本発明の粘着テープの製造方法は、剥離ライナーの剥離処理面または支持体の少なくとも一方の面側に、23℃での粘度が100mPa・s〜1500mPa・sの範囲である粘着剤(A)をダイレクトグラビアコーターで塗工することによって2個以上の粘着部(a)を形成することを特徴とする。
上記方法で製造することによって、被着体と粘着テープとの界面に気泡が残存しにくく、かつ、複数個の粘着部の位置関係が緻密に制御された粘着テープを簡便に製造することができる。
前記粘着剤(A)としては、23℃での粘度が100mPa・s〜1500mPa・sの範囲であるものを使用する。ここで、前記粘着剤(A)の代わりに、前記粘度が100mPa・s未満である粘着剤を使用した場合、剥離ライナーの剥離処理面または支持体の表面に形成された隣接する粘着部が連結し、気泡の抜けやすさが低下する場合がある。また、前記粘着剤(A)の代わりに、前記粘度が1500mPa・sを超える粘着剤を使用すると、たとえば剥離ライナーの表面の粘着部を支持体の表面に転写する際に、粘着部が伸び、その結果、隣接する粘着部が連結し、気泡抜け性が低下する課題が生じる場合がある。
したがって、前記粘着剤(A)としては、23℃での粘度が100mPa・s〜1500mPa・sの範囲であるものを使用することが好ましく、150mPa・s〜700mP・sの範囲のものを使用することが、隣接する粘着部が連結することを防止するうえでより好ましい。
なお、上記粘度は、B型粘度計を用いて測定された粘度を指す。
前記粘着剤(A)としては、粘着成分と必要に応じて溶媒とを含有するものを使用することができる。前記粘着剤(A)の粘度は、上記溶媒の種類や使用量を適宜調整することによって、上記範囲に設定することができる。また、粘着成分の粘度が上記範囲内である場合には、前記溶媒を含有しない粘着剤を使用することもできる。
前記粘着剤(A)としては、粘着成分の一部または全部が溶媒に溶解または分散したものを使用することができる。前記溶媒としては、後述するような溶剤や水等を使用することができる。
前記粘着剤(A)を塗工する方法としては、ダイレクトグラビアコーターを用いる方法が挙げられる。
ダイレクトグラビアコーターとしては、表面に粘着部(a)の形状に対応した凹形状を有するセルが設けられたグラビア版を備えたグラビアロールと、剥離ライナーまたは支持体に粘着剤を塗工するためのバックアップロールとを備えたものを使用することができる。
前記グラビアロールが有するグラビア版としては、例えば彫刻グラビア版、レーザー腐食グラビア版等を使用することができ、前記粘着剤(A)が充填される2個以上のセルを有するものを使用することができる。
前記セルとしては、その大きさ(面積)が0.001mm2〜1mm2の範囲であるものを使用することが好ましく、0.02mm2〜0.2mm2であるものを使用することが、気泡の抜けやすさと優れた接着性とを両立するうえでより好ましい。なお、上記セルの大きさ(面積)とは、前記グラビア版のセルが存在する側の面を垂直方向から顕微鏡を用いて観察したとき1個のセルが存在する範囲の面積を表す。
また、前記セルは、厚さが1μm〜25μm程度で、大きさが0.001mm2〜1mm2程度の粘着部を、支持体の単位面積(縦1cm×横1cmの正方形の面積)あたり10個〜15000個備えたような、粘着部の位置関係が緻密に制御された粘着テープを得るうえで、深度が0.06mm〜0.2mmの範囲であるものを使用することが好ましく、0.09mm〜0.16mmの範囲であるものを使用することがより好ましい。
前記グラビア版としては、前記セルのうち1個の任意のセルと、それと最も近くに位置するセルとの距離が0.001mm〜1mmの範囲であることが好ましく、0.05mm〜1mmであるものを使用することが好ましく、0.07mm〜0.5mmであるものを使用することが気泡の抜けやすさと高い接着力を両立するうえでより好ましい。
上記セルを用いて形成される粘着部の大きさ及び厚さは、セルの大きさ及び深度よりもやや大きめになる場合が多い。
なお、上記した「セルのうち1個の任意のセルと、それと最も近くに位置するセルとの距離」とは、各セルの外縁部を結ぶ直線距離のうち最短の距離を指す。
本発明の製造方法では、前記ダイレクトグラビアコーターで前記粘着剤(A)を剥離ライナーの剥離処理面、または、支持体(中芯)の少なくとも一方の面側に塗工する。
最終的に得られる粘着テープとして支持体(中芯)を有さないいわゆる基材レスの粘着テープを製造する場合、前記粘着剤(A)を剥離ライナーの剥離処理面に塗工する方法を採用することができる。
また、支持体(中芯)を有する粘着テープを製造する場合、前記粘着剤(A)を剥離ライナーの剥離処理面に塗工し乾燥等することによって粘着部(a)を形成した後、それを支持体に転写することによって、支持体の少なくとも一方の面側に前記粘着部(a)を有する粘着テープを製造することができる。
また、前記ダイレクトグラビアコーターで前記粘着剤(A)を支持体の少なくとも一方の面側に直接塗工し、乾燥等することによって、支持体の少なくとも一方の面側に前記粘着部(a)を有する粘着テープを製造することもできる。
前記ダイレクトグラビアコーターで前記粘着剤(A)を塗工する方法としては、具体的には以下の方法が挙げられる。
はじめに前記グラビアロールが有するグラビア版に、前記粘着剤(A)が供給される。その際、前記粘着剤(A)の一部は、グラビア版のセル(凹部)に充填され、他はグラビア版の凸部に付着する。前記凸部に付着した粘着剤(A)は、例えばドクターブレードによって除去されることが好ましい。次に、前記グラビア版のセルに充填された粘着剤(A)は、剥離ライナーの剥離処理面、または、支持体(中芯)の少なくとも一方の面側に転写される。
剥離ライナーの剥離処理面、または、支持体(中芯)の少なくとも一方の面側に塗工された粘着剤(A)は、その後、必要に応じて乾燥されることで前記粘着部(a)を形成する。
