JP2014084383A - 難燃性白色ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】配向ポリエステルフィルムが本来持っている外観、機械的性質、化学的性質を損なうことなく、難燃性、薄膜性、耐熱性、そして印字性を達成したフィルムを提供する。
【解決手段】特定構造の化学式で表される平均分子量1170以上のリン含有化合物、および白色顔料を含有するポリエステルフィルムであり、ポリエステルフィルム中のリン含有量が0.60〜2.00重量%であり、フィルム厚みT[μm]と、マクベス濃度計により測定される光学濃度ODとの比(T/OD)が30〜200であり、フィルムの融点が245℃以上であり、フィルム製造工程内で設けられた、ウレタン成分を含有する塗布層を有することを特徴とする難燃性白色ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性白色ポリエステルフィルムに関するものである。より詳しくは、本発明は、配向ポリエステルフィルムが持つ外観、機械的強度、熱的性質、電気的性質、光学的性質、高次加工性等の特徴を損なうことなく、難燃性、薄膜性、耐熱性、そして印字性を達成したフィルムに関するものである。
二軸延伸ポリエステルフィルムは、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性、ガスバリヤー性、耐薬品性などに優れ、包装材料、電気絶縁材料、金属蒸着材料、製版材料、磁気記録材料、表示材料、転写材料、窓貼り材料など多くの用途で使用されている。
近年のパーソナルコンピューターやスマートフォン、タブレットなどの端末のバッテリー部材や回路基盤の小型化ならびに高効率化に伴う発熱増大に伴い、それらの装置あるいはその周辺に用いられるラベル用やテープ用のポリエステルフィルムには、小型化の観点から薄膜化要求、そして発熱由来の火災予防の観点から難燃性および耐熱を要する構造材としての有用な機械物性、耐熱性の要求が強まっている。一般的に、難燃性の指標として、米国アンダーライターズラボラトリーズ(UNDERWRITERS LABORATORIES)社の規格であるUL94の認定が使用される場合が多い。
ポリエステルフィルムに難燃性を付与することのできる難燃性化合物としては、有機ハロゲン化合物、ハロゲン含有有機リン化合物等のハロゲン含有化合物が、難燃効果が高いことで知られている。しかし、ハロゲン含有の難燃性化合物を添加した樹脂は、加工時や燃焼時に有毒ガスが発生することが問題視されている。特に、フッ素や臭素含有の難燃性化合物においては、成形・加工時にフッ化水素ガスや臭化水素ガスが発生することや、燃焼時にダイオキシン類似ガスが発生することが指摘されている。そのため、近年ハロゲンを含まない難燃性化合物を用いることが強く要望されている。
また、その他の難燃性化合物として、水酸化マグネシウムに代表される無機化合物、赤リンに代表される無機リン化合物、リン酸エステルやホスホン酸化合物およびホスフィン酸化合物などの有機リン化合物が知られている。これらのうち、無機化合物、無機リン化合物等の無機系難燃性化合物は、ハロゲン系難燃性化合物のような毒性はないものの、樹脂との相溶性に乏しく、また樹脂の透明性を著しく損なうことがある。この観点から、難燃性化合物として、有機リン化合物が注目されている。
ポリエステルフィルムの難燃化技術として、例えば特許文献1および特許文献2に開示されているように、有機リン化合物を添加混合または共重合溶融押出成形する方法が提案されている。
それらの中でも、ポリエステル重合時に難燃性化合物を添加共重合させる方法(共重合法)が、その耐ブリードアウト性から、工業的価値の高い方法として知られている。このため、難燃性を付与する目的で有機リン化合物をポリエステルに共重合する方法が多く提案されている。例えば、ポリエステルに、有機リン化合物として、リン酸エステルを共重合する方法(特許文献3)、ホスホン酸を共重合する方法(特許文献4)、特殊なエステル形成性官能基を有するリン化合物を含有させる方法(特許文献5)、カルボキシホスフィン酸を共重合する方法(特許文献6)、ホスフィンオキシド誘導体を共重合する方法(特許文献7)等が開示されている。
しかしながら、ポリエステル重合時にリン化合物を共重合したものは、より軟化点の低いリン化合物が介入している構造をとり、融点(Tm)が低下するため、機械的物性および耐熱性や加熱収縮率といった熱的物性、絶縁破壊電圧といった電気的物性が悪化することが考えられる。特に、リン酸エステルの場合では、その化合物中のP−Oの結合エネルギーが小さいことに起因し、成形・加工時の主鎖切断に伴う、自己触媒作用により、ポリエステル中のエステル基切断、分子量低下が起きるといった欠点も生じる。すなわち、より高い難燃性の発現のため、ポリエステル中のリン化合物の共重合量を増やせばそれだけ機械的物性および熱的物性は悪くなることとなる。このことから、難燃性と熱的物性、機械的物性の両立は難しいと考えられる。
一方、近年、特に家電、電気およびOA機器関連部品に関しても、高度な難燃性が要求されている。それらの軽薄短小化に伴い、1.5〜3.2mmの厚みを有する成形品に対しても、UL94基準にて、V−1またはV−0の難燃性を実現できることが開示されている(特許文献8、特許文献9)。これらの文献では、成形・加工時に、ポリエステルと共に、リン化合物および無機化合物を添加している。また、特許文献12では、ポリエステルと共に非晶性樹脂を添加している。
