以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、本明細書において、トランジスタのソースとは、活性層として機能する半導体膜の一部であるソース領域、或いは上記半導体膜に接続されたソース電極を意味する。同様に、トランジスタのドレインとは、上記半導体膜の一部であるドレイン領域、或いは上記半導体膜に接続されたドレイン電極を意味する。また、ゲートはゲート電極を意味する。
トランジスタが有するソースとドレインは、トランジスタの導電型及び各端子に与えられる電位の高低によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がソースと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がドレインと呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がドレインと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がソースと呼ばれる。本明細書では、便宜上、ソースとドレインとが固定されているものと仮定して、トランジスタの接続関係を説明する場合があるが、実際には上記電位の関係に従ってソースとドレインの呼び方が入れ替わる。
〈半導体装置の構成例1〉
まず、本発明の一態様に係る半導体装置の構成例について説明する。図1に、本発明の一態様に係る半導体装置10の構成を例示する。
図1に示す半導体装置10は、プロセッサ11と、記憶回路12と、パワーマネージメントユニット(PMU)13と、レジスタ14と、比較回路15と、電源16とを有する。
プロセッサ11は、記憶回路12、PMU13、レジスタ14などの動作を統括的に制御することで、各種のプログラムを実行する機能を有する。記憶回路12は、各種データを格納する機能を有する。そして、記憶回路12は、格納されたデータを、記憶回路12への電力の供給が遮断されている期間においても、保持することができる。記憶回路12の具体的な構成とその動作については、後述する。本発明の一態様では、記憶回路12に、プロセッサ11の起動時に実行されるスタートアップルーチンをデータとして格納させることができる。また、本発明の一態様では、記憶回路12を、プロセッサ11の起動後において、プロセッサ11の緩衝記憶装置(キャッシュメモリ)として機能させることができる。記憶回路12を、プロセッサ11の緩衝記憶装置として機能させる場合、記憶回路12には、プロセッサ11が実行する各種プログラム、プロセッサ11において行われる各種演算処理に用いられるデータまたは各種演算処理により得られたデータなどを、格納させることができる。
なお、プロセッサ11は、例えば、他の機能を有する場合や、一部の機能を有していない場合がある。そのため、プロセッサ11を、単に、回路と呼ぶ場合や、第1の回路、第2の回路などと呼ぶ場合がある。
なお、記憶回路12は、例えば、他の機能を有する場合や、一部の機能を有していない場合がある。そのため、記憶回路12を、単に、回路と呼ぶ場合や、第1の回路、第2の回路などと呼ぶ場合がある。
比較回路15は、記憶回路12が緩衝記憶装置として機能する場合に、プロセッサ11から要求されたデータが記憶回路12に格納されているか否かを判断する機能を有する。
なお、比較回路15は、例えば、他の機能を有する場合や、一部の機能を有していない場合がある。そのため、比較回路15を、単に、回路と呼ぶ場合や、第1の回路、第2の回路などと呼ぶ場合がある。
PMU13は、半導体装置10への外部からの電力の供給が開始されると、当該電力のプロセッサ11及び記憶回路12への供給が開始されるように制御する機能を有する。さらに、PMU13は、半導体装置10への電力の供給が開始されると、プロセッサ11または記憶回路12の動作に必要なクロック信号などの各種駆動信号の、プロセッサ11または記憶回路12への供給が開始されるように制御する機能を有していても良い。
そして、PMU13はカウンタ17を有する。カウンタ17は、外部から半導体装置10への電力の供給が遮断された場合に、その期間を計測する機能を有する。レジスタ14は、計測された期間のデータを格納する機能を有する。なお、図1では、カウンタ17がPMU13の構成要素の一つである場合の半導体装置10の構成を例示しているが、カウンタ17は、PMU13から独立して半導体装置10に設けられていても良い。また、図1では、レジスタ14がPMU13から独立して半導体装置10に設けられている場合を例示しているが、レジスタ14はPMU13の構成要素の一つであって良い。
なお、PMU13は、例えば、他の機能を有する場合や、一部の機能を有していない場合がある。そのため、PMU13を、単に、回路と呼ぶ場合や、第1の回路、第2の回路などと呼ぶ場合がある。
なお、カウンタ17は、例えば、他の機能を有する場合や、一部の機能を有していない場合がある。そのため、カウンタ17を、単に、回路と呼ぶ場合や、第1の回路、第2の回路などと呼ぶ場合がある。
また、レジスタ14には、上記期間のデータの他に、外部から半導体装置10への電力の供給が再開されたときに、スタートアップルーチンを半導体装置10の外部から記憶回路12にロードするか否かを決めるためのデータが、格納されていても良い。
なお、レジスタ14は、例えば、他の機能を有する場合や、一部の機能を有していない場合がある。そのため、レジスタ14を、単に、回路と呼ぶ場合や、第1の回路、第2の回路などと呼ぶ場合がある。
電源16は、外部から半導体装置10への電力の供給が遮断されている期間において、PMU13、レジスタ14に電力の供給を行う機能を有する。カウンタ17がPMU13から独立して半導体装置10に設けられている場合は、電源16は、外部から半導体装置10への電力の供給が遮断されている期間において、PMU13及びレジスタ14に加えて、カウンタ17にも電力の供給を行う機能を有する。
電源16として、具体的には、キャパシタまたは二次電池などの蓄電装置、一次電池などを用いることができる。二次電池として、例えば、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等を用いることができる。キャパシタとして、例えば、電気二重層キャパシタや、一対の電極のいずれか一方が電気二重層を構成し、他方が酸化還元反応を使用したハイブリッドキャパシタを用いることができる。ハイブリッドキャパシタには、例えば、正極が電気二重層を構成し、負極がリチウムイオン二次電池を構成している、リチウムイオンキャパシタが含まれる。キャパシタまたは二次電池などの蓄電装置を電源16として用いる場合、蓄電装置の過充電または過放電を防ぐための充電制御回路を、半導体装置10に設けても良い。
また、電源16は、DC−DCコンバータ、昇圧回路、降圧回路などの回路を有していてもよい。つまり、電源16は、複数の電位を生成する機能を有していてもよい。よって、電源16は、電源回路としての機能を有することもできる。
また、電源16は、無線によって、電力を受け取ることができる機能を有していてもよい。つまり、磁界、電界、電磁界などを利用して、外部から電力が供給され、電源16が充電されるような構成となっていてもよい。したがって、電源16は、整流回路や平滑回路などを有していてもよい。または、電源16は、AC−DCコンバータなどを有していてもよい。
なお、電源16は、必ずしも、半導体装置10に設けられていなくてもよい。半導体装置10の外部に電源16が設けられていたり、半導体装置10に電力を供給する電源と共有されていてもよい。つまり、PMU13、レジスタ14に電力を供給する電源と、それら以外に電力を供給する電源とが、別々に設けられていてもよい。または、PMU13、レジスタ14に電力を供給する電源と、それら以外に電力を供給する電源とが、同一の電源となっていて、どれに電力を供給するかを個別に制御できるようになっていてもよい。例えば、PMU13、レジスタ14などにのみ電力を供給し、別のものには電力を供給しないように制御できるようになっていてもよい。
なお、電源16は、例えば、他の機能を有する場合や、一部の機能を有していない場合がある。そのため、電源16を、単に、回路と呼ぶ場合や、第1の回路、第2の回路などと呼ぶ場合がある。
〈半導体装置の動作例1〉
次いで、図1に示した半導体装置10の動作の一例について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、図2に示すように、半導体装置10への電力の供給が開始される(A01:電源投入)。半導体装置10への電力の供給が開始されると、PMU13は、プロセッサ11及び記憶回路12への電力の供給が開始されるように制御する。また、PMU13は、プロセッサ11及び記憶回路12への駆動信号の供給が開始されるように制御しても良い。
次いで、PMU13は、半導体装置10への電力の供給が遮断されていた期間が、設定期間よりも長いか短いかを確認する(A02:電源の遮断期間の確認)。設定期間は、記憶回路12への電源の供給が遮断されてから、記憶回路12において、格納されているスタートアップルーチンを保持可能な期間と同じか、それより短い長さに設定することが好ましい。
半導体装置10への電力の供給が遮断されていた期間が、設定期間よりも長かった場合、スタートアップルーチンが記憶回路12に格納されていない可能性が高い。よって、PMU13は、半導体装置10の外部から、スタートアップルーチンを記憶回路12にロードする(A03:外部から記憶回路への、スタートアップルーチンのロード)よう制御する。
また、半導体装置10への電力の供給が遮断されていた期間が、設定期間よりも短かった場合、スタートアップルーチンが記憶回路12に格納されている可能性が高い。よって、PMU13は、記憶回路12に格納されたスタートアップルーチンをプロセッサ11が実行するよう制御する。
なお、電力の供給が遮断される期間が正確に予測できる場合などは、電力の供給が再開された後において、半導体装置10の外部から記憶回路12に、スタートアップルーチンをロードするか否かを、電力の供給を遮断する前に予め定めることもできる。この場合、外部から記憶回路12に、スタートアップルーチンをロードするか否かのデータ(以下、判断データ)を、レジスタ14に記憶させておいても良い。上記判断データを用いることで、半導体装置10への電力の供給が遮断されていた期間が、設定期間よりも長いか短いかを確認する(A02:電源の遮断期間の確認)ことなく、半導体装置10の外部から記憶回路12に、スタートアップルーチンをロードするか否かを、予め定めることができる。具体的に、PMU13は、レジスタ14からの上記判断データに基づいて、半導体装置10の外部から、スタートアップルーチンを記憶回路12にロードする(A03:外部から記憶回路への、スタートアップルーチンのロード)動作が実行されるように制御することができる。
また、判断データをレジスタ14に記憶させておく場合でも、半導体装置10への電力の供給が遮断されていた期間が設定期間よりも長くなると、スタートアップルーチンが記憶回路12に格納されていない可能性が高くなる。この場合、上記判断データが有効か無効かを示すバリッドビットを記憶回路12に格納しておくことで、バリッドビットが無効であるときに、強制的にスタートアップルーチンを記憶回路12にロードする(A03:外部から記憶回路への、スタートアップルーチンのロード)動作が選択されるようにすれば良い。例えば、有効であることを示す”1”の論理値を有するバリッドビットを、判断データと共に記憶回路12に格納しておくと、判断データが消失するとともにバリッドビットが、有効であることを示す”1”の論理値から、無効であることを示す”0”の論理値に変化するので、判断データが無効であると判断することができる。
次いで、プロセッサ11によりスタートアップルーチンが実行(A05:スタートアップルーチンの実行)される。スタートアップルーチンが実行されることで、プロセッサ11が起動された状態、すなわちプロセッサ11による各種のプログラムの実行が可能な状態となる。
次いで、半導体装置10が通常の動作を開始する(A06:通常動作の開始)。本発明の一態様では、半導体装置10が通常の動作を開始してから、記憶回路12の機能を切り替える(A07:記憶回路の機能の切り替え)ことができる。具体的には、半導体装置10が通常の動作を開始した後、記憶回路12をプロセッサ11の緩衝記憶装置として機能させることができる。そして、半導体装置10に供給される電力の遮断が開始される(A08:電源遮断の開始)と、記憶回路12の機能は、スタートアップルーチンを格納するという元の機能に切り替わる。
図3に、記憶回路12をプロセッサ11の緩衝記憶装置として機能させる場合の、半導体装置10の動作を模式的に示す。図3に示すように、半導体装置10では、プロセッサ11と、記憶回路12と、比較回路15と、PMU13とが動作状態、すなわち、電力と駆動信号の供給が行われている状態、にある。カウンタ17が、PMU13から独立して半導体装置10に設けられている場合、カウンタ17は必ずしも動作状態になくとも良い。そして、記憶回路12をプロセッサ11の緩衝記憶装置として機能させる場合、半導体装置10には外部から電力の供給が行われているため、電源16からPMU13、レジスタ14への電力の供給は行われていなくともよい。
例えば、プロセッサ11から記憶回路12にデータのアクセス要求があると、当該データのアドレスの下位ビットが記憶回路12に、上位ビットが比較回路15に、それぞれに送られる。記憶回路12では、アクセス要求のあったアドレスの下位ビットに対応するラインに記憶されている、アドレスの上位ビット(タグデータとも呼ぶ)を、比較回路15に送る。比較回路15では、プロセッサ11からアクセス要求のあったアドレスの上位ビットと、記憶回路12から送られてきたアドレスの上位ビットとが、比較される。比較の結果、アドレスの上位ビットが一致したら、プロセッサ11からアクセス要求のあったアドレスの下位ビットに対応するラインに、該当するデータが記憶されていることとなる。また、比較の結果、アドレスの上位ビットが一致しなかったら、アクセス要求があったデータが記憶回路12に記憶されていないこととなる。該当するデータが記憶回路12に記憶されている場合、上記データはプロセッサ11に送られる。
次いで、半導体装置10の外部からスタートアップルーチンをロードし、記憶回路12に格納する(A09:外部から記憶回路への、スタートアップルーチンのロード)。そして、半導体装置10への電力の供給が遮断される(A10:電源遮断)。
電力の供給が遮断される前に、スタートアップルーチンを記憶回路12に格納することで、再度、半導体装置10への電力の供給が開始され(A01:電源投入)、電力の供給が遮断されていた期間が設定期間よりも長いか短いかを確認し(A02:電源の遮断期間の確認)、短かったと判断された場合に、外部からスタートアップルーチンを記憶回路12にロードする必要がなくなる。その結果、プロセッサ11の起動に要する時間を短く抑えることができる。
図4に、記憶回路12が、スタートアップルーチンを格納する機能を有する場合の、半導体装置10の動作を模式的に示す。図4に示すように、半導体装置10では、プロセッサ11と、記憶回路12と、PMU13と、レジスタ14とが動作状態にある。カウンタ17が、PMU13から独立して半導体装置10に設けられている場合、カウンタ17も動作状態にある。そして、記憶回路12がスタートアップルーチンを格納する機能を有する場合は、半導体装置10には外部から電力の供給が行われているときと、行われていないときとがある。半導体装置10への電力の供給が行われているとき、電源16からPMU13、レジスタ14への電力の供給は行われていなくともよい。半導体装置10への電力の供給が行われていないとき、電源16からPMU13、レジスタ14への電力の供給が行われる。
