JP5876754B2 - ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
また、リン酸エステルの場合では、その化合物中のP−Oの結合エネルギーが小さいことに起因すると考えられ、成形・加工時の主鎖切断に伴う、自己触媒作用により、分子量低下が起きるといった欠点も生じる。すなわち、より高い難燃性の発現のため、ポリエステル中のリン化合物の共重合量を増やせばそれだけ機械的物性および耐熱性は悪くなることとなる。このことから、難燃性と耐熱性、機械的物性の両立は難しいと考えられる。
片面にのみ形成した場合、その反対面には必要に応じて上記の塗布層と異なる塗布層を形成して他の特性を付与することもできる。なお、塗布剤のフィルムへの塗布性や接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよく、さらに、表面特性を改良するため、塗布層形成後に放電処理を施してもよい。
無定形シートを縦延伸後、横延伸する際、横延伸機(テンター)において、延伸時にフィルムが破断する状況を、下記3ランクの基準で判定評価した。
○:ほとんどフィルム破断を起こさず生産性良好
△:時折フィルム破断を生じ、生産性に劣る
×:常に破断を生じ、生産性は全くない
マイクロメーターで測定した。
XRF:蛍光X線分析装置(島津製作所社製型式「XRF−1800」)を用いて、下記表1に示す条件下で、単枚測定でフィルム中の元素量を求めた。
フィルムを0.2g採取し、20mlのフェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶液に溶解し、遠心分離により黒色顔料のみを沈降させた後、上済み液を取り除く。上済み液を取り除いた後の試料を蒸発乾固させ、蒸発乾固後の試料の重量を測定する。得られた測定値と、最初に秤量した0.2gから、該フィルム中の黒色顔料含有量(C)[重量%]を求める。
ポリエステルフィルムを、パ−キンエルマ社製DSC7型を用いて10℃/分の昇温速度で測定し、得られた結晶融解による吸熱ピ−ク温度を融点(Tm)とした。
アンダーライターズラボラトリーズ社発行のプラスチック材料の燃焼性試験規格UL94の垂直燃焼試験方法に準じ、UL94VTM試験を行った。評価対象は、受理状態(23℃/50%RH/48h)およびエージング後(70℃/168h後)である。また、評価基準については、本試験方法は燃焼試験評価結果がばらつくこと、および、ULのフォローアップサービスは最大3回まで機会が与えられること、から1種のポリエステルフィルムサンプルに対し、VTM試験の一連の評価作業を3回行うこととした。以下に、難燃性評価手順([1]〜[5])について説明する。
[1]UL94のVTM試験に準ずる試験片を30本準備する。
[2]上記[1]の中から無作為に10本選択。
[3]試験片5本に対しUL94VTM試験を行い、VTM−0に合格すれば終了。不合格であれば、残りの試験片5本に対しUL94VTM試験を行い、VTM−0の合否を判断する。
[4]上記[1]から[2]の作業を、3回繰り返す。
[5][2]で得られたUL94VTM試験結果を評価する。評価基準は以下のとおり。
◎:VTM−0に3回とも合格
○:VTM−0に2回合格
△:VTM−0に1回合格
×:VTM−0にいずれも不合格
フィルムの塗布層に紫外線硬化インクを塗布し硬化後、接着性を判定した。詳細は以下のとおりである。
インク種:
FDカルトンACE藍口・墨口(東京インキ社製)
塗布条件:
オフセット印刷テスト機“RIテスター RI−2(明製作所製)”にて、約2μm厚さに塗布した。
硬化条件:
UV照射装置“UVC−402/1HN:302/1MH(ウシオ電機社製)”にて、水銀灯出力120W/cm、ラインスピード15m/分、ランプ〜フィルム間隔150mmの条件で硬化させた。
接着性判定:
得られたフィルム表面に、1インチ幅に五番目が100個となるようクロスカットを入れ、直ちに、同一箇所についてセロテープ(登録商標)による急速剥離テストを実施し、その剥離面積より接着性を評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:6割以上残
△:4割以上6割未満残
× :4割未満残
マクベス濃度計TD−904型を用いて、フィルムを単枚で測定した。表示値が安定後、読み取りを行った。得られた物性値を下記の基準で判断した。
○:透過濃度が2.0以上
△:透過濃度が1.3以上〜2.0未満
×:透過濃度が1.3未満
≪難燃性化合物:有機リン化合物(化学式(1))≫
攪拌機、温度計、ガス吹き込み口、および蒸留口を備えた内容積3Lのガラス製フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド(下記化学式(2))7.8molとエチレングリコール25.97molを加え、成分を溶解させるため、内容物の温度が100℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、攪拌しながらイタコン酸7.96molを添加し、蒸留口から減圧器を介して、フラスコを30Torrの真空状態で加熱し、内容物を沸騰させた。この時点で、蒸留口の留出速度を調製することで、生成した水を除去した。さらに、内容物の沸騰状態を維持したまま、フラスコ内の温度を上昇させ、それに対応させて、減圧度も低下させていった。その内訳として、内容物の温度が185℃になるまでに4時間を要し、この時点での減圧度は430Torrであった。さらに、加熱を続け、最終的に内容物の温度が200℃になるまで加熱していった。この点を確認後、反応機に窒素ガスを吹き込んでフラスコを常圧に戻した。反応混合物は下記化学式(3)のエチレングリコール溶液である。また、減圧下、エチレングリコールを除去することにより、固形状の下記化学式(3)の化合物を精製できる。
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム4水塩0.02部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.03部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.66に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してポリエステル樹脂ペレット(プレポリマー)を製造した。前記ポリエステル樹脂ペレット(プレポリマー)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行って、ペレット状態のポリエステルAを得た。得られたポリエステルの極限粘度は0.85であった。
ポリエステルAと難燃性化合物(有機リン化合物(1))を50:50の比でベント付きの二軸押出機にてコンパウンドし、難燃性化合物MBを得た。
