JP5437771B2 - ウェブの接合装置、ウェブの接合方法、および機能性フィルムの製造方法 - Google Patents

ウェブの接合装置、ウェブの接合方法、および機能性フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はウェブの接合装置、ウェブの接合方法、および機能性フィルムの製造方法に関し、特に、旧ロールのウェブと新ロールのウェブの端部同士を突き合わせて接合するウェブの接合装置、ウェブの接合方法、および機能性フィルムの製造方法に関する。
従来のウェブの接合装置として、ウェブ接合時に旧ロールのウェブの後端と新ロールのウェブの先端とを突き合わせた状態で、両者に接合テープを掛け渡して貼着して接合する、いわゆる突き合わせ接合方式の装置が知られている(特許文献1)。
特許文献1に記載のウェブの接合装置は、切断刃を備えウェブの搬送速度と同速度で回転できる切断ドラムと、ウェブの搬送速度と同速度で回転できる切断兼接合ドラムと、接合テープを剥離可能に保持しウェブの搬送速度と同速度で回転できる接合ドラムと、を有する。このウェブの接合装置において、各ドラムで旧ロールのウェブと新ロールのウェブを挟持しつつ新旧のウェブを同時に切断し接合を行うことにより、高速度でウェブの切断と接合をするができる。
特開2007−62952号公報
しかしながら、特許文献1のウェブの突合わせ接合装置においては、高い清浄度(クリーン度)が要求される工程(たとえば、液晶表示装置に使用される機能性フィルムの製造工程)に不適であるという問題点を生じている。
特許文献1の接合装置では、ウェブの搬送経路に対し切断ドラムと接合ドラムとが下側に配置され、切断接合ドラムが上側に配置される。そのため、切断ドラム、切断兼接合ドラム、接合ドラムの回転外周で囲まれる略三角形状の空間部には、接合時のウェブがウェブ搬送経路から外れないように案内する断面三角形状の案内部材が設けられている。この案内部材とウェブとが擦れてダスト等のコンタミネーションを発生させる場合が多い。
特許文献1の接合装置では、切断された旧ロールのウェブの後端と新ロールのウェブの先端と接続される。一方、切断された旧ロールのウェブの残りは旧ロールに巻き回された状態となる。次いで、旧ロールをウェブの搬送方向と逆方向に回転することにより、旧ロールに切断された残りのウェブが巻き取られる。このとき、新ロールのウェブが案内部材と切断兼接合ドラムとに挟まれた状態で、旧ロールのウェブが引き抜かれて巻き取られるので、旧ロールのウェブと新ロールのウェブとが擦れてダスト等のコンタミネーションを発生させる場合も多い。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、高い清浄度(クリーン度)が要求される工程に適用できるべく、ダスト等のコンタミネーションを発生させず、かつ、接合精度を向上させるとともに、ウェブの品質を向上させることができるウェブの接合装置、ウェブの接合方法、および機能性フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のウェブの接合装置は、ウェブを巻回した第一ロールとウェブを巻回した第二ロールとを巻き戻し可能に支持し、回転可能なターレット機構と、前記第一ロールのウェブと前記第二ロールのウェブとを切断接合機構とを備え、切断接合機構は、切断刃を有しウェブの搬送路に対し上側に配置された上刃ドラムと、切断刃を有しウェブの搬送路に対し下側に配置された下刃ドラムと、接合テープを保持しウェブの搬送路に対し上側に配置された接合ドラムとを含み、前記上刃ドラム、前記下刃ドラム、前記接合ドラムはウェブの搬送速度に同期して駆動し、前記第一ロールのウェブと前記第二ロールのウェブとの接合時に、前記上刃ドラムと前記下刃ドラムは前記第一ロールのウェブの後端部と前記第二ロールのウェブの先端部を挟圧しながら同時に切断し接合部を形成し、前記上刃ドラムと前記下刃ドラムは切断後の前記第一ロールのウェブと前記第二ロールのウェブへの挟圧力を弱める構成を有し、前記下刃ドラムと前記接合ドラムは、切断された前記第一ロールのウェブ後端と前記第二ロールのウェブ先端と挟圧しながら、前記接合部に接合テープを貼り付けるよう構成され、前記接合部が前記接合テープで接合される前に、前記第二ロールのウェブに接合されない前記第一ロールのウェブを引き抜くための引き抜き機構と、を備えることを特徴とする。
