JP2005313531A - ポリカーボネートフィルムを基材とした光学フィルム、その製造方法、粘着剤層付き光学フィルム、その製造方法、光学用ハードコートフィルム、粘着剤層付き光学用ハードコートフィルム、及び光ディスク - Google Patents

ポリカーボネートフィルムを基材とした光学フィルム、その製造方法、粘着剤層付き光学フィルム、その製造方法、光学用ハードコートフィルム、粘着剤層付き光学用ハードコートフィルム、及び光ディスク Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリカーボネートフィルムを基材とし、実質上点欠陥のない硬化層が積層された光学フィルム、光学用ハードコートフィルムを提供すること、また、そのような光学用ハードコートフィルムを搭載した光ディスクを提供することを目的とする。
【解決手段】 流延ダイより流延バンド上にドープを流延してフィルムが製造されるポリカーボネートフィルム基材上に、平均膜厚が1.0〜8.0μmの硬化層が積層した光学フィルムの、硬化層に存在する直径50μ以上の隆起状点欠陥(ポリカーボネートフィルム基材に由来するポリカーボネートを内包)の数が10cm角当たり平均1個以下である光学フィルムとする。

Description

本発明は、光学用途、例えば光ディスクのカバー層やディスプレイの表面保護層等に使用するための、実質上の点欠陥のない、ポリカーボネートフィルムを基材とした光学フィルム特に光学用ハードコートフィルムに関する。また、本発明は、粘着剤層付き光学フィルム、粘着剤層付き光学用ハードコートフィルム、及び光ディスクに関する。また、本発明は、実質上の点欠陥のない、ポリカーボネートフィルムを基材とした光学フィルム、粘着剤層付き光学フィルムの製造方法に関する。
ポリカーボネートは、透明性に優れ、軽量で衝撃性が良いことから、ガラスに代わる材料として各種工業、建築材料、装飾材料、光学材料、家庭材料に広く検討されている。特に流延法(ソルベントキャスト法)で作製されたポリカーボネートフィルムは光学異方性が極めて小さいことから高価であるにも係わらず、光学機能性フィルムの基材として用いられ、使用が年々拡大している。
殊に、近年、青紫色レーザー光源を用いた高密度の光ディスクのカバー層として100μ程度のプラスチックカバーフィルムが検討されているが、基板と、熱膨張係数が近似したものが好ましく、通常該基板と同質材料のものが用いられる。したがって、現在光ディスクの樹脂基板として、一般にポリカーボネート樹脂が用いられていることから、この光透過性基材フィルムにおいても、ポリカーボネートフィルムを中心に実用化の検討が進められている。
流延法(ソルベントキャスト法)で作製されたポリカーボネートフィルムを光学機能性フィルムとして用いる場合、機能性層は機能性素材、硬化性樹脂と有機溶剤を含有した硬化性組成物をポリカーボネートフィルムに塗布し、硬化することによって形成される。
ポリカーボネートフィルムを基材としたハードコートフィルムを例に取ってもう少し具体的に説明する。ポリカーボネートフィルムは表面硬度が低く、耐擦傷性が劣ると言う欠点がある。そのため、ポリカーボネートフィルムの表面にハードコート層を付与することで表面硬度を高めることが行なわれて来ている。
一方、プラスチックフィルム基材にハードコート層を形成する方法として、多官能(メタ)アクリルモノマー等硬化性有機化合物、光重合開始剤を主成分とし、塗布性を上げるために希釈剤としての有機溶剤を加えた紫外線硬化型樹脂組成物をプラスチックフィルムに塗工、乾燥工程を経て、紫外線照射をロール・トゥー・ロールで連続的に行う方法が、生産性が高く、広く用いられている。また、有機溶剤の中でもメチルエチルケトンは溶解力が強く、沸点が高く蒸気圧が低いという特性をもっているため、希釈剤として広く用いられている。
以下に本発明に関連する文献を挙げておく。
ポリカーボネートフィルム用硬化性組成物の溶剤に着目した提案がなされている。
例えば、特許文献1で基材のポリカーボネートフィルム上にハードコート層を積層する工程でポリカーボネートを侵す溶剤と侵さない溶剤の比率をコントロールする提案が比較的最近なされている。
特許文献2ではポリカーボネート樹脂用硬化性組成物の溶剤を沸点が120℃〜160℃であってポリカーボネート樹脂を溶解する溶剤を添加することによってポリカーボネート樹脂基材との密着性を出す提案がなされている。
特許文献3および特許文献4にポリエチレンテレフタレートの支持体上にポリカーボネートの樹脂溶液をキャストして製膜した光学フィルムの支持体と接する側に30〜100μm程度の微小な傷状の表面欠陥が多く生じていることが報告されている。
特開2001−114916号公報 特開2003−211611号公報 特開2003−326542号公報 特開2003−326543号公報
ところで、メチルエチルケトンを希釈溶剤として用いた紫外線硬化型組成物を用いてポリカーボネートフィルム基材に塗工、乾燥工程を経て、紫外線照射をロール・トゥー・ロールで連続的に行う方法を用いてハードコートフィルムを作製すると、ポリカーボネートを主成分とした50〜100μm程度の隆起状点欠陥が発生することが本発明者等の研究で明らかとなった。
本発明者の検討でポリカーボネートを膨潤させる溶剤の含量を規定することでこの点欠陥の数を大幅に減少できることが明らかになった。しかしながら、溶剤を規定してもなおもこの点欠陥が残る。
これまで、ポリカーボネートフィルム基材上に塗布する硬化性組成物中の有機溶剤の物性を規定して表面の点欠陥を減少させる検討、更にはその対策でも残る点欠陥の原因究明及び対策に関する報告はなかった。
例えば、特許文献1記載の方法は密着性を上げるためにポリカーボネートを侵す溶剤を全溶剤中70重量%以上含有させているが、隆起状点欠陥を減少させるためにはむしろ逆効果である。また、特許文献1記載の提案は上記同様、隆起状点欠陥の減少には逆効果である上、ポリカーボネート樹脂を溶解する溶剤の定義が曖昧であり、更に硬化層が30μmと厚いため、ポリカーボネート基材表面の点欠陥は硬化層中に埋もれて問題とはならない。また、特許文献3、特許文献4記載のものには、点欠陥を減少させる具体的な方法が明記されていない
上記の状況に鑑み、本発明の目的は、ポリカーボネートフィルムを基材とし、実質上点欠陥のない硬化層が積層された光学フィルム、光学用ハードコートフィルムを提供することであり、また、そのような光学用ハードコートフィルムを搭載した光ディスクを提供することにある。
すなわち、本発明の光学フィルムは、ポリカーボネートよりなり、流延法により製造されたフィルム基材上に、平均膜厚が1.0〜8.0μmの硬化層が積層されてなる光学フィルムであって、該硬化層における上記フィルム基材に由来するポリカーボネートを内包した直径50μ以上の隆起状点欠陥の数が10cm角当たり平均1個以下であることを特徴とする光学フィルムである。
また、本発明の光学フィルムは、上記フィルム基材として、流延ダイより流延バンド上にドープを流延して製造されたフィルムを用いたものである。また、フィルム基材の製造の際、流延バンドの溶接部における径が50μm以上のピンホールの数が0個である流延バンドを用いた光学フィルムである。また、流延バンドの溶接部における径が40〜50μmのピンホールの数が5個以下である流延バンドを用いた光学フィルムである。また、流延バンドの溶接部以外の一般面における径が70μm以上のピンホールの数が0個である流延バンドを用いた光学フィルムである。また、流延バンドの溶接部以外の一般面における径が40〜70μmのピンホールの数が5個/m2以下である流延バンドを用いた光学フィルムである。
また、本発明の光学フィルムは、上記硬化層が、硬化剤と有機溶剤とを含む透明ポリカーボネートフィルム基材用の硬化性組成物であって、溶解性パラメータ(SP値)が8.3以上10.5以下の有機溶剤の全有機溶剤中の含量が60重量%以下である硬化性組成物によって形成された層であるものである。また、上記硬化層が、溶解性パラメータ(SP値)が9.0以上10.0以下の有機溶剤を含まない硬化性組成物によって形成された層であるものである。また、本発明の光学フィルムは、上記硬化層の平均膜厚が好ましくは1.0〜4.0μm、より好ましくは2.5〜4.0μmであるものである。
また、本発明の粘着剤層付き光学フィルムは、上記フィルム基材の硬化層が積層されていない面に、膜厚10μ以上の粘着剤層が積層されているものである。
また、本発明の粘着剤層付き光学フィルムは、上記フィルム基材の硬化層が積層されている面が、フィルム基材が流延バンド上で製造された際のエア面であり、粘着剤層が積層されている面がバンド面であるものである。
また、本発明は、上記硬化層がスチールウールに対し耐擦傷性を有するハードコート層である光学用ハードコートフィルムないし粘着剤層付き光学用ハードコートフィルムである。
また、本発明は、上記粘着剤層付き光学用ハードコートフィルムを搭載した光ディスクである。
また、本発明は、流延ダイより流延バンド上にドープを流延することによりポリカーボネートよりなるフィルム基材を製造した後、該フィルム基材上に平均膜厚が1.0〜8.0μmの硬化層を積層する光学フィルムの製造方法であって、上記流延バンドの溶接部における径が50μm以上のピンホールの数が0個である光学フィルムの製造方法である。また、上記流延バンドの溶接部以外の一般面における径が70μm以上のピンホールの数が0個である光学フィルムの製造方法である。
また、本発明は、流延ダイより流延バンド上にドープを流延することによりポリカーボネートよりなるフィルム基材を製造した後、該フィルム基材の流延バンド上で製造された際のエア面上に平均膜厚が1.0〜8.0μmの硬化層を積層し、上記フィルム基材の流延バンド上で製造された際のバンド面上に膜厚10μ以上の粘着剤層を積層する粘着剤層付き光学フィルムの製造方法である。
そして、より具体的には、下記の手段により上記課題を達成することができる。
1.ビスフェノールAを芳香族ジヒドロキシ成分とする芳香族ポリカーボネートよりなり、流延法(ソルベントキャスト法)により製造されたプラスチックフィルム基材上に、平均膜厚が1.0〜8.0μmの硬化層が積層されてなり、硬化層におけるフィルム基材に由来するポリカーボネートを内包した直径50μ以上の隆起状点欠陥の数が10cm角当たり平均1個以下であることを特徴とする光学フィルム。
2.隆起状点欠陥に内包しているフィルム基材に由来するポリカーボネートの一部がポリカーボネートフィルムと結合していることを特徴とする前記1に記載の光学フィルム。
3.隆起状点欠陥の数が10cm角当たり平均0.5以下であることを特徴とする前記1〜2の何れかに記載の光学フィルム。
4.隆起状点欠陥の数が10cm角当たり平均0.1以下であることを特徴とする前記1〜2の何れかに記載の光学フィルム。
5.硬化層の厚みが1.0〜4.0μmであることを特徴とする前記1〜4の何れかに記載の光学フィルム。
6.硬化層の厚みが2.5〜4.0μmであることを特徴とする前記1〜4の何れかに記載の光学フィルム。
7.プラスチックフィルム基材が、厚みが50〜100μmであることを特徴とする前記1〜6の何れかに記載の光学フィルム。
8.プラスチックフィルム基材が、厚みが70〜90μmであることを特徴とする前記1〜6の何れかに記載の光学フィルム。
9.プラスチックフィルム基材が、厚み斑が4μm以下であることを特徴とする前記1〜8の何れかに記載の光学フィルム。
10.プラスチックフィルム基材が、熱寸法変化率が0.07%以下であることを特徴とする前記1〜9の何れかに記載の光学フィルム。
11.プラスチックフィルム基材が、面内レターデーション値が15nm以下であることを特徴とする前記1〜10の何れかに記載の光学フィルム。
12.プラスチックフィルム基材が、全光線透過率が90%以上であることを特徴とする前記1〜11の何れかに記載の光学フィルム。
13.プラスチックフィルム基材が、残有溶媒量が0.3重量%以下であることを特徴とする前記1〜12の何れかに記載の光学フィルム。
14.プラスチックフィルム基材が、厚み方向のレターデーション値(Rth値)が100nm以下である前記1〜13の何れかに記載の光学フィルム。
