JP6520895B2 - 車両用動力伝達装置の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は車両用動力伝達装置の制御装置に係り、特に、ライン圧調整装置の異常判定の精度を向上させる技術に関するものである。
自動変速機の所定のギヤ段を成立させるめにライン圧を元圧として係合させられる油圧式摩擦係合要素がスリップした場合、故障部品を特定する上で、その原因がライン圧調整装置にあるのか否かを判断する必要がある。このため、(a) オイルポンプから吐出された作動油の油圧をライン圧に調整するとともに、その調整が不能となり最低ライン圧を出力する異常を生じることがあるライン圧調整装置と、(b) 前記ライン圧に基づいて油圧式摩擦係合要素が係合させられることにより所定ギヤ段が成立させられる自動変速機と、を備える車両用動力伝達装置に関し、(c) 前記所定ギヤ段の成立時にその所定ギヤ段を成立させる前記油圧式摩擦係合要素のスリップを検知して、そのスリップ発生時の入力トルクが、その所定ギヤ段を成立させるその油圧式摩擦係合要素が前記最低ライン圧によって伝達可能なトルクに基づいて予め定められた異常判定値以上の場合に、前記ライン圧調整装置の出力油圧が前記最低ライン圧となる異常の可能性がある旨の異常判定を行う異常判定部を有する制御装置が提案されている(特許文献1参照)。上記ライン圧調整装置としては、排出用流路の開口面積を変化させつつ所定のライン圧に調整するとともに、その調整が不能となり排出用流路の開口面積が最大になる状態で最低ライン圧を出力する異常を生じることがあるものが知られている。
特開2010−38205号公報
しかしながら、排出用流路の開口面積が最大になる状態で最低ライン圧を出力する異常の場合、オイルポンプの回転速度が高くなって吐出流量が多くなると、その吐出流量の増大に伴って排出用流路の流通抵抗等により最低ライン圧が高くなるが、従来は、確実に異常判定を行う上で最低ライン圧の最小値に基づいて異常判定値が定められていた。このため、特にオイルポンプの回転速度が高い領域で、ライン圧調整装置に異常の可能性がないにも拘らず異常判定が為されることがあり、故障部品を特定できるまでに時間が掛かるという問題があった。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、排出用流路の開口面積が最大になる状態とされてライン圧調整装置の出力油圧が最低ライン圧となる異常の判定がより高い精度で行われるようにすることにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) オイルポンプから吐出された作動油の油圧を、排出用流路の開口面積を変化させることにより所定のライン圧に調整するライン圧調整装置と、(b) 前記ライン圧を元圧として油圧式摩擦係合要素が係合させられることにより所定ギヤ段が成立させられる自動変速機と、を備え、(c) 前記ライン圧調整装置は、前記ライン圧の調整が不能な場合に、前記排出用流路の開口面積が最大になり、最低ライン圧を出力する異常を生じることがある車両用動力伝達装置に関し、(d) 前記所定ギヤ段の成立時にその所定ギヤ段を成立させる前記油圧式摩擦係合要素のスリップを検知して、そのスリップ発生時の入力トルクが、その所定ギヤ段を成立させるその油圧式摩擦係合要素が前記最低ライン圧によって伝達可能なトルクに基づいて予め定められた異常判定値以上の場合に、前記ライン圧調整装置が、前記最低ライン圧を出力する前記異常の可能性がある旨の異常判定を行う異常判定部を有する車両用動力伝達装置の制御装置において、(e) 前記異常判定値は、前記オイルポンプの回転速度が高い時には低い時に比較して大きな値となるようにその回転速度に応じて定められていることを特徴とする。
第2発明は、第1発明の車両用動力伝達装置の制御装置において、(a) 前記自動変速機は、前記油圧式摩擦係合要素に供給される油圧を制御する変速制御用電磁弁を備えているとともに、その変速制御用電磁弁の故障でその油圧式摩擦係合要素に油圧が供給されなくなる異常を生じることがある一方、(b) 前記異常判定部は、前記スリップ発生時の入力トルクが前記異常判定値よりも低い場合に、前記変速制御用電磁弁の故障で前記油圧式摩擦係合要素に油圧が供給されなくなる前記異常の可能性がある旨の異常判定を行うことを特徴とする。
第3発明は、第1発明または第2発明の車両用動力伝達装置の制御装置において、(a) 入力トルクが、前記所定ギヤ段の成立時に、その所定ギヤ段を成立させる前記油圧式摩擦係合要素が前記最低ライン圧によって伝達可能なトルクに基づいて予め定められた正常判定値以上で、その所定ギヤ段を成立させるその油圧式摩擦係合要素のスリップが検知されない場合には、前記ライン圧調整装置が正常である旨の正常判定を行う正常判定部を有し、(b) 前記正常判定値は、前記オイルポンプの回転速度が高い時には低い時に比較して大きな値となるようにその回転速度に応じて定められており、且つ、(c) その正常判定値は、前記所定ギヤ段を成立させる前記油圧式摩擦係合要素が前記最低ライン圧によって伝達可能な入力トルク値に相当する判定基準値よりも大きい値が設定され、前記異常判定値は、その判定基準値よりも小さい値が設定されていることを特徴とする。