前記目的を達成するために、本発明のウェブの接合方法は、ウェブを巻回した第一ロールとウェブを巻回した第二ロールとを回転可能なターレット機構に巻き戻し可能に配置するステップと、前記第一ロールのウェブを巻き戻すステップと、切断刃を有しウェブの搬送路に対し上側に配置された上刃ドラムと、切断刃を有しウェブの搬送路に対し下側に配置された下刃ドラムによって、前記第一ロールのウェブの後端部と前記第二ロールのウェブの先端部を挟圧しながら同時に切断し接合部を形成するステップと、前記接合部を形成した後、切断後の記第一ロールのウェブと前記第二ロールのウェブへの前記上刃ドラムと前記下刃ドラムによる挟圧力を弱め、前記第二ロールのウェブに接合されない前記第一ロールのウェブを引き抜くステップと、接合テープを保持しウェブの搬送路に対し上側に配置された接合ドラムと前記下刃ドラムにより、切断された前記第一ロールのウェブ後端と前記第二ロールのウェブ先端と挟圧しながら、前記接合部に接合テープを貼り付けるステップと、を備えることを特徴とする。
前記目的を達成するために、本発明の機能性フィルムの製造方法は、第一ロールのウェブを巻き戻し、前記第一ロールのウェブに塗布液を塗布し、前記塗布液を乾燥するステップと、前記第一ロールのウェブと第二ロールのウェブを上記記載の接合方法により接合するステップと、前記第二ロールのウェブを巻き戻し、前記第二ロールのウェブに塗布液を塗布し、前記塗布液を乾燥するステップと、を少なくとも備えることを特徴とする。
本発明は、ウェブ接合時に旧ロールのウェブの後端と新ロールのウェブの先端とを突き合わせた状態で、接合部に接合テープを貼着して接合する、いわゆる突合わせ接合方式を採用する。ウェブの搬送経路に対し、上刃ドラムと接合ドラムを上側に配置し、下刃ドラムを下側に配置することで、下刃ドラムが案内部材の役割を果たす。それにより、案内部材が不要となり、案内部材とウェブとが擦れてダスト等のコンタミネーションを発生させる不具合は生じない。
また、旧ロールのウェブと新ロールのウェブが上刃ドラムと下刃ドラムにより同時切断された後、上刃ドラムと下刃ドラムによる両ウェブへの挟圧力を弱める。その状態で切断された旧ロールのウェブを引き抜くことで、旧ロールのウェブと新ロールのウェブとが擦れてダスト等のコンタミネーションを発生させる不具合や旧ウェブ後端引き抜きの際に新ロールのウェブ先端を同時に引き抜いてしまう密着不具合も生じない。
本発明によれば、ウェブ同士の突き合わせ接合において、高い清浄度(クリーン度)が要求される工程に適用できるべく、ダスト等のコンタミネーションを発生させず、かつ、接合精度を向上させるとともに、ウェブの品質を向上させることができる。
本発明のウェブの接合装置の構成図。 ウェブの切断接合ユニットの構造図。 ウェブの切断接合ユニットの動作説明図。 ウェブの切断接合ユニットの動作説明図。 ウェブの切断接合ユニットの動作説明図。 ウェブの切断接合ユニットの動作説明図。 ウェブの切断接合ユニットの動作説明図。 ウェブの切断接合ユニットの動作説明図。 ウェブの切断接合ユニットの動作説明図。 ウェブの切断接合ユニットの動作説明図。 ウェブの切断接合ユニットの動作説明図。 ウェブの切断接合ユニットの動作説明図。 ウェブの切断接合ユニットの動作説明図。 機能性フィルムの製造ラインの例を示す構成図。 本発明に係るウェブの接合装置により接合されたウェブの表面状態を示す図。 従来の接合装置により接合されたウェブの表面状態を示す図。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。従って、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
