JP6557362B2 - セルロースアセテートおよびセルロースアセテートの製造方法 - Google Patents

セルロースアセテートおよびセルロースアセテートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セルロースアセテートおよびセルロースアセテートの製造方法に関する。
セルロースアセテートの製造方法は、一般的に、まずセルロース材料であるパルプなどを解砕し、硫酸触媒を含むか含まない酢酸を添加する前処理工程を経て、冷却した酢酸、無水酢酸、硫酸触媒を添加してニーダーで外部ジャケットにより温度制御をしながら、アセチル化を行う。アセチル化により完全三置換セルロースアセテート(一次セルロースアセテート)を得たのち、酢酸マグネシウム水溶液などの中和剤を添加し、酢酸マグネシウムにより硫酸を中和(完全中和または部分中和)するとともに、酢酸マグネシウム水溶液に含まれる水分により無水酢酸を失活させる。そして、粘調な一次セルロースアセテートドープを熟成槽に投下して、加水分解させて所望する置換度のセルロースアセテートを得る。このセルロースアセテート(二次セルロースアセテート)に多量の非溶媒(水、希酢酸水溶液など)を添加してセルロースアセテートを沈殿させる。沈殿したセルロースアセテートを固液分離して洗浄、乾燥させてフレーク状のセルロースアセテートを得る。
このようにして得られたセルロースアセテート(酢酸セルロース)の用途の一つとして、セルロースアセテートを中空糸膜とし、モジュール化して海水淡水化のための逆浸透膜(RO膜)や正浸透膜(FO膜)として用いられている。このように海水淡水化モジュールの中空糸膜により海水を淡水化する際は、ろ過時に海水に圧力をかける必要があり、透水性が要求される。
従来の中空糸膜では緻密層を薄くし、支持層を非対称構造とすることで透水性を向上させていた(特許文献1)。また、ポリアミドを主成分とする活性層(薄膜、スキン層)を備えた高塩阻止率と高透過性を併せ持つ平膜タイプの複合逆浸透膜が記載されている(特許文献2)。
特開2012−115835号公報 特開平9−019630号公報
本発明は、優れた塩除去率と透水性を有する中空糸膜を製造することができるセルロースアセテートを提供することを目的とする。
本発明の第一は、カルシウムとマグネシウムとの合計含量が2.8〜3.5μmol/g、6%粘度が40〜80mPa・s、ろ過度Kwが35g−1以下、かつ分子量分布Mw/Mnが3.00以下、かつ酢化度が61.3〜62.3%である、セルロースアセテートに関する。
ろ過度Kwが30g−1以下であることが好ましい。
カルシウム含量が80〜200ppmであることが好ましい。
組成分布半値幅が1.0%以下であることが好ましい。
6位置換度0.92以上であることが好ましい。
総硫酸濃度が40〜150ppmであることが好ましい。
本発明の第二は、カルボキシル基量が1.0meq/100g以上のパルプを解砕する工程、前記解砕したパルプ酢酸、または含硫酢酸とを接触させて前処理する工程、前記前処理したパルプを酢酸および無水酢酸の混合溶液と接触させて無水酢酸でエステル化する工程、中和剤を添加して、前記エステル化により得られたセルロースアセテートを加水分解する工程、前記加水分解によりアセチル置換度が調整されたセルロースアセテートを沈殿する工程、および、前記沈澱したセルロースアセテートに安定剤を添加する工程を有するセルロースアセテートの製造方法において、前記混合溶液が、氷点下10℃〜氷点下3℃の間であり、前記エステル化工程において、前記前処理したパルプを酢酸および無水酢酸の混合溶液と接触させた時点から50分未満までに反応系の温度が48〜55℃の間のピーク温度に到達し、前記時点から70分未満までに反応系の温度が前記ピーク温度より5℃低下する、セルロースアセテートの製造方法に関する。
本発明のセルロースアセテートまたはセルロースアセテートの製造方法により得られるセルロースアセテートによれば、優れた塩除去率と透水性を有する中空糸膜を製造することができる。
セルロースアセテートを材質とするRO膜やFO膜はセルロースアセテート自身が塩素に強く、塩素殺菌を容易にできるため、高温・高濃度、且つ微生物が繁殖しやすい中東地域の紅海等の海水の淡水化処理時に有用である。しかしながら、セルロースアセテートでは透水性能と塩除去性能の両方を高いレベルで維持するのは困難である。透水性能が高いレベルでない場合、ろ過時の圧力を高くすることで透水性を高めることができるが、圧力を高くすることにより造水コストが上がる。なお、高い圧力とは例えば、5MPa以上の分離操作圧力である。また、ポリアミドを主成分とする活性層(薄膜、スキン層)を備えるRO膜やFO膜は、耐塩素性に問題がある。
本開示によれば、優れた耐塩素性と透水性を両立する中空糸膜を製造することができるセルロースアセテートを提供することができる。
以下、好ましい実施の形態の一例を具体的に説明する。
本開示のセルロースアセテートは、カルシウムとマグネシウムとの合計含量が2.8〜3.5μmol/g、6%粘度が40〜80mPa・s、ろ過度Kwが35g−1以下、分子量分布Mw/Mnが3.00以下、かつ酢化度が61.3〜62.3%である。
[カルシウム含量およびマグネシウム含量]
本開示のセルロースアセテートに含まれるカルシウムおよびマグネシウムは、セルロースアセテート製造時に使用される中和剤、安定剤、または洗浄水に由来する部分が多く、例えばセルロースアセテートフレーク表面への付着、セルロース繊維に含まれるカルボキシル基や製造時に形成された硫酸エステル部位との静電相互作用により存在している。
