を保護する。
図1に見られるように、本発明の方法を用いて作製された糸Iは、2つの同軸の領域、すなわち内側ポリマー領域または内側ポリマー層2と難燃剤4が分布している外側ポリマー領域または外側ポリマー層3とから構成された鞘部によって囲まれたマルチフィラメント芯部1を有する。
鞘部の2つの領域(内側領域および外側領域)のそれぞれは、好ましくは大きさおよび組成が均一である。特に、難燃剤は、外側領域を形成しているポリマーマトリクス中に一様に分布している。
通常、内側ポリマー領域は、鞘部の構成における割合が少ない。内側ポリマー領域は、好ましくは、複合糸の全重量(すなわち、芯部+鞘部)の6%〜26%を占め、このような比率が得られるように、被着用混合物中の基材ポリマー、共難燃ポリマー、および難燃剤の量が調整される。
フィラメントの集合体によって構成された芯糸を囲んでいるポリマー鞘部の外側領域における難燃剤の濃度は、内側領域における難燃剤の濃度よりも高く、これは、本発明の方法において起こる移動の結果である。鞘部の内側領域は、特に被着用混合物中に含まれる難燃剤の量によっては、難燃剤を含む場合もある。
好ましい特徴によれば、本発明の方法によって作製される糸(芯部およびポリマー鞘部の両方)はハロゲンフリーである。すなわち、本方法で使用される糸の成分(マルチフィラメント芯部を構成する材料、鞘部を構成する1つまたは複数のポリマー、および1つまたは複数の難燃剤)のいずれもハロゲン原子を含まない。
マルチフィラメント芯部と称される、本発明に従って作製される糸の芯部は、特定の方向に延びるフィラメントの集合体である。このようなマルチフィラメント芯部は、一般に市販されているマルチフィラメント糸に相当する。本発明においては、マルチフィラメント芯部を構成する材料に応じて、番手が20tex〜150texの範囲内、好ましくは30tex〜60texの範囲内であるマルチフィラメント芯部を用いることが好ましい。燃焼しにくい材料でできたマルチフィラメント芯部を用いることが好ましいのはもちろんである。有利には、マルチフィラメント芯部は、ハロゲンを含有しない材料でできている。再利用性の観点から好ましい態様では、マルチフィラメント芯部は、有機材料、特に熱可塑性ポリマー、好ましくは、ポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)など)、ポリウレタン、ポリオレフィン(ポリプロピレンなど)、ビニル系(酢酸ビニルなど)のポリマー、さらには酢酸セルロースなどのその他の合成ポリマー、およびそれらの混合物から選択されるポリマーでできている。ただし、芯部は、無機材料でできていてもよく、例えば、ガラス繊維フィラメントの束で構成される。しかし、本発明は、燃焼性の材料、特にポリエステル系またはポリオレフィン系の材料でできた芯部を耐燃化するのに特に適している。
本発明においては、図1に示されるように、1つまたは複数の難燃剤が外側層に集中して含まれている本発明の2層構造ポリマー鞘部を得るために、複数の溶融ポリマーの混合物と少なくとも1つの難燃剤とを含む組成物であって、糸を被覆できるとともに、糸の周縁部への難燃剤の移動を冷却時に起こすことができるように調合された組成物によってマルチフィラメント芯部が覆われる。
好ましい態様では、鞘部を構成する1つまたは複数のポリマーがハロゲンを含まず、そのため、特に、プラスチゾルを利用する従来技術で用いられるポリ塩化ビニル(PVC)系材料が除かれる。内側領域および外側領域を構成する1つまたは複数のポリマーは、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、非ハロゲン化ビニルポリマー、エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフィン、スチレンコポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、コポリアミド、コポリエステル、オレアミド、エルカアミド、シリコーン、およびアセタールから選択される。
鞘部の2つの領域のそれぞれを構成する1つまたは複数のポリマーの性質は、特に、各領域を形成するために用いられる方法に依存する。
