JP2011236977A - 車両の異常検出制御装置 - Google Patents
車両の異常検出制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011236977A JP2011236977A JP2010109179A JP2010109179A JP2011236977A JP 2011236977 A JP2011236977 A JP 2011236977A JP 2010109179 A JP2010109179 A JP 2010109179A JP 2010109179 A JP2010109179 A JP 2010109179A JP 2011236977 A JP2011236977 A JP 2011236977A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hydraulic
- vehicle
- engine
- brake
- abnormality
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/60—Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
- Y02T10/62—Hybrid vehicles
Landscapes
- Hybrid Electric Vehicles (AREA)
- Control Of Transmission Device (AREA)
- Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)
Abstract
【課題】油圧スイッチの一時的な異常発生時において油圧系統の異常有無を好適に判断する車両用異常検出制御装置を提供する。
【解決手段】エンジン12の始動時に発生する直達トルクに起因して回転させられる第2モータジェネレータMG2の回転を、第2ブレーキB2の作動により抑止できるか否かを判定し、その判定結果に基づいて油圧制御回路50の異常の有無を判定するものであることから、油圧スイッチからの信号によらずに第2ブレーキB2を作動させる油圧制御回路50の異常を好適に検出することができる。すなわち、油圧スイッチの一時的な異常発生時において油圧系統の異常有無を好適に判断する車両用異常検出制御装置を提供することができる。
【選択図】 図9
【解決手段】エンジン12の始動時に発生する直達トルクに起因して回転させられる第2モータジェネレータMG2の回転を、第2ブレーキB2の作動により抑止できるか否かを判定し、その判定結果に基づいて油圧制御回路50の異常の有無を判定するものであることから、油圧スイッチからの信号によらずに第2ブレーキB2を作動させる油圧制御回路50の異常を好適に検出することができる。すなわち、油圧スイッチの一時的な異常発生時において油圧系統の異常有無を好適に判断する車両用異常検出制御装置を提供することができる。
【選択図】 図9
Description
本発明は、車両の異常検出制御装置に関し、特に、油圧スイッチの一時的な異常発生時において油圧系統の異常有無を判断するための改良に関する。
油圧式係合装置の作動に基づいてエンジンからの動力を駆動輪へ伝達する車両において、その油圧式係合装置を作動させる油圧制御回路の異常を検出する車両用異常検出制御装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された車両の異常判定装置がそれである。この技術によれば、複数の油圧式係合装置を有する変速機を備えた車両において、その変速機の変速段の形成に関する要素の異常を判定することで、前記油圧式係合装置における係合状態の異常を適切に検出してドライバビリティを向上させることができるとされている。
ところで、前記車両のシステム立ち上げ時において、油圧スイッチに一時的な異常が発生することが考えられる。そのような場合において、前記従来の技術では、その油圧スイッチにおける異常発生が検出されたことをもって、実際に油圧系統に異常が発生していなかったとしてもフェールセーフモードでシステムを起動するものであり、必ずしも最適なドライバビリティを実現できないという不具合があった。すなわち、油圧スイッチの一時的な異常発生時において油圧系統の異常有無を好適に判断する技術は、未だ開発されていないのが現状である。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、油圧スイッチの一時的な異常発生時において油圧系統の異常有無を好適に判断する車両用異常検出制御装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、油圧式係合装置の作動に基づいてエンジンからの動力を駆動輪へ伝達する車両において、その油圧式係合装置を作動させる油圧制御回路の異常を検出する車両用異常検出制御装置であって、前記エンジンの始動時に発生する直達トルクに起因して回転させられる回転部材の回転を、前記油圧式係合装置の作動により抑止できるか否かを判定し、その判定結果に基づいて前記油圧制御回路の異常の有無を判定することを特徴とするものである。
このようにすれば、前記エンジンの始動時に発生する直達トルクに起因して回転させられる回転部材の回転を、前記油圧式係合装置の作動により抑止できるか否かを判定し、その判定結果に基づいて前記油圧制御回路の異常の有無を判定するものであることから、油圧スイッチからの信号によらず、前記油圧式係合装置を作動させる油圧制御回路の異常を好適に検出することができる。すなわち、油圧スイッチの一時的な異常発生時において油圧系統の異常有無を好適に判断する車両用異常検出制御装置を提供することができる。
ここで、好適には、前記車両は、前記エンジンの動力を第1電動機及び前記駆動輪へ分配する動力分配装置と、前記油圧式係合装置の作動に基づいて前記駆動輪へ動力を伝達するための前記回転部材としての第2電動機とを備えたハイブリッド車両であって、前記第1電動機による前記エンジンの始動時に発生する直達トルクに起因する前記第2電動機の吹き上がりを、前記油圧式係合装置の作動により抑止できるか否かを判定し、その判定結果に基づいて前記油圧制御回路の異常の有無を判定するものである。このようにすれば、実用的なハイブリッド車両に関して、前記油圧式係合装置に動力伝達可能に連結された電動機によりエンジン直達トルクを保持できるか否かを監視することで、その油圧式係合装置を作動させる油圧制御回路の異常を好適に検出することができる。
また、好適には、前記車両は、前記エンジンの出力軸に連結された電動機と、前記油圧式係合装置を有してその出力軸に連結された前後進切換装置と、その前後進切換装置と直列に連結された自動変速機とを、備えたハイブリッド車両である。このようにすれば、実用的なハイブリッド車両に関して、油圧式係合装置を作動させる油圧制御回路の異常を好適に検出することができる。
また、好適には、前記車両は、前記エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路に自動変速機を備えたものであり、その車両に係るシフトレンジを電気制御により切り替えるシフトバイワイヤ切換装置を備えたものである。このようにすれば、シフトバイワイヤ形式の自動変速機における非走行レンジから走行レンジへの切換に際して、例えば前後進切換装置に含まれる油圧式係合装置を作動させる油圧制御回路の異常を好適に検出することができる。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に適用されるハイブリッド車両8を説明する図である。この図1に示すハイブリッド車両8は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両等に好適に用いられるものであって、主動力源としてのエンジン12から出力される動力を第1電動機としての第1モータジェネレータMG1(以下、MG1という)と伝達部材としての出力軸14とに分配する動力分配装置16と、その伝達部材16と駆動輪18との間の動力伝達経路に有段式自動変速機20(以下、変速機20という)を介して連結された第2電動機としての第2モータジェネレータMG2(以下、MG2という)とを、有する動力伝達装置10を備えて構成されており、上記エンジン12、MG1から出力されるトルクが上記出力軸14に伝達され、その出力軸14から差動歯車装置19を介して左右一対の駆動輪18にトルクが伝達されるようになっている。
