本発明の実施形態に係る選果システム1について、図1、図2を用いて全体構成から説明する。なお、図中で示す白色矢印は搬送方向を示し、前後左右を矢印で示す方向として説明する。
選果システム1は、円柱状の上面に凹部が形成された載置台5に一つずつ青果物6が載置されてコンベアにより搬送されるとともに、該載置台5に載置された青果物6は搬送途中で選別されて、等級や階級毎にトレイ8に詰めるようにしている。ここで、本実施形態では、青果物6は可食部6aとがく片(通称:へた)部6bとを備えるイチゴを実施例として説明するが、青果物6は略球状以外で表面が柔らかい青果物、例えば、ミズナス、びわ、洋ナシ、いちじく、マンゴウ等であっても良く限定するものではない。
またここで、青果物6が詰められるトレイ8は、発泡スチロール等のクッション性を有し、製造容易な合成樹脂素材等からなり、軽量で平面視長方形の部材であり、載置台5から吸着移送装置60により移送された青果物6が収納される凹状の収納凹部8aを縦横に複数形成され、最外周には所定幅を有する縁部が形成される。本実施形態のトレイ8では、24個(長手方向に6個、短手方向に4個)の収納凹部8a・8a・・・が形成されるが、収納凹部8aの配置構成は千鳥状に配置してもよく、個数も限定するものではない。
該トレイ8の収納凹部8aは、略横に寝かせた青果物6が約二分の一から三分の一程度以上が収まるような形状に合わせて凹状に下方に突出するように形成される。言い換えれば、青果物6が収納凹部8aに収納された状態では、容易に移動できず、隣の青果物6にも接触せず、青果物6を傷つけないように搬送し、所定量ずつ容易に荷造りして出荷できようにしている。
トレイ8の収納凹部8aの中心軸線は、平面視で長手方向(または短手方向またはトレイ搬送方向)に対して所定角度傾斜するように配置され、収納効率を高めている。もちろん収納される青果物6に中心軸線も傾斜される。この収納凹部8aの中心軸線の傾き(中心軸線の角度β・詰め角β、図8参照)は、トレイ8に形成される収納凹部8aの個数により異なる。つまり、収納凹部8aの中心軸線を大きく傾けた(45度程度まで)方がトレイ8の全体面積を小さくでき、収納効率を上げられる。
また、選果システム1は、図1に示すように、作業者によって載置台5に青果物6が載置される青果物載置部30と、青果物載置部30において載置台5に載置された青果物6の品質(等級や階級)を計測する品質計測部40と、品質計測部40における計測結果に基づいて青果物6をその等級や階級毎に載置台5からトレイ8に移送する移送部50と、を備える。選果システム1では、主搬送装置11に沿って上流側から下流側へ順に、青果物載置部30、品質計測部40、移送部50、と配置される。
選果システム1は、主搬送装置11の下流側端に廃棄ライン14を備える。選果システム1では、青果物6は、規格外に変形しているもの、規格外に大きすぎるもの又は小さすぎるもの、規格外に変質しているもの、傷が付いているもの、がく片部6bがないもの、残留農薬が規定値以上のもの等の場合には、廃棄ライン14に搬送される。
選果システム1は、青果物載置部30において青果物6が載置台5に正確に載置されていなかった場合に、品質計測部40の下流側から、主搬送装置11の上流側に当該載置台5を戻す、リターンライン12を備える。
選果システム1は、移送部50において青果物6がトレイ8へ移送されて、青果物6が載置されていない(空の状態)載置台5を、移送部50の終端から主搬送装置11の上流側に戻す、載置台戻りライン13を備える。なお、選果システム1は、図示しない制御装置に種々の機構や装置のアクチュエータやセンサ等と接続されて、これらを制御するようにしている。つまり、主搬送装置11や後述する青果物搬送装置51やトレイ搬送装置53のコンベアの駆動や、後述する吸着移送装置60のシリンダ等は制御装置により制御される。