以下、添付図面に従って、本発明に係るウェブの接合装置及び方法の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るウェブの接合装置10の全体図である。図1に示されるように、ウェブの接合装置10は、ターレット機構であるターレット装置12、切断接合機構であるウェブの切断接合ユニット14、新ウェブ準備の搬送手段であるウェブの搬送装置16、及び切断されたウェブの引き抜き機構であるウェブの昇降装置18を含んでいる。
ターレット装置12は、ターレットアーム20を有している。ターレットアーム20は、支柱22に軸24を支点として回転可能に設けられている。ターレットアーム20の一方端には、ウェブの巻き戻しがされている旧ロール26が軸28に回転可能に支持される。他方端にはウェブの巻き戻しが開始される新ロール30が軸32に回転可能に支持される。旧ロール26からウェブ34が巻き戻される。
ターレット装置12の軸28及び軸32は、ウェブの巻き戻し方向と逆方向に瞬時に切り替えできるように、クラッチ手段(図示略)を備えている。ウェブ34は、ガイドローラ36を介して切断接合ユニット14に導かれる。
昇降装置18はエアシリンダ38とエアシリンダ38の一方端に連結されたアーム40を備える。エアシリンダ38の他方端が切断接合ユニット14に固定される。アーム40は、基端において切断接合ユニット14とヒンジ連結される。アーム40は、一方端において、ガイドローラ36を回転可能な状態で支持する。エアシリンダ38のロッドを伸長することにより、アーム40は基端を中心に下向きに回動する。アーム40の動きに伴い、ガイドローラ36は下向きに移動する。本実施の形態ではエアシリンダとアームを用いてガイドローラを移動させたが、リニアガイドを用いたエアシリンダや油圧シリンダ、モータ駆動等によりガイドローラを移動させてもよい。
ウェブの切断接合ユニット14は、ウェブ34の搬送経路の上側に配置された上刃ドラム42と、ウェブ34の搬送経路の下側に配置された下刃ドラム44と、ウェブ34の搬送経路の上側に配置された第1接合ドラム46と、ウェブ34の搬送経路の下側に配置された第2接合ドラム48を備える。各ドラム42,44,46,48は機枠50に設置されている。図示しない駆動モータからの動力によって各ドラム42,44,46,48は同期して回転する。ウェブ34は、ドラム42,44,46,48の間を経由して、ガイドローラ52に案内され図示しない巻取装置に巻き取られる。ウェブ34のレイアウト(パスライン角度)は本断面図に限定されるものでは無く全体的に傾けた構造をとっても構わない。
新ロール30のウェブ54の先端部は下刃ドラム44に保持される。新ロール30のウェブ54は、旧ロール26のウェブ34の後端と接合されるまで、接合準備中の状態となる。
搬送装置16は、移動手段である無端状チェーン66、66(一方側のチェーンは図示せず)の周回装置と、このチェーン66、66に連結された挟持部材68とを備える。チェーン66、66は、ウェブ54の幅よりも広い間隔で設置されている。チェーン66、66は、複数のスプロケット70、70…を介して新ロール30の下方位置から切断接合ユニット14の接合位置の範囲で、図中矢印で示される方向に、周回移動される。チェーン66、66の周回移動に同期して、挟持部材68は周回移動する。ウェブ54の先端が挟持部材68により保持され、挟持部材68の周回移動により、新ロール30のウェブ54の先端が下刃ドラム44まで搬送される。チェーン66,66は駆動用のスプロケット71により周回移動できる。スプロケット71は機枠50に取り付けられる。
挟持部材68は、2本の長尺状プレートから構成される。これらのプレートは、ともにウェブ54の幅よりも広めに形成され、ウェブ54の先端部の全幅を全域に亘り挟持できるように形成されている。ウェブ54はウェブ34に接触しないよう、ガイドローラ56により支持したり、もしくは下方に弛ませておく。
