JP2003105670A - 難燃性ポリオレフィン系繊維及び難燃性ポリオレフィン系繊維成形品 - Google Patents

難燃性ポリオレフィン系繊維及び難燃性ポリオレフィン系繊維成形品

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JP2003105670A
JP2003105670A JP2001297377A JP2001297377A JP2003105670A JP 2003105670 A JP2003105670 A JP 2003105670A JP 2001297377 A JP2001297377 A JP 2001297377A JP 2001297377 A JP2001297377 A JP 2001297377A JP 2003105670 A JP2003105670 A JP 2003105670A
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Japan
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flame
retardant
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polyolefin fiber
phosphazene
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JP2001297377A
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English (en)
Inventor
Toru Matsumura
徹 松村
Kenji Kobayashi
賢治 小林
Junichi Nishimura
淳一 西村
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Japan Polychem Corp
Original Assignee
Japan Polychem Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリオレフィン系繊維の材料特性を確実に有
すること、優れた難燃性を有すること、および環境汚染
を引き起こしにくいこと、の全てを兼ね備える難燃性ポ
リオレフィン系繊維及び難燃性ポリオレフィン系繊維成
形品を提供する。 【解決手段】 ホスファゼン系難燃剤がポリオレフィン
系繊維の表面に塗布されてなる難燃性ポリオレフィン系
繊維であって、前記ホスファゼン系難燃剤の塗布量が、
前記ポリオレフィン系繊維1g当たり1mgから500
mgであることを特徴とする。また、ホスファゼン系難
燃剤がポリオレフィン系繊維成形品の表面に塗布されて
なる難燃性ポリオレフィン系繊維成形品であって、前記
ホスファゼン系難燃剤の塗布量が、前記ポリオレフィン
系繊維成形品1g当たり1mgから500mgであるこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性ポリオレフ
ィン系繊維及び難燃性ポリオレフィン系繊維成形品に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリオレフィン樹脂はその加
工性、耐熱性、耐候性、耐薬品性、電気的特性等及び機
械的強度等の優位性を活かし、産業用、家庭用向けなど
に多くの用途開発が行われて来たが、材料使用上の欠点
として難燃性ではないことが挙げられ、ここ数年特にポ
リオレフィン樹脂の難燃化が強く求められている。
【0003】特に最近では、社会的に環境問題に対する
個人の意識が高まっており、従来使用されていたハロゲ
ン系難燃剤や酸化アンチモン等を使用したポリオレフィ
ン樹脂材料は環境汚染の問題から使用制限がなされるま
でに至っている。また、繊維及び布などの成形品では燃
焼時のドリップ性(滴下物の有無)や自消性(自己消火
性)を得る為にはハロゲン系難燃剤や無機難燃剤ではか
なりの添加量を必要とする為に、材料強度の大幅な低下
や臭気の悪化等、材料本来の特性が得られなくなる等の
欠点があった。ここで、ドリップ性とは、燃焼時の滴下
物の有無を示し、滴下するものがあれば「ドリップあ
り」で、その滴下物により、燃焼拡大を引き起こす為、
難燃性が悪い事を現す。
【0004】特開2001−40149では、難燃剤の
合計含量が10〜60重量%とかなり多くの添加量が必
要となり経済的にも、物性保持の面からも劣るものであ
る。また難燃性を引き出す為にホスファゼンの他に水酸
化金属化合物を配合する事で難燃性の向上と樹脂本来の
特性低下を抑制するとあるが、元々これら水酸化物は比
重が重く(該公報記載の水酸化マグネシウムは比重が
1.54と重く)、樹脂組成物の比重も高くなり、材料
としては問題があり、経済的でない。また、練り込み加
工時に180℃以上の温度に難燃剤が晒される為に加工
時のフォスファゼン系難燃剤が極めて悪臭を放つ為に環
境対策上も問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に
鑑みてなされたものであって、その目的は、ポリオレフ
ィン系繊維の材料特性を確実に有すること、優れた難燃
性を有すること、および環境汚染を引き起こしにくいこ
と、の全てを兼ね備える難燃性ポリオレフィン系繊維及
