JP5130155B2 - 塩素の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固定床多管式反応器にて塩化水素を酸化する塩素の製造方法に関する。詳しくは、製造ロットが異なる複数の塩素製造用触媒を用いて工業的に安定的に塩素を製造する方法に関する。
塩素は、塩化ビニルやホスゲンなどの原料として有用であり、触媒存在下で塩化水素を酸化することによって得ることができる。そのような塩素の製造方法としては、例えば、反応管に塩素製造用触媒を充填して触媒充填層を形成し、該触媒充填層に塩化水素と酸素とを流通させる、いわゆる固定床反応方式による方法が知られている(特許文献1〜13参照)。
特開昭61−136902号公報 特開昭61−275104号公報 特開昭62−113701号公報 特開昭62−270405号公報 特開平9−67103号公報 特開平10−338502号公報 特開2000−229239号公報 特開2000−281314号公報 特開2002−79093号公報 特開2002−292279号公報 特開2004−181408号公報 特開2001−199710号公報 特開2006−142297号公報
固定床反応方式によって工業的スケールで塩化水素の酸化反応を行なう場合、一般に数千〜数万本の反応管を有する固定床多管式反応器が用いられる。その際、これら反応管の全てに触媒充填層を形成するには大量の塩素製造用触媒が必要となるため、一の製造ロットの触媒だけではまかないきれず、製造ロットが異なる複数の触媒が必要となる。
一方、塩化水素の酸化反応は59kJ/mol−塩素の発熱反応であることから、固定床反応方式においては触媒充填層にホットスポットが生じやすい。そのため、固定床多管式反応器における複数の反応管の触媒充填層を製造ロットが異なる触媒を使用して形成する場合には、たとえこれら複数の反応管が、温度が同じになるように温度制御されていたとしても、反応管ごとのホットスポットの温度にばらつきが生じてしまうことがあった。かかるばらつきが生じた場合、ホットスポットの温度が高い反応管を基準として温度制御(例えば熱媒体の温度設定)を行うと、ホットスポットの温度が低い反応管では充分な転化率が得られず、他方、ホットスポットの温度が低い反応管を基準として温度制御を行うと、ホットスポットの温度が高い反応管では反応温度が高くなりすぎて暴走してしまう懸念があった。
そこで、本発明の目的は、複数の製造ロットからなる触媒を使用して固定床多管式反応器にて塩化水素の酸化反応を工業的に行なうにあたり、反応管ごとにおけるホットスポットの温度のばらつきを抑制し、安定的に塩素を製造する方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、複数の製造ロットからなる触媒を使用して固定床多管式反応器にて塩化水素の酸化反応を行う際の反応管ごとのホットスポット温度のばらつきは、各反応管に使用する触媒の製造ロットごとの物性の差異によるものであり、各種物性のうち特に細孔容積が、塩化水素の酸化反応におけるホットスポット温度に大きく影響することを見出した。そして、この知見に基づき、固定床多管式反応器の反応管に使用する複数の製造ロットからなる触媒を、細孔容積についての相互の差異を特定範囲内にすることを基準にして選択すれば、反応管ごとのホットスポット温度のばらつきを抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の塩素の製造方法は、複数の製造ロットからなる触媒を用いて固定床多管式反応器の反応管に触媒充填層を形成し、各反応管に塩化水素と酸素とを供給することにより塩化水素を酸化する塩素の製造方法であって、固定床多管式反応器において同一温度となるように温度制御される各触媒充填層の形成に使用する触媒が、下記条件(I)を満足する複数の製造ロットからなることを特徴する。
条件(I);使用する前記触媒の製造ロットを互いに比較したときに、一方の製造ロットの触媒の細孔容積をA[ml/g]、他方の製造ロットの触媒の細孔容積をB[ml/g]とすると、A/Bの値(但し、A≧Bであり、AおよびBは有効数字3桁の値である)が1.20未満であること。
本発明によれば、複数の製造ロットからなる触媒を使用して固定床多管式反応器にて塩化水素の酸化反応を工業的に行なうにあたり、反応管ごとにおけるホットスポットの温度のばらつきを抑制し、安定的に塩素を製造することができる。
本発明の塩素の製造方法においては、固定床多管式反応器を用いる。該固定床多管式反応器は、詳しくは、ガス流通方向に複数の反応管が併設され、これら複数の反応管が管軸方向の少なくとも一部において互いに温度が同一となるように温度制御されうるものである。前記固定床多管式反応器における温度制御手段は、併設される複数の反応管の全てを纏めて温度制御する形態であってもよいし、併設される反応管ごとに、もしくは併設される複数の反応管のうちの何本かを纏めてそれぞれ同じ温度となるように温度制御する形態であってもよい。また、前記固定床多管式反応器における温度制御は、各反応管の全ての領域において同一の設定温度(すなわち、一つの温度制御手段)で制御される形態であってもよいし、各反応管を管軸方向に沿って複数の領域に分割し、異なる設定温度(すなわち、二以上の温度制御手段)で制御する形態であってもよい。