前記乾燥は、オーブン(乾燥機)を用いる方法で行うことが好ましい。乾燥温度は40℃〜150℃が好ましく、さらに好ましくは60℃〜100℃である。
上記方法で得られた粘着テープは、被着体との界面から速やかに気泡が抜け、前記界面に気泡が残存することを防止でき、かつ、優れた接着性を有するものである。
本発明の製造方法で得られた粘着テープは、支持体の少なくとも一方の面側に2以上の粘着部(a)を有する粘着テープであって、前記2以上の粘着部(a)の間には粘着部(a)を有しない領域が存在し、前記領域が前記粘着テープの端部に通じたものである。これにより気泡の抜けやすさと優れた接着性とを両立した粘着テープを得ることができる。
本発明の製造方法で得られた粘着テープの具体的な実施態様としては、前記支持体の少なくとも一方の面側に、直接、2以上の粘着部(a)を有する粘着テープ、または、前記支持体の少なくとも一方の面側に、その他の層を介して、前記粘着部を有する粘着テープが挙げられる。
前記粘着テープとして両面粘着テープを使用する場合、前記支持体の両方の面側に前記特定の粘着部(a)を2以上有し、前記2以上の粘着部(a)の間には粘着部(a)を有しない領域が存在し、前記領域が前記粘着テープの端部に通じた構成を有する両面粘着テープ、または、前記支持体の一方の面側に前記特定の粘着部(a)を2以上有し、前記2以上の粘着部(a)の間には粘着部(a)を有しない領域が存在し、前記領域が前記粘着テープの端部に通じた構成を有し、かつ、前記支持体の他方の面側には、その全面に粘着層を有する両面粘着テープを使用することができる。
前記2以上の粘着部(a)の間には、前記粘着部(a)を構成する成分が存在しない、または、粘着性を奏しない程度に存在してもよい領域がある。そのため、本発明の粘着テープを側面方向から観察した場合には、前記支持体の面に対して前記粘着部(a)が凸形状を形成していることが観察される。
また、前記粘着テープは、前記2以上の粘着部(a)の間の粘着部(a)を有しない領域が、粘着テープの端部(外縁部)の一部に通じた構成を有する。前記構成を有する粘着テープを使用することによって、粘着テープを被着体へ貼付する際に、気泡が前記領域を通じて、粘着テープと被着体との界面から外部へ抜けるため、粘着テープの膨れ等に起因した外観不良を防止でき、かつ、優れた熱伝導性や接着力等を保持することができる。
前記粘着テープとしては、総厚さ1500μm以下であるものを使用することが好ましく、1μm〜500μmであるものを使用することがより好ましく、3μm〜50μmであるものを使用することがさらに好ましく、3μm〜10μmであるものを使用することがさらに好ましく、3μm〜6μmであるものを使用することが、例えば携帯電子端末等の薄型化に貢献するうえで特に好ましい。なお、前記粘着テープの総厚さは、JIS K6783にしたがい、ダイヤルゲージを用いた方法で、ダイヤルゲージの接触面が平面、その径が5mm及び荷重が1.23Nである条件で測定された粘着テープの厚さを指し、剥離ライナーの厚さを含むものではない。上記厚さは、例えば、テスター産業製の厚さ計TH−102等で測定することができる。
前記粘着テープとしては、1N/20mm〜20N/20mmの接着力を有するものを使用することが好ましく、1.5N/20mm〜10N/20mmの接着力を有するものを使用することがより好ましく、3N/20mm〜8N/20mmの接着力を有するものを使用することが、薄型であっても、被着体と粘着テープとの界面から気泡が除去されやすく、かつ、優れた接着力を備えた粘着テープを得るうえで好ましい。
なお、前記接着力はJISZ0237に準じて測定される値をさす。具体的には、前記接着力は、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムで裏打ちされた粘着テープの粘着部(a)を有する面と、清潔で平滑なステンレス板(BA板)とを重ね、その上面を、2kgローラーを用いて1往復させることで加圧したものを、23℃及び50%RHの条件下で1時間または24時間放置した後、180°方向に0.3m/minの速度で前記粘着テープを引き剥がすことによって測定された値である。なお、前記裏打ちは、前記粘着部(a)を有しない表面に対して行い、本発明の構成要件である粘着部(a)を有する面に対して行わないようにした。また、前記粘着テープが両面に前記粘着部(a)を有するものである場合には、そのいずれか一方の粘着部(a)を有する面を裏打ちした。
前記粘着テープとしては、薄型であっても被着体や支持体の反発力等に起因した経時的な剥がれや部品の脱落等を防止でき、とりわけ比較的高温下で使用された場合であっても上記剥がれ等を防止するうえで、接着保持力が2mm以下であるものを使用することが好ましく、0.5mm以下であるものを使用することがより好ましく、0.1mm以下であるものを使用することがさらに好ましい。
なお、前記接着保持力はJISZ0237に準じて測定される値を指す。具体的には、前記接着保持力は、厚さ50μmのアルミニウム箔で裏打ちされた粘着テープの粘着部(B)を有する面と、清潔で平滑なステンレス板(ヘアライン)とを重ね、その上面を2kgローラーを用いて1往復させることで加圧したものを、23℃及び50%RHの条件下で1時間放置したものを試験片とする。次に、100℃の環境下に、前記試験片を構成するステンレス板を垂直方向に固定し、前記試験片を構成する粘着テープの下端部に100gの荷重をかけた状態で24時間放置した後の、前記ステンレス板と粘着テープとのズレ距離をノギスで測定することによって得られた値である。
[支持体]
前記粘着テープを構成する支持体としては、1μm〜900μmの厚さのものを使用することが好ましく、1.5μm〜25μmであることがより好ましく、1.5μm〜8μmの厚さのものを使用することが、粘着テープを薄型化でき、かつ、前記粘着部(a)を有する面と被着体との界面から気泡を容易に除去することができ、その結果、前記粘着テープの膨れ等に起因した外観不良をより効果的に防止できるため特に好ましい。
