JP5432019B2 - 難燃性ネット状物、網糸用未硬化状線状物の製造方法、及び難燃性frpネット本体の製造方法 - Google Patents

難燃性ネット状物、網糸用未硬化状線状物の製造方法、及び難燃性frpネット本体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、土木用篭マット又はコンクリート製のトンネル、高架車道、橋梁、建築物などのコンクリート構造物からのコンクリート片剥落を防止するための難燃性ネット状物、該ネット状物のFRPネット本体に用いる網糸用未硬化状線状物の製造方法、及び難燃性FRPネット本体の製造方法に関するものである。
近年、河川、沼沢、湖あるいは海岸等の護岸、水中構造物の根固め、法面、河床の保護等の各種土木工事に於いて用いられる、土木工事用篭マットについて、金属線における腐食、及び合成繊維条における著しく剛性に欠けることによる施工時及び施工後の形態保持性の低下を改良できるものとして繊維強化樹脂製土木工事用篭マットが提案されている(特許文献1)。
この特許文献1に記載の繊維強化樹脂製土木工事用篭マットによれば、施工時及び施工後の篭マットの形態を保持するに足る充分な剛性を有し、経時的な腐食の進行による篭マットの脆化や破損、破損に伴う人体損傷、腐食による環境汚染等が無く、軽量で施工地盤の僅かな凹凸に順応出来る適度の柔軟性を有する事によって作業効率を向上させ、施工後の洗掘に対しても前記柔軟性によって、僅かな洗掘の内に篭マットが洗掘に合わせて沈下し、隙間の拡大を防止できるという効果を奏し得る。
また、海岸又はその付近にある鉄筋コンクリート構造物が海塩粒子によって塩害を受けたり、海水と接触する鉄筋コンクリート構造物に塩分が侵入したりすることによる鉄筋の腐食、膨張によりそれらの構造物が劣化することや、酸性雨や工場の薬品等コンクリートに有害な物質により表層が脆弱化することなどによるコンクリートの劣化、あるいは、車両通行量の増大、積載量の増大、高速化等による構造物への過負荷などから、コンクリート構造物の表面部分が剥落したり、コンクリート構造物自体が劣化してきていることが大きな問題となっている。
その劣化したコンクリートの剥落を防止する工法や、剥落した部分を補修する各種工法やその材料等が種々検討されている。その中で、予め表面層となる保護層とコンクリート構造物への貼着層とを有する積層体とし、これらの層間に繊維基材からなる補強層を介在させた補修又は補強用シートにおいて、繊維基材として、有機繊維や無機繊維等を不織布化や、織布加工したシート状物を用いたものが、施工の容易化、品質の安定化を図られるとして提案されている(特許文献2参照)。
また、コンクリート塊が剥離して落下するのを防ぐネットとして、金属板の枠体に金網を挟持した剥落防止ネットが提案されている(特許文献3参照)。
さらに、合成繊維網の周囲にロープを挿通し縫製した網体を、支持金具に挿通した連結ワイヤーに、ロープを介して結束して張設する工法(特許文献4参照)が提案されている。
さらに、上記問題に鑑み、軽量で鉄筋同様の補強硬化があり腐食も少ないFRP格子筋をアンカーボルト、接着樹脂等でコンクリート構造物に取付ける方法も提案されており、さらにその改良された取付け方法が提案されている(特許文献5)。
特開2003−184048号公報 特開2002−256707号公報 実用新案登録第3068973号公報 特開2005−179938号公報 特開2006−9266号公報
しかしながら、特許文献1に記載の繊維強化樹脂製土木工事用篭マットは、難燃化されていないので、河川でのたき火などの延焼防止の対策として、素材(網糸)に難燃性が求められている。しかし、FRP(以下、「繊維強化樹脂」と称することもある。)に難燃性を付与するのは容易ではない。
一方、特許文献2に記載の補修方法は、下地ケレン、プライマー処理、不陸修正、強化繊維シートの含浸接着と多くの工程がかかり、工事費が嵩む等の問題点がある。また、樹脂(接着剤)を用いるため、特に補修箇所に湧き水がある場合や、トンネルの繋ぎ目のように大きな段差がある場合には、応用できない。さらに、コンクリート表面全面を覆って貼り付けるために、施工後のひび割れ状況の確認が難しく、また、補修後にコンクリート隙間等の水分が外部に抜けずに溜まってしまい、コンクリートの耐久性の点でも問題がある。
また、特許文献3に記載の剥落防止ネットは、金属製であり錆びの発生の問題があること、四角平面状であるため、曲面を有するコンクリート構造物には使用し難いこと、金属枠ユニットであるため、固定に際して、取付け孔と固定部位との自由度が少ないことなどの問題がある。
さらに、特許文献4に記載の張設工法は、道路高架橋下面のコンクリート片剥落物の防止を対象とするものであって、トンネル上面や壁面などには適用できない。
また、この特許文献5に記載のFRP格子筋は、補強筋が互いに30〜150mm離間して格子状に配置され、幅が3〜10mm、厚さが1〜5mmで、面状の剛性を有する比較的剛直なものであるため、トンネルのつなぎ目など段差のある部分に張設するには適していない。また、重量も比較的重く、高価であり、作業性に課題が残る。
そこで、本出願人は特願2008−321346号によって上記の問題が解決できるコンクリート剥落防止用ネットとして、未硬化状複合線状物を編網後に硬化した、目合い(升目ともいう。)30〜150mmの角目状の無結節網からなるFRPネット本体と、海島型複合糸を織網してなる目合いが1〜30mmの二軸メッシュ状物とを固着させてなるコンクリート剥落防止用ネットを提供した。しかし、トンネル剥落防止用途には難燃性が必要であり、篭マットにおける場合と同様に難燃化する上では、以下の問題があった。
(1)先ず、FRPネット状物を構成する複合線状物の補強繊維束を結着するマトリックスを構成する熱硬化性樹脂に、難燃性を得る上で必要な量の難燃剤を配合すると、未硬化状樹脂が増粘するため、補強繊維中への樹脂含浸が充分にできず、補強効果が得られ難いという含浸不良の問題が生じた。このため、難燃剤の配合量を減らすとマトリックス樹脂を充分難燃化できなかった。
(2)一方、複合線状物におけるFRPの断面外周の被覆樹脂である熱可塑性樹脂に難燃剤を配合すると、被覆樹脂層が被覆樹脂層とFRP層の界面で、未硬化状熱硬化性樹脂のモノマーを吸収し、熱硬化処理時に充分に硬化できないという硬化不良の問題が発生していた。これはFRP部のマトリックス樹脂が脆く、マトリックス樹脂と補強繊維とが接着不足の状態を生じていたためである。
(3)また、編網が終了するまで硬化しないような、少なくとも30日程度の可使時間(ポットライフ)を有し、かつ編網後、加熱によって充分硬化して物性を発現するようなマトリックス樹脂が望ましいが、難燃剤を添加すると可使時間の調節が一層困難になるという可使時間の不足の問題があった。
そこで、本発明では、上記の問題が解決できる篭マット又はコンクリート剥落防止用ネットを提供することを目的として鋭意検討した結果、網糸用未硬化状複合線状物として、補強繊維に未硬化状熱硬化性樹脂が含浸された未硬化状FRPの外周に、先ずポリエチレンによる1次被覆を形成し、これをバリア層とし、次いでこの1次被覆の外周にノンハロゲン難燃剤を配合したノンハロゲン難燃性ポリエチレンを2次被覆した未硬化状複合線状物を得、これを2本撚りして無結節網に編網加工後、加熱硬化させて、難燃性ネット状物を得ることにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、下記の(1)〜(8)を提供する。