上記動力伝達装置10では、上記MG2から出力軸14へ伝達されるトルク容量が上記変速機20において設定される変速比γs(=MG2の回転速度/出力軸14の回転速度)に応じて増減されるようになっている。この変速機20の変速比γsは、「1」以上の複数段に設定されるように構成されており、上記MG2からトルクを出力する力行時にはそのトルクを増大させて出力軸14へ伝達することができるので、そのMG2を一層低容量若しくは小型に構成することができる。これにより、例えば高車速に伴って出力軸14の回転数が増大した場合には、上記MG2の運転効率を良好な状態に維持するために、上記変速機20の変速比γsを低下させることでMG2の回転数が低下させられる。また、上記出力軸14の回転数が低下した場合には、上記変速機20の変速比γsが適宜増大させられる。
前記エンジン12は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等、所定の燃料を燃焼させて動力を出力させる公知の内燃機関であって、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを主体とするエンジン制御用の電子制御装置(E−ECU)22によって、スロットル開度或いは吸入空気量、燃料供給量、点火時期等の運転状態が電気的に制御されるように構成されている。上記電子制御装置22には、アクセルペダル24の操作量を検出するアクセル開度センサAS、ブレーキペダル26の操作を検出するためのブレーキセンサBS、前記エンジン12の回転速度を検出するためのエンジン回転速度センサNS等からの検出信号が供給されるようになっている。
前記MG1、MG2は、駆動トルクを発生させる電動機(モータ)としての機能及び発電機(ジェネレータ)としての機能のうち少なくとも一方を備えた例えば同期電動機であって、好適には、電動機としての機能と発電機としての機能とを選択的に生じるように構成されており、インバータ28、30を介してバッテリやコンデンサ等の蓄電装置32に接続されている。そして、所謂マイクロコンピュータを主体とするモータジェネレータ制御用の電子制御装置(MG−ECU)34によってそれらインバータ28、30が制御されることにより、前記MG1、MG2の出力トルクあるいは回生トルクが調節或いは設定されるようになっている。上記電子制御装置34には、シフトレバー36の操作位置を検出する操作位置センサSS、MG1の回転速度を検出するMG1レゾルバRE1、及びMG2の回転速度を検出するMG2レゾルバRE2等からの検出信号が供給されるようになっている。
前記動力分配装置16は、サンギヤS0と、そのサンギヤS0に対して同心円上に配置されたリングギヤR0と、それらサンギヤS0及びリングギヤR0に噛み合わされるピニオンギヤP0を自転且つ公転自在に支持するキャリアC0とを三つの回転要素として備えて公知の差動作用を生じるシングルピニオン型の遊星歯車装置から構成されている。この遊星歯車装置は、前記エンジン12及び変速機20と同心に設けられている。また、前記動力分配装置16及び変速機20は中心線に対して対称的に構成されているため、図1ではそれらの下半分を省略して示している。
前記動力伝達装置10において、前記エンジン12のクランク軸38は、ダンパ40を介して前記動力分配装置16のキャリアC0に連結されている。これに対してサンギヤS0には前記MG1が連結され、リングギヤR0には前記出力軸14が連結されている。前記動力分配装置16において、キャリアC0は入力要素として機能し、サンギヤS0は反力要素として機能し、リングギヤR0は出力要素として機能している。
前記動力分配装置16における各回転要素の回転速度の相対的関係は、図2の共線図により示される。この共線図において、縦軸S、縦軸C、及び縦軸Rは、サンギヤS0の回転速度、キャリアC0の回転速度、及びリングギヤR0の回転速度をそれぞれ表す軸であり、縦軸S、縦軸C、及び縦軸Rの相互の間隔は、縦軸Sと縦軸Cとの間隔を1としたとき、縦軸Cと縦軸Rとの間隔がρ(サンギヤS0の歯数Zs/リングギヤR0の歯数Zr)となるように設定されたものである。斯かる動力分配装置16において、キャリアC0に入力される前記エンジン12の出力トルクに対して、前記MG1による反力トルクがサンギヤS0に入力されると、出力要素となっているリングギヤR0には、前記エンジン12から入力されたトルクより大きいトルクが現れるので、前記MG1は発電機として機能する。また、リングギヤR0の回転速度(出力軸回転速度)NOが一定であるとき、MG1の回転速度を上下に変化させることにより、前記エンジン12の回転速度NEを連続的に(無段階に)変化させることができる。図2の破線はMG1の回転速度を実線に示す値から下げたときに前記エンジン12の回転速度NEが低下する状態を示している。すなわち、前記エンジン12の回転速度NEを例えば燃費が最もよい回転速度に設定する制御を、前記MG1を制御することによって実行できる。この種のハイブリッド形式は、機械分配式あるいはスプリットタイプと称される。
図1に戻って、前記変速機20は、一組のラビニヨ型遊星歯車機構によって構成されている。すなわち、第1サンギヤS1と第2サンギヤS2とが設けられており、その第1サンギヤS1にショートピニオンP1が噛合するとともに、そのショートピニオンP1がそれより軸長の長いロングピニオンP2に噛合し、そのロングピニオンP2が前記各サンギヤS1、S2と同心円上に配置されたリングギヤR1に噛合している。上記各ピニオンP1、P2は、共通のキャリアC1によって自転且つ公転自在にそれぞれ保持されている。また、第2サンギヤS2がロングピニオンP2に噛合している。また、上記第2サンギヤS2には前記MG2が連結され、上記キャリアC1が前記出力軸14に連結されている。上記第1サンギヤS1とリングギヤR1とは、各ピニオンP1、P2と共にタプルピニオン型遊星歯車装置に相当する機構を構成し、また第2サンギヤS2とリングギヤR1とは、ロングピニオンP2と共にシングルピニオン型遊星歯車装置に相当する機構を構成している。
また、前記変速機20には、上記第1サンギヤS1を選択的に固定するためにその第1サンギヤS1とハウジング42との間に設けられた第1ブレーキB1と、上記リングギヤR1を選択的に固定するためにそのリングギヤR1とハウジング42との間に設けられた第2ブレーキB2とが設けられている。これらのブレーキB1、B2は、後述する油圧制御回路50から供給される作動油の油圧に応じて摩擦による係合力を発生させる多板式或いはバンド式の油圧式係合装置であり、油圧アクチュエータ等により発生させられる係合圧に応じてそのトルク容量が連続的に変化するように構成されている。
以上のように構成された変速機20では、前記第2サンギヤS2が入力要素として機能すると共にキャリアC1が出力要素として機能し、上記第1ブレーキB1が係合させられると「1」より大きい変速比γshの高速段Hが達成される。また、上記第1ブレーキB1に替えて上記第2ブレーキB2が係合させられるとその高速段Hの変速比γshより大きい変速比γslの低速段Lが設定されるように構成されている。これらの変速段H及びLの間での変速は、車速や要求駆動力関連値(目標駆動力関連値)等の走行状態に基づいて実行される。より具体的には、予め実験的に定められた変速段領域を予めマップ(変速線図)として記憶しておき、検出された運転状態に応じていずれかの変速段を設定するように制御を行う。その制御をおこなうための所謂マイクロコンピュータを主体とした変速制御用の電子制御装置(T−ECU)44が設けられている。この電子制御装置44には、作動油の温度を検出するための油温センサTS、上記第1ブレーキB1の係合油圧を検出するための第1油圧スイッチSW1、上記第2ブレーキB2の係合油圧を検出するための第2油圧スイッチSW2、ライン圧PLを検出するための第3油圧スイッチSW3等からの検出信号が供給されるようになっている。
図3は、前記変速機20を構成しているラビニヨ型遊星歯車機構についての各回転要素の相互関係を表すために4本の縦軸S1、縦軸R1、縦軸C1、及び縦軸S2を有する共線図を示している。これら縦軸S1、縦軸R1、縦軸C1、及び縦軸S2は、前記第1サンギヤS1の回転速度、リングギヤR1の回転速度、キャリアC1の回転速度、及び第2サンギヤS2の回転速度をそれぞれ示すものである。前記変速機20では、上記第2ブレーキB2によってリングギヤR1が固定されると、低速段Lが設定され、前記MG2の出力したアシストトルクがそのときの変速比γslに応じて増幅されて前記出力軸14に付加される。これに替えて、上記第1ブレーキB1によって第1サンギヤS1が固定されると、低速段Lの変速比γslよりも小さい変速比γshを有する高速段Hが設定される。この高速段Hにおける変速比も「1」より大きいので、前記MG2の出力したアシストトルクがその変速比γshに応じて増大させられて前記出力軸14に付加される。なお、各変速段L、Hが定常的に設定されている状態では、前記出力軸14に付加されるトルクは、前記MG2の出力トルクを各変速比に応じて増大させたトルクとなるが、前記変速機20の変速過渡状態では各ブレーキB1、B2でのトルク容量や回転数変化に伴う慣性トルク等の影響を受けたトルクとなる。また、前記出力軸14に付加されるトルクは、前記MG2の駆動状態では正トルクとなり、被駆動状態では負トルクとなる。