前記固定床多管式反応器の反応管には、それぞれ触媒充填層を形成するのであるが、本発明においては、その際、複数の製造ロットからなる触媒を用いる。つまり、同じ製造方法ではあるが異なるロットで製造された複数の触媒を用いるのであり、それら複数の触媒は、基本的には同一の触媒であるが、例えば、触媒製造時に使用する原料の仕込み量の誤差や、触媒製造時の各処理における再現性が認められる程度の条件の差異などによって、一定の規格の範囲内において物性等に違いを有するものである。
本発明においては、前記固定床多管式反応器の反応管に触媒充填層を形成するにあたり、同一温度となるように温度制御される各触媒充填層の形成に使用する触媒として、下記条件(I)、好ましくは下記条件(II)を満足する複数の製造ロットからなるものを用いることが重要である。これにより、同一の温度となるように制御される各触媒充填層の間で生じるホットスポットの温度のばらつきを効果的に抑制することができる。
条件(I);使用する触媒の製造ロットを互いに比較したときに、一方の製造ロットの触媒の細孔容積をA[ml/g]、他方の製造ロットの触媒の細孔容積をB[ml/g]とすると、A/Bの値(但し、A≧Bであり、AおよびBは有効数字3桁の値である)が1.20未満であること。
条件(II);使用する触媒の製造ロットを互いに比較したときに、一方の製造ロットの触媒の細孔容積をA[ml/g]、他方の製造ロットの触媒の細孔容積をB[ml/g]とすると、A/Bの値(但し、A≧Bであり、AおよびBは有効数字3桁の値である)が1.10未満であること。
なお、触媒の細孔容積は、従来公知の水銀圧入法や窒素吸着法などにより測定することができる。
さらに、本発明においては、同一温度となるように温度制御される各触媒充填層の形成に使用する触媒として、上記条件(I)または条件(II)に加え、以下の条件(III)〜条件(IX)の少なくとも1つ以上を満足する複数の製造ロットからなるものを用いることが好ましい。これにより、同一の温度となるように制御される各触媒充填層の間で生じるホットスポットの温度のばらつきを、さらに効果的に抑制することができる。
条件(III);使用する触媒の製造ロットを互いに比較したときに、一方の製造ロットの触媒の平均細孔直径をC[nm]、他方の製造ロットの触媒の平均細孔直径をD[nm]とすると、C/Dの値(但し、C≧Dであり、CおよびDは有効数字3桁の値である)が1.20未満、好ましくは1.10未満であること。
なお、触媒の平均細孔直径は、従来公知の水銀圧入法や窒素吸着法などにより測定することができる。
条件(IV);使用する触媒の製造ロットを互いに比較したときに、一方の製造ロットの触媒の比表面積をE[m2/g]、他方の製造ロットの触媒の比表面積をF[m2/g]とすると、E/Fの値(但し、E≧Fであり、EおよびFは有効数字3桁の値である)が1.20未満、好ましくは1.10未満であること。
なお、触媒の比表面積は、従来公知のBET法(BET一点法、BET三点法、BET多点法)や水銀圧入法などにより測定することができる。
条件(V);使用する触媒の製造ロットを互いに比較したときに、一方の製造ロットの触媒の触媒活性成分含有量をG[重量%]、他方の製造ロットの触媒の触媒活性成分含有量をH[重量%]とすると、G/Hの値(但し、G≧Hであり、GおよびHは有効数字3桁の値である)が1.10未満、好ましくは1.05未満であること。
なお、触媒の触媒活性成分含有量は、従来公知のICP発光法や原子吸光法などにより測定することができる。
条件(VI);使用する触媒の製造ロットを互いに比較したときに、一方の製造ロットの触媒の平均直径をI[mm]、他方の製造ロットの触媒の平均直径をJ[mm]とすると、I/Jの値(但し、I≧Jであり、IおよびJは有効数字2桁の値である)が1.2未満、好ましくは1.1未満であること。
なお、触媒の平均直径は、従来公知のノギスやデジマティックインジケーターなどにより測定することができ、任意抽出した所定の個数(通常、100個以上)の試料について測定した結果の平均値を以って判断する。
条件(VII);使用する触媒の製造ロットを互いに比較したときに、一方の製造ロットの触媒の見かけ比重をK[g/ml]、他方の製造ロットの触媒の見かけ比重をL[g/ml]とすると、K/Lの値(但し、K≧Lであり、KおよびLは有効数字3桁の値である)が1.20未満、好ましくは1.10未満であること。
なお、触媒の見かけ比重は、例えば、メスシリンダーや容積が既知のチューブ等に触媒を充填するなどの方法で測定することができる。
条件(VIII);使用する触媒の製造ロットを互いに比較したときに、一方の製造ロットの触媒の粒子長をM[mm]、他方の製造ロットの触媒の粒子長をN[mm]とすると、M/Nの値(但し、M≧Nであり、MおよびNは有効数字2桁の値である)が1.2未満、好ましくは1.1未満であること。
