JP6500992B2 - コイル内蔵部品 - Google Patents

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Description

本発明は、コイル内蔵部品に関し、特には、2つのコイル素子を内蔵する積層型のコイル内蔵部品に関する。
従来、多層基板内に2つのコイル素子が形成されたコイル内蔵部品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に示されたコイル内蔵部品は、図1に示すように、複数の磁性体層が積層された積層素体105と、積層素体105内に設けられた第1コイル素子110、および、第2コイル素子120とを有している。第1コイル素子110と第2コイル素子120とは、積層方向の上下に分かれて配置され、磁界を介して結合するように構成されている。積層方向に隣り合う第1コイル素子110のコイルパターンと第2コイル素子120のコイルパターンとの間には、非磁性体部140が設けられている。
特開2015−73052号公報
しかしながら、特許文献1に示すコイル内蔵部品101では、図1に示すように、第1コイル素子110と第2コイル素子120の巻回軸に沿った磁束であって、両コイル素子110、120を鎖交するメジャーループm1と、それ以外にも、コイルパターンpの線路の周囲を周回するマイナーループm2が形成される。このマイナーループm2は、第1コイル素子110と第2コイル素子120との磁界的な結合に寄与しないので、マイナーループm2が形成されやすいコイル内蔵部品では、結合度を高くすることに限界がある。すなわち、コイル内蔵部品101のように、第1コイル素子110と第2コイル素子120を上下に分けて配置した構造では、2つのコイル素子の結合度を大きくすることが困難であった。
そこで、本発明は、2つのコイル素子の結合度を高めることができるコイル内蔵部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るコイル内蔵部品は、複数の基材層を積層してなる積層素体と、各コイル面が積層方向に対向するように前記積層素体内に設けられた第1コイル素子および第2コイル素子とを有するコイル内蔵部品であって、前記第1コイル素子は、少なくとも、前記積層方向に互いに隣り合う2層以上のコイルパターンを含む第1のコイル部分と、1層以上のコイルパターンを含む第2のコイル部分とにより構成され、前記第2コイル素子は、少なくとも、前記積層方向に互いに隣り合う2層以上のコイルパターンを含む第3のコイル部分により構成され、前記第3のコイル部分は、前記第1のコイル部分と前記第2のコイル部分との間に設けられ、前記第1のコイル部分に含まれる前記積層方向に互いに隣り合う2層以上のコイルパターンの間、および、前記第3のコイル部分に含まれる前記積層方向に互いに隣り合う2層以上のコイルパターンの間の全てには、磁性体層が設けられ、前記積層方向に互いに隣り合う前記第1のコイル部分と前記第3のコイル部分との間、および、前記積層方向に互いに隣り合う前記第2のコイル部分と前記第3のコイル部分との間の全てには、前記磁性体層よりも透磁率の低い中間層が設けられている。
このように、第2コイル素子を構成する第3のコイル部分を、第1コイル素子を構成する第1のコイル部分と第2のコイル部分との間に設け、第1のコイル部分と第3のコイル部分との間、および、第2のコイル部分と第3のコイル部分との間の少なくとも一方に、透磁率の低い中間層を設けることで、コイルパターンにマイナーループが形成されることを抑制することができる。その結果、第1コイル素子と第2コイル素子との結合度を高めることができる。また、第1コイル素子と第2コイル素子の結合度を高めることができるので、積層素体内において中間層を設ける位置や数を変えて、結合度を広く調整することができる。
また、前記第2のコイル部分は、前記第1コイル素子および前記第2コイル素子のうちの、前記積層方向における最下層または最上層に設けられ、かつ、1層のコイルパターンにより構成されていてもよい。
これにより、中間層から遠く離れて位置する最下層または最上層のコイルパターンの数を少なくし、コイルパターンにマイナーループが形成されることをさらに抑制することができる。そのため、コイルパターンの層数が少なく低背化(小型化)されたコイル内蔵部品であっても、第1コイル素子と第2コイル素子との結合度を高めることができる。