図4は、前記ブレーキB1及びB2を選択的に係合させることにより前記変速機20の変速動作を制御するための変速用油圧制御回路50を例示する図である。この油圧制御回路50は、前記エンジン12のクランク軸36に作動的に連結されることによりそのエンジン12により回転駆動される機械式油圧ポンプ46(図1を参照)と、電動モータ48a及びその電動モータ48aにより回転駆動されるポンプ48bを有する電動式油圧ポンプ48とを、油圧源として備えており、それら機械式油圧ポンプ46及び電動式油圧ポンプ48は、図示しないオイルパンに還流した作動油をストレーナ52を介して吸入し、或いは還流油路53を介して直接還流した作動油を吸入してライン圧油路54へ圧送する。なお、上記還流した作動油温度を検出するための油温センサTSが上記油圧制御回路50を形成するバルブボデー51に設けられているが、他の部位に接続されていてもよい。
図4に示すライン圧調圧弁56は、リリーフ形式の調圧弁であって、上記ライン油路54に接続された供給ポート56aとドレン油路58に接続された排出ポート56bとの間を開閉するスプール弁子60と、そのスプール弁子60の閉弁方向の推力を発生させるスプリング62を収容すると同時にライン圧PLの設定圧を高く変更する際には電磁開閉弁64を介してモジュール圧油路66内のモジュール圧PMを受け入れる制御油室68と、上記スプール弁子60の開弁方向の推力を発生させる上記ライン圧油路54に接続されたフィードバック油室70とを、備え、低圧及び高圧の2種類のいずれかの一定のライン圧PLを出力する。また、上記ライン圧油路54には、ライン圧PLが高圧側の値であるときにオン作動し、低圧側の値以下であるときにオフ作動する前記第3油圧スイッチSW3が設けられている。
モジュール圧調圧弁72は、前記ライン圧PLを元圧とし、そのライン圧PLの変動に拘わらず、低圧側のライン圧PLよりも低く設定された一定のモジュール圧PMを上記モジュール圧油路66に出力する。前記第1ブレーキB1を制御するための第1リニアソレノイド弁SLB1及び第2ブレーキB2を制御するための第2リニアソレノイド弁SLB2は、上記モジュール圧PMを元圧として電子制御装置44からの指令値である駆動電流ISOL1及びISOL2に応じた制御圧PC1及びPC2を出力する。
第1リニアソレノイド弁SLB1は、非通電時において入力ポートと出力ポートとの間が開弁(連通)される常開型の弁特性を備え、図5に示すように、駆動電流ISOL1の増加に伴って出力される制御圧PC1が低下させられる。また、この第1リニアソレノイド弁SLB1の弁特性には、駆動電流ISOL1が所定値Iaを超えるまで出力される制御圧PC1が低下しない不感帯Aが設けられている。第2リニアソレノイド弁SLB2は、非通電時において入力ポートと出力ポートとの間が閉弁(遮断)される常閉型の弁特性を備え、図6に示すように、駆動電流ISOL2の増加に伴って出力される制御圧PC2が増加させられる。また、この第2リニアソレノイド弁SLB2の弁特性には、駆動電流ISOL2が所定値Ibを超えるまで出力される制御圧PC2が増加しない不感帯Bが設けられている。
B1コントロール弁76は、前記ライン圧油路54に接続された入力ポート76a及びB1係合油圧PB1を出力する出力ポート76bとの間を開閉するスプール弁子78と、そのスプール弁子78を開弁方向に付勢するために前記第1リニアソレノイド弁SLB1からの制御圧PC1を受け入れる制御油室80と、上記スプール弁子78を閉弁方向に付勢するスプリング82を収容し、出力圧であるB1係合油圧PB1を受け入れるフィードバック油室84とを、備え、前記ライン圧油路54内のライン圧PLを元圧として、前記第1リニアソレノイド弁SLB1からの制御圧PC1に応じた大きさのB1係合油圧PB1を出力し、インターロック弁として機能するB1アプライコントロール弁86を通してブレーキB1に供給する。
B2コントロール弁90は、前記ライン圧油路54に接続された入力ポート90a及びB2係合油圧PB2を出力する出力ポート90bとの間を開閉するスプール弁子92と、そのスプール弁子92を開弁方向に付勢するために前記第2リニアソレノイド弁SLB2からの制御圧PC2を受け入れる制御油室94と、スプール弁子92を閉弁方向に付勢するスプリング96を収容し、出力圧であるB2係合油圧PB2を受け入れるフィードバック油室98とを、備え、前記ライン圧油路54内のライン圧PLを元圧として、前記第2リニアソレノイド弁SLB2からの制御圧PC2に応じた大きさのB2係合油圧PB2を出力し、インターロック弁として機能するB2アプライコントロール弁100を通してブレーキB2に供給する。
B1アプライコントロール弁86は、前記B1コントロール弁76から出力されたB1係合油圧PB1を受け入れる入力ポート86a及び第1ブレーキB1に接続された出力ポート86bとの間を開閉するスプール弁子102と、そのスプール弁子102を開弁方向に付勢するためにモジュール圧PMを受け入れる油室104と、上記スプール弁子102を閉弁方向に付勢するスプリング106を収容し且つ前記B2コントロール弁90から出力されたB2係合油圧PB2を受け入れる油室108とを、備え、前記第2ブレーキB2を係合させるためのB2係合油圧PB2が供給されるまでは開弁状態とされるが、そのB2係合油圧PB2が供給されると閉弁状態に切換られて、それにより第1ブレーキB1の係合が阻止される。
また、上記B1アプライコントロール弁86には、上記スプール弁子102が開弁位置(図4の中心線の右側に示す位置)であるときに閉じられ、逆にそのスプール弁子102が閉弁位置(図4の中心線の左側に示す位置)にあるときに開かれる1対のポート110a及び110bが設けられている。この一方のポート110aにはB2係合油圧PB2を検出するための前記第2油圧スイッチSW2が接続されており、他方のポート110bには第2ブレーキB2が直接接続されている。この第2油圧スイッチSW2は、B2係合油圧PB2が予め設定された高圧状態となるとオン状態となり、B2係合油圧PB2が予め設定された低圧状態以下となるとオフ状態に切り換えられるように構成されている。また、この第2油圧スイッチSW2は、前記B1アプライコントロール弁86を介して第2ブレーキB2に接続されているので、B2係合油圧PB2の異常と同時に、第1ブレーキB1の油圧系統を構成する前記第1リニアソレノイド弁SLB1、B1コントロール弁76、B1アプライコントロール弁86等の異常も判定可能となっている。
前記B1アプライコントロール弁86と同様に、前記B2アプライコントロール弁100も、前記B2コントロール弁90から出力されたB2係合油圧PB2を受け入れる入力ポート100a及び第2ブレーキB2に接続された出力ポート100bとの間を開閉するスプール弁子112と、そのスプール弁子112を開弁方向に付勢するためにモジュール圧PMを受け入れる油室114と、上記スプール弁子112を閉弁方向に付勢するスプリング116を収容し且つB1コントロール弁76から出力されたB1係合油圧PB1を受け入れる油室118とを、備え、前記第1ブレーキB1を係合させるためのB1係合油圧PB1が供給されるまでは開弁状態とされるが、そのB1係合油圧PB1が供給されると閉弁状態に切換られて、それにより第2ブレーキB2の係合が阻止される。
また、前記B2アプライコントロール弁100にも、上記スプール弁子112が開弁位置(図4の中心線の右側に示す位置)であるときに閉じられ、逆にそのスプール弁子112が閉弁位置(図4の中心線の左側に示す位置)にあるときに開かれる1対のポート120a及び120bが設けられている。この一方のポート120aにはB1係合油圧PB1を検出するための前記第1油圧スイッチSW1が接続されており、他方のポート120bには前記第1ブレーキB1が直接接続されている。この第1油圧スイッチSW1は、B1係合油圧PB1が予め設定された高圧状態となるとオン状態となり、B1係合油圧PB1が予め設定された低圧状態以下となるとオフ状態に切り換えられるように構成されている。また、この第1油圧スイッチSW1は、前記B2アプライコントロール弁100を介して前記第1ブレーキB1に接続されているので、B1係合油圧PB1の異常と同時に、前記第2ブレーキB2の油圧系統を構成する前記第2リニアソレノイド弁SLB2、B2コントロール弁90、B2アプライコントロール弁100等の異常も判定可能となっている。