(1)土木工事用篭マット又は構築物のコンクリート剥落防止用ネットに用いられる難燃性ネット状物であって、該難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体が、(i)未硬化状熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維状の補強繊維の外周に直接するポリエチレンからなる1次被覆層と、該1次被覆層の外周を酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンにより被覆してなる2次被覆層を有する未硬化状複合線状物を、2子の網糸として編網後に硬化した、目合い20〜150mmの角目状の無結節網からなり、(ii)前記未硬化状複合線状物は、前記ポリエチレンにより1次被覆した未硬化被覆線状物の断面積S0mm2と、前記ノンハロゲン難燃性ポリエチレンによる2次被覆層の断面積S1mm2との比S1/S0を2.1倍以上として被覆されたものであり、(iii)硬化した2子の網糸を試験片としたときの燃焼性が自己消火性であり、(iv)硬化した2子の網糸の1本を切断し、被覆樹脂を剥ぎ、FRP部を目視および触手によって、硬化した熱硬化性樹脂であるマトリックス樹脂の固化状態およびマトリックス樹脂と前記補強繊維との接着状態を評価した時、固化状態のマトリックス樹脂が補強繊維と結着している、
ことを特徴とする難燃性ネット状物。
(2)前記FRPネット本体は、前記未硬化状複合線状物を子糸として、2子の網糸の子糸を互いに交叉させ、網糸が連接部を貫通して直線的に伸びる貫通型(普通型)無結節状に編網して硬化してなる、前記(1)に記載の難燃性ネット状物。
(3)前記ノンハロゲン難燃性ポリエチレンは、難燃剤として無機金属水酸化物が含まれてなる前記(1)又は(2)に記載の難燃性ネット状物。
(4)前記未硬化状複合線状物の未硬化状熱硬化性樹脂に、さらに、アクリル酸エステル系化合物、メタクリル酸エステル系化合物、及びビニル化合物から選ばれる少なくともいずれかを重合単位とする樹脂からなる増粘剤(A)と、アクリル酸エステル系化合物、メタクリル酸エステル系化合物、及びビニル化合物の少なくともいずれかから選ばれる重合単位とする樹脂からなる浸透増粘剤(B)とを配合してなり、かつ、前記増粘剤(A)の配合量が前記未硬化状熱硬化性樹脂と前記浸透増粘剤(B)5〜50質量部との合計量100質量部に対して、0.5〜50質量部である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の難燃性ネット状物。
(5)さらに、目合いが1〜30mmの難燃性メッシュ状物を、前記FRPネット本体の一方の面に配置してなる、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の難燃性ネット状物。
(6)難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体に用いる、網糸用未硬化状複合線状物の製造方法であって、下記(i)〜(iv)を含む製造方法、
(i)長繊維状の補強繊維に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸する工程、(ii) 前記熱硬化性樹脂が含浸された補強繊維を絞り成形して所定の外径の未硬化状線条物とする工程、(iii)前記未硬化状線条物の外周を第1の溶融押出機の被覆ヘッドに導いてポリエチレンにより環状に1次被覆し、直ちにこの1次被覆層を冷却固化する工程、及び(iv)前記1次被覆層を有する未硬化状線条物を溶融押出機の被覆ヘッドに導いて酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンにより所定の厚みで環状に2次被覆し、直ちにこの2次被覆層を冷却固化する工程。
(7)難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体に用いる、網糸用未硬化状複合線状物の製造方法であって、下記(i)〜(iii)を含む製造方法、
(i)長繊維状の補強繊維に未硬化状の熱硬化性樹脂を含浸する工程、(ii)熱硬化性樹脂が含浸された補強繊維を絞り成形して所定の外径の未硬化状線条物とする工程、(iii)未硬化状線条物を溶融押出機の被覆ヘッドに導いて、該未硬化状線状物の外周に直接する第1層をポリエチレン、該第1層の外周の第2層を酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンの複層として環状に押出して被覆し、これを直ちに冷却固化して、該第2層を網糸用未硬化状複合線状物の表面層とする複層被覆工程。
(8)前記(6)又は(7)に記載の製造方法により得られた網糸用未硬化状複合線状物による難燃性FRPネット本体の製造方法であって、下記(i)〜(ii)を含む製造方法、
(i)未硬化状複合線状物を子糸として、2子の網糸の子糸を互いに交叉させ、網糸が連接部を貫通して直線的に伸びる貫通型(普通型)無結節状に編網する工程、(ii)編網されたネットを緊張状態で固定して目合い20〜150mmの角目状の無結節網に硬化する工程。
本発明の難燃性ネット状物は、FRPネット本体が自己消火性を有しているので、FRPネット本体が有する軽量性、柔軟性等の優れた特性を活かしつつ、難燃性を有する河川護岸用篭マット又はトンネル等のコンクリート剥落防止用ネットとして有効に利用できる。
本発明の網糸用未硬化状複合線状物の製造方法は、未硬化状熱硬化性樹脂に難燃剤を配合した場合に生じる、補強用長繊維への含浸不良、硬化阻害の問題、及び可使時間の短縮化等の問題を回避できる未硬化状複合線状物の製造方法として有効に利用できる。
さらに、本発明の難燃性FRPネット本体の製造方法は、難燃性網糸用未硬化状複合線状物を用いた無結節網の製造方法として有効に利用できる。
本発明の難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体の説明図である。 本発明を構成するFRPネット本体を構成する複合線状物の説明図である。 本発明の難燃性ネット状物をコンクリート剥落防止用ネットとする場合の1目合い(1升)分の拡大説明図である。 網糸用未硬化状複合線状物の製造工程を示し、(A)1次被覆、又は1次被覆及び2次被覆の複層被覆後の冷却工程迄、(B)被覆後の巻き取り工程、(C)1次被覆工程に連続して2次被覆層形成する場合の工程図、(D)1次被覆で巻き取り後、2次被覆する工程の説明図である。 1次被覆に用いる被覆ヘッド(ダイス)の一例を示す断面図である。 1次被覆と2次被覆を同時に行う複層被覆ダイスの一例を示す断面模式図である。 引張強力の測定方法の説明図である。 難燃性テスト方法の説明図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、添付図面に示された各実施形態は、本発明に係わる代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
本発明の難燃性ネット状物は、FRPネット本体が、(i)未硬化状熱硬化性樹脂を含浸させた補強用長繊維の外周に接触するポリエチレンからなる1次被覆層と、該1次被覆層の外周を酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンにより被覆してなる2次被覆層を有する未硬化状複合線状物を、2子の網糸として編網後に硬化した、目合い20〜150mmの角目状の無結節網からなり、(ii)前記未硬化状複合線状物は、前記ポリエチレンにより1次被覆した未硬化被覆線状物の断面積S0mm2と、前記ノンハロゲン難燃性ポリエチレンによる2次被覆層の断面積S1mm2との比S1/S0を2.1倍以上として被覆されたものであり、(iii)硬化した2子の網糸を試験片としたときの燃焼性が自己消火性であり、(iv)硬化した2子の網糸の1本を切断し、被覆樹脂を剥ぎ、FRP部を目視および触手によって、熱硬化性樹脂であるマトリックス樹脂の固化状態およびマトリックス樹脂と補強繊維との接着状態を評価した時、固化状態のマトリックス樹脂が補強繊維と結着している、ことを特徴とする。