なお、再度、半導体装置10への電力の供給が開始された(A01:電源投入)後、判断データに従ってスタートアップルーチンを外部からロードするか否かをあらかじめ定めておく場合、半導体装置10に供給される電力の遮断が開始された(A08:電源遮断の開始)後、半導体装置10への電力の供給が遮断される(A10:電源遮断)前に、上記判断データをレジスタ14に格納しておけば良い。
判断データは、例えば、半導体装置10に入力装置を設けておき、使用者が入力装置を介して半導体装置に入力する命令に従って、作成されるようにしても良い。入力装置として、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、センサなどを用いることができる。
また、電源16として蓄電装置を用いている場合、半導体装置10への電力の供給が行われる期間において、当該蓄電装置への電力の供給が行われても良い。
〈半導体装置の構成例2〉
次いで、本発明の一態様に係る半導体装置の、図1とは異なる構成例について説明する。図5に、本発明の一態様に係る半導体装置10の構成を例示する。
図5に示す半導体装置10は、図1に示す半導体装置10と同様に、プロセッサ11と、記憶回路12と、パワーマネージメントユニット(PMU)13と、レジスタ14と、比較回路15と、電源16とを有する。さらに、図5に示す半導体装置10は、論理回路18を有し、論理回路18は複数の回路19を有する。
図5に示す半導体装置10では、図1に示す半導体装置10と同様に、記憶回路12に、プロセッサ11の起動時に実行されるスタートアップルーチンをデータとして格納させることができる。また、図5に示す半導体装置10では、図1に示す半導体装置10と同様に、記憶回路12を、プロセッサ11の起動後において、プロセッサ11の緩衝記憶装置として機能させることができる。さらに、図5に示す半導体装置10では、記憶回路12に、複数の回路19間の導通状態を制御するためのデータ(以下、コンフィギュレーションデータと呼ぶ)を、格納させることができる。記憶回路12に記憶されたコンフィギュレーションデータに従って、複数の回路19間の導通状態が制御されることで、論理回路18に、各種の順序回路や組み合わせ回路としての機能を付加することができる。
また、図5に示す半導体装置10では、回路19における論理演算の種類、具体的には、回路19の入力信号の論理値に対する出力信号の論理値が、コンフィギュレーションデータによって定められる構成を有していても良い。複数の回路19のそれぞれについて論理演算の種類を変更することで、論理回路18に、より多くの種類の順序回路や組み合わせ回路としての機能を付加することができる。
また、図5に示す半導体装置10では、記憶回路12が、コンフィギュレーションデータを記憶する機能に加えて、上記コンフィギュレーションデータに従って複数の回路19間の導通状態を制御するスイッチとしての機能を併せ持っていても良い。
図6に、記憶回路12をプロセッサ11の緩衝記憶装置として機能させる場合の、図5に示す半導体装置10の動作を模式的に示す。図6に示すように、半導体装置10では、プロセッサ11と、記憶回路12と、比較回路15と、PMU13とが動作状態にある。カウンタ17が、PMU13から独立して半導体装置10に設けられている場合、カウンタ17は必ずしも動作状態になくとも良い。そして、記憶回路12をプロセッサ11の緩衝記憶装置として機能させる場合、半導体装置10には外部から電力の供給が行われているため、電源16からPMU13、レジスタ14への電力の供給は行われていなくともよい。
図7に、記憶回路12が、コンフィギュレーションデータを格納する機能を有する場合の、図5に示す半導体装置10の動作を模式的に示す。図7に示すように、半導体装置10では、プロセッサ11と、記憶回路12と、PMU13と、論理回路18とが動作状態にある。カウンタ17が、PMU13から独立して半導体装置10に設けられている場合、カウンタ17は必ずしも動作状態になくとも良い。そして、記憶回路12が、コンフィギュレーションデータを格納する機能を有する場合、半導体装置10には外部から電力の供給が行われているため、電源16からPMU13、レジスタ14への電力の供給は行われていなくともよい。
図8に、記憶回路12が、スタートアップルーチンを格納する機能を有する場合の、図5に示す半導体装置10の動作を模式的に示す。図8に示すように、半導体装置10では、プロセッサ11と、記憶回路12と、PMU13と、レジスタ14とが動作状態にある。カウンタ17が、PMU13から独立して半導体装置10に設けられている場合、カウンタ17も動作状態にある。そして、記憶回路12がスタートアップルーチンを格納する機能を有する場合は、半導体装置10には外部から電力の供給が行われているときと、行われていないときとがある。半導体装置10への電力の供給が行われているとき、電源16からPMU13、レジスタ14への電力の供給は行われていなくともよい。半導体装置10への電力の供給が行われていないとき、電源16からPMU13、レジスタ14への電力の供給が行われる。
なお、図6及び図7では、記憶回路12をプロセッサ11の緩衝記憶装置として機能させる場合と、記憶回路12がコンフィギュレーションデータを格納する機能を有する場合とで切り分けて、その動作を模式的に示している。ただし、本発明の一態様では、記憶回路12の一部をプロセッサ11の緩衝記憶装置として機能させ、記憶回路12の他の一部がコンフィギュレーションデータを格納する機能を有する構成としても良い。
〈セルアレイの構成例1〉
次いで、記憶回路12が有するセルアレイ20の、具体的な構成の一例について説明する。
図9に示すセルアレイ20は、配線WBL−1乃至配線WBL−n(nは2以上の自然数)で示す複数の配線WBLと、配線RBL−1乃至配線RBL−nで示す複数の配線RBLと、配線SL−1乃至配線SL−nで示す複数の配線SLと、配線WWL−1乃至配線WWL−m(mは2以上の自然数)で示す複数の配線WWLと、配線RWL−1乃至配線RWL−mで示す複数の配線RWLとを有する。さらに、図9に示すセルアレイ20は、n×m個の回路21を有する。各回路21は、トランジスタ22と、トランジスタ23と、トランジスタ24と、容量素子25とを、少なくとも有する。
そして、n×m個の回路21は、配線WWL−j及び配線RWL−j(jはm以下の自然数)に接続されているn個の回路21で構成されている組26を、m個有する。図9では、m個の組26を、組26−1乃至組26−mとして図示する。
具体的に、j行i列目(iはn以下の自然数)の回路21において、トランジスタ22は、そのゲートが配線WWL−jに電気的に接続されている。また、トランジスタ22のソース及びドレインは、一方が配線WBL−iに電気的に接続され、他方がトランジスタ23のゲートに電気的に接続されている。トランジスタ23のソース及びドレインは、一方が配線RBL−iに電気的に接続され、他方がトランジスタ24のソース及びドレインの一方に電気的に接続されている。トランジスタ24のソース及びドレインの他方は、配線SL−iに電気的に接続されている。トランジスタ24のゲートは、配線RWL−jに電気的に接続されている。
容量素子25の一方の端子は、トランジスタ23のゲートに接続されている。容量素子25の他方の端子は、配線に接続されている。なお、その配線は、一定の電位が供給されていることが好ましい。例えば、その配線としては、高電位側電源電位を供給することが出来る機能を有する配線、低電位側電源電位を供給することが出来る機能を有する配線、または、接地電位を供給することが出来る機能を有する配線などがあげられる。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、パルス信号を供給することが出来る機能を有する配線であってもよい。
なお、図9では、トランジスタ24が、トランジスタ23が有するソース及びドレインの他方と、配線SLの間に、電気的に接続されている場合を例示している。トランジスタ24は、トランジスタ23が有するソース及びドレインの一方と、配線RBLの間に、電気的に接続されていても良い。
回路21は、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、インダクタなどのその他の回路素子を、さらに有していても良い。
図9に示すセルアレイ20では、トランジスタ22がオンのときに配線WBLにデータを含む信号が与えられると、トランジスタ22を介してトランジスタ23のゲートに上記信号が供給される。次いで、トランジスタ22がオフになると、トランジスタ23のゲートに与えられた上記信号が保持される。そして、トランジスタ23は、信号が保持されているゲートの電位に従って、導通状態が選択される。
トランジスタ24は、トランジスタ23と直列に電気的に接続されているため、トランジスタ23と共に、配線RBLと配線SLとの間の導通状態(オンまたはオフ)を制御する機能を有する。具体的には、トランジスタ23及びトランジスタ24がオンであるとき、配線RBLと配線SLとの間が導通状態となり、電流を流すことが可能となる。また、トランジスタ23及びトランジスタ24の少なくとも一つがオフであるとき、配線RBLと配線SLとは電気的に分離した状態となる。すなわち、各回路21に保持されたデータを含む信号の電位に従って、複数の配線RBLと複数の配線SLとの間の導通状態が定められることとなる。
記憶回路12を緩衝記憶装置として機能させる場合、或いは、記憶回路12がコンフィギュレーションデータを格納する機能を有する場合、例えば、配線SLに接地電位などの所定の電位を与えておく。そして、トランジスタ24をオンにしたときに、当該電位がトランジスタ23及びトランジスタ24を介して配線RBLに与えられるか否かを読み取ることで、回路21に保持されているデータを読み出すことができる。この場合、データの読み出しを行う前に、配線RBLに、配線SLとは異なる電位を与えることで、配線RBLの電位を初期化しておく。
また、記憶回路12が、記憶回路12がコンフィギュレーションデータを格納する機能を有し、なおかつ、コンフィギュレーションデータに従って複数の回路19間の導通状態を制御するスイッチとしての機能を有する場合、例えば、配線RBLには、図5に示した複数の回路19のいずれか一つが接続されており、配線SLには複数の回路19の別のいずれか一つが接続されているものとする。上記構成により、セルアレイ20の各回路21に書き込まれたデータに従って、回路19間の導通状態が制御されることとなる。
なお、図9に示すセルアレイ20において、トランジスタ22は、トランジスタ23のゲートの電位を保持する機能を有しているため、オフ電流の著しく小さいトランジスタであることが望ましい。シリコンよりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半導体膜に、チャネル形成領域が形成されることを特徴とするトランジスタは、オフ電流を著しく小さくすることができるので、トランジスタ22として用いるのに好適である。このような半導体としては、例えば、シリコンの2倍以上の大きなバンドギャップを有する、酸化物半導体、窒化ガリウムなどが挙げられる。上記半導体を有するトランジスタは、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体で形成されたトランジスタに比べて、オフ電流を極めて小さくすることができる。よって、上記構成を有するトランジスタ22を用いることで、トランジスタ23のゲートに保持されている電荷が、リークするのを防ぐことができる。
また、図9に示すセルアレイ20において、回路21では、トランジスタ22がオフであるときトランジスタ23のゲートが、他の電極や配線との間における絶縁性が極めて高い浮遊状態になることから、以下に述べるブースティング効果が期待できる。すなわち、回路21では、トランジスタ23のゲートが浮遊状態にあると、配線RBLの電位がローレベルからハイレベルに変化するのに伴い、スイッチとして機能するトランジスタ23のソースとゲートの間に形成される容量Cgsにより、トランジスタ23のゲートの電位が上昇する。そして、そのトランジスタ23のゲートの電位の上昇幅は、上記トランジスタ23のゲートに入力された電位の論理値によって異なる。具体的に、回路21に書き込まれたデータの電位が”0”の論理値に対応する場合、上記トランジスタ23は弱反転モードにあるため、トランジスタ23のゲートの電位の上昇に寄与する容量Cgsには、ゲート電極の電位、すなわちトランジスタ23のゲートの電位に依存しない容量Cosが含まれる。具体的に、容量Cosには、ゲート電極とソース領域とが重畳する領域に形成されるオーバーラップ容量と、ゲート電極とソース電極の間に形成される寄生容量などが含まれる。一方、回路21に書き込まれたデータの電位が”1”の論理値に対応する場合、上記トランジスタ23は強反転モードにあるため、トランジスタ23のゲートの電位の上昇に寄与する容量Cgsには、上述した容量Cosに加えて、チャネル形成領域とゲート電極の間に形成される容量Coxの一部が含まれる。したがって、電位が”1”の論理値に対応する場合、トランジスタ23のゲートの電位の上昇に寄与する容量Cgsが、電位が”0”の論理値に対応する場合よりも大きいこととなる。よって、回路21では、電位が”1”の論理値に対応する場合の方が、電位が”0”の論理値に対応する場合よりも、配線RBLの電位の変化に伴い、トランジスタ23のゲートの電位をより高く上昇させるというブースティング効果を得ることができる。よって、回路21に書き込まれたデータの電位が”1”の論理値に対応する場合に、配線WBLに入力されたデータを含む信号の電位に対して、スイッチが有するトランジスタ22の閾値電圧分、トランジスタ23のゲートの電位が降下していたとしても、ブースティング効果によりトランジスタ23のゲートの電位を上昇させることができるので、スイッチとして機能するトランジスタ23をオンにすることができ、回路21のスイッチ速度を向上させることができる。また、電位が”0”の論理値に対応する場合には、スイッチとして機能する上記トランジスタ23をオフのままにすることができる。
〈記憶回路の構成例〉
次いで、セルアレイ20を有する記憶回路12の、具体的な構成の一例について説明する。
図10に示す記憶回路12は、複数のセルアレイ20を有するセルアレイ27と、配線RWLへの電位の供給を制御することができる機能を有する駆動回路30と、配線WBLへのデータを含む信号の供給を制御することができる機能を有する駆動回路31と、配線WWLへの電位の供給を制御することができる機能を有する駆動回路32とを有する。なお、セルアレイ20は配線WBLの伸長方向にs個(sは2以上の自然数)配置されている。
なお、駆動回路30、駆動回路31、駆動回路32は、例えば、他の機能を有する場合や、一部の機能を有していない場合がある。そのため、駆動回路30、駆動回路31、駆動回路32を、単に、回路と呼ぶ場合や、第1の回路、第2の回路などと呼ぶ場合がある。
