JP6511788B2 - 表皮材付発泡成形体及びその製造方法 - Google Patents

表皮材付発泡成形体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高度な表面模様の確保を要求される軽量な表皮材付発泡成形体及びその製造方法に関する。
従来、車両用内装材などとして高級感を維持し軽量かつ安価な内装部品が要求されている。
内装部品は、デザイン性を重視することから、形状の自在性と意匠性及び触感を同時に有し、且つ内装部品としての必要な物性を充足することが要求される。
一般的に例えば自動車などの車両用内装材の場合は、インストルメントパネルやドアトリムなどの部品として特有のデザイン形状を有しながら、意匠面においては、乗員の多くが、同部品を介して内装としての高級感や安らぎを感じられることが要求され、更には肌の温もりの如き感触的な軟らかさと温かさを要求されるなど、高度な意匠性が要求されている。
このような車両用内装材として、発泡成形体の表面に、パウダースラッシュ成形した熱可塑性ポリウレタン(TPU)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、またはポリ塩化ビニル(PVC)系の表皮材が積層された表皮材付発泡成形体が提案されている。
一方、自動車内装部品としての要求性能には、耐熱性があり、耐熱性を満足する素材としてポリプロピレン系樹脂粒子を型内成形してなる発泡成形体が用いられている。
パウダースラッシュ成形(以下、「スラッシュ成形」ということがある。)による表皮材(以下、「スラッシュ成形表皮材」ということがある。)と、ポリプロピレン系樹脂粒子発泡成形体とを複合一体化させる方法として、例えば、ポリプロピレン系樹脂粒子などを型内成形して発泡成形体を生産するための金型内にスラッシュ成形表皮材を配置し、スチーム加熱によって、ポリプロピレン系樹脂粒子を加熱融着させると同時に表皮材と発泡成形体とを接着する手法が知られている。
しかしながら、上記手法で製造された表皮材付発泡成形体は、スチーム加熱時にスチームによる圧力によって表皮材の表面加飾が喪失してしまい、意匠性が不十分となりやすく用途が制限されてきた。
この問題を解決する方法として、特許文献1には、表皮層と特定のポリプロピレン系樹脂架橋発泡シートからなるクッション層との積層体からなる表皮材を、その表皮層が金型A側を向くよう配置し、金型Aに型合わせした金型Bとの間に形成されるキャビティ内にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を充填した後、キャビティ内にスチームを供給して得られる表皮材付発泡成形体の製造方法が提案されている。
また、特許文献2には、熱可塑性樹脂からなる外側皮膜と、該外側皮膜の内面に溶着した発泡ビーズの層とよりなる表皮、及びその製造方法として、加熱したスラッシュ成形型の型面に熱可塑性樹脂パウダーを付着溶融させて当該型面に樹脂皮膜を形成する樹脂皮膜形成工程と、該樹脂皮膜の内面に発泡ビーズを層状に溶着させる発泡ビーズ溶着工程と、該樹脂皮膜及び発泡ビーズを冷却することにより、該樹脂皮膜が冷却してなる外側皮膜と該発泡ビーズの層が一体化した表皮を形成する冷却工程と、前記表皮の脱型工程とを、備える表皮の製造方法が提案されている。
この特許文献2に記載の表皮の製造方法は、樹脂皮膜の内面に発泡ビーズを層状に溶着させる発泡ビーズ溶着工程を有している。該工程は、スラッシュ成形型に形成された樹脂皮膜を成形型内に配置したまま、発泡ビーズが収容された収納容器(バケット)と組み合わせて型締めして回転することで行われる。
そして、引用文献2に記載の発明において当該樹脂皮膜(表皮)を表面に配した表皮付ビーズ発泡成形品を得るには、得られた表皮を発泡ビーズ層が内向きとなるようにして成形型の型面に配置し、該成形型を閉じ、次いで、発泡ビーズを成形型内の表皮裏側(内側)に充填し、加熱してビーズ発泡成形品と表皮が一体化した表皮付き発泡成形品を得るものである。
特許文献1及び特許文献2のいずれの発明においても、表皮材付発泡成形体の製造段階では、表皮材を発泡成形体製造用金型の内面にセットした状態で発泡粒子を充填し、発泡粒子をスチームで加熱して発泡融着させることにより、表皮材付発泡成形体を得ている。
特開平10−138350号公報 特開2000−15654号公報
しかしながら、特許文献1に記載の表皮材付発泡成形体の製造方法においては、表皮材が、表皮層と架橋発泡シートからなるクッション材層とをホットメルト接着剤で熱接着する工程を要するし、またクッション材層を有していても、当該表皮材を発泡成形体用金型の内面にセットした状態で、発泡粒子を充填してスチームにより加熱して型内成形する工程において、そのスチーム圧力(成形圧)による表皮材の表面加飾への影響を十分に回避することはできていない。