〔FRPネット本体〕
FRPネット本体は、図4(A)に示すように、未硬化状熱硬化性樹脂22'に増粘剤と浸透増粘剤とを含有させる工程と、補強用長繊維21を未硬化状熱硬化性樹脂22'に含浸させる工程と、この含浸された長繊維21の外周を所定の外径に絞り成形し、その外周にポリエチレンからなる1次被覆層23を施し、引き続いて該1次被覆層23の外周を酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンにより被覆して2次被覆層24を有する図2に示す如き未硬化状複合線状物20'を、2子の網糸として編網して硬化した、目合いが20〜150mmの角目状の図1に平面図として示すような無結節網であって、硬化した複合線状物20とすることで、所定形状、物性を備えたFRPネット本体2とすることができる。
未硬化状複合線状物20'及び複合線状物20は、図2に示すようにポリエチレンにより1次被覆した未硬化被覆線状物の断面積S0mm2と、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンによる2次被覆層(図2の斜線部分)の断面積S1mm2との比S1/S0を2.1倍以上として被覆されたものとする必要がある。S1/S0が2.1倍未満では、自己消火性レベルの難燃性が得られない。
複合線状物20の外径は、1.5〜5mmであることが好ましく、2.0〜3.5mmであることがさらに好ましい。1.5mm未満では、コンクリート剥落防止用ネットとしての十分な抗張力(引張強力)が得られず、5mmを超えると、編網がし難くなり、得られるFRPネット本体2も柔軟性に欠け、かつ重量も増して、施工性の問題が生じる。
また、前記FRPネット本体2を構成する複合線状物20の破断荷重(引張耐力)が、400N以上であることが篭マットやコンクリート剥落防止用ネットとしての性能上好ましく、500N以上であることが更に好ましく、600N以上であることが特に好ましい。
さらに、図1に示すようにFRPネット本体2は、前記未硬化状複合線状物20'を子糸として、2子の網糸の子糸を互いに交叉させ、網糸が連接部25を貫通して直線的に伸びる貫通型(普通型)無結節状に編網して硬化することが、網糸の連接部25に結節がなくフラットなネット状物となって、これらを篭マットやコンクリート剥落防止用ネットとして使用する場合に、保管、輸送、施工上好ましい。
本発明の難燃性ネット状物のFRPネット本体に用いられる複合線状物に用いられる補強繊維としての長繊維21の種類については、特に限定されず、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維等の合成樹脂繊維、ガラス繊維等の無機繊維、金属繊維等を用いることができるが、好適には、合成樹脂繊維であることが望ましく、より好適には、ポリエステル長繊維であることが望ましい。
また、長繊維21の繊度についても特に限定されず、使用目的や加工容易性等を考慮して、適宜選択することができる。また、繊維の体積含有率も特に限定されないが、概ね30〜70vol.%である。なお、補強繊維としての長繊維の体積含有率は、ネットの使用目的(篭マットや剥落防止用ネットの使用部位)による所望の物性を考慮して、適宜選択することができる。
本発明において用いられる未硬化状熱硬化性樹脂22'については、加熱により硬化するものであればよく、その種類は特に限定されないが、好適には、硬化後の性能安定性に優れた不飽和ポリエステル樹脂、不飽和アルキド樹脂、エポキシ樹脂等が望ましく、より好適には架橋性物質を含有することが望ましく、更に好適には、不飽和ポリエステル樹脂、不飽和アルキド樹脂、またはエポキシアクリレートの少なくともいずれかと、架橋性モノマー等の架橋性物質と、ジアシルパーオキサイド等の重合開始剤と、を含有することが望ましい。かかる配合とすることで、熱加工処理時の熱等によって重合反応を促進させることができる。
増粘剤や浸透増粘剤を含有させないまま上記工程を行ってしまうと、未硬化状複合線状20'を熱処理する際に、液状である未硬化状熱硬化性樹脂22'が染み出す場合があるので、この未硬化状熱硬化性樹脂22'に増粘剤や浸透増粘剤を含有させることで適度に増粘させることができ、端部からの液ダレを防止することができる。
増粘剤に用いるアクリル酸エステル系化合物とは、アクリル酸エステル構造を有する化合物とその誘導体をいい、例えば、メチルアタリレート、エチルアグリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレ−ト、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−へキシルアクリレート、シクロへキシルメタアクリレート等が挙げられる。
増粘剤に用いるメタクリル酸エステル化合物とは、メタクリル酸エステル構造を有する化合物とその誘導体をいい、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−へキシルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート等が挙げられる。
増粘剤に用いるビニル化合物とは、重合可能なビニル構造を有する化合物をいい、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン及びこれらの芳香環にアルキル基やハロゲン原子等の種々の官能基で置換された化合物が挙げられる。
また、増粘剤は、メタクリル酸エステル系化合物、アクリル酸エステル系化合物、ビニル系化合物の1種類あるいは複数種類の重合単位からなる重合体であってもよく、構造の異なる複数種類の樹脂を混合した樹脂であってもよい。更に、(1)アクリル酸エステル系化合物またはメタクリル酸エステル系化合物またはジエン系化合物の少なくともいずれかからなる重合体と、(2)アクリル酸エステル系化合物またはメタクリル酸エステル系化合物とラジカル重合性不飽和カルボン酸とからなる重合体と、に、(3)金属イオンを添加することでイオン架橋させた複合樹脂であってもよい。
そして、増粘剤は粉末樹脂として用いることができる。増粘剤として用いる樹脂粉末の粒径等については特に限定されないが、好適には、0.5μm〜2.0μmであることが望ましい。
本発明のFRPネット本体2に係る複合線状物20において、未硬化状複合線状物20'が加熱処理される際には、未硬化状熱硬化性樹脂22'は高粘度であるとともに、ゲル化しないことが望ましい。未硬化状硬化性樹脂22'がゲル化してしまうことで、時間が経過するにつれて物性が変化しやすくなる。
浸透増粘剤の種類については、特に限定されないが、好適にはメタクリル酸ベンジルを用いることが望ましい。未硬化状熱硬化性樹脂22'は、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂が用いられる。この熱硬化性樹脂への増粘剤の浸透効果を高めるために、浸透増粘剤を配合する。特に、メタクリル酸ベンジルは、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂への浸透効果が高い点で好適である。
