JP6543972B2 - 均一な触媒混合物を用いた1,2−ジクロロエタンの製造方法 - Google Patents

均一な触媒混合物を用いた1,2−ジクロロエタンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、均一な触媒混合物を用いた1,2−ジクロロエタンの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、エチレンから塩化ビニルモノマーの原料として有用な1,2−ジクロロエタンを高収率で製造する1,2−ジクロロエタン製造用均一触媒混合物を用いた1,2−ジクロロエタンの製造方法に関する。
塩化ビニルモノマー(VCM)の製造法のうち、バランスド・オキシクロリネーション・プロセスと呼ばれる方法、即ち、(1)エチレンの直接塩素化反応による1,2−ジクロロエタン(EDC)の製造、(2)EDCの熱分解反応によるVCMの製造、および(3)エチレンのオキシ塩素化反応によるEDCの製造、からなるプロセスが石油化学工業で広く採用されている。
このうち、エチレンのオキシ塩素化反応によるEDCの製造法は、EDCの熱分解反応で副生した塩化水素をリサイクルして利用する他、ウレタン原料であるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のジイソシアネート製造時に副生した塩化水素をリサイクルすることが可能であり、ますます重要な製造法として位置づけられている。
エチレンのオキシ塩素化反応によるEDCの製造法は、酸素原料として空気を用いる空気法、空気に少量の分子状酸素を用いる酸素富化法、および酸素原料として分子状酸素を用いる酸素法が知られており、エチレン、塩化水素および空気から1,2−ジクロロエタンを製造する方法は公知である(例えば特許文献1参照。)。エチレンのオキシ塩素化反応によるEDCの製造法が、固定床流通式触媒反応塔からなるオキシ塩素化触媒反応プロセスで行われる場合、本反応系が発熱反応であるため、反応床入口のように原料濃度が高いところでは、反応速度が高く、発熱量が多くなる。発熱によって触媒層が高温になりホットスポットが形成されると、そこでは副反応である燃焼反応による副生物の増加や急速な触媒劣化が進む問題が生じる。そのため、通常、固定床中でのホットスポットの形成を減少もしくは除去するために希釈材を用いている(例えば特許文献2〜5参照。)。
特公平05−007377号公報 特開昭61−293551号公報 特表2007−508134号公報 特開2000−254507号公報 特表2013−545597号公報
希釈材を用いる場合、触媒と希釈材を予め混合した触媒混合物を固定床流通式触媒反応塔へ充填する。その際、触媒混合物の反応塔長さ方向に対する混合比率が不均一だとホットスポットを形成する問題がある。また均一な触媒混合物を得るためには触媒と近い形状及びかさ密度を有する希釈材を選択する必要があった。このような希釈材の形状やかさ密度の制限は、経済的に不利なことである。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は触媒と希釈材の混合比率を反応塔長さ方向に対して均一に制御した触媒混合物を用いることでホットスポットを低減し、1,2−ジクロロエタンを長期間安定に製造する1,2−ジクロロエタンの製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、中空円筒形状を有するオキシ塩素化触媒と任意の形状を有する希釈剤の混合比率を、反応塔長さ方向に対して均一にして反応に用いる方法を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、固定床流通式触媒反応塔へ中空円筒形状のオキシ塩素化触媒と任意の形状を有する希釈材からなる触媒混合物を充填し、エチレン、塩化水素および酸素から1,2−ジクロロエタンを製造するオキシ塩素化触媒反応プロセスにおいて、反応塔長さ方向に対する触媒と希釈材の混合比率の標準偏差が3.7以下である触媒混合物を用いた1,2−ジクロロエタンの製造方法に関するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の1,2−ジクロロエタンの製造方法は、固定床流通式触媒反応塔へ長さx、外径y、内径z及びかさ密度ρを有する中空円筒形状のオキシ塩素化触媒と任意の形状を有する希釈材からなる触媒混合物を充填し、エチレン、塩化水素および酸素から1,2−ジクロロエタンを製造するオキシ塩素化触媒反応プロセスにおいて、反応塔長さ方向に対する触媒と希釈材の混合比率の標準偏差が3.7以下である触媒混合物を用いた1,2−ジクロロエタンの製造方法であることを特徴とする。