び難燃性ポリオレフィン系繊維成形品を提供することで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
した結果、特定の有機リン系難燃剤をポリオレフィン系
繊維又はポリオレフィン系繊維成形品の表面に塗布する
ことによって、上記目的が達成されることを見出し、本
発明に至った。即ち、本発明は、以下の通りである。 (1) ホスファゼン系難燃剤がポリオレフィン系繊維
の表面に塗布されてなる難燃性ポリオレフィン系繊維で
あって、前記ホスファゼン系難燃剤の塗布量が、前記ポ
リオレフィン系繊維1g当たり1mgから500mgで
あることを特徴とする難燃性ポリオレフィン系繊維。
【0007】(2) 前記ホスファゼン系難燃剤が、下
記式(A)で示される化合物及び式(B)で示される化
合物の群から選択される1種以上の化合物であることを
特徴とする、前記(1)に記載の難燃性ポリオレフィン
系繊維。
【化5】 (式(A)中、mは3〜25の整数であり、Rは同一又
は異なった炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8の
アルキル基及び/又はアリル基で置換されていても良い
フェノキシ基である。)
【化6】 (式(B)中、nは1〜24の整数であり、Rは同一又
は異なった炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ア
ルキル置換アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ
基、アミノ基又は水酸基である置換基であり、炭素数1
〜8のアルキル基及び/又はアリル基で置換されていて
も良いフェノキシ基である。) (3) 前記ホスファゼン系難燃剤が2種以上塗布され
たことを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の
難燃性ポリオレフィン系繊維。 (4) 前記(1)〜(3)のいずれかに記載された難
燃性ポリオレフィン系繊維を成形してなる難燃性ポリオ
レフィン系繊維成形品。
【0008】(5) ホスファゼン系難燃剤がポリオレ
フィン系繊維成形品の表面に塗布されてなる難燃性ポリ
オレフィン系繊維成形品であって、前記ホスファゼン系
難燃剤の塗布量が、前記ポリオレフィン系繊維成形品1
g当たり1mgから500mgであることを特徴とする
難燃性ポリオレフィン系繊維成形品。 (6) 前記ホスファゼン系難燃剤が、下記式(A)で
示される化合物及び式(B)で示される化合物の群から
選択される1種以上の化合物であることを特徴とする、
前記(5)に記載の難燃性ポリオレフィン系繊維成形
品。
【化7】 (式(A)中、mは3〜25の整数であり、Rは同一又
は異なった炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8の
アルキル基及び/又はアリル基で置換されていても良い
フェノキシ基である。)
【化8】 (式(B)中、nは1〜24の整数であり、Rは同一又
は異なった炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ア
ルキル置換アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ
基、アミノ基又は水酸基である置換基であり、炭素数1
〜8のアルキル基及び/又はアリル基で置換されていて
も良いフェノキシ基である。) (7) ホスファゼン系難燃剤が2種以上塗布されてい
ることを特徴とする、前記(5)または(6)に記載の
難燃性ポリオレフィン系繊維成形品。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の難燃性ポリオレフィン系繊維は、ポリオレフィ
ン系繊維の表面にホスファゼン系難燃剤が塗布されてい
ることを特徴とするものである。このホスファゼン系難
燃剤の塗布量は、難燃剤の種類によって適宜選択できる
ものであるが、ポリオレフィン系繊維1g当たり1mg
から500mgであるのが好ましく、より好ましくはポ
リオレフィン系繊維1g当たり2〜300mg、更に好
ましくは2〜100mg、特に好ましくは10〜60m
gである。塗布量が1mgを下回ると、充分な難燃効果
が得られない傾向があり、逆に500mgを超えると表
面のべとつきが著しくなり、実用上の面から使用に耐え
ない。
【0010】本発明で使用されるホスファゼン系難燃剤
としては、特に限定されるものではないが、下記式
(A)で示される環状(Cyclic)ホスファゼン化合物、及
び式(B)で示される線状(Linear)ホスファゼン化合
物である。
【0011】
【化9】 式(A)中、mは3〜25の整数、好ましくは3〜18
の整数、より好ましくは3〜12の整数である。Rは同
一又は異なった炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜
8のアルキル基及び/又はアリル基で置換されていても
良いフェノキシ基を示す。
【0012】
【化10】 式(B)中、nは1〜24の整数、好ましくは3〜18
の整数、より好ましくは3〜12の整数である。Rは同
一又は異なった炭素数1〜8のアルキル基、アリール
基、アルキル置換アリール基、アルコキシ基、アリール
オキシ基、アミノ基又は水酸基である置換基であり、炭