また、特許文献2に記載の発明においても、表皮を得るため、外側被膜の成形、及び降温後の発泡ビーズ層の形成と、2回のスラッシュパウダー成形型を用いての成形が必要であること、得られた表皮を発泡成形体と一体化するため、表皮を発泡成形の成形型面に配置して発泡ビーズを充填し、スチーム加熱により型内成形して表皮が一体化した表皮(材)付発泡成形品とするので、スチーム圧(成形圧)による表皮の表面加飾への影響を十分に回避することはできていない。
そこで、本発明者らは、高度な意匠性表面が得られるパウダースラッシュ成形による成形体を表皮材として、表面の意匠性が損なわれることのない表皮材付発泡成形体を得ることを目的として鋭意検討した結果、スラッシュ成形により形成された表皮材の内面に、予め成形した樹脂発泡成形体を挿入し、熱融着することによって達成できることを知得して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔3〕に記載の発明を提供する。
〔1〕熱可塑性樹脂からなる表皮材と熱可塑性樹脂発泡成形体とが接着一体化した表皮材付発泡成形体の製造方法であって、
該製造方法は、以下の(1)〜(5)の工程を含むことを特徴とする表皮材付発泡成形体の製造方法。
(1)所望とする表皮材の意匠の型面を有する加熱された成形型を用いて、可塑性樹脂パウダーをパウダースラッシュ成形して、該成形型の型面に所要厚みの表皮材を形成する表皮材形成工程、
(2)前記形成工程後、次工程の発泡成形体との接着に適する温度迄、該表皮材の裏面側の温度を降温する降温工程、
(3)前記降温工程後、成形型内で、該表皮材の裏面に、該表皮材の裏面に対応する形状に予め成形された熱可塑性樹脂発泡成形体を押圧して、該表皮材の裏面と該発泡成形体の外表面を接着させて表皮材付発泡成形体を形成する一体化工程、
(4)次いで、一体化された表皮材付発泡成形体を冷却する冷却工程、及び
(5)前記冷却工程後、成形型から表皮材付発泡成形体を離型する離型工程。
〔2〕熱可塑性樹脂からなるパウダースラッシュ成形表皮材と熱可塑性樹脂発泡成形体とが接着一体化した表皮材付発泡成形体であって、加熱された成形型を用いて熱可塑性樹脂パウダーをパウダースラッシュ成形することにより形成された表皮材と、該表皮材の裏面に対応する形状に予め成形された熱可塑性樹脂発泡成形体とが、該成形型内において、該表皮材裏面と該発泡成形体の外表面とが接着可能な温度条件下で、該表皮材の裏面に該発泡成形体を押圧することにより接着されてなる、表皮材付発泡成形体。
〔3〕熱可塑性樹脂からなるパウダースラッシュ成形表皮材と熱可塑性樹脂発泡成形体とが接着一体化した表皮材付発泡成形体であって、前記表皮材と前記熱可塑性樹脂発泡成形体とを剥離した際に、熱可塑性樹脂発泡成形体の材料破壊率が20%以上であり、かつ、剥離された表皮材の裏面には、完全に溶融していない熱可塑性樹脂パウダーが10個/cm以上残留している、表皮材付発泡成形体。
本発明の表皮材付発泡成形体は、パウダースラッシュ成形により得られた表皮材の表面の意匠性を損なうことがないように発泡成形体と一体化されているので、表皮材の高度な意匠性を有する表皮材付発泡成形体を提供できる。
また、本発明の表皮材付発泡成形体の製造方法によれば、従来の製造方法と比較して、少ない工程数や、装置でパウダースラッシュ成形により得られた表皮材と発泡成形体とを一体化でき、表皮材付発泡成形体を経済的に製造できる有効な製造方法を提供できる。
本発明の表皮材付発泡成形体の一実施例に係る層構成の模式断面拡大図である。 本発明の表皮材付発泡成形体の製造方法による製造工程の説明図である。(a)パウダースラッシュ成形型の加熱工程、(b)成形型と熱可塑性樹脂パウダー収納容器との型締め工程、(c)型締めされた成形型及び収納容器を所定回数正逆回転させながら成形型の型面に溶融した熱可塑性樹脂パウダーによる被膜(表皮材)を形成する工程、(d)型締めされた成形型等の回転を停止し、型締めを解除する前の状態、(e)成形型と熱可塑性樹脂パウダー収納容器を分離し、成形型等を降温した後、成形型内面に形成された表皮材の裏面内周部に予め成形された発泡成形体を押圧して挿入し、表皮材と接着一体化する工程、(f)選択的(オプション)な手法として、発泡成形体が薄肉状である等のために、その側壁が倒れて変形する等の弊害を防止するため発泡成形体の内壁側に入れ子を挿入する工程、(g)表皮材と一体化された表皮材付発泡成形体を成形型ごと冷却する工程、(h)成形型より表皮材付発泡成形体を離型する工程、及び(i)表皮材付発泡成形体の乾燥、養生工程の状況を示す説明図である。 パウダースラッシュ成形型に形成された表皮材(スラッシュシート)及びこれに接着された発泡成形体の状態を模式的に示す説明図である。
本発明の表皮材付発泡成形体の製造方法は、(1)パウダースラッシュ成形による表皮材形成工程、(2)スラッシュ成形型及び表皮材の降温工程、(3)表皮材と発泡成形体との一体化工程、(4)冷却工程、及び(5)離型工程を含むことを特徴としている。