ここで、触媒の粒子長とは、触媒の最長径を意味するものであり、例えば、円柱形状、三角柱形状、四角柱形状、多角柱形状、リング形状などの触媒を押出し成形で製造した場合には、押出し方向の長さに相当する。
なお、触媒の粒子長は、従来公知のノギスやデジマティックインジケーターなどにより測定することができ、任意抽出した所定の個数(通常、100個以上)の試料について測定した結果の平均値を以って判断する。
条件(IX);使用する触媒の製造ロットを互いに比較したときに、一方の製造ロットの触媒の触媒強度をO[N/固]、他方の製造ロットの触媒の触媒強度をP[N/固]とすると、O/Pの値(但し、O≧Pであり、OおよびPは有効数字3桁の値である)が1.20未満、好ましくは1.10未満であること。
触媒強度は、触媒を反応管に充填する際に生じる触媒の折れや紛化率を左右するので、触媒強度に関する上記O/Pの値を制御することで、充填差圧のばらつきが抑制され、その結果、反応管の間で生じるホットスポットの温度のばらつきが抑制される。
なお、触媒の触媒強度は、従来公知のプレス式圧壊強度計、引張り強度計などにより測定することができ、任意抽出した所定の個数(通常、20個以上)の試料について測定した結果の平均値を以って判断する。
上記条件(I)または条件(II)と、場合によって条件(III)〜条件(IX)とを満足する複数の製造ロットの触媒を、固定床多管式反応器が有する複数の反応管に対してどのような配分で充填するかは、特に制限されない。例えば、一つの反応管には1種類の製造ロットの触媒のみを充填するようにしてもよいが、一つの反応管に2種類以上の製造ロットの触媒を混合して充填するようにしてもよい。一つの反応管に2種類以上の製造ロットの触媒を混合して充填することにより、製造ロットごとに異なる触媒の各種物性(細孔容積、平均細孔直径、比表面積、触媒活性成分含有量、平均直径、粒子長、触媒強度等)を平均化すれば、ホットスポットの温度のばらつきを抑制するうえで、さらに効果的である。
また、上記条件(I)または条件(II)と、場合によって条件(III)〜条件(IX)とを満足する複数の製造ロットの触媒は、同一温度となるように制御される触媒充填層の形成に使用する触媒に適用するだけではなく、制御温度に拘わらず固定床多管式反応器における全ての触媒充填層の形成に使用する触媒に適用することもできる。
前記触媒充填層は、通常、触媒と、必要に応じて、塩化水素の酸化反応に不活性な不活性物質(アルミナボールなど)および/または担体のみを成形した充填物とを混合してなる内容物を充填することで形成される。一つの反応管に形成する触媒充填層は、一つのみであってもよいが、例えば一つの反応管を管軸方向に沿って複数の領域に分割して、一つの反応管に二つ以上の触媒充填層を連続して形成することもできる。なお、触媒充填層の上部および/または下部には、不活性物質を充填してもよく、例えば、二つの触媒充填層を一つの反応管の管軸方向に連続して形成する場合には、両層間に該不活性物質を仕切りとして設けることができる。ただし、隣り合う二つの触媒充填層は、必ずしも明確に仕切られている必要はなく、直接接している状態にあってもよい。
一つの触媒充填層には2種以上(ここで言う2種は、製造ロットの異なる2種ではなく、触媒組成(活性成分やその含有量等)が異なる2種を意味する)の触媒を充填することもできるが、好ましくは、一つの触媒充填層に充填する内容物は1種類の触媒のみからなるのがよい。なお、一つの反応管に二つ以上の触媒充填層を形成する場合には、一つの反応管における各触媒充填層に充填する内容物はそれぞれ同一か近い組成であることが好ましく、例えば、前記不活性物質および/または担体のみを成形した充填物を併用するのであれば、これらと触媒との割合は各触媒充填層間で一定とすることが好ましく、2種以上の触媒を併用するのであれば、その混合比率は各触媒充填層間で一定とすることが好ましい。
本発明において用いられる触媒は、触媒活性成分のみからなるものであってもよいし、触媒活性成分が担体に担持されてなるものであってもよい。触媒における触媒活性成分は特に制限されるものではなく、塩化水素を酸素で酸化して塩素を製造する際に使用される公知の触媒活性成分を含む塩素製造用触媒(例えば、銅触媒、クロム触媒、ルテニウム触媒など)を用いることができる。具体的には、銅触媒としては、一般にDeacon触媒と称される、塩化銅と塩化カリウムに第三成分として種々の化合物を添加してなる触媒が、クロム触媒としては、特開昭61−136902号公報、特開昭61−275104号公報、特開昭62−113701号公報、特開昭62−270405号公報等に示される如き、酸化クロムを含有する触媒が、ルテニウム触媒としては、特開平9−67103号公報、特開平10−338502号公報、特開2000−281314号公報、特開2002−79093号公報、特開2002−292279号公報等に示される如き、酸化ルテニウムを含有する触媒が、好ましく挙げられる。