前記支持体としては、例えば樹脂を用いて得られるシート状のもの、金属箔等の導電性を有するもの、発泡体等のクッション性を有するものを使用することができる。
前記支持体の製造に使用できる前記樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂、ポリブチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン等のポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエステルイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール、ポリアリーレンエーテル(ポリフェニレンエーテルなど)、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリアリール、ポリウレタン、エポキシ系樹脂等、ポリオレフィンを、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
なかでも、前記支持体としては、厚さのばらつきが少なく、引張強度や加工性に優れ、経済的(コスト)であることから、ポリエステルフィルムを使用することが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することがより好ましい。前記ポリエステルフィルムは、二軸延伸されたものを使用することが、支持体及びそれを用いて得られる粘着テープの強度をより一層高めることができるため好ましい。
[粘着部(a)]
次に、本発明の製造方法で製造される粘着テープの粘着部(a)について説明する。
前記粘着部(a)の形状は、本発明の粘着テープを、前記支持体の一方の面側から観察した際に、略四角形状、略六角形状または略円形状等であることが好ましく、略円形状であることが、被着体との界面から気泡が抜けやすく(エア抜け性)、かつ、良好な接着力を保持できるため好ましい。
略円形状は特に限定されるものではないが、任意の1つの粘着部の最大直径と最小直径との比〔最大直径/最小直径〕が1〜4であることが好ましい。さらに好ましくは1〜2であり、最も好ましくは1〜1.5である。略円形状の一例としては、図3のような形状が挙げられる。前記形状の粘着部は、基本的にそれぞれ独立しているが、2以上の粘着部が部分的につながっている箇所があってもよい。
前記略四角形状としては、略正方形、略長方形、略台形、略ひし形等の形状が挙げられ、略ひし形状であることが、被着体との界面から気泡が抜けやすく(エア抜け性)、かつ、良好な接着力を保持できるため好ましい。
なお、前記略四角形状及び略六角形状等の「略」は、例えば粘着部(a)の表面に離型ライナー等が貼付された際、または、粘着テープがロール状に巻かれた際に、前記粘着部(a)が押圧されることによって、四角形状及び六角形状の角部が丸みを帯びた形状や、直線部が曲線部となった形状を含むことを示す。
前記略四角形状の角部は、粘着テープの流れ方向に向いた角部の角度が90°未満である略ひし形状であることが好ましく、45°〜70°の範囲であることが、被着体との界面から気泡が抜けやすく(エア抜け性)、かつ、良好な接着力を保持できるためより好ましい。
また、前記2以上の粘着部(a)を構成する任意の粘着部(a1)及び粘着部(a2)は、粘着テープの流れ方向及び幅方向に対して、図1に示すように正対していないことが好ましい。
また、粘着テープは、用途等に応じて任意の形状に裁断され使用されることが多い。その際、前記粘着部(a1)及び粘着部(a2)が、流れ方向及び幅方向に対して正対していない配置であることによって、粘着テープを任意の位置で裁断した場合に、その端部の一部に粘着部(a)が存在することとなるため、粘着テープの剥がれを抑制することが可能となる。
前記2以上の粘着部(a)から選択される任意の粘着部(a1)と、前記粘着部(a1)に近接する粘着部(a2)との距離は、0.5mm以下が好ましく、さらに好ましくは0.05mm〜0.2mmであり、より好ましくは0.06mm〜0.15mmであり、0.08mm〜0.13mmであることが、被着体との界面から気泡が抜けやすく(エア抜け性)、かつ、良好な接着力を保持できるため特に好ましい。
前記粘着部(a)から選択される任意の粘着部(a1)1個あたりの大きさは、面積0.001mm2〜100mm2であることが好ましく、0.01mm2〜25mm2であることがより好ましく、0.015mm2〜16mm2であることがさらに好ましく、0.02mm2〜5mm2であることが、被着体との界面から気泡が抜けやすく(エア抜け性)、かつ、良好な接着力を保持できるため特に好ましい。
前記粘着部(a)は、本発明の粘着テープの面積(流れ方向5cm及び幅方向5cmの正方形)の範囲に、10個〜1500000個存在することが好ましく、1500個〜50000個存在することがより好ましく、5000個〜40000個存在することが、被着体との界面から気泡が抜けやすく(エア抜け性)、かつ、良好な接着力を保持できるため特に好ましい。
また、前記粘着テープとしては、貼付の際に被着体との界面から気泡が抜けやすく(エア抜け性)、良好な接着力を保持でき、かつ、グラファイトシート等の被着体がより一層薄型化された場合であっても、粘着部の形状に起因した外観不良を効果的に防止する観点から、粘着テープの所定面積(流れ方向1cm及び幅方向1cmの正方形)の範囲に、120個〜2000個の粘着部を有するものを使用することが好ましく、280個〜1600個の粘着部を有するものを使用することがより好ましく、520個〜1200個の粘着部を有するものを使用することがさらに好ましい。
