JP3923044B2 - 巻回積層体 - Google Patents

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Description

発明の技術分野
本発明は光学用途に使用するポリカーボネートフィルムの巻回積層体及びそれを用いた光ディスクの製造方法に関する。更に詳細にはレーザー光などにより情報の記録、再生、消去などをおこなう光ディスクの透明保護層として用いる薄肉のポリカーボネートフィルム(本明細書ではフィルム又はシート併せて単にフィルムと称している)及びそれを用いた光ディスクの製造方法に関する。
背景技術
ポリカーボネート樹脂は透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、更に加工性に優れることから光学用途に広く利用されている。例えば、レーザー光を使用する光ディスクは、高密度、大容量の記録媒体として種々の研究、開発、商品化がおこなわれている。特に近年マルチメディア時代の到来と共に光ディスクに動画情報を含む大容量の記憶が可能なような種々の技術が開発されている。その一つにポリカーボネート基板と反対側の保護膜面側を利用して片面から情報を読み出す膜面入射方式光ディスクの技術が提案され、下記の文献などが公表されている。特開平8−235638号公報、「片面12Gbyteの大容量光ディスク」(OplusE、20巻、No.2、183ページ(1998年2月))、並びに『光ディスク及び周辺材料98−2』(高分子光エレクトロニクス研究会講演要旨集、高分子学会高分子エレクトロニクス研究会(平成11年1月22日))である。
これらの膜面入射方式の技術においては、図1を参照して説明すると、少なくとも片側の面に記録情報層2としてピットないしはグルーブ等の凹凸パターンが形成されたディスク基板1上に、反射膜ないしは記録膜が形成されており、その上部に厚みが0.1mm程度の薄肉の膜面が形成されていることを特徴とし、さらにその膜面としてはプラスチックフィルム4が粘着層3によりディスク基板に貼り合わされて形成されていることを特徴とするものである。情報の記録および再生は膜面側から行い、レンズ5により集光されたレーザ光を凹凸パターンに照射することを特徴とするものである。
光ディスク基板に透明保護層を付着する場合、透明保護層となるプラスチックフィルムの巻回積層体からプラスチックフィルムを引き出しながら光ディスク基板上に順次付着してゆくことが生産性の点で好ましいと考えられる。しかし、一般に表面が非常に平坦であることが要求される光学用途のフィルムは、そのままではその高い平坦性のため滑り性が悪く、通常はロール状に巻き取って巻回積層体にすることはできない。
従来、光学用途のポリカーボネート巻回積層体を得るには、一般的には、粘着性を有するプロテクトフィルムをポリカーボネートフィルムに積層して用いている。即ち、光学用途の極めて平坦なプラスチックフィルムには、弱粘着性の面を有するプロテクトフィルムを貼り付けて積層し、その表面を保護すると同時に、プロテクトフィルムの反対側の面は適度に粗されていて滑りやすい構造として、この積層フィルムをロール状に容易に長尺状に巻き上げることができるようにしたものである。このようなプロテクトフィルムは、例えば、ポリエチレンとポリ酢酸ビニルなどのポリマーを共押出しして作成した構造となっていて、ポリ酢酸ビニル側の面がポリカーボネートフィルム面に対して粘着性を持っている。巻取りの直前でフィルム同士を貼り付けて、弱くニップしてからワインダーで巻き上げて巻回積層体が製造される。
そこで、光ディスクに薄肉の透明保護層を形成する工程において、即ち、プラスチックフィルムとしてのポリカーボネートフィルムを使用するに際して、このポリエチレン/ポリ酢酸ビニルからなる共押出プロテクトフィルムなどを用いた巻回積層体からフィルムを巻き出してプロテクトフィルムを剥がし、ポリカーボネートフィルムを円盤状に打ち抜き、これを成形したポリカーボネート光ディスクと貼りあわせてみた。しかし、こうして作った薄肉の透明保護層付きの光ディスクは、目視した場合(この表面凹凸は通常の光の下では目視できない場合もあるが)に表面に凹凸(光学的歪)が発生する場合が多く、この表面凹凸(光学的歪)は光ディスクとして信号を入出力した場合に出力変動を大きくする原因の一つとなっていることが判明した。
本発明はかかる現状に鑑みて成されたもので、上述の問題がなく安価で大量に媒体を提供できる、より簡便で工業的に生産性が高い記録情報媒体用薄肉プラスチックフィルム用の巻回積層体、及びその巻回積層体を用いた光ディスクの製造方法を提供することを目的としたものである。
発明の概要
本発明は上記目的を達成するために鋭意努力し、下記によりその目的を達成することができることを見出した。
(1)ビスフェノールAを芳香族ジヒドロキシ成分とする芳香族ポリカーボネートよりなるプラスチックフィルムと、芳香族ポリエステルからなるプロテクトフィルムとを、その間に接着強度が3gf〜50gf(0.0294〜0.49N)の弱粘着性の接着剤を用いて積層し、巻き上げたことを特徴とする巻回積層体。
(2)プラスチックフィルムが、厚み斑が4μm以下、熱寸法変化率が0.07%以下、面内レターデーション値が15nm以下である上記(1)記載の巻回積層体。
(3)プロテクトフィルムがポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートからなりかつヤング率が450kgf/mm(4413MPa)以上であるポリエステルである上記(1)(2)記載の巻回積層体。
(4)プラスチックフィルムが、厚みが30〜100μm、全光線透過率が90%以上、残留溶媒量が0.3重量%以下、厚み方向のレターデーション値(K値)が100nm以下、表面粗さRaが両面共に5.0nm以下である上記(2)(3)記載の巻回積層体。
(5)プラスチックフィルムが溶液キャスト法により製膜されたものである上記(1)〜(4)に記載の巻回積層体。
(6)光ディスクの透明保護層形成用である上記(1)〜(5)に記載の巻回積層体。
(7)上記(1)〜(6)に記載の巻回積層体を膜面入射方式光ディスクの透明保護層形成用に使用することを特徴とする光ディスクの製造方法。
(8)前記巻回積層体からディスク状積層フィルムを打ち抜く工程と、ディスク状積層フィルムを構成するプラスチックフィルムと光ディスク基板を接着する工程を含む上記(7)記載の光ディスクの製造方法。
(9)前記ディスク状積層フィルムからプロテクトフィルムを剥離してから、プラスチックフィルムを光ディスク基板に接着する上記(8)記載の光ディスクの製造方法。
(10)ディスク状積層フィルムを構成するプラスチックフィルムと光ディスク基板を接着した後に、前記ディスク状積層フィルムからプロテクトフィルムを剥離する上記(8)記載の光ディスクの製造方法。
(11)プラスチックフィルムと光ディスク基板との接着を、液状接着剤又はフィルム状接着剤を用いて行う上記(7)〜(10)に記載の光ディスクの製造方法。
本明細書で使用する下記用語は次の意味を持つ。