駆動回路31は、データを含む信号Sigをサンプリングするタイミングを制御することができる機能を有する、シフトレジスタやデコーダなどを有する回路33と、回路33で定められたタイミングに従って、上記信号のサンプリングを行うことができる機能を有する回路34と、サンプリングされた上記信号の、配線WBLへの供給をそれぞれ制御することができる機能を有する複数のスイッチ35とを有する。図10では、スイッチ35として、信号WEに従ってハイインピーダンスとなるスリーステートバッファを用いる場合を例示する。
具体的に、図10では、信号WEの電位がハイレベルのとき、スイッチ35は、入力端子に入力された信号と同じ論理値を有する信号を、配線WBLに与える。また、信号WEの電位がローレベルのとき、スイッチ35はハイインピーダンスとなり、入力端子に入力された信号は、配線WBLに与えられない。
記憶回路12を緩衝記憶装置として機能させる場合、或いは、記憶回路12がコンフィギュレーションデータを格納する機能を有する場合には、図10に示すように、駆動回路31は、緩衝記憶装置のデータ幅に合わせて、並列にデータをセルアレイ27に供給できる構成であることが好ましい。
また、駆動回路30は、配線RWLの電位を制御することで、各セルアレイ20が有する複数の組26から、複数の配線RBLと複数の配線SLとの間の導通状態を定める一の組26を、選択する機能を有する。また、駆動回路30は、配線RWLの電位を制御することで、各セルアレイ20が有する複数の組26から、データが読み出される一の組26を、選択する機能を有する。
具体的に、図10に示す駆動回路30は、複数のセルアレイ20から一のセルアレイ20を選択するための信号を生成する機能を有する回路36と、配線MODE−1乃至配線MODE−mに入力される信号に従って、選択されたセルアレイ20から一の組26を選択する機能を有する複数の回路37とを有する。回路36として、例えばデコーダを用いることができる。また、回路37として、例えばAND回路を用いることができる。
図10に示す駆動回路30において、回路構成を含むデータが記憶された各セルアレイ20が有する複数の組26のうち、一の組26を選択するには、回路36から出力される信号の電位を全てハイレベルにし、配線MODE−1乃至配線MODE−mのうち、選択される一の組26に対応する配線MODEに供給する電位のみをハイレベルにすれば良い。なお、図10では、回路36から出力される信号の電位を全てハイレベルにするか否かの制御が、配線ALLENから回路36に供給される電位に従って行われる構成を例示している。
図10に示す駆動回路30において、配線RADRから供給される、アドレスを情報として含む信号を回路36でデコードすることで、複数の組26のうち、データが読み出される一の組26が選択される。一の組26が選択されることで、複数の配線RBLと複数の配線SLとの間の導通状態が定められる。また、駆動回路30により一の組26が選択された状態で、配線SLに接地電位などの所定の電位を供給することで、選択された組26の各回路21に格納されているデータを、配線RBL−1乃至配線RBL−nに出力することができる。
また、駆動回路32は、配線WWL−1乃至配線WWL−smの電位を制御することで、各セルアレイ20が有する複数の組26から、データが書き込まれる一の組26を選択する機能を有する。
具体的に、図10に示す駆動回路32は、複数のセルアレイ20から一のセルアレイ20を選択するための信号を生成する機能を有する回路38と、配線MODE−1乃至配線MODE−mに入力される信号に従って、選択されたセルアレイ20から一の組26を選択する機能を有する複数の回路39とを有する。回路38として、例えばデコーダを用いることができる。また、回路39として、例えばAND回路を用いることができる。そして、図10に示す駆動回路32において、一のセルアレイ20を選択するには、配線WADRから供給される、アドレスを情報として含む信号を回路38でデコードすることで、データが書き込まれる一のセルアレイ20が選択される。
〈記憶回路の動作例〉
次いで、図5に示す半導体装置10が、図9及び図10に示した記憶回路12を有する場合を例に挙げ、記憶回路12の動作の一例について、図11に示すタイミングチャートを用いて説明する。
図11に示すタイミングチャートにおいて、時刻T1乃至時刻T5は、セルアレイ27にデータを格納する期間に相当する。具体的に上記期間は、記憶回路12がスタートアップルーチンを格納する機能を有する場合において、半導体装置10への電力の供給が遮断される前に、当該スタートアップルーチンに相当するデータを、セルアレイ27に格納する期間に相当する。或いは、具体的に上記期間は、記憶回路12を緩衝記憶装置として機能させる場合において、セルアレイ27にデータを格納する期間に相当する。或いは、具体的に上記期間は、記憶回路12が、コンフィギュレーションデータを記憶する機能に加えて、上記コンフィギュレーションデータに従って複数の回路19間の導通状態を制御するスイッチとしての機能を併せ持っている場合において、コンフィギュレーションデータを格納する期間に相当する。
まず、時刻T1乃至時刻T2において、配線WADRに供給される、アドレスを情報として含む信号(以下、アドレス信号と呼ぶ)が、回路38においてデコードされることで、複数の回路39のうち、配線WWL−1乃至配線WWL−mに対応した回路39に、回路38からハイレベルの電位が供給されるものとする。さらに、時刻T1乃至時刻T2では、配線MODE−1乃至配線MODE−mのうち、配線MODE−1にハイレベルの電位が供給され、配線MODE−1以外の全ての配線MODEにローレベルの電位が供給される。上記動作により、配線WWL−1にハイレベルの電位が供給され、配線WWL−1に対応した組26が選択される。そして、配線WBL−1にハイレベルの電位、配線WBL−nにローレベルの電位が供給されることにより、上記組26において、1行1列目の回路21にデータ”1”が書き込まれ、1行n列目の回路21にデータ”0”が書き込まれる。
次いで、時刻T2乃至時刻T3において、配線WADRに供給されるアドレス信号が、回路38においてデコードされることで、複数の回路39のうち、配線WWL−1乃至配線WWL−mに対応した回路39に、回路38からハイレベルの電位が供給されるものとする。さらに、時刻T2乃至時刻T3では、配線MODE−1乃至配線MODE−mのうち、配線MODE−mにハイレベルの電位が供給され、配線MODE−m以外の全ての配線MODEにローレベルの電位が供給される。上記動作により、配線WWL−mにハイレベルの電位が供給され、配線WWL−mに対応した組26が選択される。そして、配線WBL−1にローレベルの電位、配線WBL−nにローレベルの電位が供給されることにより、上記組26において、m行1列目の回路21にデータ”0”が書き込まれ、m行n列目の回路21にデータ”0”が書き込まれる。
次いで、時刻T3乃至時刻T4において、配線WADRに供給されるアドレス信号が、回路38においてデコードされることで、複数の回路39のうち、配線WWL−(s−1)m+1乃至配線WWL−smに対応した回路39に、回路38からハイレベルの電位が供給されるものとする。さらに、時刻T3乃至時刻T4では、配線MODE−1乃至配線MODE−mのうち、配線MODE−1にハイレベルの電位が供給され、配線MODE−1以外の全ての配線MODEにローレベルの電位が供給される。上記動作により、配線WWL−(s−1)m+1にハイレベルの電位が供給され、配線WWL−(s−1)m+1に対応した組26が選択される。そして、配線WBL−1にローレベルの電位、配線WBL−nにローレベルの電位が供給されることにより、上記組26において、(s−1)m+1行1列目の回路21にデータ”0”が書き込まれ、(s−1)m+1行n列目の回路21にデータ”0”が書き込まれる。
次いで、時刻T4乃至時刻T5において、配線WADRに供給されるアドレス信号が、回路38においてデコードされることで、複数の回路39のうち、配線WWL−(s−1)m+1乃至配線WWL−smに対応した回路39に、回路38からハイレベルの電位が供給されるものとする。さらに、時刻T4乃至時刻T5では、配線MODE−1乃至配線MODE−mのうち、配線MODE−mにハイレベルの電位が供給され、配線MODE−m以外の全ての配線MODEにローレベルの電位が供給される。上記動作により、配線WWL−smにハイレベルの電位が供給され、配線WWL−smに対応した組26が選択される。そして、配線WBL−1にローレベルの電位、配線WBL−nにハイレベルの電位が供給されることにより、上記組26において、sm行1列目の回路21にデータ”0”が書き込まれ、sm行n列目の回路21にデータ”1”が書き込まれる。
また、図11に示すタイミングチャートにおいて、時刻T6乃至時刻T8は、記憶回路12が、複数の回路19間の導通状態を制御するスイッチとしての機能を持っている場合に、コンフィギュレーションデータにしたがって、複数の回路19が動作する期間に相当する。なお、以下の説明では、回路19からの出力信号が配線RBL−1乃至配線RBL−nに供給され、配線SL−1乃至配線SL−nの電位が回路19に入力信号として供給される場合を例に挙げている。
まず、時刻T6乃至時刻T7において、回路36から全ての回路37に、ハイレベルの電位が供給されるものとする。そして、配線MODE−1乃至配線MODE−mのうち、配線MODE−1にハイレベルの電位が供給され、配線MODE−1以外の全ての配線MODEにローレベルの電位が供給される。上記動作により、配線MODE−1に対応した回路37によって電位が制御される配線RWLに、ハイレベルの電位が供給される。よって、配線RWL−1、配線RWL−m+1、配線RWL−(s−1)m+1などに対応した組26が選択され、当該組26の回路21に格納されたコンフィギュレーションデータにしたがって、複数の回路19は動作する。
次いで、時刻T7乃至時刻T8において、回路36から全ての回路37に、ハイレベルの電位が供給されるものとする。そして、配線MODE−1乃至配線MODE−mのうち、配線MODE−mにハイレベルの電位が供給され、配線MODE−m以外の全ての配線MODEにローレベルの電位が供給される。上記動作により、配線MODE−mに対応した回路37によって電位が制御される配線RWLに、ハイレベルの電位が供給される。よって、配線RWL−m、配線RWL−2m、配線RWL−smなどに対応した組26が選択され、当該組26の回路21に格納されたコンフィギュレーションデータにしたがって、複数の回路19は動作する。
次いで、時刻T9乃至時刻T13は、記憶回路12がスタートアップルーチンを格納する機能を有する場合において、セルアレイ27に格納したデータを読み出す期間に相当する。或いは、時刻T9乃至時刻T13は、記憶回路12を緩衝記憶装置として機能させる場合において、セルアレイ27に格納したデータを読み出す期間に相当する。なお、いずれの場合も、時刻T5が終了した後、上述した時刻T6乃至時刻T8の動作は行わずに、時刻T9乃至時刻T13の動作を行えばよい。また、いずれの場合も、時刻T9乃至時刻T13において、配線SL−1乃至配線SL−nには、ローレベルの電位が供給されているものとする。
まず、時刻T9乃至時刻T10において、配線SL−1乃至配線SL−nに供給される電位とは異なる電位、例えばハイレベルの電位を、配線RBL−1乃至配線RBL−nに供給することで、配線RBL−1乃至配線RBL−nの電位を初期化しておく。そして、配線RADRに供給されるアドレス信号が、回路36においてデコードされることで、複数の回路37のうち、配線RWL−1乃至配線RWL−mに対応した回路37に、回路36からハイレベルの電位が供給されるものとする。さらに、時刻T9乃至時刻T10では、配線MODE−1乃至配線MODE−mのうち、配線MODE−1にハイレベルの電位が供給され、配線MODE−1以外の全ての配線MODEにローレベルの電位が供給される。上記動作により、配線RWL−1にハイレベルの電位が供給され、配線RWL−1に対応した組26が選択される。そして、1行1列目の回路21にはデータ”1”が、1行n列目の回路21にはデータ”0”が、時刻T1乃至時刻T2において書き込まれているので、配線RWL−1に対応した組26が選択されることで、配線RBL−1には配線SL−1からローレベルの電位が与えられ、配線RBL−nではハイレベルの電位が維持される。すなわち、回路21に格納されているデータに応じて、配線RBL−1及び配線RBL−nの電位が定まるので、配線RBL−1及び配線RBL−nの電位から、配線RWL−1に対応した組26の回路21に格納されているデータを読み取ることができる。
次いで、時刻T10乃至時刻T11において、配線SL−1乃至配線SL−nに供給される電位とは異なる電位、例えばハイレベルの電位を、配線RBL−1乃至配線RBL−nに供給することで、配線RBL−1乃至配線RBL−nの電位を初期化しておく。そして、配線RADRに供給されるアドレス信号が、回路36においてデコードされることで、複数の回路37のうち、配線RWL−1乃至配線RWL−mに対応した回路37に、回路36からハイレベルの電位が供給されるものとする。さらに、時刻T10乃至時刻T11では、配線MODE−1乃至配線MODE−mのうち、配線MODE−mにハイレベルの電位が供給され、配線MODE−m以外の全ての配線MODEにローレベルの電位が供給される。上記動作により、配線RWL−mにハイレベルの電位が供給され、配線RWL−mに対応した組26が選択される。そして、m行1列目の回路21にはデータ”0”が、m行n列目の回路21にはデータ”0”が、時刻T2乃至時刻T3において書き込まれているので、配線RWL−mに対応した組26が選択されることで、配線RBL−1及び配線RBL−nではハイレベルの電位が維持される。すなわち、回路21に格納されているデータに応じて、配線RBL−1及び配線RBL−nの電位が定まるので、配線RBL−1及び配線RBL−nの電位から、配線RWL−mに対応した組26の回路21に格納されているデータを読み取ることができる。
次いで、時刻T11乃至時刻T12において、配線SL−1乃至配線SL−nに供給される電位とは異なる電位、例えばハイレベルの電位を、配線RBL−1乃至配線RBL−nに供給することで、配線RBL−1乃至配線RBL−nの電位を初期化しておく。そして、配線RADRに供給されるアドレス信号が、回路36においてデコードされることで、複数の回路37のうち、配線RWL−(s−1)m+1乃至配線RWL−smに対応した回路37に、回路36からハイレベルの電位が供給されるものとする。さらに、時刻T11乃至時刻T12では、配線MODE−1乃至配線MODE−mのうち、配線MODE−1にハイレベルの電位が供給され、配線MODE−1以外の全ての配線MODEにローレベルの電位が供給される。上記動作により、配線RWL−(s−1)m+1にハイレベルの電位が供給され、配線RWL−(s−1)m+1に対応した組26が選択される。そして、(s−1)m+1行1列目の回路21にはデータ”0”が、(s−1)m+1行n列目の回路21にはデータ”0”が、時刻T3乃至時刻T4において書き込まれているので、配線RWL−(s−1)m+1に対応した組26が選択されることで、配線RBL−1及び配線RBL−nではハイレベルの電位が維持される。すなわち、回路21に格納されているデータに応じて、配線RBL−1及び配線RBL−nの電位が定まるので、配線RBL−1及び配線RBL−nの電位から、配線RWL−(s−1)m+1に対応した組26の回路21に格納されているデータを読み取ることができる。