なお、上記粘着部の数は、いずれも、粘着テープの任意の範囲(流れ方向1cm及び幅方向1cmの正方形)または(流れ方向5cm及び幅方向5cmの正方形)を電子顕微鏡で観察し数えることによって求めることができる。
前記一方の面の面積に占める、前記粘着部(a)を有する領域の割合は、10%〜99%であることが好ましい。さらに好ましくは20%〜90%であり、より好ましくは30%〜80%であり、最も好ましくは35%〜80%である。上記範囲にあることが後述する略円形状の粘着部を形成することができ、その結果、被着体との界面から気泡が抜けやすく(エア抜け性)、かつ、良好な接着力を保持できる粘着テープを効率よく生産できるため特に好ましい。なお、上記領域の割合は、流れ方向5cm及び幅方向5cmの正方形のテープの面積おける前記粘着部(a)の面積割合である。
前記粘着部(a)の、周波数1Hzで測定される動的粘弾性スペクトルに基づく損失正接のピーク温度は、特に限定されるものではないが、−30℃〜20℃であることが好ましく、−20℃〜10℃であることがより好ましく、−10℃〜5℃であることが、被着体との界面から気泡が抜けやすく(エア抜け性)、かつ、良好な接着力を保持でき、その結果、前記粘着テープの膨れ等に起因した外観不良や、熱伝導性や耐熱性や接着力等の性能低下をより効果的に防止できるためより好ましい。
前記動的粘弾性測定では、粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用い、同試験機の測定部である平行円盤の間に試験片を挟み込み、周波数1Hzでの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)とを測定する。前記損失正接は、tanδ=(G”)/(G’)で表される式により算出される。上記ピーク温度は、測定温度領域(−50℃から150℃)に対するtanδのスペクトルで確認されたピーク温度を指す。
前記試験片としては、前記粘着部(a)の形成に使用する粘着剤を用いて形成された、厚さ0.5mm〜2.5mmの粘着剤層を使用することができる。
また、前記試験片としては、本発明の粘着テープを複数積層したもののうち、粘着剤層の合計厚さが0.5mm〜2.5mmであるものを使用することができる。上記異なる構成の試験片を使用した場合、上記tanδの値は変化するものの、前記試験片中に占める前記粘着剤層(a)の合計厚さが同一である場合には、前記ピーク温度は実質変化しない。そのため、上記ピーク温度の測定では、いずれの試験片を使用してもよい。
前記粘着部(a)としては、10質量%〜60質量%のゲル分率を有するものを使用することが好ましく、20質量%〜55質量%のゲル分率を有するものを使用することがより好ましく、30質量%〜50質量%のゲル分率を有するものを使用することが、薄型であっても、前記粘着部(a)の表面形状が保持されやすいため、経時的な変化を防止しやすく、被着体と粘着部(a)との界面から気泡を容易に除去することができ、その結果、前記粘着テープの膨れ等に起因した外観不良や、接着力等の性能低下をより効果的に防止できるためより好ましい。なお、前記ゲル分率は、以下の方法で測定した値を指す。
なお、前記ゲル分率は、下記に示す方法で測定した値を指す。
剥離ライナーの離型処理面に、乾燥後の厚さが50μmになるように、前記粘着剤を塗工したものを、100℃の環境下で3分間乾燥した後、40℃の環境下で2日間エージングさせることによって粘着剤層を形成した。
前記粘着剤層を縦50mm及び横50mmの正方形に裁断したものを試験片とした。
上記試験片の質量(G1)を測定した後、23℃の環境下で、上記試験片をトルエンに24時間浸漬させた。
前記浸漬後、前記試験片とトルエンとの混合物を、300メッシュ金網を用いて濾過することによって、トルエンへの不溶成分を抽出した。前記不溶成分を110℃の環境下で1時間乾燥させたものの質量(G2)を測定した。
前記質量(G1)と質量(G2)と下記式に基づいて、そのゲル分率を算出した。
ゲル分率(質量%)=(G2/G1)×100
前記粘着部(a)としては、厚さ1μm〜30μmのものを使用することが好ましく、厚さ2μm〜10μmのものを使用することが、被着体と粘着部(a)との界面から気泡を容易に除去することができ、その結果、前記粘着テープの膨れ等に起因した外観不良や、熱伝導性や耐熱性や接着力等の性能低下をより効果的に防止できるためより好ましい。また、前記粘着部(a)の厚さは、JIS K6783にしたがい、ダイヤルゲージを用いた方法で、ダイヤルゲージの接触面が平面、その径が5mm及び荷重が1.23Nである条件で測定された両面粘着テープの厚さを指す。
前記粘着部(a)は、例えばアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤、クリ−プ特性改良型粘着剤、放射線硬化型粘着剤などの公知の粘着剤を用いて形成することができる。なかでも、前記粘着部(a)としては、アクリル系粘着剤を用いて得られる粘着部を使用することが、接着信頼性に優れるため好ましい。
本発明の粘着テープとして前記支持体の両面側に粘着部または粘着層を有するものを使用する場合、前記粘着部または粘着層は同一の組成やゲル分率であっても、異なる組成やゲル分率である粘着部または粘着層を使用してもよい。
前記アクリル系粘着剤としては、アクリル重合体を含有するものを使用することができる。
前記アクリル重合体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の(メタ)アクリル単量体を含む単量体成分を重合させることによって得られるものを使用することができる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等を単独または2種以上組合せすることができる。なかでも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、前記アルキル基の炭素原子数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することが好ましく、前記アルキル基の炭素原子数が4〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することがより好ましい。前記アルキル基は、直鎖または分岐したアルキル基が挙げられる。
