JP4429121B2 - 光情報記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は光情報記録媒体に関し、特にヒートモード型の光情報記録媒体に関する。
文字情報、画像情報、音声情報を大量に記録・再生する高密度光情報記録媒体(DVD)に対する要請は増大しつつある。特にデジタル・ハイ・ビジョンTV放送の録画に対応するため、一層の高密度記録化の研究がなされている。その中で青紫色レーザーが発売されて以来、この青紫色レーザーと高NAピックアップとを使用した光ディスクシステムの開発が検討されている。ISOM2000では、SONY(株)により青紫色レーザーを使用した相変化媒体であるDVR−Blueシステムが発表された。
DVR−Blueシステムの層構成の特徴としては、(1)レーザー入射側にカバー層と呼ばれる0.1mmの透明層が設けられていること、(2)高NAピックアップを使用しているためピックアップとディスク表面との間の距離が短く、ディスクの面ブレによりピックアップがディスク表面にあたり透明層の表面を傷付けやすいことがある。
厚さ0.1mmの透明層を形成する方法として、紫外線硬化樹脂、感圧性粘着剤による接着層を介して透明なシートを貼り合わせる方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。また、ディスク表面の傷付き防止のためにディスク表面にハードコート層、傷つき防止層を設けることも提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
しかし、一般にハードコート層を設けただけでは傷付きの防止にはなるが、ゴミの付着や汚れ防止には効果がなく、ハードコート層の種類によっては帯電性や吸水性が増加し、ゴミや汚れがつき易くなるという問題があった。ハードコート層の表面についたゴミや汚れは情報の記録、再生を不可能とするエラーを引き起こす原因となる。特に、レーザ光を透過する透明層が0.1mmと薄いと、当該透明層に付着した汚れによる影響は顕著となる。
特開2000−285520号公報 特開2000−67468号公報 特許第3112467号公報
以上から、本発明は上記従来からの課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、ハードコート層の表面にゴミや汚れが付着しにくく、安定な情報記録・再生ができる光情報記録媒体を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、本発明者は、下記本発明により当該課題が解決されることを見出した。
すなわち、本発明は、基板上に、記録層、光透過層、ハードコート層が設けられてなる光情報記録媒体であって、
前記ハードコート層中に、少なくとも、Siを含有する添加剤と、Si含有粒子とを含有し、
前記ハードコート層表面をX線光電子分光法で測定した際のSiのピーク強度と、Cのピーク強度との比(Si/C)surfaceが0.1〜1.5であり、
前記X線光電子分光法で(Si/C)surfaceを測定した後、前記ハードコート層に対して、Aイオンビームによるスパッタエッチング(12keV)を5〜500秒間の範囲で行い、エッチング深さが10nmまで達した時のエッチングされた表面におけるSiのピーク強度と、Cのピーク強度との比(Si/C)Arが、前記(Si/C)surfaceの1/20以上であること特徴とする光情報記録媒体である。
本発明の光情報記録媒体は、前記添加剤中のSi含有量が20〜35質量%であることが好ましい。
また、本発明の光情報記録媒体は、前記(Si/C)Arが前記(Si/C)surfaceの1/12以上2/3以下であることが好ましい。
更に、本発明の光情報記録媒体は、ハードコート層が、ケイ素原子を含有し、かつ、活性エネルギーで重合する基を有する硬化性樹脂を含有する硬化性組成物に、活性エネルギーを照射して該硬化性組成物を硬化させることで形成されたものであることが好ましい。
本発明の光情報記録媒体は、ハードコート層の表面にゴミや汚れが付着しにくく、耐傷性に優れ、安定な情報記録・再生を実現することができる。
本発明の光情報記録媒体は、基板上に、記録層、光透過層、ハードコート層が設けられ、ハードコート層中に、少なくとも、Siを含有する添加剤と、Si含有粒子とを含有している。これらを含有することで、ハードコート層の表面にゴミや汚れが付着することを防止することが可能となる。特に、Si含有粒子を含ませることで、耐収縮性を維持しながら高い耐傷性を維持とすることができる。
また、ハードコート層表面をX線光電子分光法で測定した際のSiのピーク強度と、Cのピーク強度との比(Si/C)surfaceが0.1〜1.5となっている。このように、ハードコート層表面のSiの存在比率を制御することで、防汚性だけでなく、表面の硬度を良好なものとすることができる。(Si/C)surfaceが0.1未満では、表面おけるSiの量が減少するため、十分な防汚性が得られない。また、(Si/C)surfaceが1.5を超えるとハードコート層の表面が可塑化するために表面の硬度が低下してしまう。
(Si/C)surfaceは、0.3〜1.0であることが好ましく、0.5〜0.8であることがより好ましい。
(Si/C)surfaceを0.1〜1.5とするには、添加剤中のSi含有量を20〜35質量%とすればよい。また、ハードコート層を形成する際の溶剤として、比較的低沸点で揮発性の高い溶剤を使用したり、乾燥時の温度を調整して、上記表面組成を制御してもよい。
また、X線光電子分光法で(Si/C)surfaceを測定した後、ハードコート層に対してArイオンビームによるスパッタエッチング(12keV)を5〜500秒間の範囲でい、エッチングが深さ10nmまで達した時エッチングされた表面におけるSiのピーク強度と、Cのピーク強度との比(Si/C)Arが、前記(Si/C)surfaceの1/20以上であることを必須とする。スパッタエッチング(12keV)を5〜500秒間とすることで、ハードコート層表面から1〜100nm程度の深さの組成を確認することができるが、本発明においては、深さ10nmまでエッチングした後のハードコート層表面の組成を確認した。
上記(Si/C)surfaceの1/20以上であると、防汚効果の持続性が保たれることと、添加剤の表面のハジキがなくなるといった効果が発揮される。(Si/C)Arは、(Si/C)surfaceの1/10〜1/5であることが好ましい。
(Si/C)Arを、(Si/C)surfaceの1/20以上とするには、ハードコート層に使用する樹脂と同様に、使用する添加剤に放射線硬化型の官能基を持たせたり、ハードコート層に使用する樹脂と添加剤とに同一構造の置換基を持たせ、上記樹脂との親和性をよくすればよい。
X線光電子分光法(ESCA)による(Si/C)Arおよび(Si/C)surfaceの測定は、例えば、(株)島津製作所製のESCA−3400を使用し、以下の条件で行うことができる。
(1)照射X線・・・モノクロAl/Kα,12kV,10mA
(2)測定スペクトル・・・Cの1sピーク、Siの2pピーク
(3)試料チャンバー内真空度・・・1×10-8Torr
(4)スパッタエッチングを行う場合のAr+イオンビームの出力および時間・・・12keV),5〜500秒間(好ましくは、50秒間)
ハードコート層は、光情報記録媒体の光透過層上や、記録層等が形成されていない側の基板上に、添加剤含有ハードコート層塗布液を塗布し、硬化して形成される。
添加剤含有ハードコート層塗布液は、少なくとも、ハードコート層を形成するための硬化性組成物と、ケイ素原子を含有しかつ重合する基を有する硬化性樹脂(例えば、防汚剤)と、Si含有粒子と、を混合させて調製することができる。硬化方法は活性エネルギー線重合であっても熱重合であってもかまわないが、生産性の観点から活性エネルギー線重合が好ましい。
以下、ハードコート層の詳細について説明する。
当該ハードコード層の表面の鉛筆硬度はB以上であることが好ましく、H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましい。
さらに表面の水に対する接触角は、防汚性の観点から、好ましくは90度以上であり、より好ましくは97度以上である。また上限としては150度が好ましく、130度がより好ましい。
ケイ素原子を含有し、活性エネルギー線(例えば、放射線)で重合する基を有する添加剤としての硬化性樹脂は、活性エネルギー線で重合する公知のケイ素硬化性樹脂、ケイ素原子を含有する骨格を有する硬化性樹脂(例えば、実施例で使用している化合物)が用いられる。防汚性をさらに向上させる観点から、フッ素硬化性樹脂やフッ素原子を含有する骨格を有する硬化樹脂を併用してもよい。
さらにハードコート層を主として構成する硬化した樹脂あるいは該樹脂に分散した金属酸化物等と相溶性の良い骨格と、ケイ素原子を含有する骨格とを有する活性エネルギー線重合性樹脂が好ましく挙げられる。
このような硬化性樹脂を硬化することで、ハードコート層表面にケイ素を存在させることができる。
ハードコート層に用いられる、添加剤としての上記硬化性樹脂の具体的な例としては、ケイ素原子を含有するモノマー、あるいはケイ素原子を含むモノマーの共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体にアクリル基を含有させたポリマーが挙げられる。また、フッ素を含有する硬化樹脂を併用する場合は、上記ケイ素の場合と同様に、フッ素を含有するモノマーを使用することができる。
ケイ素含有モノマーとしては、ポリジメチルシロキサンと(メタ)アクリル酸等の反応によるシロキサン基を有するモノマーが挙げられる。末端(メタ)アクリレートのシロキサン化合物の具体例としては、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−2404、X−22−174D、X−22−8201、X−22−2426(以上、信越化学工業(株)製)、UMS182(チッソ(株)製)などが挙げられる。
また、フッ素含有モノマーとしては、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタデ力フルオロデシルアクリレート、パーフルオロアルキルスルホンアミドエチルアクリレート、パーフルオロアルキルアミドエチルアクリレート等に代表されるパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
具体的には、2−パーフルオロオクチルエチルメタアクリレート、2―パーフルオロオクチルエチルアクリレート(日本メクトロン(株)製)、M−3633、M−3833、R−3633、R−3833等のアクリレート化合物((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、AFC−1000、AFC−2000、FA−16等(共栄社化学(株)製)、メガファック531A(大日本インキ(株)製)などの重合性基を含有する化合物が挙げられる。