浸透増粘剤を添加することで、増粘剤を未硬化状熱硬化性樹脂22'によく浸透させるとともに、均一に混合させることができる。即ち、増粘剤の分散不良による過剰な増粘を抑制することができ、所望の増粘速度とすることができ液ダレ現象を防止することができる。
このように、増粘剤だけでなく浸透増粘剤も用いることで、液ダレ現象が起こらず実用に適した未硬化状複合線状物20'とすることができる。
増粘剤と浸透増粘剤の配合量については特に限定されないが、好適には、以下の配合量とすることが望ましい。未硬化状熱硬化性樹脂と浸透増粘剤5〜50質量部との合計量100質量部に対して、増粘剤を0.5〜50質量部含有させることが望ましい。これにより、液ダレ量の抑制効果をより向上させることができる。
浸透増粘剤の添加量が多すぎると樹脂の増粘速度が早くなりすぎることや、例えば、長繊維内等に含有されるバインダー成分が浸透増粘剤の影響により含浸樹脂中に溶出し、増粘性を過剰に促進させてしまう場合がある。この場合には、本発明の範囲内においては、浸透増粘剤の添加量をより少なくしたり、増粘剤の添加量を少なくすることで、増粘速度を調節することもできる。
本発明において用いられる1次被覆層23のポリエチレンについては、特に限定されないが、溶融被覆適性の観点から、メルトフローレート(MFR)が1〜20g/10分のものが好適である。ポリエチレンは、未硬化状熱硬化性樹脂22'に架橋性物質を含有させている場合であっても、架橋性物質等によって浸食されにくく、かつ架橋性物質を浸透させることもないので、未硬化状熱硬化性樹脂22'に直接する1次被覆層の樹脂として好ましい。
1次被覆層の外周を被覆するノンハロゲン難燃性ポリエチレンによる2次被覆層24は、自己消火性の難燃性を得るために、1次被覆した未硬化被覆線状物の断面積、すなわち、1次被覆層の外径から求められる断面積S0mm2と当該2次被覆層の断面積S1mm2との比S1/S0を2.1倍以上とする必要がある。この断面積比が、S1/S0>2.1の関係を満たすように2次被覆層の被覆厚みが決定される。
本発明の2次被覆に用いられるノンハロゲン難燃性ポリエチレンは、JIS K7201(1976)に規定する測定法による酸素指数が31以上であることを要し、酸素指数31未満では有効な自己消火性レベルの難燃性が得られない。
本発明において使用されるノンハロゲン難燃剤とは、その化学構造中にハロゲン元素を持たない化合物であり、具体的には、無機系難燃剤、有機リン系難燃剤、窒素系難燃剤並びにシリコーン系難燃剤等を挙げることができる。
無機系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、ハンタイト、ハイドロマグネサイト、三酸化アンチモン、リン酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ホウ砂、ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、無水アルミナ、二硫化モリブデン、粘土、赤リン、ケイソウ土、カオリナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、タルク、シリカ、ホワイトカーボン、ゼオライト、アスベストまたはリトポン等が例示される。無機系難燃剤の表面は、分散性や流動性を向上するため、ステアリン酸、オレイン酸あるいはパルミチン酸等の脂肪酸またはその金属塩、パラフィン、ワックスまたはそれらの変性物、有機シラン、有機チタネート等で表面処理を施すことが好ましい。
有機リン系難燃剤としては、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(モノクロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリアリルフォスフェート、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキシド、グリシジル−α−メチル−β−ジ(ブトキシホスフィニルプロピオネート、ジブチルヒドロキシメチルホスフォネート、(ブトキシ)ホスフィニルプロピルアミド、ジメチルホスフォネート、アンモニウムポリホスフェート、エチレンジアミンホスフェート等のアミンホスフェート及びアミンホスフォネート等が例示される。
窒素系難燃剤としては、メラミン誘導体が挙げられ、メラミン、メラミンシアヌレート、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、トリグアナミン、アセトグアナミン、硫酸グアニルメラミン、硫酸メレム、硫酸メラム等の難燃剤、あるいはヒンダードアミン系難燃剤が例示される。シリコーン系難燃剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコンパウダー、シリコーン樹脂とカルボン酸金属塩の配合物等が例示される。
ノンハロゲン難燃剤は、単独で用いても、2種以上混合して用いてもよく、例えば無機系難燃剤、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤を混合して用いてもよい。ノンハロゲン難燃性ポリエチレンにおけるノンハロゲン難燃剤の配合量は、ポリエチレン樹脂100質量部に対して、5〜250質量部である。配合量が5質量部未満では、難燃性が不足し、一方、250質量部を超えると、被覆加工性が悪化するばかりでなく、複合線状物の機械的特性、低温特性及び柔軟性等が低下するので望ましくない。なお、水酸化マグネシウムを使用する場合の好ましい配合量は、150〜250質量部である。
難燃性ポリエチレンには、本発明の特性を損なわない範囲で、各種添加剤や補助資材を配合することができる。この各種添加剤や補助資材としては、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、加工性改良剤、充填剤、分散剤、気泡防止剤、着色剤、カーボンブラック等を挙げることができる。また、本発明に用いる難燃性ポリエチレンには、本発明の特性を損なわない範囲で他のオレフィン系樹脂を少量配合したり変性したりすることもできる。また、本発明の未硬化状複合線状物を編網する際に、本未硬化状複合線状物間、あるいは本未硬化状複合線状物と編網機械部または編網工程ガイド等との接触摩擦を小さくする目的で、シリコン系滑剤を適量添加することもできる。これは本未硬化状複合線状物の外径が大きい場合に有効である。
本発明に2次被覆に用いる難燃性ポリエチレンは、特性的には、メルトフローレート(MFR)が0.1〜30g/10分、好ましくは0.2〜10g/10分である。MFRが0.1g/10分未満であると溶融被覆性が低下し、30g/10分を超えると、2次被覆層の破壊応力、破壊歪み、衝撃強度等の
機械特性が低下するので好ましくない。
難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体に用いる、網糸用未硬化状複合線状物の第1態様の製造方法について図4を用いて説明する。前記の例示される材料から補強繊維及び熱硬化性樹脂組成物を適宜選択して、図4(A)に示すように(i)長繊維状の補強繊維21に未硬化の熱硬化性樹脂22'を含浸する工程、(ii) 前記熱硬化性樹脂が含浸された補強繊維を絞りダイス41で絞り成形して所定の外径の未硬化状線条物とする工程、(iii)前記未硬化状線条物の外周を第1の溶融押出機42Aの被覆ヘッド(図5に概略断面を示す。)に導いてポリエチレンにより環状に1次被覆し、直ちにこの1次被覆層を水冷槽43に導いて冷却固化する工程、及び図4(C)に示す如く(iv)前記1次被覆層を有する未硬化状線条物を溶融押出機46の被覆ヘッドに導いて酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンにより所定の厚みで環状に2次被覆し、直ちにこの2次被覆層を水冷槽47に導いて冷却固化する工程、を含む製造方法である。