まず、本発明の表皮材付発泡成形体の製造方法で得られる表皮材付発泡成形体について説明する。
本発明の表皮材付発泡成形体は、加熱された成形型を用いて熱可塑性樹脂パウダーをパウダースラッシュ成形することにより形成された表皮材と、該表皮材の裏面内周に対応する形状に予め成形された熱可塑性樹脂発泡成形体とが、該成形型内において、該表皮材裏面と該発泡成形体の外表面とが接着可能な温度条件下で、該表皮材の裏面に該発泡成形体を押圧することにより接着されてなることを特徴としている。
図1は、本発明の表皮材付発泡成形体の一実施例に係る層構成の模式断面拡大図であり、表皮材1の表面層1aは、図3に拡大説明図を示すように、パウダースラッシュ成形型(以下、「スラッシュ成形型」と称する。)としてニッケル電鋳型を用いた場合には、パウダースラッシュ成形(以下、「スラッシュ成形」という場合がある。)法の特徴である型面22が忠実に転写されて微細な凹凸模様を発現させることができる。
なぜなら、電鋳金型は、天然皮革(レザー)シボ模様などの微細な凹凸を有するマスターモデル(原型)の表面へ電気分解された金属イオンを必要な厚さに電着させ、これを剥離して、マスターモデルと全く反対面の形状を作るための金型で、極めて再現精度の高い金型であることによるものである。また、引張強さ、耐力、伸び、硬度などの機械的特性に優れることから、ニッケル電鋳によるスラッシュ成形型を用いることが特に好ましい。
本発明の表皮材付発泡成形体は、表皮材と発泡成形体とを剥離した際に、剥離面における発泡成形体の材料破壊率が20%以上であり、かつ、剥離された表皮材の裏面には、完全に溶融していない熱可塑性樹脂パウダー(以下、未溶融状パウダーともいう)が10個/cm以上残留しているものとすることが好ましい。
表皮材と発泡成形体との接着度合いの指標としての材料破壊率は、20%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上であり、更に好ましくは60%以上である。
材料破壊率とは、表皮材を引き剥がした際に、表皮材と発泡成形体とが接触していた部位において、発泡成形体の材料破壊により表皮材側に残った発泡成形体の部分の面積比率を意味する。
ここにおいて、発泡成形体が発泡粒子成形体の場合、発泡粒子間の剥離又は発泡粒子の材料破壊の両者を含めて「材料破壊」という。
また、表皮材と発泡成形体とを剥離した際に、剥離された表皮材の裏面には、10個/cm以上、更に好ましくは、50個/cm以上、100個/cm以上の熱可塑性樹脂の未溶融状パウダーが残留していることが特に好ましい。剥離された表皮材の裏面に10個/cm以上の未溶融状パウダーが残留していれば、表皮材と発泡成形体との接着度合いが実用できる範囲と判断できるので好ましい。
なお、未溶融状パウダーとは、パウダーが完全に溶融して皮膜化しておらず、隣接するパウダーどうしがその一部で融着しており、パウダー間に空隙が残っている、例えば、おこし状のようなものをいう。
一般的なスラッシュ成形においては、TPUやTPO、ポリオレフィン系樹脂(PO)などの熱可塑性樹脂パウダーをスラッシュ成形して、金型表面形状の転写性に優れる表皮材を得るために、通常、成形型の温度は200℃以上に設定される。
一方、一般的な発泡成形体の基材樹脂である、ポリスチレンやポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂は、その融点やビカット軟化点が80℃から160℃程度であり、200℃の溶融樹脂に接触した場合は、成形体が溶融または変形する。
スラッシュ成形表皮材の成形においては、伝熱や放射などによって溶融する樹脂パウダーの厚み範囲は限定的であり、成形型に接触している表皮材表面から表皮材裏面までの間に温度勾配が発生しており、被膜化された層の裏面側には完全に溶融されずにパウダー形状を残した状態となっている。
この樹脂パウダーが残存する面を押圧すると被膜化された層が有する熱と押圧による圧縮力の作用で最終的には樹脂パウダーが溶融する。
この押圧を、樹脂発泡成形体の表面で行なえば、その熱的な変化の作用が樹脂発泡成形体にも及ぶこととなり、接着に至るに足りる温度を確保することが可能となる。
一般的なスラッシュ成形表皮材では、意匠面(表皮材表面層)の反対側にあたる裏面側でパウダー状物が残留するのは好ましいとされていないため、スラッシュ成形表皮材として流通する場合には、パウダーの痕跡が消えるように再加熱してパウダーを溶融させるなどの処置を施して製品化される(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、機能上はパウダーが残っていても問題はなく、特に本発明では、樹脂発泡成形体でバックアップするのでなおさら問題はない。
本発明において、一体化工程において、樹脂発泡成形体の表面を過剰に溶解させない手段としては、パウダー状態で残すパウダーの量で制御が可能であり、表皮材裏面の表面温度の管理によって達成することができる。温度が高すぎる場合は、冷気に接触させるなどして成形型および表皮材裏面側の表面温度を下げればよい。