本発明において、中空円筒形状を有するオキシ塩素化触媒は中空円筒形状の多孔質担体に金属化合物が担持されている。多孔質担体としては、特に限定されないが、例えばアルミナ、シリカ、シリカ―アルミナ、ゼオライト、酸化チタン、酸化ジルコニウム、または酸化マグネシウムが挙げられる。これらのうち、触媒活性成分となる金属化合物との親和性が高いことから、アルミナが好ましく、その中でも細孔を有する多孔質アルミナ担体が好ましい。ここで、多孔質アルミナ担体には、触媒反応で差支えない限り、アルミナ原料に由来するケイ素若しくは鉄、離型剤等のカーボン又はシリカ若しくはチタンなどの添加剤が混合しても良い。このようなアルミナ担体は、いかなる方法により成形されても差し支えなく、例えば押出成形法または圧縮成形法により成形することができる。中空円筒形状の寸法に特に制限はなく、その中でも触媒活性に優れるものとなることから、中空円筒の長さxは3.0〜7.0mm、外径yは3.0〜7.0mm、内径zは1.0〜3.0mm、の円筒形状であることが好ましく、さらに長さxが4.0〜6.0mm、外径yが4.0〜6.0mm、内径zが1.5〜2.5mmであることが好ましい。中空円筒形状のかさ密度に特に制限はなく、中空円筒形状を有するオキシ触媒の真密度、および中空円筒形状の寸法に対する充填容器の形状および寸法によって決まる。例えば、中空円筒形状の寸法に対して、充填容器の寸法が十分に大きい場合では、かさ密度は高くなり、逆に中空円筒形状の寸法に対して、充填容器の寸法が十分に大きく無い場合では、空隙が増加し、かさ密度は小さくなる。
多孔質担体上に担持された金属化合物としては、特に限定されないが、例えば周期表1族、2族、11族が好ましく、金属化合物としては、特に限定されないが、金属塩化物が挙げられる。これらのうち、オキシ塩素化に特に高い活性を示すことから、塩化銅が好ましい。ここで塩化銅としては、塩化第一銅および/または塩化第二銅を挙げることができ、そのなかでも特に安定性に優れるオキシ塩素化触媒となることから塩化第二銅であることが好ましい。また、塩化銅の担持量としては、オキシ塩素化触媒が触媒として作用する限りにおいて如何なる制限はなく、そのなかでも触媒活性に優れるオキシ塩素化触媒となることから3〜25重量%であることが好ましく、さらに8〜20重量%であることが好ましい。
また、塩化銅と同時に他の金属塩化物を担持しても良い。担持する金属塩化物としては、特に限定されないが、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム等が挙げられ、これらのうち、オキシ塩素化触媒の安定性が高まることから、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化ナトリウムおよび塩化マグネシウムが好ましい。担持量としては、オキシ塩素化触媒が触媒として作用する限りにおいて如何なる制限はなく、その中でも塩化銅の安定性に寄与し触媒活性に優れるオキシ塩素化触媒となることから0.1〜20重量%であることが好ましく、さらに0.1〜10重量%であることが好ましい。また、本発明のオキシ塩素化触媒における塩化銅と塩化銅と同時に担持する金属塩化物の担持割合は、オキシ塩素化触媒が触媒として作用する限りにおいて如何なる制限はなく、その中でも触媒活性と安定性に優れるオキシ塩素化触媒となることから塩化銅1モルに対して金属塩化物0.1〜3モルの割合が好ましく、さらに0.1〜1.3モルであることが好ましい。
本発明において、希釈剤の材質は、オキシ塩素化反応に影響を及ぼさない限り特に限定されないが、グラファイトまたはセラミックであることが好ましい。グラファイトは除熱効果が大きいが、機械的な摩耗が起こる。セラミックは強度に優れるが除熱効果はグラファイトに対して小さい。
本発明において、希釈剤の形状は特に限定されないが、成形の容易さから中空円筒形状、円柱形状または球形が好ましい。中空円筒形状である場合、その寸法は特に限定されないが、長さがx±30%、外径がy±30%、内径がz±80%の寸法(mm)であり、かさ密度はρ±50%が好ましい。円柱状である場合、その寸法は特に限定されないが、長さがx±30%、外径がy±30%の寸法(mm)であり、かさ密度はρ±30%が好ましい。球状である場合、その寸法は特に限定されないが、外径がy±30%の寸法(mm)であり、かさ密度はρ±100%が好ましい。寸法がこの範囲であると圧力損失が小さく除熱効果が大きく、好ましい。中空円筒形状は圧力損失が小さく、反応器の圧力低減の観点で好ましい。円柱状及び球形状は強度に優れ、耐久性の観点で好ましい。
