JP6557362B2 - セルロースアセテートおよびセルロースアセテートの製造方法 - Google Patents
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Description
本開示のセルロースアセテートに含まれるカルシウムおよびマグネシウムは、セルロースアセテート製造時に使用される中和剤、安定剤、または洗浄水に由来する部分が多く、例えばセルロースアセテートフレーク表面への付着、セルロース繊維に含まれるカルボキシル基や製造時に形成された硫酸エステル部位との静電相互作用により存在している。
6%粘度は、乾燥試料3.00gを、ジクロロメタン/メタノール=91/9混合溶液61.67gで溶解させた6wt/vol%の溶液をオストワルド粘度計を使用して測定した粘度である。
6%粘度(mPa・s)=流下時間(s)×粘度計係数
粘度計係数={標準液絶対粘度(mPa・s)×溶液の密度(0.827g/cm3)}/{標準液の密度(g/cm3)×標準液の流下秒数(s)}
ろ過度は、所定の濾布上での目詰まりの度合いである。本開示のセルロースアセテートのろ過度Kwは、35g−1以下であり、30g−1以下であることが好ましく、20g−1以下であることがより好ましい。ろ過度Kwが35g−1を超えると、特に中空糸膜に用いる場合に、中空糸製膜時の糸切れが増加し、製膜が困難となる。
本開示のセルロースアセテートの分子量分布(重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した分子量分布Mw/Mn)は3.00以下であり、2.90以下であることが好ましい。下限値は、特に限定されないが、1.0以上が好ましい。分子量分布Mw/Mnが3.00を超えると十分な透水性が得られない場合がある。
溶媒:ジクロロメタン
カラム:TSKgel GMHXL(7.8×300mm)二本
ガードカラム:TSKgel guardcolumn HXL−H
試料濃度:2000ppm
流量:0.8mL/min
試料注入量:100μL
標準試料:PMMA(分子量1850、7360、29960、79500、201800、509000、625500)
カラム温度:28℃
分子量分布=Mw/Mn
Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量
本開示のセルロースアセテートの平均酢化度は、61.3〜62.3%であり、61.4〜62.0%であることが好ましく、61.6〜61.8%であることがより好ましい。61.3%未満であると、特に中空糸膜に用いる場合に、微生物による分解が早くなり中空糸寿命が短縮されやすくなり、62.3%を超えると、特に中空糸膜に用いる場合に製膜前の溶解工程における溶解性が悪化しやすくなる。
本開示のセルロースアセテートにおける、組成分布半値幅とは、酢化度を横軸(x軸)に、この酢化度における存在量を縦軸(y軸)としたとき、チャートのピークの高さの半分の高さにおけるチャートの幅であり、分布のバラツキの目安を表す指標である。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析を用いる。すなわち、異なる酢化度を有する複数のセルロースエステルを標準試料として用いて所定の測定装置および測定条件でHPLC分析を行い、これらの標準試料の分析値を用いて作成した較正曲線[セルロースエステルの存在量と、酢化度との関係を示す曲線、通常、二次曲線(特に放物線)]から、組成分布半値幅を求めることができる。高速液体クロマトグラフィーシステムとしては、例えば、Agilent 1100 Seriesを用いることができる。検出器としては、例えば、Varian 380−LCを用いることができる。このような高速液体クロマトグラフィーの測定条件は以下の通りである。
溶媒1:メタノール/水=8/1(vol/vol)
溶媒2:クロロホルム/メタノール=9/1(vol/vol)
溶媒1/溶媒2=8/2の条件から開始し、28分間かけて溶媒1/溶媒2=0/10の組成に徐々に変化させる。その後、8分間同条件にて溶離を行う。
カラム:Waters Nova−Pak Phenyl 60Å 4μm(150mm×3.9mmφ)
ガードカラム:Waters Nova−Pak Phenyl 4μm
試料濃度:1000ppm
流量:0.7mL/min
試料注入量:15μL
標準試料:異なる酢化度を有する複数のセルロースエステル
カラム温度:30℃
酢化度=aT2+bT+c
(式中、Tは溶出時間であり、a、bおよびcは変換式の係数である)
(式中、Xは所定の測定装置および測定条件で求めた組成分布半値幅(未補正値)、Yは前記Xと同じ測定装置および測定条件で求めたセルロースのヒドロキシル基の全てがアセチル化されたセルロースアセテートの組成分布半値幅を示す。)