次に、図2を参照に、各ドラムの構成を説明する。上刃ドラム42は、回転軸42Aと、回転軸42Aに取り付けられた外周部材42Bを備える。外周部材42Bは、円弧状の外周表面を有する。外周部材42Bは、その表面に切断刃42Cを備え、切断刃42Cは弾性部材42Dで保持される。上刃ドラム42は回転軸42Aを中心に反時計回りに回転する。回転方向に対して切断刃42Cの上流側で、外周部材42Bの表面に、段差部42Eが形成される。段差部42Eは、弾性部材42Dの表面からL(0.1mm〜10mm程度)窪んでいる。ここで重要なことは、段差部42Eを窪ませることによって、上刃ドラム42と下刃ドラム44がウェブをニップしないことである。したがって、Lが10mmより大きくてもよい。
下刃ドラム44は、回転軸44Aと回転軸44Aに取り付けられた外周部材44Bを備える。回転軸44Aと外周部材44Bとで構成される下刃ドラム44は、その断面が扇型状となるよう形成される。外周部材44Bの表面に切断刃44Cが取り付けられている。切断刃44Cは板状の平らな面で構成される。上刃ドラム42の切断刃42Cが切断刃44Cに押し付けられることにより、切断刃42Cと切断刃44Cによりウェブが押し切りされる。外周部材44Bの表面に通気孔44Dが形成される。図示しない吸気装置と通気孔44Dが接続される。通気孔44Dは吸引によりウェブを吸着できる。
第1接合ドラム46は、回転軸46Aと回転軸46Aに取り付けられた外周部材46Bを備える。回転軸46Aと外周部材46Bとで構成される第1接合ドラム46は、その断面が扇型状となるよう形成される。外周部材46Bの表面に通気孔46Cが形成される。図示しない吸気装置と通気孔46Cが接続される。通気孔46Cは接合テープ80を剥離可能に吸着する。
第2接合ドラム48は、回転軸48Aと回転軸48Aに取り付けられた外周部材48Bを備える。回転軸48Aと外周部材48Bとで構成される第2接合ドラム48は、その断面が円形状となるよう形成される。外周部材48Bの表面に通気孔48Cが形成される。図示しない吸気装置と通気孔48Cが接続される。通気孔48Cは接合テープ82を剥離可能に吸着する。言うまでもなく第2接合ドラム48は第1接合ドラム46と同様、断面が扇型状でも構わない。
ウェブの切断接合ユニット14は、旧ロール26からのウェブ34の後端部がウェブの切断接合ユニット14に近づくと駆動するように制御される。なお、旧ロール26途中接合も可能である。つまり、切断接合ユニット14の駆動は、ウェブ34の後端部が近づくときだけでなく、途中であっても行われる。
次に、以上のように構成されたウェブの接合装置10によるウェブの接合方法について図を参照に順次説明する。
先ず、図1において、搬送装置16のチェーン66、66を周回移動させて、挟持部材68を図示されるように新ロール30の下方位置に位置させる。次いで、新ロール30のウェブ54の先端部を新ロール30から所定量巻き戻す。次いで、挟持部材68の2枚のプレートでウェブ54の全幅を全域に亘り挟持する。これにより、ウェブ54の搬送準備作業が終了する。
次いで、チェーン66、66を周回移動させて挟持部材68を移動させる。これにより、ウェブ54は新ロール30から巻き戻される。そして、ウェブ54の先端部が切断接合ユニット14の下刃ドラム44の所定の位置で保持される。ウェブ54は接合のための待機状態となる。
図3は、ウェブ34が巻取装置(不図示)に巻き取られ、ウェブ54が接合のための待機している状態を示す。ウェブ34の残量が少なくなるまで、ウェブ34は連続して巻き取られる。各ドラム42,44,46,48のこの配置状態を原点(0°)とする。第1接合ドラム46は接合テープ80を吸着保持し、第2接合ドラム48は接合テープ82を吸着保持する。
次に、図4に示すように、旧ロールのウェブ34の残量が少なくなると、各ドラム42、44、46、48が同期して回転する。図4は、下刃ドラム44が時計回りに原点(0°)から55°回転した状態である。下刃ドラム44と同期するように、上刃ドラム42と第1接合ドラム46が反時計周りに原点から55°回転する。また、第2接合ドラム48は、時計回りに110°回転する。図4に示すように、原点から55°回転したときに、上刃ドラム42とウェブ34が接触し、下刃ドラム44とウェブ34とがウェブ54を介して接触する。