上記希釈材の成形方法は特に限定されないが、押出成形、打錠成形または転動成形法より任意に選ばれる。
本発明において、固定床流通式触媒反応塔へ中空円筒形状のオキシ塩素化触媒と任意の形状を有する希釈材からなる触媒混合物を充填する際、反応塔長さ方向の触媒と希釈材の混合割合の標準偏差が3.7以下となるよう充填する。この様な充填方法は特に限定されないが、例えば予め上下方向に細長い充填用袋へ触媒と希釈材を混合しておき、充填用袋の上部または下部から触媒混合物を反応塔へ落下させて充填する方法が挙げられる。この時、充填用袋の長さ方向の触媒と希釈材の混合割合が反応塔長さ方向の触媒と希釈材の混合割合になるため、充填用袋の長さ方向の触媒と希釈材の混合割合の標準偏差を3.7以下とすることで、反応塔の長さ方向の触媒と希釈材の混合比率の標準偏差を3.7以下とすることができる。また、触媒混合物を入れた充填用袋から反応塔へ落下させる際、1つの充填用袋から反応塔内の反応管1本分の触媒混合物を充填してもよく、または反応管1本分を複数の充填用袋で分割して充填してもよい。
上記の充填用袋への触媒混合物の調整方法は、特に限定されないが、例えば混合機による調整や人手による調整が挙げられる。生産性の観点から混合機による調整が好ましい。該混合機の構造は特に限定されないが、反応塔長さ方向の触媒と希釈材の混合比率を任意に制御可能な構造を有することが好ましい。該構造としては特に限定されないが、例えば触媒と希釈材をそれぞれ所定量ずつ別々の計量容器に計量し、計量容器から触媒と希釈材の粒をそれぞれ独立に1〜500粒/秒の速度で充填用袋へとフィードする構造が挙げられる。
反応塔の長さ方向の触媒と希釈材の混合比率の標準偏差の算出方法は、上記充填用袋の中に混合された触媒と希釈材を、充填用袋の長さ方向に3〜10区間に分割し、各分割区間毎の触媒と希釈材の混合比率を測定することにより標準偏差を算出する。この時の分割区間数は特に限定されないが、反応塔のサイズに応じて、反応塔に充填した際の充填長さが100〜400mmに相当する容量ずつに分割することがホットスポットを低減する観点から好ましい。充填用袋の長さ方向の触媒と希釈材の混合割合は、反応塔へ充填する際にそのまま反応塔長さ方向の触媒と希釈材の混合割合となる。触媒と希釈材の混合比率は、触媒粒と希釈材粒を選り分けて、それぞれの容量をメスシリンダーなどで測定することで測定することができる。
本発明は、オキシ塩素化触媒と希釈材からなり、オキシ塩素化触媒と希釈材の混合比率は発熱量を考慮して5:95〜100:0までの範囲で変更可能であり、通常、反応床入口のように原料濃度が高いところでは、希釈剤が多く、出口側では少ない、あるいはすべてオキシ塩素化触媒を使用する。触媒の混合比率が高いほど触媒当たりの1,2−ジクロロエタン生産量を減らすことができ、触媒運転寿命の観点で好ましい。
本発明において、エチレン、塩化水素および酸素を原料にして、オキシ塩素化反応による1,2−ジクロロエタンを製造する反応形式は固定床流通式である。反応温度は特に制限はされないが、一般的に運転時の温度上限は300℃である。300℃以上でオキシ塩素化反応を実施することは可能であるが、塩化銅の揮散により触媒運転寿命が著しく短くなり好ましくない。触媒運転寿命は触媒活性低下または選択性低下による1,2−ジクロロエタン生産能力の低下、またはプラントの圧力上昇によって制限され、工業的な観点から1年以上が好ましく、1年未満の触媒運転寿命では、触媒交換時期と各プラント機器のメンテナンス期間とが一致せず、生産性の低下となる。
反応圧力は特に制限されないが、通常、絶対圧で0.01〜2MPaであり、好ましくは0.05〜1MPaである。また、ガス時間空間速度(GHSV)は、1,2−ジクロロエタンへ効率的に転換できることから、好ましくは10hr−1〜10,000hr−1、さらに好ましくは30hr−1〜8,000hr−1である。ここで、ガス時間空間速度(GHSV)とは、単位触媒体積当たりの単位時間(hr)に対するエチレンの供給量を表すものである。
