JP2023102534A - オキシ塩素化触媒及びそれを用いた1,2-ジクロロエタンの製造方法 - Google Patents

オキシ塩素化触媒及びそれを用いた1,2-ジクロロエタンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 エチレンから塩化ビニルモノマーの原料として有用な1,2-ジクロロエタンを高活性かつ安定に製造する新規なオキシ塩素化触媒及びそれを用いた1,2-ジクロロエタンの製造方法を提供する。【解決手段】 アルミナ担体に少なくとも塩化銅および周期表1族元素の塩化物を担持した中空円筒形状を有し、細孔直径3~15nm未満の範囲内の細孔および細孔直径15~50nmの範囲内の細孔を有し、3~15nm未満の細孔の細孔容積が0.21cm3/g以上0.40cm3/g以下である、オキシ塩素化触媒。【選択図】 なし

Description

本発明は、新規なオキシ塩素化触媒に関するものであり、さらに詳しくは、エチレンから塩化ビニルモノマーの原料として有用な1,2-ジクロロエタンを高活性かつ安定に製造する新規なオキシ塩素化触媒及びそれを用いた1,2-ジクロロエタンの製造方法に関する。
塩化ビニルモノマー(以下、VCMと記すこともある。)の製造法のうち、バランスド・オキシクロリネーション・プロセスと呼ばれる方法、即ち、(1)エチレンの直接塩素化反応による1,2-ジクロロエタン(以下、EDCと記すこともある。)の製造、(2)EDCの熱分解反応によるVCMの製造、(3)エチレンのオキシ塩素化反応によるEDCの製造、からなるプロセスが石油化学工業で広く採用されている。
このうち、エチレンのオキシ塩素化反応によるEDCの製造法は、EDCの熱分解反応で副生した塩化水素をリサイクルして利用する他、ウレタン原料であるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のジイソシアネート製造時に副生した塩化水素をリサイクルすることが可能であり、ますます重要な製造法として位置づけられている。
オキシ塩素化反応によるEDCの製造は、その製造設備の大型化が進んでおり、10万トンスケールでの大型装置が稼動している。このような大型装置での生産においては、生産効率上、1,2-ジクロロエタン収率は重要なファクターであり、活性低下による収率減少がたとえ0.1%であってもその経済的損失は極めて大きなものとなる。
これまで、固定床流通式触媒反応塔からなるオキシ塩素化触媒反応プロセスで、エチレン、塩化水素および空気から1,2-ジクロロエタンを製造する方法(例えば特許文献1参照。)が知られている。
また、その際の触媒として、円筒形の形状寸法を規定したオキシ塩素化触媒(例えば特許文献2参照。)、細孔直径3~15nm未満の範囲内および細孔直径15~250nmの範囲内の細孔を有する中空円筒形状を有するオキシ塩素化触媒(例えば特許文献3参照。)が提案されている。
特公平05-007377号 特開昭56-141842号公報 特開2012-187569号公報
エチレンのオキシ塩素化反応、即ち、エチレン、塩化水素および酸素から1,2-ジクロロエタンおよび水を生成する反応は、264kJ/molという非常に大きな反応熱を有するものではあるが、高い原料フィード条件とした場合、原料による除熱効果が上回り、反応が進行する温度までの上昇がしがたくなる。それによって反応速度が向上しにくくなり、エチレン転化率が向上しなくなるためEDC生産性が低下する、という課題を有する。
そして、特許文献2、3において提案されたオキシ塩素化触媒は、EDCの高選択率を達成するものではあるが、高い原料フィード条件下という過酷な反応条件下では検討のなされていないものであった。