次いで、図5は、下刃ドラム44が時計回りに原点(0°)から112°回転した状態を示している。下刃ドラム44と同期するように、上刃ドラム42と第1接合ドラム46が反時計周りに原点から112°回転する。図5に示すように、原点から112°回転したときに、上刃ドラム42と下刃ドラム44により、ウェブ34とウェブ54が挟圧(ニップ)される。
次いで、図6は、下刃ドラム44が時計回りに原点(0°)から118°回転した状態を示している。下刃ドラム44と同期するように、上刃ドラム42と第1接合ドラム46が反時計周りに原点から118°回転する。図6に示すように、原点から118°回転したときに、上刃ドラム42と下刃ドラム44によりウェブ34とウェブ54が挟圧(ニップ)された状態で、下刃ドラム44と第1接合ドラム46によりウェブ34とウェブ54が挟圧(ニップ)される。
次いで、図7は、下刃ドラム44が時計回りに原点(0°)から136°回転した状態を示している。下刃ドラム44と同期するように、上刃ドラム42と第1接合ドラム46が反時計周りに原点から136°回転する。図7に示すように、原点から136°回転したときに、上刃ドラム42と下刃ドラム44によりウェブ34とウェブ54が挟圧(ニップ)された状態で、上刃ドラム42と下刃ドラム44によりウェブ34とウェブ54が同時に切断される。これによりウェブ34は、巻き取り機に巻き取られるウェブ34Aと切断されて残されたウェブ34Bに切断される。またウェブ54は、ウェブ34Aに接合されるウェブ54Aと破棄されるウェブ54Bに切断される。
次いで、図8は、下刃ドラム44が時計回りに原点(0°)から143°回転した状態を示している。下刃ドラム44と同期するように、上刃ドラム42と第1接合ドラム46が反時計周りに原点から143°回転する。図8に示すように、原点から143°回転したときに、上刃ドラム42と下刃ドラム44によるウェブ34A,Bとウェブ54A,Bの挟圧(ニップ)が終了する。図2で説明したように、上刃ドラム42の外周部材42Bは、回転方向に対して切断刃42Cの上流側に段差部42Eを有している。それにより、上刃ドラム42と下刃ドラム44のギャップが広がり、実質的に上刃ドラム42と下刃ドラム44とがウェブ34A,Bとウェブ54A,Bとを挟圧しなくなる。したがって、ウェブ34Bとウェブ54Aとは単に接触している状態となる。
次いで、図9は、下刃ドラム44が時計回りに原点(0°)から203°回転した状態を示している。下刃ドラム44と同期するように、上刃ドラム42と第1接合ドラム46が反時計周りに原点から203°回転する。そして、各ドラムが143°から203°まで回転する前に、ガイドローラ36が昇降装置により下方向に向かって移動される。ガイドローラ36の移動に伴い、ガイドローラ36と下刃ドラム44間のウェブ34Bの搬送経路が長くなる。これにより、実質的にウェブ34Bがウェブ54A上から引き抜かれることになる。ガイドローラ36の昇降は、図1で説明したよう昇降装置により行なわれる。
図9に示すように、原点から203°回転したときに、第1接合ドラム46が保持する接合テープ80が、ウェブ34Aの後端とウェブ54Aの先端で形成される接合部に、第1接合ドラム46と下刃ドラム44とにより挟圧されながら貼り付けられる。接合テープ80が接合部に貼り付けられる前に、ウェブ34Bを引き抜くことが重要となる。
図9に示すように、接合されるウェブ34Aとウェブ54Aは下刃ドラム44に支持されて、接合テープ80の貼り付け位置まで搬送される。したがって、本発明においては下刃ドラム44が案内部材の役割を果たすので、案内部材が不要となる。これにより従来のウェブ接合装置の問題である案内部材に起因するコンタミネーションが防止される。
また、ウェブ34Bとウェブ54Aは単に接触しているだけで、強く密着していない。その結果、旧ロールのウェブ34Bと新ロールのウェブ54Aとが強く擦られることなくウェブ34Bが引き抜かれる。したがって、旧ロールのウェブの引き抜きに起因するコンタミネーションが防止される。また、旧ウェブ後端引き抜きの際に新ロールのウェブ先端を同時に引き抜いてしまう密着不具合も防止される。