本発明においては、前述した触媒の中でも、ルテニウム触媒、特に酸化ルテニウムを含有する触媒を用いることが好ましい。酸化ルテニウムを含有する触媒は、例えば、実質的に酸化ルテニウムのみからなるものであってもよいし、酸化ルテニウムが、担体に担持されてなる担持酸化ルテニウムであってもよいし、酸化ルテニウムと、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、酸化ニオブなどの他の酸化物とからなる複合酸化物であってもよいが、少量の酸化ルテニウムでも高い活性を得られる点で、担持酸化ルテニウムからなる触媒(担持酸化ルテニウム触媒)がより好ましい。なお、酸化ルテニウムにおけるルテニウムの酸化数は、通常+4であり、酸化ルテニウムとしては二酸化ルテニウム(RuO2)が一般的であるが、他の酸化数のルテニウムないし他の形態の酸化ルテニウムが含まれていてもよい。
前記担持酸化ルテニウム触媒は、例えば、ルテニウム化合物を担体に担持させた後、酸素含有ガスの雰囲気下で焼成することにより得られる。担体としては、例えば、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、ニオブから選ばれる元素の酸化物ないし複合酸化物や、活性炭などの1種もしくは2種以上を用いることができる。これらの中でも、アルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウムが好ましく、特に、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンがより好ましい。
前記担持酸化ルテニウム触媒における酸化ルテニウム/担体の重量比は、通常0.1/99.9〜20/80、好ましくは0.5/99.5〜15/85であり、この範囲になるようにルテニウム化合物と担体の使用割合を調整すればよい。酸化ルテニウムが前記割合よりも少ないと、触媒活性が不充分となる場合があり、一方、前記割合よりも多いと、触媒コストの点で不利となる。
本発明において用いられる触媒の形状は、特に制限されるものではなく、例えば、球形粒状、円柱形状、三角柱形状、四角柱形状、多角柱形状、リング形状、ハニカム形状あるいは成形後に粉砕分級した適度の大きさの顆粒形状等で用いることができるが、好ましくは、球形粒状または円柱形状に成形されたものであるのがよい。なお、通常、円柱形状、三角柱形状、四角柱形状、多角柱形状、リング形状などの成形体は押出成形または打錠成形される場合が多いが、押出成形の場合には、押出し物を適当な長さに破砕および/または切断して使用すればよく、さらに、触媒使用時の紛化量を低減するなどの目的で、破砕および/または切断した成形体の破砕面や切断面の鋭角部分について回転機器等を用いて角取りすることもできる。
本発明において用いられる触媒の大きさについては、特に制限されないが、大きすぎると、充分な活性が得られず、充分に反応が進行しない場合があるので、通常、直径が5mm以下であることが好ましい。一方、本発明において用いられる触媒が過度に小さくなると、充填層での圧力損失が大きくなるため、通常、その直径は1mm以上であることが好ましい。なお、ここでいう触媒(成形体)の直径とは、球形粒状の場合には球の直径、円柱形状の場合には断面の直径、その他の形状では断面の最大直径を意味する。
本発明において用いられる触媒は、紛化率が0.5重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.3重量%以下である。この紛化率が0.5重量%を超えると、触媒充填時に触媒が紛状になりやすく、充填差圧にばらつきを生じさせたり、反応器周辺の配管や設備などを閉塞させたりする原因となるおそれがある。なお、ここで言う粉化率とは、実施例で後述する方法で測定されるものである。
本発明の製造方法においては、固定床多管式反応器の各反応管に塩化水素と酸素とを供給することにより塩化水素を酸化する。具体的には、各反応管の触媒充填層に塩化水素を含むガスと酸素を含むガスとを流通させればよい。
前記塩化水素を含むガスとしては、特に制限はなく、例えば、水素と塩素との反応により生成するガスや、塩酸の加熱により発生するガスのほか、塩素化合物の熱分解反応や燃焼反応、ホスゲンによる有機化合物のカルボニル化反応、塩素による有機化合物の塩素化反応、クロロフルオロアルカンの製造等により発生する各種副生ガス、さらには焼却炉から発生する燃焼排ガスなど、塩化水素を含むあらゆるガスを使用することができる。これらの塩化水素を含むガス中には、それぞれガスを発生させる際の反応等における未反応原料や反応生成物が不純物として含まれてもよいが、その場合には、不純物の濃度は、ガス中の塩化水素の濃度が後述する範囲となる程度であることが好ましい。また、前記塩化水素を含むガスには、ガス中の塩化水素の濃度が後述する範囲となる程度であれば、水蒸気や不活性ガスなどを添加することもでき、特に水蒸気は、触媒充填層内の温度分布を平滑化しうる点で、含有させることが好ましい。