前記(iii)の1次被覆及び(iv)の2次被覆は、それぞれポリエチレン及びノンハロゲン難燃性ポリエチレンによって継ぎ目なく環状に被覆すること、及び被覆直後に被覆層を冷却固化することが重要である。被覆層の冷却固化が遅れると、溶融押出された被覆層の熱により未硬化状線状物の熱硬化性樹脂が部分的硬化したりして、網糸用未硬化状複合線状物としての、編網迄の可使状態での保管ができなくなったり、編網して硬化した後の複合線状物の物性が低下する等の不具合を来す。
上記(iii)工程のポリエチレンによる1次被覆により1次被覆層を形成した1次被覆未硬化状複合線状物は、図4(B)に示すように必要に応じて引取機44を介し、巻取りボビン45がセットされた巻取機によって一旦ボビン45に巻取り、引き続いて図4(D)に示すように、ボビン45に巻取られた1次被覆未硬化状複合線状物を溶融押出機50に連続的に導いて、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンで2次被覆する2段階の工程を経て未硬化状複合線状物とすることができる。すなわち、1次被覆と2次被覆を別ライン、即ち図4(A)と図(B)の工程に引き続いて図(D)の工程で行うこともできる。
なお、上記の(iii)前記未硬化状線条物の外周を第1の溶融押出機42Aの図5に概略断面を示す被覆ヘッドに導いてポリエチレンにより環状に1次被覆するに際して、最終絞りノズル60はダイス側からの伝熱で高温となり熱硬化性樹脂が部分的に硬化すること等を防ぐため、水冷ジャケット構造とすることが好ましく、冷却水が給水パイプ61を経て、排水パイプ62から排出される。また、未硬化状線条物は、芯金74の空洞部を通過するに際しての熱硬化性樹脂組成物の一部の揮発物の除去及び被覆時のエアーの持ち込みを防止しつつ、未硬化状線状物の外周とポリエチレンによる一次被覆層との密着性を高めることが望ましい。
このため、減圧ラインに接続された吸引パイプ73によって、被覆ポリエチレンによる被覆コーン内部も含めて減圧とすることにより、未硬化状線状物の外周とポリエチレンによる一次被覆層との密着性を向上させることができる。
また、最終絞りノズル60は、図5においては被覆ヘッド部の入り口側にあるが、図6の案内ノズル83のように、なるべく円環状ダイス72の近傍に近づけることが望ましい。そのためには、図5においては、芯金74の空洞部の径を大きくして、かつ、最終絞りノズルのジャケット部の径を細くして、芯金74の空洞部に挿着可能な構造とすればよい。
本発明による網糸用未硬化状複合線状物の第2態様の製造方法は、(i)長繊維状の補強繊維に熱硬化性樹脂を含浸する工程、(ii) 熱硬化性樹脂が含浸された補強繊維を絞り成形して所定の外径の未硬化状線条物とする工程、(iii)未硬化状線条物の外周を溶融押出機の被覆ヘッドに導いて、第1層をポリエチレン、第2層を酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンの複層として環状に押出して被覆し、これを直ちに冷却固化する複層被覆工程、を含む製造方法である。
この第2態様発明の網糸用未硬化状複合線状物の製造方法について図4により説明する。(i)及び(ii)の工程は第1態様の製造方法と同じであるが、図4(A)に示す(iii)の工程が未硬化状線条物の外周を2台の押出機が結合された溶融押出機42A+Bの複層被覆ヘッド(図6に断面の概要を示す)に導いて、第1層をポリエチレン(図6の流路A)と、第2層を酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレン(図6の流路B)を、ポリエチレンを内層、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンを外層とする複層に合流させて環状に押出して被覆し、これを直ちに水冷槽43に導いて冷却固化し、得られた網糸用未硬化状複合線状物をボビン等に巻き取る方法である。
この第2態様の製造方法によるときは、被覆を複層で行うので、1次被覆層を、ノンハロゲン難燃性ポリエチレン層からの未硬化状複合線状物への影響を遮断するに必要な極薄い厚さとすることができるので、1次被覆した未硬化被覆線状物の断面積S0を小さくでき、それに伴って、2次被覆層の断面積S1も小さく、すなわち2次被覆層の外径を小さくすることができ、低コスト化や、軽量化を図ることができる。
また、2次被覆に無機金属水酸化物からなる難燃剤を含むポリエチレンを用いると、溶融粘度が上昇して被覆し難くなるが、被覆適性に優れたポリエチレンが内層にあるので、2層が協同して円滑な被覆を施すことが可能となる利点を有する。
なお、図6に示す被覆ヘッド80を用いて、この第2態様の製造方法による被覆を施すには、案内ノズル(最終絞りノズル)83は、給水パイプ86から給水し、排水パイプ87から排出する構造の冷却ジャケットとして、なるべく円環状ダイス82の近傍まで近接させ、前記同様にポリエチレンによる内層と難燃性ポリエチレンよりなる外層からなる溶融被覆コーン内を減圧パイプ85に接続して減圧とすることにより、未硬化状線状物の外周と複層被覆層との密着性が向上した網糸用複合線状物とすることができる。
本発明の難燃性FRPネット本体の製造方法は、前記の網糸用未硬化状複合線状物の第1態様の製造方法発明又は第2態様の製造方法の発明により得られた網糸用未硬化状複合線状物を用い、
(i)未硬化状複合線状物を子糸として、2子の網糸の子糸を互いに交叉させ、網糸が連接部を貫通して直線的に伸びる貫通型(普通型)無結節状に編網する工程、(ii)編網されたネットを緊張状態で固定して目合い20〜150mmの角目状の無結節網に硬化する工程、を含む、製造方法である。
図1は、前記複合線状物を用いたFRPネット本体2を示す。同図に示すFRPネット本体2は、連接部25に結び目のない無結節網である。網糸用未硬化状複合線状物20'を2子糸として、無結節網を編網すれば、網目が正確で、連接部25が平面的であり、特に、コンクリート剥落防止用ネットとして、コンクリート構造体の表面に取付けても平面的で見栄えがよい。
無結節網には、2子の網糸の子糸を互いに交叉させ、網糸が連接部を貫通して直線状に伸びる貫通型(普通型)、2子の網糸の子糸を2〜3回交叉させ、網糸がジグザグに伸びる千鳥型、2子の網糸の子糸を3〜4回交叉させ網糸は連接部を経て直線的に伸び、網目を開いたときの形が六角形になる亀甲型が挙げられるが、特に、軽量で網目が一定であることから、貫通型(普通型)無結節ネットとすることが好ましい。
編網機により無結節網を作製した段階では、網目は、菱目状や角目状に開くことが可能であるが、本願に使用するFRPネット本体2は、編網後角目状に開いた状態で真空釜中に供給して、未硬化状熱硬化性樹脂の硬化と角目状ネット形態の熱セット(固定)を行う。
本発明に用いるFRPネット本体2の目合いに関し、本発明では、図3に示すように、網目を構成する対向する網糸の中心間距離Wを目合いと定義する。FRPネット本体の目合いWは、20〜150mmの大きさであることを要し、目合いは、この範囲において、複合線状物の強度、組み合わせて使用する二軸メッシュ状物3の強度等と勘案して決定されるが、外径3.0mmの複合線状物20を用いる場合は、50mm角目が、FRPネット本体2の柔軟性とのバランス等から特に好ましい。