本実施の形態では、ガイドローラ36を移動させることでウェブ34Bを引き抜いた。しかし、これに限定されることなく、モータにより旧ロールを逆回転することでウェブ34Bを引き抜いてもよい。
次いで、図10は、下刃ドラム44が時計回りに原点(0°)から258°回転した状態を示している。図10に示すように、原点から258°回転したときに、第1接合ドラム46と第2接合ドラム48により挟圧されながら、第2接合ドラム48が保持する接合テープ82が接合部に貼り付けられる。接合テープ82は、接合テープ80が貼り付けられた面と反対側の面に貼り付けられる。
次いで、図11は、下刃ドラム44が時計回りに原点(0°)から272°回転した状態を示している。図11に示すように、原点から272°回転したときに、第1接合ドラム46と第2接合ドラム48による接合部への挟圧が終了する。そして、ガイドローラ36が、元の位置に復帰するため上方向に向かって移動する。下刃ドラム44の回転に伴って、切断されたウェブ54Bが下方に落下する。ウェブ54Bの先端は部材68に把持されたままで次の接合までにチェーン周回移動により搬送されウェブ搬送装置16の上流側で回収される。もしくは下刃ドラム44の下方に回収容器を設置し切断されたウェブ54Bを回収してもよい。
次いで、図12は、下刃ドラム44が時計回りに原点(0°)から293°回転した状態を示している。図12に示すように、原点から293°回転したときに、ウェブ54Aと各ドラム42,44,46,48との接触が終了する。この時点で、ウェブ34Aの後端とウェブ54Aの先端の接合が実質的に完了する。ウェブ54Aはウェブ34Aに続いて巻取装置(不図示)に巻き取られる。ガイドローラ36は元の位置に復帰する。新ロールを支持するターレット装置も接合が完了するのにあわせて回転する。新ロールが旧ロールの位置に移動し、新ロールのウェブが旧ロールのウェブに変わる。
次いで、図13は、下刃ドラム44が時計回りに原点(0°)から320°回転した状態を示している。図13に示すように、原点から320°回転したときに、ウェブ54はウェブ34として各ドラム42,44,46,48の間を通過して、巻取装置に巻き取られる。このとき第2接合ドラム48へ接合テープを供給する準備が始められる。
更に各ドラム42,44,48,48を回転させると、図3に示される初期状態になって回転を停止する。ウェブ同士を接合するための待機状態となる。
以上説明した本発明の実施形態によれば、接合時のウェブがウェブ搬送経路から外れないように案内する案内部材は不要であり、この案内部材とウェブとが擦れてダスト等のコンタミネーションを発生させる不具合は生じない。また、案内部材とウェブとが擦れてウェブに傷を発生じさせる不具合も生じない。
また、旧ロールのウェブと新ロールのウェブが上刃ドラムと下刃ドラムにより同時切断された後、上刃ドラムと下刃ドラムによる両ウェブへの挟圧力を弱める。その状態で切断された旧ロールのウェブを引き抜くことで、旧ロールのウェブと新ロールのウェブとが擦れてダスト等のコンタミネーションを発生させる不具合も生じない。
したがって、高い清浄度(クリーン度)が要求される工程に適用できるべく、ダスト等のコンタミネーションを発生させず、かつ、接合精度を向上させるとともに、ウェブの品質を向上させることができる。
次に、図14は機能性フィルムの製造ラインの構成を示す。製造ラインは、ターレット装置12と切断接合ユニット14を備えるウェブの接合装置10と、塗布装置60と、乾燥装置62と、ウェブの巻取り装置64を備える。旧ロール26から送り出されたウェブ34の表面に塗布液が塗布装置60により塗布される。塗布装置60としてダイコータを例示したが、これに限定されることなく、バーコータ、グラビアコータ、ロールコータ(トランスファロールコータ、リバースロールコータ等)、エクストルージョンコータ、ファウンテンコータ、カーテンコータ、ディップコータ、スプレーコータ又はスライドホッパ等を塗布装置として使用できる。ウェブ34の塗布される塗布液として、ハードコート性を有する塗布液、乾燥後に反射防止性を有する塗布液、液晶混合物を含む塗布液等を使用することができる。
