JPWO2017002780A1 - ポリエステルフィルム及び調光フィルム - Google Patents
ポリエステルフィルム及び調光フィルム Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2017002780A1 JPWO2017002780A1 JP2017526353A JP2017526353A JPWO2017002780A1 JP WO2017002780 A1 JPWO2017002780 A1 JP WO2017002780A1 JP 2017526353 A JP2017526353 A JP 2017526353A JP 2017526353 A JP2017526353 A JP 2017526353A JP WO2017002780 A1 JPWO2017002780 A1 JP WO2017002780A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- polyester
- polyester film
- light control
- flame
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08J—WORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
- C08J5/00—Manufacture of articles or shaped materials containing macromolecular substances
- C08J5/18—Manufacture of films or sheets
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L67/00—Compositions of polyesters obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain; Compositions of derivatives of such polymers
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L85/00—Compositions of macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage in the main chain of the macromolecule containing atoms other than silicon, sulfur, nitrogen, oxygen and carbon; Compositions of derivatives of such polymers
- C08L85/02—Compositions of macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage in the main chain of the macromolecule containing atoms other than silicon, sulfur, nitrogen, oxygen and carbon; Compositions of derivatives of such polymers containing phosphorus
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
ポリエステル樹脂からなるフィルムが本来有している優れた特性(たとえば、ポリエステルフィルムの耐熱性、機械的特性等)を損なうことなく、高度に維持したままで、これまでにない高い難燃性を付与することができ、難燃性が強く要求される各種の用途において、有用に利用することができるポリエステルフィルムを提供する。下記化学式(1)で表される化合物を共重合成分として含み、リン元素含有量が0.2〜3.3重量%であるポリエステルフィルム。【化1】
Description
本発明は、ポリエステルフィルム及び調光フィルムに関し、詳しくは、ポリエステルフィルムが本来有する高い透明性を維持したまま優れた難燃性を付与したポリエステルフィルム、およびそのポリエステルフィルムを基材に用いた調光フィルムに関する。
ポリエステル樹脂製品は低コストで製造でき、なおかつ耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性、機械強度などに優れることから、産業向け一般家庭向け問わずあらゆる分野に広く用いられている。
それらの広範な用途において使用するために、ポリエステル樹脂は難燃化されていることが好ましい。特に電気電子製品の分野においては、近年の小型軽量化の要望から、製品の緻密化による発熱の増大と、不燃の金属部品から燃えやすい樹脂部品への置き換えが同時に進んでおり、難燃化は必須である。
このような背景から、各フィルムメーカーにて難燃性を付与されたポリエステルフィルムの開発が進められている。例えば特許文献1において、ポリエステルフィルムの両面にポリイミド系の化合物を含む層を積層してなるポリエステルフィルムが開示されている。また、特許文献2において、ホスフィン酸またはジホスフィン酸の金属塩を含有するポリエステルフィルムが開示されている。他にも特許文献3において、特定の構造を有する有機リン系オリゴマーを含有するポリエステルフィルムが開示されている。
