JP2019108484A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエステルフィルムが本来有する高い透明性、低着色と難燃性を同時に達成でき、さらに難燃剤のブリードアウト性が低く、生産性が良好なポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】式(1)で表わされる有機リン系化合物を含有するポリエステルフィルム。ヘーズが5%以下で、固有粘度が、0.50〜1.1dl/gであり、有機リン系化合物(1)の含有量が1〜60重量%である、ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルフィルムが本来有する高い透明性、低着色を維持したまま優れた難燃性を付与したポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエステル樹脂製品は低コストで製造でき、かつ耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性、機械強度などに優れることから、産業向け、一般家庭向けを問わずあらゆる分野に広く用いられている。
それらの広範な用途に使用するために、ポリエステル樹脂は難燃化されていることが好ましい。特に電気電子製品の分野においては、近年の小型軽量化の要望から、製品の緻密化による発熱量の増大と、不燃性の金属部品から燃えやすい樹脂部品への代替が同時に進んでおり、難燃化は必須である。
このような背景から、難燃性を付与したポリエステルフィルムの開発が進められている。例えば特許文献1においては、環状ホスフィン化合物とイタコン酸を反応させ、エチレングリコールと重合した化合物を含有するポリエステルフィルムが開示されている。特許文献2においては、芳香族縮合リン酸エステルを含有するポリエステルフィルムが開示されている。また、特許文献3においては、環状ホスフィン化合物をポリエステルに共重合したポリエステルフィルムが開示されている。
特開2012−184399号公報 特開平9−111100号公報 WO2001/053377号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の難燃性ポリエステルフィルムは、難燃性を有する代わりに外観上の問題を抱えていた。即ち、特許文献1のポリエステルフィルムはやや黄色く着色しており、ヘーズも高い。さらに、末端に水酸基を有する難燃剤を含有していることから吸湿性が高く、難燃剤中の水分によってポリエステルの溶融押出工程においてポリエステルが加水分解してしまい、フィルムの固有粘度が大きく低下することから、固有粘度が高いポリエステル原料を使用する必要があった。また、特許文献2のポリエステルフィルムは透明性は良好だが、難燃剤のブリードアウトによる白化が起こり、経時で外観が悪化してしまう欠点があった。一方、特許文献3のポリエステルフィルムは透明性が優れているものの、フィルムが黄色く着色しており、光学用途等の黄色が適さない用途への適用が難しかった。さらに、難燃性を発現させるためには難燃剤成分の共重合比率を上げる必要があり、ポリエステルフィルムの機械的な強度が低下する傾向にあった。
このようなことから、いずれのフィルムも高度な難燃性と共に高い透明性と低着色が要求される用途には適さなかった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、ポリエステルフィルムが本来有する高い透明性、低着色と難燃性を同時に達成でき、さらに難燃剤のブリードアウト性が低く、生産性が良好なポリエステルフィルムを提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の有機リン系化合物を用いることで、高い難燃性とポリエステル本来の透明性、低着色を両立させたポリエステルフィルムを安定して提供することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、下記化学式(1)で表わされる有機リン系化合物を含有することを特徴とするポリエステルフィルムに存する。
Figure 2019108484
本発明の別の要旨は、このポリエステルフィルムを用いた調光フィルムに存する。
本発明によれば、高い難燃性とポリエステル本来の透明性、低着色、低ブリードアウト性を両立させたポリエステルフィルムを安定して提供することができる。本発明のポリエステルフィルムは、その高い透明性と難燃性、低着色、低ブリードアウト性から、調光フィルムのようなクリアな外観が求められる製品に高い難燃性を付与することができ、本発明の産業的価値は非常に高い。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<ポリエステルフィルム>
本発明でいうポリエステルフィルムとは、ポリエステル樹脂組成物を、薄く平坦な形状に成形加工したものである。