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、エチレン、塩化水素、および酸素から1,2-ジクロロエタンを製造する際に、高い原料フィード条件下にあっても高収率で1,2-ジクロロエタンを製造することが可能となるオキシ塩素化触媒を提供するものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、中空円筒形状を有し、特定範囲の細孔直径を有する細孔を有し、特定範囲の細孔容積を有するオキシ塩素化触媒が、高い原料フィード条件下にあっても高い活性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、アルミナ担体に少なくとも塩化銅および周期表1族元素の塩化物を担持した中空円筒形状を有し、細孔直径3~15nm未満の範囲内の細孔および細孔直径15~50nmの範囲内の細孔を有し、3~15nm未満の細孔の細孔容積が0.21cm/g以上0.40cm/g以下であることを特徴とするオキシ塩素化触媒に関するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のオキシ塩素化触媒は、アルミナ担体に少なくとも塩化銅および周期表1族元素の塩化物を担持した中空円筒形状の触媒であり、細孔直径3~15nm未満の範囲内および細孔直径15~50nmの範囲内にそれぞれの細孔を有し、3~15nm未満の細孔の細孔容積が0.21cm/g以上0.40cm/g以下のものである。
ここで、細孔とは、IUPACにおいては、直径2nm以下の細孔をマイクロ孔、直径2~50nmの細孔をメソ孔、直径50nm以上の細孔をマクロ孔と定義されている。本発明においては、細孔直径1~100nm程度のものを細孔と称するものである。
本発明における細孔直径は、例えば中空円筒形状を有するオキシ塩素化触媒に窒素を吸着させ、吸着時の窒素の圧力から測定する方法(窒素ガス吸着法)により測定することが可能であり、細孔容積は、窒素の細孔への吸着量から算出できる。
本発明のオキシ塩素化触媒は、細孔直径3~15nm未満の範囲内の細孔および細孔直径15~50nmの範囲内の細孔を共に有するものである。
そして、特にEDC選択率と触媒強度のバランスに優れたオキシ塩素化触媒となることから、これら細孔を細孔径分布として表した際に細孔直径3~15nm未満の範囲内及び細孔直径15~50nmの範囲内のそれぞれに1つ以上のピーク頂点を有するものであることが好ましい。細孔直径3~15nm未満の範囲内の細孔における細孔径分布のピーク頂点の数としては、好ましくは1~2点であり、さらに好ましくは1点である。また、細孔直径15~50nmの細孔における細孔径分布のピーク頂点の数は、さらにEDC選択率が高い触媒となることから1~5点が好ましく、特に好ましくは1点である。この際、EDCの選択性と触媒強度に共に優れる触媒となることから、細孔直径3~15nm未満の範囲内のピーク頂点に対する細孔径直径15~50nmの範囲内のピーク頂点の強度比が0.1~1.0であるものが好ましい。また、該細孔分布のピーク頂点は、細孔直径4~13nmの範囲内および細孔直径22~45nmの範囲内にそれぞれ存在することがより好ましい。
なお、細孔径分布とは、細孔の大きさとその体積の関係を示すものであり、表現方法として、積算細孔容積分布、差分細孔容積分布、微分細孔容積分布(dV/dD)、Log微分細孔容積分布(dV/d(logD))等が知られている。本発明における細孔径直径は、Log微分細孔容積分布(dV/d(logD))で得られる細孔径分布により求めることが可能であり、細孔直径とLog微分細孔容積の関係から導きだされる細孔径分布として示される。
本発明のオキシ塩素化触媒は、アルミナ担体に少なくとも塩化銅および周期表1族元素の塩化物を担持した中空円筒形状を有するものである。ここで、塩化銅としては、塩化第一銅および/または塩化第二銅を挙げることができ、その中でも特に安定性に優れるオキシ塩素化触媒となることから塩化第二銅であることが好ましい。また、オキシ塩素化触媒に担持されている塩化銅の担持量としては、オキシ塩素化触媒が触媒として作用する限りにおいて如何なる制限はなく、その中でも触媒活性に優れるオキシ塩素化触媒となることから8~25重量%であることが好ましく、特に10~20重量%であることが好ましい。