本開示に係るセルロースアセテートは、カルシウムとマグネシウムとの合計含量が2.8〜3.5μmol/gであり、2.9〜3.4μmol/gであることが好ましく、3.0〜3.2μmol/gであることがより好ましい。カルシウムとマグネシウムとの合計含量が2.8μmol/g未満であると、特に中空糸膜に用いる場合に、塩除去率が十分でなくなり、3.5μmol/gを超えると、中空糸膜を製造する場合に、中空糸製膜時に糸切れが多くなり製膜が困難となる傾向がある。
本開示に係るセルロースアセテートは、カルシウム含量が80〜200ppmであることが好ましく、90〜170ppmであることがより好ましく、100〜140ppmであることがさらに好ましい。カルシウム含量が上記範囲であることにより、溶解性を保ちつつ、優れた塩除去率と透水性を有する高性能の中空糸膜を得ることができる。
セルロースアセテートのカルシウム含量およびマグネシウム含量は、それぞれ以下の方法により測定することができる。
未乾燥試料3.0gをルツボに計量し、電熱器上で炭化させた後、750〜850℃の電気炉で2時間程度灰化させる。約30分放冷した後、0.07%の塩酸溶液25mLを加え、220〜230℃で加熱溶解させる。放冷後、溶解液を200mLまで蒸留水でメスアップし、これを検液として標準液と共に原子吸光光度計を用いて吸光度を測定して、検液のカルシウム(Ca)含量またはマグネシウム(Mg)含量を求め、以下の式で換算して、試料のカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)含量を求めることができる。なお、試料中の水分は、例えばケット水分計(METTLER TOLEDO HB43)を用いて測定することができる。ケット水分計のアルミ受け皿に含水状態の試料約2.0gを乗せ、重量が変化しなくなるまで120℃で加熱することで加熱前後の重量変化から試料中の水分(重量%)が算出できる。
Figure 0006557362
カルシウムとマグネシウムとの合計含量は、各々の原子量Ca:40.1g/mol、Mg:24.3g/molを用いて算出することができる。
[6%粘度]
6%粘度は、乾燥試料3.00gを、ジクロロメタン/メタノール=91/9混合溶液61.67gで溶解させた6wt/vol%の溶液をオストワルド粘度計を使用して測定した粘度である。
本開示に係るセルロースアセテートは、6%粘度が40〜80mPa・sであり、45〜70mPa・sであることが好ましく、50〜60mPa・sであることがより好ましい。6%粘度が40mPa・s未満であると、特に中空糸膜に用いる場合に、中空糸が水を通す際に十分な耐圧性を有さなくなる場合がある。また、6%粘度が80mPa・sを超えると、特に中空糸膜に用いる場合に、十分な透水性が得られない場合がある。
ここで、6%粘度の測定方法の詳細は、以下のとおりである。三角フラスコに乾燥試料3.00g、ジクロロメタン/メタノール=91/9混合溶液を61.67g入れ、密栓して約1時間攪拌する。その後、回転振盪機で約1.5時間振盪して完溶させる。得られた6wt/vol%の溶液を所定のオストワルド粘度計の標線まで移し、25±1℃で約30分間整温する。計時標線間の流下時間を測定し、次式により6%粘度を算出することができる。
6%粘度(mPa・s)=流下時間(s)×粘度計係数
ここで、粘度計係数は、粘度計校正用標準液[昭和石油社製、商品名「JS−200」(JIS Z 8809に準拠)]を用いて上記と同様の操作で流下時間を測定し、次式より求める。
粘度計係数={標準液絶対粘度(mPa・s)×溶液の密度(0.827g/cm)}/{標準液の密度(g/cm)×標準液の流下秒数(s)}
[ろ過度Kw]
ろ過度は、所定の濾布上での目詰まりの度合いである。本開示のセルロースアセテートのろ過度Kwは、35g−1以下であり、30g−1以下であることが好ましく、20g−1以下であることがより好ましい。ろ過度Kwが35g−1を超えると、特に中空糸膜に用いる場合に、中空糸製膜時の糸切れが増加し、製膜が困難となる。
ろ過度Kwは、以下の方法により測定することができる。2mmのメッシュを通過し、なおかつ1mmのメッシュを通過しない粒子の試料を調製して乾燥した後、試料56.8gを500mLの溶解用容器に入れ、メタノール30gを添加した後、塩化メチレンを268g添加し、2rpmの速度で容器を回転することにより溶解を開始する。溶解開始6時間後に、25℃に調温し、3kg/cmの圧力下、焼結フィルター(ろ過粒度15μm)、直径10mm、ろ過面積0.79cm)を用いて溶液をろ過する。この時、ろ過開始後20分までのろ過量をP(g)、20分より60分までのろ過量をP(g)として測定し、下記式によりろ過度Kw(g−1)を計算する。
Figure 0006557362
[分子量分布Mw/Mn]
本開示のセルロースアセテートの分子量分布(重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した分子量分布Mw/Mn)は3.00以下であり、2.90以下であることが好ましい。下限値は、特に限定されないが、1.0以上が好ましい。分子量分布Mw/Mnが3.00を超えると十分な透水性が得られない場合がある。