第4発明は、第1発明〜第3発明の何れかの車両用動力伝達装置の制御装置において、(a) 前記自動変速機は、前記ライン圧を元圧として係合させられる複数の油圧式摩擦係合要素を備えており、その複数の油圧式摩擦係合要素の係合、解放状態の組み合わせの相違によって変速比が異なる複数のギヤ段を成立させることができるもので、(b) 前記異常判定値は、前記複数のギヤ段毎に別々に定められていることを特徴とする。
このような車両用動力伝達装置の制御装置においては、ライン圧調整装置の出力油圧が最低ライン圧となる異常時に、オイルポンプの回転速度上昇に応じて作動油の吐出流量が増大させられると、その吐出流量の増大に伴って最低ライン圧が高くなる傾向を有することに基づいて、異常判定値が、オイルポンプの回転速度が高い時には低い時に比較して大きな値となるようにその回転速度に応じて定められるため、オイルポンプの回転速度変化に伴う最低ライン圧の変化に応じてライン圧調整装置の異常判定が適切に行われるようになり、その判定精度が向上する。
第2発明は、自動変速機が、油圧式摩擦係合要素に供給される油圧を制御する変速制御用電磁弁を備えているとともに、その変速制御用電磁弁の故障で油圧式摩擦係合要素に油圧が供給されなくなる異常を生じることがある場合で、スリップ発生時の入力トルクが前記異常判定値よりも低い時には変速制御用電磁弁について異常判定が行われるため、その異常判定値がオイルポンプの回転速度に応じて定められることにより、ライン圧調整装置の異常判定が適切に除外されて変速制御用電磁弁を含む異常部品の特定が容易になる。
第3発明は、入力トルクが予め定められた正常判定値以上で油圧式摩擦係合要素のスリップが検知されない場合には、ライン圧調整装置の正常判定が行われる場合で、その正常判定値がオイルポンプの回転速度に応じて定められるため、オイルポンプの回転速度変化に伴う最低ライン圧の変化に拘らずライン圧調整装置の正常判定が適切に行われるようになり、その判定精度が向上する。また、最低ライン圧によって伝達可能な入力トルク値に相当する判定基準値よりも大きい値が正常判定値として設定されるとともに、その判定基準値よりも小さい値が異常判定値として設定されるため、各部の寸法誤差や経時変化、センサの検出誤差、回転速度変動等に起因して正常判定値や異常判定値、或いは入力トルク値がばらついた場合に、ライン圧調整装置が正常でないにも拘らず正常判定が為されたり、ライン圧調整装置に異常の可能性があるにも拘らず異常判定が為されなかったりすることが防止され、高い精度で正常判定および異常判定が行われるようにすることができる。
第4発明は、複数の油圧式摩擦係合要素によって複数のギヤ段を成立させることができる自動変速機を備えている場合で、その複数のギヤ段毎に別々に異常判定値が設定されているため、個々の油圧式摩擦係合要素のトルク特性(摩擦材の枚数や面積、油圧アクチュエータの受圧面積、径寸法など)の相違に拘らず、ライン圧調整装置の異常判定が適切に行われる。
本発明が好適に適用される車両用動力伝達装置の概略図である。 図1の車両用動力伝達装置の動力伝達機構の一例を具体的に説明する骨子図である。 図2の自動変速機の複数の前進ギヤ段と摩擦係合要素の係合解放状態との関係を説明する作動表を示す図である。 図1の車両用動力伝達装置が備えている油圧制御回路の一例を説明する回路図である。 図1の電子制御装置が機能的に備えている異常判定部の作動を具体的に説明するフローチャートである。 図1の電子制御装置が機能的に備えている正常判定部の作動を具体的に説明するフローチャートである。 図5および図6のフローチャートで用いられる異常判定値αおよび正常判定値βの一例を説明する図である。 自動変速機の複数のギヤ段毎に定められた異常判定値αおよび正常判定値βの一例を説明する図である。
オイルポンプは、例えば走行用駆動源や動力伝達経路に連結されて機械的に回転駆動されるが、電動モータによって回転駆動される電動式オイルポンプを採用することもできる。機械式オイルポンプの場合、走行用駆動源の出力軸等に直接連結することもできるが、変速ギヤ等を介して連結することも可能である。走行用駆動源としては、内燃機関であるガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジンでも、電動モータでも良い。エンジンおよび電動モータの両方を走行用駆動源として備えていても良い。
ライン圧調整装置は、例えば電気制御によって出力圧(信号圧)を調整できるリニアソレノイドバルブ等の電磁調圧弁、およびその信号圧が供給されるレギュレータバルブ等の油圧制御弁を備え、油圧制御弁のスプールが信号圧に応じて付勢されることにより、スプールの軸方向移動で排出用流路の開口面積を変化させつつ信号圧に対応するライン圧を出力するように構成される。また、電磁調圧弁から直接ライン圧を出力するように構成することも可能である。排出用流路の開口面積が最大になることで出力油圧が最低ライン圧となる異常を生じる種々のライン圧調整装置を採用できる。