周期表1族元素の塩化物としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウムおよび塩化セシウムからなる群から選択される1種以上の塩化物が挙げられる。これらのうち、オキシ塩素化触媒の安定性が高くなることから、塩化カリウム及び/又は塩化セシウムが好ましい。
周期表1族元素の塩化物の担持量としては、オキシ塩素化触媒が触媒として作用する限りにおいて如何なる制限はなく、その中でも塩化銅の安定性に寄与し触媒活性に優れるオキシ塩素化触媒となることから1~20重量%であることが好ましく、特に1~10重量%であることが好ましい。また、本発明のオキシ塩素化触媒における塩化銅と周期表1族元素の塩化物の担持割合は、オキシ塩素化触媒が触媒として作用する限りにおいて如何なる制限はなく、その中でも触媒活性と安定性に優れるオキシ塩素化触媒となることから塩化銅1モルに対し周期表1族元素の塩化物0.01~3モルであることが好ましく、特に0.1~1モルであることが好ましい。
本発明のオキシ塩素化触媒においては、特にオキシ塩素化反応の活性が向上することから、メソ細孔容積が大きい触媒が好ましく、3~15nm未満の細孔における細孔容積は0.21cm/g以上0.40cm/g以下を有するものであり、特に0.23cm/g以上0.40cm/g以下であることが好ましい。ここで、3~15nm未満の細孔における細孔容積が0.21cm/g未満のものである場合、高い原料フィード条件下では反応による発熱が原料フィードの除熱を下回り反応が進行し難くなる。一方、0.40cm/gを超えるものである場合、破壊強度に劣る触媒となり、長期にわたる安定な反応が困難となる。なお、細孔容積が大きいということはアルミナ担体の細孔が金属成分により閉塞せず、反応活性点が多く残存し、オキシ塩素化触媒の活性が低下しにくいものとなると考えている。
本発明のオキシ塩素化触媒は、触媒活性が高いものとなることから、100~300m/gの表面積を有するものであることが好ましく、特に120~260m/gであることが好ましい。また、0.30を超えて0.70cm/gの全細孔容積を有するものであることが好ましい。
本発明のオキシ塩素化触媒は、圧縮破壊強度に特に制限はなく、触媒の耐久性を高めることができることから直径方向に対し5~80N(木屋式強度計での測定値。)の圧縮破壊強度を有するものであることが好ましく、特に10~40Nであることが好ましい。
本発明のオキシ塩素化触媒は、中空円筒形状を有するものであり、その形状寸法に特に制限はなく、その中でも触媒活性に優れるものとなることから外径2~8mm、内径1~7mm、長さ2~8mmの円筒形状であることが好ましく、さらに外径3~6mm、内径1~3mm未満、長さ3~6mmであることが好ましい。
本発明のオキシ塩素化触媒を構成するアルミナ担体に特に限定はなく、その中でも細孔を有する多孔質アルミナ担体が好ましく、好ましくは細孔直径3~15nm未満、特に好ましくは3~14nmの範囲内の細孔および好ましくは細孔直径15~80nm、特に好ましくは15~70nmの範囲内の細孔を有する中空円筒形状の多孔質アルミナ担体であることが好ましい。このようなアルミナ担体は、いかなる方法により成形されても差し支えなく、例えば押出成形法または圧縮成形法により成形することができる。
本発明のオキシ塩素化触媒は、いかなる方法により製造されても差し支えなく、例えば細孔直径3~15nm未満、特に好ましくは3~14nmの範囲内の細孔および好ましくは細孔直径15~80nm、特に好ましくは15~70nmの範囲内の細孔を有する中空円筒形状のアルミナ担体に、少なくとも塩化銅および周期表1族元素の塩化物を担持し、更に乾燥および焼成することにより製造する方法を挙げることができる。その際の担持方法としては、例えば浸漬法、含浸法、共沈殿法、等の方法を挙げることができ、これらの中でも、操作が簡便で、生産性に優れることから、浸漬法であることが好ましい。
