以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本願において「青果物」とは、選別ラインや搬送用パン等に載置可能なあらゆる果実及び野菜を含む概念であり、例えばイチゴやミカン等の小型のもの、桃、梨又はリンゴ等の中型のもの、メロンやスイカ等の大型のものが挙げられる。
まず、図1から図3を参照しながら、イチゴ等の青果物2を選別及び容器詰めする選果システム1について説明する。この実施形態の選果システム1は、青果物の選別機能を有する青果物容器詰め装置を構成する。この実施形態では、青果物2は可食部2aとがく片部2bを有するイチゴであるものとして説明する。
図1に示すように、選果システム1は、青果物2を載置した載置台3を搬送する主搬送装置4(搬送装置)と、作業者によって載置台3に青果物2が載置される青果物載置部5と、青果物2ごとに青果物重量を計測する重量計測装置6と、載置台3に載置された青果物2の品質を計測する品質計測装置7と、青果物2を等級及び階級ごとに載置台3から平トレイ8(収納容器)へ移送する複数の容器詰め部9を備えている。主搬送装置4に沿って上流側から順に、青果物載置部5、品質計測装置7、容器詰め部9が配置される。
載置台3は略円筒形状を有している。載置台3の上面には、載置された青果物2の向きを揃えるべく、青果物2の形状に合わせた形状、例えば略角錐状の凹部が形成されている。載置台3の中央部には上下に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔は、品質計測装置7において光照射装置により例えば上方から照射される光を下方側で受光装置が受光可能にするために設けられている。このような載置台3は例えば特許文献2に開示されている。また、載置台3の例えば側面に、個々の載置台3を識別するための識別部材が貼設されている。この識別部材は、例えばICチップやバーコード、二次元コード、磁気テープ等で構成される。
主搬送装置4は、例えば電動モータ等の選別搬送駆動装置4a(図4参照)により駆動されるベルトコンベアにより構成される。主搬送装置4の送り終端に廃棄ライン10が設けられている。例えば形状や大きさ、品質等が規格外の青果物2は廃棄ライン10に搬送される。また、主搬送装置4には、青果物2が正確に載置されていない載置台3を品質計測装置7の下流側から主搬送装置4の上流側へ戻すリターンライン11が接続されている。また、載置された青果物2が容器詰め部9において平トレイ8へ移送された空の状態の載置台3を容器詰め部9の送り終端から主搬送装置4の上流側に戻す載置台戻りライン12が設けられている。青果物載置部5では作業者によって載置台3に青果物2が載置される。この実施形態では、青果物2は、載置台3の上記凹部に略横に寝かせるようにして載置される。
重量計測装置6では載置台3に載置された青果物2の重量(階級)が計測される。重量計測装置6には、例えばロードセル等を有して青果物2の重量を計測する計量機器6aや、載置台3の識別部材に記録された識別情報(例えば識別番号)を読み取る計量位置の識別情報読取装置6b等が設けられている(図4参照)。品質計測装置7では載置台3に載置された青果物2の品質(等級)が計測される。品質計測装置7には、青果物2を撮像する画像取得装置7aや、その画像取得装置で撮像された画像に関する情報の画像処理を行う画像処理装置7b、青果物2の内部の品質を計測する光照射装置7c及び受光装置7d、載置台3の識別部材に記録された識別情報を読み取る品質計測位置の識別情報読取装置7e等が配置されている(図4参照)。
重量計測装置6の計量データと品質計測装置7(受光装置7d)の透過光の検出データから、各青果物2の階級及び等級が例えばSサイズ等級良(低糖度)、Sサイズ等級優(中糖度)、Sサイズ等級秀(高糖度)、Mサイズ等級良、Mサイズ等級優、Mサイズ等級秀、Lサイズ等級良、Lサイズ等級優、Lサイズ等級秀というように分類される。
図1に示すように、容器詰め部9は、主搬送装置4の例えば左右両側に複数配置される。載置台3は、載置されている青果物2の等級及び階級等に応じて主搬送装置4からいずれかの容器詰め部9又は廃棄ライン10に搬送される。容器詰め部9ごとに、搬送される青果物2の等級及び階級が予め設定されている。容器詰め部9は、載置台3に載置されている青果物2を平トレイ8の収納部8a(図3参照)に移送する。この実施形態では、主搬送装置4の搬送方向に対して左右それぞれに3つずつ容器詰め部9が配置されている。