しかしこれらの難燃性ポリエステルフィルムは、高度な難燃性を有する代わりに外観上の問題を抱えている。特許文献1のポリエステルフィルムは両面に積層されたポリイミド化合物により黄色く着色しており、特許文献2のポリエステルフィルムは不透明の銀白色であり、特許文献3のポリエステルフィルムは無着色だがヘーズが高いため透明とは言い難い。いずれのフィルムも高い透明性を要求される用途には適さない。
近年、デジタルサイネージ、プライバシー保護、防眩、紫外線カット、遮熱などの目的で調光ガラスの採用が広まっており、特に施工性や取り回しの観点から、通常のガラスに貼り付けることで手軽に調光機能を付与できる調光フィルムの需要が大きい。この調光フィルムは建築物の他に自動車や電車、飛行機などの乗り物の窓への需要もあるが、特に狭い閉鎖空間である乗り物に使用する場合、調光フィルムは難燃化されていることが望ましい。
調光フィルムの難燃化のためには基材となるフィルム自体も難燃化されていることが望ましいが、上述の通り高い透明性と難燃性を両立するポリエステルフィルムは知られていない。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、ポリエステルフィルムが本来有する高い透明性と難燃性を同時に達成できるポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、高い難燃性とポリエステル本来の透明性を両立させたポリエステルフィルムを提供することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、下記化学式(1)で表される化合物(以下、単に化合物(1)と表記する)を共重合成分として含み、リン元素含有量が0.2〜3.3重量%であることを特徴とするポリエステルフィルムに存する。
本発明に用いられる化合物(1)は、着色がほとんどない上に、ポリエステル樹脂との相溶性にも優れている。本発明に依れば、優れた透明性と難燃性を両立したポリエステルフィルムを提供することができる。調光フィルムのようなクリアな外観を求められる製品に難燃性を付与することができ、本発明の産業的価値は非常に高い。
本発明でいうポリエステルフィルムとは、ポリエステル樹脂そのもの、あるいはポリエステル樹脂に1種類以上の任意の成分を添加して混合したものを、薄く平坦な形状に成型加工したものである。その厚み範囲に明確な定義があるわけではないが、分厚すぎるとヘーズが上昇して透明感に劣り、薄すぎると生産性や取り回しに不都合が生じる場合がある。そのため本発明のフィルムの厚みは、通常1〜300μm、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは20〜150μm、最も好ましくは30〜100μmである。フィルム積層構造は限定されず、単層構造でもよいし、2つ以上の層が厚み方向に積層された構造でもよい。ポリエステルフィルムが2つ以上の層を有する場合、すべての層に化合物(1)が共重合されたポリエステルが含まれていることが、難燃性向上の観点から好ましい。
上述の「任意の成分」の種類は一切限定されず、必要に応じてあらゆる添加物を選択することができる。例として、ベースのポリエステルとは別のポリエステルを含む全ての高分子材料(ベースと相溶か非相溶かは問わない)、顔料、有機粒子、無機粒子、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、紫外線反射剤、赤外線反射剤、熱安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、造核剤、分子鎖伸長剤、架橋剤、樹脂強化用フィラー、などが挙げられる。これらの添加剤の添加量も制限はなく、フィルムとして実用に耐えうる範囲であれば、ベースのポリエステル樹脂の配合量を上回っても構わない。
本発明において、ポリエステル樹脂とその他の成分を混合するための方法は特に限定されず、例えばポリエステル樹脂とその他の成分を各種の押出機に投入して連続的に生産する方法や、容器中でバルク的に加熱攪拌して混合する方法が挙げられる。フィルム製造においては押出機を用いて連続生産する方法が好ましく、それらの成分はハンドリングの観点から、事前に高濃度マスターバッチ化されていてもよい。マスターバッチ製造においてポリエステル樹脂に他成分を混合するタイミングは、重合後でも重合前でもよい。
本発明において、ポリエステル樹脂をフィルム状に成形する方法も特に限定されず、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー法など一般的によく知られた各種の方法を用いることができる。2層以上の多層フィルムを製造する際に各層を積層する方法も、やはり特に限定されず、共押出法、ラミネート法、ヒートシール法など一般的に良く知られた各種の方法を用いることができ、製造効率の観点から共押出法が好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、二軸方向に延伸および熱固定されていることが好ましい。逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法のどちらを用いてもよいが、例えば逐次二軸延伸法を用いる場合、未延伸のポリエステルシートを縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸して縦一軸延伸フィルム化した後、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、その後150〜250℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。この際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口の冷却ゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩工程を追加することが好ましい。また、二軸延伸フィルム化した後に、必要に応じてさらに縦延伸および/または横延伸工程を追加することもできる。