15.プラスチックフィルム基材(表面保護フィルムなし)が、表面粗さRaが両面共に5.0nm以下であることを特徴とする前記1〜14の何れかに記載の光学フィルム。
16.プラスチックフィルムが、流延ダイより流延バンド上にドープを流延してフィルムが製造され、その時に使用される流延バンドの溶接部における径が50μm以上のピンホールの数が0個であることを特徴とする前記1〜15の何れかに記載の光学フィルム。
17.前記溶接部における径が40〜50μmのピンホールの数が5個以下であることを特徴とする前記1〜16の何れかに記載の光学フィルム。
18.流延ダイより流延バンド上にドープを流延してフィルムを製造する方法において、溶接部以外の一般面における径が70μm以上のピンホールの数が0個である流延バンドを用いることを特徴とする前記1〜17の何れかに記載の光学フィルム。
19.前記一般面における径が40〜70μmのピンホールの数が5個/m2以下であることを特徴とする前記18に記載の光学フィルム。
20.流延バンドが金属製であることを特徴とする前記16〜19の何れかに記載の光学フィルム。
21.流延バンドがステンレススチール製であることを特徴とする前記20に記載の光学フィルム。
22.流延バンドがエンドレスバンドであることを特徴とする前記16〜21の何れかに記載の光学フィルム。
23.平均膜厚が1.0〜8.0μmの硬化層がプラスチックフィルムのバンド面に積層されていることを特徴とする前記16〜22の何れかに記載の光学フィルム。
24.硬化層が硬化剤と有機溶剤とを含む透明ポリカーボネートフィルム基材用の硬化性組成物であって、前記有機溶剤は、25℃で前記ポリカーボネートフィルムを侵す溶剤(S)の全有機溶剤中の含量が60重量%以下であるポリカーボネートフィルム用硬化性組成物によって形成されることを特徴とする前記1〜23に記載の光学フィルム。
25.硬化性組成物のポリカーボネートフィルムを侵す溶剤(S)の全有機溶剤中の含量が50重量%以下であることを特徴とする前記24に記載の光学フィルム。
26.硬化性組成物のポリカーボネートフィルムを侵す溶剤(S)の全有機溶剤中の含量が40重量%以下であることを特徴とする前記24に記載の光学フィルム。
27.硬化性組成物のポリカーボネートフィルムを侵す溶剤(S)の溶解性パラメータ(SP値)が8.3以上10.5以下であることを特徴とする前記24〜26の何れかに記載の光学フィルム。
28.硬化性組成物のポリカーボネートフィルムを侵す溶剤(S)のうち溶解性パラメータ(SP値)が9.0以上10.0以下であるものの全有機溶剤中の含量が20%以下であることを特徴とする前記24〜27の何れかに記載の光学フィルム。
29.硬化性組成物のポリカーボネートフィルムを侵す溶剤(S)のうち溶解性パラメータ(SP値)が9.0以上10.0以下であるものの全有機溶剤中の含量が10%以下であることを特徴とする前記28に記載の光学フィルム。
30.ポリカーボネートフィルムを侵す溶剤(S)のうち溶解性パラメータ(SP値)が9.0以上10.0以下であるものの全有機溶剤中の含量が5%以下であることを特徴とする前記28に記載の光学フィルム。
31.溶解性パラメータ(SP値)が9.0以上10.0以下である有機溶剤を含まないことを特徴とする前記28に記載のポリカーボネートフィルム用硬化性組成物。
32.硬化性組成物が無機酸化物微粒子を固形分に対し2〜40体積%含むことを特徴とする前記24〜31の何れかに記載の光学フィルム。
33.硬化層が活性エネルギー線硬化組成物によって形成されることを特徴とする前記1〜32の何れかに記載の光学フィルム。
34.プラスチックフィルムの硬化層を積層していない面に粘着剤層を積層したことを特徴とする前記1〜33の何れかに記載の粘着剤層付き光学フィルム。
35.プラスチックフィルムの硬化層を積層している面がエア面、粘着剤層を積層している面がバンド面であることを特徴とする前記34に記載の粘着剤層付き光学フィルム。
36.粘着剤層の膜厚が10.0μ以上であることを特徴とする前記35に記載の粘着剤付き光学フィルム。
37.粘着剤層の積層が粘着剤層塗布液をプラスチックフィルムに直接塗工することによって行なわれることを特徴とする前記36に記載の粘着剤層付き光学フィルム。
38.機能性表面を#0000のスチールウールを用いて1.96N/cm2の荷重を掛
けながら10往復擦った時に跡が見えないことを特徴とする耐擦傷性を有するハードコート層であることを特徴とする前記1〜33の何れかの光学フィルムまたは前記34〜37の何れかに記載の粘着剤層付き光学ハードコートフィルム。
39.波長400〜432nmの青色レーザー光によって読み書きされる光ディスクのカバー層として用いられることを特徴とする前記38に記載の粘着剤層付き光学ハードコートフィルム。
40.前記38に記載の光ディスク用粘着剤層付き光学ハードコートフィルムをカバー層として搭載した光ディスク。
本発明によれば、光ディスク用のカバー層として好適な、実質上硬化層上に点欠陥のない光学フィルム、粘着剤層付き光学フィルム、光学用ハードコートフィルム、粘着剤層付き光学用ハードコートフィルムを提供することができ、擦り傷に強い光ディスクを提供することができる。
以下、本発明の、ポリカーボネートフィルムを基材とし実質上点欠陥のない硬化層を形成した光学フィルムについて詳細に説明する。
なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、例えば、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」等の記載は、それぞれ「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」の意味を表す。
[これまでの検討状況]
ポリカーボネートフィルム基材に機能性層を形成する時、塗布液の物性をコントロールし、塗布性を上げるためにメチルエチルケトン等の希釈剤が一般に用いられる。このメチルエチルケトン等の溶剤は塗布液を塗布後、乾燥までの間に、ポリカーボネートフィルムに浸透し、表面を不均一に膨潤し、フィルムと塗布液の界面に50μ〜100μ程度の大きさで10cm角に100個以上の隆起状点欠陥(以降点欠陥とだけ記載することもある。)を生じさせる。
塗布液中のポリカーボネートを膨潤させる有機溶剤の含量を規定することで点欠陥の数を大幅に減少できることが本発明者等の検討で明らかになった。しかしながら、ポリカーボネートを膨潤しない溶剤を用いても、これらの点欠陥を完全に取り除くことはできず、なお直径50μm以上の隆起状点欠陥が10cm角で数個程度残ってしまう。
例えばこの機能性フィルムを液晶ディスプレイ等画像表示装置用光学フィルムとして用いた場合、点欠陥として目立つため、画像表示装置の品位を低下させる。また、この光学フィルムを光ディスク等の光学記録材料等のカバー層として用いた場合は、点欠陥はノイズの原因となる。ハードコートフィルムを光学用途、特にディスプレイ等画像表示装置、または光ディスクに用いる場合、この様な点欠陥の数を減少、極力皆無に近付けることが強く望まれる。従って、ポリカーボネートフィルムを基材とした機能性フィルムでは、この隆起状点欠陥を減少させる、または限りなくゼロに近付けることが極めて重要な課題である。
殊に光ディスクに関しては近年青紫色のレーザー光源を用い100μm程度のプラスチックカバーフィルムを有する高密度の光ディスクが検討されているが、高密度化のためにピット長が短く、ピット間隔が狭まっていることに加え、カバー層の厚みがCDの約1.2mm、DVDの約0.6mmに対し、約0.1mmと表面が記録層に近づいており、それだけカバー層表面のレーザー光投影面積が小さくなり、点欠陥の影響が大きく、点欠陥の除去の重要性が高くなっている。
例えば点欠陥がレーザー光の透過を完全に妨げるものであれば、
〔(レーザー光投影面積)−(点欠陥の投影面積)〕/レーザー光投影面
がシグナル強度となり、点欠陥の大きさに従ってシグナル強度は低下して行き、点欠陥の大きさがレーザー光投影面積を越えた時にシグナルは完全に失われる。なお、規格の上からは、直径50μm以上の欠陥は、記録のノイズの原因となるとされている。
点欠陥はレーザー光投影面積を越えない大きさであっても、小さい程、シグナル強度は上がり、高反射率部/低反射率部のディスクリミネーションが付け易く、シグナルとして拾える確率が上がる。従って、点欠陥の大きさは小さければ小さいほど好ましい。
一方、点欠陥が光散乱または反射するものであれば低反射率部に影響を及ぼし、上記同様にディスクリミネーションが付け難くなる。
[点欠陥の原因解析]
ポリカーボネートを膨潤させる溶剤の含量を規定した後で存在する点欠陥の原因解析のため、隆起状点欠陥の電子顕微鏡による断面観察を行った。点欠陥は頂点付近の膜厚が5割程度増加し、なだらかに膜厚が減少している。特徴的なことは内部に厚さが数ミクロンの板状の異物を包含し、その端部が基材フィルム表面に接合していることである。これはフィルム製造で用いるバンドのピンホールで発生するポリカーボネートフィルム上の点状凸故障に起因すると考えられる。隆起状点欠陥の内部のポリカーボネート異物が平坦なのはその後パスロールでバンドのピンホール起因で発生した微小凸故障が押しつぶされたためと考えられる(〔図6〕参照。)。
[バンドのピンホール]
本発明で用いられるポリカーボネートフィルムは、溶液製膜方法で製造され、例えば、図1に示すような製膜装置で製造される。
図1において、10はドープを支持体上に流延する流延工程、20は流延工程10で形成されたフィルムをテンターで延伸する延伸乾燥工程、30は延伸されたフィルムを乾燥させる乾燥工程である。流延工程10は、流延ダイ11が設けられており、この流延ダイ11から下方に設けられた流延バンド12に、セルロースエステルを溶媒に溶解したドープが流延される。延伸工程20は、テンター21が設けられフィルムを幅方向に延伸させるとともに乾燥させるようになっている。乾燥工程30は、搬送ロール31が設けられ、乾燥風32により搬送ロール31で搬送中のフィルムを乾燥させるものである。40は完成したフィルムを巻き取る巻き取り部である。
前記流延バンド12は、図2に示すように、一枚のステンレススチール製の長尺の板を、溶接により無端環状に接合したもので、溶接が施された溶接部12aと、それ以外の一般面12bとに区別されており、溶接部12aの角θは一般的には90度に形成されている。この流延バンドの製造には、エンドレスバンド方式とオープンバンド方式の2種類あり、エンドレスバンド方式は無端環状に溶接した後、製膜装置に取り付けるものであり、オープンバンド方式はコイル状に巻いた板を製膜装置に取り付けた後、溶接により無端環状に形成するものである。
以上のような流延バンド12にドープを流延してフィルムを形成するものであるので、流延バンド12にピンホール50等の欠陥があれば、フィルムの外観面状品質が悪くなるものであった。特に、1.0〜8μmの比較的膜厚の薄い硬化層を積層した光学用フィルムでは、硬化層のない時と比較して欠陥部が拡大される。例えば反射で100μmに見える隆起状点欠陥の内部に含まれるポリカーボネートの異物は10μm程度である。硬化層があることで欠陥が約10倍に拡大されている。
[ピンホールの改善]
本発明で問題としている隆起状点欠陥は、流延バンドのピンホールをなくし、原因となるポリカーボネート上の欠点をなくすことで解決できることが見出された。この様なピンホールは特開2002−234041号公報により公開されている溶液製膜方法を用いて改善することができる。すなわち、本発明の光学フィルム等を製造する際に使用することのできる溶液製膜方法は、流延ダイより流延バンド上にドープを流延してフィルムを製造する方法において、溶接部における径が50μm以上のピンホールの数が0個である流延バンドを用いることを特徴として構成されている。
また、本発明の光学フィルム等を製造する際に使用することができる溶液製膜方法は、流延ダイより流延バンド上にドープを流延してフィルムを製造する方法において、溶接部以外の一般面における径が70μm以上のピンホールの数が0個である流延バンドを用いることを特徴として構成されている。