「光ディスク」とは主にポリカーボネート樹脂より形成されたディスク状の記憶媒体のことで記録情報層が付与されたものを言う。
「透明保護層(光透過形成層)」とは光ディスクの記録情報層を透明な材料で覆い、記録情報層を保護するとともに、この透明な材料を通してレザー光を照射し、記録再生を行う働きをするものである。
「プロテクトフィルム(保護フィルム)」とはプラスチックフィルム等の巻回積層体を形成する時にプラスチックフィルムと共巻して該フィルムの表面傷つきを抑えると共に、いわゆる巻回積層体のロールフォーメーションを良好に保つために用いるフィルムを意味する。
透明保護層としてポリカーボネートフィルムを付着させた光ディスクで、上記のような光学的な歪が発生する原因としてのフィルム表面の凹凸を解消するには、巻回積層体を巻き出し、プロテクトフィルムを剥がした後ポリカーボネートフィルムをそのガラス転移温度より少しだけ低い温度で熱処理して後、円盤状に打ち抜いてこれをポリカーボネート光ディスクに付着させれば良いことを見出した。しかし、これでは透明保護層の準備工程にフィルムの熱処理工程を付加することが必要となる。又プロテクトフィルムを剥がした後のポリカーボネートフィルムが剥離帯電を起こして、雰囲気中の微細なゴミを引き付け光ディスクと透明保護層の間にそのゴミが介在してディスクの外観を損ねたり、出力変動を大きくしたりする問題を生じる場合が多かった。
そこで、巻回積層体を形成し、それから巻きだして使用しても、上記の光学的歪が生じないプロテクトフィルムを作成すべくさらに検討を行った。上記の光学的歪が生ずる理由として、(i)ポリカーボネートフィルムに光学的歪がある場合と、(ii)ポリカーボネートフィルムをプロテクトフィルムと重ね巻きした場合に起こる場合が考えられるが、ポリカーボネートフィルムの厚み斑を充分に小さくして光学的に均質にしたものであってもこの問題を解決できないことが実験の結果わかり、(i)プロテクトフィルムの厚み斑、(ii)プロテクトフィルムの粘着面の物質のポリカーボネートへの転写又は転移、(iii)プロテクトフィルムのヤング率が低いことなどが巻回積層体のポリカーボネートフィルムに対して悪影響しているのが主要因であることが判明した。
即ち、ポリエチレン/ポリ酢酸ビニル共押出フィルムなどの通常のプロテクトフィルムは片面に弱い粘着性を持つ比較的軟らかいヤング率の比較的低い高分子材料から作られている。しかし、プロテクトフィルムの素材のヤング率が低いために、該フィルムは外力により変形し易い。この為、巻き上げられたロールからポリカーボネートとプロテクトフィルムの積層したものを採取し、厚み斑を測定すると、特にフィルム走行方向の厚み斑が著しく悪化している場合が極めて多く、この積層体から分離したポリカーボネートフィルムの厚み斑は全く悪くなっていないが、プロテクトフィルムに厚み斑が観測された。これは、プロテクトフィルムを巻き出し、しわが寄りやすい該プロテクトフィルムの平面性を良くしてポリカーボネートフィルムに貼りあわせる際に、プロテクトフィルムに張力をかけるが、この際プロテクトフィルムがある程度伸びたり、塑性変形したために起こったと考えられる。この状態でポリカーボネートフィルムと貼りあわせて積層し、ロール状に巻き上げて巻回積層体とした場合に、プロテクトフィルムがポリカーボネートフィルムに対して巻き締まり力や局所的な微小な歪みを与えるのではないかと推定される。プロテクトフィルムの厚み斑そのものがあまり良くないのと、巻き出し時のプロテクトフィルムの変形が重なって、積層され巻き上げられたポリカーボネートフィルムに悪影響しているものと思われる。厚み斑の良好なポリカーボネートフィルムを1000mほどプロテクトフィルムと共巻し、これを常温に数ヶ月保管して後巻きほぐして積層フィルムの厚み斑を測定してみると、巻き芯に近い部分のフィルムほどこの厚み斑が僅かに悪化している傾向が見られた。しかし、巻回積層体よりプロテクトフィルムを剥がしたポリカーボネートフィルムは厚み斑は悪くなっていなかった。巻回積層体においては、多分プロテクトフィルムが巻き締まることにより、更にプロテクトフィルムのポリカーボネートフィルムへの粘着力も働き、ポリカーボネートフィルムにも力が加わり、ポリカーボネートフィルムの平坦性が悪くなっていると推測される。
この課題の解決のために本発明者らは別途プラスチックフィルムと該プラスチックフィルムの表面を被覆するプロテクトフィルムとを接着剤を用いずに積層し、巻き上げたことを特徴とするプラスチック巻回積層体を用いることを提案した(特願2000−388724号)。しかし、この巻回積層体を用いる場合には新たな課題が生じうる場合があることがわかった。即ち、ロールフィルムを狭幅にまずスリットしてから円盤状に打ち抜くという方法で光ディスクを製造する場合、あるいは保護(又はプロテクト)フィルムがない側のプラスチックフィルム面上に硬化樹脂層を設けるという加工処理を実施する場合などには、プロテクトフィルムの脱落を防ぐために粘着剤層が必要であることが判明した。
従って、最も好ましい巻回積層体は円盤状に打ち抜いて用いるフィルムに歪みなどの影響を与えずに、ディスクに貼り付ける直前まで最初のプロテクトフィルムが機能するように働く巻回積層体である。
本発明者らは、このような巻回積層体を提供することが、巻回積層体のプロテクトフィルムとして用いる材料のヤング率を高く変形しにくいものとし、更にそのプロテクトフィルムの表面に、特定の接着強度を持つ接着層を形成したものを用いれば可能となることを知見し、本発明に到達したものである。
発明の実施の形態
以下本発明について更に詳しく説明する。
(巻回積層体)
本発明で言うところの巻回積層体とは、ポリカーボネートプラスチックフィルムを用い、それと該プラスチックフィルムの一方の表面を被覆するプロテクトフィルムとを積層する際に、ポリカーボネートフィルムに対する接着強度が3gf〜50gf(0.0294〜0.49N)の粘着層を介してプロテクトフィルムとしてポリエステルフィルムを用いて積層し、ロール状に巻き上げたものである。
図2に巻回積層体の断面層構成を示すが、参照数字8がプラスチックフィルム、9が接着層、10がプロテクトフィルムである。
図3は巻回積層体を製造する方法を示すが、既に粘着層を表面に塗工したプラスチックフィルム11と、プロテクトフィルム12とを、それぞれニップロール(金属製)14及びニップロール(ゴム製)15の間に送って接合させる。粘着層はプロテクトフィルム12側に形成しておいてもよい。このニップロール間での接合の前にプロテクトフィルム12はエキスパンダーロール(皺伸ばしロール)13でテンションをかけられるとともに、接合後の積層フィルムをダンサーロール16で張力を調整している。こうして積層フィルムをワインダー(巻き取り機)で巻き取ることにより巻回積層体17を得る。粘着層を表面に塗工したプロテクトフィルム12は、通常、その粘着面が離形紙や離形フィルムで覆われているが、これを巻き取ってロール状として供給される。この場合にはプロテクトフィルムから離形紙や離形フィルムを剥ぎ取るロール50を用いる。剥ぎ取られた離形紙や離形フィルムのロールは51で示した。また、ロール13のようにその表面がプロテクトフィルムの粘着面と接触するような場合には、ロール13は非粘着処理を施した表面とするのがよい。