本発明において用いられるポリエステル樹脂は特に限定されるものではなく、ジカルボン酸またはそのエステル化合物とグリコールとを主たる出発原料として得られるポリエステルを主とするものであり、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)などが挙げられる。そして、上記の範囲を逸脱しない条件であれば、他の第三成分を含有していてもよい。例えば、ポリカーボネートなどポリエステル系樹脂と相溶性のある樹脂との混合が挙げられる。
ジカルボン酸成分の例としては、芳香族ジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸およびテレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えばp−オキシエトキシ安息香酸など)などを用いることができ、中でもテレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルを用いることが特に好ましい。これらのジカルボン酸成分は、1種類または2種類以上を同時に用いることができる。
グリコール成分の例としては、エチレングリコール以外に、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールが挙げられ、中でもエチレングリコールを用いることが好ましい。これらのグリコール成分は、1種類または2種類以上を同時に用いることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、下記化学式(1)で表される化合物を共重合成分として含有する。化合物(1)の分子量の範囲は、特に限定しないが、数平均分子量で10,000〜30,000、重量平均分子量で80,000〜200,000であることが好ましい。なお、化学式(1)中のnは自然数を表す。
前述の化合物(1)が共重合されたポリエステルとは、具体的には化合物(1)が共重合成分となり、ポリエステルとのエステル交換反応によって生成された共重合体のことである。PETとの反応を例にとると、エステル交換反応は図1の反応機構で表される。具体的には、化合物(1)の末端のヒドロキシ基の酸素原子がポリエステル分子中のエステル結合のカルボニル炭素に結合し、エステル結合からジオール側の分子鎖が脱離することで反応が完了する。
本発明のポリエステルフィルム中のリン元素含有量は0.2〜3.3重量%である。リン元素含有量が0.2重量%未満の場合、十分な難燃性を得られない場合がある。一方3.3重量%を超える場合、押出機の負荷が大きくなりすぎて押出機を破損させてしまうおそれがある。フィルム厚みが大きいほど、少ないリン元素含有量で十分な難燃性が得られる傾向があり、厚みごとの好ましい範囲を表1に示す。
本発明のフィルムのIV(=Intrinsic Viscosity、固有粘度または極限粘度)は、通常0.50dl/g以上、好ましくは0.55dl/g以上、更に好ましくは0.60以上、特に好ましくは0.65dl/g以上である。IVが0.50dl/g未満の場合、強度不足で製造中のフィルム破れが頻発する恐れがある。一方フィルムのIVの上限については特に限定しないが、押出機にかかる負荷のため、0.70dl/gを超えると生産性が悪化するようになり、事実上の上限は0.90dl/gである。
本発明のポリエステルフィルムのヘーズ(曇り度)は通常10%以下であるが、好ましくは8%以下、更に好ましくは6%以下、最も好ましくは4%以下であり、低ければ低いほど良い。ヘーズが10%を超えるフィルムは透明性に劣るため、調光フィルムのような透明感を求められる製品の基材として用いるには不向きである。
本発明のポリエステルフィルムは、必要に応じて各種の不活性な微粒子を含有していてもよい。その平均粒径は、通常0.5〜3.0μm、好ましくは0.8〜2.0μmである。また、当該微粒子の添加量は、通常0.005〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%である。微粒子の平均粒径が3.0μmを超える、あるいは添加量が0.5重量%を超えると、フィルムの平面性および/または透明性が損なわれる恐れがある。
前述の不活性微粒子の例としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、セライト、カオリン、タルク、カーボンブラックおよび特許文献3に記載されているような架橋高分子微粒子を挙げることができる。これらの微粒子は、必要に応じて1種類または2種類以上を併用することができる。
本発明のポリエステルフィルムは調光フィルムの基材として好適に用いることができる。ここで言う調光フィルムとは、自動調光フィルムの他、遮光フィルム、紫外線カットフィルム、赤外線カットフィルムなど波長ごとの光透過率を調整できるようなフィルム全般のことを指す。これらの中では自動調光フィルムが特に好ましい。