自動変速機は、複数の油圧式摩擦係合要素によって変速比が異なる複数のギヤ段を成立させることができる遊星歯車式等の有段の変速機が適当であるが、前後進を切り換える前後進切換装置であっても良いし、単一の油圧式摩擦係合要素によって高低2速で変速するだけの変速機であっても良いなど、油圧式摩擦係合要素を備えた種々の自動変速機を採用できる。油圧式摩擦係合要素としては、油圧シリンダによって係合させられる単板式や多板式のクラッチやブレーキ、或いはベルト式のブレーキが好適に用いられる。
油圧式摩擦係合要素に供給される油圧を制御する変速制御用電磁弁は、例えば電気制御によって供給圧を調整できるリニアソレノイドバルブ等の電磁調圧弁が適当である。この変速制御用電磁弁や前記ライン圧調整装置の故障による油圧式摩擦係合要素のスリップは、自動変速機の入力回転速度と出力回転速度との比である実際の変速比と、油圧式摩擦係合要素が完全係合させられた場合の理論変速比とのずれから判断することが可能で、入力回転速度、出力回転速度、および理論変速比に基づいて判断できるが、例えば油圧式摩擦係合要素の両側の回転部材の回転速度差や、各部の回転速度変化(回転加速度)などから判断することも可能である。
ライン圧調整装置の異常判定を行う異常判定値は、例えば最低ライン圧によって油圧式摩擦係合要素が伝達可能なトルクから求められる入力トルク値(判定基準値)をそのまま用いることができるが、各部の寸法誤差や経時変化、センサの検出誤差、オイルポンプの回転速度変動等を考慮して、その判定基準値に所定の安全率(例えば1.0より小さい0.8〜0.9程度の値)を掛け算したり所定値を減算したりするなどして、判定基準値よりも小さい値を設定することが望ましい。ライン圧調整装置の正常判定を行う正常判定値についても、上記判定基準値をそのまま用いることができるが、各部の寸法誤差や経時変化、センサの検出誤差、オイルポンプの回転速度変動等を考慮して、判定基準値に所定の安全率(例えば1.0より大きい1.1〜1.2程度の値)を掛け算したり所定値を加算したりするなどして、判定基準値よりも大きい値を設定することが望ましい。上記異常判定値に一定値を加算して正常判定値を設定したり、正常判定値から一定値を減算して異常判定値を設定したりするなど、種々の設定方法が可能である。これ等の異常判定値や正常判定値は、例えばオイルポンプの回転速度をパラメータとするマップや演算式などで定められる。オイルポンプが走行用駆動源等によって機械的に回転駆動される場合、オイルポンプの回転速度に対応するエンジン回転速度などの回転駆動源の回転速度をパラメータとして定めることもできる。最低ライン圧は、オイルポンプの回転速度の変化に応じて連続的に変化するため、異常判定値および正常判定値についても、その回転速度に応じて連続的に変化させることが望ましいが、回転速度に応じて1段または2段以上の多段階で変化させたり、近似的に折れ線状に変化させたりしても良い。
ライン圧調整装置に異常の可能性がある旨の異常判定は、油圧回路の他の部品にも異常の原因があることを考慮したもので、各種の異常判定の結果、他の部品に異常が無い場合には、ライン圧調整装置に異常がある旨の異常判定が行われても良い。変速制御用電磁弁の異常判定についても同様である。
第2発明では変速制御用電磁弁の異常判定が行われ、第3発明ではライン圧調整装置の正常判定が行われるが、第1発明の実施に際しては、ライン圧調整装置の異常判定を行うだけでも良い。
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において、図は説明のために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が好適に適用される車両用動力伝達装置10を説明する概略図で、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関によって構成されているエンジン12の出力は、トルクコンバータ(T/C)14、自動変速機16を経て、図示しない終減速装置から駆動輪へ伝達されるようになっている。図2は、上記車両用動力伝達装置10の動力伝達機構の一例を具体的に説明する骨子図で、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両に好適に用いられる縦置き型のものである。エンジン12は走行用駆動源で、トルクコンバータ14は流体継手であり、トルクコンバータ14のポンプ翼車には機械式のオイルポンプ42が連結されている。