載置台5は、青果物6が所定の姿勢で載置されるものであり、略円筒状に形成され、平面視中央に向かって低くなる略円錐形の凹状に形成され、略横に寝かせた青果物6が収まるように構成され、搬送方向に対して中心軸線が設定角度(中心軸線の角度α・ピックアップ角α)傾斜して凹部が形成される。載置台5の中央には上下方向に貫通孔が開口され、品質計測部40の投光手段から照射される光が上方(又は下方)から下方(又は上方)に貫通孔内を通って、受光手段がこれを受光可能なように構成される。
また、載置台5の側面(若しくは底面)には、ID認識手段が貼設される。具体的には、載置台5のID認識手段は、バーコードや二次元コードや磁気テープやICチップ等で構成される。載置台5のID認識手段には、認識番号が記される(IDが書込まれる)。載置台5のID認識手段における認識番号は、品質計測部40や移送部50において、それぞれ図示しない読取手段によって読取られる。
選果システム1の主搬送装置11は、ベルトコンベアにより構成される。主搬送装置11の搬送ベルトの搬送面上には、青果物6が載置されていない載置台5、又は、青果物載置部30において青果物6が載置された載置台5が載せられて搬送される。
選果システム1の青果物載置部30では、主搬送装置11の上流側の両側又は一側に、複数の作業者が位置して、当該作業者によって主搬送装置11により搬送される載置台5に青果物6が略横に寝かせるようにして載置される。
選果システム1の品質計測部40は、載置台5に載置されて主搬送装置11により搬送されてくる青果物6の質量を計測する質量計、青果物6を撮影するCCDカメラ等の撮影手段、撮影手段で撮影された画像に関する情報の画像処理を行う画像処理手段、青果物6の内部の品質を計測する投光手段及び受光手段、等が配置されて構成される。そして、品質計測部40では、青果物6の質量、青果物6の大きさ、青果物6の変質度合い、青果物6の傷の有無、青果物6のがく片部6bの有無、載置台5に載置される青果物6の向き(がく片部6bの向き、及び、主軸の傾斜する方向)、青果物6の糖度や酸度、青果物6の残留農薬濃度、等に関する情報、及び、品質計測部40に配置される読取手段によって読取られた載置台5の認識番号に関する情報は、制御装置に送信されて、その記憶手段に記憶される。
選果システム1の移送部50は、図1に示すように、主搬送装置11の左右両側に複数配置される。移送部50では、主搬送装置11によって搬送されてくる載置台5を主搬送装置11から各移送部50に搬送して、載置台5に載置される青果物6をトレイ8の収納凹部8aに移送する。各載置台5は主搬送装置11から各移送部50・50・・・へ、青果物6の階級や等級等に応じて分岐して搬送される。当該青果物6の階級や等級等は、前記品質計測部40で決定され、移送部50毎に予め設定されている。本実施形態では、主搬送装置11の搬送方向に対して左右それぞれに3つずつ移送部50が配置され、階級や等級が設定されている。
移送部50は、主搬送装置11の左側又は右側に搬送路が分岐するように配置される青果物搬送装置51と、主搬送装置11と青果物搬送装置51との分岐部分(青果物搬送装置51の始端側)に配置される分岐装置52と、載置台5に載置される青果物6の向きを修正する方向修正装置(不図示)と、トレイ8を搬送するトレイ搬送装置53と、載置台5に載置された青果物6をトレイ8に移送する吸着移送装置60と、を有して構成される。
移送部50の分岐装置52は、主搬送装置11と青果物搬送装置51との分岐部分において、青果物6が載置された載置台5を主搬送装置11から移送部50に分岐させ、青果物搬送装置51へ移送させるものである。
ここで、青果物6が載置された載置台5が主搬送装置11によって搬送されてくると、移送部50に配置された読取手段によって、当該載置台5の認識番号が読取られて、当該認識番号に関する情報が制御装置に送信される。そして、制御装置は、前記送信された認識番号に関する情報に関連付けられた、青果物6の等級や階級等に関する情報が、移送部50に設定された青果物6の等級や階級と一致するかについて判断する。