図7は、以上のように構成された油圧制御回路50の作動を説明する図表であり、○印は励磁状態或いは係合状態を示し、×印は非励磁状態或いは解放状態を示している。この図7に示すように、前記第1リニアソレノイド弁SLB1及び第2リニアソレノイド弁SLB2は共に励磁状態とされることによって、前記第1ブレーキB1が解放状態に、前記第2ブレーキB2が係合状態とされ、前記変速機20の低速段Lが達成される。そして、前記第1リニアソレノイド弁SLB1及び第2リニアソレノイド弁SLB2は共に非励磁状態とされることによって、前記第1ブレーキB1が係合状態に、前記第2ブレーキB2が解放状態とされ、前記変速機20の高速段Hが達成される。
図8は、前記動力伝達装置10を制御するための制御装置、すなわち前記電子制御装置22、34、44に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図8に示す異常検出手段122、回転速度差算出手段126、及びフェールセーフ制御手段130は、好適には、前記変速制御用の電子制御装置(T−ECU)44に機能的に備えられたものであるが、前記電子制御装置22、34、44に分散して備えられると共に、それら電子制御装置22、34、44相互間で通信が行われることにより連動して作動するものであってもよい。
図8に示す異常検出手段122は、前記油圧制御回路50の異常の有無を判定する。例えば、前記変速機20において各変速段L、Hが各々形成されている車両状態において、予め定められた規則に基づいて各変速段L、Hの形成に関連する要素の異常を検出する。このために、上記異常検出手段122は、油圧スイッチ異常検出手段124及び油圧系統異常検出手段128を含んでいる。この各変速段L、Hの形成に関連する要素は、例えばB1係合油圧PB1やB2係合油圧PB2の元圧となるライン圧PLを調圧するライン圧調圧弁56、第1ブレーキB1の油圧系統を構成する第1リニヤソレノイド弁SLB1、B1コントロール弁76、B1アプライコントロール弁86等、第2ブレーキB2の油圧系統を構成する第2リニヤソレノイド弁SLB2、B2コントロール弁90、B2アプライコントロール弁100等、B1係合油圧PB1を検出するための第1油圧スイッチSW1、B2係合油圧PB2を検出するための第2油圧スイッチSW2、及びライン圧PLを検出するための第3油圧スイッチSW3等である。また、これら要素の異常とは、例えば上記各弁であればバルブスティック等が想定され、上記各油圧スイッチSW1、SW2、SW3であればそのオン状態とオフ状態との切換作動異常等が想定される。なお、上記各リニヤソレノイド弁SLB1、SLB2に関しては断線やショート等の異常も想定される。
上記油圧スイッチ異常検出手段124は、前記第1油圧スイッチSW1、第2油圧スイッチSW2、及び第3油圧スイッチSW3の作動状態を検出することにより、それら油圧スイッチSW1、SW2、SW3の異常を検出する。例えば、前記油圧制御回路50による前記変速機20の油圧制御に関して、その自動変速機20が低速段Lへ切り換えられるときには、B1係合油圧PB1の予め設定された低圧状態以下に対応するスイッチSW1がオフ状態、B2係合油圧PB2の予め設定された高圧状態に対応するスイッチSW2がオン状態、及び変速過渡時のライン圧PLの設定圧である高圧状態を検出するスイッチSW3がオン状態が正常な状態とされる。また、前記変速機20が高速段Hへ切り換えられるときには、B1係合油圧PB1の予め設定された高圧状態に対応するスイッチSW1がオン状態、B2係合油圧PB2の予め設定された低圧状態以下に対応するスイッチSW2がオフ状態、及び変速過渡時のライン圧PLの設定圧である高圧状態を検出するスイッチSW3がオン状態が正常な状態とされる。
前記油圧スイッチ異常検出手段124は、好適には、予め定められた関係(規則)から前記油圧スイッチSW1、SW2、SW3の検出結果に基づいて、前記変速機20の変速に係る正常判定フラグ乃至異常判定フラグを立てる。例えば、前記変速機20において低速段Lが成立させられる際には、前記第1スイッチSW1がオフ状態であるか否か、第2スイッチSW2がオン状態であるか否か、及び第3スイッチSW3がオン状態であるか否かをそれぞれ判定し、第1スイッチSW1がオフ状態であり第2スイッチSW2がオン状態であり且つ第3スイッチSW3がオン状態であると判定したときには低速段判定フラグFLとして低速段正常判定フラグFLGを立てる一方で、第1スイッチSW1がオン状態か第2スイッチSW2がオフ状態か第3スイッチSW3がオフ状態かのうちの何れか1つでも判定したときには低速段判定フラグFLとして低速段異常判定フラグFLEを立てる。
また、前記油圧スイッチ異常検出手段124は、例えば、前記変速機20において高速段Hが成立させられる際には、第1スイッチSW1がオン状態であるか否か、第2スイッチSW2がオフ状態であるか否か、及び第3スイッチSW3がオン状態であるか否かをそれぞれ判定し、第1スイッチSW1がオン状態であり第2スイッチSW2がオフ状態であり且つ第3スイッチSW3がオン状態であると判定したときには高速段判定フラグFHとして高速段正常判定フラグFHGを立てる一方で、第1スイッチSW1がオフ状態か第2スイッチSW2がオン状態か第3スイッチSW3がオフ状態かのうちの何れか1つでも判定したときには高速段判定フラグFHとして高速段異常判定フラグFHEを立てる。
図8に示す回転速度差算出手段126は、前記動力伝達装置10に含まれる所定の回転部材の実際の回転速度と予め定められた目標回転速度との回転速度差を算出する。この回転部材とは、前記エンジン12の始動時に、そのエンジン12をスタータとしての電動機(本実施例においてはMG1)により駆動することにより発生する直達トルクに起因して回転させられる部材であり、本実施例の動力伝達装置10においては、第2電動機である前記MG2の回転子(ルータ)が斯かる回転部材に対応する。すなわち、本実施例において、上記回転速度差算出手段126は、前記MG2レゾルバRE2により検出される前記MG2の実際の回転速度NMG2と、予め定められた前記MG2の目標回転速度iNMG2との回転速度差ΔNMG2(=NMG2−iNMG2)を算出する。ここで、前記MG2の目標回転速度iNMG2とは、例えばパーキングロック状態での前記エンジン12の始動時における前記MG2の回転速度の規定値(設定値)であり、好適にはiNMG2=0である。
前記油圧系統異常検出手段128は、上記回転速度差算出手段126により算出される回転速度差ΔNMG2に基づいて、前記油圧制御回路50における異常の有無を判定する。すなわち、前記第1ブレーキB1の油圧系統を構成する前記第1リニアソレノイド弁SLB1、B1コントロール弁76、B1アプライコントロール弁86等における異常の有無、乃至前記第2ブレーキB2の油圧系統を構成する前記第2リニアソレノイド弁SLB2、B2コントロール弁90、B2アプライコントロール弁100等における異常の有無を検出する。好適には、前記変速機20の低速段Lに対応して係合させられる前記第2ブレーキB2の油圧系統における異常の有無を検出する。なお、この油圧系統異常検出手段128による異常検出制御は、前記油圧スイッチ異常検出手段124により前記油圧スイッチSW1、SW2、及びSW3の少なくとも1つに異常が検出された場合、すなわち前記低速段判定フラグFLとしての低速段異常判定フラグFLE及び前記高速段判定フラグFHとしての高速段異常判定フラグFHEの少なくとも一方が立てられた場合にのみ実行されるものであってもよい。
図9は、本実施例の動力伝達装置10における前記エンジン12の始動に際してそのエンジン12から伝達される直達トルクについて説明する共線図であり、前記動力分配装置16のサンギヤS0(第1モータジェネレータMG1)の回転速度を縦軸Sで、キャリアC0(エンジン12)の回転速度を縦軸Cで、リングギヤR0(駆動輪18)の回転速度を縦軸Rで、前記変速機20のサンギヤS1の回転速度を縦軸S1で、リングギヤR1の回転速度を縦軸R1で、キャリアC1(駆動輪18)の回転速度を縦軸C1で、サンギヤS2(第2モータジェネレータMG2)の回転速度を縦軸S2でそれぞれ示している。
図9に示す共線図では、パーキングギヤすなわち前記シフトレバー36がPレンジとされている状態であり且つ前記第2ブレーキB2が係合させられる場合において、前記エンジン12が始動させられた場合における各部材の回転速度を示しており、前記第2ブレーキB2の係合状態(係合油圧)が正常である場合の各部材の回転速度を太い実線で、第2ブレーキB2に供給される油圧が不十分である場合の各部材の回転速度を太い破線でそれぞれ示している。前記動力伝達装置10において、パーキングロック状態で前記エンジン12を始動させる場合、すなわちスタータとしての前記MG1により前記キャリアC0の回転速度を増加させることにより前記エンジン12を駆動する際には、その始動に係るエンジントルクの一部が直達トルクとして前記リングギヤR0延いては前記変速機20のキャリアC1すなわち駆動輪18に伝達される。このため、斯かる場合には、前記エンジン12の駆動による直達トルクを打ち消すために、前記MG2によるモータトルク(反力)が印加され、図9に太い実線で示すように前記サンギヤS1、リングギヤR1、キャリアC1、及びサンギヤS2の回転速度が何れも0に維持(保持)される。