この際の浸漬法としては、例えば塩化銅および周期表1族元素の塩化物の水溶液に該アルミナ担体を浸漬し、浸漬処理後、アルミナ担体と水溶液を分離した後、塩化銅および周期表1族元素の塩化物が付着したアルミナ担体を乾燥、次いで焼成処理を行い、オキシ塩素化触媒を製造する方法を挙げることができる。浸漬液としては、特に制限はなく、塩化銅水溶液、周期表1族元素の塩化物水溶液を挙げることができる。塩化銅水溶液の濃度としては、好ましくは50~400g/lであり、さらに好ましくは100~300g/lである。また、周期表1族元素の塩化物水溶液の濃度としては、好ましくは20~400g/lであり、さらに好ましくは40~200g/lである。浸漬時の温度としては、例えば0~80℃、好ましくは10~50℃である。浸漬時の圧力としては、通常、常圧である。また、浸漬時間は、温度や塩化銅、周期表1族元素の塩化物の濃度により選択可能であり、通常、0.5~10時間である。浸漬時の雰囲気に特に制限はなく、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスによって置換して用いることができる。
本発明のオキシ塩素化触媒を浸漬法で製造する場合の塩化銅および周期表1族元素の塩化物の担持順序に制限はなく、例えば塩化銅および周期表1族元素の塩化物を一度に担持する方法、塩化銅および周期表1族元素の塩化物を分割して担持する方法、を挙げることができる。
本発明において、乾燥処理の方式に特に制限はなく、任意の方式で行うことが可能であり、例えば、バッチ式、コンベアー式、ロータリーキルン式、流動層式等の乾燥装置で行うことができる。また、加熱の方法も制限がなく、熱風、赤外線、マイクロ波等の加熱方式で行われる。これらのうち、装置が簡便なこと、静置状態での乾燥が可能であり均一な乾燥が可能となることからバッチ式で行うことが好ましい。乾燥温度に特に制限はなく、0~250℃が好ましく、30~200℃であることが特に好ましい。乾燥時間としては、1~20時間が好ましく、特に2~10時間であることが好ましい。乾燥中の雰囲気に制限はなく、通常、空気中で行なわれる。また、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスによって置換して乾燥することもできる。
また、焼成処理の方式に特に制限はなく、任意の方式で行うことが可能であり、例えば、バッチ式、コンベアー式、ロータリーキルン式等の焼成装置で行うことができる。これらのうち、装置が簡便なこと、静置状態での焼成が可能であり触媒の破砕等が発生し難くなることからバッチ式で行うことが好ましい。焼成温度に特に制限はなく、触媒の安定性が高いことから、0~500℃が好ましく、100~400℃であることが好ましい。焼成時間としては、1~20時間が好ましく、特に2~10時間であることが好ましい。また、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスによって置換して焼成することもできる。なお、乾燥処理と焼成処理は同じ装置で、実施しても差し支えない。
本発明のオキシ塩素化触媒は、エチレン、塩化水素および酸素を原料にしてEDCを製造する際のオキシ塩素化触媒として用いることが可能であり、高い原料フィード条件下にあっても高収率で1,2-ジクロロエタンを製造する方法となるものである。
その際の酸素/エチレンのガス容量比は、適宜選択可能であり、中でもオキシ塩素化触媒の高い反応性を発現することから、好ましくは0.5~2.0、さらに好ましくは0.6~0.9である。また、エチレンと塩化水素の比率は、特に制限されるものではなく、中でもエチレンの反応率を維持し、効率的に1,2-ジクロロエタンを製造できることから、ガス容量比で、好ましくは塩化水素/エチレン比=1.0~5.0、さらに好ましくは2.0~3.0である。エチレン、塩化水素、酸素は、そのままで用いても、不活性なガスで希釈して用いても良い。不活性ガスの種類は、特に限定はなく、例えば窒素、ヘリウム、アルゴンまたは二酸化炭素の一種または混合ガスを用いることができる。代表的な例として、原料の一つである酸素に空気を用いるいわゆる空気法、空気に酸素を追加して用いる酸素富化法、窒素などの不活性ガスを使用しない酸素法が、工業化プロセスとして広く採用され実施されている。