容器詰め部9は、主搬送装置4の左側又は右側に搬送路が分岐するように配置される仕分け搬送装置91と、主搬送装置4と仕分け搬送装置91との分岐部分に配置される仕分け装置92a〜92fと、載置台3の向き、ひいては青果物2の向きを修正する方向修正装置(図示省略)と、平トレイ8を搬送するトレイ搬送装置93(容器配置部)と、載置台3に載置された青果物2を平トレイ8に移送する移送装置60を備えている。容器詰め部9において、移送装置60と仕分け搬送装置91とトレイ搬送装置93は搬送フレーム70上に配設されている。
仕分け装置92a〜92fは、主搬送装置4の搬送上流側からその順に配置されており、主搬送装置4と仕分け搬送装置91との各分岐部分において青果物2が載置された載置台3を仕分け搬送装置91へ移送させるものである。仕分け装置92a〜92fは、例えば仕分けシリンダ90a〜90f(図4参照)の作動により、目的の載置台3を主搬送装置4から仕分け搬送装置91へ導くように動作する。
仕分け搬送装置91は例えばベルトコンベアで構成され、載置台3を搬送する仕分け搬送ベルト91aと、仕分け搬送ベルト91aを作動させる例えば電動モータ等の仕分け搬送用駆動装置91bと、後述する移送装置60が載置台から青果物2を取り出すに青果物取出位置95の識別情報読取装置91cを備えている。
仕分け搬送装置91は、仕分け装置92a〜92fによって主搬送装置4から移送された青果物2及び載置台3を搬送するものである。仕分け搬送装置91は、その搬送方向が主搬送装置4の搬送方向に対して直交するように配置される。
容器詰め部9の方向修正装置(図示省略)は、仕分け搬送装置91によって搬送される載置台3の向きを修正して、後述する移送装置60の吸着部66によって青果物2のがく片部2bを吸着可能なように、載置台3に載置される青果物2の向き(青果物2のがく片部2bの向き)を修正する。このような方向修正装置は例えば特許文献2に開示されている。例えば、方向修正装置は、後述する移送装置60の吸着部66により青果物2のがく片部2bを吸着可能にすべく、載置台3を平面視で時計回り又は反時計周りに回転させて、青果物2のがく片部2bが仕分け搬送装置91の搬送方向に対して右方に135度の方向を向くように青果物2の向きを修正する。
図2及び図3に示すように、トレイ搬送装置93は例えばベルトコンベアによって構成される。トレイ搬送装置93は、その搬送方向が仕分け搬送装置91の搬送方向と同一方向及び逆方向となるように、仕分け搬送装置91に平行に並べて配置される。また、トレイ搬送装置93は仕分け搬送装置91の搬送方向に対して例えば右方に配置される。トレイ搬送装置93は、駆動ローラ93aと従動ローラ93bの間に巻回されたトレイ搬送ベルト93cと、駆動ローラ93aを駆動するトレイ搬送駆動装置93dを備えている。トレイ搬送駆動装置93dは例えば電動モータで構成される。トレイ搬送駆動装置93dの作動は制御装置100(図4参照)によって制御される。
トレイ搬送ベルト93c上に複数の平トレイ8が配置される。図1では、仕分け装置92aを有する容器詰め部9のトレイ搬送装置93のみに複数の平トレイ8が図示されているが、他の容器詰め部9のトレイ搬送装置93にも複数の平トレイ8が配置される。各平トレイ8には青果物2を収納する複数の収納部8aが形成されている。平トレイ8は、収納部8aのがく片部収納位置8bがトレイ搬送装置93の搬送前進方向(仕分け搬送装置91の搬送方向と同じ方向)に対して右方に135度(左方に45度)の方向を向くようにしてトレイ搬送ベルト93c上に載置されて搬送される。トレイ搬送装置93には平トレイ8の位置を検出するトレイ位置検出センサ93e(図4参照)が設けられている。
移送装置60は、仕分け搬送装置91によって搬送される載置台3に載置される青果物2をトレイ搬送装置93によって搬送される平トレイ8へ移送するものであり、制御装置100(図4参照)に接続される。移送装置60は、横移送レール61、シリンダブラケット62、上下シリンダ63、支持部64、吸着シリンダ65及び吸着部66を備えている。