なお、エチレン、塩化水素および酸素は、そのまま用いても、不活性ガスで希釈して用いても良い。不活性ガスとしては特に制限されるものではないが、例えば窒素、ヘリウムまたはアルゴン等が挙げられ、これらの不活性ガスは単独で使用するのみならず、二種以上を混合して用いることも可能である。代表的な例として、原料の一つである酸素に空気を用いるいわゆる空気法、空気に酸素を追加して用いる酸素富化法、窒素などの不活性ガスを使用しない酸素法が、工業化プロセスとして広く採用され実施されている。本発明のオキシ塩素化触媒は、いずれのプロセスにも好適に使用することができる。
反応塔の材質は特に限定されず、例えばニッケル、ニッケル合金、ステンレス等が挙げられる。これらのうち、塩化水素への耐食性に優れることから、ニッケル及びニッケル合金が好ましい。
本発明の新規なオキシ塩素化触媒は、エチレンから塩化ビニルモノマーの原料として有用な1,2−ジクロロエタンを長期間安定に製造することが可能となり、工業的にも極めて有用である。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に実施例に用いた測定方法および反応評価方法を示す。
<触媒調製方法>
中空円筒形状のアルミナ担体(中空円筒の外径5.0mm、内径2.0mm、側面の長さ5.0mm)に水を十分に吸収させた。CuCl=224g/L、KCl=136g/Lの濃度の浸漬液80mLに前記のアルミナ担体30gを浸漬させた。室温で4時間浸漬した後、浸漬液からアルミナ担体を取り出し、マッフル炉を用いて100℃以上の温度で乾燥させた。その後、150〜400℃で8時間焼成し、円の外径5.0mm、内径2.0mm、側面の長さ5.0mmを有する中空円筒形状のオキシ塩素化触媒を調製した。下記の定量分析を行い、13%CuCl−5.5%KCl/アルミナ触媒であった。
<定量分析>
金属塩化物の定量は、走査型蛍光X線分析装置(理学製、(商品名)ZSX PrimusII)を用い、触媒約3gを粉砕、次いで加圧プレスで試料プレートを作製し、このプレートをRh管球、管電圧/管電流50kV/60mA、測定域はCuが45.00deg、Kが136.64degの測定条件で行った。
<かさ密度の算出>
かさ密度は内径30mmと高さ300mmの円柱状容器を用いて測定した。円柱状容器の高さ200±50mmとなる量のオキシ触媒または希釈材を一定速度で充填し、その高さおよび重量を測定した。これを5回繰り返し、5回測定の平均値から、かさ密度を算出した。
<標準偏差測定>
混合機により触媒と希釈材を均一混合した。充填用袋へ充填された触媒と希釈材を反応塔に充填した際の充填長さが100〜400mmに相当する容量ずつに分割し、各分割区間毎に触媒と希釈材それぞれの容量を100mlメスシリンダーで測定し、各区間毎の触媒と希釈材の混合比率を測定。得られた各区間毎の混合比率を用いて式(1)により標準偏差を算出した。
Figure 0006543972
σ:標準偏差
x:分割区間毎の触媒と希釈材の混合割合
m:各分割区間毎の触媒と希釈材の混合割合の平均
n:分割区間数
<反応評価>
オキシ塩素化触媒の反応評価は、ハステロイ製反応塔(内径21.2mm、長さ1500mm)を用いた固定床気相流通式反応装置を用いて実施した。ハステロイ製反応管の中段に、オキシ塩素化触媒と希釈材からなる触媒混合物を充填し、エチレン、塩化水素、分子状酸素および希釈用窒素を触媒層に供給した。ハステロイ製反応管は熱媒循環装置によるシリコンオイルでの加熱することによって反応転化率40%となる温度に制御し、20kPaの加圧条件下で行った。原料ガスはエチレン:塩化水素:酸素:窒素=1.0:2.0:0.2:0.9の組成でフィードし、触媒層の内温を測定した。反応転化率は出口ガス及び反応液を採取し、ガスクロマトグラフを用い、ガス成分および液成分を個別に分析して算出した。ガス成分は、ガスクロマトグラフ(島津製作所製、商品名:GC−1700)を用いて分析した。充填剤は、Waters社製PorapakQ(商品名)およびGLサイエンス社製MS−5A(商品名)を用いた。液成分は、ガスクロマトグラフ(島津製作所製、商品名:GC−1700)を用いて分析した。分離カラムは、キャピラリーカラム(GLサイエンス社製、商品名:TC−1)を用いた。
実施例1
外径5.0mm、内径2.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.7g/mlの中空円筒形触媒と外径6.0mm、内径3.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.6g/mlの中空円筒形カーボン希釈材からなる触媒混合物を充填用袋へ長さ方向の混合比率の標準偏差が3.7となるよう調整した。反応塔に充填した際の充填長さが100mmに相当する容量毎に10区間に分割し、各区間の触媒と希釈材の混合比率を測定した結果、表1に示す通り標準偏差3.7となった。この様に混合した触媒混合物をハステロイ製反応塔へ充填し、反応評価を行った結果、触媒層の最高温度は298.5℃となった。