また、さらに、前記第2コイル素子は、少なくとも、前記第3のコイル部分と、1層以上のコイルパターンを含む第4のコイル部分とにより構成され、前記第1のコイル部分は、前記第3のコイル部分と前記第4のコイル部分との間に設けられ、前記第1のコイル部分と前記第4のコイル部分との間には、前記磁性体層よりも透磁率の低い中間層が設けられていてもよい。
このように、第1のコイル部分を、第3のコイル部分と第4のコイル部分との間に設け、第1のコイル部分と第4のコイル部分との間に、透磁率の低い中間層をさらに設けることで、中間層から遠く離れて位置するコイルパターンの数を少なくすることができる。これにより、コイルパターンにマイナーループが形成されることを抑制し、第1コイル素子と第2コイル素子との結合度をさらに高めることができる。
また、前記第4のコイル部分は、前記第1コイル素子および前記第2コイル素子のうちの、前記積層方向における最下層または最上層に設けられ、かつ、1層のコイルパターンにより構成されていてもよい。
これにより、中間層から遠く離れて位置する最下層または最上層のコイルパターンの数を少なくし、コイルパターンにマイナーループが形成されることをさらに抑制することができる。そのため、コイルパターンの層数が少なく低背化されたコイル内蔵部品であっても、第1コイル素子と第2コイル素子との結合度を高めることができる。
また、前記第1のコイル部分および前記第3のコイル部分は、それぞれ2層のコイルパターンにより構成されていてもよい。
これにより、第1のコイル部分、および、第3のコイル部分において、マイナーループが形成されることを抑制できる。そのため、コイルパターンの層数が少なく低背化されたコイル内蔵部品であっても、第1コイル素子と第2コイル素子との結合度を高めることができる。
また、前記中間層は、前記積層方向に隣り合う前記第1コイル素子に含まれるコイルパターンと前記第2コイル素子に含まれるコイルパターンとの間のそれぞれに設けられていてもよい。
これにより、コイルパターンにマイナーループが形成されることを抑制し、第1コイル素子と第2コイル素子との結合度を高めることができる。
また、前記中間層は、前記積層方向に隣り合う前記第1コイル素子に含まれるコイルパターンと前記第2コイル素子に含まれるコイルパターンとの間にて、前記積層素体の前記コイル面に平行な全領域に設けられていてもよい。
これにより、積層素体内に、透磁率の低い中間層を容易に形成することができる。
また、前記中間層は、前記積層方向に隣り合う前記第1コイル素子に含まれるコイルパターンと前記第2コイル素子に含まれるコイルパターンとが対向する領域のみに設けられていてもよい。
これにより、コイルパターンにマイナーループが形成されることを抑制するとともに、第1コイル素子と第2コイル素子の巻回軸に沿って形成される磁束(メジャーループ)が、中間層によって妨げられることがなくなり、第1コイル素子と第2コイル素子の結合度をさらに高めることができる。
また、前記コイル内蔵部品は、前記中間層を複数備え、複数の前記中間層のうちの、少なくとも1つの前記中間層の厚みが、他の前記中間層の厚みと異なっていてもよい。
これにより、中間層の透磁率を変えることができ、第1コイル素子と第2コイル素子との結合度が高精度に調整されたコイル内蔵部品を提供することができる。
本発明によれば、コイル内蔵部品に内蔵されている2つのコイル素子の結合度を大きくすることができる。
図1は、従来技術におけるコイル内蔵部品の断面の模式図である。 図2は、実施の形態1に係るコイル内蔵部品の断面の模式図である。 図3は、実施の形態1に係るコイル内蔵部品の等価回路である。 図4は、実施の形態1の変形例1におけるコイル内蔵部品の断面の模式図である。 図5は、参考例におけるコイル内蔵部品の断面の模式図である。 図6は、実施の形態1の変形例3におけるコイル内蔵部品の断面の模式図である。 図7は、実施の形態1の変形例4におけるコイル内蔵部品の断面の模式図である。 図8は、実施の形態2に係るコイル内蔵部品の断面の模式図である。 図9は、図8に示すコイル内蔵部品を構成する基材層と、基材層に形成されたコイルパターンとを示す図であり、(a)〜(k)は、基材層とコイルパターンを下面側から見た図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態、製造工程、および製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさまたは大きさの比は、必ずしも厳密ではない。