ポリエステルフィルムの厚みは限定されないが、厚すぎるとヘーズが上昇して透明感に劣る傾向があり、薄すぎると生産性や取り回しに不都合が生じる場合があるため、本発明のポリエステルフィルムの厚みは、通常1〜300μm、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは20〜150μm、最も好ましくは25〜100μmである。また、ポリエステルフィルムが積層ポリエステルフィルムである場合、各層の厚みには特に制限はないが、例えば、3層積層ポリエステルフィルムの場合、両表面層の厚みはそれぞれ1〜10μmで、中間層の厚みは10〜200μmであることが好ましい。
なお、ここで、ポリエステルフィルムの厚みとは、後述の塗布層や機能層を含まない厚みをいう。
また、ポリエステルフィルムの積層構造は限定されず、単層構造でもよいし、2つ以上の層が厚み方向に積層された構造でもよい。一般的にポリエステルフィルムは生産性確保の為に無機粒子等の滑剤(後述する「不活性微粒子」)が添加されるが、滑剤の添加で透明性が低下する傾向がある。よって、生産性を確保しつつ粒子量を低減して透明性を高める為に、表層のみに粒子を添加した積層構造とすることがより好ましい。ポリエステルフィルムが2つ以上の層を有する場合、すべての層に後述の有機リン系化合物(1)が含まれていることが、難燃性向上の観点から好ましいが、これに限定されるものではない。
ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂は特に限定されるものではなく、ジカルボン酸またはそのエステル化合物といったジカルボン酸成分とグリコール成分とを主たる出発原料として得られるポリエステルを主とするものであり、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)などが挙げられる。そして、本発明の範囲を逸脱しない条件であれば、他の第三成分を含有していてもよい。例えば、ポリカーボネートなどポリエステル系樹脂と相溶性のある樹脂との混合が挙げられる。
ポリエステル樹脂原料のジカルボン酸成分の例としては、芳香族ジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸およびテレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸などを用いることができ、中でもテレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルを用いることが特に好ましい。これらのジカルボン酸成分は、1種類または2種類以上を同時に用いることができる。
グリコール成分の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールが挙げられ、中でもエチレングリコールを用いることが好ましい。これらのグリコール成分は、1種類または2種類以上を同時に用いることができる。
ポリエステル樹脂を製造する際に用いる重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用することができ、例えば、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、マンガン化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等が挙げられる。この中でも、アンチモン化合物は安価で触媒活性が高いため好ましい。また、チタン化合物やゲルマニウム化合物は触媒活性が高く、少量で重合を行うことが可能であることから好ましい。
このようなポリエステル樹脂をフィルム状に成形する方法も特に限定されず、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー法など一般的によく知られた各種の方法を用いることができる。2層以上の多層フィルムを製造する際に各層を積層する方法について特に限定されず、共押出法、ラミネート法、ヒートシール法など一般的に良く知られた各種の方法を用いることができるが、製造効率の観点から共押出法が好ましい。
ポリエステルフィルムは無延伸のものであってもよいが、延伸フィルムであることが好ましく、特に二軸方向に延伸および熱固定されていることが好ましい。延伸法としては、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法のどちらを用いてもよいが、例えば逐次二軸延伸法を用いる場合、未延伸のポリエステルシートを縦方向(引取方向)に70〜145℃で2〜6倍に延伸して縦一軸延伸フィルム化した後、横方向(引取方向と直交方向)に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、その後150〜250℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。この際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口の冷却ゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩工程を追加することが好ましい。また、二軸延伸フィルム化した後に、必要に応じてさらに縦延伸および/または横延伸工程を追加することもできる。
<有機リン系化合物>