前記アクリル基を炭素原子数が4〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ブチルを使用することが、前記粘着剤層(a)の表面形状を保持しやすいため、経時的な変化を防止しやすく、被着体との界面から気泡が抜けやすく(エア抜け性)、かつ、良好な接着力を保持できる粘着テープを得るうえで好ましい。
前記(メタ)アクリル単量体としては、前記したもの以外に、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基を有する単量体又はその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基を有する単量体;アクリロニトリルなどのシアノ基を有する単量体;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基を有する単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどのヒドロキシル基を有する単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリン等のアミノ基を有する単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のイミド基を有する単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等のエポキシ基を有する単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基を有する単量体、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等の単量体を単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
また、前記単量体としては、前記(メタ)アクリル単量体の他に、スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル等を使用することもできる。
前記アクリル重合体は、前記単量体を、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の方法で重合させることによって製造することができ、溶液重合法を採用することが、アクリル重合体の生産効率を向上するうえで好ましい。
前記溶液重合法としては、例えば前記単量体と、重合開始剤と、有機溶剤とを、好ましくは40℃〜90℃の温度下で混合、攪拌し、ラジカル重合させる方法が挙げられる。
前記重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイルや過酸化ラウリル等の過酸化物、アゾビスイソブチルニトリル等のアゾ系熱重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンジルケタール系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系の光重合開始剤等を使用することができる。
前記方法で得たアクリル重合体は、例えば溶液重合法で製造した場合であれば、有機溶剤に溶解または分散した状態であってもよい。
前記方法で得られたアクリル重合体としては、10万〜120万の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、30万〜110万の重量平均分子量を有するものを使用することがより好ましく、50万〜100万の重量平均分子量を有するものを使用することが、薄型であってもより一層優れた接着力と、気泡の除去しやすさとを備えた粘着テープを得るうえで好ましい。
なお、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)により測定され、標準ポリスチレン換算して算出された値を指す。具体的には、前記重量平均分子量は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8329GPC)を用い、以下の条件で測定することができる。
サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
サンプル注入量:100μl
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/分
測定温度:40℃
本カラム:TSKgel GMHHR−H(20)2本
ガードカラム:TSKgel HXL−H
検出器:示差屈折計
標準ポリスチレンの重量平均分子量:1万〜2000万(東ソー株式会社製)
前記粘着部(a)の形成に使用できる粘着剤としては、より一層優れた接着力、引張強度及び引張破断強度を備えた粘着部を形成するうえで、粘着付与樹脂を含有するものを使用することが好ましい。
前記粘着付与樹脂としては、例えばロジン系粘着付与樹脂、重合ロジン系粘着付与樹脂、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノール系粘着付与樹脂、安定化ロジンエステル系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、水添ロジンエステル系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、テルペンフェノール系粘着付与樹脂、及び、スチレン系粘着付与樹脂等の石油樹脂系粘着付与樹脂等を使用することができる。