(実施の形態1)
本実施の形態に係るコイル内蔵部品は、2つのコイル素子を内蔵する積層型のコイル内蔵部品である。このコイル内蔵部品は、コモンモードチョークコイル、トランス、カプラ、バランなどのようなデュアルインダクタに限られず、マルチフェーズ用DC−DCコンバータのチョークコイルなどの多層回路部品に内蔵される形態であってもよい。本実施の形態では、コイル内蔵部品として、デュアルインダクタを例に挙げて説明する。
図2は、本実施の形態に係るコイル内蔵部品1の断面の模式図であり、図3は、本実施の形態に係るコイル内蔵部品1の等価回路である。以下では、簡明のため、同種の構成要素を同じ模様で示して符号を適宜省略し、また、厳密には別断面にある構成要素を同一図面内に示して説明することがある。
コイル内蔵部品1は、図2に示すように、複数の基材層を積層することで形成される積層素体5と、各コイル面が積層方向に対向するように、積層素体5内に設けられた第1コイル素子10、および、第2コイル素子20とを有している。
複数の基材層は、磁性体材料からなる磁性体層30(30a、30b、30c、30d)と、磁性体層30よりも透磁率の低い中間層40(40a、40b、40c)とにより構成されている。具体的には、磁性体層30の材料よりも比透磁率の低い材料からなる中間層40とにより構成されている。
第1コイル素子10と第2コイル素子20とは、互いの巻回軸(コイル軸)が一致しており、磁界を介して結合する(図3参照)。これらコイル素子10、20は、面内導体である複数のコイルパターンp(p1、p2、p3、p4、p5、p6)のうちの一部を用いて、それぞれ形成されている。なお、本実施の形態におけるコイルパターンpは、1ターン未満のコイルパターンからなる。
第1コイル素子10は、積層方向に互いに隣り合う2層のコイルパターンp4、p5を含む第1のコイル部分11と、第1のコイル部分11のコイル面に対向する他のコイルパターンp1を含む第2のコイル部分12とにより構成されている。なお、ここでいう「コイル部分」とは、コイル素子の一部の構成を意味している。例えば、第1コイル素子10は、第1のコイル部分11および第2のコイル部分12に限られず、さらに他のコイル部分を有していてもよい。
第2コイル素子20は、積層方向に互いに隣り合う2層のコイルパターンp2、p3を含む第3のコイル部分23と、第3のコイル部分23のコイル面に対向する他のコイルパターンp6を含む第4のコイル部分24とにより構成されている。
第2コイル素子20の第3のコイル部分23は、第1のコイル部分11と第2のコイル部分12との間に設けられている。一方、第1コイル素子10の第1のコイル部分11は、第3のコイル部分23と第4のコイル部分24との間に設けられている。すなわち、第1コイル素子10のコイルパターンp1、p4、p5と第2コイル素子20のコイルパターンp2、p3、p6は、積層方向において、一部が互い違いとなっている。
また、第1コイル素子10の第2のコイル部分12は、1層のコイルパターンp1であり、第1コイル素子10および第2コイル素子20のうちの、積層方向における最上層に設けられている。第2コイル素子20の第4のコイル部分24は、1層のコイルパターンp6であり、第1コイル素子10および第2コイル素子20のうちの、積層方向における最下層に設けられている。この構造により、中間層40a、40cから遠く離れた位置にコイルパターンp1、p6を設けないようにしている。すなわち、最上層に位置するコイルパターンp1が中間層40aに近接し、最下層に位置するコイルパターンp6が中間層40cに近接する構造となっている。
第1コイル素子10および第2コイル素子20のコイルパターンpの材料としては、例えば、銀を主成分とする金属又は合金が用いられる。コイルパターンpに、例えば、ニッケル、パラジウム、又は金によるめっきが施されていてもよい。
なお、本実施の形態に係るコイル内蔵部品1は、各コイルパターンpを積層方向に接続する層間導体(ビア導体)や、各コイル素子10、20を外部の実装基板などに電気的に接続させる外部端子などを有しているが、図2では、それらの図示を省略している。
磁性体層30は、第1のコイル部分11に含まれる2層のコイルパターンp4、p5の間、および、第3のコイル部分23に含まれる2層のコイルパターンp2、p3の間に設けられている。また、磁性体層30は、積層素体5の両最外層にも設けられている。