前記塩化水素を含むガスを得る際の上述した各種反応については、具体的には、例えば、塩素化合物の熱分解反応として、1,2−ジクロロエタンから塩化ビニルが生成する反応、クロロジフルオロメタンからテトラフルオロエチレンが生成する反応などが挙げられ、ホスゲンによる有機化合物のカルボニル化反応として、アミンからイソシアネートが生成する反応、ヒドロキシ化合物から炭酸エステルが生成する反応などが挙げられ、塩素による有機化合物の塩素化反応として、プロピレンから塩化アリルが生成する反応、エタンから塩化エチルが生成する反応、ベンゼンからクロロベンゼンが生成する反応などが挙げられる。また、クロロフルオロアルカンの製造としては、例えば、四塩化炭素とフッ化水素との反応によるジクロロジフルオロメタンおよびトリクロロモノフルオロメタンの製造、メタンと塩素とフッ化水素との反応によるジクロロジフルオロメタンおよびトリクロロモノフルオロメタンの製造などが挙げられる。
前記塩化水素を含むガス中の塩化水素の濃度は、通常10体積%以上、好ましくは50体積%以上、さらに好ましくは80体積%以上であるのがよい。塩化水素の濃度が低すぎると、生産効率が低くなることに加えて、生成した塩素の分離や未反応酸素をリサイクルする場合のリサイクル操作が煩雑になる場合がある。
前記酸素を含むガスとしては、空気を使用してもよいし、純酸素を使用してもよい。純酸素は、空気の圧力スイング法や深冷分離などの通常の工業的な方法によって得ることができる。
本発明の製造方法において、塩化水素(塩化水素を含むガス)の供給速度は、触媒1Lあたりのガスの供給速度(L/h;0℃、1気圧換算)、すなわちGHSVで表して、通常10〜20000h-1程度とするのがよい。他方、酸素を含むガスの供給速度は、触媒1Lあたりのガスの供給速度(L/h;0℃、1気圧換算)、すなわちGHSVで表して、通常10〜20000h-1程度とするのがよい。
本発明の製造方法において、塩化水素(塩化水素を含むガス)と酸素(酸素を含むガス)との比率は、塩化水素を完全に塩素に酸化するためには理論上、塩化水素1モルに対し酸素1/4モルとする必要があるが、通常、この理論量の0.1〜10倍の酸素が使用される。
なお、本発明の製造方法においては、固定床多管式反応器の空塔基準のガス線速度を、0.50〜10m/sとすることが好ましく、より好ましくは0.70〜6m/s、さらに好ましくは0.70〜3m/sとするのがよい。空塔基準のガス線速度が0.50m/s未満であると、反応熱の除熱が悪くなり、本発明の効果が得られない場合があり、一方、10m/sを超えると、充填差圧がかかり過ぎて運転が困難になることがある。なお、空塔基準のガス線速度とは、反応器に供給される全てのガスの標準状態(0℃、1気圧換算)における供給速度の合計量と、反応器の断面積との比を意味する。
本発明の製造方法においては、反応条件等は特に制限されないが、塩化水素の酸化反応は平衡反応であり、あまり高温で行うと平衡転化率が下がるため、比較的低温で行うのが好ましく、反応温度は、通常100〜500℃、好ましくは200〜450℃である。また、反応圧力は、通常0.1〜5MPa程度である。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
なお、用いた触媒の物性等については、下記の方法で測定した。
<細孔容積>
測定に供する触媒を0.6〜1.2g量り取り、乾燥機にて110℃で4時間乾燥し、乾燥後の重量を精秤して試料とした。この試料を、細孔容積測定装置(MICROMERITICS社製「オートポアIII9420」)のセル内にセットし、セル系内を50μmHg以下にした後、水銀を系内に満たし、次いで、セルに段階的に圧力を加えていき、水銀の圧入平衡待ち時間を10秒として、各圧力における水銀圧入量を測定した。そして、0.007MPaから207MPaまで圧力を加えたときの総水銀圧入量(ml)を試料重量(g)で除することにより、試料1g当たりの水銀圧入量を求め、これを細孔容積(ml/g)とした。
<平均細孔直径>
平均細孔直径は、上記細孔容積の測定で得られた各圧力における水銀圧入量の結果から算出した。すなわち、まず、下記Washburnの式
細孔直径d(nm)=(−4γcosθ/P)×103
P:圧力(MPa)
γ:水銀の表面張力(482×10−3N/m)
θ:水銀の接触角(140deg)
に基づき、各圧力Pにおける水銀圧入量から各圧力Pにおける細孔直径dを算出し、さらに、この各圧力Pにおける細孔直径dと各圧力Pにおける水銀圧入量とから各圧力Pにおける細孔の表面積Srを算出し、0.007MPaから207MPaまで圧力を加えたときの各圧力Pにおける細孔の表面積Srの累積値(nm2)を試料重量(g)で除することにより求められる累積細孔表面積S(nm2/g)と、0.007MPaから207MPaまで圧力を加えたときの各圧力Pにおける細孔容積の累積値(すなわち、0.007MPaから207MPaまで圧力を加えたときの総水銀圧入量)(nm3)を試料重量(g)で除することにより求められる累積細孔容積V(nm3/g)とを用いて、下記式に従い求めた。