フッ素を含有する共重合体としては、主鎖が炭素原子のみからなり、かつ、含フッ素ビニルモノマー重合単位と側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位とを含んでなる共重合体があり、具体的には下記一般式(1)で表される共重合体が挙げられる。
Figure 0004429121
(一般式(1)中、Mfは含フッ素ビニルモノマー、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、mは0または1を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。x’、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し30≦x’≦60、40≦y≦80、0≦z≦65を満たす値を表す。)
一般式(1)におけるMfで表される含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やM−2020(商品名、ダイキン製)等)、パーフルオロアルキルスルホン酸メタアクリルアミド、完全または部分フッ素化ビニルエチル類等が挙げられるが、パーフルオロオレフィン類が好ましく、溶解性、透明性、入手性等の観点からはヘキサフルオロプロピレンが特に好ましい。
共重合体は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位を必須の構成成分として有する。共重合体への(メタ)アクリロイル基の導入法は特に限定されるものではないが、例えば、(1)水酸基、アミノ基等の求核基を有するポリマーを合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法、(2)上記求核基を有するポリマーに、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(3)上記求核基を有するポリマーにメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(4)エポキシ基を有するポリマーを合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(5)カルボキシル基を有するポリマーにグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(6)3−クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法などが挙げられる。これらの中で特に水酸基を含有するポリマーに対して(1)または(2)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入することが好ましい。
これらの(メタ)アクリロイル基含有重合単位の組成比を高めれば皮膜強度は向上し、含フッ素ビニルモノマー重合単位の種類によっても異なるが、一般に(メタ)アクリロイル基含有重合単位は40〜80モル%を占めることが好ましく、45〜75モル%を占めることがより好ましく、50〜70モル%を占めることが特に好ましい。
有用な共重合体では上記含フッ素ビニルモノマー重合単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位以外に、一般式(1)におけるAで表される任意のビニルモノマー単位を含有する。ビニルモノマーは、フイルムへの密着性、ポリマーのTgの調整(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から選ばれ、適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には、特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル等)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和力ルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロへキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
好ましくはビニルエチル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエチル誘導体である。
一般式(1)中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連絡基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。
好ましい例としては、*−(CH22−O−***−(CH22−NH−***−(CH24−O−***−(CH26−O−***−(CH22−O−(CH22−O−**,−CONH−(CH23−O−***−CH2CH(OH)CH2−O−**−CH2CH2OCONH(CH23−O−**(「*」はポリマー主鎖側の連絡部位を表し、「**」は(メタ)アクリロイル基側の連絡部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表す。
一般式(1)中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
x’、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x’≦60、40≦y≦80、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x’≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x’≦55、50≦y≦70、0≦z≦10の場合である。
活性エネルギー線の照射により重合する基は、例えばアクリル基等のラジカル重合性の二重結合やエポキシ基等のカチオン重合性基を導入することによって付与される。これら硬化性組成物に含まれるフッ素、ケイ素と活性エネルギー線重合性基を有する化合物の含有量は全硬化性樹脂の0.001〜0.2質量%が好ましく、0.005〜0.15質量%がより好ましい。
また、Si含有粒子としては、SiN、SiC、SiO、SiO2等が挙げられ、耐傷性の向上の観点から、SiO2を使用することが好ましい。ハードコート層中のSi含有粒子の含有量は、30〜50質量%であることが好ましく、35〜45質量%であることがより好ましい。Si含有粒子の体積平均粒径は、5〜50nmであることが好ましく、10〜30nmであることがより好ましい。
ハードコート層が耐擦傷性に優れるためには、ハードコート層の硬度がある程度大きいことが好ましい。硬度の観点から、ハードコート層の表面弾性率は4.0GPa程度以上が好ましく、より好ましくは4.5GPa以上である。表面弾性率が4.0GPa以上であると、十分な鉛筆硬度及び耐擦傷性が得られる。なお、上記の表面弾性率をユニバーサル硬度で表すと、その値は250N/mm2程度以上が好ましく、より好ましくは300N/mm2以上である。
無機微粒子を添加することにより、表面弾性率を上げることができる。無機微粒子の添加量を増やすと脆性が悪くなるので、表面弾性率の上限は、10GPa、好ましくは9.0GPaである。従って、好ましい表面弾性率の範囲は、4.0〜10GPaであり、特に好ましくは4.5〜9.0GPaである。
上記表面弾性率は、微小表面硬度計((株)フイッシャー・インスツルメンツ製:フイッシャースコープH100VP―HCU)を用いて求めた値である。具体的には、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、除荷重時の荷重と変位の変化から求められる弾性率である。
また、前述の微小表面硬度計を用いて表面硬度をユニバーサル硬度として求めることもできる。ユニバーサル硬度は四角錐圧子の試験荷重下での押し込み深さを測定し、試験荷重をその試験荷重で生じた圧痕の幾何学的形状から計算される圧痕の表面積で割った値である。
上記の表面弾性率とユニバーサル硬度の間には、正の相関を有することが知られている。
ハードコート層の厚みは、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がさらに好ましい。ハードコート層の厚みをあまり厚くすると鉛筆硬度は向上するが、フイルムを曲げることが難しくなり、さらに曲げによる割れが発生しやすくなることから、ハードコート層の厚みは20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。従って、ハードコート層の厚みは、好ましくは0.1〜20μmであり、より好ましくは1〜10μmである。
ハードコート層は、単層でも複数層から構成されていてもよいが、製造工程上簡便な単層であることが好ましい。この場合の単層とは、同一の硬化性組成物から硬化形成されたハードコート層を指し、塗布、乾燥後の組成が、同一組成のものであれば、複数回の塗布後、硬化して形成されていてもよい。一方、複数層とは組成の異なる複数の硬化性組成物から硬化、形成された層を指す。
ハードコート層は、活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性組成物を塗布後、活性エネルギー線の照射により硬化して形成される。該硬化性組成物の活性エネルギー線照射による硬化収縮率は、0〜15%、好ましくは0〜13%、より好ましくは0〜11%である。
上記硬化収縮率は、用いた活性エネルギー線、例えばUV光の照射前の硬化性組成物の密度と照射硬化後の硬化性組成物の密度を求め、その値から下記数式Aで計算して求めた値である。なお、密度はマイクロメトリック社製MULTIVOLUME PYCNOMETERで測定(25℃)した値である。
数式A:体積収縮率(%)={1−(硬化前密度/硬化後密度)}×100
ハードコート層を形成するための硬化性組成物は、前記した添加剤としての硬化性樹脂とは異なり、活性エネルギー線や熱によって硬化する硬化性樹脂(以下、添加剤の場合との混同を避けるため、「硬化樹脂」という)を主成分として含有する。ハードコート層を形成するための硬化性組成物(以下、単に「硬化性組成物」とも称する。)は、該硬化樹脂として、開環重合性基を有する硬化樹脂および/またはエチレン性不飽和基を同一分子内に3個以上有する硬化樹脂を含有することが好ましく、これら2種の硬化樹脂のいずれをも含有することがより好ましい。このことによって、ハードコート層の表面硬度が高くなり、耐擦傷性に優れたハードコートフイルムが得られる。同時に、体積収縮率が上記した範囲を満たし、硬化後のカールが小さくなり、諸取り扱い時のひび割れが発生しにくくなる。さらに、ハードコート層の膜厚を一定の膜厚にすることによって、上記の効果がさらに顕著となる。
以下、好ましく用いられる開環重合性基を含む硬化樹脂について説明する。