実施例2
外径5.0mm、内径2.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.7g/mlの中空円筒形触媒と外径6.0mm、内径3.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.6g/mlの中空円筒形カーボン希釈材からなる触媒混合物を充填用袋へ長さ方向の混合比率の標準偏差が2.7となるよう調整した以外は実施例1と同様の方法を用いた。反応評価を行った結果、最高温度は286.8℃となった。
実施例3
外径5.0mm、内径2.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.7g/mlの中空円筒形触媒と外径6.0mm、内径3.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.6g/mlの中空円筒形カーボン希釈材からなる触媒混合物を充填用袋へ長さ方向の混合比率の標準偏差が1.6となるよう調整した以外は実施例1と同様の方法を用いた。反応評価を行った結果、最高温度は284.9℃となった。
実施例4
外径5.0mm、内径2.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.7g/mlの中空円筒形触媒と外径6.0mm、内径3.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.6g/mlの中空円筒形カーボン希釈材からなる触媒混合物を充填用袋へ長さ方向の混合比率の標準偏差が0.8となるよう調整した以外は実施例1と同様の方法を用いた。反応評価を行った結果、最高温度は283.4℃となった。
実施例5
外径5.0mm、内径2.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.7g/mlの中空円筒形触媒と外径5.0mm、内径2.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.7g/mlの中空円筒形カーボン希釈材からなる触媒混合物を充填用袋へ長さ方向の混合比率の標準偏差が2.4となるよう調整した以外は実施例1と同様の方法を用いた。反応評価を行った結果、最高温度は289.8℃となった。
実施例6
外径5.0mm、内径2.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.7g/mlの中空円筒形触媒と外径5.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.9g/mlの円柱形カーボン希釈材からなる触媒混合物を充填用袋へ長さ方向の混合比率の標準偏差が1.9となるよう調整した以外は実施例1と同様の方法を用いた。反応評価を行った結果、最高温度は289.9℃となった。
実施例7
外径5.0mm、内径2.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.7g/mlの中空円筒形触媒と外径6.4mm、内径3.1mm、長さ5.0mm、かさ密度1.0g/mlの中空円筒形セラミック希釈材からなる触媒混合物を充填用袋へ長さ方向の混合比率の標準偏差が3.2となるよう調整した以外は実施例1と同様の方法を用いた。反応評価を行った結果、最高温度は291.4℃となった。
実施例8
外径5.0mm、内径2.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.7g/mlの中空円筒形触媒と外径5.0mm、かさ密度1.3g/mlの球形セラミック希釈材からなる触媒混合物を充填用袋へ長さ方向の混合比率の標準偏差が3.5となるよう調整した以外は実施例1と同様の方法を用いた。反応評価を行った結果、最高温度は296.5℃となった。
比較例1
外径5.0mm、内径2.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.7g/mlの中空円筒形触媒と外径6.0mm、内径3.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.6g/mlの中空円筒形カーボン希釈材からなる触媒混合物を充填用袋へ長さ方向の混合比率の標準偏差が3.8となるよう調整した以外は実施例1と同様の方法を用いた。反応評価を行った結果、最高温度は301.1℃となり、実施例1よりも高いホットスポットが生じた。