ここで、低油温時でない場合、すなわち前記油温センサTSにより検出される前記変速機20の作動油の油温TOILが予め定められた閾値以上である場合において、前記第2ブレーキB2の油圧系統に異常が発生してその第2ブレーキB2に供給される油圧(係合圧)が不十分となった場合には、斯かる第2ブレーキB2による制動力すなわちB2トルクが不足する。これにより、図9に太い破線で示すように(1)前記MG1による前記エンジン12の始動時に発生する直達トルク、(2)前記MG2によるモータトルク、(3)前記第2ブレーキB2によるB2トルクの釣り合いが崩れ、結果として前記MG2に吹き上がり(回転速度上昇)が発生して前記サンギヤS2の回転速度が増加する。換言すれば、前記エンジン12の始動時に発生する直達トルクを前記MG2のモータトルクにより保持できなくなる。
また、低油温時、すなわち前記油温センサTSにより検出される前記変速機20の作動油の油温TOILが予め定められた閾値未満である場合において、前記第2ブレーキB2の油圧系統に異常が発生してその第2ブレーキB2に供給される油圧(係合圧)が不十分となった場合には、基本的には上述した低油温時ではない場合と同様に前記エンジン12の始動時に発生する直達トルクを前記MG2のモータトルクにより保持できなくなり、その第2モータジェネレータMG2の吹き上がりが発生する。但し、低油温時には前記変速機20を構成する遊星歯車装置の回転時に前記第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2に係る摩擦材の引き摺り抵抗が大きくなることから、(1)前記MG1による前記エンジン12の始動時に発生する直達トルク、(2)前記MG2によるモータトルク、(3)前記第1ブレーキB1による引き摺りトルク、(4)前記第2ブレーキB2による引き摺りトルクが釣り合い、その第2ブレーキB2に十分な油圧(係合圧)が供給されなくとも前記サンギヤS2の回転速度が変化(増加)しない場合が考えられる。従って、斯かる低油温時においては、低油温時でない場合よりも前記MG2により大きなモータトルクを加えながら前記サンギヤS2の回転速度を確認すべきである。
以上の説明から明らかなように、前記第2ブレーキB2が作動(係合)させられるべきパーキングロック状態での前記エンジン12の始動時において、その第2ブレーキB2に十分な油圧が供給されない場合には、前記MG1による前記エンジン12の始動時に発生する直達トルクを前記MG2により保持できず、そのMG2に吹き上がりが発生して前記サンギヤS2の回転速度が増加させられる。すなわち、前記回転速度差算出手段126により算出される回転速度差ΔNMG2(=NMG2−iNMG2)が増大する。前記油圧系統異常検出手段128は、この回転速度差ΔNMG2が予め定められた規定値以上となった場合には、前記第2ブレーキB2に係る油圧系統に何らかの異常が発生してその第2ブレーキB2に十分な油圧が供給されないものとして、前記油圧制御回路50の異常を検出する。一方、前記回転速度差算出手段126により算出される前記回転速度差ΔNMG2が予め定められた規定値未満である場合には、前記第2ブレーキB2は正常に係合させられているものとして、前記油圧制御回路50に異常が発生していないものと判定する。
すなわち、前記油圧系統異常検出手段128は、例えば前記シフトレバー36がPレンジに位置させられておりパーキングロック状態が成立している場合における、前記車両8のハイブリッド駆動システムの立ち上げ制御に際して、前記変速機20において低速段Lを成立させられる状態であるか否かを判定する。すなわち、前記回転速度差算出手段126により算出される回転速度差ΔNMG2が予め定められた規定値未満である場合には、低速段判定フラグFLとして低速段正常判定フラグFLGを立てる一方で、前記回転速度差算出手段126により算出される回転速度差ΔNMG2が予め定められた規定値以上であり、前記油圧制御回路50において前記第2ブレーキB2に係る油圧系統に異常が検出された場合には、低速段判定フラグFLとして低速段異常判定フラグFLEを立てる。この油圧系統異常検出手段128によるフラグ制御は、好適には、前記油圧スイッチ異常検出手段124によるフラグ制御が実行された後に行われる。すなわち、前記油圧スイッチ異常検出手段124により低速段判定フラグFLとして低速段異常判定フラグFLEが立てられた場合であっても、前記油圧系統異常検出手段128により低速段判定フラグFLとして低速段正常判定フラグFLGが立てられた場合には、その油圧系統異常検出手段128により立てられたフラグが以下に詳述するフェールセーフ制御手段130によるフェールセーフ制御の基準として用いられる。
図8に示すフェールセーフ制御手段130は、前記異常検出手段122による検出結果に基づいてフェールセーフ制御を実行する。すなわち、前記油圧スイッチ異常検出手段124乃至油圧系統異常検出手段128により立てられた判定フラグFに基づいて異常判定をし、前記車両8の駆動に係るフェールセーフ制御を実行する。例えば、前記油圧スイッチ異常検出手段124乃至油圧系統異常検出手段128により立てられている低速段判定フラグFLを判定し、低速段判定フラグFLとして低速段異常判定フラグFLEが立てられている場合にはフェールセーフ制御として前記変速機20における低速段Lへの変速を禁止する指令を出力する一方で、低速段判定フラグFLとして低速段正常判定フラグFLGが立てられている場合には正常時の処理としてその自動変速機20における低速段Lへの変速を禁止する指令を出力しない。
また、上記フェールセーフ制御手段130は、前記異常検出手段122により立てられている高速段判定フラグFHを判定し、高速段判定フラグFHとして高速段異常判定フラグFHEが立てられている場合にはフェールセーフ制御として前記変速機20における高速段Hへの変速を禁止する指令を出力する一方で、高速段判定フラグFHとして高速段正常判定フラグFHGが立てられている場合には正常時の処理として前記変速機20における高速段Lへの変速を禁止する指令を出力しない。
ここで、前述のように、前記油圧系統異常検出手段128によるフラグ制御は、前記油圧スイッチ異常検出手段124によるフラグ制御が実行された後に行われ、前記油圧スイッチ異常検出手段124により立てられたフラグよりも前記油圧系統異常検出手段128により立てられたフラグが優先的に前記フェールセーフ制御手段130によるフェールセーフ制御の基準として用いられる。前記車両8のハイブリッド駆動システムの立ち上げ時等においては、前記油圧制御回路50の油圧系統に異常が発生していないにもかかわらず、前記油圧スイッチSW1、SW2、SW3等に一時的な異常が発生することが考えられる。そのような場合には、前記油圧スイッチ異常検出手段124により前記油圧スイッチSW1、SW2、SW3等における異常が検出されるが、本実施例においては、前記油圧系統異常検出手段128により前記油圧制御回路50の油圧系統に異常が発生していないことを検出し、その検出結果をフェールセーフ制御の基準として優先的に用いることで、不必要なフェールセーフモードでの起動を抑制でき、最適なドライバビリティを実現することができる。
図10は、前記電子制御装置22、34、44によるフェールセーフ制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記シフトレバー36がPレンジに位置させられておりパーキングロック状態が成立しているか否かが判断される。このS1の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、S1の判断が肯定される場合には、前記油圧スイッチ異常検出手段124の動作に対応するS2において、前記第1油圧スイッチSW1、第2油圧スイッチSW2、及び第3油圧スイッチSW3の作動状態を検出することにより、それら油圧スイッチSW1、SW2、SW3に異常が発生しているか否かが判断される。このS2の判断が否定される場合には、S6以下の処理が実行されるが、S2の判断が肯定される場合には、S3において、低油温時すなわち前記油温センサTSにより検出される前記変速機20の作動油の油温TOILが予め定められた閾値未満であるか否かが判断される。S3の判断が肯定される場合には、S7以下の処理が実行されるが、S3の判断が否定される場合には、S4以下の処理が実行される。