開環重合性基を含む硬化樹脂とは、カチオン、アニオン、ラジカルなどの作用により開環重合が進行する環構造を有する硬化樹脂であり、この中でもヘテロ環状基含有硬化樹脂が好ましい。このような硬化樹脂としてエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエチル類などが挙げられ、特にエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、オキサゾリン誘導体が好ましい。
開環重合性基を有する硬化樹脂は、同一分子内に2個以上の開環重合性基を有することが好ましいが、より好ましくは3個以上有することが好ましい。また、本発明において、開環重合性基を有する硬化樹脂を2種以上を組み合わせて併用してもよい。この場合、同一分子内に開環重合性基を1個有する硬化樹脂と同一分子内に開環重合性基を2個以上有する硬化樹脂とを組み合わせてもよく、また同一分子内に開環重合性基を2個以上有する硬化樹脂のみを2種以上組み合わせてもよい。
ここで言う開環重合性基を有する硬化樹脂とは、上記のような環状構造を有する硬化樹脂であれば特に制限がない。このような硬化樹脂の好ましい例としては、単官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、2官能脂環式エポキシ類、ジグリシジルエーテル類(例えばグリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル)、3官能以上のグリシジルエーテル類(トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエチル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリス(グリシジルオキシエチル)イソシアヌレートなど)、4官能以上のグリシジルエーテル類(ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど)、脂環式エポキシ類(セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401(以上、ダイセル化学工業(株)製))、EHPE(ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロへキシルエポキシメチルエーテルなど)、オキセタン類(OX―SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)など)などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
開環重合性基を有する硬化樹脂として、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーを含有していることが特に好ましい。以下にこれら架橋性ポリマーについて詳細に説明する。
Figure 0004429121
一般式(2)中、R1は水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
1は、単結合または二価以上の連結基であり、好ましくは単結合、―O―、アルキレン基、アリーレン基および「*」側で主鎖に連絡する、*−COO−、*−CONH−、*−OCO−、*−NHCO−、である。
1は、一価の開環重合性基または開環重合性基を有する一価の基であり、好ましいP1としては、エポキシ環、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、ラクトン環、カーボネート環、オキサプリン環などのイミノエチル環などを有する一価の基が挙げられ、これらの中でも特に好ましくはエポキシ環、オキセタン環、オキサゾリン環を有する一価の基である。
一般式(2)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは、対応するモノマーを重合させて合成することが簡便で好ましい。この場合の重合反応としてはラジカル重合が最も簡便で好ましい。
以下に一般式(2)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004429121
Figure 0004429121
Figure 0004429121
本発明において、一般式(2)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは複数種の一般式(2)で表される繰り返し単位で構成されたコポリマーであってもよく、また、一般式(2)以外の繰り返し単位(例えば開環重合性基を含まない繰り返し単位)を含んだコポリマーでもよい。特に架橋性ポリマーのTgや親疎水性をコントロールしたい場合や、架橋性ポリマーの開環重合性基の含有量をコントロールする目的で一般式(2)以外の繰り返し単位を含有するコポリマーとする手法は好適である。一般式(2)以外の繰り返し単位の導入方法は、対応するモノマーを共重合させて導入する手法が好ましい。
一般式(2)以外の繰り返し単位を、対応するビニルモノマーを重合することによって導入する場合、好ましく用いられるモノマーとしては、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸など)類から誘導されるエステル類(例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、1−プロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メチル−2−ニトロプロピルアクリレー卜、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ペンチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシメトキシエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2−ジメチルブチルアクリレート、
3−メトキシブチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、3−ペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、セチルアクリレート、ベンジルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、4−メチル−2−プロピルペンチルアクリレート、ヘプタデ力フルオロデシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート、メチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、
1−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ヘプタデ力フルオロデシルメタクリレート、n−オクタデシルメタクリレート、2−イソボルニルメタクリレート、2−ノルボルニルメチルメタクリレート、5−ノルボルネン−2−イルメチルメタクリレート、3−メチル−2−ノルボルニルメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなど)、
アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸など)類から誘導されるアミド類(例えば、N−i−プロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド)、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸など)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニル)、マレイン酸またはフマル酸から誘導されるエステル類(マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチルなど)、マレイミド類(N−フェニルマレイミドなど)、マレイン酸、フマル酸、p−スチレンスルホン酸のナトリウム塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジエン類(例えばブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレン)、芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、p−クロルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム)、N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルサクシンイミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、1−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエチル類(例えばメチルビニルエチル)、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等が挙げられる。
これらのビニルモノマーは2種類以上組み合わせて使用してもよい。これら以外のビニルモノマーはリサーチディスクロージャーNo.19551(1980年、7月)に記載されているものを使用することができる。
なかでも、アクリル酸またはメタクリル酸から誘導されるエステル類およびアミド類、ならびに芳香族ビニル化合物が特に好ましく用いられる。
一般式(2)以外の繰り返し単位として、開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位も導入することができる。特に、ハードコート層の硬度を高めたい場合や、ハードコート層上に別の機能層を用いる場合の層間の接着性を改良したい場合、開環重合性基以外の反応性基を含むコポリマーとする手法が好適である。開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位の導入方法は対応するビニルモノマー(以下、反応性モノマーと称する)を共重合する手法が簡便で好ましい。
以下に反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ヒドロキシル基含有ビニルモノマー(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなど)、イソシアネート基含有ビニルモノマー(例えば、イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチルメタクリレートなど)、N−メチロール基含有ビニルモノマー(例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど)、カルボキシル基含有ビニルモノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、カルボキシエチルアクリレート、安息香酸ビニル)、アルキルハライド含有ビニルモノマー(例えばクロロメチルスチレン、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート)、酸無水物含有ビニルモノマー(例えばマレイン酸無水物)、ホルミル基含有ビニルモノマー(例えばアクロレイン、メタクロレイン)、スルフィン酸基含有ビニルモノマー(例えばスチレンスルフィン酸カリウム)、活性メチレン含有ビニルモノマー(例えばアセトアセトキシエチルメタクリレート)、酸クロライド含有モノマー(例えばアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド)、アミノ基含有モノマー(例えばアリルアミン)、アルコキシシリル基含有モノマー(例えばメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)などが挙げられる。