次いで、時刻T12乃至時刻T13において、配線SL−1乃至配線SL−nに供給される電位とは異なる電位、例えばハイレベルの電位を、配線RBL−1乃至配線RBL−nに供給することで、配線RBL−1乃至配線RBL−nの電位を初期化しておく。そして、配線RADRに供給されるアドレス信号が、回路36においてデコードされることで、複数の回路37のうち、配線RWL−(s−1)m+1乃至配線RWL−smに対応した回路37に、回路36からハイレベルの電位が供給されるものとする。さらに、時刻T12乃至時刻T13では、配線MODE−1乃至配線MODE−mのうち、配線MODE−mにハイレベルの電位が供給され、配線MODE−m以外の全ての配線MODEにローレベルの電位が供給される。上記動作により、配線RWL−smにハイレベルの電位が供給され、配線RWL−smに対応した組26が選択される。そして、sm行1列目の回路21にはデータ”0”が、sm行n列目の回路21にはデータ”1”が、時刻T4乃至時刻T5において書き込まれているので、配線RWL−smに対応した組26が選択されることで、配線RBL−1ではハイレベルの電位が維持され、配線RBL−nには配線SL−nからローレベルの電位が与えられる。すなわち、回路21に格納されているデータに応じて、配線RBL−1及び配線RBL−nの電位が定まるので、配線RBL−1及び配線RBL−nの電位から、配線RWL−smに対応した組26の回路21に格納されているデータを読み取ることができる。
また、図11に示すタイミングチャートにおいて、時刻T14乃至時刻T19は、記憶回路12を緩衝記憶装置として機能させる場合において、記憶回路12にデータを書き込む期間と、記憶回路12からデータを読み出す期間に相当する。ただし、図11に示すタイミングチャートでは、時刻T1乃至時刻T5において行われる、記憶回路12へのデータの書き込み方法と、時刻T14乃至時刻T16において行われる、記憶回路12へのデータの書き込み方法とが、異なる場合を例示している。また、図11に示すタイミングチャートでは、時刻T9乃至時刻T13において行われる、記憶回路12からのデータの読み出し方法と、時刻T17乃至時刻T19において行われる、記憶回路12からのデータの読み出し方法とが、異なる場合を例示している。
まず、時刻T14乃至時刻T15において、配線WADRに供給されるアドレス信号が、回路38においてデコードされることで、複数の回路39のうち、配線WWL−1乃至配線WWL−mに対応した回路39に、回路38からハイレベルの電位が供給されるものとする。さらに、時刻T14乃至時刻T15では、配線MODE−1乃至配線MODE−mのうち、配線MODE−1及び配線MODE−mにハイレベルの電位が供給され、配線MODE−1及び配線MODE−m以外の全ての配線MODEにローレベルの電位が供給される。上記動作により、配線WWL−1及び配線WWL−mにハイレベルの電位が供給され、配線WWL−1及び配線WWL−mに対応した組26が選択される。そして、配線WBL−1にハイレベルの電位、配線WBL−nにローレベルの電位が供給されることにより、上記組26において、1行1列目及びm行1列目の回路21にデータ”1”が書き込まれ、1行n列目及びm行n列目の回路21にデータ”0”が書き込まれる。
次いで、時刻T15乃至時刻T16において、配線WADRに供給されるアドレス信号が、回路38においてデコードされることで、複数の回路39のうち、配線WWL−(s−1)m+1乃至配線WWL−smに対応した回路39に、回路38からハイレベルの電位が供給されるものとする。さらに、時刻T15乃至時刻T16では、配線MODE−1乃至配線MODE−mのうち、配線MODE−1及び配線MODE−mにハイレベルの電位が供給され、配線MODE−1及び配線MODE−m以外の全ての配線MODEにローレベルの電位が供給される。上記動作により、配線WWL−(s−1)m+1及び配線WWL−smにハイレベルの電位が供給され、配線WWL−(s−1)m+1及び配線WWL−smに対応した組26が選択される。そして、配線WBL−1にローレベルの電位、配線WBL−nにハイレベルの電位が供給されることにより、上記組26において、(s−1)m+1行1列目及びsm行1列目の回路21にデータ”0”が書き込まれ、(s−1)m+1行n列目及びsm行n列目の回路21にデータ”1”が書き込まれる。
次いで、時刻T17乃至時刻T18において、配線SL−1乃至配線SL−nには、ローレベルの電位が供給されているものとする。また、配線SL−1乃至配線SL−nに供給される電位とは異なる電位、例えばハイレベルの電位を、配線RBL−1乃至配線RBL−nに供給することで、配線RBL−1乃至配線RBL−nの電位を初期化しておく。そして、配線RADRに供給されるアドレス信号が、回路36においてデコードされることで、複数の回路37のうち、配線RWL−1乃至配線RWL−mに対応した回路37に、回路36からハイレベルの電位が供給されるものとする。さらに、時刻T17乃至時刻T18では、配線MODE−1及び配線MODE−mにハイレベルの電位が供給され、配線MODE−1及び配線MODE−m以外の全ての配線MODEにローレベルの電位が供給される。上記動作により、配線RWL−1及び配線RWL−mにハイレベルの電位が供給され、配線RWL−1及び配線RWL−mにそれぞれ対応した組26が選択される。そして、1行1列目及びm行1列目の回路21にデータ”1”が、1行n列目及びm行n列目の回路21にデータ”0”が、時刻T14乃至時刻T15においてそれぞれ書き込まれているので、配線RWL−1及び配線RWL−mに対応した組26が選択されることで、配線RBL−1には配線SL−1からローレベルの電位が与えられ、配線RBL−nではハイレベルの電位が維持される。すなわち、回路21に格納されているデータに応じて、配線RBL−1及び配線RBL−nの電位が定まるので、配線RBL−1及び配線RBL−nの電位から、配線RWL−1及び配線RWL−mに対応した組26の回路21に格納されているデータを読み取ることができる。
また、時刻T17乃至時刻T18では、時刻T9乃至時刻T13において記憶回路12からデータを読み出す場合と異なり、複数の回路21、具体的には、1行1列目の回路21及びm行1列目の回路21を介して、配線SL−1から配線RBL−1にローレベルの電位が与えられる。よって、時刻T9乃至時刻T13におけるデータの読み出しに比べて、配線RBL−1の電位をハイレベルからローレベルにより速く変化させることができるので、データ”1”の読み出しを高速に行うことができる。
次いで、時刻T18乃至時刻T19において、配線SL−1乃至配線SL−nには、ローレベルの電位が供給されているものとする。また、配線SL−1乃至配線SL−nに供給される電位とは異なる電位、例えばハイレベルの電位を、配線RBL−1乃至配線RBL−nに供給することで、配線RBL−1乃至配線RBL−nの電位を初期化しておく。そして、配線RADRに供給されるアドレス信号が、回路36においてデコードされることで、複数の回路37のうち、配線RWL−(s−1)m+1乃至配線RWL−smに対応した回路37に、回路36からハイレベルの電位が供給されるものとする。さらに、時刻T18乃至時刻T19では、配線MODE−1及び配線MODE−mにハイレベルの電位が供給され、配線MODE−1及び配線MODE−m以外の全ての配線MODEにローレベルの電位が供給される。上記動作により、配線RWL−(s−1)m+1及び配線RWL−smにハイレベルの電位が供給され、配線RWL−(s−1)m+1及び配線RWL−smにそれぞれ対応した組26が選択される。そして、(s−1)m+1行1列目及びsm行1列目の回路21にデータ”0”が、(s−1)m+1行n列目及びsm行n列目の回路21にデータ”1”が、時刻T15乃至時刻T16においてそれぞれ書き込まれているので、配線RWL−(s−1)m+1及び配線RWL−smに対応した組26が選択されることで、配線RBL−1ではハイレベルの電位が維持され、配線RBL−nには配線SL−nからローレベルの電位が与えられる。すなわち、回路21に格納されているデータに応じて、配線RBL−1及び配線RBL−nの電位が定まるので、配線RBL−1及び配線RBL−nの電位から、配線RWL−(s−1)m+1及び配線RWL−smに対応した組26の回路21に格納されているデータを読み取ることができる。
また、時刻T18乃至時刻T19では、時刻T9乃至時刻T13において記憶回路12からデータを読み出す場合と異なり、複数の回路21、具体的には、(s−1)m+1行n列目の回路21及びsm行n列目の回路21を介して、配線SL−nから配線RBL−nにローレベルの電位が与えられる。よって、時刻T9乃至時刻T13におけるデータの読み出しに比べて、配線RBL−nの電位をハイレベルからローレベルにより速く変化させることができるので、データ”1”の読み出しを高速に行うことができる。
なお、図11に示すタイミングチャートでは、時刻T14乃至時刻T16、または時刻T17乃至時刻T19において、組26を選択するために、配線MODE−1及び配線MODE−mにハイレベルの電位が供給され、配線MODE−1及び配線MODE−m以外の全ての配線MODEにローレベルの電位が供給される場合を例示している。ただし、本発明の一態様では、データの書き込みを行う期間またはデータの読み出しを行う期間において、複数の組26を選択するために、全ての配線MODEのうち、いずれか複数の配線MODEにハイレベルの電位が供給されていればよい。よって、ハイレベルの電位が供給される配線MODEの数及び種類は、適宜設計者が設定することができる。
〈セルアレイの構成例2〉
次いで、記憶回路12が有するセルアレイ20の、図9とは異なる構成例について説明する。
図12に示すセルアレイ20は、配線WBL−1乃至配線WBL−nで示す複数の配線WBLと、配線RBL−1乃至配線RBL−nで示す複数の配線RBLと、配線SL−1乃至配線SL−nで示す複数の配線SLと、配線WWL−1乃至配線WWL−mで示す複数の配線WWLと、配線RWL−1乃至配線RWL−mで示す複数の配線RWLとを有する。さらに、図12に示すセルアレイ20は、n×m個の回路21を有する。各回路21は、トランジスタ22と、トランジスタ23と、容量素子25とを、少なくとも有する。
そして、n×m個の回路21は、配線WWL−j及び配線RWL−jに接続されているn個の回路21で構成されている組26を、m個有する。図12では、m個の組26を、組26−1乃至組26−mとして図示する。
具体的に、j行i列目の回路21において、トランジスタ22は、そのゲートが配線WWL−jに電気的に接続されている。また、トランジスタ22のソース及びドレインは、一方が配線WBL−iに電気的に接続され、他方がトランジスタ23のゲートに電気的に接続されている。トランジスタ23のソース及びドレインは、一方が配線RBL−iに電気的に接続され、他方が配線SL−iに電気的に接続されている。
また、容量素子25の一方の端子は、トランジスタ23のゲートに電気的に接続されている。容量素子25の他方の端子は、配線RWL−jに電気的に接続されている。
回路21は、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、インダクタなどのその他の回路素子を、さらに有していても良い。
図12に示すセルアレイ20では、トランジスタ22がオンのときに配線WBLにデータを含む信号の電位が与えられると、トランジスタ22を介してトランジスタ23のゲートに上記電位が供給される。次いで、トランジスタ22がオフになると、トランジスタ23のゲートに与えられた電位が保持される。そして、容量素子25は、トランジスタ23のゲートの電位を保持する機能の他、トランジスタ23のゲートを浮遊状態に保ちつつ、配線RWLの電位の変化分をトランジスタ23のゲート電位に加算する機能を有する。トランジスタ23は、配線RWLの電位と、データが反映されたゲートの電位とに従って、導通状態が選択される。
そして、トランジスタ23がオンであるとき、配線RBLと配線SLとが導通した状態となる。また、トランジスタ23がオフであるとき、配線RBLと配線SLとは電気的に分離した状態となる。すなわち、各回路21に保持されたデータを含む信号の電位に従って、複数の配線RBLと複数の配線SLとの間の導通状態が定められることとなる。
記憶回路12を緩衝記憶装置として機能させる場合、或いは、記憶回路12がコンフィギュレーションデータを格納する機能を有する場合、例えば、配線SLに接地電位などの所定の電位を与えておく。そして、配線RWLの電位を変化させることで、当該電位がトランジスタ23を介して配線RBLに与えられるか否かを読み取ることで、回路21に保持されているデータを読み出すことができる。この場合、データの読み出しを行う前に、配線RBLに、配線SLとは異なる電位を与えることで、配線RBLの電位を初期化しておく。
また、記憶回路12が、記憶回路12がコンフィギュレーションデータを格納する機能を有し、なおかつ、コンフィギュレーションデータに従って複数の回路19間の導通状態を制御するスイッチとしての機能を有する場合、例えば、配線RBLには、図5に示した複数の回路19のいずれか一つが接続されており、配線SLには複数の回路19の別のいずれか一つが接続されているものとする。上記構成により、セルアレイ20の各回路21に書き込まれたデータに従って、回路19間の導通状態が制御されることとなる。
なお、図12に示すセルアレイ20において、トランジスタ22は、トランジスタ23のゲートの電位を保持する機能を有しているため、オフ電流の著しく小さいトランジスタであることが望ましい。シリコンよりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半導体膜に、チャネル形成領域が形成されることを特徴とするトランジスタは、オフ電流を著しく小さくすることができるので、トランジスタ22として用いるのに好適である。このような半導体としては、例えば、シリコンの2倍以上の大きなバンドギャップを有する、酸化物半導体、窒化ガリウムなどが挙げられる。上記半導体を有するトランジスタは、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体で形成されたトランジスタに比べて、オフ電流を極めて小さくすることができる。よって、上記構成を有するトランジスタ22を用いることで、トランジスタ23のゲートに保持されている電荷が、リークするのを防ぐことができる。
〈セルアレイの構成例3〉
次いで、記憶回路12が有するセルアレイ20の、図9及び図12とは異なる具体的な構成例について説明する。
図13に示すセルアレイ20は、図9に示すセルアレイ20と同様に、配線WBL−1乃至配線WBL−n(nは2以上の自然数)で示す複数の配線WBLと、配線RBL−1乃至配線RBL−nで示す複数の配線RBLと、配線SL−1乃至配線SL−nで示す複数の配線SLと、配線WWL−1乃至配線WWL−m(mは2以上の自然数)で示す複数の配線WWLと、配線RWL−1乃至配線RWL−mで示す複数の配線RWLとを有する。さらに、図13に示すセルアレイ20は、n×m個の回路21を有する。各回路21は、トランジスタ22と、トランジスタ23と、トランジスタ24とを、少なくとも有する。ただし、図13に示すセルアレイ20は、トランジスタ23のゲートの電位を保持するための回路63及び回路64が設けられている点において、図9に示すセルアレイ20とは構成が異なる。