分子量分布Mw/Mnは、以下の方法により測定することができる。ゲルろ過カラムに屈折率および光散乱を検出する検出器を接続した高速液体クロマトグラフィーシステムを用いることができる。高速液体クロマトグラフィーシステムとしては、例えば、Shodex GPC SYSTEM−21Hを用いることができる。検出器としては、例えば、示差屈折率検出器(RI)を用いることができる。このようなゲル浸透クロマトグラフィーの測定条件は以下の通りである。
溶媒:ジクロロメタン
カラム:TSKgel GMHXL(7.8×300mm)二本
ガードカラム:TSKgel guardcolumn HXL−H
試料濃度:2000ppm
流量:0.8mL/min
試料注入量:100μL
標準試料:PMMA(分子量1850、7360、29960、79500、201800、509000、625500)
カラム温度:28℃
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)のいずれも上記と同じ測定条件で測定する。測定結果により得られた重量平均分子量と数平均分子量より下式に従い、分子量分布を算出することができる。
分子量分布=Mw/Mn
Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量
[酢化度]
本開示のセルロースアセテートの平均酢化度は、61.3〜62.3%であり、61.4〜62.0%であることが好ましく、61.6〜61.8%であることがより好ましい。61.3%未満であると、特に中空糸膜に用いる場合に、微生物による分解が早くなり中空糸寿命が短縮されやすくなり、62.3%を超えると、特に中空糸膜に用いる場合に製膜前の溶解工程における溶解性が悪化しやすくなる。
酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)における酢化度の測定および計算方法に従う。
[組成分布半値幅]
本開示のセルロースアセテートにおける、組成分布半値幅とは、酢化度を横軸(x軸)に、この酢化度における存在量を縦軸(y軸)としたとき、チャートのピークの高さの半分の高さにおけるチャートの幅であり、分布のバラツキの目安を表す指標である。
本開示に係るセルロースアセテートの組成分布半値幅は、特に限定されないが、1.0%以下であることが好ましく、0.98%以下であることがより好ましく、0.95%であることがさらに好ましい。下限値は、特に限定されないが、0.80%以上が好ましい。組成分布半値幅が1.0%以下であることにより、中空糸を製膜する過程においてセルロースアセテートドープを凝固させる時、均一に相分離をさせることができ、中空糸に部分的に脆弱な箇所が発生しにくくなり、塩除去性を高く保つことができる。
組成分布半値幅は、以下の方法により測定することができる。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析を用いる。すなわち、異なる酢化度を有する複数のセルロースエステルを標準試料として用いて所定の測定装置および測定条件でHPLC分析を行い、これらの標準試料の分析値を用いて作成した較正曲線[セルロースエステルの存在量と、酢化度との関係を示す曲線、通常、二次曲線(特に放物線)]から、組成分布半値幅を求めることができる。高速液体クロマトグラフィーシステムとしては、例えば、Agilent 1100 Seriesを用いることができる。検出器としては、例えば、Varian 380−LCを用いることができる。このような高速液体クロマトグラフィーの測定条件は以下の通りである。
溶媒1:メタノール/水=8/1(vol/vol)
溶媒2:クロロホルム/メタノール=9/1(vol/vol)
溶媒1/溶媒2=8/2の条件から開始し、28分間かけて溶媒1/溶媒2=0/10の組成に徐々に変化させる。その後、8分間同条件にて溶離を行う。
カラム:Waters Nova−Pak Phenyl 60Å 4μm(150mm×3.9mmφ)
ガードカラム:Waters Nova−Pak Phenyl 4μm
試料濃度:1000ppm
流量:0.7mL/min
試料注入量:15μL
標準試料:異なる酢化度を有する複数のセルロースエステル
カラム温度:30℃
より具体的には、組成分布半値幅は、所定の処理条件で測定したHPLC(逆相HPLC)におけるセルロースアセテートの溶出曲線の横軸(溶出時間)を酢化度に換算することにより得ることができる。
溶出時間を置換度に換算する方法としては、例えば、複数(例えば、4種以上)の置換度の異なる試料を用いて、同じ測定条件で溶出時間を測定し、溶出時間(T)から酢化度を求める換算式(変換式)を得てもよい。すなわち、溶出時間(T)と酢化度との関係から、最小二乗法によりキャリブレーションカーブの関数(通常は、下記の2次式)を求める。
酢化度=aT+bT+c
(式中、Tは溶出時間であり、a、bおよびcは変換式の係数である)
そして、上記のような換算式により求めた酢化度分布曲線(セルロースアセテートの存在量を縦軸とし、酢化度を横軸とするセルロースアセテートの置換度分布曲線)において、認められた平均置換度に対応する最大ピーク(E)に関し、以下のようにして組成分布半値幅を求める。すなわち、ピーク(E)の低置換度側の基部(A)と、高置換度側の基部(B)に接するベースライン(A−B)を引き、このベースラインに対して、最大ピーク(E)から横軸に垂線をおろす。垂線とベースライン(A−B)との交点(C)を決定し、最大ピーク(E)と交点(C)との中間点(D)を求める。中間点(D)を通って、ベースライン(A−B)と平行な直線を引き、酢化度分布曲線との二つの交点(A’、B’)を求める。二つの交点(A’、B’)から横軸まで垂線をおろして、横軸上の二つの交点間の幅を、最大ピークの半値幅とする。