制御装置によって前記青果物6の等級や階級等が前記移送部50の等級や階級等と一致すると判断された場合には、青果物6が載置される載置台5は、移送部50の分岐装置52により青果物搬送装置51へ移送される。制御装置によって前記青果物6の等級や階級が、前記移送部50の等級や階級等と一致しないと判断された場合には、そのまま主搬送装置11により下流へ搬送されて、下流側の移送部50で同様の判断がされる。
なお、制御装置は、前記送信された認識番号に関する情報に関連付けられた、青果物6の変質度合い、青果物6の傷の有無、青果物6のがく片部6bの有無、青果物6の残留農薬濃度、等に関する情報、に基づいて、当該青果物6が規格外のものかについて判断する。制御装置によって前記青果物6が、規格外に変形している、規格外に大きすぎる又は小さすぎる、規格外に変質している、傷が付いている、がく片部6bがない、残留農薬濃度が規定値以上、等と判断された場合には、当該青果物6が載置された載置台5は、廃棄ライン14に搬送される。
移送部50は図2に示すように、青果物搬送装置51とトレイ搬送装置53は平行に配置され、吸着移送装置60は青果物搬送装置51とトレイ搬送装置53に跨るように直交して配設される。青果物搬送装置51は、主搬送装置11から分岐装置52によって分岐されて移送された載置台5を搬送するものである。移送部50の青果物搬送装置51は、その搬送方向が主搬送装置11の搬送方向に対して直交するように配置される。青果物搬送装置51によって搬送される載置台5は、図示しない方向修正装置により青果物6のがく片部6bを吸着移送装置60によって吸着できるように修正される。
前記トレイ搬送装置53は、ベルトコンベアによって構成され、その搬送方向が青果物搬送装置51の搬送方向と同一方向となるように、青果物搬送装置51に平行して並べて配置される。トレイ搬送装置53の上流側には、トレイ供給装置59が配置され、空のトレイ8が順に一枚ずつベルトコンベア上に供給される。トレイ搬送装置53の下流側にはトレイ8を箱詰めして、出荷する行程が設けられる。
前記吸着移送装置60は、図2に示すように、青果物搬送装置51によって搬送される載置台5上の青果物6を、トレイ搬送装置53によって搬送されるトレイ8へ移送するものである。吸着移送装置60は、主としてリニアシリンダ61、シリンダフレーム62、複数の吸着部ユニット70・70・・・等を具備する。
前記リニアシリンダ61は、青果物搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に対して前後方向にまたがるように(直交するように)、青果物搬送装置51およびトレイ搬送装置53の上方に配置される。該リニアシリンダ61の作動部にはシリンダフレーム62が取り付けられ、シリンダフレーム62を青果物搬送装置51の上方とトレイ搬送装置53の上方を往復移動可能に構成している。リニアシリンダ61は電動またはエアにより前後往復駆動可能としているが、その駆動方式は限定するものではない。
シリンダフレーム62は略門型に形成され、左右両側の上下フレームの間に摺動軸64・64が横架され、該摺動軸64・64に収納凹部8aの列数に合わせた複数の吸着部ユニット70・70・・・が左右摺動可能に支持される。吸着部ユニット70は、本実施形態では、トレイ8の収納凹部8aの列数に合わせて6台設けられている。
図2、図3、図4に示すように、吸着部ユニット70は、上下シリンダ63と水平シリンダ65と吸着ノズル66からなり、6台の上下シリンダ63・63・・・は前記摺動軸64・64上に摺動可能に支持される。上下シリンダ63・63・・・は図示しない整列シリンダの伸縮により、上下シリンダ63・63・・・(吸着部ユニット70・70・・・)の間隔が青果物搬送装置51上に搬送された載置台5・5・・・の間隔と、トレイ搬送装置53上のトレイ8の収納凹部8a・8a・・・の間隔とに変更される。つまり、吸着部ユニット70・70・・・が青果物搬送装置51の上方へ移動されると、載置台5・5・・・の間隔に合せて拡げられ、吸着部ユニット70・70・・・がトレイ搬送装置53の上方に移動されると、収納凹部8a・8a・・・の間隔に合せて狭められる。