しかしながら、スマートフォンなど小型端末機器のバッテリーに使われるような、非常に薄膜のポリエステルフィルムに関して、難燃性を維持する材料は得られていない。
また、特許文献10には、特定のリン化合物を用いた難燃性ポリエステルフィルムに関する発明が提案されている。当該フィルムをバッテリーラベルとして用いる場合、印字性を向上させるために、ポリエステルフィルムを製膜後、プライマ−をオフラインで塗工する必要がある。プライマ−自体は、ポリエステルフィルムのような高分子材料ではないため、一旦燃焼すると自消しにくく、難燃性は低下する。よって、発明そのもので印字機能を有すること、さらに、プライマ−層を設けた後も難燃性を有することまで、考慮した発明とは言えない。
特許文献11には、ポリエステルフィルム製膜時に、プライマ−層を塗工することが提案されている。本発明によるポリエステルフィルムは、オフラインでプライマ−を塗工せずとも印字性が良好であり、かつ難燃性も考慮されている。一般的に通常のプラスチックフィルムは、比表面積観点からフィルムが薄くなるほど燃えやすくなるが、当該発明は分厚いポリエステルフィルムは検討しているが、薄いフィルムについては考慮されていない。また、難燃性化合物とポリエステルが共重合しているため、ポリエステルの融点が低下するため耐熱性の低いフィルムとなる。すなわち当該発明は、難燃性、印字性は満たすが、薄膜性、耐熱性を満たすことができない。
特公昭51−19858号公報 特公昭55−41610号公報 特公昭49−22958号公報 特開昭59−91122号公報 特公昭36−20771号公報 特公昭53−13479号公報 特開平1−40521号公報 特公昭53−128195号公報 特開2007−112875公報 特開昭63−19254号公報 特開2001−158070号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、配向ポリエステルフィルムが本来持っている外観、機械的性質、化学的性質を損なうことなく、難燃性、薄膜性、耐熱性、そして印字性を達成したフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、ある特定のフィルム構成とすることで、優れた特性を有する難燃化ポリエステルフィルムを得ることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、下記化学式(1)で表される、平均分子量1170以上の化合物、および白色顔料を含有するポリエステルフィルムであり、ポリエステルフィルム中のリン含有量が0.60〜2.00重量%であり、フィルム厚みT[μm]と、マクベス濃度計により測定される光学濃度ODとの比(T/OD)が30〜200であり、フィルムの融点が245℃以上であり、フィルム製造工程内で設けられた、ウレタン成分を含有する塗布層を有することを特徴とする難燃性白色ポリエステルフィルムに存する。
Figure 2014084383
本発明によれば、配向ポリエステルフィルムが本来持っている外観、機械的性質、熱的性質、電気性質を損なうことなく、難燃性の付与およびそのフィルムの耐熱性の保持を達成したフィルムを提供することができる。当該ポリエステルフィルムは、パーソナルコンピューターやスマートフォン、タブレットなどの端末のバッテリーや回路基盤周辺に用いられるラベル用途やテープ用途のポリエステルフィルムとして好適に用いることができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明でいうポリエステルフィルムとは、全ての層が口金から共溶融押出される共押出法により押し出されたものを延伸後、必要に応じて熱固定したものを指す。以下、ポリエステルフィルムとして単層ないし3層構造のフィルムについて説明するが、本発明においてポリエステルフィルムは、その目的を満たす限り、3層以上の多層でも2層であってもよい。
本発明において、フィルムの各層を構成する重合体は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステルとグリコールとを主たる出発原料として得られるポリエステルを主とするものであり、繰り返し構造単位の60%以上がエチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレート単位を有するポリエステルを指す。そして、上記の範囲を逸脱しない条件であれば、他の第三成分を含有していてもよい。芳香族ジカルボン酸成分の例としては、テレフタル酸およびテレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に、例えばイソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)等を用いることができる。特に、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルを用いることが好ましい。