また、FRPネット本体の幅および長さは使用する編網機の大きさによって決定されるものであるが、対象となる篭マットやコンクリート剥落防止箇所の工事方法等に対応して、適宜の幅や長さとして供給することができる。
〔難燃性メッシュ状物〕
本発明の難燃性ネット状物をコンクリート剥落防止用ネットとする場合には、コンクリート剥落細片を捕捉するため、図3に示すように目合いが1〜30mmの難燃性メッシュ状物3を、前記FRPネット本体2の一方の面に配置することができる。
難燃性メッシュ状物1はFRPネット本体2の一方の面に取り付けられるが、取付けられた難燃性メッシュ状物は、コンクリート剥落防止用に用いられるときは、当該難燃性メッシュがコンクリート構造物側となるようにして施工される。
難燃性メッシュ状物としては、構成する繊維自体が難燃性或いは不燃性の織物として、ガラス繊維を用いた平織物、合成繊維の平織物等のメッシュ状物の表面に難燃加工を施したもの等が挙げられる。
難燃加工としては、難燃性樹脂液のコート、ポリ塩化ビニル樹脂のコート等が挙げられるが、ノンハロゲン難燃性樹脂液による加工がより好ましい。また、メッシュ状織物等を構成する繊維そのものを難燃化してもよい。
メッシュ状物の目合いは、1〜30mmであることが好ましく、1〜20mmであることがさらに好ましく、2〜10mmであることが特に好ましい。目合いが1mm未満では、剥落した小片で目詰まりが生じ、透水不良となる危惧があり、30mmを超えると、剥落片を有効に捕捉できない。
〔メッシュ状物とFRPネット本体との固着〕
本発明の難燃性ネット状物として、コンクリート剥落防止用ネットに用いられる場合の1例を図3に示す。同図は、1つの目合いを拡大して示すものであり、メッシュ状物3とFRPネット本体2とが、FRPネット本体2の連接部2のメッシュ状物との接触側において固着されている。固着する目的は、先ずFRPネット本体2とメッシュ状物3とを一体とすることによって、製造後、保管時、施工時の取扱い性を向上させると同時に、FRPネット本体2の開口部26を覆うメッシュ状物3に万一コンクリートの剥落が生じた場合に、コンクリート剥落片による荷重を、FRPネット本体2を構成する当該負荷部近傍の目合いの複合線状物20を介してFRPネット本体2に負荷し、さらにその負荷を、FRPネット本体2を固定する部材を介してコンクリート構造体に分担させることが出来るようにするためであり、当該負荷部のメッシュ状物3が、FRPネット本体2の目合い(開口部)26から膨出したりするのを極力抑制するためである。
具体的な固着の手段としては、接着剤を用いる方法や、熱融着による方法、バンドや紐等の適宜の結束具で結わえる方法等を挙げることができる。
なお、メッシュ状物は、通常、強度がFRPネット本体よりも低いので、実際の施工に際しては、FRPネットとコンクリート面との間に介在させて施工されるので、FRPネットの全面に固着されている必要はなく、施工時の取扱いが容易な程度に固着されていればよい。
(メッシュ状物とFRPネット本体との熱融着)
前記固着の手段としては、熱融着が簡便である。FRPネット本体2を構成する複合線状物20は、熱可塑性樹脂被覆層24を有しているので、当該熱可塑性樹脂被覆層24と、メッシュ状物3とが熱融着可能なものを選択し、FRPネット本体2とメッシュ状物3を重ねて、融点近傍の温度に加熱された熱ローラー間に通す方法等で熱融着することができる。
なお、ここで言う熱融着とは、メッシュ状物を構成する繊維間にFRP本体の2次被覆樹脂24が溶融含浸するか、メッシュ状物を構成する繊維束を包埋
して、FRPネット本体とメッシュ状物とが固着されている状態を含むものである。
この方法によるときは、接着剤による方法と比較して、接着剤が不要で、塗布や硬化の装置や手間が要らず、経済的にも有利である。
本発明の篭マット又はコンクリート剥落防止用ネットに用いられる難燃性ネット状物は、FRPネット本体の製造段階、メッシュ状物の製造段階、あるいはこれらを複合した後に、必要に応じて適宜各種処理を施しても良い。
例えば酸化防止処理、耐候性処理、抗菌処理、帯電防止処理、表面凹凸処理、酸化処理、微粒子付与処理、撥水処理、撥油処理、吸着処理、多孔質処理、蓄光・蛍光処理等を施すことができる。表面凹凸処理としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。また、密着性向上処理としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理が上げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔各種物性の測定〕
実施例、比較例の各種物性は以下の方法により測定した。
(ネットの引張強力)
編網硬化したFRPネットから200mmの長さの2節1本の撚られた網糸が含まれるようにサンプリングし、図7に示すように上下各50mmずつを把持し、500kgのロードセルを取付けた万能型引張り試験機(オリエンテック社製:TENSILON万能試験機RTA−100)を用いて100mm/分で測定した。測定数nは4とした。
(ネットの硬化状態評価)
編網硬化したFRPネットを構成するネット線(編網された2子の複合線状物)の1本を切断し、被覆樹脂を剥ぎ、FRP部を目視および触手によって、熱硬化性樹脂からなるマトリックス樹脂の固化状態およびマトリックス樹脂と補強繊維との接着状態を評価した。
マトリックス樹脂が硬く固まり、かつ補強繊維と結着している場合を「硬化」と判定し、マトリックス樹脂が脆く崩れ、かつ補強繊維がマトリックス樹脂から分離できる場合を「非硬化」と判定した。
(FRPネットの難燃性評価)
編網硬化したFRPネットから図9に示すような幅12.7mm×127mmのサンプルを5個用意し、UL94のV試験方法に準じて、約900℃のバーナーを、10秒間サンプル下端に接炎し、5個の試験サンプルがすべて自然消火する場合を「自己消火性」と判定した。
実施例1
(未硬化状複合線状物の製造)
1100dtex/本を13本無撚合糸した14300総dtexのポリエステル長繊維(東洋紡績(株)製、商品名「E1100T190−H02」)に、増粘剤としてポリメタクリル酸メチル樹脂粉末(日本ゼオン(株)製、商品名「ゼブイアックF320」、粒子径1μm)と、浸透増粘剤としてメタクリル酸ベンジルと、を含む不飽和ポリエステル樹脂(日本ユピカ(株)製、商品名「ユピカ9001」)を未硬化状熱硬化性樹脂として含浸させ、外径1.50mmに絞り成形した未硬化状物とし、引き続いてこの未硬化状物を溶融押出機のヘッド部に導いて、その外周をMFRが4g/10分、酸素指数が16の直鎖低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製、商品名「ネオゼックス 0434N」)で環状に被覆して、水冷却槽に導いて、ポリエチレン被覆層を冷却固化して、1次被覆厚み0.1mm、1次被覆層外径1.7mmの1次被覆未硬化状複合線状物をボビンに巻き取った。