横移送レール61は、仕分け搬送装置91及びトレイ搬送装置93の搬送方向に対して略直交する方向に延伸して、仕分け搬送装置91及びトレイ搬送装置93の上方に配置されている。シリンダブラケット62は、横移送レール61の延伸方向(矢印Aの方向)に摺動可能に横移送レール61の下面に支持されている。横移送レール61には例えばリニアアクチュエータ61aが設けられて、シリンダブラケット62を水平方向に摺動駆動可能としている。リニアアクチュエータ61aは例えば電動シリンダ又はリニアモータ等で構成され、速度変更可能とし、制御装置100(図4参照)によって移動速度が制御される。
シリンダブラケット62には上下シリンダ63が固定されている。上下シリンダ63には上下方向(矢印Bの方向)に伸縮可能なピストンロッドが設けられ、そのピストンロッドの先端部(下端部)に支持部64が固定されている。支持部64には吸着シリンダ65が固定される。上下シリンダ63及び吸着シリンダ65は、例えば電動シリンダ又はリニアモータ等で構成され、速度変更可能とし、制御装置100(図4参照)によって移動速度が制御される。
吸着シリンダ65にはピストンロッドが突設され、そのピストンロッドの先端部(下端部)には吸着部66が固定される。容器詰め部9の移送装置60の吸着シリンダ65のピストンロッドは、平面視で仕分け搬送装置91上の載置台3に載置された青果物2の主軸とトレイ搬送装置93上の平トレイ8の収納軸におおよそ平行(矢印Cの方向)で、やや下方に伸縮可能に構成される。ここで、青果物2の主軸は可食部2aの先端とがく片部2bの中央を結ぶ直線である。また、平トレイ8の収納軸はトレイ8の収納部8aにおける、がく片部収納位置8bの中央と、収納部8aに青果物2が収納されたときにその先端部が位置する部分を結ぶ直線である。
吸着部66は、空気を吸引する吸引装置67(図4参照)と接続され、吸引装置67の作動により吸着部66の先端に青果物2を吸着することができる。吸引装置67は例えばエジェクタ又はポンプ等で構成される。吸着部66は青果物2のがく片部2b側からこれを吸着するように構成される。このような移送装置60は例えば特許文献3に開示されている。
次に、図4を参照しながら、選別制御(判定、仕分け、集積及び容器詰め制御の総称)のための構成例について説明する。選果システム1には、青果物2の区分(等級や階級)を選別(判定、仕分及び集積)する選別制御を司る制御装置100が設けられている。詳細な図示は省略するが、制御装置100は、各種演算処理や制御を実行するCPUのほか、制御プログラムやデータを記憶させるためのROM、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるためのRAM、及び入出力インターフェイス等を備えている。ここでRAMは青果物2の識別情報と等級及び階級等を関連付けて記憶する記憶装置101を構成する。なお、記憶装置101は制御装置100と通信可能に制御装置100の外部に設けられた例えばHDD(hard disk drive)やフラッシュメモリ、SSD(solid state drive)等の記憶装置であってもよい。
制御装置100には、主搬送装置4の選別搬送駆動装置4a、重量計測装置6の計量機器6a及び計量位置の識別情報読取装置6b、品質計測装置7の画像取得装置7a、画像処理装置7b、光照射装置7c、受光装置7d及び品質計測位置の識別情報読取装置7e、仕分け装置92a〜92fの仕分けシリンダ90a〜90f及び仕分け位置の識別情報読取装置94a〜94f、移送装置60のリニアアクチュエータ61a、上下シリンダ63、吸着シリンダ65及び吸引装置67、仕分け搬送装置91の仕分け搬送駆動装置91b及び青果物取出位置95の識別情報読取装置91c、トレイ搬送装置93のトレイ搬送駆動装置93d及びトレイ位置検出センサ93e等が接続されている。
次に、図4から図8を参照しながら、選別制御の一例について説明する。図5から図7のフローチャートで示すアルゴリズム(プログラム)は、制御装置100のROMに記憶されていて、当該アルゴリズムをRAMに呼び出してからCPUで実行される。選果システム1上の各青果物2は、計量機器6a及び品質計測装置7で青果物2の階級(重量)と等級(糖度)を測定され、測定結果に応じて選別される。
