JP5817435B2 - オキシ塩素化触媒の製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なオキシ塩素化触媒の製造法に関するものであり、さらに詳しくは、オキシ塩素化触媒の粒子毎の金属成分の偏在が小さいことから、エチレンから塩化ビニルモノマーの原料として有用な1,2−ジクロロエタンを高選択的かつ安定に製造することが可能となるオキシ塩素化触媒の製造法に関するものである。
塩化ビニルモノマー(以下、VCMと記すこともある。)の製造法のうち、バランスド・オキシクロリネーション・プロセスと呼ばれる方法、即ち、(1)エチレンの直接塩素化反応による1,2−ジクロロエタン(以下、EDCと記すこともある。)の製造、(2)EDCの熱分解反応によるVCMの製造、および(3)エチレンのオキシ塩素化反応によるEDCの製造、からなるプロセスが石油化学工業で広く採用されている。
このうち、エチレンのオキシ塩素化反応によるEDCの製造法は、EDCの熱分解反応で副生した塩化水素をリサイクルして利用する他、ウレタン原料であるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のジイソシアネート製造時に副生した塩化水素をリサイクルすることが可能であり、ますます重要な製造法として位置づけられている。
エチレンのオキシ塩素化反応、即ち、エチレン、塩化水素および酸素から1,2−ジクロロエタンおよび水を生成する反応は、264kJ/molという非常に大きな反応熱を有するため反応熱の除去が大きな問題で、触媒層中の局部加熱により異常反応が起こると、オキシ塩素化触媒が劣化して副生物の増大や触媒活性低下の原因になる。
反応方式として固定床連続流通式反応器または流動床連続流通式反応器が採用されている。固定床連続流通式反応器のオキシ塩素化触媒として、アルミナ担体に塩化銅および塩化カリウムを担持した中空円筒形状のオキシ塩素化触媒が知られており、例えば円筒形の形状寸法が規定されたオキシ塩素化触媒が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
特開昭56−141842号公報(例えば特許請求の範囲参照。)
しかし、特許文献1により提案されたオキシ塩素化触媒であっても、触媒層中の局部加熱の抑制はまだ満足できるものではなく、オキシ塩素化触媒の粒子毎の金属成分の偏在が小さなオキシ塩素化触媒の製造法の出現が期待されている。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的はオキシ塩素化触媒の粒子毎の金属成分が均質となることから、EDCを高選択的かつ安定に製造することが可能となるオキシ塩素化触媒の製造法を提供するものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定の工程を経てなることにより、オキシ塩素化触媒の金属成分の偏在が小さくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、少なくとも下記の(1)〜(2)工程を経ることを特徴とするオキシ塩素化触媒の製造法に関するものである。
(1)工程;中空円筒形状のアルミナ担体に少なくとも塩化銅及び周期表1族元素の塩化物を担持する工程。
(2)工程;(1)工程の後の少なくとも塩化銅及び周期表1属元素の塩化物を担持した中空円筒形状のアルミナ担体を蓋付トレイ内に入れ、バッチ式の焼成装置で乾燥と焼成を行いオキシ塩素化触媒とする工程。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のオキシ塩素化触媒の製造法は、少なくとも上記の(1)〜(2)工程を経てなるものである。
ここで、(1)工程は、中空円筒形状のアルミナ担体に少なくとも塩化銅及び周期表1族元素の塩化物を担持する工程であり、中空円筒形状のアルミナ担体上に少なくとも塩化銅及び周期表1属元素の塩化物の担持が可能であれば如何なる方法をも用いることが可能であり、例えば中空円筒形状のアルミナ担体を少なくとも塩化銅溶液及び周期表1族元素の塩化物溶液に浸漬する浸漬法;含浸法;共沈殿法、等の方法を挙げることができ、これらの中でも、操作が簡便で、生産性に優れることから、浸漬法であることが好ましい。