すなわち、本発明の光学フィルム等を製造する際に使用することができる溶液製膜方法においては、流延バンドの溶接部とそれ以外の一般面とにおけるピンホールを規定している。ここで、溶接部とは、流延バンドを無端環状に形成する際、両端を接合するために溶接を施した部分で、通常、幅が約6mmで、長さが約1.5〜2.0mである。一般面は、流延バンドの溶接部以外の全面である。なお、一般的に、溶接部に発生するピンホールは、一般面に発生するピンホールより深く、また、保守が困難であるので、溶接部の方が一般面より厳しい規定となっている。
すなわち、本発明においては、溶接部における径が50μm以上のピンホールの数が0個である流延バンドを用いることを要し、好ましくは、溶接部における径が40〜50μmのピンホールの数が5個以下である流延バンドを用いる。径が40〜50μmのピンホールは、上述したように5個以下であるが、深さが深い(約50μm以上)ピンホールは、0個であることが好ましい。径が40μm未満のピンホールは、製膜したフィルムの外観面状品質に与える悪影響が許容範囲であるが、もちろん少ないほうが好ましい。
また、本発明においては、溶接部以外の一般面における径が70μm以上のピンホールの数が0個である流延バンドを用いることを要し、好ましくは、径が40〜70μmのピンホールの数が5個/m2以下である流延バンドを用いる。径が40μm未満のピンホールは、製膜したフィルムの外観面状品質に与える悪影響が許容範囲であるが、もちろん少ないほうが好ましい。
ピンホールの径は、直交する長手方向と短手方向の径の平均値である。すなわち、図3に示すように、ピンホール50の長手方向の長さa、短手方向の長さbとすると、ピンホール50の径は、(a+b)/2となる。
ピンホールの径及び数を判定するには、顕微鏡による判定、レプリカ法による判定等を用いることができる。顕微鏡による判定は、顕微鏡を介して目視により流延バンド上のピンホールを観察するものであり、レプリカ法による判定は、流延バンド上に溶剤を塗布した後、セルローストリアセテートフィルムを押圧し、ピンホールをフィルムに転写させ、このフィルム上の転写跡を観察することにより行うものである。レプリカ法による判定は顕微鏡による判定より精密にできるものであるので、通常は顕微鏡により判定し、規定ギリギリの微妙な場合にレプリカ法により判定する。このように顕微鏡による判定とレプリカ法による判定を使い分けることにより、効率良く正確に判定することができる。
[ポリカーボネートエア面使用]
ポリカーボネートフィルムでバンド面のピンホールに起因する欠点を除けない場合、バンド面に硬化層を積層しないことでこの問題を回避できる場合がある。例えば、この硬化フィルムを光ディスクのカバー層として用いる場合、ポリカーボネートフィルムの一方の面にハードコート層を積層し、もう一方の面に粘着剤層を積層する。一般に粘着剤層の膜厚は10μ以上であり、ピンホール起因で発生するポリカーボネートフィルム上の欠点はその中に完全に埋もれて目立たなくなる。
流延法でバンド上に製膜する場合、製膜環境起因の塵埃はエア面側に落下し、未乾燥膜内に一部が取り込まれ表面の異物欠点となる。そのため、一般にバンド面の方が塵埃起因の異物が少なく、硬化層はバンド面に積層される。ポリカーボネートフィルムの一方の面に1.0〜8.0μmの硬化層を設け、他の面に10μ以上の層、特に粘着剤層を積層する構成において、製膜環境の塵埃を別の手段で減少した上で硬化層をポリカーボネートフィルムのエア面、粘着剤層をポリカーボネートフィルムのバンド面に割り振ることで上記の問題を解決することができる。
製膜時に用いることのできる防塵方法には特に制限はなく、公知の防塵技術を用いることができる。クリーン度はクラス1000以下が好ましく。クラス100以下が特にこのましい。
ハードコートフィルムに粘着剤層を積層する方法として粘着剤層を直接ハードコートフィルムに塗布して設ける方法と、予め離型紙または離型フィルム上に粘着剤層を設けて、粘着剤層をハードコートフィルムに圧着して積層する方法が上げられる。直接塗工する方法の方がポリカーボネート上の欠点付近に気泡を巻き込み難く、より好ましい。
この粘着剤層付きハードコートフィルムを高密度光ディスクのカバー層として用いる場合、プラスチックフィルムの粘着剤層を設けている面は記録層に近く、それだけ欠陥は修復不能のノイズになり易い。従って、気泡等の欠点の除去に関しては細心の注意が必要である。
[ポリカーボネートフィルム基材]
本発明に用いられるポリカーボネートフィルム基材としては、ビスフェノールAを芳香族ジヒドロキシ成分とする芳香族ポリカーボネートよりなるプラスチックフィルムが好適に用いられ、その厚みは20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましく、70〜120μmが特に好ましい。更に光学フィルムが光ディスクのカバー層として用いられる場合、基材フィルムの厚みは70〜90μmが最も好ましい。基材フィルムの厚みが薄すぎると膜強度が弱く、厚いと剛性が大きくなり過ぎる。透明基材の「透明」とは、可視光領域の光透過率が80%以上であることを意味し、90%以上であることが好ましい。
製膜方法は、溶融法と流延法(ソルベントキャスト法)があるが、本発明では流延法を用いる。一般に流延法は光学異方性が低く、光学フィルム、特に光ディスク用カバーフィルムの基材として好ましい。
(プラスチックフィルムの材料)
本発明に係るプラスチックフィルムのために好適に用いることのできるポリカーボネートは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を主たる芳香族ジヒドロキシ成分とするポリカーボネートである。
ここでいうポリカーボネートとは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主たる芳香族ジヒドロキシ化合物とし、これと、ホスゲン、ジフェニルカーボネートの如き炭酸結合生成性の化合物とを、溶液状態、バルク、溶融状態等で反応せしめることにより得られる重合体のことをいう。
用いる芳香族ジヒドロキシ化合物における2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの割合は少なくとも80モル%、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。20モル%以下で用いる上記芳香族ジヒドロキシ化合物の例としては、具体的には以下に示す化合物を挙げることができる。
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのフルオレン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4、4’−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルフェニルエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルスルフィドなどのジヒドロキシアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3−3’−ジメチルフェニルスルホキシドなどのヒドロキシアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルスルホンなどのジヒドロキシアリールスルホン類などである。
これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独または組合わせて用いることができる。
また、上記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部をテレフタル酸および/またはイソフタル酸成分で置き換えたポリカーボネートを使用することも可能である。このような構成単位をビスフェノールAからなるポリカーボネートの構成成分の一部に使用することにより、ポリカーボネートの性質、例えば耐熱性、溶解性を改良することができる。このような共重合体についても本発明を用いることができる。
(ポリカーボネートの分子量)
本発明に係るポリカーボネートの分子量としては、特に限定はないが、濃度0.5g/dlの塩化メチレン溶液中20℃での粘度測定から求めた粘度平均分子量が30,000以上200,000以下、好ましくは30,000以上120,000以下の範囲のものを挙げることができる。
粘度平均分子量が小さすぎる場合にはフィルムを薄肉円盤状として打ち抜く際に、打抜き端面に微少なノッチが入ったり、切粉が出易くなったりするので好ましくない。また粘度平均分子量が高すぎる場合は溶液製膜する際に平坦な液膜を生じにくくフィルムの厚み斑(むら)が悪化するという問題点がある。
(フィルムの製造)
本発明のプラスチックフィルムは、ポリカーボネートを溶液流延法で製膜したものであるのが好ましい。溶液流延法製膜が好ましいのはプラスチックフィルムに筋状の微細な厚み斑を生じ難いためや異物を生じ難いためである。
(ア:溶媒)
本発明に係るプラスチックフィルムを流延法によって製膜する場合に用いることのできるポリカーボネートの溶媒としては、特に限定はなく、通常知られた溶媒が使用できる。例えば芳香族ポリカーボネートの溶媒を作成するために用いられる溶媒としては、塩化メチレンまたは1,3−ジオキソランやその混合物あるいはこれらを主体とする溶媒を挙げることができる。
これらの溶媒は、フィルムの製造においては、水を極力含まないのが好ましい。溶媒として塩化メチレンを用いる場合はその水分率が50ppm以下、より好ましくは30ppm以下とする。この溶媒の脱水(乾燥)は通常知られているモレキュラーシーブを充填させた脱水装置によって実施できる。
(イ:溶液製膜)
上記の溶媒に芳香族ポリカーボネートを溶解させた溶液を作成する。この溶液は通常ポリカーボネートが15〜35質量%になるように調整する。上記のように調整された樹脂溶液(ドープ)を押し出しダイにより押し出して、支持体上に流延する。
(ウ:乾燥)
キャストされた液膜はいくつかの区画に仕切り各区画の乾燥条件(熱風温度、風速など)を変えることができるオーブンを用いて乾燥する。本発明では乾燥工程を5区画に分割した。第1の区画においては、支持体上にキャスト直後の液膜は極力表面の乱れが生じないように、いわゆるレベリング斑(むら)が生じないように乾燥する。加熱の方法は乾燥効率を上げるために流延された液膜を、熱風で乾燥する方法やバンドの反液膜面を熱媒で加熱する方法をとる。取扱いの容易さから熱風を用いるのが好ましい。
キャスト直後のバンド表面の温度、並びに雰囲気の温度はポリカーボネートの溶解溶媒の沸点以上にはあげないようにする。沸点以上に液膜の温度を上げると溶媒の突沸による気泡がフィルム中に発生する結果となる。溶媒が塩化メチレンの場合その温度は40℃以下、好ましくは30℃以下とするのが良い。
溶媒が塩化メチレンの場合は次の第2の区画で45〜50℃とし、液膜中の塩化メチレン濃度が30〜40重量%程度になるまで乾燥して液膜の変形がおこらないようにするのがよい。
溶媒が塩化メチレンの場合、第3の区画においては45〜50℃とし、フィルム中の溶媒量は23〜27重量%程度とするのがよい。
また、第4の区画においては、乾燥温度は50〜55℃とし、この時のフィルム中の溶媒量を18〜20重量%程度とするのがよい。第5の区画においては15℃程度に冷却してフィルムを支持体より剥ぎ取るのがよい。
(エ:後乾燥)
次いでフィルムを後乾燥させた後無延伸のまま使う用途や延伸して使う用途に向けて更に乾燥させる。この際フィルムの光学特性(屈折率)を制御しつつ乾燥させるのがよい。
この乾燥にはフィルムの幅方向の両端部を把持して搬送する方式のピンテンター、ロール懸垂型乾燥機や空気浮遊式の乾燥機等公知乾燥方法を適宜組み合わせて用い、フィルムの光学特性を制御することができる。こうして得られたフィルムを巻き取って光学用途の芳香族ポリカーボネートフィルムとする。最終的に製膜するフィルムの厚さは50〜130μmが好適である。
(オ:製膜工程巻き取り)
フィルムの巻き取り工程では、表面保護フィルム(プロテクトフィルムともいう)としてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる。ロールからフィルム端を引き出しポリカーボネートフィルムと重ね合わせてニップロールにてニップし、フィルム間の空気を追い出し、皺が寄らないように両者を共巻きする。かくして本発明に係るプラスチックフィルム巻層体を製造する。