素数1〜8のアルキル基及び/又はアリル基で置換され
ていても良いフェノキシ基を示す。
【0013】本発明において用いられる上記式(A)で
表される環状ホスファゼンは、具体的には、テトラフェ
ノキシシクロジホスファゼン、モノメトキシトリフェノ
キシシクロジホスファゼン、ジメトキシジフェノキシシ
クロジホスファゼン、トリメトキシモノフェノキシシク
ロジホスファゼン、ヘキサフェノキシシクロトリホスフ
ァゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン、
デカフェノキシシクロテトラホスファゼン、モノメトキ
シペンタフェノキシシクロトリホスファゼン、ジメトキ
シテトラフェノキシシクロトリホスファゼン、トリメト
キシトリフェノキシシクロトリホスファゼン、ジフェノ
キシテトラメトキシシクロトリホスファゼン、モノフェ
ノキシペンタメトキシシクロトリホスファゼン、ヘプタ
フェノキシモノメトキシシクロテトラホスファゼン、ジ
メトキシヘキサフェノキシシクロテトラホスファゼン、
ペンタフェノキシトリメトキシシクロテトラホスファゼ
ン、テトラメトキシテトラフェノキシシクロテトラホス
ファゼン、ペンタメトキシトリフェノキシシクロテトラ
ホスファゼン、ジフェノキシヘキサメトキシシクロテト
ラホスファゼン、ヘプタメトキシモノフェノキシシクロ
テトラホスファゼン、モノメトキシノナフェノキシシク
ロペンタホスファゼン、ジメトキシオクタフェノキシシ
クロペンタホスファゼン、ヘプタフェノキシトリメトキ
シシクロペンタホスファゼン、ヘキサフェノキシテトラ
メトキシシクロペンタホスファゼン、ペンタメトキシペ
ンタフェノキシシクロペンタホスファゼン、ヘキサメト
キシテトラフェノキシシクロペンタホスファゼン、ヘプ
タメトキシトリフェノキシシクロペンタホスファゼン、
ジフェノキシオクタメトキシシクロペンタホスファゼ
ン、モノフェノキシノナメトキシシクロペンタホスファ
ゼンなどの環状ホスファゼン化合物を挙げられる。
【0014】また、本発明において用いられる上記式
(B)で表される線状(直鎖状)ホスファゼンは、具体
的には線状ジクロルホスファゼンにプロポキシ基及び/
又はフェノキシ基を置換した線状ホスファゼン化合物な
どが挙げられる。
【0015】これらのホスファゼン系難燃剤は、市販さ
れているものを使用することができ、例えばケミプロ化
成社製 KD−102、KD−302S、KD−30
2、大塚化学(株)製SP−100などが挙げられる。
【0016】また、これらのホスファゼン系難燃剤は、
より難燃性を高めるために2種以上併用するのが好まし
い。また、本発明の目的を損なわない範囲で、他の難燃
剤を樹脂に直接練り込むことが出来る。具体的には樹脂
物性を損なわないようにポリオレフィン樹脂100重量
部に対して10重量部未満の難燃剤及び/又は難燃助剤
を練り込む事が出来る。
【0017】本発明のポリオレフィン系繊維は、特に限
定されるものではないが、公知のポリオレフィン組成物
から得られるポリオレフィン系繊維であり、例えば本発
明で用いられるポリオレフィン組成物は、ポリプロピレ
ン系樹脂および/またはポリエチレン系樹脂を含有する
樹脂組成物である。
【0018】ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレ
ンの結晶性ホモ重合体、プロピレン成分を70重量%以
上含有するプロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテ
ン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オ
クテン−1などのα−オレフィンの1種または2種以上
との結晶性ランダム共重合体ないしは結晶性ブロック共
重合体、プロピレンとアクリル酸エステルないしは酢酸
ビニルとの共重合体、当該共重合体のケン価物、プロピ
レンと不飽和シラン化合物との共重合体、プロピレンと
不飽和カルボン酸ないしはその無水物との共重合体、当
該共重合体との金属イオン化合物との反応生成物、前記
のポリプロピレンを不飽和カルボン酸ないしは、その誘
導体で変性した変性ポリプロピレン、前記のポリプロピ
レンを不飽和シラン化合物で変性したシラン変性ポリプ
ロピレン等が挙げられる。上記のポリプロピレン系樹脂
は、チーグラー系触媒を用いて重合されたポリプロピレ
ン系樹脂またはメタロセン系触媒を用いて重合されたポ
リプロピレン系樹脂であってもよい。また、ポリプロピ
レン系樹脂としては、前掲の1種または2種以上を混合
しても使用できる。
【0019】ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリ
エチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、又は高密度ポリエチレンのいずれでもよく、単独重
合体であっても、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチ
ル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などの
α−オレフィンの1種または2種以上との共重合体であ
ってもよい。上記のポリエチレン系樹脂は、チーグラー
系触媒を用いて重合されたポリエチレン系樹脂またはメ
タロセン系触媒を用いて重合されたポリエチレン系樹脂