前述の自動調光フィルムとは、フィルム基材に担持された対向する二層の透明電極層の層間に、電圧印加によって透過率が変化する自動調光層を有する構造を持つフィルムである。自動調光層の種類に特に制限はなく、ポリマー分散型液晶、ネットワークポリマー型液晶、エレクトロクロミック材料など、公知の材料を用いることができる。
本発明のポリエステルフィルムを自動調光フィルムの基材として用いる場合、ポリエステルフィルム表面に透明電極層が設けられている必要がある。透明電極の材料は特に限定されず、公知の各種の材料を用いることが可能で、たとえばITO、ATO、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、スズ−アンチモン複合酸化物、亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物、銀および銀の合金、銅および銅の合金、金、カーボンナノチューブなどが挙げられる。また、ポリアセチレン、P3HT、PEDOT:PSSなどの導電性高分子を用いることも可能である。
前述の透明電極層を設ける方法として、公知の方法を適宜用いることができる。例えば真空蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法、イオンプレーティング法、スプレー法などが挙げられる。他にも、後述するインラインまたはオフラインのコーティング法を採用することも可能である。
本発明のポリエステルフィルムには、塗布層を設けても構わない。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよく、両者を併用してもよい。製膜と同時に塗布が可能であるため、製造が安価に対応可能であり、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることができるという点でインラインコーティングが好ましく用いられる。
インラインコーティングについては、以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に縦延伸が終了した横延伸前にコーティング処理を施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、製膜と同時に塗布が可能になると共に塗布層を高温で処理することができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
塗布液組成物中のバインダーとして、水に溶解、乳化または懸濁する水性高分子としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルピロリドンおよびこれらの共重合体等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。これらの化合物は、1種または2種以上を混合して使用できる。
塗布液組成物中の成分として、架橋剤も含有されることが好ましい。架橋剤としては、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、アミド系などの化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ポリイソシアヌレート、ブロックポリイソシアネート、オキサゾリン基含有水溶性ポリマー、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネートカップリング剤が挙げられる。塗布液中には、塗布性を向上するために、本発明の効果を損なわない範囲で、無機や有機の粒子、潤滑剤、帯電防止剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、顔料、染料等を含有させてもよい。
代表的な塗布層としては有機シラン化合物を含有する塗布層が挙げられる。有機シラン化合物としては、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン等があり、これらの混合物や縮合反応物であっても良い。特に、分子内に有機官能機を持ったアルコキシシランがこのましい。その代表的な例としては、下記一般式で表される有機シラン化合物があり、これらは、シランカップリング剤として知られている。
XR2Si(OR1)3や(XR2)(YR3)Si(OR1)2
(ここで、R1はメチル基またはエチル基で代表されるアルキル基やメトキシアルキル基等の置換アルキル基であり、R2、R3はそれぞれ独立してプロピレン基等のアルキレン基、X、Yはそれぞれ独立して有機官能基である)。
(ここで、R1はメチル基またはエチル基で代表されるアルキル基やメトキシアルキル基等の置換アルキル基であり、R2、R3はそれぞれ独立してプロピレン基等のアルキレン基、X、Yはそれぞれ独立して有機官能基である)。
上記一般式において、XやYの有機官能基としては、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシシクロヘキシル基、メルカプト基およびグリシジル基が好ましい。また、有機官能基としては、N−β(アミノエチル)アミノ基のような置換アミノ基やポリエチレンイミンのように、置換されたものであってもよい。有機官能基を有するシランカップリング剤の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が好ましく例示される。これらは一種または二種以上、および必要によっては、官能基を持たないアルコキシシランを含めた混合物や縮合物を用いることができる。