本発明においては、複数の溶融ポリマーの混和した混合物を被着させるが、該混合物は、少なくとも1つの難燃剤と、異なる化学族に属する少なくとも2つのポリマーとを含み、2つのポリマーのうちの一方(共難燃ポリマーと称される)のガラス転移温度が他方のポリマー(基材ポリマーと称される)のガラス転移温度よりも有意に低く、かつ、共難燃ポリマーの融点が基材ポリマーの融点よりも有意に低い。「有意に低い」とは、好ましくは、少なくとも10℃、好ましくはおよそ20℃〜30℃低いことを意味する。好ましくは、共難燃ポリマーの融点と基材ポリマーの融点との差が、15℃〜50℃の範囲内、好ましくは30℃〜50℃の範囲内である。測定した融点またはガラス転移温度の値がある範囲にわたって変動する場合、上記差は、比較対象である温度のそれぞれにつき、例えば5回の測定に基づいて、測定値の算術平均をとることで求める。これら2つの溶融ポリマーの混合物を被着させることを考慮すると、共難燃ポリマーが基材ポリマーの融点で劣化しないように、低い融点を示す共難燃ポリマーを選択する必要があるのはもちろんである。
被着させるポリマー混合物は、溶融状態にある複数のポリマーの「混和した」混合物であるといえる。すなわち、この混合物は均一であり、各ポリマー同士の脱混合または分離がない。ただし、必ずしも、基材ポリマーと共難燃ポリマーとがそれら2つの溶融ポリマーのみの混合物において混和するという意味ではない。混和した混合物を得ることを可能にする別のポリマーを加えることが必要な場合もある。
これら2つのポリマーの化学的性質も、冷却時に難燃剤が外側領域、すなわち最終的に得られる糸の表面、に位置できるように選択される。特に、2つのポリマーの化学的性質は、溶融状態において2つのポリマー間に永続的な化学結合が形成されないように選択される。「永続的な化学結合」とは、2つのポリマーがブラウン運動を起こす際に存続して一方のポリマーが他方のポリマーに対して相対的に移動することを阻止する結合を意味する。このような結合は、具体的には、共有結合またはファンデルワールス結合である。ただし、溶融状態にあるポリマー間にイオン結合が一時的に形成される可能性は排除されない。鞘部を構成するためのポリマー混合物の冷却時、「基材」ポリマーと称される融点が高い方のポリマーがまず凝固する。次いで、「共難燃」ポリマーと称される他方のポリマーは、溶融状態では基材ポリマーと混和するにもかかわらず、溶融状態にある2つのポリマー間に永続的な化学結合がないために外側へ移動し、その際、難燃剤の一部を伴って移動する。共難燃ポリマーは、好ましくは、接着促進剤として作用し、難燃剤の表面に溶融状態で固着する。このために、難燃剤は、固体状態において大きな比表面積、理想的には50平方メートル毎グラム(m2/g)を超える比表面積を有していると有利である。好ましい態様では、同じく難燃剤が固体状態である場合に、溶融状態にあるポリマーが難燃剤上で形成するぬれ角が90°未満である。
通常、最終的に得られる鞘部において、基材ポリマーは結晶化した状態、または部分的に結晶化した状態にある。
理想的には、基材ポリマーは、数平均分子量Mnが10,000グラム毎モル(g/mol)〜30,000g/molの範囲内にあり、一方共難燃ポリマーは、数平均分子量Mnが300g/mol〜1000g/molの範囲内にある。
以上により、被着処理が1回のみである本発明の糸の製造方法では、基材ポリマーが内側領域を形成し、基材ポリマーと混合された共難燃ポリマーが鞘部の外側領域のポリマーマトリクスを形成する。それぞれの領域が複数のポリマーの混合物から構成され、それぞれの領域における、あるいは全ての領域における少なくとも1つのポリマーが本発明において規定される条件を満たすものであってもよいことはもちろんである。好ましい態様では、鞘部の内側領域を構成する1つまたは複数の基材ポリマーが、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、非ハロゲン化ビニルポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性オレフィン(TPO)エラストマー、スチレン‐ブタジエン(SBR)系またはスチレン‐エチレン‐ブチレン‐スチレン(SEBS)系スチレンコポリマー、ポリエステル、およびシリコーンから選択され、鞘部の外側領域のポリマーマトリクスが、内側領域に含まれるものと同じ少なくとも1つの基材ポリマーと、コポリアミド、コポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、オレアミド、エルカアミド、およびスチレン系コポリマーから選択される少なくとも1つの共難燃ポリマーとによって形成される。
鞘部の内側領域が最終的に若干の難燃剤を含むことになる場合があるが、その濃度は低く、必ず外側領域における難燃剤の濃度未満である。