回路63及び回路64は、電位の極性を反転させる機能を有しており、例えばインバータなどを用いることができる。具体的に、図13では、回路63の入力端子及び回路64の出力端子が、トランジスタ23のゲートに電気的に接続されており、回路63の出力端子と回路64の入力端子とは電気的に接続されている。図13に示す回路21では、上記構成により、トランジスタ23のゲートの電位を、回路63及び回路64により保持することができる。
なお、図13では、トランジスタ24が、トランジスタ23が有するソース及びドレインの他方と、配線SLの間に、電気的に接続されている場合を例示している。トランジスタ24は、トランジスタ23が有するソース及びドレインの一方と、配線RBLの間に、電気的に接続されていても良い。
<半導体装置の動作例2>
次いで、上述した半導体装置10の動作の一例について、図21に示すフローチャートを用いて説明する。
図21は、図2とは異なり、スタートアップルーチンを必須としない場合の一例である。以下では、上述した内容との重複を避けるため簡略化して説明するが、上述した構成例又は動作例を適宜用いることができる。
まず、図21に示すように、半導体装置10への電源の供給が開始される(A01)。
ここで、半導体装置10に初めて電源が供給される場合(初回動作)、スタートアップルーチンの処理を行い、半導体装置10の初期設定を行う(A03及びA05)。初回動作とは、半導体装置10が製造又は出荷された後初めて行う動作を指す。また、初回動作とは、初めて行う動作に限らず、記憶回路12のデータが初期化された後再び行う動作を指してもよい。また、使用者がスタートアップルーチンを意図的に実行させた場合、その際の動作を初回動作と呼んでもよい。
次いで、通常動作として、記憶回路12を、緩衝記憶装置、コンフィギュレーションデータを記憶する回路、又は、コンフィギュレーションデータに従って複数の回路間の導通状態を制御するスイッチ、として機能させる(A06及びA07)。スタートアップルーチン及び通常動作は、上述した動作例を適用することができる。
つづいて、半導体装置10への電源の遮断の開始に伴い、記憶回路12のデータを保持する動作を行う(A08及びA09)。記憶回路12には、コンフィギュレーションデータなど、電源遮断前の設定に関する様々なデータを保持させることができる。そして、記憶回路12にデータを保持した状態のまま、半導体装置10への電源の供給を遮断し、初回動作を終了させる(A10)。
このようにして、初回動作を終了する前に、記憶回路12にデータを保持しておくことで、電源遮断中において半導体装置10の設定を保存することができる。
次に、半導体装置10に電源遮断前の設定が保持された状態で、半導体装置10に再び電源の供給が開始される(再動作)。そのため、半導体装置10は、記憶回路12に保持されたデータを基に、電源遮断前の設定に応じた動作を正常に行うことができる。
再動作においても、初回動作と同様に通常動作を行い、記憶回路12に設定に関する様々なデータを保持させた後、電源を遮断する。これにより、電源遮断中において半導体装置10の設定を保存することができる。
再動作と同様の動作を繰り返し行うことで、再び電源を供給した際に、電源遮断前の設定に応じて半導体装置10を動作させることが可能になる。その結果、スタートアップルーチンの実行、又は、電源遮断前の設定を読み込む動作などが必須ではなくなるため、半導体装置10の速度を飛躍的に向上させることができる。
半導体装置10は、初回動作であるか否かを判断する手段を有していても良い。例えば、半導体装置10は、カウンタにより起動回数を測定すればよい。当該カウンタは、半導体装置10の内部に設けられていても良く、外部に設けられていても良い。また、上述した動作例で説明したPMU13により電源の遮断時間を測定し、遮断時間が設定された期間より長い場合、初回動作であると判断しても良い。長時間電源を遮断することで、記憶回路12のデータが初期化される可能性があり、スタートアップルーチンが必要になる場合があるためである。
以下に、記憶回路12として図9、図12、図13のような回路を用いる場合について、動作の一例を説明する。
図21では、通常動作の後、半導体装置10への電源の遮断が開始される(A08)。そして、半導体装置10への電源を遮断する前に、図9、図12、図13におけるトランジスタ22を非導通にするための電位を配線WWL−1乃至配線WWL−mに供給する。トランジスタ22が非導通の状態においては、トランジスタ23のゲート電位が保持されるため、記憶回路12にデータを保持することができる。その結果、電源遮断中においても、半導体装置10の設定を保持することができる。
記憶回路12は、可能な限り長時間データを保持できることが望ましい。そのため、トランジスタ22が非導通の際に流れる電流(オフ電流)が小さいことが好ましい。オフ電流が小さいトランジスタとしては、上述した酸化物半導体を有していることが好ましい。記憶回路12は、酸化物半導体を有するトランジスタを有することで、長時間データを保持することが可能である。なお、トランジスタ22として、上述したようにシリコン等を用いてもよい。また、トランジスタ23及びトランジスタ24には、上述したように酸化物半導体又はシリコン等を用いることができる。トランジスタ23及びトランジスタ24に、酸化物半導体を用いることでオフ電流を低減することができ、シリコン等を用いることで電流駆動能力を向上させることができる。トランジスタ23とトランジスタ24とにおいて異なる材料を有していてもよい。
なお、上記初回動作及び上記再動作を単に動作とも表現する。それらに序数をつけて第1の動作及び第2の動作と表現してもよい。また、上記スタートアップルーチンに応じた初期設定及び上記電源遮断前の設定を、単に設定とも表現する。それらに序数をつけて第1の設定及び第2の設定と表現してもよい。
また、上記半導体装置を単に装置とも表現する。なお、装置とは、素子単体、パネル、モジュール、又は電子機器など、すべての製造段階における物を含めた表現である。また、装置とは、半導体を有していてもよく、半導体を有していなくともよい。また、装置とは、表示部を有していてもよく、表示部を有していなくともよい。
なお、図2、図21の動作を実現する記憶回路12として、図9、図12、図13のような回路を用いる例を示したが、これらに限定されない。例えば、相変化型メモリ(PRAM(Phase−change RAM)又はPCM(Phase Change Memory)ともいう)、抵抗変化型メモリ(ReRAM(Resistance RAM)ともいう)、磁気抵抗型メモリ(MRAM(Magnetoresistive RAM)ともいう)などを用いて記憶回路を構成してもよい。例えば、MRAMとしては磁気トンネル接合素子(MTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子ともいう)を用いたMRAMを適用することができる。
〈回路19の構成例〉
次いで、図5に示す論理回路18の構造を、図14に例示する。論理回路18が有する複数の回路19は、入力端子または出力端子に複数の配線42が電気的に接続されている。また、論理回路18が有する複数の配線42は、配線42間の導通状態を制御する機能を有するスイッチSWに、電気的に接続されている。複数の配線42とスイッチSWとにより、回路19間の導通状態が制御される。
なお、複数の回路19には、複数の配線42に加えて、信号CLKや信号RESを回路19に供給する機能を有する配線が電気的に接続されていても良い。信号CLKは、例えば、回路19が有するフリップフロップからの信号の出力のタイミングを制御するのに用いることができる。また、信号RESは、例えば、回路19が有するフリップフロップに保持されているデータを、初期化するタイミングを制御するのに用いることができる。
次いで、図15(A)に、回路19の一形態を例示する。図15(A)に示す回路19は、LUT(ルックアップテーブル)43と、フリップフロップ44とを有する。また、図15(A)に示す回路19では、端子53を介して、記憶回路12に格納されているコンフィギュレーションデータが、LUT43に供給される。LUT43では、コンフィギュレーションデータに従って、入力端子45に入力される入力信号の論理値に対する、出力信号の論理値が定められる。フリップフロップ44は、LUT43の出力信号に含まれるデータを保持し、信号CLKに同期して当該データに対応した出力信号を、出力端子46から出力する。
また、コンフィギュレーションデータによって、フリップフロップ44の種類を定義できる構成にしても良い。具体的には、コンフィギュレーションデータに従って、フリップフロップ44がD型フリップフロップ、T型フリップフロップ、JK型フリップフロップ、またはRS型フリップフロップのいずれかの機能を有するようにしても良い。
また、図15(B)に、回路19の別の一形態を例示する。図15(B)に示す回路19は、図15(A)に示した回路19に、AND回路47が追加された構成を有している。AND回路47には、フリップフロップ44からの信号が、正論理の入力として与えられ、信号INITの電位が、負論理の入力として与えられている。上記構成により、信号INITの電位に従って、出力端子46の電位を初期化することができる。
また、図15(C)に、回路19の別の一形態を例示する。図15(C)に示す回路19は、図15(A)に示した回路19に、マルチプレクサ48が追加された構成を有している。また、図15(C)に示す回路19では、端子49を介して、記憶回路12に格納されているコンフィギュレーションデータが、マルチプレクサ48に供給される。
LUT43は、コンフィギュレーションデータに従って、入力信号の論理値に対する出力信号の論理値が定められる。また、マルチプレクサ48は、LUT43からの出力信号と、フリップフロップ44からの出力信号とが入力されている。そして、マルチプレクサ48は、コンフィギュレーションデータに従って、上記2つの出力信号のいずれか一方を選択し、出力する機能を有する。マルチプレクサ48からの出力信号は、出力端子46から出力される。
また、図15(D)に、回路19の別の一形態を例示する。図15(D)に示す回路19は、図15(C)に示した回路19に、マルチプレクサ50が追加された構成を有している。また、図15(D)に示す回路19では、端子51を介して、記憶回路12に格納されているコンフィギュレーションデータが、マルチプレクサ50に供給される。
マルチプレクサ50には、LUT43からの出力信号と、端子52から入力された、他の回路19が有するフリップフロップ44からの出力信号とが入力されている。そして、マルチプレクサ50は、コンフィギュレーションデータに従って、上記2つの出力信号のいずれか一方を選択し、出力する機能を有する。
〈半導体装置の断面構造の例〉
図16に、図9に示した回路21を有する半導体装置の断面構造を、一例として示す。なお、破線A1−A2で示す領域では、トランジスタ22及びトランジスタ23のチャネル長方向における構造を示しており、破線A3−A4で示す領域では、トランジスタ22及びトランジスタ23のチャネル幅方向における構造を示している。ただし、本発明の一態様では、トランジスタ22のチャネル長方向とトランジスタ23のチャネル長方向とが、必ずしも一致していなくともよい。
なお、チャネル長方向とは、ソース領域及びドレイン領域として機能する一対の不純物領域間において、キャリアが最短距離で移動する方向を意味し、チャネル幅方向は、基板と水平な面内において、チャネル長方向に対して垂直の方向を意味する。
また、図16では、酸化物半導体膜にチャネル形成領域を有するトランジスタ22が、単結晶のシリコン基板にチャネル形成領域を有するトランジスタ23上に形成されている場合を例示している。
トランジスタ23は、非晶質、微結晶、多結晶または単結晶である、シリコン又はゲルマニウムなどの半導体膜または半導体基板に、チャネル形成領域を有していても良い。或いは、トランジスタ23は、酸化物半導体膜または酸化物半導体基板に、チャネル形成領域を有していても良い。全てのトランジスタが酸化物半導体膜または酸化物半導体基板に、チャネル形成領域を有している場合、トランジスタ22はトランジスタ23上に積層されていなくとも良く、トランジスタ22とトランジスタ23とは、同一の層に形成されていても良い。
シリコンの薄膜を用いてトランジスタ23を形成する場合、当該薄膜には、プラズマCVD法などの気相成長法若しくはスパッタリング法で作製された非晶質シリコン、非晶質シリコンをレーザーアニールなどの処理により結晶化させた多結晶シリコン、単結晶シリコンウェハに水素イオン等を注入して表層部を剥離した単結晶シリコンなどを用いることができる。
トランジスタ23が形成される基板400は、例えば、シリコン基板、ゲルマニウム基板、シリコンゲルマニウム基板等を用いることができる。図16では、単結晶シリコン基板を基板400として用いる場合を例示している。
また、トランジスタ23は、素子分離法により電気的に分離されている。素子分離法として、トレンチ分離法(STI法:Shallow Trench Isolation)等を用いることができる。図16では、トレンチ分離法を用いてトランジスタ23を電気的に分離する場合を例示している。具体的に、図16では、エッチング等により基板400に形成されたトレンチに、酸化珪素などが含まれる絶縁物を埋め込んだ後、当該絶縁物をエッチング等により部分的に除去することで形成される素子分離領域401により、トランジスタ23を素子分離させる場合を例示している。
また、トレンチ以外の領域に存在する基板400の凸部には、トランジスタ23の不純物領域402及び不純物領域403と、不純物領域402及び不純物領域403に挟まれたチャネル形成領域404とが設けられている。さらに、トランジスタ23は、チャネル形成領域404を覆う絶縁膜405と、絶縁膜405を間に挟んでチャネル形成領域404と重なるゲート電極406とを有する。
トランジスタ23では、チャネル形成領域404における凸部の側部及び上部と、ゲート電極406とが絶縁膜405を間に挟んで重なることで、チャネル形成領域404の側部と上部を含めた広い範囲においてキャリアが流れる。そのため、トランジスタ23の基板上における占有面積を小さく抑えつつ、トランジスタ23におけるキャリアの移動量を増加させることができる。その結果、トランジスタ23は、オン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高められる。特に、チャネル形成領域404における凸部のチャネル幅方向の長さ(チャネル幅)をW、チャネル形成領域404における凸部の膜厚をTとすると、チャネル幅Wに対する膜厚Tの比に相当するアスペクト比が高い場合、キャリアが流れる範囲はより広くなるため、トランジスタ23のオン電流をより大きくすることができ、電界効果移動度もより高められる。
なお、バルクの半導体基板を用いたトランジスタ23の場合、アスペクト比は0.5以上であることが望ましく、1以上であることがより望ましい。
トランジスタ23上には、絶縁膜411が設けられている。絶縁膜411には開口部が形成されている。そして、上記開口部には、不純物領域402、不純物領域403にそれぞれ電気的に接続されている導電膜412、導電膜413と、ゲート電極406に電気的に接続されている導電膜414とが、形成されている。
そして、導電膜412は、絶縁膜411上に形成された導電膜416に電気的に接続されており、導電膜413は、絶縁膜411上に形成された導電膜417に電気的に接続されており、導電膜414は、絶縁膜411上に形成された導電膜418に電気的に接続されている。