一般的に表皮材裏面と発泡成形体を熱融着するのに表面温度が不足することはないが、そのような状態となった場合には成形型を再加熱すればよい。
スラッシュ成形型内において、表皮材裏面と発泡成形体の外表面とを溶融接着させるため押圧しつつ挿入する際の、表皮材裏面の表面温度は、発泡成形体を構成する熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合、発泡成形体の融点及び融解熱量により若干の調整が必要であるが、概ね該融点±20℃の範囲で調整するのが好ましい。
表皮材裏面の表面温度が低下し過ぎて、再加熱し、その後に表面温度を下げた場合でも、表面の温度を発泡成形体の融点±20℃に調整すれば目的の表皮材付発泡成形体を得ることは可能であるが、再加熱の工程を取る分だけエネルギーと工数を必要とするので、好ましくない。
また、本発明の表皮材付発泡成形体は、表皮材の裏面と発泡成形体の外表面との界面に、熱融着性接着剤を介在させて、表皮材と発泡成形体との接着を向上させることができる。熱融着性接着剤を介在させる選択は、表皮材と発泡成形体の基材樹脂の親和性がない場合に選択され、表皮材、基材樹脂の双方に熱融着可能な熱溶融性(ホットメルト)接着剤を好適に使用できる。
ホットメルト接着剤を具体的に介在させる方法としては、予め発泡成形体の外周面にホットメルト接着剤層を形成しておくことが、そのまま、表皮材裏面側に押圧できるので、接着(融着)力の均一性の観点からも好ましい。
一般にホットメルト接着剤はフィルム状のものであるが、対象物への形状変形性に富むことから、ネット状のものであってもよい。
この種のホットメルト接着剤として、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)等のスチレン系エラストマーからなるネット状接着剤が伸縮自在であるなどの観点から好ましく、表被材としてポリウレタン系エラストマー(TPU)と、発泡成形体としてポリプロピレン系樹脂基材による発泡粒子成形体を用いる場合など、両者に熱融着性がない場合に、特に好ましく使用できる。
〔表皮材〕
本発明の表皮材付発泡成形体を構成する表皮材は、熱可塑性樹脂パウダーによって上記のスラッシュ成形により形成される。
熱可塑性樹脂パウダーは、微小に細粉化された熱可塑性樹脂粒子であり、メルトフローレイト(MFR)が10〜500g/10分(230℃、荷重2.16kg)であることが好ましい。MFRが、10g/10分以上であれば、スラッシュ成形により表皮材として必要な厚みの被膜(スラッシュシート)が形成可能であり、500g/10分以下であれば、パウダー樹脂が溶けすぎて、表皮材の厚みが厚くなり過ぎたり、均一な厚みの表皮材が形成できない等の問題もない。
結晶性熱可塑性樹脂パウダーを管理する上での指標のひとつとして結晶が融解する温度(融点)を採用している。融点の温度範囲としては、100℃〜180℃の範囲が好ましい。融点は、JIS K7121(1987)に基づき測定される融点ピーク温度を意味する。
非晶性熱可塑性樹脂パウダーを管理する上での指標のひとつとしてビカット軟化点を採用している。ビカット軟化点の温度範囲としては、80℃〜150℃の範囲が好ましい。ビカット軟化点は、JIS K7206(1999)のA50に基づき測定される値である。
この温度範囲であれば、スラッシュ成形型を必要温度に均一に加熱することが容易であり、スラッシュ成形もし易いので好ましい。
また、熱可塑性樹脂パウダー(粒子)の50%体積平均粒径は、取り扱い性及び被膜(スラッシュシート)形成性の観点から、1000μm以下が好ましく、500μm以下がさらに好ましい。平均粒径の下限は、成形型との接触(衝突)速度等の観点から概ね5μmである。
本発明の表皮材付発泡成形体の表皮材を形成する、熱可塑性樹脂パウダーの樹脂(パウダースラッシュコンパウンド)としては、従来スラッシュ成形に使用されているものが使用でき、例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマー系樹脂(TPU)、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂(TPO)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等をパウダースラッシュコンパウンドとして調製されたもののうちから選択される1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。また、熱可塑性樹脂パウダー原料は、発泡倍率5倍までの範囲で発泡していても構わない。これらの樹脂のうち、TPU、TPOが、後述する発泡成形体との組合せで好適な表皮材付発泡成形体を得ることができることから好ましい。
〔発泡成形体〕