例えば1荷口分の青果物2の選別作業を実行する場合、主搬送装置4の作動により青果物載置部5に搬送されてくる各載置台3の上に青果物2が1個ずつ載置される。青果物2が載置された載置台3は重量計測装置6、品質計測装置7に順次送られる。
載置台3が重量計測装置6に到達すると、図5に示す判定制御が開始される。計量位置の識別情報読取装置6bが載置台3に貼設された識別部材のデータを読み取り、計量位置に青果物2があることを確認すると(ステップS01:YES)、読み取った識別部材のデータから載置台3を特定する(ステップS02)。次いで、計量機器6aで青果物2を載置台3と共に計量して計量結果を制御装置100に入力して(ステップS03)、計量結果から青果物2の重量データを取得し(ステップS04)、青果物2の重量データに基づき、青果物2の階級を判定する(ステップS05)。その後、青果物2を載置した載置台3は品質計測装置7へ搬送される。
載置台3が品質計測装置7に到達し、品質計測位置の識別情報読取装置7eが載置台3に貼設された識別部材のデータを読み取り、識別情報読取装置7eで品質計測位置に青果物2があることを確認すると(ステップS06:YES)、読み取った識別部材のデータから載置台3を特定する(ステップS07)。そして、青果物2を透過した光照射装置7cの透過光を受光装置7dによって検出して検出結果を制御装置100に入力し(ステップS08)、検出結果から青果物2の糖度データを取得する(ステップS09)。次いで、青果物2の糖度データに基づき、青果物2の等級を判定する(ステップS10)。
次いで、青果物2の重量データ、階級、糖度データ及び等級を載置台3の識別部材に対応させて記録する(ステップS11)。なお、品質計測装置7は、青果物2の変質度合い、青果物2の傷の有無、青果物2のがく片部2bの有無、載置台3に載置される青果物2の向き、青果物2の糖度や酸度、青果物2の残留農薬濃度等に関する情報も制御装置100に送信し、制御装置100はこれらの情報も載置台3の識別情報に関連付けて記憶装置101に記憶する。その後は、等階級決定後の青果物2を載せた載置台3を下流側にある仕分け装置92a〜92fに搬送する。青果物2の階級及び等級を判定して記録する作業(ステップS01〜S11)は、1荷口分の青果物2の選別作業が全て終了するまで自動的に繰り返し実行される。
等階級決定後の青果物2を載せた載置台3が仕分け装置92a〜92fに到達すると、図6に示す仕分制御が開始される。仕分制御では、仕分け位置の識別情報読取装置94a〜94fが載置台3の識別部材のデータを読み取り、仕分け位置に青果物2があることを確認すると(ステップS21:YES)、識別部材のデータに対応した青果物2の階級及び等級を読み込む(ステップS22)。載置台3上の青果物2がSサイズ等級優であれば(ステップS23:YES)、仕分けシリンダ90aを作動させて主搬送装置4上の載置台3を容器詰め部9に送り出す(ステップS24)。載置台3の青果物2がSサイズ等級秀であれば(ステップS25:YES)、仕分けシリンダ90bを作動させて主搬送装置4上の載置台3を容器詰め部9に送り出す(ステップS26)。載置台3の青果物2がMサイズ等級優であれば(ステップS27:YES)、仕分けシリンダ90cを作動させて主搬送装置4上の載置台3を容器詰め部9に送り出す(ステップS28)。
載置台3の青果物2がMサイズ等級秀であれば(ステップS29:YES)、仕分けシリンダ90dを作動させて主搬送装置4上の載置台3を容器詰め部9に送り出す(ステップS30)。載置台3の青果物2がLサイズ等級優であれば(ステップS31:YES)、仕分けシリンダ90eを作動させて主搬送装置4上の載置台3を容器詰め部9に送り出す(ステップS32)。載置台3の青果物2がLサイズ等級秀であれば(ステップS33:YES)、仕分けシリンダ90fを作動させて主搬送装置4上の載置台3を容器詰め部9に送り出す(ステップS34)。なお、選別対象外の青果物2を載せた載置台3は、主搬送装置4の送り終端部から廃棄ライン10に回収される。