導電膜416乃至導電膜418上には、絶縁膜420が設けられている。そして、絶縁膜420上には、酸素、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を有する絶縁膜421が設けられている。絶縁膜421は、密度が高くて緻密である程、また未結合手が少なく化学的に安定である程、より高いブロッキング効果を示す。酸素、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を示す絶縁膜421として、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等を用いることができる。水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を示す絶縁膜421として、例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等を用いることができる。
絶縁膜421上には絶縁膜422が設けられており、絶縁膜422上には、トランジスタ22が設けられている。
トランジスタ22は、絶縁膜422上に、酸化物半導体を含む半導体膜430と、半導体膜430に電気的に接続された、ソース電極またはドレイン電極として機能する導電膜432及び導電膜433と、半導体膜430を覆っているゲート絶縁膜431と、ゲート絶縁膜431を間に挟んで半導体膜430と重なるゲート電極434と、を有する。なお、絶縁膜420乃至絶縁膜422には開口部が設けられており、導電膜433は、上記開口部において導電膜418に接続されている。
なお、図16において、トランジスタ22は、ゲート電極434を半導体膜430の片側において少なくとも有していれば良いが、絶縁膜422を間に挟んで半導体膜430と重なるゲート電極を、さらに有していても良い。
トランジスタ22が、一対のゲート電極を有している場合、一方のゲート電極には導通状態または非導通状態を制御するための信号が与えられ、他方のゲート電極は、電位が他から与えられている状態であっても良い。この場合、一対のゲート電極に、同じ高さの電位が与えられていても良いし、他方のゲート電極にのみ接地電位などの固定の電位が与えられていても良い。他方のゲート電極に与える電位の高さを制御することで、トランジスタの閾値電圧を制御することができる。
また、図16では、トランジスタ22が、一のゲート電極434に対応した一のチャネル形成領域を有する、シングルゲート構造である場合を例示している。しかし、トランジスタ22は、電気的に接続された複数のゲート電極を有することで、一の活性層にチャネル形成領域を複数有する、マルチゲート構造であっても良い。
また、図16に示すように、トランジスタ22は、半導体膜430が、絶縁膜422上において順に積層された酸化物半導体膜430a乃至酸化物半導体膜430cを有する場合を例示している。ただし、本発明の一態様では、トランジスタ22が有する半導体膜430が、単膜の金属酸化物膜で構成されていても良い。
〈トランジスタについて〉
次いで、酸化物半導体膜にチャネル形成領域を有するトランジスタ90の構成例について説明する。
図17に、酸化物半導体膜にチャネル形成領域を有するトランジスタ90の構成を、一例として示す。図17(A)には、トランジスタ90の上面図を示す。なお、図17(A)では、トランジスタ90のレイアウトを明確にするために、各種の絶縁膜を省略している。また、図17(A)に示した上面図の、破線A1−A2における断面図を図17(B)に示し、破線A3−A4における断面図を図17(C)に示す。
図17に示すように、トランジスタ90は、基板97に形成された絶縁膜91上において順に積層された酸化物半導体膜92a及び酸化物半導体膜92bと、酸化物半導体膜92bに電気的に接続され、ソース電極またはドレイン電極としての機能を有する導電膜93及び導電膜94と、酸化物半導体膜92b、導電膜93及び導電膜94上の酸化物半導体膜92cと、ゲート絶縁膜としての機能を有し、なおかつ酸化物半導体膜92c上に位置する絶縁膜95と、ゲート電極としての機能を有し、なおかつ絶縁膜95上において酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cと重なる導電膜96とを有する。なお、基板97は、ガラス基板や半導体基板などであってもよいし、ガラス基板や半導体基板上に半導体素子が形成された素子基板であってもよい。
また、トランジスタ90の、具体的な構成の別の一例を、図18に示す。図18(A)には、トランジスタ90の上面図を示す。なお、図18(A)では、トランジスタ90のレイアウトを明確にするために、各種の絶縁膜を省略している。また、図18(A)に示した上面図の、破線A1−A2における断面図を図18(B)に示し、破線A3−A4における断面図を図18(C)に示す。
図18に示すように、トランジスタ90は、絶縁膜91上において順に積層された酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cと、酸化物半導体膜92cに電気的に接続され、ソース電極またはドレイン電極としての機能を有する導電膜93及び導電膜94と、ゲート絶縁膜としての機能を有し、なおかつ酸化物半導体膜92c、導電膜93及び導電膜94上に位置する絶縁膜95と、ゲート電極としての機能を有し、なおかつ絶縁膜95上において酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cと重なる導電膜96とを有する。
なお、図17及び図18では、積層された酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cを用いるトランジスタ90の構成を例示している。トランジスタ90が有する酸化物半導体膜は、積層された複数の酸化物半導体膜で構成されているとは限らず、単膜の酸化物半導体膜で構成されていても良い。
酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cが順に積層されている半導体膜をトランジスタ90が有する場合、酸化物半導体膜92a及び酸化物半導体膜92cは、酸化物半導体膜92bを構成する金属元素の少なくとも1つを、その構成要素に含み、伝導帯下端のエネルギーが酸化物半導体膜92bよりも0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上または0.15eV以上、かつ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下または0.4eV以下、真空準位に近い酸化物膜である。さらに、酸化物半導体膜92bは、少なくともインジウムを含むと、キャリア移動度が高くなるため好ましい。
上記構成の半導体膜をトランジスタ90が有する場合、ゲート電極に電圧を印加することで、半導体膜に電界が加わると、半導体膜のうち、伝導帯下端のエネルギーが小さい酸化物半導体膜92bにチャネル領域が形成される。即ち、酸化物半導体膜92bと絶縁膜95との間に酸化物半導体膜92cが設けられていることによって、絶縁膜95と離隔している酸化物半導体膜92bに、チャネル領域を形成することができる。
また、酸化物半導体膜92cは、酸化物半導体膜92bを構成する金属元素の少なくとも1つをその構成要素に含むため、酸化物半導体膜92bと酸化物半導体膜92cの界面では、界面散乱が起こりにくい。従って、当該界面においてキャリアの動きが阻害されにくいため、トランジスタ90の電界効果移動度が高くなる。
また、酸化物半導体膜92bと酸化物半導体膜92aの界面に界面準位が形成されると、界面近傍の領域にもチャネル領域が形成されるために、トランジスタ90の閾値電圧が変動してしまう。しかし、酸化物半導体膜92aは、酸化物半導体膜92bを構成する金属元素の少なくとも1つをその構成要素に含むため、酸化物半導体膜92bと酸化物半導体膜92aの界面には、界面準位が形成されにくい。よって、上記構成により、トランジスタ90の閾値電圧等の電気的特性のばらつきを、低減することができる。
また、酸化物半導体膜間に不純物が存在することによって、各膜の界面にキャリアの流れを阻害する界面準位が形成されることがないよう、複数の酸化物半導体膜を積層させることが望ましい。積層された酸化物半導体膜の膜間に不純物が存在していると、酸化物半導体膜間における伝導帯下端のエネルギーの連続性が失われ、界面近傍において、キャリアがトラップされるか、あるいは再結合により消滅してしまうからである。膜間における不純物を低減させることで、主成分である一の金属を少なくとも共に有する複数の酸化物半導体膜を、単に積層させるよりも、連続接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各膜の間で連続的に変化するU字型の井戸構造を有している状態)が形成されやすくなる。
連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて各膜を大気に触れさせることなく連続して積層することが必要となる。スパッタリング装置における各チャンバーは、酸化物半導体にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空排気(5×10−7Pa乃至1×10−4Pa程度まで)することが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャンバー内に気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。
高純度の真性な酸化物半導体を得るためには、各チャンバー内を高真空排気するのみならず、スパッタリングに用いるガスの高純度化も重要である。上記ガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスの露点を、−40℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−100℃以下とし、使用するガスの高純度化を図ることで、酸化物半導体膜に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。具体的に、酸化物半導体膜92bがIn−M−Zn酸化物(Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、酸化物半導体膜92bを成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x1:y1:z1とすると、x1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z1/y1を1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜92bとしてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=3:1:2等がある。
具体的に、酸化物半導体膜92a、酸化物半導体膜92cがIn−M−Zn酸化物(Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、酸化物半導体膜92a、酸化物半導体膜92cを成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x2:y2:z2とすると、x2/y2<x1/y1であって、z2/y2は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z2/y2を1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜92a、酸化物半導体膜92cとしてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6、In:M:Zn=1:3:8等がある。
なお、酸化物半導体膜92a及び酸化物半導体膜92cの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下とする。また、酸化物半導体膜92bの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下であり、さらに好ましくは3nm以上50nm以下である。
3層構造の半導体膜において、酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cは、非晶質または結晶質の両方の形態を取りうる。ただし、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜92bが結晶質であることにより、トランジスタ90に安定した電気的特性を付与することができるため、酸化物半導体膜92bは結晶質であることが好ましい。
なお、チャネル形成領域とは、トランジスタ90の半導体膜のうち、ゲート電極と重なり、かつソース電極とドレイン電極に挟まれる領域を意味する。また、チャネル領域とは、チャネル形成領域において、電流が主として流れる領域をいう。
例えば、酸化物半導体膜92a及び酸化物半導体膜92cとして、スパッタリング法により形成したIn−Ga−Zn酸化物膜を用いる場合、酸化物半導体膜92a及び酸化物半導体膜92cの成膜には、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比])であるターゲットを用いることができる。成膜条件は、例えば、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力0.4Paとし、基板温度を200℃とし、DC電力0.5kWとすればよい。
また、酸化物半導体膜92bをCAAC−OS膜とする場合、酸化物半導体膜92bの成膜には、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比])を含む多結晶ターゲットを用いることが好ましい。成膜条件は、例えば、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力を0.4Paとし、基板の温度300℃とし、DC電力0.5kWとすることができる。
なお、酸化物半導体膜92a乃至92cは、スパッタリング法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD法により形成してもよい。熱CVD法の例としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法を使っても良い。
なお、電子供与体(ドナー)となる水分または水素などの不純物が低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることにより高純度化された酸化物半導体(purified Oxide Semiconductor)は、キャリア発生源が少ないため、i型(真性半導体)又はi型に限りなく近くすることができる。そのため、高純度化された酸化物半導体膜にチャネル形成領域を有するトランジスタは、オフ電流が著しく小さく、信頼性が高い。そして、当該酸化物半導体膜にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、閾値電圧がプラスとなる電気的特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)になりやすい。