本発明の表皮材付発泡成形体を構成する発泡成形体は、表皮材で形成される表皮材裏面の形状への追従性の確保ができれば、押出発泡シートを真空、圧空成形した成形体であってもよいが、発泡粒子(ビーズ)を型内成形した発泡粒子成形体であれば、形状の付与が容易であることからより好ましい。
また、発泡成形体の材質は、ポリ乳酸系樹脂(PLA)、ポリプロピレン系樹脂(PP)、ポリエチレン系樹脂(PE)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)、ポリカーボネート系樹脂(PC)等のうち1または2以上の組み合わせからなり、発泡倍率は5倍から100倍であり、架橋であっても無架橋であっても良い。無架橋の場合は、DSCによる基材樹脂の融点もしくはガラス転移温度が110℃以上であることが好ましい。
本発明における発泡成形体の材質は、成形体として剛性が求められる場合には、基材樹脂として剛性に優れるポリプロピレン系樹脂やポリ乳酸系樹脂が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、ポリブテン、ポリペンテン、プロピレン−エチレン−ブテンランダム三元共重合体、プロピレン−アクリル酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合、プロピレン−ブテンランダム共重合、プロピレン−エチレン−ブテンランダム三元共重合体が好ましい。
また、前記のポリ乳酸(PLA)としては、耐熱性を考慮するとL体もしくはD体の単独重合体である、または少量の異性体を共重合成分として含む高結晶性のPLAが好ましく、発泡粒子どうしの融着性を考慮すると、比較的多量の異性体を共重合成分として含む低結晶性のPLA、非晶性の(結晶化しない)PLAが好ましく、または高結晶性PLAと低結晶性PLAもしくは非晶性PLAとの混合物を好ましく用いることもできる。
さらに、PLA系の発泡粒子としては、高結晶性PLAから形成された発泡層と、該発泡層を被覆する、低結晶性PLA、非晶性PLAまたは上記混合物から形成された被覆層とを有する多層発泡粒子を用いることが好ましい。上記のような多層構造のポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、例えば、特開2012−025869号公報に記載の方法により調製することができる。
〔表皮材付発泡成形体の製造方法〕
本発明の表皮材付発泡成形体の製造方法は、以下の(1)〜(5)の工程を含むことを特徴としている。
(1)表皮材形成工程
所望とする表皮材の意匠の型面を有する加熱された成形型を用いて、可塑性樹脂パウダーをパウダースラッシュ成形して、該成形型の型面に所要厚みの表皮材を形成する。
本発明の表皮材付発泡成形体の製造方法には、公知のスラッシュ成形方法が適用でき、より具体的には、例えば、表皮材の意匠の型面を有する加熱された成形型と、熱可塑性樹脂パウダー収納容器とを上下に相対させて型締めした後、回転装置に固定して、該パウダースラッシュ成形型と該熱可塑性樹脂パウダー収納容器が交互に上下位置関係となるように所定回数、所定時間回転して、該成形型の型面に所要厚みの表皮材を形成することができる。
スラッシュ成形型は、所望とするシボ模様等が表皮材表面に転写できる型面を有するものを使用すればよい。既に述べたように高度な意匠性が要求される場合には、ニッケル電鋳金型で構成することが好ましい。スラッシュ成形型21を加熱するには、図2(a)に示すようにオーブン等の加熱装置40中で、型温が所定の表面温度になるまで加熱昇温してもよいし、スラッシュ成形型の外面に熱媒体の配管を廻らしたり、電気ヒーターを設置するなどして温度制御可能とすることによって、精度よく型温を制御することができる。
スラッシュ成形型の表面温度は、用いるパウダースラッシュコンパウンドの融点またはビカット軟化点に基づいて決定され、概ね結晶性パウダースラッシュコンパウンドの融点の+100℃〜120℃の範囲であることが好ましく、また、概ね非晶性パウダースラッシュコンパウンドのビカット軟化点の+120℃〜150℃の範囲であることが好ましい。
本発明の表皮材付発泡成形体の製造方法に用いられる熱可塑性樹脂パウダー収納容器31は、図2(b)に示すようにスラッシュ成形型21に対応できる開口面積と、所要のパウダースラッシュコンパウンドを収容できる容積を有し、スラッシュ成形型21と上下に相対してボルト24等で型締め(密閉)できる構造を有していれば、その他は特に限定されない。
スラッシュ成形型21及びパウダー収納容器31は、一般的にそれぞれ枠(フレーム)20、30に固定されている。
また、スラッシュ成形における回転数、回転時間は、スラッシュ成形型の型温度と、パウダーの融点、得ようとする表皮材の厚さによって適宜決定される。
スラッシュ成形における回転方向は、均一な厚みの表皮材を得る観点から、正転、逆転交互とすることが好ましい。また、回転軸は、水平軸が一般的であるが、垂直軸であってもよい。