[ポリカーボネートフィルム基材の評価法]
1)フィルムの厚みの測定方法
プロテクトフィルムを積層していないポリカーボネートフィルムの巻き取り方向に1mで全幅分のサンプルを採取した。その幅方向(巻き取り方向と直交する方向)と巻き取り方向とに10cm×10cm方眼(幅方向の端数が50mmを越える場合にはその部分も測定サンプルとした)にフィルムを区切り、この各々の方眼のほぼ中央部で、その厚みを(株)ミツトヨ製のマイクロメーターを用い測定した。そして、測定点100点の厚みの平均値を求めて、これをフィルムの厚みとして表示した。
2)フィルム厚み斑(むら)の測定方法
上記1)のマイクロメーターによる測定方法では測定点以外に存在する可能性のある厚み斑、例えば細い筋状の厚み斑などを見逃す恐れがあるため、厚み斑をアンリツ(株)製フィルムシックネステスターKG601Aを用いて連続測定した。測定フィルムのサンプリングは次ぎの様に行った。即ち、フィルムの巻き取り方向に5cm間隔で全幅分のサンプルを連続して10枚(フィルムの巻き取り方向に合計50cmを)切り出した。このそれぞれのサンプルの厚み分布を上記フィルムシックネステスターで測定し記録紙上に記録した。かくして記録された厚みの最大値と最小値との差(厚みの範囲)を上記10枚のフィルムについて求め、この内から厚みの範囲が最大であるものをこのフィルムの厚み斑として表示した。
3)熱寸法変化率
ポリカーボネートフィルムの幅方向(フィルム幅はほぼ1mであった)を3等分し適当な大きさの親サンプルを採取した。そして、更にこの各親サンプルより熱寸法変化率測定用サンプルを10個ずつ、計30個作成した。熱寸法変化率測定用サンプルの大きさは、各親サンプルよりの10個のサンプルのうち5個については、フィルムの巻き取り方向を150mm、それに直角な方向を10mmとし、残りの5個については、フィルムの巻き取り方向を10mm、それに直角な方向を150mmとした。そしてそのそれぞれのサンプルについて、150mmの長さ方向に、熱寸法変化率測定のための標点を、100mmの間隔で、印した。かくして、フィルムの巻き取り方向に15点、それに直角な方向(幅方向)に15点の測定用サンプルを準備した。測定用サンプルを140℃の恒温槽にて無荷重下で吊り下げて1時間処理した後、室温に取り出し冷却して後、標点間隔を測定した。寸法の測定は、恒温恒湿下、23℃、65%RHの条件下で、読取り顕微鏡を用いて実施した。寸法の変化率は140℃熱処理前後の寸法から次のように、巻き取り方向の15点、幅方向の15点について求めた。そしてその最大値を熱寸法変化率として表示した。
熱寸法変化率={(処理前の寸法)−(処理後の寸法)}/(処理前の寸法)×100%。
4)全光線透過率
ポリカーボネートフィルムの幅方向3ヵ所から約300mm平方のサンプルを採取した(フィルム幅はほぼ1mであった)。サンプルの全光線透過率を日本電色工業(株)製の色差・濁度測定器COH−300Aを用いて測定した。各サンプルについて5点測定し、幅方向3サンプルについての計15点の平均値を全光線透過率とした。
5)ポリカーボネートフィルム中の含有溶媒量の測定
溶媒を含有したポリカーボネートフィルム約5gを採取し、170℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させた後室温まで冷却した。その際、当該乾燥前後の重量を化学天秤で精秤し、その変化率を求めた。これにより固形分基準の溶媒含有量を求めた。具体的には、ポリカーボネートフィルム(幅は約1m)を幅方向に5等分して測定した。そしてこれを3回、別々の幅方向について実施し、その平均値を求める方法によった(15点測定の平均値を含有溶媒量として表示した)。当該乾燥前の質量をa、乾燥冷却後の質量をbとした場合、固形分基準の溶媒含有量の個々の測定値は、次式で表すことができる。
{(a−b)/b}×100%
6)面内レターデーション値Reの測定
ポリカーボネートフィルムの、全幅分で巻き取り方向の長さ40mmの短冊状サンプルを、巻き取り方向に3ヵ所、50cm間隔で採取した。ついで、この短冊状フィルムを40mm間隔に切って40mm平方の測定用サンプルを作成した。即ち、フィルム全幅方向の長さ1000mmから25個、短冊状サンプルが3個あるので、全部で75個の測定用サンプルを得た。これらのサンプルにつき面内レターデーション値Reを測定した。数値の表示はRe値の範囲とし、その最小値〜最大値として表示した。測定器は王子計測機器(株)製の複屈折率測定器である商品名KOBRA−21ADHを使用して、光線をポリカーボネートフィルム面に垂直方向に入射し面内レターデーションRe値を測定した。
7)厚み方向のレターデーション値(Rth)の測定
上記6)項の測定と同様にサンプリングしKOBRA−21ADHで測定した。ポリカーボネートフィルムサンプルをその遅相軸または進相軸で回転させて入射角度を変えてレターデーションを測定し、これらのデータから屈折率nx、ny並びにnzを計算した。更にこれらの値からRth=|((nx+ny)/2−nz)*d|(2本の縦棒は絶対値であることを意味する。)を計算した。ここで、nxは巻き取り方向の屈折率を、nyは巻き取り方向に直交する方向の屈折率を、nzは厚み方向の屈折率を表し、dは測定フィルムの厚み(単位はμm)をあらわす。なお、Rth値の単位は、上記の計算の時はμmで算出されるが、これを表示する時にはnm単位に変換している。本願明細書においてRth値の最大値とはそれらの中での最大値を意味する。
8)中心線平均表面粗さ(Ra)の測定
中心線平均表面粗さ(Ra)とはJIS−B0601で定義される値であり、本願明細書における数値は、(株)小坂研究所の接触式表面粗さ計(Surfcorder、SE−30C)を用いて測定した。Raの測定条件は下記のとおりであった。
触針先端半径:2μm
測定の圧力:30mg(2.98×10-4N)
カットオフ:0.08mm
測定長:1.0mm
上記3)の親サンプルと同様にして、フィルムの全幅方向3ヵ所についてサンプリングし測定に用いた。同一試料について5回繰り返し測定し、その測定値(μm単位による小数点以下4桁目までの値)について、最も大きな値を一つ除き、残りの4つのデータを得、全3個所のデータである12個の値の平均値の小数点以下5桁目を四捨五入して、少数点以下4桁目までをnm単位で示した。
[硬化層]
本発明の硬化性組成物は硬化剤と有機溶剤を含めば熱硬化性組成物であっても活性エネルギー線硬化性組成物であっても構わない。ポリカーボネートフィルムは柔らかく硬化層が厚過ぎるとカールが起きることから10μ以下が好ましい。1.0〜8μmの比較的膜厚の薄い硬化層を積層した光学用フィルムでは、硬化層のない時と比較して欠陥部が拡大される。また、点欠陥は4.0μm以下で現れ易いことから、4.0μm以下で本発明は特に効果を発揮する。硬化層の厚みが4.0μmより厚いと点欠陥は硬化層の中に埋もれ易いと考えている。また、硬化層の厚みが2.5μm未満では点欠陥の数が増加し易いことから2.5μm以上が特に好ましい。
[ハードコート層]
本発明の硬化層の機能としては、耐擦傷性を有するハードコート層が挙げられる。この場合、そのハードコート層とは、表面を#0000のスチールウールを用い1.96N/cm2の荷重を掛けながら50回擦った時に、擦り跡が目視で見えない耐擦傷性を有する硬化層であることが好ましい。
また、透明プラスチックフィルム基材がポリカーボネートフィルムである場合、剛性が低いので、硬化膜が厚過ぎるとカールが起きやすく、また薄過ぎるとハードコート機能が発現しにくいことから、膜厚は1.0〜8.0μmが好ましく、1.0〜4.0μmがより好ましく、2.5〜4.0μmが特に好ましい。
本発明のハードコート層の好ましい形成方法は、紫外線照射により硬化する紫外線硬化性組成物を、透明プラスチックフィルム基材上に塗布、乾燥した後、紫外線の照射により該組成物を硬化させる方法である。
紫外線硬化性組成物には、紫外線照射により重合または架橋して硬化する同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物が、好ましく使用される。以下、本発明に好ましく用いることのできる同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物を有し、本発明で好ましく使用される紫外線硬化性組成物について説明する。
上記エチレン性不飽和基として好ましいものは、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、ビニルエーテル基であり、特に好ましくはアクリロイル基である。エチレン性不飽和基を含む化合物はエチレン性不飽和基を分子内に2個以上有していればよいが、より好ましくは3個以上である。そのなかでもアクリロイル基を有する化合物が好ましく、分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に数個のアクリル酸エステル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーを好ましく使用できる。
これら分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の好ましい具体例としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類、ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を挙げることができる。
また、このような化合物は市販もされていて、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220,TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)などが、挙げられる。
上記で挙げた分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物のなかでも特に好ましい化合物として分子内に3個以上のアクリロイル基を有しアクリロイル当量が120以下の化合物が挙げられ、具体例としてはトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。
上記分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物以外に、本発明の紫外線硬化性組成物に好ましく用いられる化合物としては、開環重合性基を含む硬化性樹脂が挙げられる。
開環重合性基を含む硬化性樹脂とは、カチオン、アニオン、ラジカルなどの作用により開環重合が進行する環構造を有する硬化性樹脂であり、この中でもヘテロ環状基含有硬化性樹脂が好ましい。このような硬化性樹脂としてエポキシ基含有化合物、オキセタニル基含有化合物、テトラヒドロフラニル基含有化合物、環状ラクトン化合物、環状カーボネート化合物、オキサゾリニル基含有化合物などの環状イミノエーテル類などが挙げられ、特にエポキシ基含有化合物、オキセタニル基含有化合物、オキサゾリニル基含有化合物が好ましい。本発明において開環重合性基を有する硬化性樹脂は、同一分子内に2個以上の開環重合性基を有することが好ましいが、より好ましくは3個以上有することが好ましい。また、本発明において開環重合性基を有する硬化性樹脂は、2種以上併用してもよく、この場合、同一分子内に開環重合性基を1個有する硬化性樹脂を必要に応じて併用することができる。