次に、図2から図4を参照しながら、容器詰め部9において青果物2を青果物取出位置95から青果物載置位置96へ移送する動作について説明する。容器詰め部9の仕分け搬送装置91及びトレイ搬送装置93によって、青果物2が載置された載置台3が青果物取出位置95へ搬送され、平トレイ8が青果物載置位置96へ搬送される。仕分け搬送装置91は青果物取出位置の識別情報読取装置91cが載置台3を検出すると、青果物取出位置95に載置台3が停止されるようにして搬送動作を停止する。また、トレイ搬送装置93は、トレイ位置検出センサ93eの検出値に基づいて平トレイ8の収納部8aのうち目的のラインの収納部8a群(この実施形態では5個)が青果物載置位置96に停止されるようにして搬送動作を停止する。
次に、移送装置60のリニアアクチュエータ61aを作動してシリンダブラケット62を移動させ、吸着部66を青果物取出位置95にある載置台3の上方に位置させる。上下シリンダ63を伸長させて吸着部66を下降させ、下端位置で吸着シリンダ65を伸長させて、載置台3に載置された青果物2に向かって吸着部66の先端部を近接させる。吸引装置67を作動させ、吸着部66の先端部に青果物2のがく片部2bを吸着させる。
次に、吸引圧を検知する吸着センサ(図示省略)により吸着部66による青果物2の吸着が確認されると、吸着シリンダ65を縮小しながら上下シリンダ63を縮小させて、青果物2を吸着した吸着部66を上昇移動させる。吸着部66が上昇位置に移動した後、リニアアクチュエータ61aを作動して、シリンダブラケット62をトレイ搬送装置93側へ移動させて、青果物2を吸着している吸着部66を青果物載置位置96の上方まで水平移動させる。青果物2は、青果物載置位置96でリニアアクチュエータ61aの移動方向(矢印Aの方向)に平行に配列された複数の収納部8aのうち予め配置決定された収納部8aの上方に配置される。その後、上下シリンダ63を伸長させて吸着部66及び青果物2を下降移動させる。
吸着部66が平トレイ8に到達すると、吸着シリンダ65を伸長させて、青果物2を平トレイ8の収納部8aに収納し、吸引装置67による空気の吸引を終了して吸着部66より青果物2を開放する。このような動作を繰り返すことで、平トレイ8に複数個の青果物2を並べて詰めることができる。なお、仕分け搬送装置91は、青果物取出位置95で載置台3上の青果物2が移送されると、その搬送動作を再開し、搬送方向上流側の次の載置台3を青果物取出位置95に配置する。空の載置台3は、仕分け搬送装置91の搬送動作により、載置台戻りライン12へ搬送されるように構成される。
次に、図4、図7及び図8を参照しながら、平トレイ8に収納される青果物2の配置を決定する処理の一例について説明する。制御装置100は、等階級決定後の青果物2について、等階級ごとに青果物2の玉数を計測し、等階級ごとに、青果物2の玉数が平トレイ8の収納部8aの数(青果物収納数)よりも多い所定数(例えば40玉)に達すると、平トレイ8に収納される青果物2ごとの配置を決定する演算を行う。
図7に示すように、ある等階級について、重量計測装置6及び品質計測装置7により該等階級であると判定された配置未決定の青果物2の玉数が平トレイ8の収納部8aの個数(1トレイ収納玉数、例えば30個)よりも多い所定玉数、例えば40玉だけあると判定されると(ステップS41:YES)、制御装置100はそれらの青果物2の青果物重量データを識別情報と関連付けて記憶装置101から読み込む(ステップS42)。
制御装置100は、搬送順序(青果物取出位置95に到達する順序)で先頭から所定玉数範囲の青果物2の青果物重量データを含み、かつ1トレイの青果物総重量が所定範囲内になるように、1トレイ収納玉数と同じ数だけ青果物重量データを選択する(ステップS43)。例えば、搬送順序で先頭から10玉までの各青果物重量に、残り20玉の各青果物重量を加算した合計30玉(1トレイ収納玉数)の青果物総重量が所定範囲内になるように、青果物重量データを選択する。ここで、青果物総重量Wの所定範囲は、例えば下限総重量Wminが300グラム、上限総重量Wmaxが310グラムである。また、30玉分の青果物総重量Wに目標総重量Wtarget(例えば下限総重量Wminと同じく300グラム)を設定し、青果物総重量Wが目標総重量Wtargetになるべく近づくように、青果物重量データが選択されることが好ましい。