塗布液が塗布されたウェブ34は乾燥装置62に搬送される。乾燥が終了したウェブ34が巻き取り装置64により巻き取られる。乾燥装置62として、特に限定されるものではないが、複数の乾燥ゾーンに分割された熱風乾燥装置を使用することができる。複数の乾燥ゾーンごとに異なる乾燥条件に設定できる。熱風による乾燥方法以外に、赤外線による乾燥方法を適用することができる。
次いで、ウェブの接合装置10により旧ロール26のウェブ34と新ロール30のウェブ54の切断接合が行なわれる。次いで、新ロール30が旧ロール26に位置に移動される。新ロール30が旧ロール26となり、旧ロール26から送り出されたウェブ34の表面に塗布液が塗布装置60により塗布される。塗布液が塗布されたウェブ34は乾燥装置62に搬送される。乾燥が終了したウェブ34が巻き取り装置64により巻き取られる。このようにして、機能性フィルムが連続して製造される。巻き取り装置64はターレット機構を備え、連続してウェブを巻き取ることができる。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。
[実施例1]
30m/分で送り出された旧ロール26のウェブ34の表面に、ハードコート性を有する塗布液をバーコータで15cc/m2塗布し、80℃で3分間乾燥し、乾燥が終了したウェブ34を巻き取り装置64で巻き取った。次いで、図1に示されるウェブの接合装置10を使用してウェブの突合わせ接合を行った。上刃ドラム42の直径は351.9mmで、下刃ドラム44の直径は351.9mmで、第1接合ドラム46の直径は352.5mmである。上刃ドラム42の表面の段差は5mmである。ウェブには、幅が1490mmで厚さが80μmのTAC(トリアセチルセルロース)を使用した。
旧ロールのウェブの後端と新ロールのウェブの先端で構成される接合部と、切断された旧ロールのウェブの先端をライトスコープ目視により観察した。図15は観察結果を示している。図15に示すように、ウェブ34Aの後端から1000mmの範囲内、ウェブ54Aの先端から4000mmの範囲内、ウェブ34Bの先端から1000mmの範囲内でスリキズ100が殆ど見られなかった。
次いで、新ロール30が旧ロール26の位置に移動される。新ロール30が旧ロール26となり、旧ロール26から送り出されたウェブ34の表面にハードコート性を有する塗布液をバーコータで15cc/m塗布し、80℃で3分間乾燥し、乾燥が終了したウェブ34を巻き取り装置64で巻き取った。
[比較例1]
特開2007−62952号公報に示されるウェブ接合装置使用してウェブの突合わせ接合を行った。実施例1と同じウェブを使用し、同じ搬送速度とした。
図16は、観察結果を示している。図16に示すように、ウェブ34Aの後端から400〜600mmの範囲内にスリキズ101が、ウェブ34Aの幅全体に亘り、長さ2mm、ピッチ5mmで発生した。一方、ウェブ54Aでは、先端から500〜600mmの範囲内にスリキズ102が長さ80mm、ピッチ8mmで発生した。先端から1100〜1200mmの範囲内にスリキズ103が長さ50mm、ピッチ15mmで発生した。先端から1400〜4000mmの範囲内にスリキズ104が、長さ500mm以上、ピッチ10mmで発生した。また、ウェブ34Bの先端から1000mmの範囲内にスリキズ105が長さ1000mm、ピッチ3mmで発生した。比較例1では、多くのスリキズが発生していることから、ウェブから削られたダストがコンタミネーションを発生させる。
実施例1においてスリキズがほとんど見られないことから、ウェブ34A.34B,54Aが案内部材により擦られていないこと、ウェブ34Bの引き抜きに際してウェブ54Aに擦られていないことが理解できる。実施例1では、案内部材とウェブとの擦れによるダスト、旧ウェブと新ウェブとの擦れによるダスト等が発生しないので、コンタミネーションを発生させる不具合は生じない。
10…ウェブの接合装置、12…ターレット装置、14…切断接合ユニット、16…搬送装置、18…昇降装置、26…旧ロール、30…新ロール、34、54…ウェブ、36、52,56…ガイドローラ、42上刃ドラム、44…下刃ドラム、46…第1接合ドラム、48…第2接合ドラム