このような組成分布半値幅は、試料中のセルロースアセテートの分子鎖について、その構成する高分子鎖一本一本のグルコース環の水酸基がどの程度エステル化されているかにより、保持時間(リテンションタイムとも称される)が異なることを反映している。したがって、理想的には、保持時間の幅が、(酢化度単位の)組成分布の幅を示すことになる。しかしながら、高速液体クロマトグラフには分配に寄与しない管部(カラムを保護するためのガイドカラムなど)が存在する。それゆえ、測定装置の構成により、組成分布の幅に起因しない保持時間の幅が誤差として内包されることが多い。この誤差は、カラムの長さ、内径、カラムから検出器までの長さや取り回しなどに影響され、装置構成により異なる。
このため、前記セルロースアセテートの組成分布半値幅は、通常、下記式で表される補正式に基づいて、補正値Zとして求めることができる。このような補正式を用いると、測定装置(および測定条件)が異なっても、同じ(ほぼ同じ)値として、より正確な組成分布半値幅を求めることができる。
Z=(X−Y1/2
(式中、Xは所定の測定装置および測定条件で求めた組成分布半値幅(未補正値)、Yは前記Xと同じ測定装置および測定条件で求めたセルロースのヒドロキシル基の全てがアセチル化されたセルロースアセテートの組成分布半値幅を示す。)
セルロースのヒドロキシル基の全てがアセチル化されたセルロースアセテート(例えば、酢化度62.5%のセルローストリアセテート)は、セルロースのアシル化後であって、熟成前において得られる脱アシル化されていない完全置換物に相当し、実際には(又は理想的には)組成分布半値幅を有しない(すなわち、組成分布半値幅0の)セルロースアセテートである。
[6位置換度]
本開示に係るセルロースアセテートの6位置換度は、0.92以上であることが好ましく、0.93以上であることがより好ましく、0.94以上であることがさらに好ましい。上限値は、特に限定されないが、0.98以下が好ましい。6位置換度が0.92以上であることにより、N−メチルピロリドン(NMP)等の紡糸溶媒に対する溶解性を高く保つことができ、中空糸製膜時の糸切れが減少する。
6位置換度は、以下の方法により測定することができる。セルロースアセテートのグルコース環の2位、3位、6位の各アセチル置換度は、手塚(Tezuka, Carbonydr. Res. 273, 83(1995))の方法に従いNMR法で測定できる。すなわち、セルロースアセテートの遊離水酸基をピリジン中で無水プロピオン酸によりプロピオニル化する。得られた試料を重クロロホルムに溶解し、13C−NMRスペクトルを測定する。アセチル基の炭素シグナルは169ppmから171ppmの領域に高磁場から2位、3位、6位の順序で、そして、プロピオニル基のカルボニル炭素のシグナルは、172ppmから174ppmの領域に同じ順序で現れる。それぞれ対応する位置でのアセチル基とプロピオニル基の存在比から、元のセルロースジアセテートにおけるグルコース環の2位、3位、6位の各アセチル置換度を求めることができる。また、アセチル置換度は、13C−NMRのほか、1H−NMRで分析することもできる。
[総硫酸濃度]
本開示に係るセルロースアセテートの総硫酸濃度は、40〜150ppmであることが好ましく、50〜140ppmであることがより好ましく、60〜130ppmであることがさらに好ましい。総硫酸濃度が上記範囲にあることにより、溶解時の熱への安定性を損なうことなく、十分な塩除去率が得られる。
総硫酸濃度は、以下の方法により求めることができる。乾燥したセルロースエステルを1300℃の電気炉で焼き、昇華した亜硫酸ガスを10%過酸化水素水にトラップし、規定水酸化ナトリウム水溶液にて滴定し、SO 2− 換算の量を総硫酸量として測定する。総硫酸濃度は、絶乾状態のセルロースエステル1g中の総硫酸量としてppm単位で表される。
[セルロースアセテートの製造]
セルロースアセテート製造方法について詳述する。本開示に係るセルロースアセテートは、パルプを解砕する工程、前処理する工程、エステル化する工程、加水分解する工程、沈殿する工程、および安定剤を添加する工程、とを有する一連の工程を経ることにより製造することができる。なお、一般的なセルロースアセテートの製造方法については、「木材化学」(上)(右田ら、共立出版(株)1968年発行、第180頁〜第190頁)を参照できる。
(パルプ)
本開示のセルロースアセテートの製造方法においてパルプのα−セルロース含有率は、98.0重量%以上であることが好ましく、98.2重量%以上であることがより好ましく、98.4重量%以上であることがさらに好ましい。上限値は、特に限定されない。98.0重量%未満であると、セルロースアセテートの不純物量が増え、ろ過度Kwが大きくなり、中空糸製膜時の糸切れが増加し、製膜が困難となる場合がある。
パルプのカルボキシル基量が1.0meq/100g以上であることが好ましく、1.1〜2.5meq/100gであることがより好ましく、1.2〜1.6meq/100gであることがさらに好ましい。カルボキシル基量が1.0meq/100g未満であると、特に得られるセルロースアセテートを中空糸膜に用いる場合に、塩除去率および透水性に劣る場合がある。2.5meq/100gを超えると、特に得られるセルロースアセテートを中空糸膜に用いる場合に、同じく塩除去率および透水性に劣る場合がある。