前記粘着付与樹脂としては、ロジン系粘着付与樹脂及び石油樹脂系粘着付与樹脂を組み合わせ使用することが、薄型であってもより一層優れた接着力と、気泡の除去しやすさとを備えた粘着テープを得るうえで好ましい。前記ロジン系粘着付与樹脂及び石油樹脂系粘着付与樹脂は、とりわけ前記アクリル重合体と組合せ使用することが好ましく、(メタ)アクリル酸ブチルを含有する単量体を重合して得られるアクリル重合体と組み合わせ使用することが、薄型であってもより一層優れた接着力と、気泡の除去しやすさとを備えた粘着テープを得るうえで好ましい。
また、前記粘着付与樹脂としては、前記粘着部(a)の初期接着力をより一層向上させるうえで、常温で液状の粘着付与樹脂を使用することが好ましい。常温で液状の粘着付与樹脂としては、例えば、プロセスオイル、ポリエステル系可塑剤、ポリブテン等の低分子量の液状ゴムが挙げられ、テルペンフェノール樹脂を使用することができ、市販品としてはヤスハラケミカル社製YP−90L等が挙げられる。
前記粘着付与樹脂は、前記アクリル重合体100質量部に対し、20質量部〜60質量部の範囲で使用することが好ましく、30質量部〜55質量部の範囲で使用することが、より一層優れた接着力を備えた粘着テープを得るうえでより好ましい。
また、前記粘着部(a)を構成する粘着剤(A)としては、前記アクリル重合体等の他に、必要に応じて、軟化剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、着色剤等を含有するものを使用することができる。
なかでも、架橋剤を使用することが、前記粘着部(a)のゲル分率を好適な範囲に調整することができ、その結果、前記粘着部(a)の形状を保持しやすいため、経時的な変化を防止しやすく、被着体と粘着剤層(a)との界面から気泡を容易に除去することができ、かつ、優れた接着力を備えた粘着テープを得ることができるため好ましい。
前記架橋剤としては、例えばイソシアネート架橋剤またはエポキシ架橋剤を使用することが好ましい。
前記イソシアネート架橋剤としては、例えばトリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート等を使用することができ、トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート等のトルエンジイソシアネート付加物を使用することが好ましい。前記トルエンジイソシアネート付加物とは、分子中にトルエンジイソシアネートに由来する構造を有するものであり、市販品でいえば、例えば、コロネートL(日本ポリウレタン工業株式会社製)等が挙げられる。
前記イソシアネート架橋剤を使用する場合、前記アクリル重合体としては、水酸基を有するアクリル重合体を使用することが好ましい。前記水酸基を有するアクリル重合体は、その製造に使用する単量体として、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等を使用することができ、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの水酸基を有する(メタ)アクリル酸単量体を使用することがより好ましい。
また、エポキシ架橋剤としては、例えば三菱瓦斯化学株式会社製のテトラッドXやテトラッドC、または、総研化学株式会社製のE−05X等を使用することができる。
前記エポキシ架橋剤を使用する場合、前記アクリル重合体としては、酸基を有するアクリル重合体を使用することが好ましい。前記酸基を有するアクリル重合体は、その製造に使用する単量体として、例えば(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等を使用することが好ましく、(メタ)アクリル酸を使用することがより好ましい。
前記粘着剤(A)としては、その固形分(粘着成分)の粘度が上記範囲内である場合には、後述する溶媒を含有しない状態の粘着剤を、支持体等に塗工することができる。また、前記粘着剤(A)の固形分の粘度が比較的高い場合には、その塗工しやすさを向上させるうえで、任意の溶媒で希釈した粘着剤を使用することが好ましい。前記溶媒の種類としては、水、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール類、ケトン類、エステル類等を使用することができる。脂肪族炭化水素としてはヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等があげられる。芳香族炭化水素としてはトルエン、キシレン等が挙げられる。アルコール類としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等があげられる。これは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
前記溶媒としては、沸点が100℃以上の溶剤を用いることが、粘着部(a)の位置関係が緻密に制御された粘着テープを得ること、及び、支持体または剥離ライナーに粘着剤(A)の塗工を開始した直後に形成された粘着部の形状と、塗工を終了する直前に形成された粘着部の形状とが変化しにくい特性(ロングラン適性)とを両立するうえで、好ましい。100℃以上の沸点を持つ溶剤としては、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ターベン等が好ましい。
沸点100℃以上の溶剤の配合量は、粘着剤(A)に含まれる溶媒の合計質量に対して20質量%以上含有することが好ましく、25質量%〜60質量%であることがより好ましい。
前記粘着剤(A)としては、その固形分(粘着成分)の粘度がすでに100mPa・s〜1500mPa・sの範囲内である場合には、固形分100質量%(無溶媒)の状態のものを使用することができる。