有機シラン化合物は、アルコール溶媒で希釈して用いることができるが、水系であることが好ましく、その際には、塗布性を改善する目的で各種の界面活性剤を配合することができる。また、必要に応じて先に挙げた水性高分子の1種もしくは2種以上を併用し塗布性の向上を図ってもよい。また、本発明の塗布剤には、塗布面の滑り性確保する目的で、無機粒子や有機の粒子を加えても構わない。
また、塗布層の滑り性改良やブロッキング改良のために、塗布層中へ粒子を含有することも可能である。用いる粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化金属等の無機粒子、あるいは架橋高分子粒子等の有機粒子等を挙げることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(1)IV測定:
サンプルを1.0g・dl−1の濃度になるようフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの重量比1:1溶液中に加えた。この溶液を110℃で20分間加熱し、ポリエステル樹脂組成物を溶解させた後、容器を30分間水道水に浸して室温まで冷却させた。毛細管粘度計“VMS−022UPC・F10”(離合社製)を用いて、この溶液の流下時間、およびフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン溶液のみ(リファレンス液)の流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、極限粘度を算出した。その際、粘度計の恒温水槽の温度は30℃とし、粘度計算に用いるHuggins定数は0.33と仮定した。なお、IVの単位は“dl・g−1”とする。
サンプルを1.0g・dl−1の濃度になるようフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの重量比1:1溶液中に加えた。この溶液を110℃で20分間加熱し、ポリエステル樹脂組成物を溶解させた後、容器を30分間水道水に浸して室温まで冷却させた。毛細管粘度計“VMS−022UPC・F10”(離合社製)を用いて、この溶液の流下時間、およびフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン溶液のみ(リファレンス液)の流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、極限粘度を算出した。その際、粘度計の恒温水槽の温度は30℃とし、粘度計算に用いるHuggins定数は0.33と仮定した。なお、IVの単位は“dl・g−1”とする。
(2)ヘーズ測定:
ヘーズメーター“NDH−5000”(日本電色工業製)を用いて、JIS K 7136規格に基づいてフィルムのヘーズを測定した。
ヘーズメーター“NDH−5000”(日本電色工業製)を用いて、JIS K 7136規格に基づいてフィルムのヘーズを測定した。
(3)ICP測定:
ICP発光分析装置(Varian製730−ES)を用いて、サンプル中のリン元素含有量を測定した。測定にあたり、標準溶液としてSPEX製のXSTC−22(リン含有量100ppm)を使用し、原液、10倍希釈(同10ppm)、100倍希釈(同1ppm)の3種類の溶液から検量線を作成した。
ICP発光分析装置(Varian製730−ES)を用いて、サンプル中のリン元素含有量を測定した。測定にあたり、標準溶液としてSPEX製のXSTC−22(リン含有量100ppm)を使用し、原液、10倍希釈(同10ppm)、100倍希釈(同1ppm)の3種類の溶液から検量線を作成した。
(4)難燃性:
アンダーライターズラボラトリーズ(UL)社発行のプラスチック材料の燃焼性試験規格UL94のVTM試験に基づき、ポリエステルフィルムの燃焼試験を行った。VTM試験は結果のばらつきが大きい試験であるため、評価の信頼性をより高める目的で、1種のポリエステルフィルムサンプルに対し通常5回ずつ試験を行うところを10回ずつ行った。以下に、難燃性評価手順について説明する。
アンダーライターズラボラトリーズ(UL)社発行のプラスチック材料の燃焼性試験規格UL94のVTM試験に基づき、ポリエステルフィルムの燃焼試験を行った。VTM試験は結果のばらつきが大きい試験であるため、評価の信頼性をより高める目的で、1種のポリエステルフィルムサンプルに対し通常5回ずつ試験を行うところを10回ずつ行った。以下に、難燃性評価手順について説明する。
(i)サンプル作成:
フィルムを200mm×50mmに裁断し、試料下端から125mmのところで試料の幅方向に125mm標線(3)を入れた。試料の縦軸を直径12.7mmの棒の縦軸に硬く巻きつけて、125mmの線が外側に露出する、長さ200mmの円筒状にした。標線より上(75mm側)5mmの所と、試料上端から下5mmの所にテープ(2)を巻き付けて固定した。最後に棒を引き抜き、試料上端を試験片とした。
フィルムを200mm×50mmに裁断し、試料下端から125mmのところで試料の幅方向に125mm標線(3)を入れた。試料の縦軸を直径12.7mmの棒の縦軸に硬く巻きつけて、125mmの線が外側に露出する、長さ200mmの円筒状にした。標線より上(75mm側)5mmの所と、試料上端から下5mmの所にテープ(2)を巻き付けて固定した。最後に棒を引き抜き、試料上端を試験片とした。
(ii)コンディショニング:
上記(i)により得られた試験片を
(a)気温23±2℃、相対湿度50±5%の環境下で48時間以上処理