内側領域が若干の難燃剤を含む場合でも、通常、鞘部に含まれている難燃剤の全重量の少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%が外側領域に含まれていると考えられる。
鞘部を構成するために用いられる1つまたは複数のポリマーの性質も、糸の最終的な用途に応じて調整される。例えば、糸が室内用である場合には、ポリアミドなどの吸湿性の高いポリマーが好ましく用いられ、一方、糸が室外用である場合には、エチレン酢酸ビニル(EVA)またはスチレンおよびそれらのコポリマーなどの加水分解性ではないポリマーが好ましい。
本発明の方法に用いられる1つまたは複数の難燃剤は、好ましくはハロゲンフリーである。特に、鞘部の外側領域に含まれる1つまたは複数のポリマーの性質に応じて、ポリリン酸アンモニウム、メラミンイソシアヌレート、ペンタエリトリトール誘導体、メラミン誘導体、およびモリブデン酸アンモニウムなどのリン含有または窒素含有難燃剤から選択される1つまたは複数の難燃剤を使用できる。したがって、含まれる1つまたは複数の難燃剤の性質は、有機質であってもよいし、無機質であってもよい。既知の通り、1つまたは複数の難燃剤が、鞘部の外側領域を構成するための1つまたは複数のポリマーの性質に応じて選択される。外側領域がポリアミドで形成される場合、メラミンイソシアヌレートなどの窒素含有難燃剤を用いることが好ましい。多種多様な難燃性ポリマー組成物が市販されており、被着用混合物の成分として用いることができる。このようなポリアミド系組成物は、特に、Addiplast社、Albis社、Ultrapolymers社、またはArkema社から入手でき、EVA系組成物は、Arkema社、Alphagary社、またはEurofind社から入手できる。別々に販売されており、後程混合または複合させる1つまたは複数のポリマーと1つまたは複数の難燃剤とを用いて被着用組成物を調製することも可能である。
1つまたは複数の難燃剤は、1つまたは複数の液体化合物、および/または、好ましくは粒径が小さい1つまたは複数の固体化合物であってもよい。「粒径が小さい」とは、最大径が50μm未満の粒子であることを意味する。難燃剤は、それを含有する被着用調合物全体に一様に分布されるように選択される。特に、難燃剤が1つまたは複数の液体化合物を含む場合、その液体化合物は、溶融ポリマーの混合物に溶解または混和する。難燃剤が1つまたは複数の固体化合物を含む場合、その粒径が小さいことで、溶融ポリマーの混合物中に一様に分散できる。
本発明の糸を形成する方法は、難燃剤の分子または粒子の鞘部の周縁部への移動を可能にする被着用調合物を選択して、一回の被着処理で鞘部を形成することを含む。このような被着は、好ましくは、鞘部を芯糸上に押出し、ダイを通過させて鞘部を成形することによって成形工程とともに行われる。ただし、複数の溶融ポリマーの混合物を被着させることが可能な当業者に既知の任意の適切な方法を用いて、繊維芯部を被覆し成形することが可能である。
本方法は、糸の鞘部を構成する被膜を形成しつつ、複合糸の周縁部に難燃剤を配置することを含む。このために、使用される調合物は、複数の溶融ポリマーの混和した混合物であり、以下の成分を含む。
・機械的特性を付与し、鞘部の耐久性を確保するための1つまたは複数の基材ポリマー;
・1つまたは複数の液体化合物、および/または、好ましくは粒径が小さい1つまたは複数の固体化合物によって形成される1つまたは複数の難燃剤;および
・冷却時に難燃剤の少なくとも一部を伴って鞘部の周縁部へ移動できるように、ガラス転移温度および融点がそれぞれ基材ポリマーのガラス転移温度および融点よりも有意に低い1つまたは複数の共難燃ポリマー。
難燃剤は、複数の溶融ポリマーの混合物中に一様に分布される。この均一な分布は、例えば機械での撹拌による混合処理によって達成される。溶融状態にある複数のポリマーの混合物および選択された1つまたは複数の難燃剤を含む調合物を、マルチフィラメント芯部をコーティングして被覆することが可能な任意の方法でマルチフィラメント芯糸に塗布する。特に、押出被覆法などの断面が円形で直径が均一な鞘部が得られる方法を使用できる。被着処理の前に芯部を予め加熱してもよい。