本発明のポリエステルフィルムは、難燃剤として、下記化学式(1)で表わされる有機リン系化合物(以下、「有機リン系化合物(1)」と称す場合がある。)を含有することを特徴とする。なお、本発明においては下記化学式(1)を代表構造として示すものであり、炭素原子に結合する水素原子が置換されている構造も包含する。具体的には、下記化学式(1)において芳香環を構成する炭素原子、或いは2つのリン原子間を結合している炭素原子に結合している水素原子が、炭化水素基やハロゲン元素で置換されていてもよい。当該炭化水素基としては、炭素数が1〜10のアルキル基等が挙げられる。
前記有機リン系化合物(1)として、6,6´−(1−phenylethane−1,2−diyl)bis(6H−dibenzo[c,e][1,2]oxaphosphinine 6−oxide)が挙げられる。前記有機リン系化合物(1)を用いることで難燃性だけでなく、難燃剤のブリードアウト性を良好にすることができ、更にはフィルム製造時において押出機のフィード口を塞いでしまう現象、すなわちブリッジングを防止することができるため、生産性の面でも良好である。
Figure 2019108484
本発明のポリエステルフィルム中の有機リン系化合物(1)の含有量は、好ましくは1〜60重量%、より好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%、最も好ましくは10〜20重量%の範囲である。有機リン系化合物(1)含有量が1重量%以上であることで、十分な難燃性が得られる。一方、有機リン系化合物(1)含有量が60重量%以下であることによって、製造時においてポリエステルフィルムの固有粘度の低下が少ないため、フィルム破断が抑制される。
ポリエステルフィルム中の有機リン系化合物(1)のリン元素換算の含有量(以下「リン元素含有量」と称す場合がある。)は、通常0.2〜7.1重量%であり、好ましくは0.6〜4.8重量%、より好ましくは1.0〜3.6重量%、さらに好ましくは1.2〜2.4重量%である。リン元素含有量が上記下限を下回る場合、十分な難燃性が得られないおそれがあり、上記上限を上回る場合、高価な有機リン系化合物(1)を多量に添加することとなり、コスト面で不利であるとともに、固有粘度が低下し、フィルム破断が発生する場合がある。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中のリン元素含有量は、有機リン系化合物(1)以外の由来のリン元素を含む場合においては、それを含めたすべてのリン元素を対象とする。具体的には、有機リン系化合物(1)以外のリン系難燃剤や、原料ポリエステルの製造時に用いた添加剤(助触媒等)、後述する不活性微粒子等が挙げられる。
有機リン系化合物(1)を含むポリエステルフィルムを製造するには、前述のポリエステルフィルムの製造に用いるポリエステル樹脂に所定量の有機リン系化合物(1)を配合したポリエステル樹脂組成物を用い、これを前述の方法でフィルム成形すればよい。この際、ポリエステル樹脂に有機リン系化合物(1)を配合する方法としては、生産性の観点から事前に有機リン系化合物(1)とポリエステル樹脂とを混練し、マスターバッチを作製して用いることが好ましい。
前記マスターバッチにおける有機リン系化合物(1)の含有率は、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜70重量%、さらに好ましくは30〜60重量%である。この含有率が10重量%未満の場合、フィルム製膜時にリン元素含有量が不足し、十分な難燃性を得られないおそれがある。一方、80重量%を超える場合、マスターバッチの作製が困難になるおそれがある。
なお、前述の通り、本発明のポリエステルフィルムが積層構造である場合、有機リン系化合物(1)はすべての層に含有されていることが好ましい。
<不活性微粒子>
ポリエステルフィルムは、必要に応じて各種の無機または有機の不活性微粒子を含有してもよい。
不活性微粒子の例としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、セライト、カオリン、タルク、カーボンブラックおよび特公昭59−5216号公報に記載の架橋高分子微粒子を挙げることができる。これらの微粒子は、必要に応じて1種類または2種類以上を併用することができる。
不活性微粒子の平均粒径は0.5μm以上4.0μm以下であることが好ましく、0.8μm以上3.0μm以下であることがさらに好ましい。ここで、不活性微粒子の平均粒径とは、コールターカウンター(日本化学機械社製)を使用して計測し、累積重量分率が50%になる時の平均粒径の値である。
また、当該微粒子の添加量は、ポリエステルフィルム中の含有量として0.005重量%以上0.5重量%以下が好ましく、0.01重量%以上0.1重量%以下がさらに好ましい。
微粒子の平均粒径が小さすぎたり、添加量が少なすぎたりすると、微粒子を添加することによる取り扱い性、生産性の向上効果を十分に得ることができない場合があるが、微粒子の平均粒径が4.0μmを超える、あるいは添加量が0.5重量%を超えると、フィルムの平面性および/または透明性が損なわれる恐れがある。
なお、本発明のポリエステルフィルムにこのような不活性微粒子を配合する場合、本発明のポリエステルフィルムを3層以上の積層構造とし、両表面層又は一方の表面層のみに不活性微粒子を含有させ、中間層は不活性微粒子を含有しない層とすることが、透明性と取り扱い性の両立の面で好ましい。この場合、前記の不活性微粒子の添加量は、不活性微粒子を含有する表面層中の含有量と読み替えることができる。