一般式(2)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマー中、一般式(2)で表される繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上100質量%以下、好ましくは30質量%以上100質量%以下、特に好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
一般式(2)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい数重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定、ポリエチレングリコール換算値)の範囲は、1000以上100万以下、さらに好ましくは3000以上20万以下である。最も好ましくは5000以上10万以下である。
以下に一般式(2)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい例を表1に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、前記で具体例を挙げた一般式(2)で表される繰り返し単位は前記で挙げた具体例の番号で表し、共重合可能なモノマーから誘導される繰り返し単位は、モノマー名を記載し、共重合組成比を質量%で付記した。
Figure 0004429121
既に述べたように、ハードコート層を形成するための活性エネルギー線によって硬化する硬化性組成物には、開環重合性基を含む硬化樹脂とエチレン性不飽和基を同一分子内に3個以上含む硬化樹脂との両方を含有することが好ましい。
以下に、上記エチレン性不飽和基を同一分子内に3個以上含む硬化樹脂について詳しく説明する。
好ましいエチレン性不飽和基の種類は、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、ビニルエチル基であり、特に好ましくはアクリロイル基である。
なお、同一分子内にエチレン性不飽和基を3個以上含む硬化樹脂と共に、エチレン性不飽和基を1個もしくは2個含む硬化樹脂(モノマーあるいはオリゴマー)を併用してもよい。
さらに、分子内に3〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーや、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に数個のアクリル酸エステル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーなどを硬化樹脂として好ましく使用することができる。
これら同一分子内に3個以上のアクリル基を有する硬化樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート類、ポリイソシナネー卜とヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を挙げることができる。
また、同一分子内に3個以上のエチレン性不飽和基を有する硬化樹脂として、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーも好ましく使用できる。以下、一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーについて詳細に説明する。
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上記一般式(3)中、R2は、水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
2は、一価のエチレン性不飽和基またはエチレン性不飽和基を有する一価の基を表す。
2は、単結合もしくは二価以上の連絡基を表し、好ましくは単結合、−O−、アルキレン基、アリーレン基および「*」側で主鎖に連絡する*−COO−、*−CONH−、*−OCO−、*−NHCO−である。
好ましいP2としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基またはこれらの基のいずれかを含有する一価の基であり、最も好ましくはアクリロイル基またはこれを含有する一価の基である。
一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは、(i)対応するモノマーを重合させて直接エチレン性不飽和基を導入する手法で合成してもよく、(ii)任意の官能基を有するモノマーを重合して得られるポリマーに高分子反A応によりエチレン性不飽和基を導入する手法で合成してもよい。また、上記(i)および(ii)の手法を組み合わせて合成することもできる。重合反応としてはラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などが挙げられる。
上記(i)の方法を用いる場合、重合反応により消費されるエチレン性不飽和基と架橋性ポリマー中に残されるエチレン性不飽和基の重合性の差を利用することにより可能である。例えば、一般式(3)のP2が、アクリロイル基、メタクリロイル基またはこれらのいずれかを含有する一価の基である場合、架橋性ポリマーを生成させる重合反応をカチオン重合とすることで上記(i)の手法によって本発明の架橋性ポリマーを得ることができる。一方、P2がスチリル基またはスチリル基を含有する一価の基である場合は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合のいずれの方法をとってもゲル化が進行しやすいため、通常上記
(ii)の手法によって一般式(3)の架橋性ポリマーを合成する。
このように上記(ii)の高分子反応を利用する手法は、一般式(3)中に導入されるエチレン性不飽和基の種類によらず、架橋性ポリマーを得ることが可能であり、有用である。
高分子反応は、(I)例えば、2−クロロエチル基から塩酸を脱離させるようなエチレン性不飽和基をプレカーサー化した官能基を含むポリマーを生成させたあとに官能基変換(脱離反応、酸化反応、還元反応など)によりエチレン性不飽和基に誘導する方法と、(II)任意の官能基を含むポリマーを生成させたあとに、該ポリマー中の官能基と結合生成反応が進行して共有結合を生成しうる官能基とエチレン性不飽和基の両方を有する反応性モノマーを反応させる方法が挙げられる。これら(I)、(II)の方法は組み合わせて行ってもよい。
ここで言う結合形成反応とは、一般に有機合成分野で用いられる結合生成反応のなかで共有結合を形成する反応であれば特に制限なく使用できる。一方で、架橋性ポリマーに含まれるエチレン性不飽和基が反応中に熱重合し、ゲル化してしまう場合があるので、できるだけ低温(好ましくは60℃以下、特に好ましくは室温以下)で反応が進行するものが好ましい。また反応の進行を促進させる目的で触媒を用いても良く、ゲル化を抑制する目的で重合禁止剤を用いてもよい。
以下に好ましい高分子結合形成反応が進行する官能基の組み合わせの例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
加熱もしくは室温で反応が進行する官能基の組み合わせとしては、
(イ)ヒドロキシル基に対して、エポキシ基、イソシアネート基、N−メチロール基、カルボキシル基、アルキルハライド、酸無水物、酸クロライド、活性エステル基(例えば硫酸エステル)、ホルミル基、アセタール基、
(ロ)イソシアネート基に対して、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、N−メチロール基、
(ハ)カルボキシル基に対して、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、N−メチロール基、
(ニ)N−メチロール基に対して、イソシアネート基、N−メチロール基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、
(ホ)エポキシ基に対して、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、N−メチロール基、
(へ)ビニルスルホン基に対してスルフィン酸基、アミノ基、
(卜)ホルミル基に対してヒドロキシル基、メルカプト基、活性メチレン基、
(チ)メルカプト基に対して、ホルミル基、ビニル基(アリル基、アクリル基など)、エポキシ基、イソシアネート基、N−メチロール基、カルボキシル基、アルキルハライド、酸無水物酸クロライド、活性エステル基(例えば硫酸エステル)、
(リ)アミノ基に対して、ホルミル基、ビニル基(アリル基、アクリル基など)、エポキシ基、イソシアネート基、N−メチロール基、カルボキシル基、アルキルハライド、酸無水物、酸クロライド、活性エステル基(例えば硫酸エステル)、などの組み合わせが挙げられる。
以下に反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ヒドロキシル基含有ビニルモノマー(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなど)、イソシアネート基含有ビニルモノマー(例えば、イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチルメタクリレートなど)、N−メチロール基含有ビニルモノマー(例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど)、エポキシ基含有ビニルモノマー(例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエチル、CYCLOMER−M100、A200(ダイセル化学工業(株)製)など)、カルボキシル基含有ビニルモノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、カルボキシエチルアクリレート、安息香酸ビニル)、アルキルハライド含有ビニルモノマー(例えばクロロメチルスチレン、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート)、酸無水物含有ビニルモノマー(例えばマレイン酸無水物)、ホルミル基含有ビニルモノマー(例えばアクロレイン、メタクロレイン)、スルフィン酸基含有ビニルモノマー(例えばスチレンスルフィン酸カリウム)、活性メチレン含有ビニルモノマー(例えばアセトアセトキシエチルメタクリレート)、ビニル基含有ビニルモノマー(例えばアリルメタクリレート、アリルアクリレート)、酸クロライド含有モノマー(例えばアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド)、アミノ基含有モノマー(例えばアリルアミン)、などが挙げられる。