前記回転速度差算出手段126の動作に対応するS4においては、前記エンジン12の始動時において前記MG2レゾルバRE2により検出される前記MG2の実際の回転速度NMG2と、予め定められた前記MG2の目標回転速度iNMG2との回転速度差ΔNMG2(=NMG2−iNMG2)が算出され、その回転速度差ΔNMG2が予め定められた規定値以下であるか否かが判断される。このS4の判断が否定される場合には、S8以下の処理が実行されるが、S4の判断が肯定される場合には、S5において、クラッチ係合に係る油圧系統すなわち前記第2ブレーキB2の係合に係る油圧系統の正常が判定(検出)される。次に、S6において、システム正常時(非フェール時)における前記車両8のシステム起動が実行された後、本ルーチンの制御が終了させられる。
S7においては、前記エンジン12始動後にフィードバック制御を行った際に前記MG2レゾルバRE2により検出される前記MG2の実際の回転速度NMG2と、予め定められた前記MG2の目標回転速度iNMG2との回転速度差ΔNMG2(=NMG2−iNMG2)が算出され、その回転速度差ΔNMG2が予め定められた規定値以下であるか否かが判断される。このS7の判断が肯定される場合には、S5以下の処理が実行されるが、S7の判断が否定される場合には、S8において、クラッチ係合に係る油圧系統すなわち前記第2ブレーキB2の係合に係る油圧系統の異常が判定(検出)される。次に、S8において、フェールセーフモードでの前記車両8のシステム起動が実行された後、本ルーチンの制御が終了させられる。以上の制御において、S4、S5、S7、及びS8が前記油圧系統異常検出手段128の動作に、S6及びS9が前記フェールセーフ制御手段130の動作にそれぞれ対応する。
このように、本実施例によれば、前記エンジン12の始動時に発生する直達トルクに起因して回転させられる回転部材としての前記MG2の回転を、油圧式係合装置としての前記第2ブレーキB2の作動により抑止できるか否かを判定し、その判定結果に基づいて前記油圧制御回路50の異常の有無を判定するものであることから、油圧スイッチSW1、SW2、SW3からの信号によらず、前記第2ブレーキB2を作動させる油圧制御回路50の異常を好適に検出することができる。すなわち、油圧スイッチの一時的な異常発生時において油圧系統の異常有無を好適に判断する車両用異常検出制御装置を提供することができる。
また、前記車両8は、前記エンジン12の動力を第1電動機である第1モータジェネレータMG1及び前記駆動輪18へ分配する動力分配装置16と、油圧式係合装置である前記第1ブレーキB1乃至第2ブレーキB2の作動に基づいて前記駆動輪18へ動力を伝達するための前記回転部材及び第2電動機としての第2モータジェネレータMG2とを備えたハイブリッド車両であって、前記MG1による前記エンジン12の始動時に発生する直達トルクに起因する前記MG2の吹き上がりを、前記第2ブレーキB2の作動により抑止できるか否かを判定し、その判定結果に基づいて前記油圧制御回路50の異常の有無を判定するものであるため、実用的なハイブリッド車両に関して、前記第2ブレーキB2に動力伝達可能に連結された前記MG2によりエンジン直達トルクを保持できるか否かを監視することで、その第2ブレーキB2を作動させる油圧制御回路50の油圧系統の異常を好適に検出することができる。
続いて、本発明の他の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、実施例相互に共通する部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図11は、本発明が好適に適用される他のハイブリッド車両210を説明する図である。この図11に示すハイブリッド車両210は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用される横置き型自動変速機であって、走行用の動力源である前記エンジン12から出力される動力を前記左右の駆動輪18へ伝達する動力伝達装置である。すなわち、前記エンジン12の出力は、そのエンジン12の出力軸である前記クランク軸38、流体伝動装置としてのトルクコンバータ214、前後進切換装置216、自動変速機としてのベルト式無段変速機(CVT)218、減速歯車装置220、及び前記差動歯車装置19を介して前記左右1対の駆動輪18へ分配されるように構成されている。また、本実施例のハイブリッド車両210には、上記前後進切換装置216に備えられた油圧式係合装置の作動を制御したり、上記ベルト式無段変速機218の変速制御及びベルト挟圧力制御を行うための油圧(元圧)を発生させる油圧制御回路212が備えられている。なお、図11においては、この油圧制御回路212から各部への油圧の供給を破線矢印で示している。
また、上記ハイブリッド車両210は、前記エンジン12の出力軸であるクランク軸38に連結された電動機であるモータジェネレータMG(以下、MGという)を備えている。このMGは、駆動トルクを発生させる電動機(モータ)としての機能及び発電機(ジェネレータ)としての機能とを選択的に生じるように構成されており、インバータ222を介して図示しないバッテリやコンデンサ等の蓄電装置に接続されている。そして、マイクロコンピュータを主体とする電子制御装置224によってそのインバータ22が制御されることにより、上記MGの出力トルクあるいは回生トルクが調節或いは設定されるようになっている。
前記前後進切換装置216は、前進用クラッチCL及び後進用ブレーキBRと、ダブルピニオン型の遊星歯車装置216pとを、主体として構成されている。この前後進切換装置216に関して、前記トルクコンバータ214のタービン軸234がそのサンギヤ216sに一体的に連結されると共に、前記ベルト式無段変速機218の入力軸236がキャリア216cに一体的に連結されている。また、上記キャリア216cとサンギヤ216sは前進用クラッチCLを介して選択的に連結されると共に、上記リングギヤ216rは後進用ブレーキBRを介して非回転部材であるハウジングに選択的に固定されるようになっている。なお、上記前進用クラッチCL及び後進用ブレーキBRは、何れも油圧シリンダによって摩擦係合させられる油圧式係合装置である。
上述のように構成された前後進切換装置216において、上記油圧制御回路212から供給される油圧が制御されることにより上記前進用クラッチCLが係合させられると共に後進用ブレーキBRが解放されると、前記前後進切換装置216は一体回転状態とされることにより前記タービン軸234が入力軸236に直結され、前進用動力伝達経路が成立(達成)させられて、前進方向の駆動力が前記ベルト式無段変速機218側へ伝達される。また、上記油圧制御回路212から供給される油圧が制御されることにより上記後進用ブレーキBRが係合させられると共に前進用クラッチCLが解放されると、前記前後進切換装置216は後進用動力伝達経路が成立(達成)させられて、前記入力軸236はタービン軸234に対して逆方向へ回転させられるようになり、後進方向の駆動力が前記ベルト式無段変速機218側へ伝達される。また、上記前進用クラッチCL及び後進用ブレーキBRが共に解放されると、前記前後進切換装置216は動力伝達を遮断するニュートラル状態(動力伝達遮断状態)とされる。
前記ベルト式無段変速機218は、前記トルクコンバータ214及び前後進切換装置216を介して前記エンジン12に連結され、そのエンジン12の出力を無段階に変速できる車両用無段変速機すなわち自動変速機であって、その入力軸236に設けられた有効径が可変の入力側可変プーリ(プライマリシーブ)242と、出力軸244に設けられた有効径が可変の出力側可変プーリ(セカンダリシーブ)246と、それら可変プーリ242、246の間に巻き掛けられた伝動ベルト248とを、備えて構成されている。
上記可変プーリ242及び246は、前記入力軸236及び出力軸244にそれぞれ固定された固定回転体242a及び246aと、それら入力軸236及び出力軸244に対して軸まわりの相対回転不能且つ軸方向の移動可能に設けられた可動回転体242b及び246bと、それらの間のV溝幅を変更する推力を付与する油圧アクチュエータとしての入力側油圧シリンダ242c及び出力側油圧シリンダ246cとを、それぞれ備えて構成されている。斯かる可変プーリ242及び246においては、上記入力側油圧シリンダ242cへの作動油の供給排出流量が前記油圧制御回路212によって制御されることにより、上記可変プーリ242、246のV溝幅が変化して上記伝動ベルト248の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が連続的に変化させられる。また、上記出力側油圧シリンダ246cの油圧であるセカンダリ圧(以下、ベルト挟圧という)Poutが前記油圧制御回路212によって調圧制御されることにより、上記伝動ベルト248に滑りが生じないようにベルト挟圧力が制御される。
