JP6492870B2 - 難燃性ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
(ここで、R1はメチル基またはエチル基で代表されるアルキル基やメトキシアルキル基等の置換アルキル基であり、R2、R3はそれぞれ独立してプロピレン基等のアルキレン基、X、Yはそれぞれ独立して有機官能基である)。
ICP発光分析装置(Varian製730−ES)を用いて、サンプル中のリン元素含有量を測定した。測定にあたり、標準溶液としてSPEX製のXSTC−22(リン含有量100ppm)を使用し、原液、10倍希釈(同10ppm)、100倍希釈(同1ppm)の3種類の溶液から検量線を作成した。なお、フィルム全体のリン元素含有量を測定する際はフィルム全体をそのまま切り出してサンプルとし、フィルムを構成するそれぞれの層のリン元素含有量を測定する際はミクロトームなどを用いて各層を分離することでサンプルとした。
サンプルを1.0g・dl−1濃度になるようフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの重量比1:1溶液中に加えた。この溶液を110℃で20分間加熱し、ポリエステル樹脂組成物を溶解させた後、容器を30分間水道水に浸して室温まで冷却させた。毛細管粘度計“VMS−022UPC・F10”(離合社製)を用いて、この溶液の流下時間、およびフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン溶液のみ(リファレンス液)の流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、極限粘度を算出した。その際、Huggins定数は0.33と仮定した。なお、IVの単位は“dl・g−1”とする。サンプリング方法は上述のリン元素含有量測定に準じた。
アンダーライターズラボラトリーズ(UL)社発行のプラスチック材料の燃焼性試験規格UL94に準じ、ポリエステルフィルムのUL94VTM試験を行う。本試験方法は結果がばらつくことが少なくないため、評価の信頼性をより高める目的で、1種のポリエステルフィルムサンプルに対し通常5回ずつ試験を行うところを、10回ずつ行うこととした。以下に、難燃性評価手順について説明する。
フィルムを200mm×50mmに裁断し、試料下端から125mmのところで試料の幅方向に標線を入れる。試料の縦軸を直径12.7mmの棒の縦軸に硬く巻きつけて、125mmの線が外側に露出する、長さ200mmの円筒状にする。試料の外にはみ出た縁部は、125mmの標線(筒の上部)の上方75mmの間で粘着テープにより固定する。
最後に棒を引き抜く。
上記(i)により得られた試験片を
(a)気温23±2℃、相対湿度50±5%の環境下で48時間以上処理
(b)気温70℃±2℃で168±2時間処理後、気温23±2℃、相対湿度20%以下で4時間以上冷却
したものをそれぞれ10本ずつ用意する。(a)を受理状態、(b)をエージング状態と呼ぶ。
(ii)の試験片の縦軸を垂直にして、上端の長さ6mmの位置でスプリング付きのクランプで挟んで固定し、筒の上端が閉じて試験中に煙突効果を生じないようにする。試験片の真下には、最大厚みが6mmの1枚の0.05gの脱脂綿(50mm×50mm)を水平に置くが、試験片の下端はこの脱脂綿よりも300mm上にあるようにする(図1参照)。
バーナーから高さ20mmの青炎が出るよう調整する。その炎を出すためには、ガスの供給とバーナーの空気入口を調整して先端が黄色い高さ20mmの青い炎が出るようにする。続いて黄色い先端が消えるまで空気の供給を増やす。その後再度炎の高さを測定して、必要に応じて再調整をする。この時、バーナーへのメタンガス供給は“ASTM D 5207”に準じた方法で流量を調整する。
炎は、試験片の巻かれていないほうの下端の中心点を中心に当て、バーナーの先端はその中心点から10±1mm下にあるようにして、その位置で3秒接炎を続ける。ただし、試験片の長さおよび中心位置は燃焼によって変化するので、その変化に応じてバーナーの位置を移動させる。接炎中に溶融物または発煙物が滴下する場合は、バーナーの角度を45度までの範囲で傾け、バーナーの管の中にそれらの物質が落下するのを防ぐためにちょうど十分なだけ試験片の下から移動させる。その間もバーナーの先端の中心と試験片の残存部分間は10±1mmの距離を保たなければならない。3秒間接炎の後、直ちにバーナーを試験片から毎秒約300mmの速度で少なくとも150mm遠ざけ、同時に経時装置により残炎時間t1を秒で計測し始める。
1回目の接炎に由来する試験片の残炎が消滅した時点で、(バーナーを試験片から150mm以上はなれたところまで遠ざけていなくても)直ちにバーナーを試験片の下に持ってきて、試験片の残りの部分の下端から10mm±1mm離れた箇所にバーナーを保持しておく。ただし、必要に応じてバーナーを動かして、妨害物のない状態で燃焼による落下物の挙動が確認できるようにする。3秒間接炎の後、直ちにバーナーを試験片から毎秒約300mmの速度で少なくとも150mm遠ざけ、同時に経時装置により残炎時間t2を秒で計測し始める。
UL94規格に基づき、難燃性の評価を行った。評価基準は下の表1に示す通りである。本発明においては、VTM−0相当の難燃性能を持つことを「難燃性ポリエステルフィルム」の定義とする。なお、通常のVTM試験はサンプル5本を一組として行い、5本すべてが試験に合格することを認定取得の条件としているが、5本中1本のみ不合格となった場合、一度だけ別の5本組で再試験を行うことができ、再試験の5本すべてで合格すれば認証取得となる。この仕組みを反映させ、本発明においてはサンプル10本中不合格が1本だけならば、VTM−0相当の難燃性と見なすこととする。
幅2000mmのフィルムを毎分50mの速度でのべ12時間生産した時にフィルム破れが発生した回数をカウントした。
攪拌機、温度計、ガス吹き込み口、および蒸留口を備えた内容積3Lのガラス製フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド(下記化学式(3))7.8molとエチレングリコール25.97molを加え、成分を溶解させるため、内容物の温度が100℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、攪拌しながらイタコン酸7.96molを添加し、蒸留口から減圧器を介して、フラスコを30Torrの真空状態で加熱し、内容物を沸騰させた。この時点で、蒸留口の留出速度を調製することで、生成した水を除去した。さらに、内容物の沸騰状態を維持したまま、フラスコ内の温度を上昇させ、それに対応させて、減圧度も低下させていった。その内訳として、内容物の温度が185℃になるまでに4時間を要し、この時点での減圧度は430Torrであった。さらに、加熱を続け、最終的に内容物の温度が200℃になるまで加熱していった。この点を確認後、反応機に窒素ガスを吹き込んでフラスコを常圧に戻した。反応混合物は下記化学式(4)のエチレングリコール溶液である。また、減圧下、エチレングリコールを除去することにより、固形状の下記化学式(4)の化合物を精製できる。