(プラスチックフィルム)
<ポリカーボネートフィルム(透明保護層)>
本発明で用いるプラスチックフィルムは、ビスフェノールAを芳香族ジヒドロキシ成分とする芳香族ポリカーボネートフィルムである。本発明に用いるプラスチックフィルムとしてのポリカーボネート樹脂の化学的組成、製法等については詳しく後述するが、ポリカーボネートは一般に透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、更に加工性に優れることから、本発明の光ディスクの透明保護層用のプラスチックフィルムとして最適である。なお本発明において透明とは光ディスクの記録再生に用いる光(レーザー光など)に対して透明(光透過性)であることをいう。
このように特定のポリカーボネートプラスチックフィルムに対して、プロテクトフィルムとして特定のポリエステルプロテクトフィルムを用い、その間に接着強度が3〜50gf(0.0294〜0.49N)の粘着層を介して積層し、巻き上げた巻回積層体は、意外にも、上記の問題が全て解決され、ディスクに貼り付ける直前まで最初のプロテクトフィルムが機能するように働く巻回積層体であり、かつ光ディスクの透明保護層として使用した場合の機能も優れていることが判明した。この目的を達成するためには光ディスクの透明保護層として使用するプラスチックフィルムが特定の物性を有する場合ことが特に有利であることが明白であった。
従って、本発明で用いるプラスチックフィルムは、厚み斑としては4μm以下、熱寸法変化率としては0.07%以下、面内レターデーション値としては15nm以下の範囲にあることが好適であり、特に、厚みとしては30〜100μm、厚み斑としては4μm以内、熱寸法変化率としては0.07%以下、全光線透過率としては90%以上、残留溶媒量としては0.3重量%以内、面内レターデーション値としては15nm以下、厚み方向のレターデーション値(K値)の最大値としては100nm、表面粗さRaとしてはフィルムの両表面共に5.0nm以下の範囲にあるものがより好適である。
本発明におけるプラスチックフィルムは、保護層とはいえ光学系の一部品となるものに使用されるので、その厚みは光ディスクの信号を最適状態で入出力するため重要である。プラスチックフィルムの厚みのより好ましい範囲は40〜100μm、より好ましい範囲は40〜80μmである。プラスチックフィルムの厚みは光ディスクの信号を書き込み読み出す際に用いるレーザー光源の波長によって選択されるのが普通である(例えば、「片面12Gbyteの大容量光ディスク」、O plus E、20巻,No.2,183ページ(1998年2月))。
プラスチックフィルムの厚み斑は4μm以内が好ましく、2μm以内がより好ましく、さらにより好ましくは1μm以内である。プラスチックフィルムの厚み斑が大きすぎる場合には光学的歪みが顕著になり、光ディスク信号の入出力変動(ノイズ)も大きくなるという問題を生じる。
光ディスクの記録層にはレーザー光などが高いエネルギー密度でμmオーダーの微小領域に繰り返し入射される。このため記録層近傍の微小な領域に熱的なストレスを与える。特に光書き込みが繰り返し行われる場合にはこの影響が材料に与えられ記録層界面などでのミクロな剥離などが起こり記録の信頼性を低下させる。このため該フィルムは熱的安定性が高いことが好ましい。熱的安定性として熱寸法安定性がその尺度となるが、熱寸法変化が大きすぎる場合には光ディスクと透明保護層との界面で熱的なストレスにより上記の問題(記録層と透明保護層との界面でのミクロな剥離)が起こり易くなるので好ましくない。熱寸法変化率は0.07%以下が好ましく、より好ましくは0.05%以下である。
本発明のプラスチックフィルムの全光線透過率は90%以上が好ましく、より好ましくは92%以上である。透明保護層を通しての光信号の劣化を防止するには全光線透過率は高ければ高いほどよい。90%を切ると光信号の劣化が光ディスクとしての使用は困難となる。
本発明のプラスチックフィルムは残留溶媒量が0.3重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1重量%以下である。フィルムに含まれる残留溶媒量が多すぎる場合、コーテイングやスパッタリング処理などにより表面処理する場合に残留溶媒が蒸発して悪影響する場合があるので好ましくない。
本発明のプラスチックフィルムにおいては、レーザー光は信号の入出力時この薄肉フィルム内を通過する。この際光学的擾乱が起こる場合がある。これは光ピックアップのサーボ信号や信号レベルなどへも影響する。この為プラスチックフィルムの面内レターデーション値は小さい方がよく、15nm以下にすることが好ましい、より好ましくは8nm以下であり、更に好ましくは6nm以下である。更にこれらは、読取り光の再生信号へのモジュレーションを小さくし再生信号レベルを安定化するため、フィルム面内でのばらつきは8nm以下であり、更に好ましくは6nm以下である。プラスチックフィルムの面内レターデーション値は2nm未満にすることもできるが、そこまで必要ない場合が多い。
更に、本発明のプラスチックフィルムにおいては、厚み方向のレターデーション値(K値)が100nm以下であることが好ましく、より好ましくは70nm以下、更に好ましくは50nm以下である。3次元の屈折率異方性を示す後に定義されるパラメーターK値が大きくなるとノイズの増大の原因となる。この点からプラスチックフィルムのK値が規定される。
本発明のプラスチックフィルムにおいては表面粗さRaは両面ともに5.0nm以下であることが好ましく、より好ましくは3.0nm以下、さらに好ましくは2.5nm以下である。表面粗さが大きすぎる場合は表面凹凸部が光を散乱させる結果ノイズ増大の原因となるので好ましくない。表面粗さRaは小さいほど好ましいが、下限は通常1.5nm程度である。
本発明のプラスチックフィルムは芳香族ポリカーボネートを溶液流延法で製膜したものであるのが好ましい。溶液流延法製膜が好ましいのはプラスチックフィに筋状の微細な厚み斑を生じ難いためや異物を生じ難いためである。溶液流延法におけるポリカーボネートの溶解溶剤がメチレンクロライドまたは1,3−ジオキソラン又は両者の混合溶媒を用いるものであることが好ましい。
本発明のプラスチックフィルムは光ディスクの透明保護層として使用する。光ディスクを取り扱う際にはその表面破損防止や傷付け防止のための注意が必要である。このためにプラスチックフィルムの少なくとも片面は従来公知の方法により表面硬化処理(ハードコート処理)されていても良い。
<高分子樹脂>
本発明のプラスチックフィルムに用いることのできる高分子樹脂としては、耐熱性、透明性、光学特性、製膜性が良好である2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールAともいう)を芳香族ジヒドロキシ成分とするポリカーボネートである。
また、プラスチックフィルムは、溶液キャスト法で製膜することができるが、ポリマーが芳香族ポリカーボネートである場合は本発明の効果が大きく好ましいので、以下、ポリカーボネートフィルムの製膜方法について述べる。