Claims (7)

  1. ウェブを巻回した第一ロールとウェブを巻回した第二ロールとを巻き戻し可能に支持し、回転可能なターレット機構と、
    前記第一ロールのウェブと前記第二ロールのウェブとを切断接合機構とを備え、
    切断接合機構は、切断刃を有しウェブの搬送路に対し上側に配置された上刃ドラムと、切断刃を有しウェブの搬送路に対し下側に配置された下刃ドラムと、接合テープを保持しウェブの搬送路に対し上側に配置された接合ドラムとを含み、前記上刃ドラム、前記下刃ドラム、前記接合ドラムはウェブの搬送速度に同期して駆動し、
    前記第一ロールのウェブと前記第二ロールのウェブとの接合時に、前記上刃ドラムと前記下刃ドラムは前記第一ロールのウェブの後端部と前記第二ロールのウェブの先端部を挟圧しながら同時に切断し接合部を形成し、前記上刃ドラムと前記下刃ドラムは切断後の前記第一ロールのウェブと前記第二ロールのウェブへの挟圧力を弱める構成を有し、
    前記下刃ドラムと前記接合ドラムは、切断された前記第一ロールのウェブ後端と前記第二ロールのウェブ先端と挟圧しながら、前記接合部に接合テープを貼り付けるよう構成され、
    前記接合部が前記接合テープで接合される前に、前記第二ロールのウェブに接合されない前記第一ロールのウェブを引き抜くための引き抜き機構と、
    を備えることを特徴とするウェブの接合装置。
  2. 前記引き抜き機構は、前記第二ロールのウェブに接合されない前記第一ロールのウェブの搬送経路を変更するように、前記ターレット機構と前記上刃ドラムの間に配置され、前記接合されない前記第一ロールのウェブを昇降する昇降機構である請求項1記載のウェブの接合装置。
  3. 前記引き抜き機構は、前記第二ロールのウェブに接合されない前記第一ロールのウェブを搬送方向と逆方向に引き抜くように前記第一ロールを逆転させるモータである請求項1記載のウェブの接合装置。
  4. ウェブを巻回した第一ロールとウェブを巻回した第二ロールとを回転可能なターレット機構に巻き戻し可能に配置するステップと、
    前記第一ロールのウェブを巻き戻すステップと、
    切断刃を有しウェブの搬送路に対し上側に配置された上刃ドラムと、切断刃を有しウェブの搬送路に対し下側に配置された下刃ドラムによって、前記第一ロールのウェブの後端部と前記第二ロールのウェブの先端部を挟圧しながら同時に切断し接合部を形成するステップと、
    前記接合部を形成した後、切断後の記第一ロールのウェブと前記第二ロールのウェブへの前記上刃ドラムと前記下刃ドラムによる挟圧力を弱め、前記第二ロールのウェブに接合されない前記第一ロールのウェブを引き抜くステップと、
    接合テープを保持しウェブの搬送路に対し上側に配置された接合ドラムと前記下刃ドラムにより、切断された前記第一ロールのウェブ後端と前記第二ロールのウェブ先端と挟圧しながら、前記接合部に接合テープを貼り付けるステップと、
    を備えることを特徴とするウェブの接合方法。
  5. 前記第一ロールのウェブを引き抜くステップは、前記第二ロールのウェブに接合されない前記第一ロールのウェブの搬送経路を変更するステップを含む請求項4記載のウェブの接合方法。
  6. 前記第一ロールのウェブを引き抜くステップは、前記第二ロールのウェブに接合されない前記第一ロールのウェブを搬送方向と逆方向に引き抜くステップを含む請求項4記載のウェブの接合方法。
  7. 第一ロールのウェブを巻き戻し、前記第一ロールのウェブに塗布液を塗布し、前記塗布液を乾燥するステップと、
    前記第一ロールのウェブと第二ロールのウェブを請求項4〜6の何れかに記載の接合方法により接合するステップと、
    前記第二ロールのウェブを巻き戻し、前記第二ロールのウェブに塗布液を塗布し、前記塗布液を乾燥するステップと、
    を少なくとも備える機能性フィルムの製造方法。
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