本発明で用いられる開環重合性基を有する硬化性樹脂は、上記のような環状構造を有する硬化性樹脂であれば特に制限がない。このような硬化性樹脂の好ましい例としては、例えば単官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、2官能脂環式エポキシ類、ジグリシジルエーテル類(例えばグリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル)、3官能以上のグリシジルエーテル類(トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートなど)、4官能以上のグリシジルエーテル類(ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど)、ポリグリシジルアクリレート、ポリグリシジルメタクリレート等のエポキシ基を側鎖に有するアクリルポリマー、脂環式エポキシ類(セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401(以上、ダイセル化学工業(株)製))、EHPE(ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど)、オキセタン類(OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)など)などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明ではエチレン性不飽和基を含む硬化性化合物と開環重合性基を含む硬化性樹脂の両者を含有する硬化性組成物を用いることもできる。
エチレン性不飽和基を含む硬化性化合物(硬化性樹脂)と開環重合性基を含む硬化性樹脂を含有する硬化性組成物(以下、特に断りのない限り、「硬化性組成物」は、これら両者の硬化性樹脂を含有する組成物である)を硬化させる場合、両方の硬化性樹脂の架橋反応が進行することが好ましい。エチレン性不飽和基の好ましい架橋反応はラジカル重合反応であり、開環重合性基の好ましい架橋反応はカチオン重合反応である。いずれの場合も活性エネルギー線の作用により、重合反応を進行させることができる。通常、重合開始剤と称される少量のラジカル発生剤およびカチオン発生剤(もしくは酸発生剤)を添加し、活性エネルギー線によりこれらを分解し、ラジカルおよびカチオンを発生させ重合を進行させることができる。ラジカル重合とカチオン重合は別々に行ってもよいが、同時に進行させることが好ましい。
紫外線によってカチオンを発生させる光酸発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩やジアリールヨードニウム塩などのイオン性の硬化性樹脂やスルホン酸のニトロベンジルエステルなどの非イオン性の硬化性樹脂が挙げられ、有機エレクトロニクス材料研究会編、“イメージング用有機材料”ぶんしん出版社刊(1997)などに記載されている硬化性樹脂等種々の公知の光酸発生剤が使用できる。この中で黄着色が少ない点で特に好ましくはジアリールヨードニウム塩であり、対イオンとしてはPF6 -、SbF6 -、AsF6 -、B(C654 -などが好ましい。また、トリアリールスルホニウム塩とジアリールヨードニウム塩を組み合わせて用いることも好ましい態様である。
紫外線によりラジカルを発生させる重合開始剤の例としてはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン等の公知のラジカル発生剤が使用できる。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン化合物等が含まれる。
重合開始剤の添加量としては、硬化性組成物中に含まれるエチレン性不飽和基含有硬化性樹脂と開環重合性基含有硬化性樹脂の総質量に対し、0.1乃至15質量%の範囲で使用することが好ましく、1乃至10質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
また本発明では、硬化性組成物中に微粒子を添加することが好ましい。無機微粒子を添加することで透明プラスチックフィルム基材の溶媒による膨潤を抑制することができる。また、微粒子を添加することで硬化被膜の硬化収縮量を低減できるため、基材との密着性の向上や、カールの低減の点でも好ましい。微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子、有機−無機複合微粒子のいずれも使用できる。ただし、微粒子は一般にヘイズを増加させる傾向があるために、各必要特性のバランスの上で充填方法を調整する必要がある。
無機微粒子としては例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などが挙げられる。このような無機架橋微粒子は一般に硬質であり、ハードコート層に充填させることで、硬化時の収縮を改良できるだけではなく、表面の硬度も高めることができる。
一般に、無機微粒子は、本発明で用いることのできる上記硬化性樹脂などの有機成分との親和性が低いため単に混合するだけでは凝集体を形成したり、硬化後の硬化被膜がひび割れやすくなる場合がある。本発明では無機微粒子と有機成分との親和性を増すため、無機微粒子表面を有機セグメントを含む表面修飾剤で処理することができる。表面修飾剤は、無機微粒子と結合を形成するか無機微粒子に吸着しうる官能基と、有機成分と高い親和性を有する官能基を同一分子内に有するものが好ましい。
無機微粒子に結合もしくは吸着し得る官能基を有する表面修飾剤としては、シラン、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシド表面修飾剤や、リン酸基、硫酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性基を有する表面修飾剤が好ましい。
さらに有機成分との親和性の高い官能基としては単に有機成分と親疎水性を合わせただけのものでもよいが、有機成分と化学的に結合しうる官能基が好ましく、特にエチレン性不飽和基、もしくは開環重合性基が好ましい。
本発明において好ましい無機微粒子表面修飾剤は、金属アルコキシド、またはアニオン性基とエチレン性不飽和基もしくはアニオン性基と開環重合性基を同一分子内に有する硬化性樹脂である。
これら表面修飾剤の代表例として以下の不飽和二重結合含有のカップリング剤や、リン酸基含有有機硬化性樹脂、硫酸基含有有機硬化性樹脂、カルボン酸基含有有機硬化性樹脂等が挙げられる。
S−1 H2C=C(X)COOC36Si(OCH33
S−2 H2C=C(X)COOC24OTi(OC253
S−3 H2C=C(X)COOC24OCOC510OPO(OH)2
S−4 (H2C=C(X)COOC24OCOC510O)2POOH
S−5 H2C=C(X)COOC24OSO3
S−6 H2C=C(X)COO(C510COO)2
S−7 H2C=C(X)COOC510COOH
S−8 3−(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン
(X=H、あるいはCH3を表す)
これらの無機微粒子の表面修飾は、溶液中でなされることが好ましい。無機微粒子を機械的に微細分散する時に、一緒に表面修飾剤を存在させるか、または無機微粒子を微細分散したあとに表面修飾剤を添加して攪拌するか、さらには無機微粒子を微細分散する前に表面修飾を行って(必要により、加温、乾燥した後に加熱、またはpH変更を行う)、そのあとで微細分散を行う方法でもよい。
表面修飾剤を溶解する溶液としては、極性の大きな有機溶剤が好ましい。具体的には、アルコール、ケトン、エステル等の公知の溶剤が挙げられる。
有機微粒子としては特に制限がないが、エチレン性不飽和基を有するモノマーからなるポリマー粒子、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等からなるポリマー粒子が好ましく用いられ、その他に、ポリシロキサン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ゼラチン等の樹脂粒子が挙げられる。これらの粒子は架橋されていることが好ましい。
微粒子の微細化分散機としては、超音波、ディスパー、ホモジナイザー、ディゾルバー、ポリトロン、ペイントシェーカー、サンドグラインダー、ニーダー、アイガーミル、ダイノミル、コボールミル等を用いることが好ましい。また、分散媒としては前述の表面修飾用の溶媒が好ましく用いられる。
微粒子の充填量は、充填後の硬化被膜の体積に対して、2〜40体積%が好ましく、3〜30体積%がより好ましく、5〜20体積%が最も好ましい。
ハードコートフィルムを光学用途に用いる場合、ヘイズが低い方が好ましい。本発明の硬化被膜のヘイズは5%以下で、2%以下であることが好ましく、1.0%以下が最も好ましい。
本発明では、これらの作製した硬化被膜に防汚剤を含有させること、または、フッ素および/またはケイ素を含有した低表面エネルギー性の硬化樹脂を含む活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性組成物を主体とする防汚性層を積層することにより、防汚性硬化被膜とすることができる。
本発明に用いられる防汚剤は、硬化性を有する基材に撥水性、撥油性等の防汚性を付与するもので、そのようなものとしては、エネルギー線硬化樹脂組成物の調製及び基材上に塗布する際に不都合が無く、かつ硬化被膜形成時に、硬化被膜表面で撥水性、撥油性を発現するものであればいかなるものであっても良い。そのようなものとしてはフッ素および/またはケイ素を含有する硬化樹脂があげられる。また、本発明に用いられる硬化被膜に積層された防汚性層はフッ素および/またはケイ素を含有する硬化性樹脂を含む組成物によって形成することもできる。
本発明で用いられる硬化被膜または防汚性層に含有するフッ素および/またはケイ素を含有する硬化性樹脂としては、公知のフッ素硬化性樹脂やケイ素硬化性樹脂、あるいはフッ素とケイ素含有部を有するブロックを有する硬化性樹脂が挙げられ、さらに樹脂あるいは金属酸化物等と相溶性の良いセグメントとフッ素あるいはケイ素を含有するセグメントとを有する硬化性樹脂が好ましく、硬化被膜または防汚性層へ添加することで、表面にフッ素あるいはケイ素を偏在させることができる。
これらの具体的な硬化性樹脂としては、フッ素あるいはケイ素を含有するモノマーと他の親水性あるいは親油性のモノマーとのブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体が挙げられる。フッ素含有モノマーとしてはヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、パーフルオロアルキルスルホンアミドエチルアクリレート、パーフルオロアルキルアミドエチルアクリレート等に代表されるパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。ケイ素含有モノマーとしてはポリジメチルシロキサンと(メタ)アクリル酸等の反応によるシロキサン基を有するモノマーが挙げられる。
親水性あるいは親油性のモノマーとしては、メチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、末端に水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸のエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。市販の硬化性樹脂としては、パーフルオロアルキル鎖のミクロドメイン構造を有するアクリル系オリゴマーのデフェンサMCF−300、312、323等、パーフルオロアルキル基・親油性基含有オリゴマーのメガファックF−170、F−173、F−175等、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマーのメガファックF−171等(大日本インキ化学(株)製)や、表面移行性に優れたセグメントと樹脂に相溶するセグメントよりなるビニルモノマーのブロックポリマーであるフッ化アルキル系のモディパーF−200、220、600、820等、シリコン系のモディパーFS−700、710等(日本油脂(株)製)が挙げられる。
硬化被膜の上に防汚性の層を設けるには、フッ素原子を含有した低表面エネルギー性の硬化性樹脂が好ましく、具体的には、特開昭57−34526号、特開平2−19801号、特開平3−179010号公報等に記載のフッ化炭化水素基を含有するシリコン硬化性樹脂、フッ化炭化水素基含有ポリマー等が挙げられる。
硬化性組成物の塗布液は、ケトン系、アルコール系、エステル系等の希釈有機溶剤に、上記の多官能モノマーと重合開始剤を主体に溶解して調製する。さらに、表面修飾した硬無機微粒子分散液と軟微粒子分散液を添加して調製することができる。