上記のようにして得られた被膜を冷却する処理によって、充填材または難燃性分子を鞘部の周縁部、すなわち最終的に得られる糸の外側領域に配置できる。共難燃ポリマーは接着促進剤として作用するとともに、溶融状態で難燃系を構成する充填材または分子の表面に固着する。鞘部を冷却している間、融点が高い基材ポリマーがまず凝固する。共難燃ポリマーは、溶融状態において基材ポリマーと永続的な化学結合を形成しないため、化学結合によって保持されずに外側へ向かって移動し、その際、共難燃ポリマーは、コーティングしている難燃充填材を伴って移動する。複合糸の温度が基材ポリマーのガラス転移温度よりも低くなるか、または共難燃ポリマーの融点よりも低くなると、共難燃ポリマーの移動は継続できなくなり、構造が固まる。その結果、得られる糸は図1に示すようなものとなる。したがって、糸の冷却速度を完全に制御することが重要である。有利には、基材ポリマーのガラス転移温度よりは低く、共難燃ポリマーのガラス転移温度よりは高い温度状態で糸を冷却する。この温度状態は、好ましくは冷却開始直後、特に冷却開始後20秒(s)未満、好ましくは10s未満、より好ましくは5s未満で開始し、かつ/または1s〜10sの間持続させる。このために、例えば以下の処理の方法を採用できる。
・水または他の熱伝導流体を含む容器または雰囲気制御チャンバなどの複数の連結された冷却装置の使用。第1の容器が、押し出された糸を急冷し、糸の温度を数秒以内(理想的には5s未満)に基材ポリマーのガラス転移温度よりは低く、共難燃ポリマーのガラス転移温度よりは高い温度にする役割を果たす。第2の容器が、この温度を数秒間(理想的には10s超)維持する役割を果たす。それにより共難燃ポリマーが複合糸の周縁領域へ移動する。この方法は、基材ポリマーと共難燃ポリマーとが比較的近い融点およびガラス転移温度(差が20℃未満)を有する場合に用いるべきである。
・複合糸を急冷して糸の温度を数秒以内に基材ポリマーのガラス転移温度よりも低く、共難燃ポリマーのガラス転移温度よりも十分に高い温度にできる上述したような冷却装置の単独での使用。「十分に高い」とは、該温度が共難燃ポリマーのガラス転移温度よりも少なくとも20℃高いことを意味すると理解されたい。この方法は、基材ポリマーと共難燃ポリマーとが少なくとも20℃の差があるガラス転移温度を有する場合に好ましい。
以上により、外側領域は、最終的に、基材ポリマー、共難燃ポリマー、および難燃剤の少なくとも3つの成分から構成される。
基材ポリマーとしての使用に適したポリマーの例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、非ハロゲン化ビニルポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性オレフィン(TPO)エラストマー、スチレン‐ブタジエン(SBR)系またはスチレン‐エチレン‐ブチレン‐スチレン(SEBS)系スチレンコポリマー、ポリエステル、およびシリコーンが挙げられる。
共難燃ポリマーとして使用できるポリマーの例としては、コポリアミド、コポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、オレアミド、およびエルカアミド、さらにはスチレン系コポリマーが挙げられる。
基材ポリマーと共難燃ポリマーとの組み合わせは、下記の条件を満たすように選択される必要があることはもちろんである。
・溶融状態において、それらポリマーが、場合によっては他のポリマーと併用した際に、混和した混合物を形成できなければならない。具体的には、基材ポリマーおよび共難燃ポリマーがそれら自体では溶融状態で混和しない場合、それらポリマーのそれぞれと個別に混和する他の何らかのポリマーを加えることによって混和した混合物を得ることができる。すなわち、ポリアミドとポリエステルという2つのポリマーに対する相溶化剤としてコポリアミドの熱溶融物を用いることで、溶融状態にあるポリアミドとポリエステルとの混合物を混和した状態にできる。同様に、シラン含有ポリマーを用いてポリアミドとポリウレタンとの混合物を相溶した状態にすることも考えられる。
・基材ポリマーと共難燃ポリマーとは溶融状態において永続的な化学結合を形成してはならない。
・共難燃ポリマーは、ガラス転移温度が基材ポリマーのガラス転移温度よりも有意に低く、かつ、融点が基材ポリマーの融点よりも有意に低くなければならない。
本発明の方法での使用に適したポリマー材料の例としては、下記の混合物が挙げられる。
例1
・基材ポリマー:ポリアミド6(60重量部(pbw))
・共難燃ポリマー:コポリエステル(30pbw)
・相溶化剤:コポリアミド(10pbw)
例2
・基材ポリマー:ポリオレフィン(60pbw)
・共難燃ポリマー:スチレン‐ブタジエン‐スチレンコポリマー(20pbw)
・相溶化剤:エチレン‐アクリル酸‐無水マレイン酸ターポリマー(20pbw)