(2)降温工程
前記成形工程後、次工程の発泡成形体との接着に適する温度迄、該表皮材の裏面側の温度を降温する。
より具体的には、例えば、図2(d)に示すようにスラッシュ成形装置の回転をスラッシュ成形型21が上部の状態で停止後、スラッシュ成形型の型締めを解除して、熱可塑性樹脂パウダー収納容器31を分離させ、スラッシュ成形型21の表皮材形成部を開口して、次工程の発泡成形体との融着に適する温度迄、該成形型の温度を降温する工程を要する。降温は、自然放冷でも、冷却槽を用いて行ってもよい。
発泡成形体との融着に適する温度としては、前述の発泡成形体の外表面部分を構成する樹脂が結晶性樹脂の場合、その融点±20℃が好適であり、非晶性樹脂の場合、そのガラス転移温度±20℃が好適である。
(3)一体化工程
前記降温工程後、成形型内で、該表皮材の裏面に、該表皮材の裏面に対応する形状に予め成形された熱可塑性樹脂発泡成形体を押圧して、該表皮材の裏面と該発泡成形体の外表面を接着させて表皮材付発泡成形体を形成する。
より具体的には、例えば、図2(e)に示す如く表皮材1が成形された状態の該表皮材1の裏面に、該表皮材の裏面に対応する形状に予め成形された発泡成形体2を押圧して、該表皮材1の裏面と該発泡成形体2の外表面を融着せしめて接着一体化することで表皮材付発泡成形体を形成する。
(4)冷却工程、(5)離型工程
前記(3)の一体化工程に次いで、一体化された表皮材付発泡成形体を冷却し、冷却後、成形型から表皮材付発泡成形体を離型する。
より具体的には、例えば、スラッシュ成形型及び融着一体化された成形体を所定温度まで冷却した後、スラッシュ成形型から表皮材付発泡成形体を離型する。なお、図2(g)は、後述する入れ子を用いた場合を示している。
冷却は、冷却効率がよく短時間で降温できることから、水を冷媒として使用し、散水(シャワー)することによって行うのが効率的である。風冷を併用してもよい。
冷却降温した後、スラッシュ成形型からの表皮材付発泡成形体を離型するが、離型は、一方の側から順次、スラッシュ成形型と成形体の隙間に、エアーノズルでエアーを噴きつけながら、丁寧に剥離すればよい。
離形した表皮材付発泡成形体は、散水冷却により付着した水分を脱水するなどして除去し、さらに、図2(i)に示すように乾燥、養生装置42に静置して処理する工程に付される。乾燥及び養生は、お互いに兼ねる温度で、例えば30℃〜50℃で6〜20時間程度行うとよい。
さらに、乾燥後の表皮材付発泡成形体から、表皮材の余分な部分をトリミングするなどして、最終形状の表皮材付発泡成形体を得る。
本発明の表皮材付発泡成形体の製造方法においては、発泡成形体が内周に凹部を有する容器状や、帽子状などで、内部に空間を有する場合、前記(3)一体化工程、すなわち、表皮材の裏面と該発泡成形体の外表面を接着させて一体化し表皮材付発泡成形体を形成する工程において、該表皮材付発泡成形体の内壁側に、該成形体の内周形状に対応する形状の入れ子を挿入して、前記(4)の冷却工程に供する製造方法とすることができる。図2(g)は冷却に際して、入れ子3を挿入して散水している状況を説明している。
入れ子3を挿入するのは、表皮材付発泡成形体が、発泡成形体の側壁等が内側に倒れるなどして、表皮材裏面との接着が損なわれたり、成形体の形状そのものが変形したりすることを防止するために、オプションとして採用するものである。
入れ子としては、発泡成形体の内周面にフィットし、(3)一体化工程における温度及び、少なくとも離型工程、さらには、乾燥、養生時迄熱膨張や熱収縮などの寸法変化のない材質から選択される。
このような観点から、発泡成形体と同一の又は近似した材質の発泡粒子成形体が好ましく用いられる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。実施例、比較例における測定項目の測定方法、評価項目の評価方法については後述する。
実施例1
スラッシュ成形型は、外形寸法が400×300×100mmの箱型表皮材が成形できる、牛革シボを転写した雌型状のニッケル電鋳型を用いた。
先ず、発泡成形体として、ポリ乳酸樹脂(PLA)発泡粒子(JSP社製、LACTIF、かさ密度84kg/m、平均粒子径4mm)による箱型形状の型内成形体を準備した。発泡成形体は上記ニッケル型からなるスラッシュ成形された表皮材の内周面に挿入されるため、上記外寸から表皮厚みを減じた寸法である、396×296×100mmの外寸で肉厚10mmの箱型形状に成形した。発泡成形体の見掛け密度は84kg/m、発泡成形体の融着率(破断させた際に、材料破壊した発泡粒子の数/破断面に存在する全発泡粒子数)は80%以上であった。
440℃に昇温した熱風循環型オーブンに、上記のニッケル電鋳型が装着されたスラッシュ成形型を静置し、成形型の表面温度が240℃になるまで加熱した。