この際の浸漬法として、例えば塩化銅および周期表1族元素の塩化物の溶液に中空円筒形状のアルミナ担体を浸漬する方法;塩化銅溶液に中空円筒形状のアルミナ担体を浸漬した後、周期表1属元素の塩化物の溶液に浸漬する方法;周期表1属元素の塩化物溶液に中空円筒形状のアルミナ担体を浸漬した後、塩化銅溶液に浸漬する方法;塩化銅溶液に中空円筒形状のアルミナ担体を浸漬した後、周期表1属元素の塩化物の溶液を添加浸漬する方法;周期表1属元素の塩化物溶液に中空円筒形状のアルミナ担体を浸漬した後、塩化銅溶液を添加浸漬する方法、等をより具体的な方法として挙げることができる。なお、塩化銅溶液、周期表1属元素の塩化物の溶液は、その取り扱い性等に優れることから、塩化銅水溶液、周期表1属元素の塩化物の水溶液であることが好ましい。さらに、後述する周期表2族元素の塩化物も必要に応じて各々の塩化物溶液による浸漬法で担持することができる。
また、浸漬処理後、浸漬溶液から分離回収した中空円筒形状のアルミナ担体は、そのまま(2)工程を行ってもよいし、乾燥工程、中空円筒形状のアルミナ担体の外表面に付着した浸漬溶液を紙ウエスや布等で拭き取る工程、等の付加的工程を経た後に(2)工程を行ってもかまわない。その中でも、付着した浸漬水の拭き取る工程を付加することにより、塩化銅に対する周期表1族元素の塩化物のモル比の標準偏差が小さくなる効果が認められ、より活性、EDC選択性、安定性に優れるオキシ塩素化触媒を製造することができる。
例えば浸漬を行う際の塩化銅溶液、周期表1属元素の塩化物溶液としては、特に制限はなく、塩化銅水溶液、周期表1族元素の塩化物水溶液を挙げることができる。塩化銅水溶液の濃度としては、好ましくは50〜400g/lであり、さらに好ましくは100〜300g/lである。また、周期表1族元素の塩化物水溶液の濃度としては、好ましくは20〜400g/lであり、さらに好ましくは40〜200g/lである。浸漬時の温度としては、例えば0〜80℃、好ましくは10〜50℃である。浸漬時の圧力としては、通常、常圧である。また、浸漬時間は、温度や塩化銅、周期表1族元素の塩化物の濃度により選択可能であり、通常、0.5〜10時間である。浸漬時の雰囲気に特に制限はなく、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスによって置換して用いることができる。
本発明のオキシ塩素化触媒の製造法で用いられる中空円筒形状のアルミナ担体に特に限定はなく、その中でも細孔を有する多孔質アルミナ担体が好ましく、特に細孔直径3〜15nm未満の範囲内の細孔および15〜80nmの範囲内の細孔を有する中空円筒形状の多孔質アルミナ担体であることが好ましい。また、このような中空円筒形状のアルミナ担体は、いかなる方法により成形されても差し支えなく、例えば押出成形法または圧縮成形法により成形することができる。
本発明のオキシ塩素化触媒の製造法で用いられる塩化銅としては、塩化第一銅および/または塩化第二銅を挙げることができ、その中でも特に安定性に優れるオキシ塩素化触媒を製造することが可能となることから塩化第二銅であることが好ましい。
本発明のオキシ塩素化触媒の製造法で用いられる周期表1族元素の塩化物としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウムおよび塩化セシウムからなる群から選択される1種以上の塩化物が挙げられる。これらのうち、特に安定性に優れるオキシ塩素化触媒を製造することが可能となることから、塩化カリウム及び/又は塩化セシウムが好ましい。
さらに本発明のオキシ塩素化触媒の製造法においては、活性と安定性のバランスに優れたオキシ塩素化触媒を製造することが可能となることから、(1)工程おいて、さらに周期表2族元素の塩化物をも担持することが好ましく、この際の周期表2族元素の塩化物としては、例えば塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム等が挙げられ、その中でも、特に塩化マグネシウムであることが好ましい。該周期表2属元素の塩化物を担持する際には、例えば周期表2属元素の塩化物の溶液にも中空円筒形状のアルミナ担体を浸漬する方法による調製することが可能である。