であってもよい。特にメタロセン系ポリエチレン樹脂と
しては、メタロセン系高密度ポリエチレン、メタロセン
系エチレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられ
る。また、ポリエチレン系樹脂としては、前掲の1種ま
たは2種以上を混合しても使用できる。
【0020】本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂
組成物には、使用目的に応じて適宜従来公知のポリオレ
フィン用改質剤を併用することができる。例えばフェノ
ール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防
止剤、硫黄系酸化防止剤、ビタミン類、中和剤(金属石
鹸、ハイドロタルサイト類、リチウムアルミニウム複合
水酸化物塩、ケイ酸塩、金属酸化物、金属水酸化物な
ど)、金属不活性剤、光安定剤(ヒンダードアミン系
等)、紫外線吸収剤、有機カルボン酸、帯電防止剤(界
面活性剤含む)、防曇剤、滑剤、分散剤、顔料、着色
剤、染料、難燃剤、核剤、透明化剤、無臭化剤、脱臭
剤、抗菌剤、蛍光増白剤、吸湿剤、親水化剤、撥水剤、
発泡剤、発泡助剤、架橋剤、架橋助剤、艶消し剤、エポ
キシ安定剤、可塑剤、導電剤、耐熱剤、充填剤、生分解
性材、遠赤外線吸収剤などの機能物質を添加物として混
合し、各種機能を付加してもよい。
【0021】本発明においては、上記したポリオレフィ
ン系樹脂組成物を、公知の方法で紡糸して繊維とする。
その方法としては特に限定されるものではないが、溶融
紡糸、スパンボンディングプロセス、及び溶融ブローを
含む溶融したポリマーから繊維を形成する方法(溶融成
形法)、並びに、遠心紡糸(centrifugal spinning)、
シート切断、及びフィルムのフィブリル化を含む方法等
が挙げられる。好ましくは、繊維への成形は溶融成形
(一般に溶融押出成形)により行われる。例えば紡糸口
がねを通して溶融紡糸することにより、またフラットダ
イあるいはリングダイを通して押し出すことより未延伸
糸が得られる。その後、適宜、得られた未延伸糸に延伸
操作を施す。
【0022】延伸操作は、1段あるいは2段以上の多段
で行うことができる。延伸温度は融点以下が好ましく、
70〜140℃の範囲で、オーブン内、熱板、湿熱、遠
赤外線などを熱源として行う。延伸倍率は、繊維(ヤー
ンを含む)の場合、通常1.5〜17倍、好ましくは3
〜8倍である。このようにして得られたポリオレフィン
系繊維には所望により熱処理を施すことができる。この
熱処理は一般に110〜170℃、好ましくは125〜
160℃の範囲内で、0.5〜30分、好ましくは1〜
20分行う。さらに上記の熱処理は、必要に応じて、繊
維に張力を与えた拘束条件下で行うことができる。
【0023】本発明の難燃性ポリオレフィン系繊維は、
上記したポリオレフィン系繊維の表面に、上記した特定
のホスファゼン系難燃剤を塗布することによって製造さ
れるものである。塗布方法は、繊維に難燃剤を付着処理
できるものであれば、特に限定されるものではないが、
難燃剤を含む溶液中に繊維を浸漬させる方法、グラビア
法、ゲートロール法などのロールコーティング法、スプ
レーコーティング法、フォームコーティング法などが挙
げられる。本発明においては、この様に繊維に難燃剤を
塗布した後、積極的に乾燥させてもよい。乾燥の方法と
しては、熱風及び赤外線により乾燥させる方法、熱源に
接触させて乾燥させる方法などを用いることができる。
【0024】以上に、本発明の難燃性ポリオレフィン系
繊維について説明したが、ホスファゼン系難燃剤が、環
境汚染を引き起こしにくい難燃剤であるとともに、難燃
性を高次元で付与できる難燃剤であることから、本発明
のように、表面への塗布によって、優れた難燃性を有
し、環境汚染を引き起こしにくい難燃性ポリオレフィン
系繊維とすることができる。さらに、本発明によれば、
難燃剤をポリオレフィン系繊維の内部に配合する必要が
ないので、ポリオレフィン系繊維の材料特性は損なわれ
にくく、ポリオレフィン系繊維の材料特性を確実に有す
る難燃性ポリオレフィン系繊維とすることができる。
【0025】本発明の第一の難燃性ポリオレフィン系繊
維成形品は、上記した本発明の難燃性ポリオレフィン系
繊維を成形してなる。成形方法としては、所望の方法を
採用できるが、本発明の難燃性ポリオレフィン系繊維の
表面に存在する難燃剤の大部分が、成形後においても成
形品の表面に存在するように成形するのが好ましく、こ
れにより、ポリオレフィン系繊維の材料特性を確実に有
するとともに、優れた難燃性を有する難燃性ポリオレフ
ィン系繊維成形品を、より確実に得ることができる。
【0026】本発明の第二の難燃性ポリオレフィン系繊
成形品は、ホスファゼン系難燃剤が塗布されていないポ
リオレフィン系繊維を成形してポリオレフィン系繊維成
形品とした後に、その表面にホスファゼン系難燃剤を塗
布してなる。繊維成形品としては、ヤーン、シート、モ
ノフィラメント及び不織布等が挙げられる。
【0027】繊維の成形方法としては、限定されるもの
ではないが、例えば不織布を例にとって説明する。不織
布の成形は、溶融紡糸等で得られる長繊維又は短繊維か
ら構成され、一般にはスパンボンド成形、メルトブロー
ン成形及びスパンレース成形などから不織布を得ること
ができる。
【0028】本発明の難燃処理されていないポリオレフ