また、前記粘着剤(A)としては、その固形分の粘度が比較的高い場合には、粘着剤の粘度を100mPa・s〜1500mPa・sの範囲に調整し、粘着部(a)の位置関係が緻密に制御された粘着テープを得るうえで、10質量%以上100質量%未満であるものを使用することが好ましく、13質量%〜80質量%がより好ましく、15質量%〜60質量%がさらに好ましく、18質量%〜35質量%が特に好ましい。
(粘着剤)
[調製例1〜4、7〜9]
アクリル酸n-ブチル97.48質量部と、アクリル酸2.5質量部と、アクリル酸4−ヒドロキシブチル0.02質量部とを、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を重合開始剤として、酢酸エチル中で、77℃で8時間溶液重合させることによって、重量平均分子量85万のアクリル重合体を得た。
前記アクリル重合体100質量部に対して、「D−135」(荒川化学工業株式会社製、重合ロジンエステル)5質量部と、「KE−100」(荒川化学工業株式会社製、不均化ロジンエステル)20質量部と、「FTR6100」(三井化学株式会社製、石油樹脂)25質量部とを混合した後、酢酸エチルを混合することによって、粘度及び不揮発分が表1に記載の値の粘着剤(a1)〜(a4)及び(a7)〜(a9)をそれそれ調製した。
[調製例5〜6]
アクリル酸n-ブチル97.48質量部と、アクリル酸2.5質量部と、アクリル酸4−ヒドロキシブチル0.02質量部とを、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を重合開始剤として、酢酸エチル中で、77℃で8時間溶液重合させることによって、重量平均分子量85万のアクリル重合体を得た。
前記アクリル重合体100質量部に対して、「D−135」(荒川化学工業株式会社製、重合ロジンエステル)5質量部と、「KE−100」(荒川化学工業株式会社製、不均化ロジンエステル)20質量部と、「FTR6100」(三井化学株式会社製、石油樹脂)25質量部とを混合した後、酢酸エチル及び酢酸ブチルを、表1及び2に示す溶剤組成となるように供給することによって、粘度及び不揮発分が表1及び2に記載の値の粘着剤(a5)〜(a6)をそれそれ調製した。
なお、調製例で得た粘着剤の粘度は、B型粘度計(ATAGO製デジタルB型粘度計、スピンドルR型)を用いて測定した値である。
(グラビア版)
レーザー腐食法で、下記表4〜6に示すセルの大きさ、深度、セル間の隣接距離を有するグラビア版A〜Eを作製した。なお、前記セルの大きさ(面積)、深度、セル間の隣接距離(最短距離)は、グラビア版の表面をレーザー顕微鏡で観察することによって算出した。
(実施例1)
巻出し装置1、グラビアロールヘッド部、オーブン、ラミネーター、巻出し装置2、巻き取り装置を有するダイレクトグラビアコーターを用意した。
巻出し装置1に「PET25×1J0L」(ニッパ株式会社製、25μmの表面平滑なPETフィルムの表面にシリコーン系剥離処理面を有する剥離ライナー)をセットした。
次に、巻き出し装置2に支持体「K100−2.0W」(三菱樹脂株式会社製、ポリエステルフィルム、厚さ2μm)をセットした。
次に、上記グラビア版Aを備えたグラビアロールヘッド部に粘着剤Aをセットし、塗工速度40m/minで「PET25×1J0L」上に、粘着剤Aを8000m塗工した。その後、前記グラビア版Aが有するセル内部以外の箇所に付着した粘着剤Aは、ナイフブレードにより除去し、前記粘着剤Aが前記セル内部にのみ存在するようにした。
次に、前記塗工物を、オーブンで80℃で2分間乾燥させることによって粘着部を形成した。
次に、前記粘着部と支持体「K100 2.0W」とを、25℃の環境下で、0.3MPaの圧力で圧着し貼り合せることによって片面テープを得た。
次に、前記片面テープを巻出し装置1にセットし、巻出し装置2に「PET25×1J0」(ニッパ株式会社製、25μmの表面平滑なPETフィルムの表面にシリコーン系剥離処理面を有する剥離ライナー)をセットした。
次に、粘着剤Aをグラビアコーターにセットし、塗工速度40m/minで「PET25×1J0L」上に、粘着剤Aを8000m塗工した。その後、前記グラビア版Aが有するセル内部以外の箇所に付着した粘着剤Aは、ナイフブレードにより除去し、前記粘着剤Aが前記セル内部にのみ存在するようにした。次に、前記塗工物を、オーブンで80℃で2分間乾燥させることによって粘着部を形成した。
次に、前記粘着部と、前記で得た片面テープの支持体側の面とを、25℃の環境下で、0.3MPaの圧力で圧着し貼り合せることによって、支持体の両面にドット形状の粘着部を備えた8000mの両面粘着テープを得た。
(実施例2〜10)
グラビア版の種類及び粘着剤の種類を表5及び6に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープを作製した。
(比較例1及び2)
グラビア版の種類及び粘着剤の種類を表7に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープを作製した。
(比較例3)
巻出し装置1、グラビアロールヘッド部、オーブン、ラミネーター、巻出し装置2、巻き取り装置を有するリバースグラビアコーターを用意した。
次に、巻出し装置1に「PET25×1J0L」(ニッパ株式会社製、25μmの表面平滑なPETフィルムの表面にシリコーン系剥離処理面を有する剥離ライナー)をセットした。
次に、巻き出し装置2に支持体である「K100−2.0W」(三菱樹脂株式会社製、ポリエステルフィルム、厚さ2μm)をセットした。
次に、グラビア版Aを備えたグラビアロールヘッド部に粘着剤Aをセットし、塗工速度40m/minで「PET25×1J0L」上に粘着剤Aを塗工し、オーブンを用い80℃で2分間で乾燥させることによって粘着部を形成した。
次に、前記粘着部と支持体「K100 2.0W」とを貼り合せることによって片面テープを得た。