冷却工程は、冷却領域、特に3℃〜25℃の範囲内の温度に維持した領域に糸を通すことによって行ってもよい。コーティング法、押出法、および/または熱溶融被着法で用いられるような従来の冷却技術を用いることができ、さらには、2段階法において2回の被着処理のそれぞれの後に用いられるような従来の冷却技術も用いることができる。
好ましい態様では、外側領域は、プラスチゾル状または水性分散液状のポリマー分散系を被着させることによって得られるものではない。プラスチゾル法は、1つまたは複数の可塑剤、すなわち、移動して糸の表面から滲み出てベタツキを生じさせる分子量の小さい化合物を使用する必要があるため、用いない。有利には、水性分散液法も用いない。外側領域では、鞘部が連続的であることが芯糸を外的な媒体からの侵襲に対して保護するのに役立つが、水性分散液法では外側領域に連続的な鞘部を形成できないためである。有利には、本発明の方法は、鞘部がプラスチゾルまたは可塑剤を含有しないように、プラスチゾルも可塑剤も使用しない。
本発明の方法の各工程を連続して行って非常に長い糸を形成してもよい。本発明の方法の終了時に得られた糸を使用前にリールに巻き取ってもよい。
本発明においては、提案される複合糸はハロゲンを有しなくてもよく、下記のような構成が異なる少なくとも2つの連続した領域を含むコーティングでマルチフィラメント芯部を被覆することによって得られてもよい。
・芯糸上に配置された、断面が円形で直径が均一な糸が得られるような内側領域。
・内側領域上に被着された、組成および厚さが均一な難燃性の被膜によって構成された外側領域。
本発明において提案される糸は、太陽光に対する保護を確保するための繊維製品表面を形成するためのものであるので、本発明の糸を作製するために用いられる各種成分は、上記目的に用いられる材料の技術的特性の全てを有するように選択される必要があり、特に、規格NF EN ISO 105B02に準拠したキセノン灯人工劣化試験によって測定される紫外線(UV)照射に対する耐性、汚染に対する耐性、洗浄への適性、日よけ用繊維製品を作製するために必要な機械的特性、特に糸が室外用である場合には悪天候、高温、および低温に耐える能力といった特性を有するように選択される必要がある。
本発明の方法によれば、規格NFP92507におけるM1または規格DIN4102におけるB1として知られる高いレベルの難燃性を有する糸が得られる。
本発明の方法によって得られる被覆難燃糸は、太陽光に対する保護を確保するための繊維製品の作製に用いることができ、該繊維製品は、少なくとも一部または全体が本発明に係る糸によって構成された織布、織物スクリム、不織スクリム、または編物などである。
本発明の方法によって得られる難燃糸は、太陽光に対する保護を確保するのに適した繊維製品の作製、特に日よけの作製に用いることができる。このためには、本発明の方法によって得られる糸を、選択された構造に応じ、当業者に既知の任意の適切な方法によって織る、絡み合わせる、編む、または接着する必要がある。本発明の方法によって得られる糸を用いて作製された、開口率が低い、特に開口率が約0〜15%、好ましくは3%〜10%の範囲内である布、スクリム、または編物は、特に太陽光に対する保護および耐火性の観点から、要求される特性を有する。このような繊維製品は、室内設置用であってもよいし、室外設置用であってもよい。本発明の糸により、フランス規格NFP92507に準じたM1等級またはドイツ規格DIN4102に準じたB1等級に適う耐燃性能を有する繊維製品を作製できる。
以下の実施例は本発明を説明するためのものであるが、本発明を何ら限定するものではない。
実施例1 被着工程が1回である方法
本発明の複合糸の一例を以下に記載する。
・マルチフィラメント芯部:耐火処理していない2×167dtex S120 PET糸(平均径:210μm、商品名:Trevira 691G、Trevira社製)
・基材ポリマーおよび難燃充填材:ポリアミド6、難燃性V0(商品名:Vampamid PA6 0024 V0、Vamp Tech社製)、鞘部の60重量%を構成(融点:245℃〜265℃、ガラス転移温度(Tg):50℃〜60℃)
・共難燃ポリマー:コポリエステル(商品名:Griltex 2132E、EMS division Griltex社製)、鞘部の20重量%を構成(融点:110℃〜120℃、Tg:18℃〜20℃)
・混和した混合物を得るために用いたポリマー:コポリアミドオリゴマー(商品名:Griltex D 1549A、EMS division Griltex社製)、鞘部の20重量%を構成(融点:115℃〜145℃、Tg:18℃〜30℃)