平均細孔直径(nm)=4V/S
<比表面積>
測定に供する触媒を1〜2g量り取り、窒素雰囲気下110℃で1.5時間乾燥し、乾燥後の重量を精秤して試料とした。この試料について比表面積測定装置(柴田科学製「SA−1100」)を用いてBET一点法により比表面積(m2/g)を求めた。
<ルテニウム含有量(担持率)>
測定に供する触媒を過酸化ナトリウムで溶融させて、定容した後、ICP−AES法により測定した。なお、測定は2度行うとともに、各測定値(重量%)は小数点以下3桁まで求め、2度の測定値の平均値を、JIS−Z8401に記載の数値の丸め方に従って小数点以下2桁で表した。
<平均直径>
任意抽出した触媒100個以上の触媒断面の直径をデジタルノギスで測定し、その平均値(mm)を求めた。
<見かけ比重>
測定に供する触媒約400gを精秤して試料とし、これを、1Lのメスシリンダー上に設置したロートの上からメスシリンダー中央部に45〜60秒かけて全量落下させた後、ロートを外し、ゴムマット(厚さ3mm、硬度60HS)の上でメスシリンダーを約10°傾けながら高さ1〜2cmから20回タッピングした。次いで、メスシリンダー内の触媒の上面を水平にならして容量を読み取り、試料重量(g)を読み取った容量(ml)で割った値を算出し、見かけ比重(g/ml)とした。
<平均粒子長>
任意抽出した触媒100個以上の触媒断面に垂直な方向の長さを粒子長としてデジタルノギスで測定し、その平均値(mm)を求めた。
<触媒強度>
粒子長(触媒断面に垂直な方向の長さ)が4.5mm以上の触媒20個以上を選び出し、これらについて、各々、デジタル木屋式硬度計(藤原製作所製「KHT20N」)の試料台の中心に、触媒断面に垂直な方向と試料台の面とが平行になるよう横たえた後、各触媒の硬度(N)を測定した。そして、得られた測定値の和を測定個数で割ることにより、平均値(N/個)を求めた。
<紛化率>
測定に供する触媒約200gを精秤して試料とし(この重量を(x)とする)、これを、金属性バットの上に50mm間隔を空けて長手方向が鉛直になるように固定した金属製チューブ(内径18mm、全長4000mm)内に上部から20〜40秒かけて全量落下させ、チューブ下部から出てきた試料を金属性バットに全量捕集した。次いで、捕集した全量を目開き0.85mmの分析篩にて篩分けした後、篩下の試料の重量を測定し(この重量を(y)とする)、下式により紛化率(重量%)を算出した。
紛化率(重量%)=(y/x)×100
<触媒活性(塩化水素の転化率)>
測定に供する触媒1.0gを、直径2mmのα−アルミナ球(ニッカトー(株)製「SSA995」)12gで希釈してニッケル製反応管(内径14mm)に充填し、さらに該反応管のガス入口側に上記と同じα−アルミナ球12gを予熱層として充填した。この反応管内に、塩化水素ガス(塩化水素濃度99.999体積%)と酸素ガス(純酸素)を、塩化水素ガスは0.214mol/h(0℃、1気圧換算で4.8L/h)の速度で、酸素ガスは0.107mol/h(0℃、1気圧換算で2.4L/h)の速度で、常圧下に供給し、反応管(触媒充填層)を282〜283℃に加熱して反応を行った。反応開始から1.5時間後の時点で、反応管出口のガスを20分間、30%ヨウ化カリウム水溶液に流通させることによりサンプリングを行い、ヨウ素滴定法により塩素の生成量を測定して、塩素の生成速度(mol/h)を求めた。この塩素の生成速度と上記塩化水素の供給速度(mol/h)から、下式により塩化水素の転化率(すなわち、触媒活性)を算出した。
塩化水素の転化率(%)
=〔塩素の生成速度(mol/h)×2÷塩化水素の供給速度(mol/h)〕×100
(参考例1−触媒aの調製)
酸化チタン(堺化学(株)製「STR−60R」、100%ルチル型)34重量部、α−アルミナ(住友化学(株)製「AES−12」)66重量部、およびメチルセルロース系バインダー2.5重量部を混合し、次いで、酸化チタニアゾル(堺化学(株)製「CSB」、チタニア含有量38重量%)13.2重量部および純水22.5重量部を加えて混練した。この混練物を直径3.0mmφの円柱状に押出成形し、乾燥した後、長さ4〜6mm程度に破砕した。得られた成形体を、空気中750〜800℃で3時間焼成し、酸化チタンおよびα−アルミナからなる担体を得た。次に、この担体に塩化ルテニウムの水溶液を含浸させ、乾燥した後、空気中250℃で2時間焼成することにより、酸化ルテニウムが1.53重量%担持されてなる青灰色の担持酸化ルテニウム触媒(触媒a)を得た。この触媒aの物性は表1に示す通りであった。
(参考例2−触媒bの調製)
参考例1と同様の操作を行い、酸化ルテニウムが1.54重量%担持されてなる青灰色の担持酸化ルテニウム触媒(触媒b)を得た。この触媒bの物性は表1に示す通りであった。
(参考例3−触媒cの調製)