本発明のオキシ塩素化触媒の製造法における(2)工程は、(1)工程により調製された少なくとも塩化銅及び周期表1属元素の塩化物を担持した中空円筒形状を有するアルミナ担体を蓋付トレイ内に入れ、バッチ式の焼成装置で焼成を行いオキシ塩素化触媒とする工程である。本発明の製造法においては、蓋付トレイを用いバッチ式の焼成装置で焼成を行うことにより、得られるオキシ塩素化触媒は、その触媒粒子毎の塩化銅および周期表1族元素の塩化物の担持量のバラツキである標準偏差が非常に小さいものとなり、活性、EDC選択性、安定性に優れるオキシ塩素化触媒となるものである。オキシ塩素化反応は前記の通り、非常に大きな反応熱を有するため、固定床流通式反応管に充填されたオキシ塩素化触媒はできる限り粒子毎の活性が均一であることが望まれている。反応管に充填された触媒の活性が不揃い、特に金属成分がばらついていると、ヒートスポットが発生し、オキシ塩素化反応の制御が難しくなり、安定運転に影響が出る恐れがある。なお、標準偏差とはデータの散らばりの度合いを表す数値であり、具体的には平均値と各データの値の差(偏差)を二乗し、それを算術平均した値の平方根として求められるものである。標準偏差が小さいことは、平均値のまわりの散らばりの度合が小さいことを示す。
そして、蓋なしのトレイにて焼成を行った場合、得られる触媒は、粒子毎の塩化銅および周期表1族元素の塩化物の担持量のバラツキが大きく、触媒としての活性、安定性に課題を有する可能性がある。また、バッチ式の焼成装置以外の焼成装置、例えばコンベアー式、ロータリーキルン等の焼成装置である場合、大型装置であり設備コストに課題が発生するばかりか、均一な焼成、触媒の破損等にも課題が発生し、活性、EDC選択性、安定性に優れるオキシ塩素化触媒を得ることが困難となる。
本発明の製造法における焼成温度に特に制限はなく、その中でも、触媒の安定性が高いことから、0〜500℃が好ましく、100〜400℃であることが好ましい。焼成時間としては、1〜20時間が好ましく、特に2〜10時間であることが好ましい。また、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスによって置換して焼成することもできる。
本発明のオキシ塩素化触媒の製造法は、少なくとも上記の(1)〜(2)工程を経るものであり、例えば(1)工程の前、(1)工程と(2)工程の間、(2)工程の後、等に付加的工程を付随することを妨げるものではない。
本発明のオキシ塩素化触媒の製造法により得られるオキシ塩素化触媒は、特にEDC選択率と触媒強度のバランスに優れたオキシ塩素化触媒となることから、細孔直径3〜15nm未満の範囲内の細孔および15〜50nmの範囲内の細孔を有するオキシ塩素化触媒であることが好ましく、特にこれら細孔を細孔分布として表した際に細孔直径3〜15nm未満の範囲内及び細孔直径15〜50nmの範囲内のそれぞれに1つ以上のピーク頂点を有するものであることが好ましい。細孔直径3〜15nm未満の範囲内の細孔における細孔分布のピーク頂点の数としては、好ましくは1〜2点であり、さらに好ましくは1点である。また、細孔直径15〜50nmの細孔における細孔分布のピーク頂点の数は、さらにEDC選択率が高い触媒となることから1〜5点が好ましく、特に好ましくは1点である。この際、EDCの選択性と触媒強度に共に優れる触媒となることから、細孔直径3〜15nm未満の範囲内のピーク頂点に対する細孔直径15〜50nmの範囲内のピーク頂点の強度比が0.1〜1.0であるものが好ましく、特に0.2〜0.8であるものが好ましい。また、該細孔分布のピーク頂点は、細孔直径6〜13nmの範囲内および細孔直径30〜45nmの範囲内にそれぞれ存在することがより好ましい。
さらに、得られるオキシ塩素化触媒としては、触媒粒子毎の担持塩化銅量が揃うと同時に触媒強度に優れる触媒となることから、細孔直径50nm以下の範囲内の細孔が全細孔容積の85%以上であることが好ましい。
本発明の製造法により得られるオキシ塩素化触媒は、触媒として作用する限りにおいて如何なる量の塩化銅が担持されたものであってもよく、その中でも触媒活性に優れるオキシ塩素化触媒となることから8〜25重量%であることが好ましく、特に10〜20重量%であることが好ましい。また、周期表1族元素の塩化物の担持量としても、オキシ塩素化触媒が触媒として作用する限りにおいて如何なる制限はなく、その中でも塩化銅の安定性に寄与し触媒活性に優れるオキシ塩素化触媒となることから1〜20重量%であることが好ましく、特に1〜10重量%であることが好ましい。また、オキシ塩素化触媒における塩化銅と周期表1族元素の塩化物の担持割合は、オキシ塩素化触媒が触媒として作用する限りにおいて如何なる制限はなく、その中でも触媒活性と安定性に優れるオキシ塩素化触媒となることからに塩化銅1モルに対し周期表1族元素の塩化物0.01〜3モルであることが好ましく、特に0.1〜1モルであることが好ましい。