前記上下シリンダ63のピストンロッド先端(下端)には、後述する角度変更手段80を介して水平シリンダ65が取り付けられる。水平シリンダ65のピストンロッド先端に吸着ノズル66が取り付けられる。水平シリンダ65は載置台5上の青果物6を吸着する時やトレイ8の収納凹部8aに青果物6を挿入する時に、吸着ノズル66を水平移動させるためのものである。吸着ノズル66は水平シリンダ65のピストンロッド先端に下方へ傾斜して取り付けられ、青果物6に対して上斜め方向から吸着動作させるようにして、吸着ノズル66の先端ががく片部6bや載置台5に引っ掛かることなく吸着できるようにしている。
図3〜図6に示すように、前記角度変更手段80は箱状の上支持部81と下支持部82と、ピン状の当接体83とストッパー84からなり、上支持部81の前後中央から下方に支持軸85が垂接され、該支持軸85に下支持部82が回動可能に支持される。下支持部82の一側面から側方に当接体83が隣接する下支持部82の側面に向かって突設され、上支持部81の他側面から下方にストッパー84が突設され、上支持部81と下支持部82との間には図示しないバネ等の弾性部材が介装され、下支持部82がストッパー84に当接するように弾性部材により付勢されている。左右二つの吸着部ユニット70・70を1組として、前記当接体83・83が、対角方向(支持軸85に対して点対称)に配置される。本実施形態では、左から1・3・5番目の吸着部ユニット70の下支持部82の後右側面に当接体83が右方向に突設され、上支持部81の後左側面にストッパー84が設けられる。左から2・4・6番目の吸着部ユニット70の下支持部82の前左側面に当接体83が左方向に突設され、上支持部81の前右側面にストッパー84が設けられる。但し、当接体83とストッパー84は前後左右逆に配置することも可能である。
このように構成することによって、吸着部ユニット70・70・・・が青果物搬送装置51の上方に位置しているときには、図5に示すように、吸着部ユニット70・70・・・は載置台5・5・・・の間隔に合せた位置で、下支持部82はストッパー84に当接して、吸着ノズル66は載置台5の凹部の中心軸線の角度α(ピックアップ角α)となっている。
吸着ノズル66に青果物6を吸着して吸着移送装置60により、青果物搬送装置51の上方からトレイ搬送装置53上に移動されると、図6に示すように、整列シリンダの作動により吸着部ユニット70・70・・・の間隔がトレイ8の収納凹部8aの間隔に合せて狭められる。この時、当接体83の先端が隣接する吸着部ユニット70の下支持部82の側面に当接して、下支持部82に取り付けられる吸着ノズル66は支持軸85を中心に回動して、トレイ8の収納凹部8aの中心軸線の角度β(詰め角β)に合せた角度まで回動される。この状態で吸着ノズル66が下降及び伸長され、トレイ8の収納凹部8aに青果物6を収納し吸引を停止してパック詰めが行われる。
また、前記詰め角βはトレイ8に詰める青果物6の大きさに応じて異なる。つまり、トレイ8に形成される収納凹部8aの大きさも詰める青果物6の大きさに応じて異なり、配列も変更されるため詰め角βも異なる。従って、前記当接体83の長さもトレイ8に応じて付け替え可能に構成して、トレイ8の収納凹部8の詰め角βに合わせて変更できるようにしている。この当接体83の付け替えは、差し替えたり、ネジ式としたり、当接体83を挿入孔に挿入した後にボルトで固定するように構成でき、その構成は限定するものではない。