本開示に係るセルロースアセテートの6位置換度は、0.92以上であることが好ましく、0.93以上であることがより好ましく、0.94以上であることがさらに好ましい。上限値は、特に限定されないが、0.98以下が好ましい。6位置換度が0.92以上であることにより、N−メチルピロリドン(NMP)等の紡糸溶媒に対する溶解性を高く保つことができ、中空糸製膜時の糸切れが減少する。
本開示に係るセルロースアセテートの総硫酸濃度は、40〜150ppmであることが好ましく、50〜140ppmであることがより好ましく、60〜130ppmであることがさらに好ましい。総硫酸濃度が上記範囲にあることにより、溶解時の熱への安定性を損なうことなく、十分な塩除去率が得られる。
セルロースアセテート製造方法について詳述する。本開示に係るセルロースアセテートは、パルプを解砕する工程、前処理する工程、エステル化する工程、加水分解する工程、沈殿する工程、および安定剤を添加する工程、とを有する一連の工程を経ることにより製造することができる。なお、一般的なセルロースアセテートの製造方法については、「木材化学」(上)(右田ら、共立出版(株)1968年発行、第180頁〜第190頁)を参照できる。
本開示のセルロースアセテートの製造方法においてパルプのα−セルロース含有率は、98.0重量%以上であることが好ましく、98.2重量%以上であることがより好ましく、98.4重量%以上であることがさらに好ましい。上限値は、特に限定されない。98.0重量%未満であると、セルロースアセテートの不純物量が増え、ろ過度Kwが大きくなり、中空糸製膜時の糸切れが増加し、製膜が困難となる場合がある。
パルプの解砕工程においては、例えば、ディスクリファイナーを用いて乾式で解砕することができる。特に、パルプがシート状の形態で供給されるなど、以降の工程で取扱いにくい場合は、パルプを乾式で解砕する工程を経ることが好ましい。
前処理工程においては、解砕したパルプと酢酸、または含硫酢酸とを接触させる。酢酸は、96〜100重量%酢酸を用いることができ、、含硫酢酸は、硫酸を含む酢酸であり、1〜10重量%の硫酸を含むことが好ましい。
エステル化工程においては、前処理したパルプを酢酸および無水酢酸の混合溶液と接触させてパルプを無水酢酸でエステル化する。混合溶液には、硫酸を含むことが好ましい。当該混合溶液に、前処理したパルプを添加すること、または前処理したパルプに、当該混合溶液および硫酸を添加すること等によりエステル化を開始することができる。エステル化工程において、酢酸は、96〜100重量%酢酸を用いることができ、硫酸は、濃硫酸であることが好ましい。
加水分解工程は、中和剤を添加して、前記エステル化により得られたセルロースアセテートを加水分解するものである。エステル化反応停止して加水分解を開始するために水、希酢酸、又は酢酸マグネシウム水溶液などの中和剤を添加する。
沈殿工程は、前記加水分解によりアセチル置換度が調整されたセルロースアセテートを沈殿するものである。
セルロースアセテートを沈殿させた後、沈澱したセルロースアセテートに安定剤を添加する。加水分解反応の後(完全中和の後)、セルロースアセテートの熱安定性を高めるためである。安定剤として、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物、特に水酸化カルシウムなどのカルシウム化合物が好ましい。
カルシウム含量およびマグネシウム含量、カルシウムとマグネシウムとの合計含量、6%粘度、ろ過度Kw、分子量分布Mw/Mn、6位置換度、総硫酸濃度、および組成分布半値幅は、前記の方法により測定した。
ASTM−D−817−91(セルロースアセテートなどの試験方法)における酢化度の測定および計算方法により求めた。
平均酢化度(%)=[6.5×(B−A)×F]/W
(式中、Aは試料での1N−硫酸の滴定量(mL)、Bはブランク試験での1N−硫酸の滴定量(mL)、Fは1N−硫酸の濃度ファクター、Wは試料の重量を示す)。
中空糸膜の内径、外径および膜厚は、中空糸膜をスライドグラスの中央に開けられたφ3mmの孔に中空糸膜が抜け落ちない程度に適当本数通し、スライドグラスの上下面に沿ってカミソリにより中空糸膜をカットし、中空糸膜断面サンプルを得た後、投影機Nikon PROFILE PROJECT ORV−12を用いて中空糸膜断面の短径、長径を測定することにより得られる。中空糸膜断面1個につき2方向の短径、長径を測定し、それぞれの算術平均値を中空糸膜断面1個の内径および外径とし、膜厚は(外径−内径)/2で算出した。5つの断面について同様に測定を行い、平均値を内径、外径、膜厚とした。中空率(%)は下記式より算出した。
中空率(%)=(内径/外径)2×100(%)