用いた製造方法を図2に概略的に示す。マルチフィラメント芯部を構成する糸1がリール10から繰り出され、予熱領域20を通過後、先端にダイを有する押出被覆装置30に至り、該装置から冷却領域40へと進んで、リール50に巻き取った後で保存するのに適した本発明の糸Iが得られる。
処理条件
・糸の予熱:90℃
・押出温度
Figure 0006581995
・材料圧力:5bars
・冷却温度:30℃
・巻き取り張力:糸1本当たり150グラム(g/糸)
・巻き取り速度:400メートル毎分(m/min)
・最終的に得られた糸の平均径:350μm
この糸を用いて編むまたは織る(18/18バスケット織り)ことによって作製した繊維製品表面により、規格NFP92507におけるM1等級および規格DIN4102/1におけるB1等級の製品が得られた。
実施例2 被着工程が1回である方法
本発明の複合糸の別の一例を以下に記載する。
・マルチフィラメント芯部:耐燃処理した300dtex S120 ポリプロピレン(PP)糸(平均径:210μm、商品名:PP Yarn 300 Tangle、Ponsa社製)
・基材ポリマーおよび難燃充填材:エチレン‐酢酸ビニル(EVA)コポリマー、難燃性V0(商品名:Megolon HF1876、Alphagary社製)、鞘部の60重量%を構成(融点:165℃〜175℃、Tg:80℃〜90℃)
・共難燃ポリマー:SEBS(商品名:Lifoflex 50、Hexpol社製)、鞘部の20重量%を構成(融点:125℃〜160℃、ブロック状態でのTg:−40℃〜0℃)
・混和した混合物を得るために用いたポリマー:エチレン‐無水マレイン酸‐アクリル酸エステルターポリマー(商品名:Lotader 8200、Arkema社製)、鞘部の20重量%を構成(融点:100℃〜115℃、Tg:40℃〜60℃)
実施例1と同じく、用いた製造方法を図2に概略的に示す。
処理条件
・糸の予熱:80℃
・押出温度
Figure 0006581995
・材料圧力:5bars
・冷却温度:12℃
・巻き取り張力:150g/糸
・巻き取り速度:400m/min
・最終的に得られた糸の平均径:350μm
この糸を用いて編むまたは織る(18/18バスケット織り)によって作製した繊維製品表面により、規格NFP92507におけるM1等級および規格DIN4102/1におけるB1等級の製品が得られた。

Claims (16)

  1. ポリマー鞘部で覆われたマルチフィラメント芯部(1)により構成された糸(I)の製造方法であって、前記鞘部は、内側領域(2)および外側領域(3)と称される2つの連続した同軸のポリマー領域(2,3)を含み、前記外側領域(3)は、少なくとも1つの難燃剤(4)を含み、前記外側領域(3)における前記難燃剤(4)の濃度は、前記内側領域(2)における前記難燃剤(4)の濃度よりも高く、
    複数の溶融ポリマーの混和した混合物を前記マルチフィラメント芯部(1)に被着させることによって前記鞘部を形成し、
    前記混合物は、前記少なくとも1つの難燃剤(4)と、溶融状態において互いの間に永続的な化学結合を形成しない少なくとも2つのポリマーとを含み、
    前記少なくとも2つのポリマーのうち共難燃ポリマーと称される一方のポリマーのガラス転移温度が基材ポリマーと称される他方のポリマーのガラス転移温度よりも少なくとも10℃低く、かつ、前記共難燃ポリマーの融点が前記基材ポリマーの融点よりも少なくとも10℃低く、
    前記被着の後に冷却工程を行い、前記冷却工程時に、前記基材ポリマーがまず凝固し、前記共難燃ポリマーが前記難燃剤(4)の少なくとも一部を伴って外側へ移動することを特徴とする、方法。
  2. 製造された前記糸(I)がハロゲンフリーであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記基材ポリマーの前記ガラス転移温度よりも低く、前記共難燃ポリマーの前記ガラス転移温度よりも高い温度状態で前記糸(I)を冷却することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記芯部(1)上に鞘部を押出し、ダイを通過させて前記鞘部を成形することによって、前記被着を成形工程とともに行うことを特徴とする、請求項1、2、または3に記載の方法。