グリコール成分の例としては、エチレングリコール以外に、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を用いることができる。特に、エチレングリコールを用いることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル組成物の粘度:IV[dl/g]は、後述するが白色顔料を含有したフィルムに対し評価される。それぞれ通常0.42〜0.70、好ましくは0.45〜0.65、さらに好ましくは0.48〜0.60である。IV値が0.42未満では、フィルムとした際のポリエステルフィルムが持つ優れた特徴である耐熱性、機械的強度等が劣る傾向がある。また、IV値が0.70を超えてくると、ポリエステルフィルム製造時の押出工程での負化が大きくなる傾向があり、生産性が低下する恐れがある。
本発明のポリエステルフィルム中のリン含有量Pは後述するXRFで求められる。リン含有量Pの範囲は、0.60〜2.00重量%、好ましくは、0.70〜1.40重量%、さらに好ましくは、0.80〜1.20重量%である。リン含有量Pが0.60重量%未満では、難燃性は発現しない。一方、Pが2.00重量%より多いと、テンターでの破断が多発し、たとえ膜になったとしても難燃性に関しては良好であるが、機械的強度や耐ブリード性の低下が激しく好ましくない。
本発明では、難燃性化合物として下記化学式(1)で示される、平均分子量が1170以上の化合粒を使用する。
Figure 2014084383
上記化学式(1)で表される有機リン化合物は、分子中にリン原子を含有し、GPC測定による平均分子量の下限値は1170であり、好ましくは2290、さらに好ましくは3410である。平均分子量が1170未満であると、製膜時の有機リン化合物の揮発およびポリエステル樹脂の結晶化の阻害、さらには有機リン化合物のブリードアウトにより、機械的強度の低下に繋がる。また、平均分子量の上限値は特に規定はないが、過度に分子量を高めることにより、当該化合物(1)の樹脂内での分散性が阻害されると考えられる。なお、当該化合物(1)の合成法(製造例)に関しては、後述する。
本発明では、ポリエステルフィルム製造時に難燃性化合物を直接添加する手法が好ましいとしている。また、用いられる難燃性ポリエステルフィルムを製造する際に、上記難燃性化合物をポリエステルフィルム製造系に添加する方法については特に限定されない。というのも、ポリエステル重合時により軟化点の低い難燃性化合物を共重合させると、ポリエステルの融点(Tm)の低下が起こりうるためである。それに伴い、機械的物性および熱的物性、電気的物性の悪化が懸念されることから、本手法を用いた。一方、難燃性化合物(1)は、ある一定以上の繰り返し単位を有する構造を有している。そのため、適当な分子量および樹脂内での分散性を有し、フィルム表面への移動がより抑制されたと推測される。
難燃性ポリエステルフィルム中の白色顔料については、フィルムの着色・隠蔽性を高めるためにも塗布や染料、顔料を配合される。その含有量の下限値は通常1.3重量%であり、好ましくは5.0重量%以上である。白色顔料の含有量が1.3重量%以下では、組成物の着色性が不十分となり、隠蔽性および外観が不良となることがある。一方、上限値は特に規定はないが、15.0重量%を超えると、着色性が既に飽和しコストの面で好ましくない場合があり、白色顔料量増加に伴い、製膜性もより不安定となる傾向がある。
難燃性ポリエステルフィルム中の白色顔料としては、例えば、平均粒径1.0μm以下の二酸化チタン、平均粒径3.0μm以下の硫酸バリウムなどを用いることができる。また、白色顔料は多孔質や中空多孔質の形態であってもよく、さらには、樹脂に対する分散性を良くするために、表面処理が施されたものを用いてもよい。
本発明において、フィルム厚みT[μm]と透過濃度ODの比(T/OD)は、30〜200の範囲である。T/ODが30未満では、そのフィルム厚みにおける組成物の着色性が飽和しコスト面で好ましくない。また、T/ODが200を超えると、そのフィルム厚みにおける組成物の着色性が不十分となり、隠蔽性が劣る。
本発明に用いる微細な不活性粒子としては、平均粒径が0.5〜3.0μm、さらには、平均粒径が0.8〜2.0μmの粒子が好ましい。平均粒径が0.5μm未満では、フィルムの巻き特性が劣り、作業性が悪くなる傾向がある。また、平均粒径が3.0μmを超えると、フィルム表面の平面性が損なわれたりする恐れがある。また、粒子の添加量は0.005〜0.5重量%、さらには、0.01〜0.1重量%の範囲が好ましい。粒子の添加量が0.005重量%未満では、フィルムの巻き特性が劣り、作業性が悪くなる傾向がある。
不活性粒子の例としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシム、フッ化リチウム、ゼオライト、セライト、カオリン、タルク、カーボンブラックおよび特公昭59−5216号公報に記載されたような架橋高分子微粉体を挙げることができるが、もちろんこれらに限定されるものではない。この際、配合する不活性粒子は単成分でもよく、また2成分以上を同時に用いてもよい。