TPUパウダーコンパウンド〔三洋化成社製、メルテックスLC、ビカット軟化点:100℃、50%体積平均粒径:150μm〕を装填したパウダー収納容器をスラッシュ成形装置に装着し、輪転機で60回/分の回転速度で、正転方向に3回転の後、逆転方向に3回転させてスラッシュ成形し、平均厚みが2mmの表皮材を形成した。
成形後の、成形型(金型)にTPUパウダーから成形された表皮材を残した状態で、スラッシュ成形装置に型締めされていたパウダー収納容器を分離した。
次いで、スラッシュ成形型面側に成形された表皮材層の意匠面(金型面)の裏面に、既に準備した前述のPLA樹脂による発泡成形体を挿入して一体成形するための温度調整を行った。すなわち、接着前の表皮材裏面の温度が発泡成形体を挿入して表皮材と接着させるための適正温度になるまで待機した。ポリ乳酸系樹脂発泡粒子成形体が表皮材裏面と融着可能な挿入適正温度は140℃〜170℃であるので、表皮材裏面側の温度が145℃になるまで、スラッシュ成形型及び形成されている表皮材を放冷し、待機した。なお、表皮材裏面側の温度は、スラッシュ成形表皮の中央部を非接触式温度計で測定した値である。
適正温度として145℃に到達後、上記の発泡成形体を挿入し40kgfの力で押圧した。
発泡成形体は厚み10mmの箱状であり、挿入後は、側壁が内側に倒れて変形するなどの危惧があるので、挿入部の寸法が376mm×276mm×120mmで上部に100mm厚みで幅30mmの台板状フランジを備えた入れ子を予め発泡成形体と同じ発泡粒子を用いて型内成形して準備しておいた。
この入れ子をスラッシュ成形型内に位置する表皮材付発泡成形体に挿入し、挿入した状態で、表皮材付発泡成形体を冷却した。冷却はスプレーでスラッシュ成形型に水を直接吹きかけることによって行った。
水温20℃の水による金型表面温度を40℃以下とする目安が、約3.5分であったため、4分間の水冷却処理を行った後、エアガンを用いて付着水分を概略除去した。
次いで、同エアガンの噴出先をスラッシュ成形型と表皮材の間に向けて、成形品の外周に沿って、空気を順次吹き込み、スラッシュ成形型から表皮材付発泡成形体を離型した。
離型後に布で水分を拭い、40℃の循環熱風オーブン中で乾燥を12時間行った。
乾燥後の表皮材付発泡成形体から表皮材の余分な部分をトリミングした。
得られたTPU表皮材とPLA発泡成形体からなる表皮材付発泡成形体は、重量が540gであった。
(材料破壊率・未溶融状パウダー数)
得られた表皮材被覆発泡成形体から表皮材を剥がし、その際の発泡成形体の材料破壊率を求めた。発泡成形体の材料破壊率は30%であった。
材料破壊率は次のようにして求めた。剥がした表皮材の裏面側において、100mm×100mmの領域を無作為に3箇所選択し、それぞれの領域を写真撮影し画像処理にて2値化して、表皮材側に残存している発泡成形体の部分の面積[mm]を求め、さらに、それぞれの領域の面積(10000mm)で割算した値の算術平均値を材料破壊率とした。
また、表皮材の裏面側に残留する未溶融状パウダーの数は630個/cmであった。
未溶融状パウダーの数は、次のようにして計測した。剥がした表皮材の裏面側において、発泡成形体が残存していない部分から、10mm×10mmの領域を無作為に3箇所選択し、それぞれの領域において未溶融状パウダーの数を計測し、それらの算術平均値を裏面側に残留する未溶融状パウダーの数[個/cm]とした。
(表面加飾性)
発泡成形体を挿入せずに実施例1と同条件でスラッシュ成形により表皮材を作製し、この表皮材の表面と、実施例1で得られた表皮材付発泡成形体の表皮材の表面との金型表面形状転写による表面加飾状態(牛革シボ)を目視にて比較したところ、得られた表皮材付発泡成形体の表皮材の表面加飾状態は、表皮材のみを製造したものと変わらず合格であった。
実施例2
発泡成形体として、基材をポリプロピレン系樹脂発泡粒子(JSP社製、ピーブロック、融点:142℃、MFR:5g/10分(230℃、荷重2.16kg、かさ密度20kg/m、平均粒子径3mm)に変更し、398×298×100mmの外寸で肉厚10mmの箱型形状で、見掛け密度20kg/m、融着率80%以上の型内成形体からなる発泡成形体を準備した。表皮材の原料樹脂として、ポリプロピレン系樹脂からなるパウダースラッシュコンパウンド〔融点:142℃、MFR:5g/10分(230℃、荷重2.16kg)のペレットを冷凍粉砕した後加熱して球形化したもの、50%体積平均径200μm〕を用い、スラッシュ成形型の表面温度を270℃とした他は実施例1と同様にして、平均厚み1mmのPP表皮材を作製した。発泡成形体の挿入する際の表皮材の裏面側の温度を160℃とした以外は実施例1と同様にして、PP表皮材とPP発泡成形体からなる表皮材付発泡成形体を得た。
得られたPP表皮材からなる表皮材付発泡成形体は、重量が250gであった。
実施例1と同様に、表皮材をはく離させた際の材料破壊率および表皮材裏面側に残る未溶融パウダーの数を測定し、その表面加飾状態を評価したところ、材料破壊率は75%、未溶融パウダー数は360個/cmであり、表面加飾状態も合格であった。