ポリエステルAのプレポリマー(極限粘度0.66)の製造において、エステル交換終了後に、下記化学式(3)で示される難燃性化合物、10−[2,3−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニルプロピル]−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイドをポリマー鎖に対し、リン元素量が3.00重量%にとなるよう添加すること以外はポリエステルAのプレポリマーと同様の方法でポリエステルCを得た。得られたポリエステルの粘度は0.61であった。ポリエステルCの概念図を化学式(5)に示す。
ポリエステルCの製造において、難燃性化合物添加量をポリマー鎖に対するリン元素量を1.50重量%とする以外は、ポリエステルCと同様の方法でポリエステルDを得た。
得られたポリエステルの粘度は0.63であった。
ポリエステルAのプレポリマー(極限粘度0.66)の製造において、エステル交換終了後に、平均粒径が2.30μmのシリカ粒子0.1重量部を配合する以外はポリエステルAのプレポリマーと同様の方法でポリエステルEを得た。得られたポリエステルの粘度は0.66であった。
ポリエステルAと固形状の難燃性化合物(化学式(3))を50:50の比でベント付きの二軸押出機にてコンパウンドし、難燃性化合物MBを得た。
上記ポリエステルAをベント付き二軸押出機に供して、カーボンブラック(オイル
ファーネスブラック 平均一次粒径70nm)を20重量%となるように供給してチップ化を行い、マスターバッチペレットを得た。得られたペレットのカーボンブラック濃度(C)は20重量%、カーボンブラック濃度(C)で補正したポリエステル成分の極限粘度は0.63であった。
<<水性塗料の原料成分>>
・水性成分a
テレフタル酸/イソフタル酸/スルホイソフタル酸/エチレングリコール/1,4−ブチレングリコール=27.5/20/2.5/32.5/17.5のモル比より成るポリエステル樹脂の水分散体
・水性成分b
イソホロンジイソシアネート/変性ポリヘキサメチレンカーボネート/ポリオキシテトラメチレングリコール/ペンタエチレングリコール/ジメチロールプロパン酸=10/61.8/4.2/7.5/16.5のモル比より成るプレポリマーを、トリエチルアミンで中和し、イソホロンジアミンで鎖延長した、Tg(ガラス転移温度)が−20℃のポリウレタン樹脂の水分散体
・水性成分c
メラミン:J−101(DIC社製)
・水性成分d
平均粒径0.07μmのシリカゾル水分散体
・水性成分e
界面活性剤:ノイゲンTDX−50(第一工業製薬社製)
ポリエステルA/ポリエステルB/ポリエステルE/ポリエステルG=61/29/5/5のブレンド原料を、280℃に設定した押出機に送り込んだ。ここで押出機は同方向の二軸押出機を使用した。押出機のポリマーをギヤポンプ、フィルターを介して、口金よりシート状に押出し、表面温度を30℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を利用して急冷固化させ、実質的に非晶質のシートを得た。得られた非晶質シートを縦方向に83℃で3.3倍延伸した後、上記記載の水性塗料Iを塗布厚みが0.030μmとなるよう塗布し、その後横方向に120℃で4.0倍延伸し、220℃で熱処理を施し、層厚み36μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
下記表3に示す原料配合比、ならびにフィルム厚みについて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果も表3に示す。
ポリエステルA/ポリエステルB/ポリエステルG=73/22/5のブレンド原料を、280℃に設定したメインの押出機に、ポリエステルA/ポリエステルB/ポリエステルE/ポリエステルG=68/22/5/5のブレンド原料を280℃に設定したサブの押出機に送り込んだ。ここでメインもサブも押出機は同方向の二軸押出機を使用した。単位時間あたりの吐出量比について、メイン:サブ=80:20とした。以上のことを除いて、実施例3と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果も表3に示す。
下記表3に示す原料配合比、ならびにフィルム厚みについて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果も表3に示す。
水性塗料Iの塗布厚みを表2に示す厚みとすることを除いて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表3に示す。
塗料について、表2に示す水性塗料の種類/厚みとすることを除いて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
下記表3に示す原料配合比、ならびにフィルム厚みについて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果も表3に示す。
下記表4に示す原料配合比、ならびにフィルム厚みについて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果も表4に示す。
表3に示す原料配合比にて、フィルム厚み75μmとなるよう、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得る検討を行ったが、テンター内で破断が多発し、製膜を断念した。リン量は破断後のフィルム破片をXRFで測定することで得られたが、フィルムの変形がひどいため、難燃性の評価はできなかった。
下記表4に示す原料配合比、ならびにフィルム厚みについて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果も表4に示す。
表4に示す原料配合比、ならびにフィルム厚みについて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得る試みをした。しかし、ポリエステルフィルム製造時において、混練物がダイスから出たところで、煙が確認されたため、フィルムを採取するには至らなかった。ここで、本比較例でポリエステルフィルム中に添加されている有機リン化合物(3)は、繰り返し単位のない、モノマー体、すなわち、有機リン化合物(1)と比較し、より分子量が低い化合物である。そのため、エステルFあるいはポリエステルフィルム製造時の加熱・混練により、添加した有機リン化合物(3)の一部あるいは大部分が揮発したものと推測される。
水性塗料を塗工しないことを除いて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表4に示す。
下記表4に示す原料配合比、ならびにフィルム厚みについて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果も表4に示す。
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