自動変速機16は、トルクコンバータ14のタービン軸に連結された入力軸20の回転を多段階で変速して出力軸22から出力するもので、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置24、ダブルピニオン型の第2遊星歯車装置26、シングルピニオン型の第3遊星歯車装置28、およびシングルピニオン型の第4遊星歯車装置30の、計4つの遊星歯車装置を備えて構成されている。第1遊星歯車装置24および第2遊星歯車装置26は、所謂ラビニヨ型の遊星歯車列を構成している。この自動変速機16はまた、4つのクラッチC1〜C4および2つのブレーキB1、B2(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBという)を備えており、それ等のクラッチCおよびブレーキBが図3の作動表に示すように個別に係合、解放制御されることにより、その係合解放状態の組み合わせによって変速比γ(=入力回転速度Nin/出力回転速度Nout)が異なる前進10速のギヤ段(第1速ギヤ段「1st」〜第10速ギヤ段「10th」)が成立させられる。入力回転速度Ninは入力軸20の回転速度で、出力回転速度Noutは出力軸22の回転速度であり、出力回転速度Noutは車速Vに対応する。なお、図3の作動表の「B2in」および「B2out」は、ブレーキB2に設けられた一対の油圧アクチュエータで、ブレーキB2はその両方の油圧アクチュエータB2inおよびB2outによって係合、解放制御される。
上記クラッチC1〜C4およびブレーキB1、B2は、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合させられる油圧式摩擦係合要素であり、図4に示す油圧制御回路40によってそれぞれ係合解放制御されることにより、図3に示す前進10速の各ギヤ段が成立させられる。油圧制御回路40は、エンジン12によって回転駆動される前記オイルポンプ42の他、プライマリレギュレータバルブ44、リニアソレノイドバルブSLT、SL1〜SL6、オンオフソレノイドバルブSC1等を備えており、オイルポンプ42によって汲み上げられた作動油は先ず、プライマリレギュレータバルブ44によって所定のライン圧PLに調圧される。プライマリレギュレータバルブ44にはリニアソレノイドバルブSLTが接続されており、そのリニアソレノイドバルブSLTは、電子制御装置80(図1参照)によって電気的に制御されることにより、略一定圧であるモジュレータ油圧Pmoを元圧として信号圧Psltを出力する。そして、その信号圧Psltがプライマリレギュレータバルブ44に供給されると、そのプライマリレギュレータバルブ44のスプール46が信号圧Psltによって付勢され、排出用流路45の開口面積を変化させつつスプール46が軸方向へ移動させられることにより、その信号圧Psltに応じてライン圧PLが調圧される。このライン圧PLは、例えば出力要求量であるアクセル操作量Acc等に応じて調圧される。上記リニアソレノイドバルブSLTはライン圧調整用の電磁調圧弁で、プライマリレギュレータバルブ44は、そのリニアソレノイドバルブSLTから供給される信号圧Psltに応じてライン圧PLを調圧する油圧制御弁である。このリニアソレノイドバルブSLTの断線やバルブスティック(異物の噛み込み等による作動不良)等による故障時に、排出用流路45の開口面積が最大になる図4における下降端までスプール46が移動させられた状態となり、所定の最低ライン圧PLminが出力される場合がある。本実施例では、上記プライマリレギュレータバルブ44およびリニアソレノイドバルブSLT等を含んでライン圧調整装置48が構成されている。
ライン圧調整装置48によって調圧されたライン圧PLの作動油は、供給油路52を経てリニアソレノイドバルブSL1〜SL6、オンオフソレノイドバルブSC1等に供給される。リニアソレノイドバルブSL1〜SL6、およびオンオフソレノイドバルブSC1は、前記クラッチC1〜C4、ブレーキB1、B2の各油圧アクチュエータに対応して配置されており、電子制御装置80からの制御信号に従ってそれぞれ出力油圧が制御されることにより、クラッチC1〜C4、ブレーキB1、B2が個別に係合解放制御され、前記第1速ギヤ段「1st」〜第10速ギヤ段「10th」の何れかのギヤ段が成立させられる。リニアソレノイドバルブSL1〜SL6は電磁調圧弁で、オンオフソレノイドバルブSC1は電磁開閉弁であり、何れも自動変速機16のギヤ段を切り換える変速制御用電磁弁に相当する。リニアソレノイドバルブSL1〜SL6、オンオフソレノイドバルブSC1は何れもノーマリクローズ(N/C)型で、断線等による故障時には油圧アクチュエータに対する油圧の供給が遮断され、クラッチC1〜C4、ブレーキB1、B2が個別に係合不能となってスリップする。
図1に戻って、前記電子制御装置80は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。この信号処理により、エンジン12の出力制御や自動変速機16の変速制御等を行うコントローラとして機能し、必要に応じてエンジン制御用、変速制御用等に分けて構成される。電子制御装置80には、アクセル操作量センサ62からアクセルペダル60の操作量(アクセル操作量)Accを表す信号が供給される。アクセル操作量Accは、運転者の出力要求量に相当する。また、エンジン12の回転速度(エンジン回転速度)Neを検出するエンジン回転速度センサ64、エンジン12の電子スロットル弁の開度(スロットル弁開度)θthを検出するスロットル弁開度センサ66、入力回転速度Ninを検出する入力回転速度センサ68、車速Vに対応する出力回転速度Noutを検出する出力回転速度センサ70などから、エンジン回転速度Ne、スロットル弁開度θth、入力回転速度Nin、出力回転速度Noutなど、各種の制御に必要な種々の情報が電子制御装置80に供給される。