パルプのカルボキシル基量は、TAPPI Standard T237 om−83などの種々の方法により測定することができる。
パルプの含水率は、5.0〜9.0重量%であることが好ましく、6.0〜8.0重量%であることがより好ましく、6.5〜7.5重量%であることがさらに好ましい。パルプの含水率が低すぎるとパルプの反応性が著しく悪化する。また、含水率が高すぎると反応に使用する無水酢酸を過剰に使用する必要がありコスト面で不利となる。。
含水率は、以下の方法により測定することができる。パルプの水分は、例えばケット水分計(METTLER TOLEDO HB43)を用いて測定することができる。ケット水分計のアルミ受け皿に含水状態の試料約2.0gを乗せ、重量が変化しなくなるまで120℃で加熱することで加熱前後の重量変化から試料中の水分(重量%)が算出できる。
本開示のセルロースアセテートの製造方法に用いるパルプとしては、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)や綿花リンターなどが使用できる。これらのセルロースは単独で又は二種以上組み合わせてもよく、例えば、針葉樹パルプと、綿花リンター又は広葉樹パルプとを併用してもよい。
木材パルプは、後述の好ましいカルボキシル基量を有する場合が多く、原料の安定供給及びリンターに比べコスト的に有利であるため、好ましい。木材パルプとしては、例えば、広葉樹前加水分解クラフトパルプ等が挙げられる。
(解砕)
パルプの解砕工程においては、例えば、ディスクリファイナーを用いて乾式で解砕することができる。特に、パルプがシート状の形態で供給されるなど、以降の工程で取扱いにくい場合は、パルプを乾式で解砕する工程を経ることが好ましい。
(前処理)
前処理工程においては、解砕したパルプと酢酸、または含硫酢酸とを接触させる。酢酸は、96〜100重量%酢酸を用いることができ、、含硫酢酸は、硫酸を含む酢酸であり、1〜10重量%の硫酸を含むことが好ましい。
酢酸、または含硫酢酸は、パルプ100重量部に対して、好ましくは10〜500重量部の割合で接触させることができる。
また、パルプに酢酸及び/または含硫酢酸を接触させる方法としては、例えば、酢酸及び/または含硫酢酸を一段階で添加する方法、または、酢酸を添加して一定時間経過後、含硫酢酸を添加する方法、含硫酢酸を添加して一定時間経過後、酢酸を添加する方法等の酢酸、または含硫酢酸を2段階以上に分割して添加する方法等が挙げられる。接触の具体的手段としては、酢酸及び/または含硫酢酸をパルプに噴霧してかき混ぜる方法が挙げられる。
酢酸、または含硫酢酸は、あらかじめ17〜40℃に調整しておくことが好ましく、20〜40℃がより好ましい。
そして、前処理は、パルプに酢酸及び/または含硫酢酸を添加した後、例えば、17〜40℃下で0.2〜48時間静置する、または17〜40℃下で0.1〜24時間密閉及び攪拌すること等により行うことができる。
(エステル化)
エステル化工程においては、前処理したパルプを酢酸および無水酢酸の混合溶液と接触させてパルプを無水酢酸でエステル化する。混合溶液には、硫酸を含むことが好ましい。当該混合溶液に、前処理したパルプを添加すること、または前処理したパルプに、当該混合溶液および硫酸を添加すること等によりエステル化を開始することができる。エステル化工程において、酢酸は、96〜100重量%酢酸を用いることができ、硫酸は、濃硫酸であることが好ましい。
また、酢酸および無水酢酸の混合溶液を調整する場合、酢酸および無水酢酸とが含まれていれば、特に限定されないが、酢酸および無水酢酸の割合としては、酢酸300〜600重量部に対し、無水酢酸200〜400重量部であることが好ましく、酢酸350〜530重量部に対し、無水酢酸240〜280重量部であることがより好ましい。
エステル化反応における、パルプ、酢酸および無水酢酸の混合溶液、および硫酸の割合としては、パルプ100重量部に対して、酢酸および無水酢酸の混合溶液は500〜1000重量部であることが好ましく、硫酸は5〜15重量部であることが好ましく、7〜13重量部であることがより好ましく、8〜11重量部であることがさらに好ましい。
パルプについて、エステル化反応の反応系の温度の制御は、主には添加する無水酢酸及び酢酸の温度により制御される。エステル化反応は発熱反応であるので、添加された無水酢酸が融解するときに吸熱する融解熱とエステル化の反応熱のバランスにより、反応系の温度は決定される。反応機を外部から冷却したりあるいは加温したりするジャケットを用いることもできるが、パルプは固体であり一次セルロースも粘調な流体であり熱容量が高く、断熱性が高いために均一に温度を制御することが困難である。このため、エステル化反応の反応温度の制御は、添加する無水酢酸および酢酸の温度を制御することにより行うことが好ましい。
パルプと接触させる酢酸および無水酢酸の混合溶液は、パルプと接触させる前にあらかじめ氷点下10℃〜氷点下3℃に冷却しておくことが好ましく、氷点下10℃〜氷点下5℃であることがより好ましく、氷点下9℃〜氷点下7℃であることがさらに好ましい。後述するように、前処理したパルプを酢酸および無水酢酸の混合溶液と接触させた時点から50分未満までに反応系の温度を48〜55℃の間のピーク温度に到達することが容易となるためである。
エステル化工程においては、前記前処理したパルプを酢酸および無水酢酸の混合溶液と接触させた時点から50分未満までに反応系の温度が48〜55℃の間のピーク温度に到達させる。ここで、ピーク温度とは、エステル化工程で最も温度が上がった時点の温度をいい、ピーク時間とは、前記前処理したパルプを酢酸および無水酢酸の混合溶液と接触させた時点からピーク温度に達する時間をいう。また、反応系の温度は、工程中の温度計により測定することができる。