磁性体層30の材料としては、例えば、磁性フェライトセラミックスが用いられる。具体的には、酸化鉄を主成分とし、亜鉛、ニッケル及び銅のうち少なくとも1つ以上を含むフェライトが用いられる。
中間層(磁性体層よりも透磁率の低い層)40は、積層方向に隣り合う第1コイル素子10に含まれるコイルパターンpと、第2コイル素子20に含まれるコイルパターンpとの間の、それぞれに設けられている。具体的には、第1のコイル部分11と第3のコイル部分23との間、第2のコイル部分12と第3のコイル部分23との間、および、第1のコイル部分11と第4のコイル部分24との間に設けられている。
また、中間層40は、積層方向に隣り合う第1コイル素子10に含まれるコイルパターンpと第2コイル素子20に含まれるコイルパターンpとの間にて、積層素体5のコイル面に平行な全領域に設けられている。
中間層40の材料としては、例えば、非磁性フェライトセラミックスやアルミナおよびガラスを主成分とする絶縁性ガラスセラミックスが用いられる。なお、この中間層40は、非磁性体層と呼ばれることもある。
次に、コイル内蔵部品1の製造工程について説明する。
まず、親基材となる各層のセラミックグリーンシートを準備する。具体的には、磁性体セラミック粉末を含んだスラリーをシート成形することによって磁性体層用セラミックグリーンシートを準備し、非磁性体セラミック粉末を含んだスラリーをシート成形することによって中間層用セラミックグリーンシートを準備する。
次いで、所定のセラミックグリーンシートにおいて、複数の貫通孔を形成し、当該貫通孔内に導体ペーストを充填して複数のビア導体を形成するとともに、主面上に導体ペーストを印刷して複数のコイルパターンpを形成する。貫通孔は、例えばレーザー加工により形成され、コイルパターンpは、例えばAg粉末を含んだ導体ペーストのスクリーン印刷によりパターニングされる。
次いで、導体ペーストが配置された複数のセラミックグリーンシートを積層・圧着した後、カットして個片化し、その後、一括して焼成する。この焼成により、各グリーンシート中の磁性体セラミック粉末、非磁性体セラミック粉末が焼結するとともに、導体ペースト中のAg粉末が焼結する。
磁性体セラミックスおよび非磁性体セラミックスは、いわゆるLTCCセラミックス(Low Temperature Co-fired Ceramics)であり、その焼成温度が銀の融点以下であって、コイルパターンpやビア導体の材料として銀を用いることが可能になる。抵抗率の低い銀を用いてコイル素子10、20を構成することで、損失が少ないコイル内蔵部品1を作製することができる。
また、上記のようにセラミックグリーンシートを積層して積層素体5を作製するシート積層工法を用いることで、中間層40を、積層素体5のコイル面に平行な全領域に容易に形成することができる。
本実施の形態に係るコイル内蔵部品1では、第2コイル素子20を構成する第3のコイル部分23を、第1コイル素子10を構成する第1のコイル部分11と第2のコイル部分12との間に設け、さらに、第1コイル素子10を構成する第1のコイル部分11を、第2コイル素子20を構成する第3のコイル部分23と第4のコイル部分24との間に設け、第1のコイル部分11と第3のコイル部分23との間、第2のコイル部分12と第3のコイル部分23との間、および、第1のコイル部分11と第4のコイル部分24との間に、透磁率の低い中間層40を設けているので、コイルパターンにマイナーループが形成されることを抑制することができる。その結果、第1コイル素子10と第2コイル素子20との結合度を高めることができる。
また、第1コイル素子10および第2コイル素子20のうちの、最下層または最上層に設けられるコイル部分12または24を、1層のコイルパターンpにより構成した場合には、中間層40から遠く離れて位置するコイルパターンの数を少なくすることができる。そのため、コイルパターンの層数が少なく低背化(小型化)されたコイル内蔵部品であっても、第1コイル素子10と第2コイル素子20との結合度を高めることができる。