トレイ8へのパック詰めが終了し、トレイ搬送装置53上に戻ると、吸着部ユニット70・70・・・の間隔が広げられ、下支持部82は弾性部材(バネ)の付勢力により、前記と逆方向に回動し、ストッパー84に当接した位置で回動が停止し、吸着ノズル66は載置台5の凹部の中心軸線の角度α(ピックアップ角α)となる。
以上のように、青果物6を品質計測部40により大きさや糖度等を計測して等級を決定し、主搬送装置11により搬送する途中で分岐装置52により等級別に青果物搬送装置51へ搬送させて選別を行い、その選別後の青果物6を青果物搬送装置51から吸着移送装置60によりトレイ搬送装置53上のトレイ8に所定量ずつ収容してパック詰めする選果システムであって、前記トレイ8には青果物6の形状に合わせた収納凹部8aが縦横に形成され、前記吸着移送装置60には、前記青果物搬送装置51から吸着ノズル66により青果物6を吸着する時の角度(ピックアップ角α)と、収納凹部8aで青果物6を放出するときの角度(詰め角β)とに、吸着ノズル66の角度を変更する角度変更手段80が設けられるので、青果物6を載置台5から吸着する時に、載置台5に載せられた青果部6の中心軸線と吸着ノズル66の中心軸線を略一致させることができ、青果物を確実に吸着して移送することができる。また、トレイ8にパック詰めするときには、吸着ノズル66に吸着した青果物6の中心軸線とトレイ8の収納凹部8aの中心軸線と一致させることができ、青果物6を確実にトレイ8の収納凹部8aに詰めることができる。
また、前記吸着移送装置60は、吸着部ユニット70が複数平行に配置されるとともに、各吸着部ユニット70・70・・・の間隔は、載置台5・5・・・の間隔と、トレイ8に形成される収納凹部8a・8a・・・の間隔とに変更可能に構成され、前記吸着部ユニット70には前記吸着ノズル66の角度変更手段80が設けられ、該角度変更手段80は、吸着ノズル66を上下方向軸心に対して回転可能に支持する支持部81・82と当接体83とからなり、前記間隔を狭めるときに前記下支持部82から突設する当接体83が隣接する下支持部82に当接することにより、下支持体82を回転させて角度が変更されるので、角度変更手段80は回転駆動させるための駆動力を別に設ける必要がなく、簡単な構成で吸着ノズル66の角度を変更できる。
また、前記当接体83は前記トレイ8の収納凹部8aの間隔に合わせて突出量を変更可能に構成されるので、収納凹部8に詰める青果物6の等級が変更されても、当接体83を付け替えるだけで容易に対応できるようになる。
また、前記角度変更手段80は、上下シリンダ63と水平シリンダ65の間に設ける代わりに、図7に示すように、水平シリンダ65と吸着ノズル66の間に回転アクチュエータ69を設けることも可能である。つまり、水平シリンダ65のピストンロッド65aの先端に取付部67が設けられ、該取付部67に回転可能に回転軸68が上下方向に支持され、該回転軸68が取付部67に固定された回転アクチュエータ69の出力軸と連結され、回転軸68の下端に吸着ノズル66が固定される。
こうして、吸着部ユニット70が、青果物搬送装置51の上方とトレイ搬送装置53の上方との間で移動する時に回転アクチュエータ69が正転作動と逆転作動が行われて、吸着ノズル66の吸着方向を、載置台5の凹部の中心軸線の角度α(ピックアップ角α)とトレイ8の収納凹部8aの中心軸線の角度β(詰め角β)とに切り替えるようにするのである。
但し、前記回転アクチュエータ69はロータリソレノイドやロータリシリンダやモータ等により構成することができ、限定するものではない。そして、青果物搬送装置51の上方位置とトレイ搬送装置53の上方位置を検出する位置手段が設けられ、制御装置と接続され、前記回転アクチュエータ69も制御装置と接続されて制御される。前記位置検出手段は吸着部ユニット70の位置をスイッチや光センサで検出したり、リニアシリンダ61のストロークを検出したりすることもでき限定するものではない。また、回転アクチュエータ69を用いる場合には、センサを用いて回転角度を検知してフィードバックし、トレイ8の種類を設定し、そのトレイ8に応じた設定角度まで回転させるように構成することもできる。