比較例2
外径5.0mm、内径2.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.7g/mlの中空円筒形触媒と外径5.0mm、内径2.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.7g/mlの中空円筒形カーボン希釈材からなる触媒混合物を充填用袋へ長さ方向の混合比率の標準偏差が4.0となるよう調整した以外は実施例1と同様の方法を用いた。反応評価を行った結果、最高温度は302.0℃となり、実施例5よりも高いホットスポットが生じた。
比較例3
外径5.0mm、内径2.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.7g/mlの中空円筒形触媒と外径5.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.9g/mlの中空円柱形カーボン希釈材からなる触媒混合物を充填用袋へ長さ方向の混合比率の標準偏差が4.2となるよう調整した以外は実施例1と同様の方法を用いた。反応評価を行った結果、最高温度は304.2℃となり、実施例6よりも高いホットスポットが生じた。
比較例4
外径5.0mm、内径2.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.7g/mlの中空円筒形触媒と外径6.4mm、内径3.1mm、長さ5.0mm、かさ密度1.0g/mlの中空円筒形セラミック希釈材からなる触媒混合物を充填用袋へ長さ方向の混合比率の標準偏差が4.9となるよう調整した以外は実施例1と同様の方法を用いた。反応評価を行った結果、最高温度は305.8℃となり、実施例7よりも高いホットスポットが生じた。
比較例5
外径5.0mm、内径2.0mm、長さ5.0mm、かさ密度0.7g/mlの中空円筒形触媒と外径5.0mm、かさ密度1.3g/mlの球形セラミック希釈材からなる触媒混合物を充填用袋へ長さ方向の混合比率の標準偏差が5.5となるよう調整した以外は実施例1と同様の方法を用いた。反応評価を行った結果、最高温度は311.1℃となり、実施例8よりも高いホットスポットが生じた。
Figure 0006543972

Claims (7)

  1. 固定床流通式触媒反応塔へ長さx、外径y、内径z及びかさ密度ρを有する中空円筒形状のオキシ塩素化触媒と任意の形状を有する希釈材からなる触媒混合物を充填し、エチレン、塩化水素および酸素から1,2−ジクロロエタンを製造するオキシ塩素化触媒反応プロセスにおいて、反応塔長さ方向に対する触媒混合物の充填長さを100〜400mmで分割した際の各分割区間における触媒と希釈材の混合比率の標準偏差が3.7以下である触媒混合物を用い、前記希釈材の形状が長さx±30%、外径y±30%、内径z±80%、及びかさ密度ρ±50%の中空円筒形状又は外径y±30%、及びかさ密度ρ±100%の球状である、ことを特徴とする、1,2−ジクロロエタンの製造方法。
  2. 中空円筒形状を有するオキシ塩素化触媒の長さxが3〜7mmの範囲にある、請求項1に記載の1,2−ジクロロエタンの製造方法。
  3. 中空円筒形状を有するオキシ塩素化触媒の外径yが3〜7mmの範囲にある、請求項1又は2に記載の1,2−ジクロロエタンの製造方法。
  4. 中空円筒形状を有するオキシ塩素化触媒の内径zが1〜3mmの範囲にある、請求項1〜3のいずれかに記載の1,2−ジクロロエタンの製造方法。
  5. 前記希釈材がグラファイトまたはセラミックからなる請求項1〜4のいずれかに記載の1,2−ジクロロエタンの製造方法。
  6. 前記触媒混合物が、反応塔長さ方向に対する混合比率を任意に制御可能な構造を有する混合機を用いて得たものからなる請求項1〜のいずれかに記載の1,2−ジクロロエタンの製造方法。
  7. 反応塔に触媒混合物を充填長さ100〜400mmで分割充填を行ったものであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の1,2−ジクロロエタンの製造方法。
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