ィン系繊維を成形してなるポリオレフィン系繊維成形品
について以下説明する。用いられる難燃剤は、ホスファ
ゼン系難燃剤であり、上記したのと同様の式(A)で示
される化合物及び式(B)で示される化合物の群から選
択される1種以上の化合物であるのが好ましく、これら
ホスファゼンを2種以上併用したり、その他の難燃剤を
併用してもよいのも、上述の通りである。また、その塗
布量も、上記と同様、難燃剤の種類によって適宜選択で
きるものであるが、ポリオレフィン系繊維成形品1g当
たり1mgから500mgであるのが好ましく、より好
ましくは2〜300mg、更に好ましくは2〜100m
g、特に好ましくは10〜60mgである。塗布量が1
mgを下回ると、充分な難燃効果が得られない傾向があ
り、逆に500mgを超えると表面のべとつきが著しく
なり、実用上の面から使用に耐えない。
【0029】本発明においては、繊維又は繊維成形品の
表面に、ホスファゼン系難燃剤を塗布して難燃性のもの
とするので、ポリオレフィン系樹脂組成物中に難燃剤を
添加して、その後に繊維又は繊維成形品とするよりも、
簡単であり、また必要に応じて行うことができ、非常に
有用な難燃化方法である。また、その難燃性も、樹脂組
成物中に難燃剤を添加する方法によるものよりも、優れ
るものであり、ポリオレフィン系繊維の材料特性も損な
われにくい。
【0030】
【実施例】以下に実施例・比較例を挙げて本発明を具体
的に説明するが、これらによって本発明は限定されるも
のではない。 [実施例1]MFR(メルトフローレート)が20g/
10分、GPC測定による分子量分布が約3のホモポリ
プロピレン(ノバテックPP SA02:日本ポリケム
社製)を使用し、このポリプロピレンをギアポンプ付き
マルチフィラメント紡糸機(ノズル:1.0mmφ×3
0穴)を用いて、紡糸温度230℃、巻取速度500m
/分、冷却温度20℃で溶融紡糸し、約45デシテック
スの未延伸糸を得た(紡糸油剤は約3%の非イオン系界
面活性剤を使用した)。次いで、フィードロールスピー
ド50m/分、フィードロール温度90℃、延伸点のヒ
ーター温度130℃、ドローロール温度80℃の条件で
延伸を行った。延伸倍率は2倍で約22デシテックスの
延伸糸を採取した。
【0031】500mlの丸底フラスコに250mlの
アセトンを加えた後、メトキシフェノキシホスファゼン
化合物(難燃剤A)5gを加え室温で攪拌し、完全溶解
させた溶液に、上記にて得られた延伸糸を浸漬させた
後、延伸糸を取り出し、温風乾燥機で熱風乾燥させて、
難燃性のポリプロピレン系繊維とした。尚、繊維表面に
は難燃剤が繊維1gあたり22.5mg塗布されてい
た。
【0032】得られた難燃性のポリプロピレン系繊維
(繊維成形品の実施例では繊維成形品)に対して、自己
消火性、ドリップ性、臭気及び難燃剤での処理前と処理
後の物性の変化について、評価したところ、着火後直ぐ
に繊維表面が炭化してドリップが発生することなく消火
し、自消性の有ることが確認された。
【0033】[実施例2]500mlの丸底フラスコに
250mlのエタノールを加えた後にメトキシフェノキ
シホスファゼン化合物(難燃剤A)5gを加え室温で攪
拌し、完全溶解させた溶液に、実施例1と同様に得られ
た上記にて得られた22デシテックスの延伸糸を浸漬さ
せた後、延伸糸を取り出し、温風乾燥機で熱風乾燥させ
て、難燃性のポリプロピレン系繊維とした。尚、繊維表
面には難燃剤が繊維1gあたり45.0mg塗布されて
いた。実施例1と同様に難燃性の評価を行ったところ、
着火後直ぐに繊維表面が炭化してドリップが発生するこ
となく消火し、自消性の有ることが確認された。
【0034】[実施例3]MFRが5g/10分、GP
C測定による分子量分布が約6のホモポリプロピレン
(ノバテックPP MH4:日本ポリケム社製)を使用
した。このポリプロピレンをL/D=24、CR=3.
1、40mmφモノフィラメント紡糸機(ノズル:1.
3mmφ×10mmL×40穴)を用いて、紡糸温度2
30℃、スクリュー回転50rpm、エアーギャップ5
0mm、水槽冷却温度20℃で冷却、延伸温度98℃、
延伸速度第1ロール速度16.7m/分、第2ロール速
度100m/分で約6倍延伸糸を得た。この延伸糸は、
約484デシテックスであった。
【0035】500mlの丸底フラスコに250mlの
アセトンを加えた後、メトキシフェノキシホスファゼン
化合物(難燃剤A)5gを加え室温で攪拌し、完全溶解
させた溶液に、上記にて得られた延伸糸を浸漬させた
後、延伸糸を取り出し、温風乾燥機で熱風乾燥させて、
難燃性のポリプロピレン系繊維とした。尚、繊維表面に
は難燃剤が繊維1gあたり26.9mg塗布されてい
た。実施例1と同様に難燃性の評価を行ったところ、着
火後直ぐに繊維表面が炭化してドリップが発生すること
なく消火し、自消性の有ることが確認された。
【0036】[実施例4]MFRが1.4g/10分、
GPC測定による分子量分布が約6、密度0.952g
/cm3の高密度ポリエチレン(ノバテックHD HY
340:日本ポリケム社製)を使用し、この高密度ポリ
エチレンをL/D=26、CR=2.9、50mmφヤ
ーン成形機を用いて、成形温度200℃、スクリュー回
転50rpm、ブローアップレシオ0.95(折径22
5mm)、スリット幅14mm、延伸温度90℃/11
5℃/0℃で熱処理温度120℃、延伸速度第1ロール
速度16.7m/分、第2ロール速度100m/分、第