実施例3
発泡成形体挿入時の表皮材の裏面側の温度を165℃とした以外は、実施例1と同様にして、TPU表皮材とPLA発泡成形体からなる表皮材発泡成形体を得た。
得られた表皮材付発泡成形体は、重量が540gであった。
実施例1と同様に、表皮材をはく離させた際の材料破壊率および表皮材裏面側に残る未溶融パウダーの数を測定し、その表面加飾状態を評価したところ、材料破壊率は60%、未溶融パウダー数は630個/cmであり、表面加飾状態も合格であった。
各実施例で得られた表皮材付発泡成形体は、軽量であると共に、表皮材の金型からの転写による表面加飾も喪失しておらず、高い意匠性を有し、実用性を備えていることが確認された。
比較例1
実施例2のスラッシュ成形で得られたPPによる表皮材を、スラッシュ成形型から剥離し、この表皮材を、実施例2と同一形状の発泡成形体が得られる寸法形状の金型の金型面に配置した状態で、PP発泡粒子をスチーム加熱により型内成形する、いわゆるスキンモールド成形を行った。
得られた表皮材付発泡成形体は、表皮材の表面すなわち意匠面の牛革シボ模様が不自然で乱れた状態であり、不満足なものであった。
本発明の表皮材付発泡成形体は、パウダースラッシュ成形により得られた表皮材の表面の意匠性を損なうことがないように発泡成形体と一体化されているので、表皮材の高度な意匠性を有し、かつ、発泡成形体として発泡粒子の型内成形体を用いた場合には、表皮材表面への発泡粒子(ビーズ)のビーズ模様の発現(視認)が防止された表皮材付発泡成形体が要求されている自動車に代表される車両用内装材や、家具用椅子の外張り材、トランクケース、キャリアケースの外装(構成)材等に有効に利用できる。
前記自動車用内装材としては、ドアトリム、インストルメントパネル、グラブボックスドア等に利用できる。
また、本発明の表皮材付発泡成形体の製造方法は、従来の製造方法と比較して、少ない工程数や、装置でパウダースラッシュ成形により得られた表皮材と発泡成形体とを一体化でき、表皮材付発泡成形体を経済的に製造できる有効な製造方法として利用できる。
1 表皮材
1a 表皮材表面
1b 表皮材裏面
2 発泡成形体
3 入れ子
10 表皮材付発泡成形体
20 枠
21 成形型
22 型面
23 空間部
24 型締めボルト
30 枠
31 熱可塑性樹脂パウダー収納容器(バケット)
40 加熱装置(成形型用)
41 冷却装置
42 乾燥、養生装置
P 熱可塑性樹脂コンパウンド

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂からなるパウダースラッシュ成形表皮材と熱可塑性樹脂発泡成形体とが接着一体化した表皮材付発泡成形体の製造方法であって、
    該製造方法は、以下の(1)〜(5)の工程を含み、得られた表皮材付発泡成形体が、前記表皮材と前記熱可塑性樹脂発泡成形体とを剥離した際に、熱可塑性樹脂発泡体の材料破壊率が20%以上であり、かつ、剥離された表皮材の裏面には、完全に溶融していない熱可塑性樹脂パウダーが10個/cm 以上残留していることを特徴とする表皮材付発泡成形体の製造方法。
    (1)所望とする表皮材の意匠の型面を有する加熱された成形型を用いて、熱可塑性樹脂パウダーをパウダースラッシュ成形して、該成形型の型面に所要厚みの表皮材を形成する表皮材形成工程、
    (2)前記形成工程後、次工程で接着される発泡成形体の外表面部分を構成する樹脂が結晶性樹脂の場合、その融点±20℃迄、非晶性樹脂の場合、そのガラス転移温度±20℃迄、該表皮材の裏面側の温度を降温する降温工程、
    (3)前記降温工程後、成形型内で、該表皮材の裏面に該表皮材の裏面に対応する形状に予め発泡粒子が型内成形された発泡倍率5〜100倍の熱可塑性樹脂発泡成形体を押圧して、該表皮材の裏面と該発泡成形体の外表面を接着させて表皮材付発泡成形体を形成する一体化工程、
    (4)次いで、一体化された表皮材付発泡成形体を冷却する冷却工程、及び
    (5)前記冷却工程後、成形型から表皮材付発泡成形体を離型する離型工程。
  2. 前記熱可塑性樹脂パウダーが、熱可塑性ポリウレタンエラストマー樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーをパウダースラッシュコンパウンドとして調整されたもののうちから選択される1種又は2種以上である、請求項1に記載の表皮材付発泡成形体の製造方法。
  3. 前記得られた表皮材付発泡成形体が、前記表皮材と前記熱可塑性樹脂発泡成形体とを剥離した際に、熱可塑性樹脂発泡体の材料破壊率が30%以上であり、かつ、剥離された表皮材の裏面には、完全に溶融していない熱可塑性樹脂パウダーが100個/cm 以上残留している、請求項1又は2に記載の表皮材付発泡成形体の製造方法。
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