ここでいうポリカーボーネートとは、芳香族ジヒドロキシ化合物と、ホスゲン、ジフェニルカーボネートの如き炭酸結合生成性の化合物とを、溶液状態、バルク、溶融状態等で反応せしめることにより得られる重合体のことをいう。
本発明におけるポリカーボネートは他の芳香族ジヒドロキシ成分としてビスフェノールA以外の下記の芳香族ジヒドロキシ化合物を併用できる(例えば全体の20モル%以下)。かかる例としては、具体的には以下に示す化合物を挙げることができる。
すなわち、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、などのフルオレン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニールエーテル、4、4’−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルフェニールエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルスルフィドなどのジヒドロキシアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3−3’−ジメチルフェニルスルホキシドなどのヒドロキシアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルスルホンなどのジヒドロキシアリールスルホン類などである。このうちでは特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が好ましく用いられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独または組合わせて用いることができる。
また、芳香族ジヒドロキシ成分の一部をテレフタル酸および/またはイソフタル酸成分で置き換えたポリカーボネートを使用することも可能である。このような構成単位をビスフェノールAからなるポリカーボネートの構成成分の一部に使用することにより、ポリカーボネートの性質、例えば耐熱性、溶解性を改良することができる。このような共重合体についても本発明を用いることができる。
<高分子樹脂の分子量>
さらに、本発明において用いることのできる高分子樹脂の分子量としては、特に限定はないが、例えば芳香族ポリカーボネートの分子量としては、濃度0.5g/dlの塩化メチレン溶液中20℃での粘度測定から求めた粘度平均分子量が30,000以上120,000以下、好ましくは30,000以上80,000以下の範囲のものを挙げることができる。
粘度平均分子量が小さすぎる場合にはフィルム又はシートを薄肉円盤状として打ち抜く際に、打抜き端面に微少なノッチが入ったり、切粉が出易くなったりするので好ましくない。また粘度平均分子量が高すぎる場合は溶液製膜する際にレベリング不良を生じ易くフィルムの厚み斑が悪化するという問題点がある。
<溶媒>
また、本発明のプラスチックフィルムを流延法によって製膜する場合に用いることができる溶媒としては、特に制限はなく、通常知られた溶媒が使用できる。例えば、塩化メチレンまたは1,3−ジオキソランやその混合物あるいはこれらを主体とする溶媒を挙げることができる。
これらの溶媒は、通常のフィルム生産においては、水を極力含まないのが好ましい。溶媒として塩化メチレンを用いる場合はその水分率が好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下とする。この溶媒の脱水(乾燥)は通常知られているモレキュラーシーブを充填させた脱水装置によって実施できる。
<溶液製膜>
上記の溶媒に芳香族ポリカーボネートを溶解させた溶液を作成する。この溶液は通常ポリカーボネートが15〜35重量%になるように調整する。上記のように調整された樹脂溶液を押し出しダイにより押し出して、支持体上に流延する。
<乾燥>
支持体上にキャストされた液膜は、例えば以下に述べるような方法で乾燥されフィルム化することができる。いくつかの区画に仕切り各区画の乾燥条件(熱風温度、風速など)を変えることができるオーブンを用いて乾燥するのがよい。支持体上にキャスト直後の液膜は極力表面の乱れが生じないように、いわゆるレベリング斑が生じないように乾燥する。加熱の方法は乾燥効率を上げるために流延された液膜を、熱風で乾燥する方法やベルトの反液膜面を熱媒で加熱する方法をとる。取扱いの容易さから熱風を用いるのが好ましい。
キャスト直後のベルト表面の温度、並びに雰囲気の温度は高分子の溶解溶媒の沸点以上には上げないようにしなければならない。沸点以上に液膜の温度を上げると溶媒の突沸による気泡がフィルムに発生する結果となる。溶媒が塩化メチレンの場合その温度は40℃以下、好ましくは30℃以下とするのが良い。
更に、溶媒が塩化メチレンの場合は次の区画で45〜50℃とし、液膜中の塩化メチレン濃度が35重量%程度になるまで乾燥して液膜の変形が起こらないようにする。溶媒が塩化メチレンの場合、第3の区画においては45〜50℃とし、フィルム中の溶媒量は25重量%程度とする。第4の区画においては、乾燥温度は50〜55℃とし、この時のフィルム中の溶媒量を約20重量%とする。第5の区画においては15℃に冷却してフィルムを支持体より剥ぎ取る。
<後乾燥>
次いでフィルムを後乾燥させた後無延伸のまま使う用途や延伸して使う用途に向けて更に乾燥させる。この際フィルムの光学特性(屈折率)を制御しつつ乾燥させる。この乾燥にはフィルムの幅方向の両端部を把持して搬送する方式のピンテンター、ロール懸垂型乾燥機や空気浮遊式の乾燥機等公知乾燥方法を適宜組み合わせて用い、フィルムの光学特性を制御することができる。こうして得られたフィルムを巻き取って光学用途の芳香族ポリカーボネートフィルムとする。
<製膜工程巻取り>
後述するように、プラスチックフィルムの巻き取り工程では、プロテクトフィルムとして粘着層の付与されたポリエチレンテレフタレートフィルムと重ね合わせて共巻きすることが好適である。
(プロテクトフィルム)
<ポリエステルフィルム>
本発明において、ポリカーボネートフィルムに共巻きするプロテクトフィルムとしては、高いヤング率を有することから、ポリエステルの一軸延伸又は二軸延伸フィルムを好ましく用いることができる。
かかるポリエステルとしては、例えば、酸成分が主としてテレフタール酸であり、グライコール成分が主としてエチレングライコールからなるポリエチレンテレフタレート、酸成分が主としてナフタレンジカルボン酸であり、グライコール成分が主としてエチレングライコールからなるポリエチレンナフタレートが好ましく挙げられる。
これらのポリエステルにはテレフタル酸及やナフタレンジカルボン酸以外に各種のジカルボン酸や各種のグライコール、例えば、イソフタル酸やナフトエ酸、トリメチレングライコール、テトラメチレングライコール等を副成分(例えば5モル%以下)として共重合させたものを用いることができる。これらの主成分以外の共重合成分は二軸延伸したポリエステルフィルムのヤング率を著しく低下させない範囲で含むことができる。