<その他の添加剤>
本発明のポリエステルフィルムには、必要に応じて通常のフィルム材料等に用いられるあらゆる添加剤を含有させることができる。その添加剤の例としては、例えば、ベースのポリエステル樹脂とは異なる高分子材料(ベースのポリエステル樹脂に対し相溶性か非相溶かは問わない)、顔料、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、紫外線反射剤、赤外線反射剤、熱安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、造核剤、分子鎖伸長剤、架橋剤、樹脂強化用フィラーなどが挙げられる。これらの添加剤の添加量についても特に制限はない。
また、本発明のポリエステルフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲で有機リン系化合物(1)以外の難燃剤を含有していてもよい。有機リン系化合物(1)以外の難燃剤の種類や含有割合は限定されないが、有機リン化合物(1)の含有量に対し、50重量%以下で含有することが好ましく、5〜20重量%の範囲とすることがより好ましい。
<混合方法>
ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂以外のフィルム材料(その他の成分)とを混合するための方法は特に限定されず、例えばポリエステル樹脂とその他の成分を各種の押出機に投入して連続的に生産する方法や、容器中でバルク的に加熱攪拌して混合する方法が挙げられる。フィルム製造においては押出機を用いて連続生産する方法が好ましく、それらの成分はハンドリングの観点から、事前に高濃度マスターバッチ化されていてもよい。マスターバッチ製造においてポリエステル樹脂に他成分を混合するタイミングは、当該ポリエステル樹脂の重合後でも重合前でもよい。
<ポリエステルフィルムの透明性>
本発明のポリエステルフィルムのヘーズ(曇り度)は通常10%以下であるが、好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。ヘーズが10%を超えるフィルムは透明性に劣るため、透明感(視認性)を必要とするフィルムとして、不適となる場合がある。
なお、ポリエステルフィルムのヘーズは、後述の実施例の項に記載の方法で測定される。
また、本発明のポリエステルフィルムは、有機リン系化合物(1)を用いることでポリエステルフィルム中からフィルム表面に難燃剤が析出する、いわゆるブリードアウト現象が起こり難い。ブリードアウト現象が起こるとフィルムのヘーズが上がるだけでなく、フィルム加工の際に工程を汚染する為に好ましくない。
ブリードアウト現象の程度は、後述の実施例の項に記載の方法で測定されたフィルムを空気暴露した前後のヘーズ差で定量でき、ヘーズ差は好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下である。
<ポリエステルフィルムの着色性>
本発明のポリエステルフィルムは、有機リン系化合物(1)を用いることで黄色みが少ないフィルムを得ることができ、光学用途等の着色が適さない用途への適用が可能である。
ポリエステルフィルムの黄色度合いは反射法b値で表わすことができる。反射法bは、後述の実施例の項に記載の方法で測定された値を指す。
ポリエステルフィルムの反射法bは好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.0以下である。上記上限を上回る場合は黄色度が強く、光学用途等の着色が適さない用途への適用が難しくなる場合がある。
<ポリエステルフィルムの難燃性>
本発明のポリエステルフィルムは、有機リン系化合物(1)を含有することで、良好な難燃性を有することができる。本発明のポリエステルフィルムの難燃性能は限定されないが、後述の実施例の項に記載の難燃性評価方法による難燃性がVTM−2であることが好ましく、VTM−1がより好ましく、VTM−0がさらに好ましい。なお、VTM−0、VTM−1、VTM−2の順に難燃性が良好であることを意味する。
これらの難燃性能は、本発明のポリエステルフィルム中における有機リン系化合物(1)の含有割合等で調整することができる。
<ポリエステルフィルムの固有粘度>
本発明のポリエステルフィルムの固有粘度(Intrinsic Viscosity、固有粘度または極限粘度)は、好ましくは0.50dl/g以上であり、0.60dl/g以上がより好ましく、0.65dl/g以上がさらに好ましい。ポリエステルフィルムの固有粘度が0.50dl/g以上であると、フィルム強度が十分であり、製造中のフィルム破断が防止される。一方、ポリエステルフィルムの固有粘度の上限については特に限定しないが、生産性の観点から、1.1dl/g以下が好ましく、0.75dl/g以下がより好ましい。
<塗布層>
本発明のポリエステルフィルムには、塗布液の塗布、乾燥により塗布層を設けてもよい。ここで、当該塗布層の材料構成、塗布層を設ける目的、塗布層の機能等は限定されず、任意である。