上記(II)に記載した任意の官能基を含むポリマーは、反応性官能基とエチレン性不飽和基の両方を有する反応性モノマーの重合を行うことで得ることができる。また、ポリ酢酸ビニルを変性して得られるポリビニルアルコールのように反応性の低い前駆体モノマーの重合後、官能基変換を行うことで得ることもできる。
これらの場合の重合方法としては、ラジカル重合が最も簡便で好ましい。
以下に一般式(3)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
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一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは複数種の一般式(3)で表される繰り返し単位で構成されたコポリマーであってもよく、また、一般式(3)以外の繰り返し単位(例えばエチレン性不飽和基を含まない繰り返し単位)を含んだコポリマーでもよい。特に架橋性ポリマーのTgや親疎水性をコントロールしたい場合や、架橋性ポリマーのエチレン性不飽和基の含有量をコントロールする目的で一般式(3)以外の繰り返し単位を含んだコポリマーとする手法は好適である。一般式(3)以外の繰り返し単位の導入方法は、(a)対応するモノマーを共重合させて直接導入する手法を用いてもよく、(b)官能基変換可能な前駆体モノマーを重合させ、高分子反応により導入する手法を用いてもよい。また、(a)および(b)の手法を組み合わせて導入することもできる。
(a)の手法によって一般式(3)以外の繰り返し単位を対応するビニルモノマーを重合することによって導入する場合、好ましく用いられるモノマーとしては、前述の一般式(2)の説明において、一般式(2)以外の繰り返し単位を対応するビニルモノマーを重合することによって導入する場合に好ましく用いられるモノマーとして挙げたものと同様なものが挙げられる。それらのビニルモノマーは2種類以上組み合わせて使用してもよい。これら以外のビニルモノマーはリサーチディスクロージャーNo.19551(1980年、7月)に記載されているものを使用することができる。なかでも、アクリル酸またはメタクリル酸から誘導されるエステル類およびアミド類、ならびに芳香族ビニル化合物が特に好ましく用いられる。
また、一般式(3)で表される繰り返し単位を前記(ii)のように高分子反応で導入し、反応を完結させない場合、エチレン性不飽和基をプレカーサー化した官能基や反応性官能基を含む繰り返し単位を有する共重合体となるが、本発明ではこれを特に制限無く用いることができる。
上記で挙げたビニルモノマーから誘導されるエチレン性不飽和基を含まない繰り返し単位の大部分は前述した(b)官能基変換可能な前駆体モノマーを重合させ、高分子反応により導入することも可能である。一方で、本発明において一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは、高分子反応のみによってでしか導入できない、一般式(3)以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。典型的な例としてポリ酢酸ビニルを変性して得られるポリビニルアルコールやポリビニルアルコールのアセタール化反応によって得られるポリビニルブチラール等を挙げることができる。これらの繰り返し単位の具体的な例を以下に示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004429121
一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマー中、一般式(3)で表される繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上100質量%以下、好ましくは30質量%以上100質量%以下、特に好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい数量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定、ポリエチレングリコール換算値)の範囲は、1000以上100万以下、さらに好ましくは3000以上20万以下である。最も好ましくは5000以上10万以下である。
以下に一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい例を表2に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、前記で具体例を挙げた一般式(3)で表される繰り返し単位とポリビニルアルコールなどの繰り返し単位は前記で挙げた具体例の番号で表し、共重合可能なモノマーから誘導される繰り返し単位は、モノマー名を記載し、共重合組成比を質量%で付記した。
Figure 0004429121
本発明に用いることのできる開環重合性基を有する硬化樹脂として、一般式(2)および(3)で表される両方の繰り返し単位を含むポリマーも挙げることができる。この場合の一般式(2)および(3)の好ましい繰り返し単位としては、前記したものと同じである。また、一般式(2)および(3)以外の繰り返し単位を含んだコポリマーであってもエチレン性不飽和基および開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位を含んだコポリマーであってもよい。
一般式(2)および(3)で表される両方の繰り返し単位を含む架橋性ポリマー中、一般式(2)で表される繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上99質量%以下、好ましくは20質量%以上80質量%以下、特に好ましくは30質量%以上70質量%以下であり、一般式(3)で表される繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上99質量%以下、好ましくは20質量%以上80質量%以下、特に好ましくは30質量%以上70質量%以下である。
一般式(2)および(3)で表される両方の繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定、ポリスチレン換算値)の範囲は、1000以上100万以下、さらに好ましくは3000以上20万以下である。最も好ましくは5000以上10万以下である。
一般式(2)および(3)で表される両方の繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい例を下記表3に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、前記で具体例を挙げた一般式(2)および(3)で表される繰り返し単位とポリビニルアルコールなどの繰り返し単位は前記で挙げた具体例の番号で表し、共重合可能なモノマーから誘導される繰り返し単位は、モノマー名を記載し、共重合組成比を質量%で付記した。
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ハードコート層を形成するための硬化性組成物に好ましく含有される、エチレン性不飽和基を同一分子内に3個以上含む硬化樹脂と開環重合性基を含む硬化樹脂との好ましい混合比は、用いる硬化樹脂の種類によっても異なり、特に制限はないが、エチレン性不飽和基を含む硬化樹脂の割合が硬化樹脂全体の30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは50質量%以上80質量%以下である。
エチレン性不飽和基を含む硬化樹脂と開環重合性基を含む硬化樹脂を含有する硬化性組成物(以下、特に断りのない限り、「硬化性組成物」は、これら両者の硬化樹脂を含有する組成物である)を硬化させる場合、両方の硬化樹脂の架橋反応が進行することが好ましい。エチレン性不飽和基の好ましい架橋反応はラジカル重合反応であり、開環重合性基の好ましい架橋反応はカチオン重合反応である。いずれの場合も活性エネルギー線の作用により、重合反応を進行させることができる。通常、重合開始剤と称される少量のラジカル発生剤およびカチオン発生剤(もしくは酸発生剤)を添加し、活性エネルギー線によりこれらを分解し、ラジカルおよびカチオンを発生させ重合を進行させることができる。ラジカル重合とカチオン重合は別々に行ってもよいが、同時に進行させることが好ましい。
上記硬化性組成物を活性エネルギー線照射により硬化する場合、低温で架橋反応が進行する場合が多く、好ましい。
本発明では、活性エネルギー線として、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが用いられる。その中でも紫外線を用いて、ラジカルもしくはカチオンを発生させる重合開始剤を添加し、紫外線により硬化させる方法が特に好ましい。また紫外線を照射した後、加熱することにより、さらに硬化を進行させることができる場合があり、この方法を好ましく用いることができる。この場合の好ましい加熱温度は140℃以下である。
紫外線によってカチオンを発生させる光酸発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩やジアリールヨードニウム塩などのイオン性の硬化樹脂やスルホン酸のニトロベンジルエステルなどの非イオン性の硬化樹脂が挙げられ、有機エレクトロニクス材料研究会編、’’イメージング用有機材料’’ぶんしん出版社刊(1997)などに記載されている硬化樹脂等種々の公知の光酸発生剤が使用できる。この中で特に好ましくはスルホニウム塩もしくはヨードニウム塩であり、対イオンとしてはPF6 -、SbF6 -、AsF6 -、B(C654 -などが好ましい。
紫外線によりラジカルを発生させる重合開始剤の例としてはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン等の公知のラジカル発生剤が使用できる。また上記で挙げたように通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども紫外線照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを単独で用いてもよい。また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン誘導体等が含まれる。