本発明のポリエステルフィルムには、光や熱に対する安定剤、着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤並びに滑材等を含有させることもできる。滑材は例えば、炭酸カルシューム、アルミナ、カオリン、シリカ、酸化チタン、硫酸バリウム、ゼオライト等のような無機粒子や、シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、アクリル樹脂等の有機微粒子を含有させることができる。
用いるポリエステルの固有粘度[η]は0.5〜0.7であるものが好適である。
本発明で用いるポリエステルフィルムの厚さは10〜50μmが好ましい。
ポリエステルフィルムは従来公知の方法で製造することができる。すなわち、まず、乾燥したポリエステルを溶融し、フラットダイより冷却ドラム上に押し出して冷却し無延伸フィルムを作成する。ついでこの無延伸フィルムを少なくとも一軸方向又は二軸方向に延伸した後熱処理して熱寸法安定性を向上させる。延伸したポリエステルフィルム表面には、通常、添加された滑材あるいは重合触媒等に起因する突起が形成されるため滑り性が向上する。フィルムの表面粗さRaは10〜30nmであることが好ましく、粗大な表面突起のないものが好ましい。粗さRaが大きすぎる場合や粗大な表面突起がある場合、プロテクトフィルムとして用いた場合に、ポリカーボネートフィルム面上にそれらが転写されてその表面に欠点を生じ易くなるため好ましくない。ポリエステルフィルムの表面粗さが10nmよりも小さい場合には滑りにくく、ポリエステルフィルムを生産性良く製造することが困難になる。
更にタテ、ヨコ方向のヤング率がともに450kgf/mm(4413MPa)以上、より好ましくは500kg/mm(4903MPa)以上であるポリエステルフィルムが好ましい。ヤング率の低すぎるフィルムはロールから巻きだす際に変形を起こしやすいために、いわゆる巻き締まり現象によりポリカーボネートフィルムに歪みを生じさせることがあるので好ましくない。
<粘着層の付与>
本発明の巻回積層体は、プラスチックフィルムをプロテクトフィルムとの間に、プラスチックフィルムであるポリカーボネートフィルムと弱く接着させるための粘着層を有する。かかる粘着層の形成にあたっては、プロテクトフィルム及びプラスチックフィルムの少なくともいずれか一方のフィルムの表面に、弱粘着性の接着剤を用いてあらかじめ粘着層を形成させたものを用いることができる。そして、プラスチックフィルムとプロテクトフィルムとをかかる粘着層をはさむようにして積層させロール状に巻き上げ本発明の巻回積層体を得ることができる。
ここでは、プロテクトフィルムとして用いるポリエステルフィルムの一方の表面に粘着層を形成する方法を例にとって説明する。
かかる粘着層は、ポリエステルフィルムと強固に接着し、ポリカーボネートフィルムとの接着力が3〜50gf(0.0294〜0.49N)であり、巻回積層体からポリエステルフィルムをはがしたときに、ポリカーボネートフィルムへは実質的に転移したり付着しないことが望ましい。このような粘着層を与える接着剤であれば、特に制限なく用いることができ、例えばゴム系、シリコーン系、アクリル系を挙げることができる。この中でアクリル系粘着剤は、透明性に優れ、また該粘着剤からの成分がポリカーボネートフィルムへ移行しにくいので好ましい。アクリル系粘着剤としては、溶剤系、エマルジョン系等あるが、粘着力、基材となるポリエステルフィルムとの密着性等の安定性の点で溶剤系の粘着剤を好ましく用いることができる。
粘着層の形成方法としては、任意の公知の方法が適用できる。例えば粘着剤を含む溶液を調製し、ついでこれをポリエステルフィルム基材上に直接塗工し、さらに必要に応じて加熱等により乾燥させる。あるいは、一度剥離紙に塗工して乾燥させた後、これにポリエステルフィルムを貼り合わせ該ポリエステルフィルムの表面へ粘着剤を転写させる、転写法を用いても良い。塗工方法としては、例えばダイコーター法、グラビアロールコーター法等が挙げられる。
塗工する際に用いる塗布粘着剤溶液のポリエステルフィルムへの塗布は、任意の段階で行うことができる。またその塗工溶液をポリエステルフィルムに塗布する際には、必要に応じて、密着性、塗工性を向上させるための予備処理として、ポリエステルフィルムの表面にコロナ処理、プラズマ放電処理などの物理的表面処理を施すかあるいは、有機樹脂系や無機樹脂系の塗料を塗布する化学的表面処理を施すことにより、粘着剤とポリエステルフィルムの密着性を強固にすることができる。
かかる粘着剤層の厚みは1〜500μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。
片面に粘着性が付与されたポリエステルフィルムのプラスチックフィルムとの接着力は3gf〜50gf(0.0294〜0.49N)である。接着力が弱すぎる場合は巻回積層体をスリットする際にプラスチックフィルムとプロテクトフィルムとが離れやすくなり、加工工程での取り扱い方法が限られる。またスリット時に脱落するなど、異常発生の元になりやすいので好ましくない。また、接着力が強すぎる場合にはプラスチックフィルムを円盤状に打ち抜く直前のプロテクトフィルムの剥離工程でプロテクトフィルムを剥がしにくくなり、プラスチックフィルムが折れ曲がったりしてプラスチックフィルムが損傷を受け易くなるので好ましくない。また、ポリカーボネートフィルムに転移し、該フィルム上に付着する結果、光学歪みを生じたり、静電気等による異物の付着を招く恐れがある。プラスチックフィルムとの接着力は好ましくは3gf〜30gf(0.0294N〜0.294N;本件明細書の実施例ではサンプル幅25mmのものを使用しているからそれを1m幅に換算すると1.16N/m〜11.6N/m)である。
(製膜工程巻取り)
前述の如く、プラスチックフィルムの巻き取り工程でプロテクトフィルムとして例えば粘着層の付与されたポリエチレンテレフタレートフィルムを使用すればプラスチックフィルムの巻き取りを好適に行うことができる。この粘着層の付与されたポリエチレンテレフタレートフィルム端をそのロールから引き出し、離形紙や離形フィルムを剥ぎ取った後、ポリカーボネートフィルムと重ね合わせてニップロールにてニップし(ニップの線圧は例えば10kgf/1m〜2kgf/1m(98N/m〜19.6N/m)、好ましくは7〜3kgf/1m(68.9N/m〜29.4N/m)、フィルム間の空気を追い出し、皺が寄らない様に両者を共巻きする。かくして本発明の巻回積層体を製造することができる。
(巻回積層体のプラスチックフィルムの後加工)
本発明の巻回積層体は、光ディスクの製造工程上取り扱い性を高めるため、あるいはハードコート性、耐薬品性等を付与するため、プラスチックフィルムのプロテクトフィルムとは反対側の面に硬化樹脂層を設けてもよい。ゴミなどの付着を防いだりあるいはゴミを容易に除去するために、かかる層中に帯電防止剤及び/又は離形剤を含有させてもよい。
(光ディスク及びその製造方法)
本発明の巻回積層体を光ディスクの保護層に適用する場合、かかる光ディスクの構造と製造方法について述べる。