電子制御装置80はまた、機能的に異常判定部82および正常判定部84を備えている。異常判定部82は、図5に示すフローチャートのステップS1〜S4(以下、単にS1〜S4という)に従って信号処理を行うことにより、ライン圧調整用のリニアソレノイドバルブSLTに異常の可能性がある旨の異常判定、および変速制御用電磁弁であるリニアソレノイドバルブSL1〜SL6(以下、特に区別しない場合は単にリニアソレノイドバルブSLという)、オンオフソレノイドバルブSC1に異常の可能性がある旨の異常判定を行う。
図5のフローチャートは、前記自動変速機16が何れかの前進ギヤ段に保持され且つアクセルペダル60が踏込み操作された駆動走行時であるなど、予め定められた判定実行条件を満足する場合に実行される。そして、S1では、現在ギヤ段を成立させるためのクラッチCおよびブレーキBの何れかがスリップしているか否かを判断する。具体的には、係合すべきクラッチCおよびブレーキBが何れも完全係合している場合には、出力回転速度Noutに現在のギヤ段の理論変速比γrを掛け算した値(Nout×γr)と、実際の入力回転速度Ninとが略一致することから、次式(1) に従って判断できる。すなわち、入力回転速度Ninが、出力回転速度Noutに現在のギヤ段の理論変速比γrを掛け算した値に余裕値Xを足し算した値(Nout×γr+X)以上の場合は、スリップ発生と判断でき、S2以下を実行する。(1) 式を満足しない場合は、スリップが発生していないと判断してそのまま終了する。
Nin≧Nout×γr+X ・・・(1)
S2では、スリップ発生時の入力トルクTinslpが予め定められた異常判定値α以上か否かを判断し、Tinslp≧αの場合はS3を実行して異常判定を行い、Tinslp<αの場合はS4を実行して異常判定を行う。入力トルクTinslpは入力軸20のトルクで、例えばエンジン12のスロットル弁開度θth、エンジン回転速度Ne、トルクコンバータ14のトルク比等から算出することができる。異常判定値αは、ライン圧調整装置48のリニアソレノイドバルブSLTのソレノイドに対する励磁電流の通電が断線等によって遮断され、或いはバルブスティックなどにより、ライン圧PLが最低ライン圧PLminとされた場合に、現在ギヤ段を成立させるためのクラッチCおよび/またはブレーキBがその最低ライン圧PLminによって伝達可能なトルクから算出された入力トルクTinの値である判定基準値S(図7参照)に対し、所定の安全率(例えば0.8〜0.9程度)を掛け算することにより、その判定基準値Sよりも小さい値が定められている。判定基準値Sは、最低ライン圧PLminおよび各部の諸元から計算によって求めることができるが、シミュレーションや実験などで求めても良い。最低ライン圧PLminによってクラッチC、ブレーキBが伝達可能なトルクは、それ等のクラッチC、ブレーキBのトルク特性すなわち摩擦材の枚数や油圧アクチュエータの受圧面積、径寸法等によってそれぞれ異なるとともに、ギヤ段毎に係合させられるクラッチC、ブレーキBが相違するため、異常判定値αはギヤ段毎に別々に設定される。
S3では、ライン圧調整用ソレノイドおよび変速制御用ソレノイドの両方に異常の可能性がある旨の異常判定が為され、S4では、変速制御用ソレノイドのみに異常の可能性がある旨の異常判定が為される。ライン圧調整用ソレノイドは、ライン圧調整装置48のリニアソレノイドバルブSLTのソレノイドのことで、断線等によって励磁電流の通電が遮断された場合などに、プライマリレギュレータバルブ44の排出用流路45の開口面積が最大になってライン圧PLが最低ライン圧PLminとなる異常を生じることがあるため、異常判定値α以上の入力トルクTinslpでスリップが発生した場合には、そのリニアソレノイドバルブSLTの故障によりライン圧PLが最低ライン圧PLminとなる異常の可能性がある。また、変速制御用ソレノイドは、クラッチCやブレーキBの油圧を制御するリニアソレノイドバルブSLやオンオフソレノイドバルブSC1のソレノイドのことで、ここでは現在のギヤ段の成立に関与するリニアソレノイドバルブSL、オンオフソレノイドバルブSC1について異常判定が行われる。すなわち、断線等によってリニアソレノイドバルブSL、オンオフソレノイドバルブSC1に対する励磁電流の通電が遮断されると、クラッチCやブレーキBの油圧アクチュエータに対して油圧が供給されなくなる異常が発生し、入力トルクTinslpが異常判定値α以上か否かに拘らず、スリップが発生した場合には、その現在ギヤ段に関与するリニアソレノイドバルブSL、オンオフソレノイドバルブSC1の断線等によりクラッチCやブレーキBの油圧アクチュエータに油圧が供給されなくなる異常の可能性がある。なお、ライン圧調整用ソレノイドの異常判定が為された場合は、フェイルセーフとして例えば走行用駆動源であるエンジン12の出力制限が行われ、変速制御用ソレノイドの異常判定が為された場合は、フェイルセーフとして例えば対応する油圧式摩擦係合要素(クラッチCおよびブレーキB)を用いたギヤ段の使用が禁止される。