次に、前記硬化組成物を希釈する有機溶剤について説明する。
本発明では、上記有機溶剤として、溶解性パラメータ(SP値)が8.3以上10.5以下の有機溶剤が全有機溶剤中に含有される割合が、60質量%以下であることが好ましく、50%以下であることが更に好ましく、40%以下であることが特に好ましい。
また、SP値が9.0以上10.0以下の有機溶剤は、ポリカーボネートフィルム用硬化組成物中の全有機溶剤中に含有される割合が20%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下であることがさらに好ましく、全く含まれないことが最も好ましい。
本発明における溶解性パラメータ(SP値)とは、σ=[(△H−RT)/VL]1/2(ここで、σ:溶解性パラメータ、 △H:蒸発熱、VL:モル体積、R:気体定数を表す)の式により求めた値であり、△Hは、Hildebrand ruleに従って、沸点より計算される、△H298=23.7Tb+0.020Tb2−2950の値とする(ここで、Tb:沸点)。 従って、溶解性パラメータも298°Kの値とする。なお、Hildebrand ruleにより求められた溶解性パラメータの具体例は、例えばJ.BRANDRUP, E.H.IMMERGUT, and,E.A.GRULKE“POLYMER HANDBOOK FORTH EDITION” VII/688−694(1998),JOHN WILEY & SONS,INC.に一部具体的に記載されている。またHildebrand ruleによる溶解度パラメータの計算方法に関しては、J.H.Hildebrand,"Solubility of Nonelectrolytes"424−427(1950),Reinhold Publishing Co.に記載されている。
代表的な化合物のSP値を表1に示す。
Figure 2005313531
本発明者の研究によれば、硬化性組成物から形成される機能層に発生する点欠陥は、該組成物の有機溶剤がポリカーボネートフィルムに浸透して、表面を不均一に膨潤し、フィルムと塗布液の界面に50〜100μm程度の大きさの突起が生じ、この機能性フィルムを、例えば液晶ディスプレイ等画像表示装置用光学フィルムとして用いた場合、その突起は点欠陥として認識される。そして、溶解性パラメータ(SP値)が8.3以上10.5以下、特に9.0以上10.0以下の有機溶剤は、ポリカーボネートフィルムに容易に浸透して、表面を不均一に膨潤し、上記突起を発生しやすい。
以下、ポリカーボネートフィルムに浸透して表面を不均一に膨潤し易い溶剤を、ポリカーボネートを侵す溶剤(S)と称する。
即ち、本発明の硬化組成物を希釈する有機溶剤として、25℃でポリカーボネートを侵す有機溶剤(S)が全有機溶剤中に含有される割合が、60質量%以下好ましくは50%以下、特に好ましくは40%以下である組成の有機溶剤を用いても良い。
ここで、25℃でポリカーボネートを侵すか侵さないかの判断は、25℃の雰囲気下で硬化層を形成すべき基材として用いるポリカーボネートフィルム片(1cm×2cm)を溶剤50ccの中に付け攪拌し、5分後に観察し、目視観察することによって行う。
ポリカーボネートフィルムを侵食する溶剤はポリカーボネートフィルムを溶解又は白濁させる。溶解又は白濁のスピードを観察することによって、侵食の度合いを評価することができる。また、ポリカーボネートフィルムを侵食する度合いの大きいものはポリカーボネートフィルムを完全に溶解する。ポリカーボネートフィルムを侵食しない溶剤はポリカーボネートフィルムを白濁せず、透明なままである。
[25℃でポリカーボネートを侵す溶剤]
例えば、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、アセトニトリル、トルエン、酢酸エチル、酢酸メチルなどが挙げられる。
[25℃でポリカーボネートを侵さない溶剤]
例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、エタノール、シクロヘキサン、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。
25℃でポリカーボネートを侵さない溶剤として、上記の他に、上記以外のアルコール類、ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−メチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3,3−テトラメチルブタン等の飽和脂肪族炭化水素、ペンテン、ヘキセン及びその異性体、ヘキサジエン及びその異性体、ヘキサトリエン、ヘプテン及びその異性体、ヘプタジエン及びその異性体、ヘプタトリエン、オクテン及びその異性体、オクタジエン、オクタトリエン、ノネン、ノナジエン、ノナトリエン、デセン、ウンデセン、ドデセン等の不飽和脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、ジエチルシクロペンタン、イソプロピルシクロペンタン、シクロオクタン等の飽和脂環式炭化水素系、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、エチルシクロヘキセン、シクロヘキサジエン、メチルシクロヘキサジエン、シクロヘプテン等の不飽和脂環式炭化水素系、ジエチルエ−テル、ジブチルエ−テル、ジイソブチルエ−テル、ジプロピルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル、ジペンチルエーテル等の鎖状エ−テル系等の非極性溶剤を挙げることができる。
[塗工]
本発明の硬化層の作製は、ポリカーボネートフィルム基材上に硬化塗布液をディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、グラビア法、ワイヤーバー法、スロットエクストルージョンコーター法(単層、重層)、スライドコーター法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、紫外線照射して、硬化させることにより作製することができる。
乾燥は、塗布した液膜中の有機溶媒濃度が、乾燥後に5質量%以下になる条件が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。乾燥条件は、基材の熱的強度や搬送速度、乾燥工程長さなどの影響を受けるが、できるだけ有機溶媒の含有率の低いほうが重合率を高める点で好ましい。
また、本発明で好ましく用いられるアクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化型組成物は酸素下で紫外線を照射すると、硬化不良が起こり、スチールウールで擦った場合、傷が出易くなる。これを防止するためには、紫外線照射雰囲気の酸素濃度を下げる必要がある。照射時の酸素濃度は1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.3%以下が特に好ましい。
[粘着剤層]
以上で説明して来た光学用ハードコートフィルムを光ディスクの透光層として用いる場合、支持体や記録層を含む基板と粘着層を介して貼り合わせることが好ましい。粘着層を設置する工程において、あらかじめ一方の面にハードコート層が形成された透光性フィルムのハードコート層塗設面と異なる面に、粘着層を連続的に設けることができる。粘着層を設ける方法としては、予め形成された粘着層を貼り付ける方法(以下、適宜、間接法と称する)と、透光性フィルムの表面に、直接、粘着剤を塗布し、乾燥させることで粘着層を形成する方法(以下、適宜、直接法と称する。)と、の2つに大別することができる。
間接法の場合における「予め形成された粘着層を貼り付ける方法」とは、例えば、透光性フィルムと同じ大きさの離型フィルムの表面に、連続的に粘着剤を塗布し、乾燥させることで、離型フィルムの一方の面全域に粘着層を設け、その粘着層を透光性フィルムに貼り付ける方法を示す。その結果、透光性フィルムの他方の面全域には、離型フィルム付きの粘着層が設けられることになる。
直接法は、ロール状に巻回された透光性フィルムの先端を、所定の塗布領域まで送り出し、その透光性フィルムの一方の面の先端から末端まで、粘着剤を連続的に塗布し、塗膜を形成した後、順次、その塗膜を乾燥させて、透光性フィルムの他方の面全域に粘着層を設ける方法である。
上記の間接法及び直接法において、粘着剤の塗布手段としては、従来公知の塗布手段を用いることができる。具体的には、スプレー法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などが挙げられる。
また、乾燥手段としては、加熱乾燥、送風乾燥など、従来公知の手段を用いることができる。
粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤を使用することができるが、透明性、耐久性の観点から、アクリル系の粘着剤が好ましい。かかるアクリル系の粘着剤としては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどを主成分とし、凝集力を向上させるために、短鎖のアルキルアクリレートやメタクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートと、架橋剤との架橋点となりうるアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなどと、を共重合したものを用いることが好ましい。主成分と、短鎖成分と、架橋点を付加するための成分と、の混合比率、種類を、適宜、調節することにより、ガラス転移温度(Tg)や架橋密度を変えることができる。
上記粘着剤と併用される架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ樹脂系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、キレート系架橋剤が挙げられるが、この中でも、イソシアネート系架橋剤がより好ましい。かかるイソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4−4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート類を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品としては、日本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートHTL;武田薬品社製のタケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202;住友バイエル社製、デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL;等を挙げることができる。
透光性フィルムのハードコート層が設置された以外の面に粘着層が形成されるが、その後の工程においてロール状に巻き取られ、ハードコート層と粘着層とが密着してしまうこと防止するためにも、粘着層の表面には、離型フィルムが貼り付けられていることが好ましい。上述のように、間接法においては、予め、離型フィルムを貼りつけた状態とすることができる。一方、直接法の場合には、粘着層が透光性フィルムの表面に形成された後に、その粘着層の表面に離型フィルムを貼り付ける工程を新たに加えることが好ましい。
ここで、粘着層の表面に貼り付けられる離型フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートセルロースフィルムなどが挙げられる。
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
[表面保護フィルム付き長尺ロール状ポリカーボネートフィルムの作製]
(表面保護フィルム付き長尺ロール状ポリカーボネートフィルム(s−0)(s−1)の作製)