中空糸膜を水洗した後、25℃の2−プロパノール(和光純薬社)、シクロヘキサン(和光純薬社)の順に1時間ずつ浸漬して溶媒置換を行った。溶媒置換後の中空糸膜を液切りし、庫内温度50℃、庫内圧力−40Paの真空乾燥機(Yamato Vacuum Drying Oven DP33)で24時間乾燥した。乾燥して得られた中空糸膜を樹脂包埋して中空糸膜断面が観察できるようにミクロトーム(REICHERT−NISSEI ULTRACUT)を用い切片を切り出した。切り出した切片を微分干渉顕微鏡(Nikon社製 OPTIPHOT鏡基、反射型微分干渉装置NR)で観察した。得られた顕微鏡画像より、10箇所の緻密層厚みを測定し、それらの平均値を緻密層厚みとした。
中空糸膜を束ねて、プラスチック製スリーブに挿入した後、熱硬化性樹脂をスリーブに注入し、硬化させ封止した。熱硬化性樹脂で硬化させた中空糸膜の端部を切断することで中空糸膜の開口面を得て、外径基準の膜面積がおよそ0.1m2の評価用モジュールを作製した。この評価用モジュールを供給水タンク、ポンプからなる膜性能試験装置に接続し、透水性を評価した。
塩化ナトリウム濃度1500mg/Lの供給水溶液を、25℃、圧力1.5MPaで中空糸膜の外側から内側へ向かって1時間ろ過した。その後、中空糸膜の開口面より膜透過水を採取して、電子天秤(METTLER TOLEDO社 PG5002−S DeltaRange)で透過水量を測定した。透水量を下記式より算出した。
透水量(L/m2/日)=透過水量(L)/外径基準膜面積(m2)/膜透過水を採取した時間(採取時間)(分)×(60(分)×24(時間))
透水性の評価にて採取した膜透過水、および透水量の評価で使用した塩化ナトリウム濃度1500mg/Lの供給水溶液から、電気伝導率計(東亜ディーケーケー社 CM−25R)で塩化ナトリウム濃度を測定した。塩除去率は下記式より算出した。
塩除去率(%)=(1−膜透過水塩濃度(mg/L)/供給水溶液塩濃度(mg/L))×100
αセルロース含量98.4重量%、カルボキシル基量1,1〜2.5meq/100g広葉樹前加水分解クラフトパルプをディスクリファイナーで綿状に解砕した。前処理工程として100重量部の解砕パルプ(含水率7.0%)に25℃に保った33重量部の酢酸を噴霧し、良くかき混ぜた後、2時間静置し活性化した。
表1に示すとおりに条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、セルロースアセテートを得た。得られたセルロースアセテートについて、各物性を測定した結果は、表1に示す。
重量比で、実施例3で得られたセルロースアセテートを2、および比較例1で得られたセルロースアセテートを1の割合で混合してセルロースアセテートを得た。得られたセルロースアセテートについて、各物性を測定した結果は、表1に示す。
Claims (7)
- カルシウムとマグネシウムとの合計含量が2.8〜3.5μmol/g、
6%粘度が40〜80mPa・s、
ろ過度Kwが35g−1以下、
分子量分布Mw/Mnが3.00以下、
かつ酢化度が61.3〜62.3%である、セルロースアセテート。 - ろ過度Kwが30g−1以下である、請求項1に記載のセルロースアセテート。
- カルシウム含量が80〜200ppmである、請求項1または2に記載のセルロースアセテート。
- 組成分布半値幅が1.0%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルロースアセテート。
- 6位置換度が0.92以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルロースアセテート。
- 総硫酸濃度が40〜150ppmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロースアセテート。
- カルボキシル基量が1.0meq/100g以上のパルプを解砕する工程、
前記解砕したパルプと酢酸、または含硫酢酸とを接触させて前処理する工程、
前記前処理したパルプを酢酸および無水酢酸の混合溶液と接触させて無水酢酸でエステル化する工程、
中和剤を添加して、前記エステル化により得られたセルロースアセテートを加水分解する工程、
前記加水分解によりアセチル置換度が調整されたセルロースアセテートを沈殿する工程、
および、前記沈澱したセルロースアセテートに安定剤を添加する工程を有するセルロースアセテートの製造方法において、
前記混合溶液が、氷点下10℃〜氷点下3℃の間であり、
前記エステル化工程において、前記前処理したパルプを酢酸および無水酢酸の混合溶液と接触させた時点から50分未満までに反応系の温度が48〜55℃の間のピーク温度に到達し、前記時点から70分未満までに反応系の温度が前記ピーク温度より5℃低下する、セルロースアセテートの製造方法。
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