さらに、エステル化工程においては、前記前処理したパルプを酢酸および無水酢酸の混合溶液と接触させた時点から70分未満までに反応系の温度が前記ピーク温度より5℃低下する。このようにして得られたセルロースアセテートによれば、中空糸膜に用いる場合に、優れた塩除去率と透水性を有する中空糸膜を製造することができる。
エステル化工程においては、機体のジャケット部にブライン等を冷通するなど、エステル化工程の反応系の温度を調整する手段を設けることが好ましい。これにより、前記前処理したパルプを酢酸および無水酢酸の混合溶液と接触させた時点から70分未満までに反応系の温度が前記ピーク温度より5℃低下させることが容易となる。
エステル化時間は、90〜280分であることが望ましい。ここで、エステル化時間とは、前処理したパルプと酢酸および無水酢酸の混合溶液とを接触させた時点から中和剤添加までの時間をいう。
(加水分解)
加水分解工程は、中和剤を添加して、前記エステル化により得られたセルロースアセテートを加水分解するものである。エステル化反応停止して加水分解を開始するために水、希酢酸、又は酢酸マグネシウム水溶液などの中和剤を添加する。
前記エステル化反応において硫酸を用いる場合、前記エステル化反応により硫酸エステルとしてセルロースに結合した硫酸を、熱安定性向上のためケン化して除去する。
中和剤として水を用いる場合は、セルロースアセテートを含む反応混合物中に存在する無水酢酸と反応して酢酸を生成させ、加水分解工程後のセルロースアセテートを含む反応混合物の水分量が酢酸に対し5〜70mol%になるように添加することができる。5mol%未満であると、加水分解反応が進まず解重合が進み、低粘度のセルロースアセテートとなり、70mol%を超えると、エステル化反応終了後のセルロースアセテートが析出し加水分解反応系から出るため、析出したセルロースエステルの加水分解反応が進まなくなる。
ここで、希酢酸とは、1〜50重量%の酢酸水溶液をいう。また、酢酸マグネシウム水溶液は、5〜30重量%であることが好ましい。
また、セルロースアセテートを含む反応混合物における硫酸イオン濃度が高いと効率よく硫酸エステルを除去することができないため、酢酸マグネシウム等の酢酸のアルカリ土類金属塩の水溶液又は酢酸−水混合溶液を添加して不溶性の硫酸塩を形成させることにより、硫酸イオン濃度を低下させることが好ましい。セルロースアセテート100重量部(セルロース換算)に対し、セルロースアセテートを含む反応混合物の硫酸イオンを1〜6重量部に調整することが好ましい。なお、例えば、セルロースアセテートを含む反応混合物に酢酸マグネシウムの酢酸−水混合溶液を添加することにより、エステル化反応の停止とセルロースアセテート100重量部(セルロース換算)に対する硫酸イオンの重量比の低下とを同時に行うこともできる。
加水分解時間は、特に限定されないが、平均酢化度を61.4〜62.0%に調整する場合、例えば、40〜70分間行う。ここで、加水分解時間は、中和剤の投入開始から加水分解反応停止までの時間をいう。
また、加水分解は、好ましくは45〜65℃、特に好ましくは50〜60℃の反応系の温度で40〜70分間保持することにより行う。
加水分解工程においては、水と無水酢酸との反応熱を利用することによって、反応系全体を均一でかつ適正な温度に保持することができるため、平均酢化度が高すぎるものや低すぎるものが生成することが防止される。
(沈殿)
沈殿工程は、前記加水分解によりアセチル置換度が調整されたセルロースアセテートを沈殿するものである。
例えば、セルロースアセテートを含む混合物と水、希酢酸、又は酢酸マグネシウム水溶液等の沈澱剤とを混合し、生成したセルロースアセテート(沈澱物)を分離して沈殿物を得ることができる。ここで、セルロースアセテートの沈殿物を得る際に用いる沈澱剤としては、水または希酢酸が好ましい。セルロースアセテートを含む反応混合物中の硫酸塩を溶解し、沈澱物として得られるセルロースアセテート粉体中の硫酸塩を除去しやすいためである。
セルロースアセテートを含む反応混合物と沈澱剤を混合する具体的な手段としては、セルロースアセテートを含む反応混合物を直径1〜5mm程度の糸状に押し出し、沈澱剤と接触させることで凝固させ、回転式カッターを使用して細断した後に撹拌する方法、またはセルロースアセテートを含む反応混合物に沈澱剤を添加し、二軸ニーダーを用いて練り込む方法などが挙げられる。
(安定剤添加)
セルロースアセテートを沈殿させた後、沈澱したセルロースアセテートに安定剤を添加する。加水分解反応の後(完全中和の後)、セルロースアセテートの熱安定性を高めるためである。安定剤として、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物、特に水酸化カルシウムなどのカルシウム化合物が好ましい。
安定剤の添加量は、時々の運転状況によって変わるが、例えばセルロースアセテートを含む反応混合物と0.2〜1.0%に調整した水酸化カルシウム水溶液を100:1〜10の体積比で添加することが好ましい。
当該安定剤の添加は、前記沈澱物を水洗により遊離の金属成分や硫酸成分などを除去する際に併せて行ってもよい。