不純物元素を低減することで、高純度化された酸化物半導体膜は膜中のキャリア密度が低減されている。膜中のキャリア密度は、例えば、1×1017個/cm3以下、又は1×1015個/cm3以下、又は1×1013個/cm3以下、又は8×1011個/cm3以下、とすることができる。より好ましくは、例えば、キャリア密度を8×1011個/cm3未満、1×1011個/cm3未満、さらに好ましくは1×1010個/cm3未満とし、1×10−9個/cm3以上とすることができる。
具体的に、高純度化された酸化物半導体膜にチャネル形成領域を有するトランジスタのオフ電流が小さいことは、いろいろな実験により証明できる。例えば、チャネル幅が1×106μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。この場合、トランジスタのチャネル幅で規格化したオフ電流は、100zA/μm以下であることが分かる。また、容量素子とトランジスタとを接続して、容量素子に流入または容量素子から流出する電荷を当該トランジスタで制御する回路を用いて、オフ電流の測定を行った。当該測定では、高純度化された酸化物半導体膜を上記トランジスタのチャネル形成領域に用い、容量素子の単位時間あたりの電荷量の推移から当該トランジスタのオフ電流を測定した。その結果、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧が3Vの場合に、数十yA/μmという、さらに小さいオフ電流が得られることが分かった。従って、高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、オフ電流が、結晶性を有するシリコンを用いたトランジスタに比べて著しく小さい。
なお、半導体膜として酸化物半導体膜を用いる場合、酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気的特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてジルコニウム(Zr)を含むことが好ましい。
酸化物半導体の中でもIn−Ga−Zn酸化物、In−Sn−Zn酸化物などは、炭化シリコン、窒化ガリウム、または酸化ガリウムとは異なり、スパッタリング法や湿式法により電気的特性の優れたトランジスタを作製することが可能であり、量産性に優れるといった利点がある。また、炭化シリコン、窒化ガリウム、または酸化ガリウムとは異なり、上記In−Ga−Zn酸化物は、ガラス基板上に、電気的特性の優れたトランジスタを作製することが可能である。また、基板の大型化にも対応が可能である。
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種または複数種を含んでいてもよい。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn酸化物、Sn−Zn酸化物、Al−Zn酸化物、Zn−Mg酸化物、Sn−Mg酸化物、In−Mg酸化物、In−Ga酸化物、In−Ga−Zn酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn酸化物、In−Sn−Zn酸化物、Sn−Ga−Zn酸化物、Al−Ga−Zn酸化物、Sn−Al−Zn酸化物、In−Hf−Zn酸化物、In−La−Zn酸化物、In−Pr−Zn酸化物、In−Nd−Zn酸化物、In−Ce−Zn酸化物、In−Sm−Zn酸化物、In−Eu−Zn酸化物、In−Gd−Zn酸化物、In−Tb−Zn酸化物、In−Dy−Zn酸化物、In−Ho−Zn酸化物、In−Er−Zn酸化物、In−Tm−Zn酸化物、In−Yb−Zn酸化物、In−Lu−Zn酸化物、In−Sn−Ga−Zn酸化物、In−Hf−Ga−Zn酸化物、In−Al−Ga−Zn酸化物、In−Sn−Al−Zn酸化物、In−Sn−Hf−Zn酸化物、In−Hf−Al−Zn酸化物を用いることができる。
なお、例えば、In−Ga−Zn酸化物とは、InとGaとZnを含む酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素を含んでいてもよい。In−Ga−Zn酸化物は、無電界時の抵抗が十分に高くオフ電流を十分に小さくすることが可能であり、また、移動度も高い。
例えば、In−Sn−Zn酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn酸化物でも、バルク内欠陥密度を低減することにより移動度を上げることができる。
また、トランジスタ90において、ソース電極及びドレイン電極に用いられる導電性材料によっては、ソース電極及びドレイン電極中の金属が、酸化物半導体膜から酸素を引き抜くことがある。この場合、酸化物半導体膜のうち、ソース電極及びドレイン電極に接する領域が、酸素欠損の形成によりn型化される。n型化された領域は、ソース領域またはドレイン領域として機能するため、酸化物半導体膜とソース電極及びドレイン電極との間におけるコンタクト抵抗を下げることができる。よって、n型化された領域が形成されることで、トランジスタ90の移動度及びオン電流を高めることができ、それにより、トランジスタ90を用いた半導体装置の高速動作を実現することができる。
なお、ソース電極及びドレイン電極中の金属による酸素の引き抜きは、ソース電極及びドレイン電極をスパッタリング法などにより形成する際に起こりうるし、ソース電極及びドレイン電極を形成した後に行われる加熱処理によっても起こりうる。また、n型化される領域は、酸素と結合し易い導電性材料をソース電極及びドレイン電極に用いることで、より形成されやすくなる。上記導電性材料としては、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wなどが挙げられる。
複数の積層された酸化物半導体膜を有する半導体膜をトランジスタ90に用いる場合、n型化される領域は、チャネル領域となる酸化物半導体膜92bにまで達していることが、トランジスタ90の移動度及びオン電流を高め、半導体装置の高速動作を実現する上で好ましい。
絶縁膜91は、加熱により上記酸素の一部を酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cに供給する機能を有する絶縁膜であることが望ましい。また、絶縁膜91は、欠陥が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により得られる、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001を持つスピンの密度が1×1018spins/cm3以下であることが好ましい。
絶縁膜91は、加熱により上記酸素の一部を酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cに供給する機能を有するため、酸化物であることが望ましく、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどを用いることができる。絶縁膜91は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法またはスパッタリング法等により、形成することができる。
なお、本明細書中において、酸化窒化物は、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化物は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。
なお、図17及び図18に示すトランジスタ90は、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜92bの端部のうち、導電膜93及び導電膜94とは重ならない端部、言い換えると、導電膜93及び導電膜94が位置する領域とは異なる領域に位置する端部と、導電膜96とが、重なる構成を有する。酸化物半導体膜92bの端部は、当該端部を形成するためのエッチングでプラズマに曝されるときに、エッチングガスから生じた塩素ラジカル、フッ素ラジカル等が、酸化物半導体を構成する金属元素と結合しやすい。よって、酸化物半導体膜の端部では、当該金属元素と結合していた酸素が脱離しやすい状態にあるため、酸素欠損が形成され、n型化しやすいと考えられる。しかし、図17及び図18に示すトランジスタ90では、導電膜93及び導電膜94とは重ならない酸化物半導体膜92bの端部と、導電膜96とが重なるため、導電膜96の電位を制御することにより、当該端部にかかる電界を制御することができる。よって、酸化物半導体膜92bの端部を介して導電膜93と導電膜94の間に流れる電流を、導電膜96に与える電位によって制御することができる。このようなトランジスタ90の構造を、Surrounded Channel(S−Channel)構造とよぶ。
具体的に、S−Channel構造の場合、トランジスタ90がオフとなるような電位を導電膜96に与えたときは、当該端部を介して導電膜93と導電膜94の間に流れるオフ電流を小さく抑えることができる。そのため、トランジスタ90では、大きなオン電流を得るためにチャネル長を短くし、その結果、酸化物半導体膜92bの端部における導電膜93と導電膜94の間の長さが短くなっても、トランジスタ90のオフ電流を小さく抑えることができる。よって、トランジスタ90は、チャネル長を短くすることで、オンのときには大きいオン電流を得ることができ、オフのときにはオフ電流を小さく抑えることができる。
また、具体的に、S−Channel構造の場合、トランジスタ90がオンとなるような電位を導電膜96に与えたときは、当該端部を介して導電膜93と導電膜94の間に流れる電流を大きくすることができる。当該電流は、トランジスタ90の電界効果移動度とオン電流の増大に寄与する。そして、酸化物半導体膜92bの端部と、導電膜96とが重なることで、酸化物半導体膜92bにおいてキャリアの流れる領域が、絶縁膜95に近い酸化物半導体膜92bの界面近傍のみでなく、酸化物半導体膜92bの広い範囲においてキャリアが流れるため、トランジスタ90におけるキャリアの移動量が増加する。この結果、トランジスタ90のオン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高くなり、代表的には電界効果移動度が10cm2/V・s以上、さらには20cm2/V・s以上となる。なお、ここでの電界効果移動度は、酸化物半導体膜の物性値としての移動度の近似値ではなく、トランジスタの飽和領域における電流駆動力の指標であり、見かけ上の電界効果移動度である。
以下では、酸化物半導体膜の構造について説明する。
酸化物半導体膜は、単結晶酸化物半導体膜と非単結晶酸化物半導体膜とに大別される。非単結晶酸化物半導体膜とは、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、多結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜などをいう。
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶成分を有さない酸化物半導体膜である。微小領域においても結晶部を有さず、膜全体が完全な非晶質構造の酸化物半導体膜が典型である。
微結晶酸化物半導体膜は、例えば、1nm以上10nm未満の大きさの微結晶(ナノ結晶ともいう。)を含む。従って、微結晶酸化物半導体膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも原子配列の規則性が高い。そのため、微結晶酸化物半導体膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低いという特徴がある。
CAAC−OS膜は、複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つであり、ほとんどの結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさである。従って、CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、一辺が10nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体内に収まる大きさの場合も含まれる。CAAC−OS膜は、微結晶酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低いという特徴がある。CAAC−OS膜を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって観察すると、結晶部同士の明確な境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
CAAC−OS膜を、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
一方、CAAC−OS膜を、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC−OS膜の結晶部は配向性を有していることがわかる。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
一方、CAAC−OS膜に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。InGaZnO4の単結晶酸化物半導体膜であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC−OS膜の場合は、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
以上のことから、CAAC−OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面TEM観察で確認された層状に配列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
なお、結晶部は、CAAC−OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC−OS膜の形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
また、CAAC−OS膜中の結晶化度が均一でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の結晶部が、CAAC−OS膜の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりも結晶化度が高くなることがある。また、CAAC−OS膜に不純物を添加する場合、不純物が添加された領域の結晶化度が変化し、部分的に結晶化度の異なる領域が形成されることもある。
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気的特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
また、CAAC−OS膜を成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