重合開始剤は、それぞれ組み合わせて用いてもよいし、単独でラジカルとカチオンの両方を発生させるような硬化樹脂の場合などは1種単独で用いることができる。重合開始剤の添加量としては、硬化性組成物中に含まれるエチレン性不飽和基含有硬化樹脂と開環重合性基含有硬化樹脂の総質量に対し、0.1〜15質量%の範囲で使用することが好ましく、1〜10質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
一般式(2)で表される繰り返し単位を有する架橋性ポリマーや、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する架橋性ポリマーを使用する場合は、通常、かかるポリマーは固体もしくは高精度液体となり単独での塗布は困難であり、ポリマーが水溶性の場合や水分散物とした場合は水系で塗布することもできるが、通常有機溶媒に溶解して塗布される。有機溶媒としては、かかるポリマーを溶解し得るものであれば特に制限なく使用できる。
好ましい有機溶媒としては、メチルエチルケトン等のケトン類、イソプロパノール等のアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。また、前記した単官能もしくは多官能のビニルモノマーや、単官能、2官能または3官能以上の開環重合性基を有する硬化樹脂が低分子量硬化樹脂である場合、これらを併用すると、硬化性組成物の粘度を調節することが可能であり、溶媒を用いなくても塗布可能とすることもできる。
また、硬化性組成物中に微粒子を添加してもよい。微粒子を添加することでハードコート層の硬化収縮量を低減できるため、基板や光透過層(以下、「基板等」ということがある)との密着性が向上したり、カールを低減でき好ましい。微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子、有機・無機複合微粒子のいずれも使用できる。無機微粒子としては例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などが挙げられる。このような無機微粒子は一般に硬質であり、ハードコート層に充填させることで、硬化時の収縮を改良できるだけではなく、表面の硬度も高めることができる。
ただし、微粒子は一般にヘイズを増加させる傾向があるために、各必要特性のバランスの上で充填方法が調整される。
一般に、無機微粒子は、かかるポリマーや多官能ビニルモノマーなどの有機成分との親和性が低いため単に混合するだけでは凝集体を形成したり、硬化後のハードコート層がひび割れやすくなる場合がある。そこで、無機微粒子と有機成分との親和性を増すため、無機微粒子表面を有機セグメントを含む表面修飾剤で処理することができる。表面修飾剤は、無機微粒子と結合を形成するか無機微粒子に吸着しうる官能基と、有機成分と高い親和性を有する官能基を同一分子内に有するものが好ましい。
無機微粒子に結合もしくは吸着し得る官能基を有する表面修飾剤としては、シラン、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシド表面修飾剤や、リン酸基、硫酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性基を有する表面修飾剤が好ましい。
さらに有機成分との親和性の高い官能基としては単に有機成分と親疎水性を合わせただけのものでもよいが、有機成分と化学的に結合しうる官能基が好ましく、特にエチレン性不飽和基、もしくは開環重合性基が好ましい。
本発明において好ましい無機微粒子表面修飾剤は金属アルコキシドもしくはアニオン性基とエチレン性不飽和基もしくは開環重合性基を同一分子内に有する硬化樹脂である。
これら表面修飾剤の代表例として以下の不飽和二重結合含有のカップリング剤や、リン酸基含有有機硬化性樹脂、硫酸基含有有機硬化性樹脂、カルボン酸基含有有機硬化性樹脂等が挙げられる。
S−1:H2C=C(X)COOC36Si(OCH33
S−2:H2C=C(X)COOC24OTi(OC253
S−3:H2C=C(X)COOC24OCOC510OPO(OH)2
S−4:(H2C=C(X)COOC24OCOC510O)2POOH、
S−5:H2C=C(X)COOC24OSO3H、
S−6:H2C=C(X)COO(C510COO)2H、
S−7:H2C=C(X)COOC510COOH、
S−8:3−(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、
ここで、Xは、水素原子あるいはCH3を表す。
これらの無機微粒子の表面修飾は、溶液中でなされることが好ましい。無機微粒子を機械的に微細分散する時に、一緒に表面修飾剤を存在させるか、または無機微粒子を微細分散したあとに表面修飾剤を添加して撹拌するか、さらには無機微粒子を微細分散する前に表面修飾を行って(必要により、加温、乾燥した後に加熱、またはpH変更を行う)、そのあとで微細分散を行う方法でもよい。
表面修飾剤を溶解する溶液としては、極性の大きな有機溶剤が好ましい。具体的には、アルコール、ケトン、エステル等の公知の溶剤が挙げられる。
有機微粒子としては特に制限がないが、エチレン性不飽和基を有するモノマーからなるポリマー粒子、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、および本発明における一般式(1)および(3)からなるポリマー粒子が好ましく用いられ、その他に、ポリシロキサン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ゼラチン等の樹脂粒子が挙げられる。これらの粒子は架橋されていることが好ましい。
微粒子の微細化分散機としては、超音波、ディスパー、ホモジナイザ―、ディゾルバー、ポリトロン、ペイントシェーカー、サンドグラインダー、ニーダー、アイガーミル、ダイノミル、コボールミル等を用いることが好ましい。また、分散媒としては前述の表面修飾用の溶媒が好ましく用いられる。
微粒子の充填量は、充填後のハードコート層の体積に対して、2〜40体積%が好ましく、3〜25体積%がより好ましく、5〜15体積%が最も好ましい。
ハードコート層のヘイズは1.5%以下であることが好ましく、1.2%以下がさらに好ましく、1.0%以下が最も好ましい。ヘイズの評価法は、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−1001DP」を用いて測定したヘイズ=(拡散光/全透過光)×100(%)として自動計測される値を用いた。
ハードコートフイルムは、カールを以下の数式Bで表したときの値が、マイナス15〜プラス15の範囲に入っていることが好ましく、マイナス12〜プラス12の範囲がより好ましく、さらに好ましくはマイナス10〜プラス10である。このときのカールの試料内測定方向は、ウェッブ形態での塗布の場合、フイルムの搬送方向について測ったものである。
(数式B)カール=1/R (Rは曲率半径(m))
これは、ハードコートフィルムの製造、加工、市場での取り扱いで、ひび割れ、膜はがれを起こさないための重要な特性である。カール値が前記範囲にあり、カールが小さいことが好ましい。上記範囲にカールを小さくすることと高表面硬度とすることは、ハードコート層形成用の硬化性組成物の硬化前後の体積収縮率を15%以下とすることによって可能である。
カールの測定は、JISK7619−1988の「写真フイルムのカールの測定法」中の方法Aのカール測定用型板を用いて行われる。測定条件は25、相対湿度60%、調湿時間10時間である。
ここで、カールがプラスとは基板等におけるハードコート層塗設側が湾曲の内側になるカールを言い、マイナスとは塗設側が湾曲の外側になるカールをいう。
また、ハードコートフイルムは、上記したカール測定法に基づいて、相対湿度のみを80%と10%に変更したときの各カール値の差の絶対値が、24〜0が好ましく、15〜0がさらに好ましく、8〜0が最も好ましい。これはさまざまな湿度下でフイルムを貼り付けたときのハンドリング性や剥がれ、ひび割れに関係する特性である。
ハードコートフイルムの耐ひび割れ性は、ハードコート層塗設側を外側にして丸めたときに、ひび割れが発生する曲率直径が、50mm以下であることが好ましく、40mm以下がより好ましく、30mm以下が最も好ましい。エッジ部のひび割れについては、ひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満であることが好ましい。この耐ひび割れ性は、ハードコートフイルムの塗布、加工、裁断、貼りつけ等のハンドリングで割れ欠陥を出さないための重要な特性である。
活性エネルギー線硬化塗布液(硬化組成物の塗布液)は、ケトン系、アルコール系、エステル系等の有機溶剤に、上記の多官能モノマーと重合開始剤を主体に溶解して調製する。さらに、表面修飾した硬無機微粒子分散液と軟微粒子分散液を添加して調製することができる。
ハードコート層の作製は、フイルム上に活性エネルギー線硬化塗布液をディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、グラビア法、ワイヤーバー法、スロットエクストルージョンコーター法(単層、重層)、スライドコーター法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、活性エネルギー線照射して、硬化させることにより作製することができる。
乾燥は、塗布した液膜中の有機溶媒濃度が、乾燥後に5質量%以下になる条件が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。乾燥条件は、基板等の熱的強度や搬送速度、乾燥工程長さなどの影響を受けるが、できるだけ有機溶媒の含有率の低いほうが重合率を高める点で好ましい。
さらに、基板等とハードコート層との密着性を向上させる目的で、所望により基板等の片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等により表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。
更に、一層以上の下塗り層を設けることができる。下塗り層の素材としては塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル等の共重合体或いはラテックス、低分子量ポリエステル、ゼラチン等の水溶性ポリマー等が挙げられる。さらに下塗り層に酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物や四級アンモニウム塩等の帯電防止剤を含有させることができる。
ハードコート層は、複数層構成でも可能であり、硬度の順に適宜積層して形成することもできる。
本発明の光情報記録媒体の種類としては、読出し専用型、追記型、書換え可能型等のいずれでもよいが、追記型であることが好ましい。また、記録形式としては、相変化型、光磁気型、色素型等、特に制限されないが、色素型であることが好ましい。
本発明の光情報記録媒体として、基板上に、反射層、記録層、接着層(または粘着層)、光透過層、ハードコート層をこの順に有する構成を例にとって、その詳細と本発明の光情報記録媒体の製造方法とを以下に説明する。