また、仮に、第1のコイル部分や第3のコイル部分が3層以上のコイルパターンである場合には、上下両端の間に位置するコイルパターンにマイナーループが形成されてしまうこともあるが、本実施の形態に示すように、第1のコイル部分11および第3のコイル部分23が、それぞれ2層のコイルパターンpにより構成されている場合には、第1のコイル部分11および第3のコイル部分23において、マイナーループが形成されることを抑制できる。そのため、コイルパターンの層数が少なく低背化(小型化)されたコイル内蔵部品であっても、第1コイル素子10と第2コイル素子20との結合度を高めることができる。
ここで、実施の形態1に関するコイル内蔵部品1の変形例を説明する。
図4は、実施の形態1の変形例1におけるコイル内蔵部品1Aの断面の模式図であり、図5は、実施の形態1の変形例2におけるコイル内蔵部品1Bの断面の模式図である。前述したコイル内蔵部品1では、中間層40を、積層方向に隣り合う第1コイル素子10に含まれるコイルパターンpと、第2コイル素子20に含まれるコイルパターンpとの間の全てに設けたが、必ずしも全ての間に設ける必要はない。
例えば、図4の変形例1に示すコイル内蔵部品1Aのように、中間層40(40a、40b)を、第1のコイル部分11と第3のコイル部分23との間、および、第2のコイル部分12と第3のコイル部分23との間に設けてもよい。
この構造によれば、従来技術に比べて、中間層40から遠く離れて位置するコイルパターンpの数を少なくすることができる。その結果、コイルパターンの線路の周囲に形成される磁束(マイナーループ)を抑制し、第1コイル素子10と第2コイル素子20の結合度を高めることができる。
また、図5の参考例に示すコイル内蔵部品1Bのように、中間層40(40b)を、第1のコイル部分11と第3のコイル部分23との間のみに設けてもよい。また、参考例であり図示はしていないが、中間層40を第2のコイル部分12と第3のコイル部分23の間のみに設けてもよい。
この構造であっても、結合度の向上に寄与しない磁束の発生を抑制し、第1コイル素子10と第2コイル素子20の結合度を高めることができる。また、積層素体5内において中間層40を設ける位置を適切に設定することで、所望の結合度を得ることができる。
図6は、実施の形態1の変形例3におけるコイル内蔵部品1Cの断面の模式図である。変形例3に示すコイル内蔵部品1Cは、複数の中間層40のうちの、少なくとも1つの中間層40の厚みが、他の中間層40の厚みと異なっている。具体的には、積層素体5の積層方向の中央に位置する中間層40bの厚みを、他の中間層40a、40cの厚みよりも厚くしている。なお、図示はしていないが、他の中間層40a、40cの厚みを、厚くしたり薄くしたりしてもよい。
この構造によれば、各コイルの磁気結合度をコントロールできるので、第1コイル素子10と第2コイル素子20との結合度が高精度に調整されたコイル内蔵部品を提供することができる。
図7は、実施の形態1の変形例4におけるコイル内蔵部品1Dの断面の模式図である。
変形例4に示すコイル内蔵部品1Dは、中間層40を、積層素体5のコイル面に平行な全領域に設けるのでなく、一部の領域に設けている。具体的には、中間層40が、コイルパターンpと同様のパターン形状で形成され、積層方向に隣り合う第1コイル素子10に含まれるコイルパターンpと第2コイル素子20に含まれるコイルパターンpとが対向する領域のみに設けられている。すなわち、各コイル素子10、20の径方向の内側および外側が、磁性体材料により形成されている。
この構造によれば、コイルパターンにマイナーループが形成されることを抑制するとともに、第1コイル素子10と第2コイル素子20の巻回軸に沿った磁束であって、両コイル素子10、20を鎖交するメジャーループが、中間層40によって妨げられることがなくなり、第1コイル素子10と第2コイル素子20の結合度をさらに高めることができる。
以上、変形例も含めて説明したように、本実施の形態に係るコイル内蔵部品1、1A、1B、1C、1Dでは、第2コイル素子20を構成する第3のコイル部分23を、第1コイル素子10を構成する第1のコイル部分11と第2のコイル部分12との間に設け、第1のコイル部分11と第3のコイル部分23との間、および、第2のコイル部分12と第3のコイル部分23との間の少なくとも一方に、透磁率の低い中間層40を設けているので、コイルパターンにマイナーループが形成されることを抑制することができる。その結果、第1コイル素子10と第2コイル素子20との結合度を高めることができる。