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩0.02重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、エステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.03重量部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04重量部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温して280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、IV=0.64に相当する時点で反応を停止し、ポリエステルAを得た。
ポリエステルAを出発原料とし、真空下220℃にて固相重合による高分子量化を行うことで、ポリエステルBを得た。得られたポリエステルBのIVは0.85であった。
ポリエステルAとFR1を、65:35の比でベント付きの二軸押出機にてコンパウンドし、難燃性化合物MBであるポリエステルCを得た。得られたポリエステルCのIVは0.43であった。
ポリエステルAの製造において、エステル交換反応終了時に、平均粒径2.30μmのシリカ粒子0.1重量部を配合する以外はポリエステルAのプレポリマーと同様の方法でポリエステルBを得た。得られたポリエステルDのIVは0.62であった。
再生可能なPETボトルを洗浄、乾燥したのち破砕、再溶融過程を経て再ペレット化したポリエステル樹脂を、真空下220℃にて固層重合による高分子量化を行うことで、ポリエステルEを得た。得られたポリエステルEのIVは1.10であった。
上記表2に記載の割合で混合したポリエステル樹脂を、表面の2層用(A)と中間層用(B)で別々の押出機(設定温度270℃)に送り込んだ。ここで押出機はいずれも同方向の二軸押出機を使用した。それぞれの押出機のポリエステル樹脂をギヤポンプ、フィルターを介して、マルチマニフォールドタイプの口金よりシート状に共押出し、表面温度を30℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を利用して急冷固化させ、実質的に非晶質な、A/B/Aの3層構成のシートを得た。得られた非晶質シートを縦方向に85℃で3.0倍延伸した後、横方向に125℃で3.0倍延伸し、215℃で熱処理を施し、厚み50μmまたは80μmまたは175μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。いずれの例においても得られたフィルムはVTM−0相当の難燃性能を示し、なおかつ長時間安定して生産することができた。
表2に記載の割合で混合したポリエステル樹脂を、実施例と同様に加工することで、厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。生産は非常に安定していたが、難燃性はVTM−0相当に満たなかった。
表2に記載の割合で混合したポリエステル樹脂を、実施例と同様に加工したが、中間層が脆すぎるために多層フィルムとして成形することができなかった。
表2に記載の割合で混合したポリエステル樹脂を、実施例と同様に加工することで、厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。難燃性はVTM−0相当であったが、フィルムIVが低いため生産中にフィルム破れが頻発した。
表2に記載の割合で混合したポリエステル樹脂を、押出機を1台だけ使い、単層シート用の口金からポリエステル樹脂を押し出すこと以外は、実施例と同様に加工することで、厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。難燃性はVTM−0相当であったが、フィルムIVが低いため生産中にフィルム破れが頻発した
表3に記載の割合で混合したポリエステル樹脂を、比較例5と同様に加工することで、厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。難燃性はVTM−0相当であり、フィルムIVも高いが、押出しが不安定でフィルム破れが頻発したほか、混練不十分が原因と思われるムラがフィルム全面に見られた。
2 テープ
3 125mm標線
4 バーナー
5 コットン
Claims (7)
- 3つ以上の層からなり、少なくとも1つの層に有機リン系の難燃性化合物を含有し、極限粘度(IV)が0.60以上の層を少なくとも1層有し、最もIVが低い層のIVが0.40以上0.48以下であり、
a)前記最もIVが低い層が2つの最表面層であり、該最表面層のリン元素含有率の平均が、全ての内部層のリン元素含有率の平均よりも高いか、或いは、
b)前記最もIVが低い層が内部層であり、該内部層の少なくとも1層のリン元素含有率が、2つの最表面層のリン元素含有率の平均よりも高いことを特徴とするポリエステルフィルム。 - 3つ以上の層からなり、それぞれの層の原料レジンについて、原料レジンのうち最もIVが高いレジンと最も低いレジンのIV差が0.50以内である請求項1に記載のポリエステルフィルム。
- 前記a)において、全ての内部層に難燃性化合物を含有しない請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
- 前記b)において、2つの最表面層に難燃性化合物を含有しない請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
- フィルムの総厚みをTμm、フィルム全体としてのリン元素の含有率をP重量%としたとき、9.00/T+0.12≦P≦2.00を満たす請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
- 3つの層からなる請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
- 難燃性化合物が、下記化学式で示される化合物である請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
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