酸化チタン(堺化学(株)製「STR−60R」、100%ルチル型)34重量部、α−アルミナ(住友化学(株)製「AES−12」)66重量部、および参考例1とは異なるメチルセルロース系バインダー2.0重量部を混合し、次いで、酸化チタニアゾル(堺化学(株)製「CSB」、チタニア含有量38重量%)13.2重量部および純水19.0重量部を加えて混練した。この混練物を直径3.0mmφの円柱状に押出成形し、乾燥した後、長さ4〜6mm程度に破砕した。得られた成形体を、空気中750〜800℃で3時間焼成し、酸化チタンおよびα−アルミナからなる担体を得た。次に、この担体に塩化ルテニウムの水溶液を含浸させ、乾燥した後、空気中250℃で2時間焼成することにより、酸化ルテニウムが1.52重量%担持されてなる青灰色の担持酸化ルテニウム触媒(触媒c)を得た。この触媒cの物性は表1に示す通りであった。
Figure 0005130155
(実施例1)
一つの温度制御手段で温度制御された2本のニッケル製反応管(内径14mm)を有する固定床多管式反応器(すなわち、内部に熱媒体が流通する一つのジャケットで2本の管周囲が覆われてなる反応器)を用い、1本の反応管には触媒aを、もう1本の反応管には触媒bを、それぞれ触媒充填長が2.6cmになるように充填することにより触媒充填層を形成した。各反応管内を窒素雰囲気下にし、ジャケット温度を345℃に設定した後、窒素ガスの供給を停止し、次いで、各反応管にそれぞれ、塩化水素ガス(塩化水素濃度99.999体積%)と酸素ガス(純酸素)を、塩化水素ガスは0.670mol/h(0℃、1気圧換算で15.0L/h)の速度で、酸素ガスは0.335mol/h(0℃、1気圧換算で7.5L/h)の速度で、常圧下に供給することにより、塩化水素の酸化反応を行なった。
上記酸化反応の開始直後から、各反応管に充填した触媒a、bの温度をモニターし、反応開始から1時間の間に到達した最高温度(触媒最高温度)を、各反応管に充填した触媒の重量(触媒充填重量)とともに、表2に示した。
また、反応開始から1時間後の時点で、各反応管出口のガスを纏めて、5分間、30%ヨウ化カリウム水溶液に流通させることによりサンプリングし、ヨウ素滴定法により塩素の生成量を測定して、塩素の生成速度(mol/h)を求めた。この塩素の生成速度と上記塩化水素の供給速度(mol/h)から、下式により算出した塩化水素の転化率(%)を表2に示した。
塩化水素の転化率(%)
=〔塩素の生成速度(mol/h)×2÷塩化水素の供給速度(mol/h)〕×100
Figure 0005130155
(比較例1)
触媒bに代えて触媒cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、塩化水素の酸化反応を行ない、実施例1と同様、上記酸化反応の開始直後から、各反応管に充填した触媒a、cの温度をモニターし、反応開始から1時間の間に到達した最高温度(触媒最高温度)を、各反応管に充填した触媒の重量(触媒充填重量)とともに、表3に示した。また、実施例1と同様、反応開始から1時間後の各反応管出口のガスを纏めてサンプリングして求めた塩化水素の転化率(%)を表3に示した。
Figure 0005130155
表2および表3の結果から明らかなように、用いた触媒の細孔容積の比、すなわち触媒a(細孔容積2.24×10-1ml/g)/触媒c(細孔容積1.82×10-1ml/g)の値が1.23である比較例1においては、塩化水素の酸化反応時の触媒aの触媒最高温度と触媒cの触媒最高温度との差が8℃と大きいのに対して、用いた触媒の細孔容積の比、すなわち触媒a(細孔容積2.24×10-1ml/g)/触媒b(細孔容積2.21×10-1ml/g)の値が1.01である実施例1においては、塩化水素の酸化反応時の触媒aの触媒最高温度と触媒bの触媒最高温度との差は2℃に抑制できた。つまり、各反応管に用いる触媒を細孔容積の比が小さくなるよう選択することにより、各反応管におけるホットスポットの温度のばらつきを抑制することができることが明らかである。
(参考例4−触媒dの調製)
酸化チタン(堺化学(株)製「STR−60R」、100%ルチル型)34重量部、α−アルミナ(住友化学(株)製「AES−12」)66重量部、および参考例1および参考例3のいずれとも異なるメチルセルロース系バインダー2.0重量部を混合し、次いで、酸化チタニアゾル(堺化学(株)製「CSB」、チタニア含有量38重量%)13.2重量部および純水22.0重量部を加えて混練した。この混練物を直径1.5mmφの円柱状に押出成形し、乾燥した後、長さ2〜4mm程度に破砕した。得られた成形体を、空気中750〜800℃で3時間焼成し、酸化チタンおよびα−アルミナからなる担体を得た。次に、この担体に塩化ルテニウムの水溶液を含浸させ、乾燥した後、空気中250℃で2時間焼成することにより、酸化ルテニウムが1.50重量%担持されてなる青灰色の担持酸化ルテニウム触媒(触媒d)を得た。この触媒dの物性は表4に示す通りであった。
(参考例5−触媒eの調製)