ここで、最低ライン圧PLminはプライマリレギュレータバルブ44の排出用流路45の開口面積が最大とされた状態で出力されるため、オイルポンプ42の回転速度すなわちエンジン回転速度Neの上昇に応じて吐出流量が増大させられると、その吐出流量の増大に伴って排出用流路45の流通抵抗等により最低ライン圧PLminも高くなる傾向がある。このため、上記異常判定値αについても、例えば図7に示すようにエンジン回転速度Neをパラメータとして設定され、エンジン回転速度Neが高くなるに従って異常判定値αも連続的に高くなるように定められており、入力トルクTinslpがこの異常判定値α以上の領域でライン圧調整用のリニアソレノイドバルブSLTの異常判定が行われる。図8は、複数のギヤ段毎に別々に定められた異常判定値αの一例を示した図で、「□」印で示したグラフが異常判定値αである。図8では、異常判定値αが折れ線で設定されているが、図7に示すように最低ライン圧PLminの変化に対応して非線形に連続的に変化させることもできる。このような異常判定値αは、電子制御装置80の判定値記憶部86にマップとして予め記憶されている。
これに対し、従来は図7に破線で示すように異常判定値αが一定値であった。このため、異常判定値αに関する破線と実線との間の斜線で示す領域Aでは、ライン圧調整用のリニアソレノイドバルブSLTが異常でないにも拘らず異常判定が為され、異常の可能性がある部品点数が増えて、故障部品の特定に時間が掛かるという問題があった。従来の異常判定値αは、エンジン回転速度Neが低回転の最も低い最低ライン圧PLminに基づいて定められていたため、エンジン回転速度Neが高回転になるに従って実際の最低ライン圧PLminとの乖離が大きくなり、異常でないにも拘らず異常判定が行われる確率が高くなっていた。
一方、前記正常判定部84は、図6に示すフローチャートのステップQ1〜Q3(以下、単にQ1〜Q3という)に従って信号処理を行うことにより、ライン圧調整用のリニアソレノイドバルブSLTが正常である旨の正常判定を行う。図6のフローチャートは、前記自動変速機16が何れかの前進ギヤ段に保持されているなど、予め定められた判定実行条件を満足する場合に実行される。そして、Q1では、現在ギヤ段を成立させるためのクラッチCおよびブレーキBにスリップが発生していないか否かを判断する。具体的には、現在の実際の変速比γと理論変速比γrとが略一致するか否かを判断すれば良く、例えば次式(2) に従って判断できる。すなわち、入力回転速度Ninと、出力回転速度Noutに現在のギヤ段の理論変速比γrを掛け算した値(Nout×γr)との差(絶対値)が、予め定められたスリップ判定値Y以下の場合は、スリップが発生していないと判断でき、Q2以下を実行する。(2) 式を満足しない場合は、スリップが発生していると判断してそのまま終了する。スリップ判定値Yは、0に近い値が望ましいが、センサの検出誤差等を考慮して適宜定められる。
|Nin−Nout×γr|≦Y ・・・(2)
Q2では、その時の入力トルクTinが予め定められた正常判定値β以上か否かを判断し、Tin≧βの場合は、Q3を実行してライン圧調整用ソレノイドすなわちライン圧調整装置48のリニアソレノイドバルブSLTが正常である旨の正常判定を行い、Tin<βの場合はそのまま終了する。入力トルクTinは、前記入力トルクTinslpと同様にエンジン12のスロットル弁開度θth、エンジン回転速度Ne、トルクコンバータ14のトルク比等から算出することができる。正常判定値βは、前記異常判定値αと同様にして求められ、最低ライン圧PLminによってクラッチCやブレーキBが伝達可能なトルクから算出された入力トルクTinの値である判定基準値Sに対し、所定の安全率(例えば1.1〜1.2程度)を掛け算することにより、その判定基準値Sよりも大きい値が定められている。
ここで、上記正常判定値βについても、オイルポンプ42の回転速度(エンジン回転速度Ne)に応じて変化する最低ライン圧PLminに基づいて、例えば図7に示すようにエンジン回転速度Neをパラメータとして設定され、エンジン回転速度Neが高くなるに従って正常判定値βも連続的に高くなるように定められており、入力トルクTinがこの正常判定値β以上の領域でライン圧調整用のリニアソレノイドバルブSLTの正常判定が行われる。これに対し、従来は図7に破線で示すように正常判定値βが一定値であったため、正常判定値βに関する破線と実線との間の斜線で示す領域Bでは、ライン圧調整用のリニアソレノイドバルブSLTが正常であるにも拘らず正常判定が為されず、故障部品の特定に時間が掛かるという問題があった。従来の正常判定値βは、エンジン回転速度Neが高回転の最も高い最低ライン圧PLminに基づいて定められていたため、エンジン回転速度Neの低回転側で実際の最低ライン圧PLminとの乖離が大きくなり、正常であるにも拘らず正常判定が行われない確率が高くなっていた。図8に「○」印で示したグラフは、ギヤ段毎に別々に定められた正常判定値βの一例で、折れ線で設定されているが、図7に示すように最低ライン圧PLminの変化に対応して非線形に連続的に変化させることもできる。この正常判定値βも、異常判定値αと同様に電子制御装置80の判定値記憶部86にマップとして予め記憶されている。なお、判定基準値Sをマップとして記憶しておき、その判定基準値Sに基づいて異常判定値αおよび正常判定値βを計算で求めるようにしても良い。