前記安定剤を添加する工程の後、セルロースアセテートを、乾燥させることが好ましい。その方法としては特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、送風や減圧などの条件下乾燥を行うことができる。乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥が挙げられる。
また、セルロースアセテートを乾燥させた後、セルロースアセテートを、粉砕してもよい。粉砕は、慣用の粉砕機、例えば、サンプルミル、ハンマーミル、ターボミル、アトマイザー、カッターミル、ビーズミル、ボールミル、ロールミル、ジェットミル、ピンミルなどを用いることができる。また、凍結粉砕、常温での乾式粉砕、または湿式粉砕でもよい。
本開示のセルロースアセテートは、紡糸することにより中空糸膜等に成形することができ、当該中空糸膜は、超純水の製造や海水の淡水化に用いるRO膜及びFO膜、微生物の除去や海水淡水化の前処理に用いるUF膜等に使用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によりその技術的範囲が限定されるものではない。
後述する実施例に記載の各物性は、以下のとおり評価した。
カルシウム含量およびマグネシウム含量、カルシウムとマグネシウムとの合計含量、6%粘度、ろ過度Kw、分子量分布Mw/Mn、6位置換度、総硫酸濃度、および組成分布半値幅は、前記の方法により測定した。
<酢化度>
ASTM−D−817−91(セルロースアセテートなどの試験方法)における酢化度の測定および計算方法により求めた。
乾燥したセルロースアセテート1.9gを精秤し、アセトンとジメチルスルホキシドとの混合溶媒(容量比4:1)150mLに溶解した後、1N−水酸化ナトリウム水溶液30mLを添加し、25℃で2時間ケン化する。フェノールフタレインを指示薬として添加し、1N−硫酸(濃度ファクター:F)で過剰の水酸化ナトリウムを滴定する。また、上記と同様の方法でブランク試験を行い、下記式に従って平均酢化度を算出する。
平均酢化度(%)=[6.5×(B−A)×F]/W
(式中、Aは試料での1N−硫酸の滴定量(mL)、Bはブランク試験での1N−硫酸の滴定量(mL)、Fは1N−硫酸の濃度ファクター、Wは試料の重量を示す)。
<中空膜の内径、外径および中空率>
中空糸膜の内径、外径および膜厚は、中空糸膜をスライドグラスの中央に開けられたφ3mmの孔に中空糸膜が抜け落ちない程度に適当本数通し、スライドグラスの上下面に沿ってカミソリにより中空糸膜をカットし、中空糸膜断面サンプルを得た後、投影機Nikon PROFILE PROJECT ORV−12を用いて中空糸膜断面の短径、長径を測定することにより得られる。中空糸膜断面1個につき2方向の短径、長径を測定し、それぞれの算術平均値を中空糸膜断面1個の内径および外径とし、膜厚は(外径−内径)/2で算出した。5つの断面について同様に測定を行い、平均値を内径、外径、膜厚とした。中空率(%)は下記式より算出した。
中空率(%)=(内径/外径)×100(%)
<緻密層厚み>
中空糸膜を水洗した後、25℃の2−プロパノール(和光純薬社)、シクロヘキサン(和光純薬社)の順に1時間ずつ浸漬して溶媒置換を行った。溶媒置換後の中空糸膜を液切りし、庫内温度50℃、庫内圧力−40Paの真空乾燥機(Yamato Vacuum Drying Oven DP33)で24時間乾燥した。乾燥して得られた中空糸膜を樹脂包埋して中空糸膜断面が観察できるようにミクロトーム(REICHERT−NISSEI ULTRACUT)を用い切片を切り出した。切り出した切片を微分干渉顕微鏡(Nikon社製 OPTIPHOT鏡基、反射型微分干渉装置NR)で観察した。得られた顕微鏡画像より、10箇所の緻密層厚みを測定し、それらの平均値を緻密層厚みとした。
<透水性>
中空糸膜を束ねて、プラスチック製スリーブに挿入した後、熱硬化性樹脂をスリーブに注入し、硬化させ封止した。熱硬化性樹脂で硬化させた中空糸膜の端部を切断することで中空糸膜の開口面を得て、外径基準の膜面積がおよそ0.1mの評価用モジュールを作製した。この評価用モジュールを供給水タンク、ポンプからなる膜性能試験装置に接続し、透水性を評価した。
塩化ナトリウム濃度1500mg/Lの供給水溶液を、25℃、圧力1.5MPaで中空糸膜の外側から内側へ向かって1時間ろ過した。その後、中空糸膜の開口面より膜透過水を採取して、電子天秤(METTLER TOLEDO社 PG5002−S DeltaRange)で透過水量を測定した。透水量を下記式より算出した。
透水量(L/m/日)=透過水量(L)/外径基準膜面積(m)/膜透過水を採取した時間(採取時間)(分)×(60(分)×24(時間))
<塩除去率>
透水性の評価にて採取した膜透過水、および透水量の評価で使用した塩化ナトリウム濃度1500mg/Lの供給水溶液から、電気伝導率計(東亜ディーケーケー社 CM−25R)で塩化ナトリウム濃度を測定した。塩除去率は下記式より算出した。
塩除去率(%)=(1−膜透過水塩濃度(mg/L)/供給水溶液塩濃度(mg/L))×100
(実施例1)
αセルロース含量98.4重量%、カルボキシル基量1,1〜2.5meq/100g広葉樹前加水分解クラフトパルプをディスクリファイナーで綿状に解砕した。前処理工程として100重量部の解砕パルプ(含水率7.0%)に25℃に保った33重量部の酢酸を噴霧し、良くかき混ぜた後、2時間静置し活性化した。