続いて、制御装置100は、選択した30玉分の青果物重量データに対応する青果物2の平トレイ8内での配置を決定し、その配置を記憶する(ステップS44)。例えば、図8を参照して説明すると、制御装置100は、選択した30玉の青果物2を搬送順序に沿ってL1C1,L1C2,L1C3,・・・,L6C3,L6C4,L6C5の各収納部8aに収納するように青果物2の収納配置を決定する。そして、制御装置100は、決定した収納配置に関する情報を各識別情報データに関連付けて記憶装置101に記憶する。その後、ステップS41に移行し、平トレイ8での青果物2の収納配置決定処理が繰り返される。
なお、ステップS43で選択されなかった10玉分の青果物重量データに対応する青果物2の収納配置の決定は次回の収納配置決定処理時に行われる。つまり、この10玉の青果物2は次の平トレイ8に振り分けられる。そして、これらの青果物2は、次回の収納配置決定処理時には必ず選択されるようにされている(ステップS43)。同じ青果物2がステップS43で選択から漏れ続けて、その青果物2の収納位置が決定されない事態を防止するためである。ここで、ステップS43で必ず選択される青果物2の玉数(搬送順序で先頭から所定玉数範囲)と、選択から漏れる玉数は、同じでなくてもよく、必ず選択される玉数は、選択から漏れる玉数よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
図8を参照しながら、決定した収納配置に基づく平トレイ8への青果物2の収納方法を説明する。収納配置が決定された青果物2を載置した載置台3が青果物取出位置95に到達すると、トレイ搬送装置93は、青果物取出位置95に到達した青果物2の収納位置に応じた平トレイ8の行L1〜L6のうちのいずれかを青果物載置位置96に配置する。
例えば、平トレイ81への青果物2の収納配置決定時に、搬送順序で先頭から16番目までの青果物2及び18番目の青果物2が選択され、17番目の青果物2が選択から漏れて次の平トレイ82へ振り分けられたとする。平トレイ81に収納位置が割り当てられた青果物2のうち最初の青果物2が平トレイ81に移送される際、トレイ搬送装置93はトレイ搬送ベルト93cの移動量を調節して、平トレイ81の行L1を青果物載置位置96に停止させる。移送装置60(図2参照)により青果物取出位置95の載置台3から平トレイ81のL1C1位置の収納部8aに青果物2を移送する。その後、青果物取出位置95に2番目から5番目の青果物2を載置した載置台3が順次到達すると、移送装置60は青果物2を平トレイ81のL1C2〜L1C5位置の各収納部8aに順次移送する。この間、トレイ搬送装置93は作動停止している。
次に、6番目の青果物2の平トレイ81への移送の際に、トレイ搬送装置93は、トレイ搬送ベルト93cを正回転させて、平トレイ81を含むトレイ搬送ベルト93c上の複数の平トレイ8を前進方向(仕分け搬送装置91での載置台3の搬送方向と同じ方向)へ所定量だけ移動させ、平トレイ81の行L2を青果物載置位置96に停止させる。その後、L1C1〜L1C5位置の収納部8aへの青果物2の移送と同様に、L2C1〜L2C5位置の各収納部8aへ青果物2が移送される。続いて、平トレイ81の行L3のL3C1〜L3C5位置の各収納部8aに、同様にして青果物2が移送される。
続いて、16番目の青果物2の平トレイ81への移送の際に、トレイ搬送装置93は平トレイ81を前進方向へ所定量だけ移動させて、平トレイ81の行L4を青果物載置位置96に停止させ、移送装置60は平トレイ8のL4C1位置の収納部8aに青果物2を移送する。次に青果物取出位置95に到達する青果物2は、平トレイ81への青果物2の収納配置決定時に次の平トレイ82へ振り分けられた17番目の青果物2なので、トレイ搬送装置93は、トレイ搬送ベルト93cを正回転させて、平トレイ81,82を含むトレイ搬送ベルト93c上の複数の平トレイ8を前進方向へ所定量だけ移動させて、平トレイ82の行L1を青果物載置位置96に停止させる。移送装置60により青果物取出位置95に到達した青果物2が平トレイ82のL1C1位置の収納部8aに移送される。
次に青果物取出位置95に到達する青果物2は、平トレイ81への青果物2の収納配置決定時に次の平トレイ81へ振り分けられた18番目の青果物2なので、トレイ搬送装置93は、トレイ搬送ベルト93cを逆回転させて、平トレイ81,82を含むトレイ搬送ベルト93c上の複数の平トレイ8を後進方向(前進方向とは逆方向)へ所定量だけ移動させて、平トレイ81の行L4を青果物載置位置96に停止させる。移送装置60により青果物取出位置95に到達した青果物2が平トレイ81のL4C2位置の収納部8aに移送される。