このように、本実施例の車両用動力伝達装置10によれば、リニアソレノイドバルブSLTの故障でライン圧調整装置48の出力油圧が最低ライン圧PLminとなる異常時に、オイルポンプ42の回転速度すなわちエンジン回転速度Neの上昇に応じて作動油の吐出流量が増大させられると、その吐出流量の増大に伴って最低ライン圧PLminが高くなる傾向を有することに基づいて、異常判定値αが、図7および図8に示されるようにエンジン回転速度Neが高い時には低い時に比較して大きな値となるようにエンジン回転速度Neに応じて定められるため、エンジン回転速度Neの変化に伴う最低ライン圧PLminの変化に応じてライン圧調整用のリニアソレノイドバルブSLTの異常判定が適切に行われるようになり、その判定精度が向上する。特に、図7では最低ライン圧PLminの変化に合わせて、エンジン回転速度Neの上昇に伴って異常判定値αが非線形に連続的に増大しているため、より高い精度でリニアソレノイドバルブSLTの異常判定が行われるようになる。また、最低ライン圧PLminに基づいて求められた判定基準値Sよりも小さい値が異常判定値αとして設定されているため、各部の寸法誤差や経時変化、センサの検出誤差、エンジン回転速度Neの変動等に起因して異常判定値αや入力トルクTinslpがばらついた場合に、リニアソレノイドバルブSLTに異常の可能性があるにも拘らず異常判定が為されないことが防止され、高い精度で異常判定が行われる。すなわち、リニアソレノイドバルブSLTの異常時には確実に異常判定が行われる。
これにより、リニアソレノイドバルブSLTが異常でないにも拘らず異常判定が為される可能性が低くなり、故障部品の特定に要する時間が短縮される。特に、本実施例では10段変速の自動変速機16を搭載しており、変速制御用に6つのリニアソレノイドバルブSL1〜SL6と一つのオンオフソレノイドバルブSC1を備えているなど、油圧制御に関与する部品点数が多いため、リニアソレノイドバルブSLTの異常判定の精度向上が故障部品の特定時間の短縮に大きく寄与する。
また、本実施例では、変速制御用電磁弁としてリニアソレノイドバルブSLおよびオンオフソレノイドバルブSC1を備えており、そのリニアソレノイドバルブSL或いはオンオフソレノイドバルブSC1の故障でクラッチC、ブレーキBに対してライン圧PLが供給されなくなる異常を生じることがあるが、スリップ発生時の入力トルクTinslpが異常判定値αよりも低い時には現在ギヤ段に関与する変速制御用のリニアソレノイドバルブSL、オンオフソレノイドバルブSC1について異常判定が行われる。したがって、異常判定値αがエンジン回転速度Neに応じて定められることにより、ライン圧調整用のリニアソレノイドバルブSLTの異常判定が適切に除外されて変速制御用のリニアソレノイドバルブSL、オンオフソレノイドバルブSC1を含む異常部品の特定が容易になる。
また、本実施例では正常判定部84を備えており、入力トルクTinが予め定められた正常判定値β以上でクラッチC或いはブレーキBのスリップが検知されない場合には、ライン圧調整用のリニアソレノイドバルブSLTの正常判定が行われるが、正常判定値βも異常判定値αと同様に、エンジン回転速度Neに応じて変化する最低ライン圧PLminに基づいて、図7、図8に示されるようにエンジン回転速度Neに応じて定められるため、エンジン回転速度Neの変化に伴う最低ライン圧PLminの変化に応じてリニアソレノイドバルブSLTの正常判定が適切に行われるようになり、その判定精度が向上する。特に、図7では最低ライン圧PLminの変化に合わせて、エンジン回転速度Neの上昇に伴って正常判定値βが非線形に連続的に増大しているため、より高い精度でリニアソレノイドバルブSLTの正常判定が行われるようになる。また、最低ライン圧PLminに基づいて求められた判定基準値Sよりも大きい値が正常判定値βとして設定されているため、各部の寸法誤差や経時変化、センサの検出誤差、エンジン回転速度Neの変動等に起因して正常判定値βや入力トルクTinがばらついた場合に、リニアソレノイドバルブSLTが正常でない可能性があるにも拘らず正常判定が為されることが防止され、高い精度で正常判定が行われる。すなわち、リニアソレノイドバルブSLTの異常時に正常判定が行われることが確実に防止される。