エチレン、塩化水素および酸素を原料にして、オキシ塩素化反応によるEDCを製造する際の反応形式に特に制限はなく、任意の反応形式で行うことが可能であり、例えば、固定床流通式または流動床流通式で行うことができる。これらのうち、装置が簡便なことから固定床流通式で行うことが好ましい。反応温度に特に制限はなく、中でもEDCへの転換が効率的になることから、100~400℃が好ましく、特に150~350℃であることが好ましい。反応圧力に特に制限はなく、通常、絶対圧で0.01~2MPaであり、好ましくは0.05~1MPaである。また、固定床流通式反応の際のガス時間空間速度(GHSV)は、EDCへ効率的に転換できることから、好ましくは10hr-1~10000hr-1、さらに好ましくは30hr-1~8000hr-1である。
本発明における高い原料フィード条件とは特に限定されるものではなく、中でも効率的なEDCの製造が可能となることから、例えばガス時間空間速度(GHSV)が4000hr-1より大きい条件、特に5500hr-1以上であることが好ましい。ここでガス時間空間速度(GHSV)とは、単位触媒体積当たりの単位時間(hr-1)に対するエチレンの供給量を表すものである。
また、オキシ塩素化反応によるEDCの製造を行う際には、該反応が発熱反応であることから、必要に応じて希釈剤を触媒層に混合しても良い。希釈剤としては、特に限定はなく、例えばシリカ、アルミナ、カーボン等が挙げられる。また、希釈剤の形状については特に制限はなく、例えば球形状、円柱形状、円筒形状、ハニカム形状が挙げられる。さらに、希釈剤の寸法にも特に制限はなく、中でもオキシ塩素化触媒と均一な充填が可能となることから、オキシ塩素化触媒と同じ寸法であることが好ましく、中でも外径2~8mm、内径1~7mm、長さ2~8mmの円筒形状であることが好ましく、さらに外径3~6mm、内径1~3mm未満、長さ3~6mmであることが好ましい。
EDCの製造を行う際の反応塔の材質に特に限定はなく、例えばニッケル、ニッケル合金、ステンレス等が挙げられる。これらのうち、塩化水素への耐食性に優れることから、ニッケル及びニッケル合金が好ましい。
本発明の新規なオキシ塩素化触媒は、エチレンから塩化ビニルモノマーの原料として有用なEDCを高い原料フィード条件でも高選択的かつ安定に製造することが可能となり、工業的にも極めて有用である。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に実施例に用いた測定方法および反応評価方法を示す。
<細孔径分布の測定>
細孔径分布の測定は、窒素ガス吸着法細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製、(商品名)BELSORP MINI)を用い、細孔直径2nm~190nmの範囲で測定を行った。細孔直径3~15nm未満の細孔及び細孔直径15~50nmの細孔、そのピーク、そのトップピークにおける強度比、3~15nm未満の細孔の細孔容積、全細孔容積および比表面積を表1に記載した。
<金属組成分析(塩化銅、塩化カリウムの定量分析)>
触媒調製における焼成終了後、トレイ上の触媒を採取し、各々の触媒の金属組成分析を行った。金属組成分析は、走査型蛍光X線分析装置(理学製、(商品名)ZSX PrimusII)を用い、積層毎の触媒約3gを粉砕、次いで加圧プレスで試料プレートを作製し、このプレートをRh管球、管電圧/管電流50kV/60mAの条件で測定した。得られたCu、K濃度は、各々CuCl、KClに換算して、表1に記載した。
<反応評価方法>
オキシ塩素化触媒の反応評価は、固定床気相流通式反応装置を用いて行った。反応管の中段に、オキシ塩素化触媒を充填し、エチレン、塩化水素、酸素および希釈用窒素をエチレン:塩化水素:酸素=1.0:2.0:0.5(容積比)で供給した。
反応炉温度は、210℃になるよう制御した。また、原料フィード条件はガス時間空間速度(GHSV)が4000hr-1および6000hr-1となるように設定し、それぞれの条件における触媒層の最高温度を測定した。GHSV4000hr-1時の最高温度≦6000hr-1時の最高温度、との関係になるオキシ塩素化触媒を原料の高フィード時における反応性に優れる触媒と判断した。