  5. 前記基材ポリマーは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、非ハロゲン化ビニルポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性オレフィン(TPO)エラストマー、スチレン‐ブタジエン系またはスチレン‐エチレン‐ブチレン‐スチレン系スチレンコポリマー、ポリエステル、およびシリコーンから選択され、
    前記共難燃ポリマーは、コポリアミド、コポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、オレアミド、エルカアミド、およびスチレン系コポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記共難燃ポリマーの前記融点と前記基材ポリマーの前記融点との差が、15℃〜50℃の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. 製造された前記糸(I)において、前記鞘部が前記糸(I)の全重量の40〜80重量%を構成することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. 製造された前記糸(I)において、前記鞘部が前記糸(I)の全重量の50〜70重量%を構成することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 製造された前記糸(I)において、前記外側領域(3)が、前記鞘部の全重量に対して15wt%〜50wt%に相当する量の前記難燃剤(4)を含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 製造された前記糸(I)は、平均径が150±10%μm〜500±10%μmの範囲内にあることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 製造された前記糸(I)は、断面が円形で、全長にわたって変動が±10%の範囲内である均一な直径を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 製造された前記糸(I)において、前記鞘部に含まれる前記難燃剤(4)の全重量の少なくとも60%が前記外側領域(3)にあることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 製造された前記糸(I)において、前記外側領域(3)を形成しているポリマーマトリクス中に前記難燃剤(4)が一様に分布していることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 製造された前記糸(I)において、前記鞘部の前記内側領域(2)が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、非ハロゲン化ビニルポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性オレフィン(TPO)エラストマー、スチレン‐ブタジエン系またはスチレン‐エチレン‐ブチレン‐スチレン系スチレンコポリマー、ポリエステル、およびシリコーンから選択される1つまたは複数の基材ポリマーでできており、
    前記鞘部の前記外側領域(3)の前記ポリマーマトリクスが、前記内側領域に含まれている基材ポリマーと同じ少なくとも1つの基材ポリマーと、コポリアミド、コポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、オレアミド、エルカアミド、およびスチレン系コポリマーから選択される少なくとも1つの共難燃ポリマーとによって形成されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記マルチフィラメント芯部(1)は、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ビニルポリマー、酢酸セルロース、およびこれらポリマーの混合物から選択される少なくとも1つの熱可塑性ポリマーでできていることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記難燃剤(4)は、リン含有または窒素含有難燃剤(4)から選択されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
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