すなわち、従来技術に示すコイル内蔵部品のように、第1コイル素子と第2コイル素子を上下に分けて配置した構造では、2つのコイル素子の結合度を大きくすることに限界があったが、本実施の形態に示すように、第1コイル素子10と第2コイル素子20とを互い違いに配置した上で、透磁率の低い中間層40を所望の位置に入れることで、所望の位置でのマイナーループを抑制し、結合度の高いコイル内蔵部品1を提供することができる。
また、第1コイル素子10と第2コイル素子20の結合度を高めることができるので、積層素体5内において中間層40を設ける位置や数を変えて、結合度を広く調整することができる。すなわち、結合度の設計範囲を広げることができる。
また、第1コイル素子10を構成する第1のコイル部分11のコイルパターンp4、p5間、および、第2コイル素子20を構成する第3のコイル部分23のコイルパターンp2、p3間の少なくとも一方に、磁性体層30(30b、30c)を設けることで、第1のコイル部分11、および、第3のコイル部分23の少なくとも一方のインダクタンス値を大きくすることができる。そのため、第1コイル素子10、および、第2コイル素子20の少なくとも一方のインダクタンス値を大きくすることができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係るコイル内蔵部品について説明する。
図8は、実施の形態2に係るコイル内蔵部品2の断面の模式図である。図9は、図8に示すコイル内蔵部品2を構成する基材層a〜kと、基材層a〜kに形成されたコイルパターンp(p1〜p8)を示す図である。
図8に示すように、コイル内蔵部品2は、複数の基材層a〜kを積層することで形成される積層素体5と、各コイル面が積層方向に対向するように、積層素体5内に設けられた第1コイル素子10、および、第2コイル素子20とを有する。
複数の基材層a〜kは、磁性体材料からなる磁性体層30(30a〜30g)と、磁性体層30の材料よりも透磁率の低い材料からなる中間層40(40a〜40d)とにより構成されている。
第1コイル素子10と第2コイル素子20とは、互いの巻回軸(コイル軸)が一致しており、磁界を介して結合するように構成されている。これらコイル素子10、20のコイルパターンpは、渦巻き状の形状をしており、例えば、高周波用のコイルとして用いられる。
第1コイル素子10は、積層方向に互いに隣り合う2層のコイルパターンp4、p5を含む第1のコイル部分11と、第1のコイル部分11のコイル面に対向するコイルパターンp1を含む第2のコイル部分12と、第1のコイル部分11のコイル面に対向し、第2のコイル部分12の反対側に設けられたコイルパターンp8を含む第5のコイル部分15とにより構成されている。
第2コイル素子20は、積層方向に互いに隣り合う2層のコイルパターンp2、p3を含む第3のコイル部分23と、第3のコイル部分23のコイル面に対向する2層のコイルパターンp6、p7を含む第4のコイル部分24とにより構成されている。
第2コイル素子20の第3のコイル部分23は、第1のコイル部分11と第2のコイル部分12との間に設けられている。また、第2コイル素子20の第4のコイル部分24は、第1のコイル部分11と第5のコイル部分15との間に設けられている。一方、第1コイル素子10の第1のコイル部分11は、第3のコイル部分23と第4のコイル部分24との間に設けられている。
また、第1コイル素子10の第2のコイル部分12は、1層のコイルパターンp1であり、第1コイル素子10の積層方向における最上層に設けられている。また、第1コイル素子10の第5のコイル部分15は、1層のコイルパターンp8であり、第1コイル素子10の積層方向における最下層に設けられている。
磁性体層30(30c、30d、30e)は、第3のコイル部分23に含まれる2層のコイルパターンp2、p3の間、第1のコイル部分11に含まれる2層のコイルパターンp4、p5の間、第4のコイル部分24に含まれる2層のコイルパターンp6、p7の間にそれぞれ設けられている。また、磁性体層30は、積層素体5の両最外層にも設けられている。
中間層(磁性体層30よりも透磁率の低い層)40は、積層方向に隣り合う第1コイル素子10に含まれるコイルパターンpと第2コイル素子20に含まれるコイルパターンpとの間のそれぞれ4箇所に設けられている。具体的には、第1のコイル部分11と第3のコイル部分23との間、第2のコイル部分12と第3のコイル部分23との間、第1のコイル部分11と第4のコイル部分24との間、および、第4のコイル部分24と第5のコイル部分15との間に設けられている。