その後、トレイ搬送装置93は、青果物取出位置95に到達する青果物2が移送される平トレイ8及び行が青果物載置位置96に配置されるように、トレイ搬送ベルト93cを正回転又は逆回転させて、トレイ搬送ベルト93c上の複数の平トレイ8を前後進移動させる。そして、移送装置60は、青果物載置位置96に配置された収納部8aのいずれかに青果物2を順次移送する。
このように、この実施形態の選果システム1(青果物容器詰め装置)は、平トレイ8(収納容器)内の青果物2の総重量が所定範囲内になるように青果物2を複数の平トレイ8に順次振り分けて収納するので、各平トレイ8内の青果物2の総重量を規格に合わせることができるとともに、できるだけ均一化して青果物2を容器詰めできる。ひいては、平トレイ8ごとの青果物2の総重量のバラつきが低減される。さらには、平トレイ8に収納された青果物2の重量計測作業や詰め直し作業を行う必要がなくなるので、これらの作業による作業時間の長時間化及び青果物2の損傷が防止される。
また、この実施形態の選果システム1では、トレイ搬送装置93は移送装置60により青果物2が平トレイ8に載置される青果物載置位置96に対して平トレイ8を前後進移動させるので、青果物載置位置96に対して平トレイ8を逆戻りさせることができ、青果物取出位置95に搬送される青果物2を複数の平トレイ8に順次振り分けて移送できる。なお、トレイ搬送装置93は一方向にのみ平トレイ8を搬送可能で、移送装置60が平面視で二次元に青果物2を移送可能な構成であれば、青果物2を複数の平トレイ8に順次振り分けて移送できる。
次に、図9を参照しながら、平トレイ8に収納される青果物2の配置を決定する処理の他の例について説明する。制御装置100は、等階級決定後の青果物2について、等階級ごとに、青果物2の玉数が平トレイ8の収納部8aの数(青果物収納数、例えば30玉)に達すると、平トレイ8に収納される青果物2の配置を決定する演算を行う。
図9に示すように、ある等階級について、重量計測装置6及び品質計測装置7により該等階級であると判定された配置未決定の青果物2の数が平トレイ8の収納部8aの数(1トレイ分)だけあると判定されると(ステップS51:YES)、制御装置100はそれらの青果物2の青果物重量データを識別情報と関連付けて記憶装置101から読み込む(ステップS52)。
制御装置100はそれらの青果物の青果物重量を加算して1トレイ分の青果物総重量Wを算出し(ステップS53)、1トレイ分の青果物総重量Wが所定範囲内にあるか否か、つまり下限総重量Wmin以上、上限総重量Wmax以下であるか否かを判定する(ステップS54,ステップS55)。ここで、青果物総重量Wの所定範囲は、例えば下限総重量Wminが300グラム、上限総重量Wmaxが310グラムである。
青果物総重量Wが下限総重量Wminよりも小さいとき(ステップS54:No)、制御装置100は青果物総重量Wの算出に用いた青果物重量データのうち最も値が小さい重量データに対応する青果物2の移送(収納)を次の平トレイ8へ振り分けるべく、その青果物2の配置決定を一旦保留し、青果物総重量Wの算出に用いている青果物重量データ群から除外する(ステップS56)。制御装置100は、搬送順序(等階級が決定された順序)で、次の配置未決定の青果物2がある場合(ステップS57:YES)、その配置未決定の青果物2の青果物重量データを識別情報と関連付けて記憶装置101から読み込む(ステップS58)。次の配置未決定の青果物2がない場合(ステップS57:NO)、平トレイ8に対する青果物2の収納配置決定処理は中断される(リターン)。
また、青果物総重量Wが上限総重量Wmaxよりも大きいとき(ステップS55:No)、制御装置100は青果物総重量Wの算出に用いた青果物重量データのうち最も値が大きい重量データに対応する青果物2の移送を次の平トレイ8へ振り分けるべく、その青果物2の配置決定を一旦保留し、青果物総重量Wの算出に用いている青果物重量データ群から除外する(ステップS59)。その後、制御装置100は、上記ステップS57後の処理と同様に、ステップS58,59の処理を行う。なお、ステップS54とステップS55の処理はどちらが先であってもよい。