本発明においてポリエステルに不活性粒子等を含有させる方法は特に限定されないが、重合工程で添加する方法、押出機を用い粒子をあらかじめ練込み、マスターバッチとする方法等が採用されるが、特に好ましい方法は、フィルム製造工程中の押出工程で直接粒子を添加混合する方法である。その際の押出機としてはベント付きの二軸押出機が好ましい。また、粒子の分散改良のために、同方向二軸押出機よりも異方向二軸押出機の方が好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルムとは、全ての層が口金から共溶融押出しされる共押出法により、押出されたものが二軸方向に延伸、熱固定されたものが好ましい。共溶融押出しの方法としては、フィードブロックタイプまたはマルチマニホールドタイプのいずれを用いてもよい。そこで、本発明のポリエステルフィルムの製造方法をさらに具体的に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、以下の例示に特に限定されるものではない。
まず、難燃性化合物と必要に応じて不活性粒子を含有するポリエステルを、各々別の溶融押出装置に供給し、当該ポリマーの融点以上の温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーを押出口金内において層流状で接合させてスリット状のダイから押出す。そして、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が採用される。
本発明においては、このような方法で得られたシートを二軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦一軸延伸フィルムとした後、フィルムの少なくとも片面に塗布液を塗布し、適度な乾燥を施すか、あるいは未乾燥で、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、150〜250℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。この際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸および/または再横延伸を付加することも可能である。
本発明のポリエステルフィルムの全厚みT[μm]は、通常20.0〜100.0μmである。フィルムの全厚みが20.0μm未満では、比表面積が大きいため難燃性が発現しないことがある。また、100.0μmより厚いと、バッテリー部材や回路基盤の小型化の要求を満たすことが困難となる場合がある。
本発明のポリエステルフィルムの融点は、後述するDSC測定より、245℃以上である。好ましくは247℃以上、さらに好ましくは250℃以上である。融点が245℃未満であると、高熱環境化にさらされた時の物性は低下する。融点の上限は特に設けないが、260℃が現実的な値である。
本発明のポリエステルフィルムをパーソナルコンピューターやスマートフォン、タブレットなどの端末のバッテリー部材や回路基盤ないしその周辺に用いる場合、インキによる印字が行われる。この場合、ポリエステルフィルムは、一般的に不活性であることから印字性に乏しく、かかる印字層との接着性を向上させるために、塗布層を予め設けることが好ましい。
塗布層を形成する方法としては、テンター入口前(配向結晶化完了前)に塗布してテンター内で乾燥するいわゆるインラインコートする方法が好ましい。この際、塗布は片面または両面のいずれでもよい。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、二軸延伸ポリエステルフィルム上に形成される塗布層としては、主として、各種バインダー樹脂と架橋剤との組み合わせから成る。バインダー樹脂としては接着性/難燃性の観点から、ウレタン系樹脂を用いることが好ましく、ポリエステル系樹脂とウレタン系樹脂の組み合わせがさらに好ましい。
塗布剤中におけるポリウレタン系樹脂の種類については限定しないが、ポリカーボネートポリウレタン系樹脂が好ましい。配合量は、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%の範囲である。ポリウレタン系樹脂の配合量が5重量%未満では、インキとの接着性が不十分となることがある。また、40重量%を超えると、相対的にポリエステル系樹脂の量が減じられるので、難燃性の観点からは好ましくないことがある。
塗布剤中におけるポリエステル系樹脂の配合量は、通常10〜80重量%、好ましくは15〜75重量%の範囲である。ポリエステル系樹脂の配合量が10重量%未満だと、他のバインダー成分が相対的に増えることとなり難燃性の観点から好ましくないことがある。また、85重量%を超えると、インキとの接着性が不十分となる傾向がある。
架橋剤樹脂としては、メラミン系、エポキシ系、オキサゾリン系樹脂が用いられるが、難燃性とインキとの接着性の観点から、メラミン系樹脂が特に好ましい。メラミン系樹脂は、特に限定されるものではないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。
また、メラミン系樹脂としては、単量体および/または2量体以上の多量体からなる縮合物のいずれでもよい。