塗布層はポリエステルフィルムの一方の面に形成してもよく、両方の面に形成してもよい。この場合、塗布層は、ポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより形成してもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングにより形成してもよく、両者を併用してもよい。フィルム製膜と同時に塗布が可能であるため安価に製造可能であり、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることができるという点で、インラインコーティングが好ましく用いられる。
インラインコーティングについては、以下に限定するものではないが、例えば、前述の逐次二軸延伸法においては、特に縦延伸が終了した横延伸前にコーティング処理を施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、フィルムの製膜と同時に塗布が可能になると共に塗布層を高温で処理することができ、各種の基材フィルムとして好適なポリエステルフィルムを製造できる。
塗布層の形成に用いるバインダーの種類は特に限定されるものではないが、水に溶解、乳化または懸濁する水性高分子が好ましく、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルピロリドンおよびこれらの共重合体等を挙げることができる。これらの水性高分子は、1種または2種以上を混合して使用できる。
塗布層は、架橋剤を含有する塗布液から形成されることが好ましい。架橋剤としては、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、アミド系などの化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ポリイソシアヌレート、ポリイソシアネート、オキサゾリン基含有水溶性ポリマー、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネートカップリング剤などが挙げられる。
塗布液中には、塗布性を向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲で、無機や有機の粒子、潤滑剤、帯電防止剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、顔料、染料等を含有させてもよい。
中でも、塗布層の滑り性改良やブロッキング防止のために、塗布層中に無機粒子や有機粒子を配合することが好ましい。用いる粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化金属等の無機粒子、あるいは架橋高分子粒子等の有機粒子等を挙げることができる。
塗布層は、有機シラン化合物を含有するものであってもよい。有機シラン化合物としては、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン等があり、これらの混合物や縮合反応物であってもよい。特に、分子内に有機官能基を持ったアルコキシシランが好ましい。その代表的な例としては、一般式がXRSi(ORまたは(XR)(YR)Si(ORで表される有機シラン化合物があり、これらは、シランカップリング剤として知られている。(ここで、Rはメチル基またはエチル基で代表されるアルキル基やメトキシアルキル基等の置換アルキル基であり、R、Rはそれぞれ独立してプロピレン基等のアルキレン基、X、Yはそれぞれ独立した有機官能基である。)
上記一般式において、XやYの有機官能基としては、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシシクロヘキシル基、メルカプト基およびグリシジル基が好ましい。また、有機官能基としては、N−β(アミノエチル)アミノ基のような置換アミノ基やポリエチレンイミンのように、置換されたものであってもよい。有機官能基を有するシランカップリング剤の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が好ましく例示される。これらは1種または2種以上を用いることができ、必要により、官能基を持たないアルコキシシランを含めた混合物や縮合物として用いることもできる。
有機シラン化合物は、アルコール溶媒で希釈して用いることができるが、水系であることが好ましく、その際には、塗布性を改善する目的で各種の界面活性剤を配合することができる。また、必要に応じて先に挙げた水性高分子の1種もしくは2種以上を併用し塗布性の向上を図ってもよい。
<機能層>
本発明のポリエステルフィルム上、或いは上記の塗布層上には、調光層、ITO等の透明導電層などの各種機能層が設けられてもよい。機能層はポリエステルフィルム上に直接設けられてもよいし、塗布層を介して、機能層がポリエステルフィルム上に設けられてもよい。機能層がポリエステルフィルム上に直接設けられ、かつ塗布、乾燥によって形成される場合は、当該機能層は前記の塗布層に相当する。
本発明のポリエステルフィルムは、その透明性、低着色と難燃性から、特に調光フィルムの基材として好適に用いることができる。ここで言う調光フィルムとは、自動調光フィルムの他、遮光フィルム、紫外線カットフィルム、赤外線カットフィルムなど波長ごとの光透過率を調整できるようなフィルム全般のことを指し、本発明のポリエステルフィルムの透明性を生かす用途としては自動調光フィルムが特に好ましい。