制御装置100は、ステップS59で次の配置未決定の青果物2の青果物重量データを取得すると、その青果物重量データと、先の青果物総重量Wの計算に用いた青果物重量データ群(除外されたデータを除く)を用いて1トレイ分の青果物総重量Wを算出する(ステップS53)。制御装置100は1トレイ分の青果物総重量Wが所定範囲内になるまでステップS53からS59を繰り返す。
1トレイ分の青果物総重量Wが所定範囲内にあるとき(ステップS54:YES、ステップS55:YES)、仕分け搬送装置91の青果物取出位置95に青果物2が到達する順序(等階級が決定された順序)に沿って、青果物2をL1C1,L1C2,L1C3,・・・,L6C3,L6C4,L6C5の各収納部8aに収納するように1トレイ分の青果物2の配置を決定し、青果物2ごとに収納部8aの位置を識別情報に関連付けて記憶装置101に記憶する(ステップS60)。
続いて、制御装置100は、次の平トレイ8に対する青果物2の収納配置決定に備えるべく、ステップS56,S59で配置決定を保留した青果物2がある場合には(ステップS61:YES)、その青果物2について配置決定を保留されたことを示す保留情報を識別情報に紐付けして記憶装置101に記憶した後(ステップS62)、ステップS51に移行する。識別情報に紐付けされた保留情報は、次の青果物2の収納配置決定時にステップS52で読み込まれ、配置決定を一度保留された青果物2については、その青果物2について配置決定の保留が繰り返されるのを防止すべく、ステップS56,S59で保留対象から除外され、配置決定が再度保留されないようにしている。
このように、この実施形態の選果システム1(青果物容器詰め装置)は、平トレイ8(収納容器)内の青果物2の総重量が所定範囲内になるように青果物2を複数の平トレイ8に振り分けて収納するので、各平トレイ8内の青果物2の総重量をできるだけ均一化して青果物2を容器詰めでき、ひいては平トレイ8ごとの青果物2の総重量のバラつきを低減できる。
本願発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、様々な態様に具体化できる。また、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限られるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
例えば、青果物2の上記収納配置決定処理は一例であり、上記収納配置決定処理例における数値は適宜変更可能である。また、収納容器内の青果物総重量が所定範囲内になるように、複数の青果物を複数の収納容器に振り分けて収納配置を決定できる方法であれば、どのような方法が用いられてもよい。また、収納容器は凹部状の収納部8aを有する平トレイ8に限定されず、青果物を収納可能な容器であれば、本願発明の青果物容器詰め装置に適用可能である。
また、収納容器の青果物収納領域又は玉数を複数の分割収納領域又は分割玉数に分割して、分割収納領域又は分割収納玉数ごとに青果物総重量が所定範囲内になるように、青果物を振り分けて収納してもよい。例えば、図3の平トレイ8の30個の収納部8aを10個ずつの3つの領域、又は5個ずつの6つの領域に分割して、各分割領域を収納容器とみなして上記実施形態の収納配置決定処理と同様の処理を行ってもよい。
また、例えば特許文献2に開示されているように、搬送順序で連続する複数の青果物を移送装置により同時に移送する構成であっても、同時に移送される青果物群を1つの青果物とみなして上記実施形態の収納配置決定処理と同様の処理を行えば、収納容器内の青果物総重量が所定範囲内になるように、同時に移送される青果物群を複数の収納容器に順次振り分けて移送できる。これにより、上記実施形態と同様に、収納容器内の青果物総重量のバラつきを低減でき、収納容器に収納された青果物を詰め直す必要がなくなり、詰め直しによる作業時間の長時間化及び青果物の損傷が防止される。
また、上記実施形態では容器詰め対象はイチゴであるが、本願発明の青果物容器詰は、例えばミニトマト、ミズナス、桃、梨、柑橘類、リンゴ、メロンなど、他の青果物の容器詰めにも適用可能である。なお、青果物を等階級ごとに選別する基準は青果物の種類などに応じて様々である。例えば、イチゴは重量で階級選別されるが、大きさで階級選別される青果物もある。