3ロール速度95m/分で、リラックスレシオは5%
で、約6倍延伸テープを得た。このヤーンは、約108
3デシテックスであった。
【0037】500mlの丸底フラスコに250mlの
アセトンを加えた後、フェノキシトリルオキシホスファ
ゼン化合物(難燃剤B)5gを加え室温で攪拌し、完全
溶解させた溶液に、上記にて得られたヤーンを浸漬させ
た後、ヤーンを取り出し、温風乾燥機で熱風乾燥させ
て、難燃性のポリエチレン系ヤーンとした。尚、ヤーン
表面には難燃剤がヤーン1gあたり227.3mg塗布
されていた。実施例1と同様に難燃性の評価を行ったと
ころ、着火後直ぐに繊維表面が炭化してドリップが発生
することなく消火し、自消性の有ることが確認された。
【0038】[実施例5]MFRが60g/10分、G
PC測定による分子量分布が約3のホモポリプロピレン
(ノバテックPP SA06:日本ポリケム社製)を使
用し、このポリプロピレンをギアポンプ付きスパンボン
ド成形機(ノズル:0.3mmφ×24孔(L/D=
4))を用いて、紡糸温度230℃、紡糸速度3000
m/分、冷却温度20℃でスパンボンド紡糸し、ボンデ
ィングロール温度136〜148℃、不織布引き取り速
度5m/分で目付20g/m2の不織布を得た。
【0039】500mlの丸底フラスコに250mlの
アセトンを加えた後、フェノキシトリルオキシホスファ
ゼン化合物(難燃剤B)5gを加え室温で攪拌し、完全
溶解させた溶液に、上記にて得られた不織布を浸漬させ
た後、不織布を取り出し、温風乾燥機で熱風乾燥させ
て、難燃性のポリプロピレン系不織布とした。尚、不織
布表面には難燃剤が不織布1gあたり43.75mg塗
布されていた。実施例1と同様に難燃性の評価を行った
ところ、着火後直ぐに繊維表面が炭化してドリップが発
生することなく消火し、自消性の有ることが確認され
た。
【0040】[実施例6]MFRが1.4g/10分、
GPC測定による分子量分布が約6、密度0.952g
/cm3の高密度ポリエチレン(ノバテックHD HY
340:日本ポリケム社製)を使用し、この高密度ポリ
エチレンをL/D=26、CR=2.9、50mmφヤ
ーン成形機を用いて、成形温度200℃、スクリュー回
転50rpm、ブローアップレシオ0.95(折径22
5mm)、スリット幅14mm、延伸温度90℃/11
5℃/0℃で熱処理温度120℃、延伸速度第1ロール
速16.7m/分、第2ロール速度100m/分、第3
ロール速度95m/分で、リラックスレシオは5%で、
約6倍延伸テープを得た。このヤーンは、約1083デ
シテックスであった。
【0041】500mlの丸底フラスコに250mlの
アセトンを加えた後、メトキシフェノキシホスファゼン
化合物(難燃剤A)及びフェノキシトリオキシホスファゼ
ン化合物(難燃剤B)の1:1混合物5gを加え室温で
攪拌し、完全溶解させた溶液に、上記にて得られたヤー
ンを浸漬させた後、ヤーンを取り出し、温風乾燥機で熱
風乾燥させて、難燃性のポリエチレン系ヤーンとした。
尚、ヤーン表面には難燃剤がヤーン1gあたり90mg
塗布されていた。実施例1と同様に難燃性の評価を行っ
たところ、着火後直ぐに繊維表面が炭化してドリップが
発生することなく消火し、自消性の有ることが確認され
た。
【0042】[実施例7]MFRが60g/10分、G
PC測定による分子量分布が約3のホモポリプロピレン
(ノバテックPP SA06:日本ポリケム社製)を使
用し、このポリプロピレンをギアポンプ付きスパンボン
ド成形機(ノズル:0.3mmφ×24孔(L/D=
4))を用いて、紡糸温度230℃、紡糸速度3000
m/分、冷却温度20℃でスパンボンド紡糸し、ボンデ
ィングロール温度136〜148℃、不織布引き取り速
度5m/分で目付20g/m2の不織布を得た。
【0043】500mlの丸底フラスコに250mlの
アセトンを加えた後、メトキシフェノキシホスファゼン
化合物(難燃剤A)及びフェノキシトリルオキシホスフ
ァゼン(難燃剤B)の1:1混合物5gを加え室温で攪
拌し、完全溶解させた溶液に、上記にて得られた不織布
を浸漬させた後、不織布を取り出し、温風乾燥機で熱風
乾燥させて、難燃性のポリプロピレン系不織布とした。
尚、不織布表面には難燃剤が不織布1gあたり44.2
5mg塗布されていた。実施例1と同様に難燃性の評価
を行ったところ、着火後直ぐに繊維表面が炭化してドリ
ップが発生することなく消火し、自消性の有ることが確
認された。
【0044】[実施例8]500mlの丸底フラスコに
250mlのエタノールを加えた後にメトキシフェノキ
シホスファゼン化合物(難燃剤A)及びフェノキシホス
ファゼン化合物(難燃剤C)を各々5g加え室温で攪拌
し、完全溶解させた溶液に、実施例1と同様に得られた
22デシテックスの延伸糸を浸漬させた後、延伸糸を取
り出し、温風乾燥機で熱風乾燥させて、難燃性のポリプ
ロピレン系繊維とした。尚、繊維表面には難燃剤が繊維
1gあたり54.5mg塗布されていた。実施例1と同
様に難燃性の評価を行ったところ、着火後直ぐに繊維表
面が炭化してドリップが発生することなく消火し、自消
性の有ることが確認された。
【0045】[実施例9]500mlの丸底フラスコに
250mlのエタノールを加えた後にメトキシフェノキ
シホスファゼン化合物(難燃剤A)及びフェノキシホス
ファゼン化合物(難燃剤C)を各々5g加え室温で攪拌