また、中間層40は、積層方向に隣り合う第1コイル素子10に含まれるコイルパターンpと第2コイル素子20に含まれるコイルパターンpとの間にて、積層素体5のコイル面に平行な全領域に設けられている。
次に、図9を参照しつつ、コイル内蔵部品2を構成する基材層a〜kについて説明する。なお、図9の(a)〜(k)は、基材層a〜k、コイルパターンp1〜p8を下面側から見た図である。各基材層a〜kを積層する際は、基材層a〜kの下面を下向きにした状態で、(a)〜(k)の順に積み重ねられる。
図9の(a)に示す基材層aは、磁性体層30gである。この磁性体層30gは、積層素体5の下側の最外層である。磁性体層30gには、その底面側に矩形状の4つの外部端子50が形成されている。4つの外部端子50には、ビア導体がそれぞれ接続されている。なお、ビア導体は、(a)〜(i)において丸形状で示されている。
図9の(b)に示す基材層bは、磁性体層30fである。この磁性体層30fには、図9の(a)に示したビア導体に接続するように4つのビア導体が形成されている。
図9の(c)に示す基材層cは、中間層40dである。この中間層40dには、第1コイル素子10の第5のコイル部分15となるコイルパターンp8が形成されている。
図9の(d)に示す基材層dは、磁性体層30eである。この磁性体層30eには、第2コイル素子20の第4のコイル部分24のうちの下側のコイルパターンp7が形成されている。
図9の(e)に示す基材層eは、中間層40cである。この中間層40cには、第4のコイル部分24のうちの上側のコイルパターンp6が形成されている。
図9の(f)に示す基材層fは、磁性体層30dである。この磁性体層30dには、第1コイル素子10の第1のコイル部分11のうちの下側のコイルパターンp5が形成されている。
図9の(g)に示す基材層gは、中間層40bである。この中間層40bには、第1のコイル部分11のうちの上側のコイルパターンp4が形成されている。
図9の(h)に示す基材層hは、磁性体層30cである。この磁性体層30cには、第2コイル素子20の第3のコイル部分23のうちの下側のコイルパターンp3が形成されている。
図9の(i)に示す基材層iは、中間層40aである。この中間層40aには、第3のコイル部分23のうちの上側のコイルパターンp2が形成されている。
図9の(j)に示す基材層jは、磁性体層30bである。この磁性体層30bには、第1コイル素子10の第2のコイル部分12となるコイルパターンp1が形成されている。
図9の(k)に示す基材層kは、磁性体層30aである。この磁性体層30aは、積層素体5の上側の最外層である。
そして、これらの基材層a〜kを順に積層し、プレスした後、脱脂および焼成することでコイル内蔵部品2が作製される。
実施の形態2に示したコイル内蔵部品2においても、実施の形態1に示したコイル内蔵部品1の効果と同様の効果を得ることができる。すなわち、中間層40から遠く離れて位置するコイルパターンの数を少なくすることができ、コイルパターンにマイナーループが形成されることを抑制し、第1コイル素子10と第2コイル素子20との結合度を高めることができる。例えば、従来技術に係るコイル内蔵部品では、両コイル素子の結合係数Kは0.7程度であるが、本実施の形態のコイル内蔵部品では、両コイル素子の結合係数Kを0.8以上とすることができる。
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係るコイル内蔵部品について説明したが、本発明は、個々の実施の形態及びその変形例には限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態及びその変形例に施したものや、異なる実施の形態及びその変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
例えば、図3に示す等価回路では、引き出し端子として4つの端子を示したが、コイル内蔵部品にて出力側の2つの端子を結線して1つの端子としてもよい。また、コイル内蔵部品の積層方向は、上下逆でもよい。また、コイル内蔵部品のコイルパターンは、1巻きでも半巻きでも渦巻き状でもよい。また、磁性体層と中間層とが積層方向に対称となるように中間層を設けてもよい。積層方向に対称となるように中間層を設けることで、焼成時の積層素体の変形を小さくできる。