芳香族ポリカーボネート樹脂ペレット(帝人化成(株)製の商品名「パンライト(登録商標グレードC−1400QJ)」)、粘度平均分子量38,000を120℃で16時間熱風乾燥し、次いで減湿空気により30℃まで冷却した。この芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットをメチレンクロライド溶媒に溶解させ、18重量%の溶液を準備した。この溶液をフィルターに通し異物を除去した。更にこの溶液の温度を15±0.5℃に調節して1200mm幅のコートハンガーダイに導入し、続いて、約560μmの液膜として流延バンド上に流延した。流延を開始する直前の支持体の温度(表面温度)を9℃に設定した。
流延バンドとしては、ステンレススチールからなり、幅2m、長さ56m(面積112m2)からなるものを用いた。バンドの溶接部の流延方向に対する角度は80度であり、溶接部の流延方向の巾は1.5mmであった。溶接はレーザー溶接により行った。この流延バンドをレプリカ法で検査したところ、溶接部におけるピンホールは、径が50μm以上のピンホールの数が0個、径が40〜50μmのピンホールの数が3個であり、一般面における径が70μm以上のピンホールの数が0個、径が40〜70μmのピンホールの数が0.5個/m2であった。
製膜の条件は以下の通りである。
製膜速度:30m/分
フィルム(ベース)厚み:80μm
流延されたポリカーボネートフィルムを次のようにして乾燥した。
(第1区画)乾燥の初期段階においては支持体裏面に30℃の温風を吹きつけて加熱し、ポリカーボネートフィルムの雰囲気温度を20℃としてポリカーボネートフィルムの変形(レベリング不良)が起こらないように注意して乾燥させた。
(第2区画)ついで、温風吹きつけにより、雰囲気温度を45℃とし、ポリカーボネートフィルム中の塩化メチレン濃度が35重量%程度になるまで乾燥した。
(第3区画)ついで、温風吹きつけにより、雰囲気温度が50℃で乾燥し、ポリカーボネートフィルム中の溶媒量を25重量%とした。
(第4区画)この区画において、55℃の雰囲気温度で乾燥した。この時のポリカーボネートフィルム中の溶媒量を20重量%とした。
(第5区画)この区画において、ポリカーボネートフィルムを支持体と共に15℃の雰囲気で冷却した。この工程の終了点におけるポリカーボネートフィルム中の溶媒量は18重量%であった。
次に、上記ポリカーボネートフィルムを支持体より剥離した、剥離したポリカーボネートフィルムを更にピンテンター方式の乾燥機に送り込み、乾燥しつつ搬送した。
ピンテンターにおいてはポリカーボネートフィルムの両端部をピンで把持してポリカーボネートフィルムを搬送させた。ピンテンターが6つのゾーンに分割された方式のものを用いた。
ピンテンター中において、入口からポリカーボネートフィルムの乾燥が進み、それにしたがって幅が収縮するので、この幅の収縮に合わせてピンテンターのレール幅も狭めるようにして乾燥させた。すなわち、ピンテンター工程の後半になるに従って熱風温度を上昇させポリカーボネートフィルムの乾燥を促進させた。この際ポリカーボネートフィルムの分子配向が極力起こらないようにピンテンターのレール幅を設定するようにした。前半の熱風温度を90℃、110℃、120℃とし、中間の4、5ゾーンの温度を130℃として、この5ゾーン部でポリカーボネートフィルムをピン突き刺し部から切り離した。更に6ゾーンで135℃の熱風温度とした。
ピンテンターの出口において、ほぼ室温下で、ポリカーボネートフィルムの引取り張力を0.49MPaとして引き取った。
さらに引続き、ロール懸垂型の乾燥機へ通膜した。このロール懸垂型乾燥機は2つの部屋に分割し、前部の熱風温度を135℃、後部の熱風温度を145℃として、引取り張力を0.15MPaとして引き取った。
かくして、得られたポリカーボネートフィルムの特性は下記のとおりであった。得られたポリカーボネートフィルムの幅は1000mmであった。ポリカーボネートフィルム厚みが80μm、厚み斑が2μmであった。熱寸法変化率が0.07%、全光線透過率が90%、含有溶媒量が0.3重量%、面内リターデーション値が4〜8nm、表面粗さRaが1.8nm、Rth値の最大値が90nmであった。
更に、得られたポリカーボネートフィルムをワインダーで巻き取り直前に表面保護フィルムとして20μm厚みのポリエチレンテレフタレートフィルム(ヤング率、縦横共に5.29GPa、表面粗さRaが両面共25nm)を重ねてニップして積層し500mの表面保護フィルム付き長尺ロール状ポリカーボネートフィルム(s−1)を作成した。
(ハードコート層塗布液(h−1)の調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)450重量部を、210重量部のイソプロピルアルコール(IPA)と140重量部のメチルイソブチルケトン(MIBK)の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)12.0重量部を加え、溶解するまで攪拌した後に、380重量部のIPA−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30重量%のSiO2 ゾルのイソプロピルアルコール分散物、日産化学(株)製)と257重量部のMIBK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30重量%のSiO2 ゾルのメチルイソブチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製)を添加し、撹拌して混合物を得、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過してハードコート層用塗布液(h−1)を調製した。
(ハードコート層塗布液(h−2)の調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)450重量部を、426重量部のメチルイソブチルケトン(MIBK)と106重量部のメチルエチルケトン(MEK)の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)12.0重量部を加え、溶解するまで攪拌した後に、514重量部のMIBK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30重量%のSiO2 ゾルのメチルイソブチルケトン分散物、日産化学(株)製)と129重量部のMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30重量%のSiO2 ゾルのメチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製)を添加し、撹拌して混合物を得、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過してハードコート層用塗布液(h−2)を調製した。
ハードコート塗布液(h−2)はハードコート塗布液(h−1)に対し、溶剤を変更しており、(h−2)はポリカーボネートを侵す溶媒のみとなっている。
表2にハードコート層塗布液調製に用いた溶媒のSP値を記す。
Figure 2005313531
(ハードコートフィルムの作製)
< 実施例1 >
塗布速度を10m/分に設定し、上記で作製した幅1000mmで厚さ80μmの表面保護フィルムを共巻きしたポリカーボネートフィルム(s−1)の表面保護フィルムを巻き取り除去しながら送り出し、バンド面に上記ハードコート塗布液を乾燥後の厚みが3.3μm、塗工幅が980mmになるように、バーコーターを用いて塗布し、70℃で1分間乾燥後、窒素パージ下(酸素濃度0.1%)で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量500mJ/cm2の紫外線を照射し、ハードコート層を硬化させ、ハードコートフィルムを100m巻き取った。
< 実施例2 >
実施例1に対し塗布面をバンド面からエア面に変更し、実施例試料2を作製した。
< 実施例3 >
幅1000mmで厚さ80mmの表面保護フィルムとして20μm厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムを共巻きしたポリカーボネートフィルム(帝人化成(株)製ピュアエース110−80)の表面保護フィルムを巻き取り除去しながら送り出し、エア面にハードコート塗布液を乾燥後の厚みが3.3μm、塗工幅が980mmになるように、バーコーターを用いて塗布し、70℃で1分間乾燥後、窒素パージ下(酸素濃度0.1%)で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量500mJ/cm2の紫外線を照射し、ハードコート層を硬化させ、ハードコートフィルムを100m巻き取った。
< 実施例4 >
実施例1に対してハードコートの硬化後の厚みを5.0μmに変更した以外は同じ条件とし実施例4試料を作製した。
< 比較例1 >
実施例3に対し塗布面をバンド面に変更し比較例1を作製した。
< 比較例2 >
比較例1に対してハードコートの硬化後の厚みを5.0μmに変更した以外は同じ条件とし比較例2試料を作製した。
< 比較例3 >
比較例1に対してハードコート塗布液(h−2)に変更した以外は同じ条件とし比較例3試料を作製した。
< 比較例4 >
実施例3に対してハードコート塗布液(h−2)に変更した以外は同じ条件とし比較例4試料を作製した。
(ハードコートフィルムの評価)
(1)隆起状点欠陥の評価
作製したハードコートフィルムの両端10cmずつを除いた80cm幅を20cm×20cmに4枚を2列、計8枚をサンプリング、裏面を黒塗りし、10cm×10cmの角に印を付け、印の中を塗布面に垂直な光を入射し、塗布面に垂直な方向(光の入射方向)から光学顕微鏡で30倍に拡大し、表面に焦点を合わせることで表面の反射光を基に50μm以上の点欠陥を摘出した。尚、隆起状部分は膜厚が変化し焦点がずれる。また、入射光が表面で乱反射し顕微鏡に戻って来ないことで正常部分と隆起状部分を分離することができる。
摘出した50μm以上の隆起状点欠陥の断面を切り電子顕微鏡で1000倍に拡大し、中にポリカーボネートフィルム表面から発している突起状の異物が観察されるものの数値を数え、8サンプルの平均を取った。
(2)耐擦傷性の評価
作製したハードコートフィルムをラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなった。
試料調湿条件: 25℃、60%RH、2時間以上。
こすり材: 試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール(日本スチールウール製、ゲレードNo.0000)を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、荷重:1.96N/cm2、先端接触部面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の規準で2段階評価した。
傷が見えない。 :○
傷が見える。 :×
Figure 2005313531
表3に示される結果から、以下のことが明らかである。
SP値が8.3以上10.5以下の(ポリカーボネートフィルムを侵す)有機溶剤のみで調製したハードコート層用硬化性組成物(h−2)を用い、ポリカーボネートフィルムにハードコート層を形成したものは塗布面がバンド面、エア面に係らず、ポリカーボネートフィルムに起因する点欠陥が多発する。(比較例3と4)
ポリカーボネートフィルムを侵す有機溶剤の全有機溶剤に対する比率を60%以下に下げて調製したハードコート層用硬化性組成物(h−1)を用い帝人化成(株)製ピュアエースのバンド面に膜厚が1.0〜8.0μmの範囲にある3.3μmまたは5.0μmのハードコート層を積層したものは隆起状点欠陥が発生する。(比較例1と2)
また、膜厚が5.0μmよりも3.3μmの方が隆起状点欠陥の数が多くなり対策の重要度が増す。(実施例1と4、比較例1と2)
本発明のバンド面のピンホールを規定して作製したポリカーボネートフィルムを用いたハードコートフィルムはバンド面塗布でもエア面塗布でも隆起状点欠陥がなかった。(実施例1と2)