さらに周期表2族元素の塩化物を担持した場合、その際の周期表2族元素の塩化物の担持量としては、好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明の製造法により得られるオキシ塩素化触媒は、触媒活性が高いものとなることから、100〜300m/gの表面積を有するものであることが好ましく、特に120〜260m/gであることが好ましい。また、0.40〜0.70ml/gの全細孔容積を有するものであることが好ましく、特に0.56〜0.65ml/gであることが好ましい。また、オキシ塩素化触媒の圧縮破壊強度に特に制限はなく、触媒の耐久性を高めることができることから直径方向に対し5〜80N(木屋式強度計での測定値。)の圧縮破壊強度を有するものであることが好ましく、特に10〜40Nであることが好ましい。
本発明の製造法により得られるオキシ塩素化触媒は、中空円筒形状を有するものであり、その形状寸法に特に制限はなく、その中でも触媒活性に優れるものとなることから外径2〜8mm、内径1〜7mm、長さ2〜8mmの円筒形状であることが好ましく、さらに外径3〜6mm、内径1〜3mm未満、長さ3〜6mmであることが好ましい。
本発明の製造法により得られたオキシ塩素化触媒は、エチレン、塩化水素および酸素を原料にしてEDCを製造する際のオキシ塩素化触媒として用いることが可能であり、特にEDCの選択性に優れる製造方法となるものである。
エチレン、塩化水素および酸素を原料にして、オキシ塩素化反応によるEDCを製造する際の反応形式に特に制限はなく、任意の反応形式で行うことが可能であり、例えば、固定床流通式または流動床流通式で行うことができる。これらのうち、装置が簡便なことから固定床流通式で行うことが好ましい。反応温度に特に制限はなく、中でもEDCへの転換が効率的になることから、100℃〜400℃が好ましく、特に150℃〜350℃であることが好ましい。反応圧力に特に制限はなく、通常、絶対圧で0.01〜2MPaであり、好ましくは0.05〜1MPaである。また、固定床流通式反応の際のガス時間空間速度(GHSV)は、EDCへ効率的に転換できることから、好ましくは10hr−1〜10000hr−1、さらに好ましくは30hr−1〜8000hr−1である。ここで、ガス時間空間速度(GHSV)とは、単位触媒体積当たりの単位時間(hr)に対するエチレンの供給量を表すものである。
オキシ塩素化反応は発熱反応であることから、必要に応じて希釈剤を触媒層に混合しても良い。希釈剤としては、特に限定されないが、例えばシリカ、アルミナ、カーボン等が用いられる。
なお、エチレン、塩化水素および酸素は、そのまま用いても、不活性ガスで希釈して用いても良い。不活性ガスとしては特に制限されるものではないが、例えば窒素、ヘリウムまたはアルゴン等が挙げられ、これらの不活性ガスは単独で使用するのみならず、二種以上を混合して用いることも可能である。代表的な例として、原料の一つである酸素に空気を用いるいわゆる空気法、空気に酸素を追加して用いる酸素富化法、窒素などの不活性ガスを使用しない酸素法が、工業化プロセスとして広く採用され実施されている。本発明において調製されたオキシ塩素化触媒は、いずれのプロセスにも好適に使用することができる。
本発明によれば、触媒粒子毎の活性が均一となる新規なオキシ塩素化触媒の製造法を提供することができる。係るオキシ塩素化触媒は、エチレンのオキシ塩素化反応によるEDCを安定かつ高選択的に製造することが可能となり、工業的にも極めて有用である。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に実施例に用いた測定方法および反応評価方法を示す。
<細孔分布の測定>
細孔分布の測定は、水銀圧入法細孔分布測定装置(カンタクローム社製、(商品名)PoreMaster 60GT)を用い、細孔直径0.0036μm〜400μmの範囲で測定を行った。細孔分布のピークおよびピークの頂点は、Log微分細孔容積分布(dV/d(logD))、即ち、横軸に細孔直径、縦軸にLog微分細孔容積をプロットした図から読み取った。
<金属組成分析(塩化銅、塩化カリウムおよび塩化セシウムの定量分析)>
触媒調製における焼成終了後、トレイ上に4層に積層した触媒を積層(上部から第1層、第2層、第3層、第4層)毎に採取し、各々の触媒の金属組成分析を行った。金属組成分析は、走査型蛍光X線分析装置(理学製、(商品名)ZSX PrimusII)を用い、積層毎の触媒約3gを粉砕、次いで加圧プレスで試料プレートを作製し、このプレートをRh管球、管電圧/管電流50kV/60mAの条件で測定した。得られたCu、KおよびCs濃度は、各々CuCl、KClおよびCsClに換算して、表1に記載した。