上記エーテル化に用いる低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどが好ましい。また、その官能基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などを用いることができる。それらの中でも、特にメチロール化メラミン樹脂が好ましい。さらに、メラミン系架橋剤の熱硬化を促進するため、p−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いることもできる。
塗布剤中におけるメラミン樹脂の配合量は、通常1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは7〜15重量%の範囲である。架橋剤樹脂の配合量が1重量%未満では、耐久接着性が十分発揮されず、耐溶剤性の改良効果が不十分となる場合がある。また、50重量%を超えると、相対的にバインダー樹脂が減り、十分な難燃性が発揮されないことがあるため好ましくない。
本発明において、フィルムの滑り性、固着性などを改良するため、塗布層中に無機系粒子や有機系粒子を含有させるのが好ましい。
塗布剤中における粒子の配合量は、通常0.2〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。添加する粒子の配合量が0.2重量%未満では、耐ブロッキング性が不十分となる場合がある。また、10重量%を超えると、耐ブロッキング性能の機能が飽和するので好ましくない。
無機粒子としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化バリウム、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、硫化モリブデン、アルミナ、カーボンブラック、カオリン、タルク等が挙げられる。これらの中では、二酸化ケイ素が安価でかつ粒子径が多種あるので利用しやすい。
有機粒子としては、炭素−炭素二重結合を一分子中に2個以上含有する化合物(例えばジビニルベンゼン)により架橋構造を達成したポリスチレンまたはポリアクリレートポリメタクリレートが挙げられる。
上記の無機粒子および有機粒子は表面処理されていてもよい。そこで、表面処理剤としては、界面活性剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、分散剤としての高分子などが挙げられる。
また、塗布層は、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、消泡剤、塗布性改良剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
塗布剤は、水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的または造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、水に溶解する範囲で使用することが好ましい。有機溶剤としては、n−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール等の脂肪族または脂環族アルコール類、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、n−ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。これらの有機溶剤は、一種類または二種以上を併用してもよい。
塗布剤の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されているような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。
塗布層は、ポリエステルフィルムの片面または必要に応じて、両面に形成してもよい。
片面にのみ形成した場合、その反対面には必要に応じて上記の塗布層と異なる塗布層を形成して他の特性を付与することもできる。なお、塗布剤のフィルムへの塗布性や接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよく、さらに、表面特性を改良するため、塗布層形成後に放電処理を施してもよい。
塗布層の厚みは、乾燥厚さとして、通常0.010〜0.300μm、好ましくは0.015〜0.100μm、さらに好ましくは0.020〜0.080μmの範囲である。塗布層の厚さが0.010μm未満では、インキとの接着性が十分でない。また、塗布層の厚さが0.300μmを超えると、難燃性が劣りやすい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用いた物性測定法を以下に示す。
(1)各元素種含有量[重量%]
XRF:蛍光X線分析装置(島津製作所社製型式「XRF−1800」)を用いて、下記表1に示す条件下で、単枚測定でフィルム中の元素量を求めた。
Figure 2014084383
(2)フィルムの厚さT[μm]
マイクロメーターで測定した。
(3)極限粘度(dl/g)