自動調光フィルムとは、フィルム基材に担持された対向する二層の透明電極層の層間に、電圧印加によって透過率が変化する自動調光層を有する構造を持つフィルムである。自動調光層の種類に特に制限はなく、ポリマー分散型液晶、ネットワークポリマー型液晶、エレクトロクロミック材料など、公知の材料を用いることができる。
本発明のポリエステルフィルムを自動調光フィルムの基材として用いる場合、ポリエステルフィルム表面に透明電極層が設けられている必要がある。透明電極の材料は特に限定されず、公知の各種の材料を用いることが可能であり、例えばITO、ATO、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、スズ−アンチモン複合酸化物、亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物、銀および銀の合金、銅および銅の合金、金、カーボンナノチューブなどが挙げられる。また、ポリアセチレン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ(4−スチレンスルホン酸)をドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT:PSS)などの導電性高分子を用いることも可能である。
前述の透明電極層を設ける方法として、公知の方法を適宜用いることができる。例えば真空蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法、イオンプレーティング法、スプレー法などが挙げられる。その他、前述のインラインまたはオフラインのコーティング法を採用することも可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[物性・特性の評価]
以下において、各種物性・特性は以下のように測定又は評価されたものである。
(1)固有粘度測定
サンプルを1.0g/dlの濃度になるようフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの重量比1:1溶液中に加えた。この溶液を110℃で20分間加熱し、ポリエステル樹脂又はポリエステルフィルムを溶解させた後、容器を30分間水道水に浸して室温まで冷却させた。毛細管粘度計“VMS−022UPC・F10”(離合社製)を用いて、この溶液の流下時間、およびフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン溶液のみ(リファレンス液)の流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、極限粘度を算出した。その際、粘度計の恒温水槽の温度は30℃とし、粘度計算に用いるHuggins定数は0.33とした。なお、固有粘度の単位は“dl/g”とする。
(2)ヘーズ測定
ヘーズメーター“NDH−5000”(日本電色工業製)を用いて、JIS K7136規格に基づいてフィルムのヘーズを測定した。
(3)リン元素含有量測定
ICP発光分析装置(Varian社製、730−ES)を用いて、難燃性化合物又はポリエステルフィルムのリン元素含有量を測定した。測定にあたり、標準溶液としてSPEX製のXSTC−22(リン含有量100ppm)を使用し、原液、10倍希釈(同10ppm)、100倍希釈(同1ppm)の3種類の溶液から検量線を作成した。
(4)b値測定
分光測色計“CM-3700d”(コニカミノルタジャパン株式会社)を用いて、CIE1976(L、a、b)色空間のbを測定した。測定条件は、反射/透過=反射、正反射光処理=SCI、測定径=LAV(25.4mm)、UV条件=100%Fullとし、フィルムの総厚みが500μmに最も近くなるように複数枚のフィルムを重ねて測定した。
(5)難燃性評価
アンダーライターズラボラトリーズ(UL)社発行のプラスチック材料の燃焼性試験規格UL94のVTM試験に基づき、ポリエステルフィルムの燃焼試験を行った。VTM試験は結果のばらつきが大きい試験であるため、評価の信頼性をより高める目的で、1種のポリエステルフィルムサンプルに対し通常5回ずつ試験を行うところを10回ずつ行った。以下に、難燃性評価手順について説明する。
(i)サンプル作成
引取方向を上下方向として200mm×50mmに裁断したフィルムを試料下端から125mmのところで試料の幅方向に標線を入れた。試料の縦軸を直径12.7mmの棒の縦軸に硬く巻きつけて、下端から125mmの標線が外側に露出する、長さ200mmの円筒状にした。標線より上(75mm側)5mmの所と、試料上端から下5mmの所にセロテープ(登録商標)を巻き付けて固定した。最後に棒を引き抜き、円筒状の試験片とした。
(ii)コンディショニング
上記(i)により得られた試験片について、以下の(a)又は(b)の処理を施したものをそれぞれ10本ずつ用意した。なお、(a)を受理状態、(b)をエージング状態と称す。
(a)23±2℃、相対湿度50±5%の環境下で48時間以上処理
(b)70℃±2℃で168±2時間処理後、23±2℃、相対湿度20%以下で4時間以上冷却