し、完全溶解させた溶液に、実施例1と同様に得られた
22デシテックスの延伸糸を浸漬させた後、延伸糸を取
り出し、温風乾燥機で熱風乾燥させて、難燃性のポリプ
ロピレン系繊維とした。尚、繊維表面には難燃剤が繊維
1gあたり59.1mg塗布されていた。実施例1と同
様に難燃性の評価を行ったところ、着火後直ぐに繊維表
面が炭化しドリップの発生することなく消火し、自消性
の有ることが確認された。
【0046】[比較例1]MFRが25g/10分、G
PC測定による分子量分布が約6のホモポリプロピレン
(ノバテックPPSA03A:日本ポリケム社製)を使
用し、このポリプロピレンを用いて実施例1と同様に紡
糸延伸後、延伸糸に難燃剤を塗布せずに、実施例1と同
様に難燃性を評価したところ、燃焼が激しく、ドリップ
も多く、難燃性はないことが確認された。
【0047】[比較例2]MFRが25g/10分、G
PC測定による分子量分布が約6のホモポリプロピレン
(ノバテックPPSA03A:日本ポリケム社製)を使
用し、このポリプロピレンを用いて実施例1と同様に紡
糸延伸後、延伸糸に難燃剤を塗布せずに、実施例1と同
様に難燃性を評価したところ、燃焼速度は比較例1に比
べ遅かったが、ドリップは多く難燃性は低いものであっ
た。また、臭気も強いものであった。
【0048】[比較例3]MFRが25g/10分、G
PC測定による分子量分布が約6のホモポリプロピレン
(ノバテックPPSA03A:日本ポリケム社製)を使
用し、このポリプロピレンを用いて実施例1と同様に紡
糸延伸後、延伸糸に難燃剤を塗布せずに、実施例1と同
様に難燃性を評価したところ、燃焼速度は比較例2に比
べ遅かったが、ドリップは多く、難燃性は本発明の実施
例と比べて低いものであった。更に、臭気も強く、引張
強度物性もやや低下するなどのマイナス面も確認され
た。
【0049】[比較例4]MFRが1.4g/10分、
GPC測定による分子量分布が約6、密度0.950の
高密度ポリエチレン(ノバテックHD HY340:日
本ポリケム社製)を使用した。この高密度ポリエチレン
をL/D=26、CR=2.9、50mmφヤーン成形
機を用いて、成形温度200℃、スクリュー回転50r
pm、ブローアップレシオ0.95(折径225m
m)、スリット幅14mm、延伸温度90℃/115℃
/0℃で熱処理温度120℃、延伸速度第1ロール速1
6.7m/分、第2ロール速度100m/分、第3ロー
ル速度95m/分で、リラックスレシオは5%で、約6
倍延伸テープを得た。このヤーンは、約1083デシテ
ックスであった。
【0050】500mlの丸底フラスコに250mlの
アセトンを加えた後、フェノキシトリオキシホスファゼ
ン化合物(難燃剤B)10gを加え室温で攪拌し、完全
溶解させた溶液に、上記にて得られたヤーンを浸漬させ
た後、ヤーンを取り出し、温風乾燥機で熱風乾燥させ
て、難燃性のポリエチレン系ヤーンとした。尚、ヤーン
表面には難燃剤がヤーン1gあたり530mg塗布され
ていた。実施例1と同様に難燃性の評価を行ったとこ
ろ、着火後直ぐに繊維表面が炭化してドリップが発生す
ることなく消火し、自消性の有ることが確認されたが、
難燃剤はヤーン表面にべと付いた状態で付着されてお
り、臭気が強めであった。
【0051】[比較例5]MFRが25g/10分、G
PC測定による分子量分布が約6のホモポリプロピレン
(ノバテックPP SA03A:日本ポリケム社製)を
使用し、このポリプロピレンを用いて実施例1と同様に
紡糸延伸後、延伸糸に難燃剤を塗布せずに、実施例1と
同様に難燃性を評価したところ、自己消化性、ドリップ
性は、塗布した場合(実施例2)と比べ配合量見合いで
劣り、しかも臭気が強く、難燃性は低いものであった。
また、物性もやや低下した。
【0052】上記[実施例1]〜[実施例9],[比較
例1]〜[比較例5]において、MFR、密度、分子量
分布は、下記の方法に従って測定した。 MFRの測定方法:ポリプロピレン系樹脂のMFRは、
JIS K6921に準拠し試験温度230℃、試験荷
重21.18Nで測定した。ポリエチレン系樹脂のMF
Rは、JIS K6922に準拠し試験温度190℃、
試験荷重21.18Nで測定した。 密度の測定方法:JIS K7112に準拠し測定し
た。 分子量分布の測定方法:ポリオレフィン樹脂の分子量分
布は重量平均分子量と数平均分子量をゲル・パーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)を用いて次の条件
により測定し、その比から算出した。 装置:ウオーターズ社製GPC 150C型 カラム:昭和電工社製AD80M/S 3本 測定温度:140℃ 濃度:20mg/10ml 溶媒:オルソジクロロベンゼン
【0053】上記各実施例及び比較例で得られた結果
を、下記表1に纏める。尚、各評価は下記によるもので
ある。 自己消火性:ドラフト内で繊維又は繊維成形品を燃焼さ
せて、その燃焼状態を下記基準で判定した。 ◎:表面がカーボン化して燃焼しない状態。 ○:着火して燃焼するがすぐにカーボン化して消える。 ×:着火後ドリップしながら燃焼する。 尚、ドリップ性は燃焼時間から30秒後に繊維が溶けて
ドリップ(滴下物)が発生したかどうかを目視で判断し
た。
【0054】臭気:5人のパネラーが臭いの有無をジャ
ッジして、次の判定を行った。 ◎:全員がほとんど臭いが気にならないとしたもの。 ○:1〜2人がやや臭うとしたもの。 ×:3人以上が臭いとしたもの。