また、角度変更手段80は、図8に示すように、吸着ノズル66の先端に設けられる接触リング71の吸込み方向の角度を変更する構成とすることもできる。つまり、接触リング71はスポンジ等で筒状に構成されて、接触リング71の先端は中心軸線に対して斜めにカットされている。この斜めにカットする角度を前記詰め角βに合せる。そして、トレイ8の収納凹部8aの詰め角βが等級に合わせて変更する場合には、その角度に合せてカットされた接触リング71に付け替える。
また、前記載置台5上には、青果物6を一つ載置し、一つずつ搬送するものであったが、一度に複数の青果物6を載せるバケット9とすることも可能である。例えば、図11、図13に示すように、バケット9には上面に収納凹部9a・9a・9aが複数(本実施形態では3つ)搬送方向に並べて形成され、収納凹部9a・9a・9aの中心軸線(ピックアップ角α)も平行となるように形成される。このピックアップ角αは詰め角βと一致させてもよく、または、図13に示すように、作業者がバケット9の収納凹部9a・9a・9aに載せやすいように、搬送方向と直交する方向とすることもできる。バケット9には載置台5と同様に固有のIDが割り付けられる。
前記バケット9を用いて選別・搬送・パック詰めする場合、図1に示すような青果物搬送装置51及び分岐装置52を省くことができる。図11に示す選果システム1では、主搬送装置11の搬送上流側にバケット供給装置90を配置し、バケット9をひとつずつ主搬送装置11に順に流す。バケット供給装置90の下流側に青果物載置部30が配置され、作業者により青果物6がひとつずつバケット9の収納凹部9a・9a・9aに中心軸線を揃えて載置される。青果物載置部30の下流側に前記同様に品質計測部40が配置されて、前記同様に大きさ等が検出され、バケット9の収納凹部9aごとに大きさや品質等のデータが制御装置の記憶装置に記憶される。
前記品質計測部40の下流側に青果物6の大きさや品質ごとに搬送する吸着移送装置60・60・・・が順に配置され、主搬送装置11の搬送方向と直交する方向に搬送するように配置される。本実施形態では3種に選別され、上流側からL寸(大玉)用吸着移送装置60、M寸(中玉)用吸着移送装置60、S寸(小玉)用吸着移送装置60が平面視で平行に配置される。前記一の吸着移送装置60において、吸着部ユニット70は一つだけであり、該当する等級の青果物6が吸着移送装置60に搬送されてきたときのみ、ピックアップしてトレイ8の収納凹部8aへ搬送する。こうして、主搬送装置11により搬送されるバケット9上の青果物6は、等級毎にピックアップされて、トレイ8にパック詰めされる。バケット9から移送されない青果物6は不良品であり、廃棄ライン14へ搬送される。
前記吸着ノズル66は、図9、図10に示すように、接触リング71と吸着管72とエジェクタ73とからなる。接触リング71は、スポンジやゴム等の弾性部材で構成され、接触リング71の一端を吸着面とし、青果物6を吸着したときに傷つけないようにしている。また、接触リング71の他端は吸着管72に対して着脱可能、かつ、回転可能に取り付けられ、先端の吸着面が斜めにカットされて、トレイ8の種類に合わせて付け替え可能としている。また、載置台5やトレイ8の収納凹部8aの挿入方向(中心軸線方向)に合わせて回転して調節可能としている。但し、接触リング71の取付基部に回動アクチュエータを設けて、該回動アクチュエータにより移送位置に合わせて自動的に接触リング71を回動させる構成とすることも可能である。