(iii)難燃性の測定及び評価
上記(ii)の試験片を使用し、(a)受理状態および(b)エージング状態それぞれ10本ずつの試験片に対して、上記のUL94のVTM試験を行った。
10本全ての試験片が下記表1のVTM−0、VTM−1、VTM−2の条件を満たすかどうかで評価した。ただし不合格の試験片が10本中1本のみの場合は合格とした。これは、本来のVTM試験が5本の試験片を1組として行われ、不合格が1本のみの場合は1度だけ再試験が許されていることを反映している。
なお、VTM試験において規定されている表1内の「試験片5本のt(1回目の接炎試験における残炎時間(秒))とt(2回目の接炎試験における残炎時間(秒))の総和」の値は、10本の試験片のうちtとtの合計が最も大きいものから5本の値の総和とした。
VTM−2以上が難燃性のあるフィルムとした。
Figure 2019108484
(6)ブリードアウト評価
フィルムを23℃×60%RHの条件で168時間空気暴露した。難燃剤のブリードアウトによる白化を確認するために空気暴露前後のフィルムのヘーズを前記(2)の方法で測定し、試験前後におけるフィルムのヘーズ変化量を算出した。ヘーズ変化量が低い程、ブリードアウトが少なく良好である。
(7)ブリッジング
下記評価基準に基づいて判断した。
(評価基準)
○:フィルム生産中にブリッジングが起こらず、安定していた。
△:フィルム生産中に軽微なレベルでブリッジングが発生したが、実用上問題なかった。
×:フィルム生産中に重大なレベルでブリッジングが発生し、押出しが困難であった。
(8)フィルム破断
下記評価基準に基づいて判断した。
(評価基準)
○:フィルム生産中にフィルム破断が起こらず安定していた。
△:フィルム生産中にしばしばフィルム破断が発生したが、実用上問題なかった。
×:フィルム生産中に頻繁にフィルム破断が発生し、製膜が困難であった。
[難燃性化合物]
実施例及び比較例は、以下の難燃性化合物を用いた。
≪難燃性化合物1≫
下記化学式(1)で表わされる有機リン系化合物。
Figure 2019108484
≪難燃性化合物2≫
難燃性化合物2は以下のようにして製造した。
攪拌機、温度計、ガス吹き込み口、および蒸留口を備えた内容積3Lのガラス製フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド(下記化学式(2)で表される化合物)7.8molとエチレングリコール25.97molを加え、成分を溶解させるため、内容物の温度が100℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、攪拌しながらイタコン酸7.96molを添加し、蒸留口から減圧器を介して、フラスコを30Torrの真空状態で加熱して内容物を沸騰させ、生成した水を除去した。さらに、内容物の沸騰状態を維持したまま、フラスコ内の温度を上昇させ、それに対応させて、減圧させていった。その内訳として、内容物の温度が185℃になるまでに4時間を要し、この時点での減圧度は430Torrであった。さらに、加熱を続け、最終的に内容物の温度が200℃になるまで加熱した後、反応機に窒素ガスを吹き込んでフラスコを常圧に戻した。反応生成物は下記化学式(3)で表される化合物のエチレングリコール溶液である。また、減圧下、エチレングリコールを除去することにより、固形状の下記化学式(3)で表される化合物を精製した。
Figure 2019108484
続いて、このフラスコ内に、三酸化アンチモンを0.33gおよび酢酸亜鉛二水和物を0.29g含んだエチレングリコール130gを添加し、フラスコ内を200℃に保持し、減圧度を徐々に高めていき、1Torr以下の真空状態とした。さらに、内容物の温度を220℃まで上昇させ、エチレングリコールの留出が極端に減少した点を反応終点とし、淡黄色の透明なガラス状固体である難燃性化合物2、すなわち下記化学式(4)で表される2−(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキサイド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチルコハク酸ビス−(2−ヒドロキシエチル)の脱エチレングリコール重縮合物を得た。ICP発光分析によって測定された難燃性化合物2中のリン元素含有量は8重量%であった。
Figure 2019108484
≪難燃性化合物3≫
芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤であるPX-200(大八化学工業株式会社製)を、難燃性化合物3として用いた。難燃性化合物3中のリン元素含有量は9.0重量%であった。
[ポリエステル樹脂の製造]
実施例及び比較例で用いたポリエステル樹脂は以下のようにして製造した。
≪ポリエステル樹脂Aの製造≫