また、本実施例のハイブリッド車両210の運転席付近には、その車両210の駆動に係るシフトレンジを切り替えるための操作装置として、例えば前記車両210のシフトレンジをパーキングレンジ(P)と非パーキングレンジとの間で切り替える「Pスイッチ」、ニュートラルレンジ(N)を成立させる「Nスイッチ」、ドライブレンジ(D)すなわち前進走行状態を成立させる「Dスイッチ」、及びリバースレンジ(R)すなわち後進走行状態を成立させる「Rレンジ」等にそれぞれ対応する操作ボタンを備えたシフトスイッチ226が設けられている。このシフトスイッチ226が運転者等により操作されると、その操作に応じた指示信号が前記電子制御装置224へ入力される。
また、前記ハイブリッド車両210には、その車両210に係るシフトレンジを電気制御により切り替えるシフトバイワイヤ切換装置228が備えられている。このシフトバイワイヤ切換装置228は、例えば、上記シフトスイッチ226の操作に応じて前記電子制御装置224から出力される指令に従ってモータ等のアクチュエータ230によりディテント部材を所定の軸まわりに回動させ、そのディテント部材の回動に応じてパーキングレンジと非パーキングレンジとの間のシフト切替をはじめとする変速機のシフトレンジの切替動作を実行するものである。本実施例において、上記シフトバイワイヤ切換装置228により上記ディテント部材がパーキングレンジに対応する状態に回動させられた場合には、前記出力軸224の回転が抑止されるパーキングロック状態が成立させられるように構成されている。
前記電子制御装置224は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、前記エンジン12の出力制御、前記油圧制御回路212を介しての前記前後進切換装置216における油圧式係合装置の作動制御、及び前記ベルト式無段変速機218の変速制御及びベルト挟圧力制御等を実行するように構成されており、必要に応じて前記エンジン12の制御用と前記前後進切換装置216乃至前記ベルト式無段変速機218の制御用等に分けて構成される。
前記電子制御装置224には、車両の各部に設けられてその車両の状態を示す各種センサからの信号が入力されるようになっている。すなわち、前記エンジン回転速度センサNSにより検出されたクランク軸回転角度(位置)ACR(°)及び前記エンジン12の回転速度(エンジン回転速度)NEに対応するクランク軸回転速度を表す信号、タービン回転速度センサ254により検出された前記タービン軸234の回転速度(タービン回転速度)NTを表す信号、入力軸回転速度センサ256により検出された前記ベルト式無段変速機218の入力回転速度である前記入力軸236の回転速度(入力軸回転速度)NINを表す信号、車速センサ(出力軸回転速度センサ)258により検出された前記ベルト式無段変速機218の出力回転速度である前記出力軸244の回転速度(出力軸回転速度)NOUTすなわち出力軸回転速度NOUTに対応する車速Vを表す車速信号等が供給されるようになっている。
また、前記電子制御装置224からは、車両の各部における作動を制御するための信号が出力されるようになっている。すなわち、前記油圧制御回路212に対して、前記前後進切換装置216における後進用ブレーキBR及び前進用クラッチCLを選択的に係合させるための電磁制御弁を駆動するための指令信号、前記ベルト式無段変速機218の変速比γを変化させるための変速制御指令信号ST例えば前記入力側油圧シリンダ242cへの作動油の流量を制御する電磁制御弁を駆動するための指令信号、前記伝動ベルト248の挟圧力を調整させるための挟圧力制御指令信号SB例えばベルト挟圧Poutを調圧する電磁制御弁を駆動するための指令信号が前記油圧制御回路212へ出力されるようになっている。また、前記シフトスイッチ226の操作に応じて前記シフトバイワイヤ切換装置228の作動を制御するための信号が前記アクチュエータ230等へ出力されるようになっている。
以上のように構成された本実施例のハイブリッド車両210では、前述したハイブリッド車両8と同様に、前記電子制御装置224に異常検出手段122(油圧スイッチ異常検出手段124及び油圧系統異常検出手段128)、回転速度差算出手段126、及びフェールセーフ制御手段128等の制御機能が備えられる。
前記電子制御装置224に備えられた回転速度差算出手段126は、前記エンジン12の始動時に発生する直達トルクに起因して回転させられる回転部材として例えば前記タービン軸234の実際の回転速度と予め定められた目標回転速度との回転速度差を算出する。すなわち、前記タービン回転速度センサ254により検出される前記タービン軸234の実際の回転速度NTと、予め定められた前記タービン軸234の目標回転速度iNTとの回転速度差ΔNT(=NT−iNT)を算出する。ここで、前記タービン軸234の目標回転速度iNTとは、例えばパーキングロック状態での前記エンジン12の始動時における前記タービン軸234の回転速度の規定値(設定値)であり、好適にはiNT=0である。
前記電子制御装置224に備えられた油圧系統異常検出手段128は、前記シフトスイッチ226の操作に応じて前記シフトバイワイヤ切換装置228によりパーキングレンジ(Pレンジ)から非パーキングレンジ(Dレンジ乃至Rレンジ)への切り換えが行われる場合において、前記前後進切換装置216における油圧式係合装置の作動が正常であるか否かの判定を行う。すなわち、スタータとしての前記MGによる前記エンジン12の始動時に発生する直達トルクに起因して回転させられる前記タービン軸234の回転を、前記前進用クラッチCL乃至後進用ブレーキBRの作動により抑止できるか否かを判定し、その判定結果に基づいて前記油圧制御回路212における前進用クラッチCL乃至後進用ブレーキBRを作動させる油圧系統の異常の有無を判定する。
上記油圧系統異常検出手段128は、具体的には、前記回転速度差算出手段126により算出される回転速度差ΔNTが予め定められた規定値未満である場合には、前記油圧制御回路212における前進用クラッチCL乃至後進用ブレーキBRを作動させる油圧系統に異常がないことを検出する一方、前記回転速度差算出手段126により算出される回転速度差ΔNTが予め定められた規定値以上である場合には、前記油圧制御回路212における前進用クラッチCL乃至後進用ブレーキBRを作動させる油圧系統に異常が発生していることを検出する。前述のように、前記ハイブリッド車両210では、パーキング状態において前記シフトバイワイヤ切換装置228により前記出力軸244の回転が抑止されるパーキングロック状態が成立させられる。この状態において、前記前後進切換装置216において前進用クラッチCL乃至後進用ブレーキBRが正常に作動させられ、それらのうち何れかが十分な係合力をもって係合させられている場合には、前記エンジン12の始動時における直達トルクが前記トルクコンバータ214を介して伝達されたとしても前記タービン軸234の回転は抑止される。一方、前記前進用クラッチCL乃至後進用ブレーキBRに供給される油圧(係合圧)が不十分である場合には、前記タービン軸234の回転を抑止することができず、そのタービン軸234の回転速度が増加する。従って、回転部材としての前記タービン軸234の回転を前記前進用クラッチCL乃至後進用ブレーキBRの作動により抑止できるか否かを監視することで、前記前後進切換装置216において正常な切換状態すなわち前記前進用クラッチCLが係合させられると共に前記後進用ブレーキBRが解放された前進走行状態、乃至前記前進用クラッチCLが解放させられると共に前記後進用ブレーキBRが係合された後進走行状態の何れかが正常に成立させられているか否かを判定することができる。
このように、本実施例によれば、前記車両210は、前記エンジン12の出力軸38に連結された電動機としてのモータジェネレータMGと、油圧式係合装置としての前進用クラッチCL及び後進用ブレーキBRを有してその出力軸38に連結された前後進切換装置216と、その前後進切換装置216と直列に連結された自動変速機としてのベルト式無段変速機218とを、備えたハイブリッド車両であるため、実用的なハイブリッド車両210に関して、油圧式係合装置を作動させる油圧制御回路212の異常を好適に検出することができる。
また、前記車両210は、前記エンジン12と駆動輪18との間の動力伝達経路に前記ベルト式無段変速機218を備えたものであり、その車両210に係るシフトレンジを電気制御により切り替えるシフトバイワイヤ切換装置228を備えたものであるため、シフトバイワイヤ形式の自動変速機における非走行レンジから走行レンジへの切換に際して、例えば前後進切換装置216に含まれる油圧式係合装置を作動させる油圧制御回路212の異常を好適に検出することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例では、前記動力分配装置16及び自動変速機20を備えたハイブリッド車両8、及びベルト式無段変速機218を備えたハイブリッド車両210に本発明が適用された例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、前記エンジン12の出力を駆動輪18へ伝達するよく知られた多段式の自動変速機を備えた車両にも本発明は好適に適用される。