プラスチック基板の少なくとも一方に記録情報層のためのピットないしはグルーブ等の凹凸パターンが射出成型により形成されている。また、ガラス基板上に感光性樹脂法(ガラス2P法:Photo polymerization)を用いて凹凸パターンを形成してもよい。
凹凸パターン上には、再生のみ可能なROM型ないしは記録のみ可能なWORAM型、書き換え記録が可能なRAM型に応じて、アルミニウム等の反射膜、あるいは相変化材料、磁気記録材料、有機色素等の記録膜が形成されている。
その上に厚み30−100μmの上述したプラスチックフィルムが粘着層により貼り合わされて、透明保護層が形成されている。粘着層としては紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂等の液状の接着剤、ないしは感圧性粘着剤もしくは紫外線硬化性フィルムおよび紫外線硬化性粘着剤等、フィルム状の接着剤を用いることができる。接着層としては接着性があり、かつ光学的に透明なものであればよい。
紫外線硬化樹脂に代表される液状の接着剤を用いて透明保護層を形成する方法としては、図4に示すように、まずディスク基板21上に紫外線硬化樹脂22をリング状にパターン塗布し、その上にドーナツ形状に打ち抜いたプラスチックフィルム23を載せた状態でスピンコートすることで、紫外線硬化樹脂を均一に行きわたらせ、紫外線24を照射して硬化されることで形成できる。
感圧性粘着剤のようにフィルム状の接着剤を用いて透明保護層を形成する方法としては、図5に示すようにあらかじめプラスチックフィルム31と粘着剤32がラミネートされてなり、粘着剤のもう片側には剥離用ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム33が貼り合わされた基材34を用いる。これをドーナツ形状に打ち抜いた後、パッド36ないしはローラを用いてディスク基板35に貼り合わせることで透明保護層を形成する。もしくは、図6に示すように、フィルム化された粘着剤41が剥離用PETフィルム42,43に挟まれた基材をもちいて、まず、粘着剤をドーナツ形状に打ち抜き、軽剥離用PETフィルム42を除去してディスク基板44にパッド45ないしはローラを用いて貼り合わせたのち、剥離用PETフィルム43を除去したディスク基板44の接着剤41に対して、次にプラスチックフィルム46をドーナツ形状に打ち抜き、ディスク基板44にパッド47ないしはローラを用いて貼り合わせることで透明保護層を形成する。
この際、プラスチックフィルムは、巻回積層体から保護フィルムを取り除いてから接着してもよいし、透明保護層を形成した後に取り除いても良い。また、接着方法については、上記の方法に限定されるものではない。
実施例
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例における本発明の測定、効果の評価は次の方法によった。
1)フィルムの厚みの測定方法
巻回積層体からプロテクトフィルムを剥離したポリカーボネートフィルムの巻き取り方向1mで全幅分のサンプルを採取した。その幅方向(巻き取り方向と直角方向)と巻き取り方向とに10cm×10cm方眼(幅方向の端数が5cmを超える場合にはその部分も測定サンプルとした)にフィルムに区切り、この各々のほぼ中央で、その厚みを(株)ミツトヨ製のマイクロメーターを用いて測定した。そして、測定点100点の厚みの平均値を求めて、これをフィルムの厚みとして表示した。
2)フィルムの厚み斑の測定方法
上記1)のマイクロメーターによる測定方法では、測定点以外に存在する可能性のある厚み斑、例えば、細い筋状の厚みを見逃す恐れがあるため、厚み斑については、アンリツ(株)製フィルムシックネステスターKG601Aを用いて連続測定した。測定フィルムのサンプリングは次のように行った。即ち、フィルムの巻き取り方向に5cm間隔で全幅分のサンプルを連続して10枚(フィルム巻取り方向に合計50cmを)切り出した。このそれぞれの厚み分布を上記フィルムシックネステスターで測定し、記録紙に記録した。かくして記録された厚みの最大値と最小値との差(厚み範囲)を上記10枚のフィルムについて求め、この内から厚みの範囲が最大であるものをこのフィルムの厚み斑として表示した。
3)熱寸法変化率
ポリカーボネートフィルムの幅方向(フィルム幅はほぼ1mであった)3ヵ所から親サンプルを採取した。そして、更にこの各親サンプルより熱寸法変化率測定用サンプル10個ずつ、計30個作成した。熱寸法変化測定用サンプルの大きさは、各親サンプルよりの10個のサンプルの内5個についてはフィルムの巻き取り方向を150mm、それに直角な方向を10mmとし、残りの5個についてはフィルムの巻き取り方向を10mm、それに直角な方向を150mmとした。それぞれのサンプルについて150mm長さ方向に熱寸法変化率測定のための標点を100mm間隔で印した。かくして、フィルムの巻き取り方向15点、それに直角方向(幅方向)に15点の測定用サンプルを用意した。
測定サンプルを140℃の恒温槽にて無荷重下で1時間処理した後、室温に取り出し冷却してから、標点間隔を測定した。寸法の測定は、恒温恒湿下、23℃、65%RHの条件下で、読取り顕微鏡を用いて実施した。寸法の変化率は140℃熱処理前後の寸法から次のように求めた。
熱寸法変化率={(処理前の寸法)−(処理後の寸法)}/(処理前の寸法)×100%。
4)全光線透過率
この測定方法はJIS K7105及びASTM D1003に対応する。
ポリカーボネートフィルムの幅方向3ヵ所からサンプルを採取した(フィルム幅はほぼ1mであった)。サンプルの全光線透過率を日本電色工業(株)製の色差・濁度測定器COH−300Aを用いて測定した。各サンプルについて5点測定し、幅方向3サンプルについての計15点の平均値を全光線透過率とした。この測定はJISK7105に準ずるものである。
5)ポリカーボネートフィルム中の含有溶媒量の測定
溶媒を含有したフィルム約5gを採取し、170℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させた後室温まで冷却した。その際、当該乾燥前後の重量を化学天秤で精秤し、その変化率を求めた。これにより固形分基準の溶媒含有量を求めた。具体的には、フィルム(幅は約1m)を幅方向に5等分して測定した。そしてこれを3回、別々の幅方向について実施し、その平均値を求める方法によった。当該乾燥前の重量をa、乾燥冷却後の重量をbとした場合、固形分基準の溶媒含有量の個々の測定値は、次式で表すことができる。
{(a−b)/b}×100%
6)面内レターデーション値 Re.の測定
ポリカーボネートフィルムの全幅1mで巻き取り方向の長さ40mmの短冊状サンプルを、巻き取り方向に3箇所、50cm間隔で採取した。この短冊状フィルムを40mm間隔に切って40mm平方の測定用サンプルを作成した。即ち、フィルム全幅方向の長さ1000mmから25個、短冊状サンプルが3個あるので、全部で75個の測定用サンプルを得た。これらのサンプルについて面内レターデーション値Re.を測定した。数値の表示はRe.値の範囲とし、その最小値〜最大値として表示した。王子計測機器(株)製の複屈折率測定器である商品名KOBRA−21ADHを使用して、光線をフィルム面に垂直方向に入射し面内レターデーションRe.値を測定した。