実施例1
細孔直径8nmおよび35nmにそれぞれ細孔分布のピーク頂点を有する中空円筒形状のアルミナ担体(外径5.0mm、内径1.8mm、長さ5.0mm)に水を十分に吸収させた。CuCl=155g/l、KCl=72g/lの濃度の塩化銅-塩化カリウム水溶液80mlに前記のアルミナ担体30gを浸漬させ、室温で4時間浸漬した。アルミナ担体を浸漬液から取り出した後、直ぐにトレイ(長さ20cm、幅20cm、高さ6cm)に移した。バッチ式の恒温器(ヤマト科学製、(商品名)精密恒温器DH650)にトレイを入れ、150℃で1.5時間乾燥させた後、200℃で5時間焼成して、外径5.0mm、内径1.8mm、長さ5.0mmを有する中空円筒形状のオキシ塩素化触媒-1を調製した。
焼成終了後、トレイ上の触媒を採取し、金属組成分析、細孔分布の測定および反応評価を行った。結果を表1に示す。
得られたオキシ塩素化触媒は、細孔直径3~15nm未満の範囲及び細孔直径15~50nmの範囲のそれぞれに細孔分布を有し、それぞれのピーク頂点は5nmと28nmであり、3~15nm未満の細孔容積が0.23cm/gと大きいものであった。また、GHSV6000hr-1時の最高温度も高く、触媒活性は原料フィードによる除熱量よりも高い反応活性を示すものであった。また、運転に支障をきたすような触媒層の温度上昇もなく、1,2-ジクロロエタンの製造効率に優れるものであった。
実施例2
CuCl=123g/l、KCl=69g/lの濃度の塩化銅-塩化カリウム水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、外径5.0mm、内径1.8mm、長さ5.0mmを有する中空円筒形状のオキシ塩素化触媒-2を調製した。
焼成終了後、トレイ上の触媒を採取し、各々の触媒の金属組成分析、細孔分布の測定および反応評価を行った。結果を表1に示す。
得られたオキシ塩素化触媒は、細孔直径3~15nm未満の範囲及び細孔直径15~50nmの範囲のそれぞれに細孔分布を有し、それぞれのピーク頂点は5nmと24nmであり、3~15nm未満の細孔容積が0.24cm/gと大きいものであった。また、GHSV6000hr-1時の最高温度も高く、触媒活性は原料フィードによる除熱量よりも高い反応活性を示すものであった。また、運転に支障をきたすような触媒層の温度上昇もなく、1,2-ジクロロエタンの製造効率に優れるものであった。
比較例1
細孔直径7nmおよび55nmにそれぞれ細孔分布のピーク頂点を有する中空円筒形状のアルミナ担体、CuCl=291g/l、KCl=126g/lの濃度の塩化銅-塩化カリウム水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、外径5.0mm、内径1.8mm、長さ5.0mmを有する中空円筒形状のオキシ塩素化触媒-3を調製した。
焼成終了後、トレイ上の触媒を採取し、各々の触媒の金属組成分析、細孔分布の測定および反応評価を行った。結果を表1に示す。
得られたオキシ塩素化触媒は、細孔直径3~15nm未満の範囲及び細孔直径15~50nmの範囲のそれぞれに細孔分布を有し、それぞれのピーク頂点は5nmと46nmであり、3~15nm未満の細孔容積が0.19cm/gと小さいものであった。GHSV6000hr-1時の最高温度は低下しており、触媒活性は原料フィードによる除熱により低い反応活性となるものであった。
比較例2
CuCl=211g/l、KCl=120g/lの濃度の塩化銅-塩化カリウム水溶液用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、外径5.0mm、内径1.8mm、長さ5.0mmを有する中空円筒形状のオキシ塩素化触媒-4を調製した。
焼成終了後、トレイ上の触媒を採取し、各々の触媒の金属組成分析、細孔分布の測定および反応評価を行った。結果を表1に示す。