<標準偏差の求め方>
第1層、第2層、第3層および第4層の触媒の周期表1属元素/Cu(モル比)を用いて、平均値と各データの値の差(偏差)を二乗し、それを算術平均した値の平方根として標準偏差を求めた。
実施例1
細孔直径8nmおよび60nmにそれぞれ細孔分布のピーク頂点を有する中空円筒形状のアルミナ担体(外径5.0mm、内径1.8mm、長さ5.0mm)に水を十分に吸収させた。CuCl=217g/l、KCl=56g/l、CsCl50g/lの濃度の塩化銅−塩化カリウム−塩化セシウム水溶液800mlに前記のアルミナ担体300gを浸漬させ、室温で4時間浸漬した。アルミナ担体を浸漬液から取り出した後、直ぐにトレイ(長さ20cm、幅20cm、高さ6cm)に移して、アルミナ担体をトレイ上、4層に積層し、蓋を取り付けた。バッチ式の恒温器(ヤマト科学製、(商品名)精密恒温器DH650)に蓋付きのトレイを入れ、150℃で1.5時間乾燥させた後、200℃で5時間焼成して、外径5.0mm、内径1.8mm、長さ5.0mmを有する中空円筒形状のオキシ塩素化触媒(細孔直径11nmおよび41nmにそれぞれ細孔分布のピーク頂点を有する。)を調製した。
焼成終了後、トレイ上の触媒を積層(上部から第1層、第2層、第3層、第4層)毎に採取し、各々の触媒の金属組成分析を行った。結果を表1に示す。
比較例1
蓋の無いトレイを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で中空円筒形状のオキシ塩素化触媒を調製し、各々の触媒の金属組成分析を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005817435
本発明の新規なオキシ塩素化触媒の製造法は、触媒粒子毎の活性が均一となる有用な触媒の製造法であり、その方法により製造されたオキシ塩素化触媒は、エチレンのオキシ塩素化反応によるEDCを安定に製造することが可能となり、工業的にも極めて有用である。

Claims (7)

  1. 少なくとも下記の(1)〜(2)工程を経ることを特徴とするオキシ塩素化触媒の製造法。
    (1)工程;中空円筒形状のアルミナ担体に少なくとも塩化銅及び周期表1族元素の塩化物を担持する工程。
    (2)工程;(1)工程の後の少なくとも塩化銅及び周期表1属元素の塩化物を担持した中空円筒形状のアルミナ担体を蓋付トレイ内に入れ、バッチ式の焼成装置で乾燥と焼成を行いオキシ塩素化触媒とする工程。
  2. 中空円筒形状のアルミナ担体が、細孔直径3〜15nm未満の細孔および細孔直径15〜80nmの細孔を有する中空円筒形状のアルミナ担体であることを特徴とする請求項1に記載のオキシ塩素化触媒の製造法。
  3. (1)工程が、中空円筒形状のアルミナ担体を少なくとも塩化銅及び周期表1族元素の塩化物の水溶液に浸漬する工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載のオキシ塩素化触媒の製造法。
  4. 周期表1族元素の塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウムおよび塩化セシウムからなる群から選択される1種以上の塩化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオキシ塩素化触媒の製造法。
  5. (2)工程を焼成温度10〜400℃、焼成時間2〜10時間の条件下とすることを特徴とする請求項1〜4のいずかに記載のオキシ塩素化触媒の製造法。
  6. 細孔直径3〜15nm未満の細孔及び細孔直径15〜50nmの細孔の細孔分布が共に1つ以上のピーク頂点を有し、外径3〜6mm、内径1〜3mm未満、長さ3〜6mmの中空円筒形状を有するオキシ塩素化触媒となることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオキシ塩素化触媒の製造法。
  7. 塩化銅の担持量が8〜25重量%であり、周期表1族元素の塩化物の担持量が1〜20重量%であるオキシ塩素化触媒となることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のオキシ塩素化触媒の製造法。
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