(基板)
基板材料の具体例としては、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および低価格等の点から、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィンが好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。また、基板の厚さ(記録層が形成される領域の平均の厚さ)は、1.1±0.3mmの範囲とすることが好ましい。
基板には、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(オングルーブおよびイングルーブという。ここで、「オングルーブ」を「グルーブ」ということがある。)が形成されている。より高い記録密度を達成するためにCD−RやDVD−Rに比べて、より狭いトラックピッチのグルーブが形成された基板を用いることが好ましい。
グルーブのトラックピッチは、300〜360nmの範囲とすることが好ましい。より好ましくは、310〜340nmの範囲とする。
また、グルーブの深さ(溝深さ)は、20〜50nmの範囲とすることが好ましい。かかる範囲とすることで、トラッキングエラー信号が小さくなってトラッキングがかかりにくくなることを防ぎながら、成形が困難となることを防ぐことができる。より好ましくは、25〜40nmである。
溝幅(オングルーブの半値幅)は、50〜140nmの範囲とすることが好ましい。かかる範囲とすることで、トラッキングエラーが低下を防ぎながら、ジッターを低減させることができる。より好ましくは、70〜130nmの範囲とし、さらに好ましくは、90〜120nmとする。
なお、後述する反射層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することが好ましい。
該下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
(反射層)
反射層には、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質が用いられる。当該反射率は、70%以上であることが好ましい。
反射率の高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属および半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Alおよびステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、AgまたはAgを主成分とする合金(Ag:50質量%以上)である。
反射層は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより基板上に形成することができる。反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
(記録層)
記録層は、界面層上に形成され、波長500nm以下のレーザ光により情報の記録が可能な層で、有機色素を含有する色素型であることが好ましい。
前記有機色素の具体例としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。
また、有機色素としては、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、および同2000−158818号公報等に記載されている色素が好適に用いられる。
さらに、上記有機色素と別に、または、当該有機色素ともに、トリアゾール化合物、トリアジン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、アミノブタジエン化合物、フタロシアニン化合物、桂皮酸化合物、ビオロゲン化合物、アゾ化合物、オキソノールベンゾオキサゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物等の有機化合物も好適に用いられる。これらの化合物の中では、シアニン化合物、アミノブタジエン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、フタロシアニン化合物が特に好ましい。
記録層は、有機色素等の記録物質を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液を基板表面に形成された反射層上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
上記溶剤は使用する記録物質の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
結合剤を使用する場合に、結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることができる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に記録物質に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。このようにして調製される塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。記録層は単層でも重層でもよい。また、記録層の層厚は、一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好ましくは50〜100nmの範囲にある。
記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、および同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、さらに好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
上記記録層と後述する光透過層との間には、バリア層を形成してもよい。かかる層を形成することで、水分や有機成分が記録層へ拡散することを防ぐことができる。
バリア層を構成する材料としては、レーザ光を透過する材料であれば、特に制限はないが、誘電体であることが好ましく、より具体的には、ZnS、TiO2、SiO2、ZnS−SiO2、GeO2、Si34、Ge34、MgF2、等の無機酸化物、窒化物、硫化物が挙げられ、ZnS−SiO2、またはSiO2が好ましい。バリア層は、スパッタリング、イオンプレーティング等により形成すること可能で、その厚さは、1〜100nmとすることが好ましい。
(光透過層)
光透過層としては、透明シートや紫外線硬化樹脂等からなる層が挙げられ、光情報記録媒体内部を衝撃などから防ぐために形成される。当該光透過層としては、透明な材質であれば特に限定されないが、好ましくはポリカーボネート、三酢酸セルロース等であり、より好ましくは、23℃50%RHでの吸湿率が5%以下の材料である。
なお、「透明」とは、記録光および再生光の光に対して、該光を透過する(透過率:90%以上)ほどに透明であることを意味する。
透明シートは、例えば以下のようにして設けることができる。光硬化性樹脂を適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を所定温度で記録層上(バリア層等が形成されている場合はその上)に塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜上に、例えば、プラスチックの押出加工で得られた三酢酸セルロースフィルム(TACフィルム)をラミネートし、ラミネートしたTACフィルムの上から光を照射して塗布膜を硬化させて形成される。前記TACフィルムとしては、紫外線吸収剤を含むものが好ましい。透明シートの厚さは、0.01〜0.2mmの範囲であり、好ましくは0.03〜0.1mmの範囲、より好ましくは0.05〜0.095mmの範囲である。
なお、透明シートとして、ポリカーボネートシート等を使用することもできる。透明シートの貼り合わせ面に粘着剤が付与されている場合は、上記接着剤は必要ない。
また、既述のように透明シートの代わりに、紫外線硬化樹脂等からなる光透過層を形成してもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層の材質などは既述の通りである。ハードコート層は、基板上に、反射層、記録層等を形成し、その上に光透過層を形成した後、当該光透過層上に塗布などの手段により形成することができる。また、光透過層が透明シートの場合、透明シートを記録層上に貼り合わせる前に、当該透明シート上にハードコート層を形成し、ハードコート層が最表面になるようにして、透明シートを記録層上に貼り合わせて、本発明の光情報記録媒体を作製してもよい
本発明の光情報記録媒体で、ハードコート層が形成される前の構成としては、プレグルーブが形成された基板上に記録層、光反射層および保護層をこの順に有する構成、あるいは該基板上に光反射層、記録層および保護層をこの順に有する構成等であってもよい。また、プレグルーブが形成された透明な基板上に記録層及び光反射層が設けられてなる二枚の積層体が、それぞれの記録層が内側となるように接合された構成でもよい。
次に、本発明の光情報記録媒体が、短波長のレーザ光により情報を記録再生する光情報記録媒体に適用される場合の当該情報の記録方法および記録した情報の再生方法について説明する。
光情報記録媒体への情報の記録は、例えば、次のように行われる。
まず、光情報記録媒体を定線速度にて回転させながら、例えば、透明シート側(貼り合わせ型の場合は基板側)から記録用の350〜500nm(好ましくは、400〜440nm)のレーザ光を照射する。このレーザ光の照射により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性が変化する。この光学的特性の変化により、情報が記録される。
350〜500nmの発振波長を有するレーザ光源としては、例えば、390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ、中心発振波長約430nmの青紫色SHGレーザ等を挙げることができる。
また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズの開口率(NA)は0.7以上が好ましく、0.80以上がより好ましい。
一方、記録された情報の再生は、光情報記録媒体を上記と同一の定線速度で回転させながら、情報の記録に使用したレーザと同一波長もしくはそれ以下の波長のレーザ光を透明シート側(貼り合わせ型の場合は基板側)から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(光情報記録媒体の作製)