本発明の帝人化成(株)製ピュアエースのエア面にハードコート層を積層したハードコートフィルムは隆起状点欠陥がなかった。(実施例3)
[光ディスクへの適用]
(光ディスクの作製)
特開2003−263797号公報の段落〔0048〕〜〔0054〕に記載されている実施例1を本発明の比較例20とし、段落〔0051〕に記載のカバーフィルムとして(ポリカーボネートフィルム、帝人ピュアエース、厚さ:80μm、片面に第2の離型フィルム付き;第2の離型フィルムの面Dの表面粗さ、250nm)の代わりに上記で示した本発明の実施例1と3、比較例1の長尺ロール状ハードコートフィルムを用いて光記録体(光ディスク)を得た。(夫々実施例21と23、比較例21)
[実施例21]
<光情報記録媒体の作製>
スパイラル状のグルーブ(深さ100nm、幅120nm、トラックピッチ320nm)を有し、厚さ1.1mm、直径120mmのポリカーボネート樹脂(帝人社製ポリカーボネート、商品名:パンライトAD5503)基板を射出成形した。得られた基板のグルーブを有する面上に、Agをスパッタして100nmの厚さの光反射層を形成した(光反射層形成工程)。
その後、オラゾールブルGN(フタロシアニン系色素、cibaスぺシャリティケミカル社製)20gを2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール1リットル中に添加し、2時間超音波処理を行って溶解し、記録層形成用の塗布液を調製した。調製された塗布液を、光反射層上に、回転数を300〜4000rpmまで変化させながら、23℃、50%RHの条件で、スピンコートにより塗布した。その後、23℃、50%RHで1〜4時間保存して形成された記録層の膜厚100nmであった(記録層形成工程)。そして、記録層上に、ZnS−SiO2を厚さ5nmになるようにスパッタし、中間層を形成した。
<カバー層の作製>
[粘着剤塗布液の調製]
アクリル系共重合体(溶剤:酢酸エチル/トルエン=1/1)と、イソシアネート系架橋剤(溶剤:酢酸エチル/トルエン=1/1)と、を100:1(質量比)で混合し、粘着剤塗布液Aを調製した。
[(a)ロール状に巻回されたハードコートフィルムの表面に、架橋剤を含有する粘着層を連続的に設ける工程、及び、(b)粘着層が設けられたカバーフィルムを、再びロール状に巻き取る工程]
まず、図4に示す粘着層設置装置を用いて、ハードコートフィルムの表面に17μm厚の粘着層を設けた。ロール1に巻回されたポリエチレン製離型フィルムを矢印方向に送り出し、設置された塗布部2を用いて、離型フィルムの表面に粘着剤塗布液Aを塗布した(塗布工程)。その後、粘着剤塗布層が形成された離型フィルムを、乾燥領域に設置された乾燥手段3により100℃でを乾燥し(乾燥工程)、粘着層を備えた離型フィルムを得た。そして、粘着層を備えた離型フィルムを、更に搬送し、ロール4から送り出されたカバーフィルム(実施例1の長尺ロール状ハードコートフィルム:83μm、片面離型フィルム付き)からロール6で表面保護フィルムを剥がしながら巻き取り、貼り合わせ領域aにて、表面保護フィルムを剥がした後のハードコートフィルムのポリカーボネート面と接着層とが当接するように貼り合わせた(貼り合わせ工程)。そして、ロール5に、粘着層を備える離型フィルムとハードコートフィルムと共巻した(巻き取り工程)。
[(c)粘着層の架橋反応が実質的に終了するまで保持する工程]
その後、粘着層を備える離型フィルムとカバーフィルムと共巻した状態のロール5を、23℃、50%Rhの雰囲気で、72時間保持した。この「72時間」とは、前記雰囲気下において、本実施例における粘着層を赤外分光吸収スペクトルで経時的に測定し、イソシアネートに由来する2275〜2250cm-1付近に出現する吸収ピークが実質的になくなるまでの経過時間であり、本実施例における「粘着層の架橋反応が実質的に終了するまで」に対応する時間である。なお、本工程において、赤外分光吸収スペクトルは下記条件にてFT−IR1回反射法で測定した。
測定機:サーモ ニコレジャパン製 Nexus670
測定アクセサリ:OMNI−Sampler 1回反射型水平ATR装置
積算回数:4cm-1 32回
検出器:MCT−A(高感度検出器)
[(d)粘着層が設けられたカバーフィルムをディスク状に打ち抜く工程、及び(e)ディスク状の粘着層が設けられたカバーフィルムを略水平に積層して保持する工程]
共巻した状態の粘着層を備える離型フィルムとカバーフィルムとを、ロール5から送り出し、上記基板と同じ形状に打ち抜いた。打ち抜かれた粘着層を備える離型フィルムとカバーフィルムとの積層体は、図5に示すように、センターホールより僅かに小さな外径を有するストックジグ80に嵌め込むようにして、略水平に、50枚積層した。その状態で、1時間保持した。
その後、1枚毎に、取り出し、粘着剤側の離型フィルムを剥がし、上記中間層と、粘着層と、をローラによる押し圧手段によって貼り合わせ、光ディスクを作製した。
[実施例23]
実施例21の長尺ロール状ハードコートフィルムを実施例3に変更し実施例23のサンプルを得た。
[比較例21]
実施例21の長尺ロール状ハードコートフィルムを比較例1に変更し比較例21のサンプルを得た。
(サンプルの評価)
1.ノイズの評価
特開2003−263797号公報の段落〔0055〕<評価>(1)C/N(搬送波対雑音比)に従って実施例21と23、比較例21を評価したところ、ハードコート層上の隆起状点欠陥はノイズとして検出されることが分かり、本発明によりノイズが大幅に減少できることが確認できた。
<評価>C/N(搬送波対雑音比)
作製された光ディスクを、405nmのレーザ、NA:0.85ピックアップを搭載した記録再生評価機(パルステック社製:DDU1000)を使用し、クロック周波数66MHz/線速5.6m/sの条件で単一周波数の信号(2T=0.13μm)で記録及び再生し、スペクトルアナライザを用いてC/Nを測定したところ以下の結果だった。
実施例21: 52dB
実施例23: 49dB
比較例21: 32dB
2.耐擦傷性
サンプルの透光層側の表面を#0000のスチールウールを用い1.96N/cm2
荷重を掛けながら擦った時の傷が目視で見える様になる程度の評価(〇は100回こすっても跡が見えない状態、×は30回未満で跡が見える状態)で評価したところ以下の結果だった。
実施例21:〇
実施例23:〇
比較例20:×
比較例21:〇
以上の結果から本発明のハードコートフィルムは、擦り傷に強いこと、ノイズが大幅に減少することから、光ディスクのカバー層としても好適である。
溶液製膜方法に用いる溶液製膜装置の概略摸式図である。 流延バンドの一部切り欠いた斜視図である。 流延バンドに発生するピンホールの径を規定する模式図である。 長尺ロール状ハードコートフィルムの表面に表面保護フィルムを剥がしながら粘着剤層を連続的に設ける方法の例示的態様に用いられる粘着層設置装置の概略断面図である。 保持手段にディスク状の粘着剤層が設けられたカバーフィルムを略水平に積層した状態を示す概略図である。 電顕写真図:隆起状点欠陥の断面図
符号の説明
10 流延工程
11 流延ダイ
12 流延バンド
20 延伸工程
30 乾燥工程
40 巻き取り部
50 ピンホール
1、4、5、6 ロール
2 塗布手段
3 乾燥手段
70 台座
80 ストックジグ
f1 離型フィルム
f2 ハードコートフィルム
f3 ディスク状の粘着剤層が設けられたハードコートフィルム
f4 表面保護カバーフィルム


Claims (18)

  1. ポリカーボネートよりなり、流延法により製造されたフィルム基材上に、平均膜厚が1.0〜8.0μmの硬化層が積層されてなる光学フィルムであって、該硬化層における上記フィルム基材に由来するポリカーボネートを内包した直径50μm以上の隆起状点欠陥の数が10cm角当たり平均1個以下であることを特徴とする光学フィルム。
  2. 上記フィルム基材は、流延ダイより流延バンド上にドープを流延してフィルムが製造されたものであることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 上記流延バンドの溶接部における径が50μm以上のピンホールの数が0個であることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルム。
  4. 上記流延バンドの溶接部における径が40〜50μmのピンホールの数が5個以下であることを特徴とする請求項2〜3の何れかに記載の光学フィルム。
  5. 上記流延バンドの溶接部以外の一般面における径が70μm以上のピンホールの数が0個であることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の光学フィルム。
  6. 前記一般面における径が40〜70μmのピンホールの数が5個/m2以下であることを特徴とする請求項5に記載の光学フィルム。
  7. 前記硬化層が、硬化剤と有機溶剤とを含む透明ポリカーボネートフィルム基材用の硬化性組成物であって、溶解性パラメータ(SP値)が8.3以上10.5以下の有機溶剤の全有機溶剤中の含量が60重量%以下である硬化性組成物によって形成された層であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の光学フィルム。
  8. 前記硬化層が、溶解性パラメータ(SP値)が9.0以上10.0以下の有機溶剤を含まない硬化性組成物によって形成された層であることを特徴とする請求項7に記載の光学フィルム。
  9. 前記硬化層の平均膜厚が1.0〜4.0μmであることを特徴とする請求項1〜8に記載の光学フィルム。
  10. 前記硬化層の平均膜厚が2.5〜4.0μmであることを特徴とする請求項1〜8に記載の光学フィルム。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載の光学フィルムにおける上記フィルム基材の前記硬化層が積層されていない面に、膜厚10μ以上の粘着剤層が積層されていることを特徴とする粘着剤層付き光学フィルム。
  12. 上記フィルム基材は、流延ダイより流延バンド上にドープを流延してフィルムが製造されたものであり、上記フィルム基材の前記硬化層が積層されている面が、上記フィルム基材が流延バンド上で製造された際のエア面であり、前記粘着剤層が積層されている面が流延バンド上で製造された際のバンド面であることを特徴とする請求項11に記載の粘着剤層付き光学フィルム。
  13. 前記硬化層がスチールウールに対し耐擦傷性を有するハードコート層であることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の光学用ハードコートフィルム。
  14. 前記硬化層がスチールウールに対する耐擦傷性を有するハードコート層であることを特徴とする請求項11〜12に記載の粘着剤層付き光学用ハードコートフィルム。
  15. 請求項14に記載の粘着剤層付き光学用ハードコートフィルムを搭載した光ディスク。
  16. 流延ダイより流延バンド上にドープを流延することによりポリカーボネートよりなるフィルム基材を製造した後、該フィルム基材上に平均膜厚が1.0〜8.0μmの硬化層を積層する光学フィルムの製造方法であって、上記流延バンドの溶接部における径が50μm以上のピンホールの数が0個であることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  17. 上記流延バンドの溶接部以外の一般面における径が70μm以上のピンホールの数が0個であることを特徴とする請求項16に記載の光学フィルムの製造方法。
  18. 流延ダイより流延バンド上にドープを流延することによりポリカーボネートよりなるフィルム基材を製造した後、該フィルム基材の流延バンド上で製造された際のエア面上に平均膜厚が1.0〜8.0μmの硬化層を積層し、上記フィルム基材の流延バンド上で製造された際のバンド面上に膜厚10μ以上の粘着剤層を積層することを特徴とする粘着剤層付き光学フィルムの製造方法。

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