成膜時の不純物混入を低減することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制できる。例えば、処理室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素、及び窒素など)を低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下である成膜ガスを用いる。
また、成膜時の基板加熱温度を高めることで、基板到達後にスパッタリング粒子のマイグレーションが起こる。具体的には、基板加熱温度を100℃以上740℃以下、好ましくは200℃以上500℃以下として成膜する。成膜時の基板加熱温度を高めることで、平板状又はペレット状のスパッタリング粒子が基板に到達した場合、基板上でマイグレーションが起こり、スパッタリング粒子の平らな面が基板に付着する。
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメージを軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100体積%とする。
ターゲットの一例として、In−Ga−Zn酸化物ターゲットについて以下に示す。
InOX粉末、GaOY粉末及びZnOZ粉末を所定のmol数比で混合し、加圧処理後、1000℃以上1500℃以下の温度で加熱処理をすることで多結晶であるIn−Ga−Zn酸化物ターゲットとする。なお、X、Y及びZは任意の正数である。ここで、所定のmol数比は、例えば、InOX粉末、GaOY粉末及びZnOZ粉末が、2:2:1、8:4:3、3:1:1、1:1:1、4:2:3、2:1:3または3:1:2である。なお、粉末の種類、及びその混合するmol数比は、作製するターゲットによって適宜変更すればよい。特に、In、Ga、Znのmol数比が2:1:3のターゲットを用いて作製されたCAAC−OS膜は、一定の範囲におけるCAAC−OSの回折パターンが観測される領域の割合(CAAC化率ともいう)を高くすることができるので、当該CAAC−OS膜にチャネル形成領域を有するトランジスタの周波数特性(f特)を高めることができる。
なお、アルカリ金属は酸化物半導体を構成する元素ではないため、不純物である。アルカリ土類金属も、酸化物半導体を構成する元素ではない場合において、不純物となる。特に、アルカリ金属のうちNaは、酸化物半導体膜に接する絶縁膜が酸化物である場合、当該絶縁膜中に拡散してNa+となる。また、Naは、酸化物半導体膜内において、酸化物半導体を構成する金属と酸素の結合を分断する、或いは、その結合中に割り込む。その結果、例えば、閾値電圧がマイナス方向にシフトすることによるノーマリオン化、移動度の低下等の、トランジスタの電気的特性の劣化が起こり、加えて、特性のばらつきも生じる。具体的に、二次イオン質量分析法によるNa濃度の測定値は、5×1016/cm3以下、好ましくは1×1016/cm3以下、更に好ましくは1×1015/cm3以下とするとよい。同様に、Li濃度の測定値は、5×1015/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下とするとよい。同様に、K濃度の測定値は、5×1015/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下とするとよい。
また、インジウムを含む金属酸化物が用いられている場合に、酸素との結合エネルギーがインジウムよりも大きいシリコンや炭素が、インジウムと酸素の結合を切断し、酸素欠損を形成することがある。そのため、シリコンや炭素が酸化物半導体膜に混入していると、アルカリ金属やアルカリ土類金属の場合と同様に、トランジスタの電気的特性の劣化が起こりやすい。よって、酸化物半導体膜中におけるシリコンや炭素の濃度は低いことが望ましい。具体的に、二次イオン質量分析法によるC濃度の測定値、またはSi濃度の測定値は、1×1018/cm3以下とするとよい。上記構成により、トランジスタの電気的特性の劣化を防ぐことができ、半導体装置の信頼性を高めることができる。
また、酸化物半導体膜に含まれる水分または水素などの不純物をさらに低減して、酸化物半導体膜を高純度化するために、加熱処理を行ってもよい。
例えば、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、酸化物半導体膜に加熱処理を施す。なお、酸化性雰囲気とは、酸素、オゾンまたは窒化酸素などの酸化性ガスを10ppm以上含有する雰囲気をいう。また、不活性雰囲気とは、前述の酸化性ガスが10ppm未満であり、その他、窒素または希ガスで充填された雰囲気をいう。
なお、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。なお、加熱処理は、酸化物半導体膜の形成後であれば、いつ行ってもよい。例えば、酸化物半導体膜の選択的なエッチング後に加熱処理を行ってもよい。
加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えばよい。処理時間は24時間以内とする。
加熱処理は、電気炉、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り、基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため加熱処理時間を短縮することができる。
〈半導体装置の断面構造の例〉
図19に、図9に示した回路21を有する半導体装置10の断面構造を、一例として示す。
なお、図19では、酸化物半導体膜にチャネル形成領域を有するトランジスタ22が、単結晶のシリコン基板にチャネル形成領域を有するトランジスタ23上に形成されている場合を例示している。
トランジスタ23は、非晶質、微結晶、多結晶または単結晶である、シリコン又はゲルマニウムなどの半導体膜または半導体基板に、チャネル形成領域を有していても良い。或いは、トランジスタ23は、酸化物半導体膜または酸化物半導体基板に、チャネル形成領域を有していても良い。全てのトランジスタが酸化物半導体膜または酸化物半導体基板に、チャネル形成領域を有している場合、トランジスタ22はトランジスタ23上に積層されていなくとも良く、トランジスタ22とトランジスタ23とは、同一の層に形成されていても良い。
シリコンの薄膜を用いてトランジスタ23を形成する場合、当該薄膜には、プラズマCVD法などの気相成長法若しくはスパッタリング法で作製された非晶質シリコン、非晶質シリコンをレーザーアニールなどの処理により結晶化させた多結晶シリコン、単結晶シリコンウェハに水素イオン等を注入して表層部を剥離した単結晶シリコンなどを用いることができる。
トランジスタ23が形成される半導体基板601は、例えば、シリコン基板、ゲルマニウム基板、シリコンゲルマニウム基板等を用いることができる。図19では、単結晶シリコン基板を半導体基板601として用いる場合を例示している。
また、トランジスタ23は、素子分離法により電気的に分離されている。素子分離法として、選択酸化法(LOCOS法:Local Oxidation of Silicon法)、トレンチ分離法(STI法:Shallow Trench Isolation)等を用いることができる。図19では、トレンチ分離法を用いてトランジスタ23を電気的に分離する場合を例示している。具体的に、図19では、半導体基板601にエッチング等によりトレンチを形成した後、酸化珪素などを含む絶縁物を当該トレンチに埋め込むことで形成される素子分離領域610により、トランジスタ23を素子分離させる場合を例示している。
トランジスタ23上には、絶縁膜611が設けられている。絶縁膜611には開口部が形成されている。そして、上記開口部には、トランジスタ23のソース及びドレインにそれぞれ電気的に接続されている導電膜625及び導電膜626と、トランジスタ23のゲートに電気的に接続されている導電膜627とが、形成されている。
そして、導電膜625は、絶縁膜611上に形成された導電膜634に電気的に接続されており、導電膜626は、絶縁膜611上に形成された導電膜635に電気的に接続されており、導電膜627は、絶縁膜611上に形成された導電膜636に電気的に接続されている。
導電膜634乃至導電膜635上には、絶縁膜612が形成されている。絶縁膜612には開口部が形成されており、上記開口部に、導電膜636に電気的に接続された導電膜637が形成されている。そして、導電膜637は、絶縁膜612上に形成された導電膜651に、電気的に接続されている。
また、導電膜651上には、絶縁膜613が形成されている。絶縁膜613には開口部が形成されており、上記開口部に、導電膜651に電気的に接続された導電膜652が形成されている。そして、導電膜652は、絶縁膜613上に形成された導電膜653に、電気的に接続されている。また、絶縁膜613上には、導電膜644が形成されている。
導電膜653及び導電膜644上には絶縁膜661が形成されている。そして、図19では、絶縁膜661上にトランジスタ22が形成されている。
トランジスタ22は、絶縁膜661上に、酸化物半導体を含む半導体膜701と、半導体膜701上の、ソースまたはドレインとして機能する導電膜721及び導電膜722と、半導体膜701、導電膜721及び導電膜722上のゲート絶縁膜662と、ゲート絶縁膜662上に位置し、導電膜721と導電膜722の間において半導体膜701と重なっているゲート電極731と、を有する。なお、導電膜722は、絶縁膜661に設けられた開口部において、導電膜653に電気的に接続されている。
そして、トランジスタ22では、半導体膜701において、導電膜721に重なる領域と、ゲート電極731に重なる領域との間に、領域710が存在する。また、トランジスタ22では、半導体膜701において、導電膜722に重なる領域と、ゲート電極731に重なる領域との間に、領域711が存在する。領域710及び領域711に、導電膜721、導電膜722、及びゲート電極731をマスクとしてアルゴン等の希ガス、p型の導電型を半導体膜701に付与する不純物、或いは、n型の導電型を半導体膜701に付与する不純物を添加することで、半導体膜701のうちゲート電極731に重なる領域よりも、領域710及び領域711の抵抗率を下げることができる。
そして、トランジスタ22上に、絶縁膜663が設けられている。
なお、図19において、トランジスタ22は、ゲート電極731を半導体膜701の片側において少なくとも有していれば良いが、半導体膜701を間に挟んで存在する一対のゲート電極を有していても良い。
トランジスタ22が、半導体膜701を間に挟んで存在する一対のゲート電極を有している場合、一方のゲート電極には導通状態または非導通状態を制御するための信号が与えられ、他方のゲート電極は、電位が他から与えられている状態であっても良い。この場合、一対のゲート電極に、同じ高さの電位が与えられていても良いし、他方のゲート電極にのみ接地電位などの固定の電位が与えられていても良い。他方のゲート電極に与える電位の高さを制御することで、トランジスタの閾値電圧を制御することができる。
また、図19では、トランジスタ22が、一のゲート電極731に対応した一のチャネル形成領域を有する、シングルゲート構造である場合を例示している。しかし、トランジスタ22は、電気的に接続された複数のゲート電極を有することで、一の活性層にチャネル形成領域を複数有する、マルチゲート構造であっても良い。
〈電子機器の例〉
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯情報端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機、医療機器などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図20に示す。
図20(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体5001、筐体5002、表示部5003、表示部5004、マイクロホン5005、スピーカー5006、操作キー5007、スタイラス5008等を有する。本発明の一態様にかかる半導体装置は、携帯型ゲーム機の各種集積回路に用いることができる。なお、図20(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部5003と表示部5004とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
図20(B)は携帯情報端末であり、第1筐体5601、第2筐体5602、第1表示部5603、第2表示部5604、接続部5605、操作キー5606等を有する。本発明の一態様にかかる半導体装置は、携帯情報端末の各種集積回路に用いることができる。第1表示部5603は第1筐体5601に設けられており、第2表示部5604は第2筐体5602に設けられている。そして、第1筐体5601と第2筐体5602とは、接続部5605により接続されており、第1筐体5601と第2筐体5602の間の角度は、接続部5605により変更が可能である。第1表示部5603における映像を、接続部5605における第1筐体5601と第2筐体5602との間の角度に従って、切り替える構成としても良い。また、第1表示部5603及び第2表示部5604の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表示装置を用いるようにしても良い。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッチパネルを設けることで付加することができる。或いは、位置入力装置としての機能は、フォトセンサとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加することができる。
図20(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体5401、表示部5402、キーボード5403、ポインティングデバイス5404等を有する。本発明の一態様にかかる半導体装置は、ノート型パーソナルコンピュータの各種集積回路に用いることができる。
図20(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体5301、冷蔵室用扉5302、冷凍室用扉5303等を有する。本発明の一態様にかかる半導体装置は、電気冷凍冷蔵庫の各種集積回路に用いることができる。
図20(E)はビデオカメラであり、第1筐体5801、第2筐体5802、表示部5803、操作キー5804、レンズ5805、接続部5806等を有する。本発明の一態様にかかる半導体装置は、ビデオカメラの各種集積回路に用いることができる。操作キー5804及びレンズ5805は第1筐体5801に設けられており、表示部5803は第2筐体5802に設けられている。そして、第1筐体5801と第2筐体5802とは、接続部5806により接続されており、第1筐体5801と第2筐体5802の間の角度は、接続部5806により変更が可能である。表示部5803における映像を、接続部5806における第1筐体5801と第2筐体5802との間の角度に従って切り替える構成としても良い。
図20(F)は普通自動車であり、車体5101、車輪5102、ダッシュボード5103、ライト5104等を有する。本発明の一態様にかかる半導体装置は、普通自動車の各種集積回路に用いることができる。