【0055】難燃剤での処理前と処理後の物性変化:J
IS K6922に準拠し、引張強伸度物性を測定し処
理前後の測定値の変化を次の基準で判定した。 なし:処理前後の値の差が5%未満のもの。 やや低下:5〜10%未満の範囲で物性が低下したも
の。 低下:10%以上物性の低下があるもの。
【0056】
【表1】
【0057】表中、各略語は、下記の物質を表す。 難燃剤A:メトキシフェノキシフォスファゼン(ケミフ゜
ロ化成 KD-102) 難燃剤B:フェノキシトリオキシフォスファゼン(ケミ
フ゜ロ化成 KD-302S) 難燃剤C:フェノキシフォスファゼン(ケミプロ化成
KD-302) DBDP:デカブロモジフェニルエーテル Sb23:三酸化アンチモン
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、ポリオレフィン系繊維
の材料特性を確実に有すること、優れた難燃性を有する
こと、および環境汚染を引き起こしにくいこと、の全て
を兼ね備える難燃性ポリオレフィン系繊維及び難燃性ポ
リオレフィン系繊維成形品を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 淳一 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番地1号 日本ポリケム株式会社材料開発センター内 Fターム(参考) 4L033 AA05 AC05 BA83 CA66

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホスファゼン系難燃剤がポリオレフィン
    系繊維の表面に塗布されてなる難燃性ポリオレフィン系
    繊維であって、前記ホスファゼン系難燃剤の塗布量が、
    前記ポリオレフィン系繊維1g当たり1mgから500
    mgであることを特徴とする難燃性ポリオレフィン系繊
    維。
  2. 【請求項2】 前記ホスファゼン系難燃剤が、下記式
    (A)で示される化合物及び式(B)で示される化合物
    の群から選択される1種以上の化合物であることを特徴
    とする、請求項1に記載の難燃性ポリオレフィン系繊
    維。 【化1】 (式(A)中、mは3〜25の整数であり、Rは同一又
    は異なった炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8の
    アルキル基及び/又はアリル基で置換されていても良い
    フェノキシ基である。) 【化2】 (式(B)中、nは1〜24の整数であり、Rは同一又
    は異なった炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ア
    ルキル置換アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ
    基、アミノ基又は水酸基である置換基であり、炭素数1
    〜8のアルキル基及び/又はアリル基で置換されていて
    も良いフェノキシ基である。)
  3. 【請求項3】 前記ホスファゼン系難燃剤が2種以上塗
    布されたことを特徴とする、請求項1または2に記載の
    難燃性ポリオレフィン系繊維。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載された難
    燃性ポリオレフィン系繊維を成形してなる難燃性ポリオ
    レフィン系繊維成形品。
  5. 【請求項5】 ホスファゼン系難燃剤がポリオレフィン
    系繊維成形品の表面に塗布されてなる難燃性ポリオレフ
    ィン系繊維成形品であって、前記ホスファゼン系難燃剤
    の塗布量が、前記ポリオレフィン系繊維成形品1g当た
    り1mgから500mgであることを特徴とする難燃性
    ポリオレフィン系繊維成形品。
  6. 【請求項6】 前記ホスファゼン系難燃剤が、下記式
    (A)で示される化合物及び式(B)で示される化合物
    の群から選択される1種以上の化合物であることを特徴
    とする、請求項5に記載の難燃性ポリオレフィン系繊維
    成形品。 【化3】 (式(A)中、mは3〜25の整数であり、Rは同一又
    は異なった炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8の
    アルキル基及び/又はアリル基で置換されていても良い
    フェノキシ基である。) 【化4】 (式(B)中、nは1〜24の整数であり、Rは同一又
    は異なった炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ア
    ルキル置換アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ
    基、アミノ基又は水酸基である置換基であり、炭素数1
    〜8のアルキル基及び/又はアリル基で置換されていて
    も良いフェノキシ基である。)
  7. 【請求項7】 ホスファゼン系難燃剤が2種以上塗布さ
    れていることを特徴とする、請求項5または6に記載の
    難燃性ポリオレフィン系繊維成形品。
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