ポリエステルチップをサンプリングする場合は粉砕する。ポリエステルフィルムをサンプリングする場合はカッターやはさみなどで適宜必要量をあらかじめ裁断する。得られたサンプルを、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の中に、0.2(g/dl)となるよう精秤して添加する。120℃で10分間かけて溶解させた後、徐々に室温まで冷却させた。毛細管粘度計を用いて、溶液の流下時間、および、溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、極限粘度(dl/g)を算出した。その際、Huggins定数を0.33と仮定した。
(4)製膜性の評価
無定形シートを縦延伸後、横延伸する際、横延伸機(テンター)において、延伸時にフィルムが破断する状況を、下記3ランクの基準で判定評価した。
○:ほとんどフィルム破断を起こさず生産性良好
△:時折フィルム破断を生じ、生産性に劣る
×:常に破断を生じ、生産性は全くない
(5)透過濃度の評価
マクベス濃度計TD−904型を用いて、フィルムを単枚で測定し、Gフィルター下の透過光濃度を測定し、隠蔽度を求めた。表示値が安定後、読み取りを行った。この値が大きいほど隠蔽力が高いことを示す。
(6)融点(Tm)
ポリエステルフィルムを、パ−キンエルマ社製DSC7型で10℃/min.の昇温速度で得られた結晶融解による吸熱ピ−ク温度を融点(Tm)とした。
(7)難燃性
アンダーライターズラボラトリーズ社発行のプラスチック材料の燃焼性試験規格UL94の垂直燃焼試験方法に準じ、UL94VTM試験を行った。評価対象は、受理状態(23℃/50%RH/48h)およびエージング後(70℃/168h後)である。また、評価基準については、本試験方法は燃焼試験評価結果がばらつくこと、および、ULのフォローアップサービスは最大3回まで機会が与えられること、から1種のポリエステルフィルムサンプルに対し、VTM試験の一連の評価作業を3回行うこととした。以下に、難燃性評価手順([1]〜[5])について説明する。
[1]UL94のVTM試験に準ずる試験片を30本準備する。
[2]上記[1]の中から無作為に10本選択。
[3]試験片5本に対しUL94VTM試験を行い、VTM−0に合格すれば終了。不合格であれば、残りの試験片5本に対しUL94VTM試験を行い、VTM−0の合否を判断する。
[4]上記[1]から[2]の作業を、3回繰り返す。
[5][2]で得られたUL94VTM試験結果を評価する。評価基準は以下の通り。
◎:VTM−0に3回とも合格
○:VTM−0に2回合格
△:VTM−0に1回合格
×:VTM−0にいずれも不合格
(8)接着性
フィルムの塗布層に紫外線硬化インクを塗布し硬化後、接着性を判定した。詳細は以下のとおりである。
インク種:FDカルトンACE藍口・墨口(東京インキ社製)
塗布条件:オフセット印刷テスト機“RIテスター RI−2(明製作所製)”にて、約2μm厚さに塗布した。
硬化条件:UV照射装置“UVC−402/1HN:302/1MH(ウシオ電機社製)”にて、水銀灯出力120W/cm、ラインスピード15m/分、ランプ〜フィルム間隔150mmの条件で硬化させた。
接着性判定:得られたフィルム表面に、1インチ幅に五番目が100個となるようクロスカットを入れ、直ちに、同一箇所についてセロテープ(登録商標)による急速剥離テストを実施し、その剥離面積より接着性を評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:8割以上残
△:6割以上8割未満残
× :6割未満残
以下の実施例および比較例で用いた難燃性化合物、ならびにポリエステル原料の製造方法は以下のとおりである。なお、例中の%は特にことわらない限り重量%を表すものとする。
≪難燃性化合物:有機リン化合物(化学式(1))≫
攪拌機、温度計、ガス吹き込み口、および蒸留口を備えた内容積3Lのガラス製フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド(下記化学式(2))7.8molとエチレングリコール25.97molを加え、成分を溶解させるため、内容物の温度が100℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、攪拌しながらイタコン酸7.96molを添加し、蒸留口から減圧器を介して、フラスコを30Torrの真空状態で加熱し、内容物を沸騰させた。この時点で、蒸留口の留出速度を調製することで、生成した水を除去した。さらに、内容物の沸騰状態を維持したまま、フラスコ内の温度を上昇させ、それに対応させて、減圧度も低下させていった。その内訳として、内容物の温度が185℃になるまでに4時間を要し、この時点での減圧度は430Torrであった。さらに、加熱を続け、最終的に内容物の温度が200℃になるまで加熱していった。この点を確認後、反応機に窒素ガスを吹き込んでフラスコを常圧に戻した。反応混合物は下記化学式(3)のエチレングリコール溶液である。また、減圧下、エチレングリコールを除去することにより、固形状の下記化学式(3)の化合物を精製できる。
Figure 2014084383
Figure 2014084383