引き続いて、この1次被覆未硬化状複合線状物を連続的に2次被覆用の押出機に挿通して、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンとして、難燃成分として水酸化マグネシウムと有機リン化合物を含み酸素指数が33、MFRが0.27g/10分のダウケミカル社製の「ナックセーフNUC 9739」により2次被覆を施し、水冷却槽に導いて、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンを冷却固化して、2次被覆厚み0.65mm、2次被覆層外径3.0mmの2次被覆を有する未硬化状複合線状物をボビンに巻き取った。なお、未硬化状複合線状物の未硬化状熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂75質量部に対して、増粘剤としてポリメタクリル酸メチル1質量部、浸透増粘剤としてメタクリル酸ペンジル25質量部を配合したものである。
得られた未硬化状複合線状物の1次被覆した未硬化状被覆線状物の断面積S0mm2、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンによる2次被覆層の断面積S1mm2との比S1/S0が2.11であった。
(FRPネット本体の製造)
前記で得られた未硬化状複合線状物〔製造後24℃で保管し、1日(24時間)経過したもの〕を用い、目合い50mmの無結節網を編網し、次いでこれを、50mmの角目状になるように両端を緊張して110℃の高圧飽和水蒸気釜中で40分間加熱硬化しつつ熱セットして、FRPネット本体を得た。
得られたFRPネット本体は、単位重量が900g/m2で、見かけ厚みが6.5mmであった。編網時における、子糸として未硬化状複合線状物の1目合いの撚り回数は3回、1m当たりの撚り回数は60回/mとした。
(FRPネット本体の物性等)
なお、FRPネット本体を構成する複合線状物の撚線2節1本の引張強力は、1.45kNであった。
難燃性ネット状物の構成及び評価物性についてまとめて表1に示す。
実施例2
実施例1におけるノンハロゲン難燃性ポリエチレンをダウケミカル社製の「ナックセーフNUC 9739」から、水酸化マグネシウムと有機リン化合物からなる難燃剤を含み、酸素指数が34、MFRが0.35g/10分である日本ポリエチレン社製の「CR136GB」に置き換えた他は、実施例1と同様にしてFRPネット本体を作製した。評価物性についてまとめて表1に示す。
実施例3
実施例1において、補強繊維の本数を13本から7本に減じ、未硬化状線状物の絞り外径を1.1mmとし、1次被覆外径を1.3mm、2次被覆外径を2.4mmとした他は、実施例1と同様にして未硬化状複合線状物を得た。得られた未硬化状複合線状物を用いて、目合い30mmの無結節網を編網し、次いでこれを、30mmの角目状になるように両端を緊張して110℃の高圧飽和水蒸気釜中で40分間加熱硬化しつつ熱セットして、FRPネット本体を得た。
得られたFRPネット本体は、単位重量が500g/m2で、見かけ厚みが5.5mmであった。編網時における、子糸として未硬化状複合線状物の1目合いの撚り回数は2回、1m当たりの撚り回数は67回/mとした。評価物性についてまとめて表1に示す。
実施例4
実施例1で得られたFRPネット本体に、難燃性メッシュ状物として、ガラス繊維織布(からみ織)を複層した。このガラス繊維織布は、織布を構成するガラス繊維束の太さが0.4mm、目合いが、縦1.4mm、緯1.2mm、織布25mm幅の引張強力が340N/25mm、破断伸度3%のものである。FRPネット本体とガラス繊維織布との複層は、ガラス繊維織布をFRPネット本体上に重ね、170℃に加熱された上部ローラーと、非加熱で常温の下部ローラー(面材による表面)からなる一対のローラー間に、FRPネット本体を下層、メッシュ状ガラス繊維織布を上層として通して、FRPネット本体の2次被覆層を溶融させて、熱融着させた。評価物性についてまとめて表1に示す。
実施例5
実施例1で得られたFRPネット本体に、難燃性メッシュ状物として、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維織布にポリ塩化ビニル樹脂コートを施した平織織布を複層した。このPET織布は、構成繊維束の太さが0.5mm、目合いが4mm、織布25mm幅の強力が527N/25mm、破断伸度25%のものである。FRPネット本体とメッシュ状PET織布との複層は、メッシュ状PET織布をFRPネット本体上に重ね、FRPネット本体の連接部(交点)で結束用バンドにより結束した。評価物性についてまとめて表1に示す。なお実施例5の複層FRPネットは、複層したメッシュ状物のコート材としてポリ塩化ビニル樹脂を少量使用しているものであるが、マウスによる燃焼ガス有害性試験(国土交通省告示1231号)に合格するレベルであった。
比較例1
実施例1の2次被覆層のノンハロゲン難燃性ポリエチレンを、水酸化マグネシウムを主成分とし、MFRが1.9g/10分、酸素指数が25であるプライムポリマー社製の商品名;モアテック ISEC−B3に変えた他は、実施例1と同様にして、未硬化状複合線状物を得、その他は実施例1と同様にして編網、硬化してFRPネット本体を得た。得られたFRPネット本体は、難燃性テスト時にバーナーを離しても延焼し、自己消火性を満足し得なかった。評価物性についてまとめて表2に示す。
比較例2
実施例1において、2次被覆層の厚みを0.65mmから0.55mmに減らして、2次被覆層の外径を2.8mmとした未硬化状複合線状物を得、その他は実施例1と同様にして編網、硬化してFRPネット本体を得た。本比較例2では、1次被覆した未硬化状被覆線状物の断面積S0mm2、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンによる2次被覆層の断面積S1mm2との比S1/S0が1.71であり、難燃性テスト時にバーナーを離しても延焼し、自己消火性を満足し得なかった。評価物性についてまとめて表2に示す。
比較例3
実施例1において、ポリエチレンによる1次被覆をすることなく、2次被覆に用いたノンハロゲン難燃性ポリエチレンを用いて、未硬化状線状物の外周を直接ノンハロゲン難燃性ポリエチレンで厚み0.75mm、被覆外径3.0mmに1層で被覆した未硬化状被覆線状物を得、その他は実施例1と同様にして編網、硬化してFRPネット本体を得た。本比較例3では、未硬化状線状物の断面積S0mm2、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンによる被覆層の断面積S1mm2との比S1/S0が3.00であり、難燃性は十分であるが、熱硬化性樹脂の硬化が不十分であるため、引張強力が低く、かつ、FRP部を観察した結果、非硬化状態であった。評価物性についてまとめて表2に示す。
比較例4
比較例3において、未硬化状線状物の外周を直接ノンハロゲン難燃性ポリエチレンで被覆したのに換えて、実施例1で用いたポリエチレンのみにより1層で被覆した未硬化状被覆線状物を得、その他は実施例1と同様にして編網、硬化してFRPネット本体を得た。本比較例4では、引張強力は高い値を示したが、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンによる被覆層がないため、難燃性テストにおいて延焼し、難燃性は不十分であった。評価物性についてまとめて表2に示す。
本発明の難燃性ネット状物は、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンにより難燃化しているので、燃焼時に有毒ガスの発生がなく、火災等の危惧のあるトンネル等のコンクリート剥落防止用ネット、又は土木工事において内部に石塊等を中詰めして用いられる篭マット用ネットとして安全かつ有効に利用できる。