得られたオキシ塩素化触媒は、細孔直径3~15nm未満の範囲及び細孔直径15~50nmの範囲のそれぞれに細孔分布を有し、それぞれのピーク頂点は6nmと21nmであり、3~15nm未満の細孔容積が0.20cm/gと小さいものであった。GHSV6000hr-1時の最高温度は低下しており、触媒活性は原料フィードによる除熱により低い反応活性となるものであった。
比較例3
CuCl=302g/l、KCl=125g/lの濃度の塩化銅-塩化カリウム水溶液用いたこと以外は、比較例1と同様の方法で、外径5.0mm、内径1.8mm、長さ5.0mmを有する中空円筒形状のオキシ塩素化触媒-5を調製した。
焼成終了後、トレイ上の触媒を採取し、各々の触媒の金属組成分析、細孔分布の測定および反応評価を行った。結果を表1に示す。
得られたオキシ塩素化触媒は、細孔直径3~15nm未満の範囲及び細孔直径15~50nmの範囲のそれぞれに細孔分布を有し、それぞれのピーク頂点は6nmと47nmであり、3~15nmの細孔容積が0.19cm/gと小さいものであった。GHSV6000hr-1時の最高温度は低下しており、触媒活性は原料フィードによる除熱により低い反応活性となるものであった。
本発明の新規なオキシ塩素化触媒は、エチレンから塩化ビニルモノマーの原料として有用な1,2-ジクロロエタンを製造する際の触媒として利用することが可能であり、高い原料フィード条件下においても高い活性を維持し、高い生産性を得ることができるため、経済的にも優れたものとなる。また、安定生産ができることから、安全性にも優れたものとなる。

Claims (10)

  1. アルミナ担体に少なくとも塩化銅および周期表1族元素の塩化物を担持した中空円筒形状を有し、細孔直径3~15nm未満の範囲内の細孔および細孔直径15~50nmの範囲内の細孔を有し、3~15nm未満の細孔の細孔容積が0.21cm/g以上0.40cm/g以下であることを特徴とするオキシ塩素化触媒。
  2. 周期表1族元素の塩化物が塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウムおよび塩化セシウムからなる群から選択される1種以上の塩化物であることを特徴とする請求項1に記載のオキシ塩素化触媒。
  3. 細孔直径3~15nm未満の細孔および細孔直径15~50nmの細孔の細孔分布が共に
    1つ以上のピーク頂点を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のオキシ塩素化触媒。
  4. 外径3~6mm、内径1~3mm未満、長さ3~6mmの中空円筒形状を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のオキシ塩素化触媒。
  5. 塩化銅の担持量が8~25重量%であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のオキシ塩素化触媒。
  6. 周期表1族元素の塩化物の担持量が1~20重量%である請求項1~5のいずれかに記載のオキシ塩素化触媒。
  7. 塩化銅1モルに対する周期表1族元素の塩化物の担持量が0.1~1モルである請求項1~6のいずれかに記載のオキシ塩素化触媒。
  8. 細孔直径3~15nm未満の細孔および細孔直径15~80nmの細孔を有する中空円筒形状のアルミナ担体に、少なくとも塩化銅及び周期表1族元素の塩化物を浸漬法で担持し、更に乾燥および焼成することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のオキシ塩素化媒の製造方法。
  9. 乾燥をバッチ式の乾燥装置で行い、焼成をバッチ式の焼成装置で行うことを特徴とする請求項8に記載のオキシ塩素化触媒の製造方法。
  10. 請求項1~7のいずれかに記載のオキシ塩素化触媒の存在下、エチレン、塩化水素及び酸素のオキシ塩素化反応を行なうことを特徴とする1,2-ジクロロエタンの製造方法。
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