本発明のコイル内蔵部品は、コモンモードチョークコイル、トランス、カプラ、バランなどのデュアルインダクタや、マルチフェーズ用DC−DCコンバータのチョークコイルなどの多層回路部品に内蔵される形態で広く利用することができる。
1、1A、1B、1C、1D、2 コイル内蔵部品
5 積層素体
10 第1コイル素子
11 第1のコイル部分
12 第2のコイル部分
15 第5のコイル部分
20 第2コイル素子
23 第3のコイル部分
24 第4のコイル部分
30、30a、30b、30c、30d、30e、30f、30g 磁性体層
40、40a、40b、40c、40d 中間層(磁性体層よりも透磁率の低い層)
a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k 基材層
p、p1、p2、p3、p4、p5、p6、p7、p8 コイルパターン

Claims (8)

  1. 複数の基材層を積層してなる積層素体と、
    各コイル面が積層方向に対向するように前記積層素体内に設けられた第1コイル素子および第2コイル素子と
    を有するコイル内蔵部品であって、
    前記第1コイル素子は、少なくとも、前記積層方向に互いに隣り合う2層以上のコイルパターンを含む第1のコイル部分と、1層以上のコイルパターンを含む第2のコイル部分とにより構成され、
    前記第2コイル素子は、少なくとも、前記積層方向に互いに隣り合う2層以上のコイルパターンを含む第3のコイル部分により構成され、
    前記第3のコイル部分は、前記第1のコイル部分と前記第2のコイル部分との間に設けられ、
    前記第1のコイル部分に含まれる前記積層方向に互いに隣り合う2層以上のコイルパターンの間、および、前記第3のコイル部分に含まれる前記積層方向に互いに隣り合う2層以上のコイルパターンの間の全てには、磁性体層が設けられ、
    前記積層方向に互いに隣り合う前記第1のコイル部分と前記第3のコイル部分との間、および、前記積層方向に互いに隣り合う前記第2のコイル部分と前記第3のコイル部分との間の全てには、前記磁性体層よりも透磁率の低い中間層が設けられている
    コイル内蔵部品。
  2. 前記第2のコイル部分は、前記第1コイル素子および前記第2コイル素子のうちの、前記積層方向における最下層または最上層に設けられ、かつ、1層のコイルパターンにより構成されている
    請求項1に記載のコイル内蔵部品。
  3. さらに、
    前記第2コイル素子は、少なくとも、前記第3のコイル部分と、1層以上のコイルパターンを含む第4のコイル部分とにより構成され、
    前記第1のコイル部分は、前記第3のコイル部分と前記第4のコイル部分との間に設けられ、
    前記第1のコイル部分と前記第4のコイル部分との間には、前記磁性体層よりも透磁率の低い中間層が設けられている
    請求項1または2に記載のコイル内蔵部品。
  4. 前記第4のコイル部分は、前記第1コイル素子および前記第2コイル素子のうちの、前記積層素体の前記積層方向における最下層または最上層に設けられ、かつ、1層のコイルパターンにより構成されている
    請求項3に記載のコイル内蔵部品。
  5. 前記第1のコイル部分および前記第3のコイル部分は、それぞれ2層のコイルパターンにより構成されている
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のコイル内蔵部品。
  6. 前記中間層は、前記積層方向に隣り合う前記第1コイル素子に含まれるコイルパターンと前記第2コイル素子に含まれるコイルパターンとの間にて、前記積層素体の前記コイル面に平行な全領域に設けられている
    請求項1〜のいずれか1項に記載のコイル内蔵部品。
  7. 前記中間層は、前記積層方向に隣り合う前記第1コイル素子に含まれるコイルパターンと前記第2コイル素子に含まれるコイルパターンとが対向する領域のみに設けられている
    請求項1〜のいずれか1項に記載のコイル内蔵部品。
  8. 前記コイル内蔵部品は、前記中間層を複数備え、
    複数の前記中間層のうちの、少なくとも1つの前記中間層の厚みが、他の前記中間層の厚みと異なる
    請求項1〜のいずれか1項に記載のコイル内蔵部品。
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