(b)気温70℃±2℃で168±2時間処理後、気温23±2℃、相対湿度20%以下で4時間以上冷却
以上の処理を施したものをそれぞれ10本ずつ用意する。(a)を受理状態、(b)をエージング状態と呼ぶ。
上記(i)により得られた試験片を
(a)気温23±2℃、相対湿度50±5%の環境下で48時間以上処理
(b)気温70℃±2℃で168±2時間処理後、気温23±2℃、相対湿度20%以下で4時間以上冷却
以上の処理を施したものをそれぞれ10本ずつ用意する。(a)を受理状態、(b)をエージング状態と呼ぶ。
(iii)試験片固定:
上記(ii)の試験片の縦軸を垂直にして、上端の長さ6mmの位置でスプリング付きのクランプ(1)で挟んで固定し、筒の上端が閉じて試験中に煙突効果を生じないようにする。試験片の真下には、最大厚みが6mmの1枚の0.05gのコットン(5)(50mm×50mm)を水平に置くが、試験片の下端はこのコットン(5)よりも300mm上にあるようにする(図2参照)。
上記(ii)の試験片の縦軸を垂直にして、上端の長さ6mmの位置でスプリング付きのクランプ(1)で挟んで固定し、筒の上端が閉じて試験中に煙突効果を生じないようにする。試験片の真下には、最大厚みが6mmの1枚の0.05gのコットン(5)(50mm×50mm)を水平に置くが、試験片の下端はこのコットン(5)よりも300mm上にあるようにする(図2参照)。
(iv)バーナー調整:
バーナー(4)から高さ20mmの青炎が出るよう調整する。その炎を出すためには、可燃性ガスの供給量を調整して先端が黄色い高さ20mmの青い炎が出るようにする。続いて黄色い先端が消えるまで空気の供給を増やす。その後再度炎の高さを測定して、必要に応じて再調整をする。可燃性ガスはメタンを用いることとし、バーナー(4)へのメタンガス供給は“ASTM D 5207”に準じた方法で流量を調整する。
バーナー(4)から高さ20mmの青炎が出るよう調整する。その炎を出すためには、可燃性ガスの供給量を調整して先端が黄色い高さ20mmの青い炎が出るようにする。続いて黄色い先端が消えるまで空気の供給を増やす。その後再度炎の高さを測定して、必要に応じて再調整をする。可燃性ガスはメタンを用いることとし、バーナー(4)へのメタンガス供給は“ASTM D 5207”に準じた方法で流量を調整する。
(v)1回目の接炎:
炎は、試験片の巻かれていないほうの下端の中心点を中心に当て、バーナー(4)の先端はその中心点から10±1mm下にあるようにして、その位置で3秒接炎を続ける。ただし、試験片の長さおよび中心位置は燃焼によって変化するので、その変化に応じてバーナー(4)の位置を移動させる。接炎中に溶融物または発煙物が滴下する場合は、バーナー(4)の角度を45度までの範囲で傾け、バーナー(4)の管の中にそれらの物質が落下するのを防ぐためにちょうど十分なだけ試験片の下から移動させる。その間もバーナー(4)の先端の中心と試験片の残存部分間は10±1mmの距離を保たなければならない。3秒間接炎の後、直ちにバーナー(4)を試験片から毎秒約300mmの速度で少なくとも150mm遠ざけ、同時に経時装置により残炎時間t1を秒で計測し始める。
炎は、試験片の巻かれていないほうの下端の中心点を中心に当て、バーナー(4)の先端はその中心点から10±1mm下にあるようにして、その位置で3秒接炎を続ける。ただし、試験片の長さおよび中心位置は燃焼によって変化するので、その変化に応じてバーナー(4)の位置を移動させる。接炎中に溶融物または発煙物が滴下する場合は、バーナー(4)の角度を45度までの範囲で傾け、バーナー(4)の管の中にそれらの物質が落下するのを防ぐためにちょうど十分なだけ試験片の下から移動させる。その間もバーナー(4)の先端の中心と試験片の残存部分間は10±1mmの距離を保たなければならない。3秒間接炎の後、直ちにバーナー(4)を試験片から毎秒約300mmの速度で少なくとも150mm遠ざけ、同時に経時装置により残炎時間t1を秒で計測し始める。
(vi)二回目の接炎:
1回目の接炎に由来する試験片の残炎が消滅した時点で、(バーナー(4)を試験片から150mm以上はなれたところまで遠ざけていなくても)直ちにバーナー(4)を試験片の下に持ってきて、試験片の残りの部分の下端から10mm±1mm離れた箇所にバーナー(4)を保持しておく。ただし、必要に応じてバーナー(4)を動かして、妨害物のない状態で燃焼による落下物の挙動が確認できるようにする。3秒間接炎の後、直ちにバーナー(4)を試験片から毎秒約300mmの速度で少なくとも150mm遠ざけ、同時に経時装置により残炎時間t2を秒で計測し始める。
1回目の接炎に由来する試験片の残炎が消滅した時点で、(バーナー(4)を試験片から150mm以上はなれたところまで遠ざけていなくても)直ちにバーナー(4)を試験片の下に持ってきて、試験片の残りの部分の下端から10mm±1mm離れた箇所にバーナー(4)を保持しておく。ただし、必要に応じてバーナー(4)を動かして、妨害物のない状態で燃焼による落下物の挙動が確認できるようにする。3秒間接炎の後、直ちにバーナー(4)を試験片から毎秒約300mmの速度で少なくとも150mm遠ざけ、同時に経時装置により残炎時間t2を秒で計測し始める。
(vii)難燃性評価基準:
受理状態およびエージング状態それぞれ10本ずつの試験片に対してUL94のVTM試験を行い、全ての試験片が下記表2の条件を満たすかどうかで評価する。ただし不合格の試験片が10本中1本のみの場合は合格とする。これは、実際のVTM試験が5本の試験片を1組として行われ、不合格が1本のみの場合は1度だけ再試験が許されていることを反映している。なお、表2内の「試験片5本のt1とt2の総和」における「試験片5本」とは、10本の試験片のうちt1とt2の合計が最も大きい5本の組み合わせのことを指す。