次に前記片面テープを巻出し装置1にセットし、巻出し装置2に「PET25×1J0」(ニッパ株式会社製、25μmの表面平滑なPETフィルムの表面にシリコーン系剥離処理面を有する剥離ライナー)をセットし、粘着剤Aをリバースグラビアコーターにセットし、塗工速度40m/minで「PET25×1J0L」上に粘着剤Aを塗工した。その後、前記グラビア版Aが有するセル内部以外の箇所に付着した粘着剤Aは、ナイフブレードにより除去し、前記粘着剤Aが前記セル内部にのみ存在するようにした。次に、前記塗工物を、オーブンで80℃で2分間乾燥させることによって粘着部を形成した。
次に、前記粘着部と、前記で得た片面テープの支持体側の面とを、25℃の環境下で、0.3MPaの圧力で圧着し貼り合せることによって、支持体の両面に粘着部を備えた両面粘着テープを得た。
(粘着部のつながりの有無)
粘着部のつながりの有無は、実施例及び比較例に記載の支持体の片面側に粘着部が設けられた8000mの片面テープのうち、その製造初期(0m〜1m分の片面テープ)を用いて評価した。
片面テープの粘着部を有する面に存在する任意の20個の粘着部をマイクロスコープで観察した。2個以上の粘着部が接触し結合したことで、周囲の他の粘着部よりも大きな1つの粘着部を形成しているか否かを観察し、以下の評価基準で評価した。
◎:20個全ての粘着部が、それぞれ独立して存在していた。
〇:16個〜19個の粘着部は、それぞれ独立して存在していたが、他の粘着部は連結し、周囲にある粘着部よりも大きな粘着部が形成された。
△:5個〜15個の粘着部は、それぞれ独立して存在していたが、他の粘着部は連結し、周囲にある粘着部よりも大きな粘着部が形成された。
×:0個〜4個の粘着部は、それぞれ独立して存在していたが、他の粘着部は連結し、周囲にある粘着部よりも大きな粘着部が形成された。
(ロングラン適性)
粘着部のつながりの有無は、実施例及び比較例に記載の支持体の片面側に粘着部が設けられた8000mの片面テープのうち、その製造終期(7999m〜8000m分の片面テープ)を用いて評価した。
片面テープの粘着部を有する面に存在する任意の20個の粘着部をマイクロスコープで観察した。2個以上の粘着部が接触し結合したことで、周囲の他の粘着部よりも大きな1つの粘着部を形成しているか否かを観察し、以下の評価基準で評価した。
◎:20個全ての粘着部が、それぞれ独立して存在していた。
〇:16個〜19個の粘着部は、それぞれ独立して存在していたが、他の粘着部は連結し、周囲にある粘着部よりも大きな粘着部が形成された。
△:5個〜15個の粘着部は、それぞれ独立して存在していたが、他の粘着部は連結し、周囲にある粘着部よりも大きな粘着部が形成された。
×:0個〜4個の粘着部は、それぞれ独立して存在していたが、他の粘着部は連結し、周囲にある粘着部よりも大きな粘着部が形成された。
(気泡の抜けやすさ)
縦100mm×横100mm×厚さ25μmのグラファイトシートの一方の面に、縦104mm×横104mm×厚さ5μmの片面粘着テープ「IL−05G」(DIC株式会社製)を貼り合せ、前記グラファイトシートの他方の面に、実施例及び比較例で得た両面粘着テープを縦104mm×横104mmの大きさに裁断したものを貼り合わせた。
次に、前記片面粘着テープ「IL−05G」の表面に、厚さ62μmの微粘着片面テープ「CPF50(25)−SP」(ニッパ株式会社製)を貼り合せることによって、グラファイト複合シート1を得た。
グラファイト複合シート1の粘着部が存在する側の面が上向きとなるように載置し、その面に予め貼付されていた剥離ライナーを除去した。
次に、前記粘着部が存在する側の面に、上記とは別の剥離ライナー(表面平滑で、片側表面が離型処理されたポリエチレンテレフタレート、厚さ25μm)を貼付し、その上面で2kgローラーを1往復させ、その後、40℃で1週間放置した。
その後、23℃及び50%RH雰囲気下で、前記剥離ライナーを除去したものの表面(粘着部によって構成される面)に、縦200mm×横200mmのアルミニウム板を置き、アルミニウム板の上から10Nを荷重した状態で5秒放置することによって仮貼付物を得た。
次に、前記仮貼付物を反転させた後、グラファイト複合シート1側の面から2kgローラーを1往復させ、それらを加圧することによって積層体を得た。
上記方法で前記積層体を10個作製した。前記積層体を構成する前記グラファイト複合シート1の粘着部を有する面とアルミニウム板との間に気泡が存在するか否かを、グラファイトシートの膨らみを目視で観察することによって確認した。前記方法でグラファイトシートの表面に0.25mm2以上の膨らみ(気泡)を確認できなかった積層体の数に基づいて、前記気泡の抜けやすさを評価した。
〇:10個全てで0.25mm2以上のふくらみが確認できなかった。
△:1個〜3個で0.25mm2以上のふくらみが確認できた。
×:4個以上で0.25mm2以上のふくらみが確認できた。
(接着力(貼付後1時間))
実施例及び比較例で得た両面粘着テープを20mm幅に切断し、その片側の粘着剤層を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムで裏打ちしたものを試験片とした。前記裏打ちは、表面が平滑な粘着剤層の表面に対して行い、本発明の構成要件である粘着部に相当する粘着剤層に対して行わないようにした。粘着部を有する側の面に貼付された剥離ライナーを除去したものを試験片とし、前記試験片を清潔で平滑なステンレス板の表面に貼付し、その上面で2kgローラーを1往復させることで加圧したものを、JISZ−0237に準じ、23℃及び50%RHの条件下で1時間放置した。その後、23℃及び50%RHの雰囲気下でテンシロン引張試験機を用いて、試験片のピール粘着力(剥離方向:180°、引張速度:0.3m/min)を測定した。測定結果は、表の「接着力(貼付後1時間)」の欄に示した。