7)厚み方向のレターデーション値Kの測定
上記6)項の測定と同様にサンプリングしKOBRA−21ADHで測定した。ポリカーボネートフィルムサンプルをその遅相軸または進相軸で回転させて入射角度を変えてレターデーションを測定し、これらのデータから屈折率n、n並びにnを計算した。更にこれらの値から K値=((n+n)/2−n)×d(単位nm)を計算した。ここで、nは巻取り方向の屈折率を、nは巻取り方向に直交する方向の屈折率を、nは厚み方向の屈折率を表し、dは測定フィルムの厚みを表す。なお、K値の単位は上記の計算のときはμmで算出されるが、これを表示するときにはnm単位に換算している。本明細書においてK値の最大値とはそれらの中で最大値を意味する。
8)支持体の中心線平均表面粗さ(Ra)の測定
中心線平均表面粗さ(Ra)とはJIS−B0601で定義される値であり、本願明細書における数値は、(株)小坂研究所の接触式表面粗さ計(Surfcorder、SE−30C)を用いて測定した。
Raの測定条件は下記のとおりであった。
触針先端半径:2μm
測定の圧力:30mg
カットオフ:0.08mm
測定長:1.0mm
上記3)の親サンプルと同様にして、フィルムの全幅方向3箇所についてサンプリングし測定に用いた。同一試料について5回繰り返し測定し、その測定値(μm単位による小数点以下4桁目までの値)について、最も大きな値を一つ除き、残りの4つのデータを得、全3箇所のデータである12個の値の平均値の小数点以下5桁目を四捨五入して、少数点以下4桁目までをnm単位で示した。
9)プロテクトフィルムの接着強度の測定方法
この測定方法はJIS Z0237に準ずるものである。
ポリカーボネートよりなるプラスチックフィルムと粘着剤を塗布したポリエステルフィルムとを室温下でローラーで押し付けて貼りあわせ積層シートを作成した。押し付けの線圧は5kgf/1mになるように調整した。この積層シートから幅25mm、長さ150mmの短冊状のサンプルを切り出した。測定には小型のテンシロンを用いて、ポリカーボネートフィルムの一端と、ポリエステルフィルムの一端をチャックに固定し、180度ピール法で剥離強さを測定した。剥離の速度は300mm/min.とした。
10)フィルム保護層の平坦性(光学的歪み)の評価方法
まず、評価に用いる光ディスク基板の作成方法について述べる。
直径12cmのポリカーボネート製もしくはガラス製の光ディスク基板の表面に反射膜層としてスパッタリング法によりアルミニウム膜を形成し、この反射膜上にポリカーボネートフィルムを紫外線硬化樹脂を用いて貼りあわせて光透過層とした。具体的には、光ディスクのアルミニウム面上に、紫外線硬化樹脂をリング状にパターン塗布し、外形118mm、内径22.8mmで打ち抜いたポリカーボネートフィルムを載せて、スピンコート(例えば5000rpm 30sec)することで紫外線硬化樹脂が均一な膜厚となるようにした。その後紫外線を照射することで貼りあわせた。
平坦性の評価の方法としては、光ディスクをドライブ装置にかけ、光ディスクを回転させた状態で、光透過層(透明保護層)を通してアルミニウム反射膜面に対して、フォーカスサーボをかけ、その際のフォーカスエラー信号の振幅を比較した。ポリカーボネートフィルムの平坦性が悪い(光学的歪みが大きい)場合には、その光路長が変化することからエラー信号の振幅が増大することになる。フォーカスエラーの起こる要因としては、光ディスク基板自体の面のうねり、スピンドルモーターの振動等があり、サーボ特性の影響を受けるため、比較は同一基板、同一ドライブ装置にて行なった。さらにエラー信号はハイパスフィルター(HPF)を用いて、1〜4KHz以上の周波数成分を取り出すことで、より明確にポリカーボネートフィルムの平坦性の違いを比較することが可能であった。
〔実施例1及び比較例1〕
芳香族ポリカーボネート樹脂ペレット(帝人化成(株)製の商品名「パンライト(登録商標グレードC−1400QJ)」)、粘度平均分子量38,000を120℃で16時間熱風乾燥し、次いで減湿空気により30℃まで冷却した。この芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットをメチレンクロライド溶媒に溶解させ、18重量%の溶液を準備した。この溶液をフィルターに通し異物を除去した。更にこの溶液の温度を15±0.5℃に調節して1200mm幅のコートハンガーダイに導入し、続いて、約450μmの液膜として上記支持体上に流延した。流延を開始する直前の支持体の温度(表面温度)を9℃に設定した。流延されたフィルムを次のようにして乾燥した。
(第1区画)乾燥の初期段階においては支持体裏面に30℃の温風を吹きつけて加熱し、フィルムの雰囲気温度を20℃としてフィルムの変形(レベリング不良)が起こらないように注意して乾燥させた。(溶液キャストの場合、キャスト直後の状態は溶液の膜、即ち液膜と呼ぶのが実際に近いが、ここではフィルムと呼ぶことにする)。
(第2区画)ついで、温風吹きつけにより、雰囲気温度を45℃とし、フィルム中の塩化メチレン濃度が35重量%程度になるまで乾燥した。
(第3区画)ついで、温風吹きつけにより、雰囲気温度が50℃で乾燥し、フィルム中の溶媒量を25重量%とした。
(第4区画)この区画において、55℃の雰囲気温度で乾燥した。この時のフィルム中の溶媒量を20重量%とした。
(第5区画)この区画において、ポリカーボネートフィルムを支持体と共に15℃の雰囲気で冷却した。この工程の終了点におけるフィルム中の溶媒量は18重量%であった。
次に、上記フィルムを支持体より剥離した。剥離したフィルムを更にピンテンター方式の乾燥機に送り込み乾燥しつつ搬送した。
ピンテンターにおいてはフィルムの両端部をピンで把持してポリカーボネートフィルムを搬送させた。ピンテンターの各ゾーンが6つのゾーンに分割された方式のものを用いた。ピンテンター中においては、入口からポリカーボネートフィルムの乾燥が進み、それにしたがって幅が収縮するので、この幅の収縮に合わせてピンテンターのレール幅も狭めるようにして乾燥させた。すなわち、ピンテンター工程の後半になるに従って熱風温度を上昇させポリカーボネートフィルムの乾燥を促進させた。この際ポリカーボネートフィルムの分子配向が極力起こらないように、面内レターデーション値が極力増大しないように、ピンテンターのレール幅を設定するようにした。前半の熱風温度を90℃、110℃、120℃とし、中間の4、5ゾーンの温度を130℃として、この5ゾーン部でポリカーボネートフィルムをピン突き刺し部から切り離した。更に6ゾーンで135℃の熱風温度とした。ピンテンターの出口において、ほぼ室温下で、ポリカーボネートフィルムの引取り張力を5kgf/1m幅として引取った。さらに引続き、ロール懸垂型の乾燥機へ通膜した。このロール懸垂型乾燥機は2つの部屋に分割し、前部の熱風温度を135℃、後部の熱風温度を145℃として、引取り張力を1.5kgf/1m幅(14.7N/m)として引取った。得られたフィルムの幅は1.0mであった。