続いて、このフラスコ内に、三酸化アンチモン(Sb)0.33gおよび酢酸亜鉛二水和物[(AcO)Zn・2HO]0.29gを含んだエチレングリコール130gを添加し、フラスコ内を200℃に保持し、減圧度を徐々に高めていき、1Torr以下の真空状態とした。さらに、内容物の温度を220℃まで上昇させ、エチレングリコールの留出が極端に減少した点を反応終点とした。この点を確認後、内容物を窒素ガスで加圧しながら、SUS製容器内で固化させることで、端黄色の透明なガラス状固体である、有機リン化合物(1)を得た。
上記操作を繰り返すことにより、後述する実施例および比較例で添加する有機リン化合物(1)の必要量を確保した。
この有機リン化合物(1)に関して、生成物のGPC分析から重量平均分子量(Mw)は6,800であった。なお、当該分析において、下記化学式(4)で示される化合物の酸無水物または化合物(4)とエチレングリコールとの環状エステルであると推定される、低分子量領域におけるピークも観測された。また、XRF測定により、リン含有量P[wt%]は8.31%であることがわかった。したがって、有機リン化合物(1)のnの平均値は18.1に相当していた。
Figure 2014084383
《ポリエステルAの製造》
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム4水塩0.02部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.03部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.66に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してポリエステル樹脂ペレット(プレポリマー)を製造した。前記ポリエステル樹脂ペレット(プレポリマー)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行って、ペレット状態のポリエステルAを得た。得られたポリエステルの極限粘度は0.85であった。
≪ポリエステルBの製造≫
ポリエステルAと難燃性化合物(有機リン化合物(1))を50:50の比でベント付きの二軸押出機にてコンパウンドし、難燃性化合物MBを得た。
≪ポリエステルC製造≫
ポリエステルAのプレポリマー(極限粘度0.66)の製造において、エステル交換終了後に、下記化学式(3)で示される難燃性化合物、10−[2,3−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニルプロピル]−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイドをポリマー鎖に対し、リン元素量が3.00重量%にとなるよう添加すること以外はポリエステルAのプレポリマーと同様の方法でポリエステルCを得た。得られたポリエステルの粘度は0.61であった。ポリエステルCの概念図を化学式(5)に示す。
Figure 2014084383
≪ポリエステルDの製造≫
ポリエステルCの製造において、難燃性化合物添加量をポリマー鎖に対するリン元素量を1.50重量%とする以外は、ポリエステルCと同様の方法でポリエステルDを得た。
得られたポリエステルの粘度は0.63であった。
≪ポリエステルEの製造≫
ポリエステルAのプレポリマー(極限粘度0.66)の製造において、エステル交換終了後に、平均粒径が2.30μmのシリカ粒子0.1重量部を配合する以外はポリエステルAのプレポリマーと同様の方法でポリエステルEを得た。得られたポリエステルの粘度は0.66であった。
≪ポリエステルFの製造≫
ポリエステルAと固形状の難燃性化合物(化学式(3))を50:50の比でベント付きの二軸押出機にてコンパウンドし、難燃性化合物MBを得た。
≪ポリエステルGの製造≫
上記ポリエステルAを50重量%と平均粒径0.3μmの酸化チタン粒子を50重量%とをベント付き二軸押出機にて溶融押出し、チップ化を行い、ペレットを得た。得られたペレットの極限粘度は0.50であった。
また、以下の実施例、比較例で用いた配向結晶化完了前に塗布する水性塗料の原料成分、水性塗料の配合は下記のとおりである。
<<水性塗料の原料成分>>
・水性成分a
テレフタル酸/イソフタル酸/スルホイソフタル酸/エチレングリコール/1,4−ブチレングリコール=27.5/20/2.5/32.5/17.5のモル比より成るポリエステル樹脂の水分散体
・水性成分b
イソホロンジイソシアネート/変性ポリヘキサメチレンカーボネート/ポリオキシテトラメチレングリコール/ペンタエチレングリコール/ジメチロールプロパン酸=10/61.8/4.2/7.5/16.5のモル比より成るプレポリマーを、トリエチルアミンで中和し、イソホロンジアミンで鎖延長した、Tg(ガラス転移温度)が−20℃のポリウレタン樹脂の水分散体
・水性成分c
メラミン:J−101(DIC社製)
・水性成分d
平均粒径0.07μmのシリカゾル水分散体
・水性成分e
界面活性剤:ノイゲンTDX−50(第一工業製薬社製)
≪水性塗料の配合≫
下記表2のように配合した。
Figure 2014084383
実施例1:
ポリエステルA/ポリエステルB/ポリエステルE/ポリエステルG=54/29/5/12のブレンド原料を、270℃に設定した押出機に送り込んだ。ここで押出機は同方向の二軸押出機を使用した。押出機のポリマーをギヤポンプ、フィルターを介して、口金よりシート状に押出し、表面温度を30℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を利用して急冷固化させ、実質的に非晶質のシートを得た。得られた非晶質シートを縦方向に85℃で3.2倍延伸した後、上記記載の水性塗料Iを塗布厚みが0.030μmとなるよう塗布し、その後横方向に120℃で4.0倍延伸し、200℃で熱処理を施し、層厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
実施例2〜6:
下記表2に示す原料配合比、ならびにフィルム厚みについて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表3に示す。
実施例7:
ポリエステルA/ポリエステルB/ポリエステルG=59/29/12のブレンド原料を、270℃に設定したメインの押出機に、ポリエステルA/ポリエステルB/ポリエステルE/ポリエステルG=54/29/5/12のブレンド原料を280℃に設定したサブの押出機に送り込んだ。ここでメインもサブも押出機は同方向の二軸押出機を使用した。単位時間あたりの吐出量比について、メイン:サブ=80:20とした。以上のことを除いて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表3に示す。
実施例8〜11:
水性塗料Iの塗布厚みおよび水性塗料の種類を表4に示す処方とすることを除いて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表3に示す。
比較例1:
下記表4に示す原料配合比、ならびにフィルム厚みについて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果を下記表4に示す。
比較例2:
表4に示す原料配合比にて、フィルム厚み36μmとなるよう、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得る検討を行ったが、テンター内で破断が多発し、製膜を断念した。リン量は破断後のフィルム破片をXRFで測定することで得られたが、フィルムの変形がひどいため、難燃性の評価はできなかった。
比較例3〜5:
下記表4に示す原料配合比、ならびにフィルム厚みについて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表4に示す。
比較例6:
表4に示す原料配合比、ならびにフィルム厚みについて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得る試みをした。しかし、ポリエステルフィルム製造時において、混練物がダイスから出たところで、煙が確認されたため、フィルムを採取するには至らなかった。ここで、本比較例でポリエステルフィルム中に添加されている有機リン化合物(3)は、繰り返し単位のない、モノマー体、すなわち、有機リン化合物(1)と比較し、より分子量が低い化合物である。そのため、エステルFあるいはポリエステルフィルム製造時の加熱・混練により、添加した有機リン化合物(3)の一部あるいは大部分が揮発したものと推測される。
比較例7:
水性塗料を塗工しないことを除いて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表4に示す。
比較例8:
水性塗料Iの塗布厚みおよび水性塗料の種類を表4に示す処方とすることを除いて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表4に示す。
Figure 2014084383
Figure 2014084383
本発明によれば、ポリエステルフィルムが本来持っている外観、機械的性質、化学的性質を損なうことなく難燃性、薄膜性、耐熱性、そして印字性を達成したフィルムを提供することができる。パーソナルコンピューターやスマートフォン、タブレットなどの端末のバッテリー部材や回路基盤あるいはその周辺に用いられるラベル用やテープ用ポリエステルフィルムとして利用することができる。本発明の工業的価値は高い。

Claims (3)

  1. 下記化学式(1)で表される、平均分子量1170以上の化合物、および白色顔料を含有するポリエステルフィルムであり、ポリエステルフィルム中のリン含有量が0.60〜2.00重量%であり、フィルム厚みT[μm]と、マクベス濃度計により測定される光学濃度ODとの比(T/OD)が30〜200であり、フィルムの融点が245℃以上であり、フィルム製造工程内で設けられた、ウレタン成分を含有する塗布層を有することを特徴とする難燃性白色ポリエステルフィルム。
    Figure 2014084383
  2. ポリエステルフィルムの厚みTが20.0〜100.0μmである請求項1記載の難燃性ポリエステルフィルム。
  3. 塗布層がポリエステル成分およびメラミン樹脂を含有する塗布液を塗布して設けられた層である請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
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