また、前述の実施例では、前記MG1及びMG2を備えたハイブリッド車両8、及び前記MGを備えたハイブリッド車両210に本発明が適用された例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電動機を備えない非ハイブリッド車両の駆動装置に本発明が適用されても構わない。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
8、210:ハイブリッド車両
12:エンジン
16:動力分配装置
18:駆動輪
38:クランク軸(出力軸)
50:油圧制御回路
212:油圧制御回路
216:前後進切換装置
218:ベルト式無段変速機(自動変速機)
228:シフトバイワイヤ切換装置
234:タービン軸(回転部材)
B1:第1ブレーキ(油圧式係合装置)
B2:第2ブレーキ(油圧式係合装置)
BR:後進用ブレーキ(油圧式係合装置)
CL:前進用クラッチ(油圧式係合装置)
MG:モータジェネレータ(電動機)
MG1:第1モータジェネレータ(第1電動機)
MG2:第2モータジェネレータ(第2電動機、回転部材)
12:エンジン
16:動力分配装置
18:駆動輪
38:クランク軸(出力軸)
50:油圧制御回路
212:油圧制御回路
216:前後進切換装置
218:ベルト式無段変速機(自動変速機)
228:シフトバイワイヤ切換装置
234:タービン軸(回転部材)
B1:第1ブレーキ(油圧式係合装置)
B2:第2ブレーキ(油圧式係合装置)
BR:後進用ブレーキ(油圧式係合装置)
CL:前進用クラッチ(油圧式係合装置)
MG:モータジェネレータ(電動機)
MG1:第1モータジェネレータ(第1電動機)
MG2:第2モータジェネレータ(第2電動機、回転部材)
Claims (4)
- 油圧式係合装置の作動に基づいてエンジンからの動力を駆動輪へ伝達する車両において、該油圧式係合装置を作動させる油圧制御回路の異常を検出する車両用異常検出制御装置であって、
前記エンジンの始動時に発生する直達トルクに起因して回転させられる回転部材の回転を、前記油圧式係合装置の作動により抑止できるか否かを判定し、該判定結果に基づいて前記油圧制御回路の異常の有無を判定するものであることを特徴とする車両用異常検出制御装置。 - 前記車両は、前記エンジンの動力を第1電動機及び前記駆動輪へ分配する動力分配装置と、前記油圧式係合装置の作動に基づいて前記駆動輪へ動力を伝達するための前記回転部材としての第2電動機とを備えたハイブリッド車両であって、
前記第1電動機による前記エンジンの始動時に発生する直達トルクに起因する前記第2電動機の吹き上がりを、前記油圧式係合装置の作動により抑止できるか否かを判定し、該判定結果に基づいて前記油圧制御回路の異常の有無を判定するものである請求項1に記載の車両用異常検出制御装置。 - 前記車両は、前記エンジンの出力軸に連結された電動機と、前記油圧式係合装置を有して該出力軸に連結された前後進切換装置と、該前後進切換装置と直列に連結された自動変速機とを、備えたハイブリッド車両である請求項1に記載の車両用異常検出制御装置。
- 前記車両は、前記エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路に自動変速機を備えたものであり、該車両に係るシフトレンジを電気制御により切り替えるシフトバイワイヤ切換装置を備えたものである請求項1から3の何れか1項に記載の車両用異常検出制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010109179A JP2011236977A (ja) | 2010-05-11 | 2010-05-11 | 車両の異常検出制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010109179A JP2011236977A (ja) | 2010-05-11 | 2010-05-11 | 車両の異常検出制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011236977A true JP2011236977A (ja) | 2011-11-24 |
Family
ID=45325184
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010109179A Pending JP2011236977A (ja) | 2010-05-11 | 2010-05-11 | 車両の異常検出制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011236977A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6015770B2 (ja) * | 2012-11-30 | 2016-10-26 | トヨタ自動車株式会社 | ハイブリッド車両用駆動装置 |
CN113453972A (zh) * | 2019-02-18 | 2021-09-28 | 克诺尔转向系统日本有限公司 | 转向装置 |
-
2010
- 2010-05-11 JP JP2010109179A patent/JP2011236977A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6015770B2 (ja) * | 2012-11-30 | 2016-10-26 | トヨタ自動車株式会社 | ハイブリッド車両用駆動装置 |
JPWO2014083705A1 (ja) * | 2012-11-30 | 2017-01-05 | トヨタ自動車株式会社 | ハイブリッド車両用駆動装置 |
CN113453972A (zh) * | 2019-02-18 | 2021-09-28 | 克诺尔转向系统日本有限公司 | 转向装置 |
CN113453972B (zh) * | 2019-02-18 | 2023-12-22 | 克诺尔转向系统日本有限公司 | 转向装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4341631B2 (ja) | 車両の異常判定装置 | |
JP4412346B2 (ja) | ハイブリッド車両の駆動制御装置 | |
JP4618146B2 (ja) | 車両用自動変速機の制御装置 | |
JP4506655B2 (ja) | 車両用自動変速機の油圧制御装置 | |
JP4678417B2 (ja) | 油圧制御装置 | |
JP5605504B2 (ja) | 車両用駆動装置の制御装置 | |
JP2007205371A (ja) | 自動変速機の制御装置 | |
JP4736826B2 (ja) | 自動変速機の変速制御装置 | |
JPWO2012077170A1 (ja) | 車両用自動変速機の制御装置 | |
JP4375341B2 (ja) | 車両用油圧制御装置 | |
WO2019239885A1 (ja) | 自動変速機の制御装置 | |
JP2011236977A (ja) | 車両の異常検出制御装置 | |
JP5195784B2 (ja) | 車両用自動変速機の制御装置 | |
JP4831187B2 (ja) | 自動変速機の異常検出装置 | |
JP6237878B2 (ja) | 車両用駆動装置の制御装置 | |
WO2017043340A1 (ja) | 自動変速機及び自動変速機の故障判断方法 | |
JP5494827B2 (ja) | 車両用自動変速機の制御装置 | |
JP2003166638A (ja) | 車両用動力伝達装置の制御装置 | |
JP6720835B2 (ja) | ハイブリッド車両の制御装置 | |
JP4797927B2 (ja) | 自動変速機の変速制御装置 | |
JP4225323B2 (ja) | 車両用無段変速機の変速制御装置 | |
JP2023184375A (ja) | 車両用動力伝達装置 | |
CN117249245A (zh) | 车辆用动力传递装置 | |
JP2007177962A (ja) | 自動変速機の制御装置 | |
JPH05240341A (ja) | 車両用自動変速機の油圧制御装置 |