かくして得られたポリカーボネートフィルムの特性は下記のとおりであった。
ポリカーボネートフィルムは、厚みが75μm、厚み斑が1.0μmであった。熱寸法変化率が0.06%、全光線透過率が90%、含有溶媒量が0.25%、面内レターデーション値が4〜10nm、表面粗さRa.が両面1.8nm、K値の最大値が78nmであった。さらに得られたポリカーボネートフィルムをワインダーで巻き取り直前に20μmの厚みのポリエチレンテレフタレート二軸延伸フィルム(ヤング率、縦横共に530kg/mm(5197MPa)、表面粗さRa.が両面共25nm(ポリエステルには、平均粒径0.6μmの滑材を0.25重量%添加してフィルムの表面粗さRa.を調整した))に粘着層を付与したプロテクトフィルムの粘着層と重ねて線圧5kgf/1m(49N/m)でニップし、500mの長さにロール状に巻き取って巻回積層体を形成した。ポリカーボネートフィルムとプロテクトフィルムとの接着強度は9.8gf(0.096N,サンプル幅25mmを1mに換算すると3.84N/m)であった。
ここで粘着層は次のようにして形成した。ポリエチレンテレフタレート二軸延伸フィルムの一方の面に、まずコロナ処理を実施した。ついでアクリル系粘着剤として、主モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート、コモノマーとしてメチルアクリレート、官能基含有モノマーとしてヒドロキシエチルメタクリレートを3:1:1の比で、酢酸エチルの溶剤下で反応触媒としてアゾビスイソブチロニトリルを用い、公知の方法により溶液重合し、粘着剤用ポリマーを調整した。この粘着剤用ポリマーにTDI系イソシアネート架橋剤を添加し、後述の方法で作成した剥離紙の離形層上に、乾燥後の厚みが10μmになるように塗布することにより粘着層を形成した。ついで、該粘着層を、上記のポリエチレンテレフタレート二軸延伸フィルムのコロナ処理を行なった面と貼り合わせ、転写法によってポリエチレンテレフタレート二軸延伸フィルムに粘着層を形成した。剥離紙としては、38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに硬化型シリコーンからなる離形層を厚さ0.1μmで形成したものを用いた。
この巻回積層体を室温に6ヶ月間保存してのち、フィルムの平坦性評価を行った。すなわち、巻回積層体からフィルムを巻き戻し、スリットした。幅1mの親巻回積層体から170mm幅の巻回積層体を5本作製した。5本のうち、幅方向の中央部と両端のロールについてその表層と巻芯から250mの部分と巻芯部からサンプルを取った。サンプルはフィルムの幅方向3ヶ所から切り出し、合計9個を用いた。これらのサンプルは円盤状に打ち抜き、アルミ付ガラス基板に紫外線硬化樹脂で貼り合わせ、評価用ディスクを作製した。
以上のようにして得られた光透過層付の光ディスク基板を用いて、実際にフォーカス取れ残りの測定を行った。ディスクを線速度7.9m/sで回転させた状態で、フォーカスをかけ、取り出したフォーカスエラー信号に対して4kHzのハイパスフィルター(HPF)を通過させ、高域の取れ残り成分のみを取り出した。レンズのNAは0.85、レーザ波長は405nmを用いた。
以下に高域の取れ残り信号の最大振幅値を示す。また、比較のためにプロテクトフィルムとしてポリエチレン/ポリ酢酸ビニルを用いた巻回積層体の巻芯部中央についても測定を行った。
Figure 0003923044
これより、表層、中間層、巻芯部から作成した実施例1の全てのフィルムサンプルにおいて、光学的な歪み量に変化がなく、極めて良好な特性が維持できることがわかる。また、比較例1においてはフォーカスエラーが著しく大きくなり、光学的な歪み量が大きくなり、特性も不良化することがわかった。
産業上の利用可能性
本発明によると、高度に平坦性に優れ、光学歪みがほとんどなく、光学的に均質性が良好な巻回積層体を提供できる。該ポリカーボネートフィルムを高密度の光ディスク用の透明保護層として用いれば実質的な光学歪みを発生させず、簡便で工業的に生産性の高い情報記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
図1は膜面入射方式の光ディスク及び記録再生方法の概略説明図である。
図2は巻回積層体を構成するフィルムの断面概略図である。
図3は巻回積層体を製造する方法を示す。
図4は液状の接着剤を用いる場合の透明保護層の作成方法を示す。
図5及び図6はフィルム状の接着剤を用いる場合の透明保護層の作成方法を示す。

Claims (11)

  1. ビスフェノールAを芳香族ジヒドロキシ成分とする芳香族ポリカーボネートよりなるプラスチックフィルムと、芳香族ポリエステルからなるプロテクトフィルムとを、その間に接着強度が3gf〜50gf(0.0294〜0.49N)の弱粘着性の接着剤を用いて積層し、巻き上げたことを特徴とする巻回積層体。
  2. プラスチックフィルムが、厚み斑が4μm以下、熱寸法変化率が0.07%以下、面内レターデーション値が15nm以下である請求項1記載の巻回積層体。
  3. プロテクトフィルムがポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートからなりかつヤング率が450kgf/mm2(4413MPa)以上であるポリエステルである請求項1又は2記載の巻回積層体。
  4. プラスチックフィルムが、厚みが30〜100μm、全光線透過率が90%以上、残留溶媒量が0.3重量%以下、厚み方向のレターデーション値(K値)が100nm以下、表面粗さRaが両面共に5.0nm以下である請求項2又は3記載の巻回積層体。
  5. プラスチックフィルムが溶液キャスト法により製膜されたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の巻回積層体。
  6. 光ディスクの透明保護層形成用である請求項1〜5のいずれかに記載の巻回積層体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の巻回積層体を膜面入射方式光ディスクの透明保護層形成用に使用することを特徴とする光ディスクの製造方法。
  8. 前記巻回積層体からディスク状積層フィルムを打ち抜く工程と、ディスク状積層フィルムを構成するプラスチックフィルムと光ディスク基板を接着する工程を含む請求項7記載の光ディスクの製造方法。
  9. 前記ディスク状積層フィルムからプロテクトフィルムを剥離してから、プラスチックフィルムを光ディスク基板に接着する、請求項8記載の光ディスクの製造方法。
  10. ディスク状積層フィルムを構成するプラスチックフィルムと光ディスク基板を接着した後に、前記ディスク状積層フィルムからプロテクトフィルムを剥離する、請求項8記載の光ディスクの製造方法。
  11. プラスチックフィルムと光ディスク基板との接着を、液状接着剤又はフィルム状接着剤を用いて行う、請求項7〜10のいずれか1項に記載の光ディスクの製造方法。
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