前記吸着管72は、筒状に構成されて、軸心方向一端に前記接触リング71が取り付けられ、他端に空気吸引手段となるエジェクタ73が取り付けられる。吸着管72の側面には圧力センサ取付部72aと吸引力調節部72bを設けるための開口部が設けられ、該開口部は吸着管72の内外を連通する連通孔として、一方の連通孔を圧力センサ取付部72aとして、該圧力センサ取付部72aに圧力センサが取り付けられる。圧力センサの検知部は連通孔に臨ませて配置して、連通孔は圧力センサで閉じられ、該圧力センサは制御装置と接続される。該圧力センサからの検出値により、所定位置で青果物6を吸着したか、移送途中で青果物6が落下してないか等を検知でき、制御装置は吸着ミスが生じたときには、吸着をやり直したり、移送を停止したり、警報を発したりする制御を行う。
他方の開口部には、吸引力調節部72bが設けられ、該吸引力調節部72bは、吸着管72の内部と外部を連通する連通孔に、該連通孔の開口量を変更して吸引力を調節する吸引力調節手段が設けられている。この吸引力調節手段として、本実施形態では、連通孔にシャッター74を設けている。該シャッター74は摺動させることにより連通孔の開口面積を変更できるようにしている。つまり、シャッター74を開くほど連通孔の開口面積が大きくなり、接触リング71からの吸引に加えて吸引力調節部72bからも吸引されるため、吸引力は低下する。逆に、シャッター74を閉じるほど吸引力は大きくなる。
こうして、吸着管72からエジェクタ73側へ流れる空気量は変化させずに吸引力を調節でき、青果物6の大きさ(重量)に合わせて吸引力調節部72bのシャッター74を調節して、吸着時に青果物6を傷付けずに持ち上げ搬送できるようにできる。なお、シャッター74の構造は、板体を連通孔の軸心に対して直交方向に摺動する構成としているが、シャッター74の構成はこれに限定するものではなく、図12(a)に示すように、開口を有する二枚の円板の一方を回転させて、開口の重複面積を変更し吸引力を変更する構成とすることもできる。また、シャッター74は電動アクチュエータにより作動可能として、電動アクチュエータは制御装置と接続し、吸着管72内の圧力は前記圧力センサにより検出し、吸着時に設定吸引圧力となるように制御することも可能である。
また、吸引力調節手段は、シャッター74により連通孔の開口面積を変更構成に限定するものではなく、絞りのように連通孔の中心から外周に向かって開口部を可変とし吸引力を変更可能とする構成とすることもできる。また、図12(b)に示すように、吸着管72の外周に小さな連通孔を複数開口し、その連通孔をネジ等で任意の数だけ閉じられるようにし、その閉じられた数を変更することで吸引力を変更可能とすることもできる。また、吸着管72の外周に開口する連通孔は、面積が異なるように複数開口し、この連通孔を選択してネジ等で閉じることにより、吸引力を変更可能とすることもできる。
こうして、接触リング71に青果物を吸着させたときに、吸引力調節部72bで空気の逃がす量を青果物の大きさ(重量)や硬さに合わせて調節し、青果物を吸着したときの傷付きや落下を防止することができる。
前記エジェクタ73は一端より圧縮空気を吸入して他端へ送り吐出し、他端で負圧を発生させて接触リング71側から空気を吸入するようにしている。
以上のように、青果物6を吸着ノズル66により吸着して一方の青果物搬送装置51から他方のトレイ搬送装置53へ移送する吸着移送装置において、前記吸着ノズル66は吸着管72の一端に空気吸引手段となるエジェクタ73と接続し、吸着管72の他端に青果物6を吸着させる接触リング71を設け、前記吸着管73の側面には外部との開口量を可変とする開口部が形成されるので、開口部から吸入される空気量を調節して吸引力を調節できるようになり、青果部6の表面の硬さ(柔らかさ)や重さ等に応じて、傷つかないような吸引力に調節でき、所定の吸引力を保持して品質を落とすことなく移送することができる。
また、前記開口量を可変とする開口部は、外部と連通する連通孔と、該連通孔の開口量を調節するシャッター74を有するので、開口量の調節はシャッター74を摺動させるだけで調節でき、構造が簡単で調節が容易にできる。