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩0.02重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、エステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.03重量部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04重量部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温して280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度が0.64dl/gに相当する時点で反応を停止し、固有粘度0.64dl/gのポリエステル樹脂Aを得た。
≪ポリエステル樹脂Bの製造≫
ポリエステル樹脂Aを真空下、220℃で固相重合し、ポリエステル樹脂Bを得た。得られたポリエステル樹脂Bの固有粘度は0.85dl/gであった。
≪ポリエステル樹脂Cの製造≫
ポリエステル樹脂Aの製造において、エステル交換反応終了時に、平均粒径2.3μmのシリカ粒子をその含有量が0.6重量%となるように配合する以外はポリエステル樹脂Aと同様の方法でポリエステル樹脂Cを得た。得られたポリエステル樹脂Cの固有粘度は0.61dl/gであった。
≪難燃性共重合ポリエステル樹脂Xの製造≫
ポリエステル樹脂Aを製造する際に、前記化学式(3)で表わされる化合物を、得られるポリエステル樹脂のリン元素含有量が3.0重量%になるように添加することで、難燃性共重合ポリエステル樹脂Xを得た。得られたポリエステル樹脂Xの固有粘度は0.57dl/gであった。
[実施例1〜4、比較例1〜4]
下記表2に記載の割合で混合した原料を、280℃に設定した同方向二軸押出機に送り込んで混練した。この溶融体をギヤポンプ、フィルターを介して、口金よりシート状に押出し、表面温度を30℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を利用して急冷固化させ、実質的に非晶質なシートを得た。得られた非晶質シートを縦方向に85℃で3.0倍延伸した後、横方向に125℃で4.0倍延伸し、その後、220℃で10秒間熱処理を施し、厚み50μmの単層ポリエステルフィルムを得た。
[実施例5]
下記表2に記載の割合で混合した原料を、280℃に設定した中間層用の同方向二軸押出機Aおよび表層用の同方向二軸押出機Bにそれぞれ送り込んで混練した。これらの溶融体を、ギヤポンプ、フィルターを介して、表層/中間層/表層=5:40:5の厚み構成比になるよう多層口金内で合流させシート状に押出し、表面温度を30℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を利用して急冷固化させ、実質的に非晶質な3層積層シートを得た。得られた非晶質シートを縦方向に85℃で4.0倍延伸した後、横方向に125℃で3.0倍延伸し、その後、220℃で10秒間熱処理を施し、厚み50μmの多層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1〜5及び比較例1〜4で得られたポリエステルフィルムの評価結果を表3に示す。
Figure 2019108484
Figure 2019108484
表2,3より、本発明のポリエステルフィルムは、透明性、難燃性に優れ、低着色で、ブリードアウトやブリッジング、フィルム破断の問題もなく、生産性にも優れることが分かる。
一方、特許文献1に記載の難燃性化合物である難燃性化合物2を用いた比較例1,2のうち、比較例1では、得られたポリエステルフィルムは難燃性が良好であったが、ヘーズとb値が高かった。また、ブリッジングを起こしやすく、フィルム破断も頻発し、生産性に劣った。比較例2では、ポリエステル樹脂の固有粘度が低く、製膜中の固有粘度の低下でフィルムを製膜することができなかった。
芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤を用いた比較例3では、フィルムの難燃性、透明性、b値は良好であったが、ブリードアウト試験で白化した。また、ブリッジングも発生し、生産性に劣った。
難燃性共重合ポリエステル樹脂Xを配合した比較例4では、フィルムの難燃性、透明性、ブリードアウト性は良好であったが、b値が著しく高く黄色いフィルムとなった。また、ブリッジングも発生した。
本発明によれば、難燃性、透明性と低着色を高度なレベルで両立させたポリエステルフィルムを提供することが可能である。本発明のポリエステルフィルムは透明感(視認性が良好であること)と低着色を要求される光学用途等、各種用途に用いることが可能であり、その工業的価値は高い。

Claims (5)

  1. 下記化学式(1)で表わされる有機リン系化合物を含有することを特徴とするポリエステルフィルム。
    Figure 2019108484
  2. ヘーズが5%以下である請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 固有粘度が0.50〜1.1dl/gである請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 前記有機リン系化合物(1)の含有量が1〜60重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステルフィルムを用いた調光フィルム。
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