厚さ1.1mm、直径120mmのスパイラル状のグルーブ(深さ100nm、幅120nm,トラックピッチ320nm)を有する射出成形ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製ポリカーボネート商品名パンライトAD5503)基板のグルーブを有する面上に、Agをスパッタリングして100nmの膜厚の反射層を形成した。その後、フタロシアニン系色素(オラゾールブルーGN:cibaスペシャリティケミカル社製)を2,2,3,3,−テトラフルオロプロパノールと混ぜ2時間超音波を行って溶解して色素塗布液を調製した。この色素塗布液をスピンコート法により、回転数を300rpmから4000rpmまで変化させながら23℃50%RHの条件で反射層上に塗布した。
その後、23℃50%RHで1時間保存後、バリア層としてZnS・SiO2をスパッタリングにて5nmの厚みになるように形成した。その後、下記方法で作製したハードコート層および粘着剤付きカバーフィルムをローラ等の押し圧手段を使用して貼り合わせて、基板上に反射層、記録層、バリア層、粘着層、光透過層(カバーフィルム)、ハードコート層をこの順に有する光記録媒体を作製した。
(ハードコート層および粘着剤付きカバーフィルムの作製)
(1)添加剤およびSi含有粒子入りハードコート層塗布液の調製:
メチルエチルケトン(MEK)中にグリシジルメタクリレートを溶解させ、熱重合開始剤(V−65、和光純薬工業(株)製)を滴下しながら80℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をヘキサンに滴下し、沈殿物を減圧乾燥して得たポリグリシジルメタクリレート(ポリスチレン換算分子量:12000)をメチルエチルケトンに50質量%の濃度になるように溶解した溶液を調製した。当該溶液100質量部に、トリメチロールプロパントリアクリレート(ビスコート♯295、大阪有機化学工業(株)製)150質量部と光ラジカル重合開始剤(イルガキュア184、チバガイギー社製)6質量部と光カチオン重合開始剤(ロードシル2074、ローディア社製)6質量部と添加剤である防汚剤UMS182(チッソ(株)製、Si含量:30.5%)10質量部とを30質量部のメチルイソブチルケトンに溶解したものを、撹拌しながら混合した。さらに、Si含有粒子であるSiO2をメチルイソブチルケトンに分散したコロイド溶液(日産化学社製、MIBK−ST、体積平均粒径:10〜15nm、SiO2含量:30質量%)400質量部を添加して撹拌混合して、防汚剤およびSiO2を含有したハードコート層塗布液(h−1)を調製した。
(2)ハードコート層の形成:
ロール状に巻かれたポリカーボネートフィルム(帝人製ピュアエース、厚さ:75μm、片面離型フィルム付き)を剥離し、その面にハードコート層塗布液(h−1)を5μmの厚みになるようにエクストルージョン方式で塗布、乾燥した。その後、紫外線を照射(700mJ/cm2)して、ハードコート層が形成されたポリカーボネートフィルム(厚さ80μm)を作製し、ロール状に巻き取った。
(3)粘着剤塗布液の調製:
アクリル系共重合体(溶剤:酢酸エチル/トルエン=1:1)とイソシアネート系架橋剤(溶剤:酢酸エチル/トルエン=1:1)を100:1で混合し粘着剤塗布液(n−1)を調製した。
(4)粘着層の形成、乾燥、巻取りおよび打ち抜き:
ロール状にポリエチレン性離型フィルムを搬送しながら上記塗布液(n−1)を連続的に乾燥厚20μmになるように塗布し、乾燥ゾーン(100℃)中で乾燥させ、その直後、オーバーコート層が形成されたポリカーボネートフィルムのポリカーボネート面と前記粘着剤面(粘着層)が貼り合わせるようにロール状に共巻する。巻き取られたロール状で23℃50%、72時間保持した。
その後、ディスク(基板)と同一形状に打ち抜いてハードコート層を有し、粘着剤が付与されたカバーフィルムを作製した。
〔実施例2〕
防汚剤UMS182(チッソ(株)製:Si含量30.5%)を防汚剤a(Si含量25%)とした以外は、実施例1と同様にして、光情報記録媒体を作製した。
なお、Si含有量は、上記防汚剤UMS182の下記化学式で表される化合物中のmおよびnの比率を変えて、調整した(以下の実施例および比較例でも同様)。
Figure 0004429121
上記式中、Rは、アクリレート置換基を示し、mおよびnは通常、4〜50の整数であるが、本実施例では、mを10〜15とし、nを20〜30とした。
〔実施例3〕
防汚剤UMS182(チッソ(株)製:Si含量30.5%)を防汚剤b(Si含量21%)とした以外は、実施例1と同様にして、光情報記録媒体を作製した。なお、本実施例では、mを10〜15とし、nを8〜16とした。
〔実施例4〕
防汚剤UMS182(チッソ(株)製:Si含量30.5%)を防汚剤c(Si含量33%)とした以外は、実施例1と同様にして、光情報記録媒体を作製した。なお、本実施例では、mを4〜10とし、nを50〜80とした。
〔実施例5〕
ハードコート層の厚みを10μmとし、粘着層の厚みを15μmとした以外は、実施例1と同様にして、光情報記録媒体を作製した。なお、本実施例では、mを4〜10とし、nを16〜42とした。
〔実施例6〕
ハードコート層の厚みを1μmとし、粘着層の厚みを24μmとした以外は、実施例1と同様にして、光情報記録媒体を作製した。なお、本実施例では、mを4〜10とし、nを16〜42とした。
〔比較例1〕
防汚剤UMS182(チッソ(株)製:Si含量30.5%)を防汚剤A(Si含量17%)とした以外は、実施例1と同様にして、光情報記録媒体を作製した。なお、本実施例では、mを85〜90とし、nを0とした。
〔比較例2〕
防汚剤UMS182(チッソ(株)製:Si含量30.5%)を防汚剤B(Si含量36%)とした以外は、実施例1と同様にして、光情報記録媒体を作製した。なお、本実施例では、mを7〜15とし、nを320〜368とした。
〔比較例3〕
ハードコート塗布液に防汚剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、光情報記録媒体を作製した。
〔比較例4〕
ハードコート塗布液にSiO2粒子を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、光情報記録媒体を作製した。
〔比較例5〕
ハードコート層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、光情報記録媒体を作製した。
〔比較例6〕
防汚剤B(Si含量36%)の添加量を比較例2の半分とし、ハードコート層の厚さを1/5とした以外は、比較例2と同様にして、光情報記録媒体を作製した。
〔評価〕
作製した光情報記録媒体について、(1)CとSiとの強度比、(2)鉛筆硬度試験、(3)耐摩擦性、(4)防汚性、(5)記録特性の測定の評価を行った。結果を下記表4に示す。また、上記各評価の具体的な方法は下記の通りである。
Figure 0004429121
(1)ハードコート層表面のCとSiとの強度比((Si/C)Arおよび(Si/C)surfaceの測定):
測定には、島津製作所製のESCA−3400を使用した。エッチング10秒間間隔で0〜450秒測定し、0秒(深さ0nm:表面)のときのSiとCとの強度比と、45秒(深さ10nm)のときのSiとCとの強度比とを測定し、それぞれ、(Si/C)surfaceおよび(Si/C)Arとした。
また、測定条件は下記の通りとした。
1)照射X線・・・モノクロAl/Kα,12kV,10mA
2)測定スペクトル・・・Cの1sピーク、Siの2pピーク
3)試料チャンバー内真空度・・・1×10-8Torr
4)スパッタエッチングを行う場合のAr+イオンビームの出力・・・12keV
(2)鉛筆硬度試験:
作製した光情報記録媒体を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006で規定される鉛筆を用いて、JIS−K−5400で規定される鉛筆硬度評価方法に従い、9.8Nの荷重にて傷が認められない鉛筆の硬度を求めた。
なお、表4中、◎は3Hの鉛筆で傷が認められない場合を示し、○は、傷がわずかに認められる場合を示し、×は、傷が認められる場合を示す。
(3)耐摩擦性:
表面を♯0000(超極細)のスチールウールを用い、1.96N/cm2の荷重を掛けながら擦ったときの傷が目視できるかどうかで評価した。
なお、表4中、◎は300回擦っても傷が見えない状態を示し、○は、300回擦っても傷が僅かしか見えない状態を示し、×は、100回未満で目視できる傷が発生してしまう状態を示す。
(4)防汚性:
表面に書いた速乾燥性油性インキ(ゼブラ製、「マッキー(R)」)を東レ(株)製の「トレシー(R)」を用いて数回擦って拭き取ってその状態を評価した。
なお、表4中、◎は書いた跡が完全に拭き取れた状態を示し、○はほとんど拭き取れたが、僅かに残った状態を示し、×は大部分が残った状態を示す。
(5)記録特性の測定:
上記(3)のスチールウールによる耐摩擦性試験を行った後、波長405nmで発光する青紫レーザと、開口数(NA)0.85の対物レンズから構成されるピックアップとを有する記録再生装置DDU−1000(パルステック工業社製)に作製した光情報記録媒体を装着して、最短ピット長を0.24μmに設定したD8−15変調信号の記録と再生とを行い信号再生ジッタを測定した。
上記表4より、比較例1〜比較例6の光情報記録媒体では、鉛筆硬度試験、耐摩擦性、防汚性、記録特性のいずれかが低い評価であった。これに対し、実施例1〜6の光情報記録媒体では、上記評価はいずれも高いものであった。

Claims (4)

  1. 基板上に、記録層、光透過層、ハードコート層が設けられてなる光情報記録媒体であって、
    前記ハードコート層中に、少なくとも、Siを含有する添加剤と、Si含有粒子とを含有し、
    前記ハードコート層表面をX線光電子分光法で測定した際のSiのピーク強度と、Cのピーク強度との比(Si/C)surfaceが0.1〜1.5であり、
    前記X線光電子分光法で(Si/C)surfaceを測定した後、前記ハードコート層に対して、Aイオンビームによるスパッタエッチング(12keV)を5〜500秒間の範囲で行い、エッチング深さが10nmまで達した時のエッチングされた表面におけるSiのピーク強度と、Cのピーク強度との比(Si/C)Arが、前記(Si/C)surfaceの1/20以上であること特徴とする光情報記録媒体。
  2. 前記添加剤中のSi含有量が20〜35質量%であることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 前記(Si/C)Arが前記(Si/C)surfaceの1/12以上2/3以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載に光情報記録媒体。
  4. 前記ハードコート層が、ケイ素原子を含有しかつ活性エネルギーで重合する基を有する硬化性樹脂を含有する硬化性組成物に、活性エネルギーを照射して該硬化性組成物を硬化させることで形成されたものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
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