エステル化工程として、前処理により活性化したパルプを、364重量部の酢酸、244重量部の無水酢酸、6.6重量部の濃硫酸からなる混合溶液に加えた。当該混合溶液はあらかじめ氷点下8.9℃に冷却しておいた。パルプを混合溶液に加えた時点を基準に、48分を要して氷点下8.9℃から50.9℃のピーク温度に調整し、65分後にピーク温度より5℃低下させた。パルプを混合溶液に加えた時点から152分後に中和剤(24重量%酢酸マグネシウム)を添加し始め、硫酸量(熟成硫酸量)が3.7重量部に調整されるように添加し、エステル化工程を終了した。さらに、加水分解工程として、反応浴を50.9℃に昇温して、50分間加水分解を行った。酢酸マグネシウムで硫酸を中和することで加水分解反応を停止し、セルロースアセテートを含む反応混合物を得た。なお、パルプを混合溶液に加えた時点から中和剤を添加するまでの時間をエステル化時間とする。
セルロースアセテートを含む反応混合物100重量部に対し、10%希酢酸水溶液約300重量部にて沈澱させた。水洗した後、安定剤として水酸化カルシウムを添加し、濾別し乾燥することにより、セルロースアセテートを得た。得られたセルロースアセテートについて、各物性を測定した結果は、表1に示す。
得られたセルロースアセテート44重量部、1−メチル−2−ピロリドン(NMP、和光純薬社)47.3重量部、エチレングリコール(EG、和光純薬社)8.4重量部、安息香酸(ナカライテスク社)0.3重量部を180℃の加熱条件下で溶解させ、製膜原液を得た。得られた製膜原液を減圧脱泡させた後、アーク型ノズルより163℃で外気と遮断された空間中に吐出し、約0.03秒を経て、NMP/EG/水=4.25/0.75/95.0(重量部比)からなる7℃の凝固溶液に浸漬して中空糸膜とした。続いて中空糸膜の洗浄を実施し、湿潤状態のまま60℃の水に浸漬し、アニーリングを実施した。得られた中空糸膜は内径が90μm、外径が150μm、中空率は36.0%であった。
得られた中空糸膜を用いて長さ1000mmの評価用モジュールを作製し、透水量(L/m/日)および塩除去率(%)を測定した。結果は表1に示す。
(実施例2〜4、比較例1〜9)
表1に示すとおりに条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、セルロースアセテートを得た。得られたセルロースアセテートについて、各物性を測定した結果は、表1に示す。
次に、得られたセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様にして、中空糸膜を得、評価用モジュールを作製し、透水量(L/m/日)および塩除去率(%)を測定した。結果は表1に示す。ただし、比較例7については、中空糸膜が製造できなかったため、測定しなかった。
(比較例10)
重量比で、実施例3で得られたセルロースアセテートを2、および比較例1で得られたセルロースアセテートを1の割合で混合してセルロースアセテートを得た。得られたセルロースアセテートについて、各物性を測定した結果は、表1に示す。
次に、得られたセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様にして、中空糸膜を得、評価用モジュールを作製し、透水量(L/m/日)および塩除去率(%)を測定した。結果は表1に示す。
Figure 0006557362

Claims (7)

  1. カルシウムとマグネシウムとの合計含量が2.8〜3.5μmol/g、
    6%粘度が40〜80mPa・s、
    ろ過度Kwが35g−1以下、
    分子量分布Mw/Mnが3.00以下、
    かつ酢化度が61.3〜62.3%である、セルロースアセテート。
  2. ろ過度Kwが30g−1以下である、請求項1に記載のセルロースアセテート。
  3. カルシウム含量が80〜200ppmである、請求項1または2に記載のセルロースアセテート。
  4. 組成分布半値幅が1.0%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルロースアセテート。
  5. 6位置換度が0.92以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルロースアセテート。
  6. 総硫酸濃度が40〜150ppmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロースアセテート。
  7. カルボキシル基量が1.0meq/100g以上のパルプを解砕する工程、
    前記解砕したパルプと酢酸、または含硫酢酸とを接触させて前処理する工程、
    前記前処理したパルプを酢酸および無水酢酸の混合溶液と接触させて無水酢酸でエステル化する工程、
    中和剤を添加して、前記エステル化により得られたセルロースアセテートを加水分解する工程、
    前記加水分解によりアセチル置換度が調整されたセルロースアセテートを沈殿する工程、
    および、前記沈澱したセルロースアセテートに安定剤を添加する工程を有するセルロースアセテートの製造方法において、
    前記混合溶液が、氷点下10℃〜氷点下3℃の間であり、
    前記エステル化工程において、前記前処理したパルプを酢酸および無水酢酸の混合溶液と接触させた時点から50分未満までに反応系の温度が48〜55℃の間のピーク温度に到達し、前記時点から70分未満までに反応系の温度が前記ピーク温度より5℃低下する、セルロースアセテートの製造方法。
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