本発明の難燃性ネット状物は、未硬化状複合線状物を編網後に硬化した、無結節網からなるFRPネット本体とし、該FRP本体にメッシュ状物を固着させれば、柔軟性を有し、且つ充分な抗張力と、細剥落片の捕捉力を有しており、トンネルの繋ぎ目などの段差がある部分の剥落防止用ネットとして利用できる。所定の目合いのメッシュ状物を組み合わせて使用すれば、透水性があり、湧水のある部分の剥落防止用ネットとして利用できる。
本発明の難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体に用いる、網糸用未硬化状複合線状物の製造方法は、未硬化状熱可塑性樹脂と接触する層をポリエチレンからなる1次被覆層、その上層にノンハロゲン難燃性ポリエチレンからなる2次被覆層を施しているので、難燃性成分による未硬化熱硬化性樹脂への硬化阻害等の悪影響を回避でき、編網硬化後に複合線状物として十分な物性を発現できる網糸用未硬化状複合線状物の製造方法として利用できる。
本発明の難燃性FRPネット本体の製造方法は、本発明の網糸用未硬化状複合線状物の製造方法により得られた網糸用未硬化状複合線状物を用いて編網し、角目状の無結節網を製造する方法として有効に利用できる。
1 難燃性ネット状物
2 FRPネット本体
3 メッシュ状物
20 複合線状物
20' 未硬化状複合線状物(網糸)
21 長繊維
22 硬化した熱硬化性樹脂
22' 未硬化状熱硬化性樹脂組成物
23 ポリエチレン
24 ノンハロゲン難燃性ポリエチレン
25 連接部
26 目合い(升目、開口部)
30 メッシュ構成繊維
40 熱硬化性樹脂含浸槽
41 絞りノズル
42A、46、50 単層被覆押出機
42(A+B) 複層被覆押出機
43、47、51 水冷槽
44、48、52 引取機
45、49、53 巻取りボビン
60 最終絞りノズル
61、86 給水パイプ
62、87 排水パイプ
70 導管部
71、80 被覆ヘッド
72、82 円環状ダイス
73、85 減圧(空気吸引)パイプ
74、84 芯金
81 複層(2層)被覆ヘッド
83 案内ノズル(最終絞りノズル)
S 被測定サンプル
W FRPネット本体の目合い

Claims (8)

  1. 土木工事用篭マット又は構築物のコンクリート剥落防止用ネットに用いられる難燃性ネット状物であって、該難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体が、
    (i)未硬化状熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維状の補強繊維の外周に直接するポリエチレンからなる1次被覆層と、該1次被覆層の外周を酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンにより被覆してなる2次被覆層を有する未硬化状複合線状物を、2子の網糸として編網後に硬化した、目合い20〜150mmの角目状の無結節網からなり、
    (ii)前記未硬化状複合線状物は、前記ポリエチレンにより1次被覆した未硬化被覆線状物の断面積S0mm2と、前記ノンハロゲン難燃性ポリエチレンによる2次被覆層の断面積S1mm2との比S1/S0を2.1倍以上として被覆されたものであり、
    (iii)硬化した2子の網糸を試験片としたときの燃焼性が自己消火性であり、
    (iv)硬化した2子の網糸のFRP部を目視および触手によって、硬化した熱硬化性樹
    脂であるマトリックス樹脂の固化状態およびマトリックス樹脂と前記補強繊維との接着状態を評価した時、固化状態のマトリックス樹脂が補強繊維と結着している、
    ことを特徴とする難燃性ネット状物。
  2. 前記FRPネット本体は、前記未硬化状複合線状物を子糸として、2子の網糸の子糸を互いに交叉させ、網糸が連接部を貫通して直線的に伸びる貫通型(普通型)無結節状に編網して硬化してなる、請求項1に記載の難燃性ネット状物。
  3. 前記ノンハロゲン難燃性ポリエチレンは、難燃剤として無機金属水酸化物が含まれてなる請求項1又は2に記載の難燃性ネット状物。
  4. 前記未硬化状複合線状物の未硬化状熱硬化性樹脂に、さらに、アクリル酸エステル系化合物、メタクリル酸エステル系化合物、及びビニル化合物から選ばれる少なくともいずれかを重合単位とする樹脂からなる増粘剤(A)と、アクリル酸エステル系化合物、メタクリル酸エステル系化合物、及びビニル化合物の少なくともいずれかから選ばれる重合単位とする樹脂からなる浸透増粘剤(B)とを配合してなり、かつ、前記増粘剤(A)の配合量が前記未硬化状熱硬化性樹脂と前記浸透増粘剤(B)5〜50質量部との合計量100質量部に対して、0.5〜50質量部である請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ネット状物。
  5. さらに、目合いが1〜30mmの難燃性メッシュ状物を、前記FRPネット本体の一方の面に配置してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ネット状物。
  6. 難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体に用いる、網糸用未硬化状複合線状物の製造方法であって、下記(i)〜(iv)を含む製造方法。
    (i)長繊維状の補強繊維に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸する工程。
    (ii) 前記熱硬化性樹脂が含浸された補強繊維を絞り成形して所定の外径の未硬化状線条物とする工程。
    (iii)前記未硬化状線条物の外周を第1の溶融押出機の被覆ヘッドに導いてポリエチレンにより環状に1次被覆し、直ちにこの1次被覆層を冷却固化する工程。
    (iv)前記1次被覆層を有する未硬化状線条物を溶融押出機の被覆ヘッドに導いて酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンにより所定の厚みで環状に2次被覆し、直ちにこの2次被覆層を冷却固化する工程。
  7. 難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体に用いる、網糸用未硬化状複合線状物の製造方法であって、下記(i)〜(iii)を含む製造方法。
    (i)長繊維状の補強繊維に未硬化状の熱硬化性樹脂を含浸する工程。
    (ii) 熱硬化性樹脂が含浸された補強繊維を絞り成形して所定の外径の未硬化状線条物とする工程。
    (iii)未硬化状線条物を溶融押出機の被覆ヘッドに導いて、該未硬化状線条物の外周に直接する第1層をポリエチレン、該第1層の外周の第2層を酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンの複層として環状に押出して被覆し、これを直ちに冷却固化して、該第2層を網糸用未硬化状複合線状物の表面層とする複層被覆工程。
  8. 請求項6又は7に記載の製造方法により得られた網糸用未硬化状複合線状物による難燃性FRPネット本体の製造方法であって、下記(i)〜(ii)を含む製造方法。
    (i)未硬化状複合線状物を子糸として、2子の網糸の子糸を互いに交叉させ、網糸が連接部を貫通して直線的に伸びる貫通型(普通型)無結節状に編網する工程。
    (ii)編網されたネットを緊張状態で固定して目合い20〜150mmの角目状の無結節網に硬化する工程。
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