これにより、リニアソレノイドバルブSLTが正常であるにも拘らず正常判定が行われない可能性が低くなり、故障部品の特定に要する時間が短縮される。特に、本実施例では10段変速の自動変速機16を搭載しており、変速制御用に6つのリニアソレノイドバルブSL1〜SL6とオンオフソレノイドバルブSC1を備えているなど、油圧制御に関与する部品点数が多いため、リニアソレノイドバルブSLTの正常判定の精度向上が故障部品の特定時間の短縮に大きく寄与する。
また、本実施例では、クラッチC1〜C4およびブレーキB1、B2によって前進10速のギヤ段を成立させることができる自動変速機16を備えているが、図8に示されるように複数のギヤ段毎に別々に異常判定値αおよび正常判定値βが設定されているため、クラッチC1〜C4およびブレーキB1、B2のトルク特性の相違に拘らず、ライン圧調整用のリニアソレノイドバルブSLTの異常判定および正常判定が適切に行われる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両用動力伝達装置 16:自動変速機 40:油圧制御回路 42:オイルポンプ 45:排出用流路 48:ライン圧調整装置 80:電子制御装置 82:異常判定部 84:正常判定部 86:判定値記憶部 C1〜C4:クラッチ(油圧式摩擦係合要素) B1、B2:ブレーキ(油圧式摩擦係合要素) SL1〜SL6:リニアソレノイドバルブ(変速制御用電磁弁) SC1:オンオフソレノイドバルブ(変速制御用電磁弁) PL:ライン圧 Ne:エンジン回転速度(オイルポンプの回転速度) Tin:入力トルク Tinslp:スリップ発生時の入力トルク α:異常判定値 β:正常判定値 S:判定基準値

Claims (4)

  1. オイルポンプから吐出された作動油の油圧を、排出用流路の開口面積を変化させることにより所定のライン圧に調整するライン圧調整装置と、
    前記ライン圧を元圧として油圧式摩擦係合要素が係合させられることにより所定ギヤ段が成立させられる自動変速機と、
    を備え、前記ライン圧調整装置は、前記ライン圧の調整が不能な場合に、前記排出用流路の開口面積が最大になり、最低ライン圧を出力する異常を生じることがある車両用動力伝達装置に関し、
    前記所定ギヤ段の成立時に該所定ギヤ段を成立させる前記油圧式摩擦係合要素のスリップを検知して、該スリップ発生時の入力トルクが、該所定ギヤ段を成立させる該油圧式摩擦係合要素が前記最低ライン圧によって伝達可能なトルクに基づいて予め定められた異常判定値以上の場合に、前記ライン圧調整装置が、前記最低ライン圧を出力する前記異常の可能性がある旨の異常判定を行う異常判定部を有する車両用動力伝達装置の制御装置において、
    前記異常判定値は、前記オイルポンプの回転速度が高い時には低い時に比較して大きな値となるように該回転速度に応じて定められている
    ことを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置。
  2. 前記自動変速機は、前記油圧式摩擦係合要素に供給される油圧を制御する変速制御用電磁弁を備えているとともに、該変速制御用電磁弁の故障で該油圧式摩擦係合要素に油圧が供給されなくなる異常を生じることがある一方、
    前記異常判定部は、前記スリップ発生時の入力トルクが前記異常判定値よりも低い場合に、前記変速制御用電磁弁の故障で前記油圧式摩擦係合要素に油圧が供給されなくなる前記異常の可能性がある旨の異常判定を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
  3. 入力トルクが、前記所定ギヤ段の成立時に、該所定ギヤ段を成立させる前記油圧式摩擦係合要素が前記最低ライン圧によって伝達可能なトルクに基づいて予め定められた正常判定値以上で、該所定ギヤ段を成立させる該油圧式摩擦係合要素のスリップが検知されない場合には、前記ライン圧調整装置が正常である旨の正常判定を行う正常判定部を有し、
    前記正常判定値は、前記オイルポンプの回転速度が高い時には低い時に比較して大きな値となるように該回転速度に応じて定められており、
    且つ、該正常判定値は、前記所定ギヤ段を成立させる前記油圧式摩擦係合要素が前記最低ライン圧によって伝達可能な入力トルク値に相当する判定基準値よりも大きい値が設定され、前記異常判定値は、該判定基準値よりも小さい値が設定されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
  4. 前記自動変速機は、前記ライン圧を元圧として係合させられる複数の油圧式摩擦係合要素を備えており、該複数の油圧式摩擦係合要素の係合、解放状態の組み合わせの相違によって変速比が異なる複数のギヤ段を成立させることができるもので、
    前記異常判定値は、前記複数のギヤ段毎に別々に定められている
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
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