参考例4と同様の操作を行い、酸化ルテニウムが1.55重量%担持されてなる青灰色の担持酸化ルテニウム触媒(触媒e)を得た。この触媒eの物性は表4に示す通りであった。
(参考例6−触媒fの調製)
酸化チタン(堺化学(株)製「STR−60R」、100%ルチル型)34重量部、α−アルミナ(住友化学(株)製「AES−12」)66重量部、および参考例3と同じメチルセルロース系バインダー2.0重量部を混合し、次いで、酸化チタニアゾル(堺化学(株)製「CSB」、チタニア含有量38重量%)13.2重量部および純水29.0重量部を加えて混練した。この混練物を直径1.5mmφの円柱状に押出成形し、乾燥した後、長さ4〜6mm程度に破砕した。得られた成形体を、空気中600〜650℃で3時間焼成し、酸化チタンおよびα−アルミナからなる担体を得た。次に、この担体に塩化ルテニウムの水溶液を含浸させ、乾燥した後、空気中250℃で2時間焼成することにより、酸化ルテニウムが1.52重量%担持されてなる青灰色の担持酸化ルテニウム触媒(触媒f)を得た。この触媒fの物性は表4に示す通りであった。
Figure 0005130155
(実施例2)
触媒aに代えて触媒dを用い、触媒bに代えて触媒eを用い、それぞれ触媒充填長が11.0cmになるように触媒充填層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、塩化水素の酸化反応を行ない、実施例1と同様、上記酸化反応の開始直後から、各反応管に充填した触媒d、eの温度をモニターし、反応開始から1時間の間に到達した最高温度(触媒最高温度)を、各反応管に充填した触媒の重量(触媒充填重量)とともに、表5に示した。また、実施例1と同様、反応開始から1時間後の各反応管出口のガスを纏めてサンプリングして求めた塩化水素の転化率(%)を表5に示した。
Figure 0005130155
(比較例2)
触媒aに代えて触媒dを用い、触媒bに代えて触媒fを用い、それぞれ触媒充填長が11.0cmになるように触媒充填層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、塩化水素の酸化反応を行ない、実施例1と同様、上記酸化反応の開始直後から、各反応管に充填した触媒d、fの温度をモニターし、反応開始から1時間の間に到達した最高温度(触媒最高温度)を、各反応管に充填した触媒の重量(触媒充填重量)とともに、表6に示した。また、実施例1と同様、反応開始から1時間後の各反応管出口のガスを纏めてサンプリングして求めた塩化水素の転化率(%)を表6に示した。
Figure 0005130155
表5および表6の結果から明らかなように、用いた触媒の細孔容積の比、すなわち触媒f(細孔容積2.74×10-1ml/g)/触媒d(細孔容積2.06×10-1ml/g)の値が1.33である比較例2においては、塩化水素の酸化反応時の触媒dの触媒最高温度と触媒fの触媒最高温度との差が11℃と大きいのに対して、用いた触媒の細孔容積の比、すなわち触媒d(細孔容積2.06×10-1ml/g)/触媒e(細孔容積2.04×10-1ml/g)の値が1.01である実施例2においては、塩化水素の酸化反応時の触媒dの触媒最高温度と触媒eの触媒最高温度との差は2℃に抑制できた。つまり、各反応管に用いる触媒を細孔容積の比が小さくなるよう選択することにより、各反応管におけるホットスポットの温度のばらつきを抑制することができることが明らかである。

Claims (4)

  1. 複数の製造ロットからなる触媒を用いて固定床多管式反応器の反応管に触媒充填層を形成し、各反応管に塩化水素と酸素とを供給することにより塩化水素を酸化する塩素の製造方法であって、
    固定床多管式反応器において同一温度となるように温度制御される各触媒充填層の形成に使用する触媒が、下記条件(I)を満足する複数の製造ロットからなることを特徴する塩素の製造方法。
    条件(I);使用する前記触媒の製造ロットを互いに比較したときに、一方の製造ロットの触媒の細孔容積をA[ml/g]、他方の製造ロットの触媒の細孔容積をB[ml/g]とすると、A/Bの値(但し、A≧Bであり、AおよびBは有効数字3桁の値である)が1.20未満であること。
  2. 固定床多管式反応器において同一温度となるように温度制御される各触媒充填層の形成に使用する触媒が、下記条件(II)を満足する複数の製造ロットからなる請求項1記載の塩素の製造方法。
    条件(II);使用する前記触媒の製造ロットを互いに比較したときに、一方の製造ロットの触媒の細孔容積をA[ml/g]、他方の製造ロットの触媒の細孔容積をB[ml/g]とすると、A/Bの値(但し、A≧Bであり、AおよびBは有効数字3桁の値である)が1.10未満であること。
  3. 前記触媒が担持酸化ルテニウム触媒である請求項1または2記載の塩素の製造方法。
  4. 前記触媒が球形粒状または円柱形状に成形されたものである1〜3のいずれかに記載の塩素の製造方法。
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