受理状態およびエージング状態それぞれ10本ずつの試験片に対してUL94のVTM試験を行い、全ての試験片が下記表2の条件を満たすかどうかで評価する。ただし不合格の試験片が10本中1本のみの場合は合格とする。これは、実際のVTM試験が5本の試験片を1組として行われ、不合格が1本のみの場合は1度だけ再試験が許されていることを反映している。なお、表2内の「試験片5本のt1とt2の総和」における「試験片5本」とは、10本の試験片のうちt1とt2の合計が最も大きい5本の組み合わせのことを指す。
(5)生産性:
二軸延伸ポリエステルフィルムの製造を6時間行い、以下の評価基準に基づいて生産性を評価した。
《評価基準》
A:破断が一度もフィルム発生せず、継続して製膜することができた。
B:破断が1〜2回発生した。
C:破断が3回以上発生した。
二軸延伸ポリエステルフィルムの製造を6時間行い、以下の評価基準に基づいて生産性を評価した。
《評価基準》
A:破断が一度もフィルム発生せず、継続して製膜することができた。
B:破断が1〜2回発生した。
C:破断が3回以上発生した。
実施例および比較例にて用いた原料の製造方法は以下のとおりである。
≪ポリエステルAの製造≫
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩0.02重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、エステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.03重量部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04重量部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温して280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、IV=0.64に相当する時点で反応を停止し、ポリエステルAを得た。
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩0.02重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、エステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.03重量部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04重量部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温して280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、IV=0.64に相当する時点で反応を停止し、ポリエステルAを得た。
≪ポリエステルBの製造≫
ポリエステルAを出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行い、IV=0.85のポリエステルBを得た。
ポリエステルAを出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行い、IV=0.85のポリエステルBを得た。
≪ポリエステルCの製造≫
ポリエステルAの製造において、エステル交換反応終了時に、平均粒径2.30μmのシリカ粒子0.1重量部を配合する以外はポリエステルAと同様の方法でポリエステルCを得た。得られたポリエステルCのIVは0.62であった。
ポリエステルAの製造において、エステル交換反応終了時に、平均粒径2.30μmのシリカ粒子0.1重量部を配合する以外はポリエステルAと同様の方法でポリエステルCを得た。得られたポリエステルCのIVは0.62であった。
≪化合物(1)の製造≫
攪拌機と蒸留塔を備えた容積12リットルの反応容器に3,726gのメチル亜リン酸ジフェニルエステル(下記化学式(2))、3,329gのビスフェノールA(下記化学式(3))、89gの1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、600mgのナトリウムフェノキシドを入れ、250℃から300℃の温度、1.5ミリメートルHgから150ミリメートルHgの圧力下で15時間かけて反応させた。なお、反応開始から11時間の時点で600mgのナトリウムフェノキシドを追加した。
攪拌機と蒸留塔を備えた容積12リットルの反応容器に3,726gのメチル亜リン酸ジフェニルエステル(下記化学式(2))、3,329gのビスフェノールA(下記化学式(3))、89gの1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、600mgのナトリウムフェノキシドを入れ、250℃から300℃の温度、1.5ミリメートルHgから150ミリメートルHgの圧力下で15時間かけて反応させた。なお、反応開始から11時間の時点で600mgのナトリウムフェノキシドを追加した。
得られた反応物は反応の定法に従い回収され、二軸押出機に投入して水中に押し出し、続いてストランドカッターに導き、ペレット状にカットした。得られたペレットは3,827gであった。この反応を数回繰り返すことで、必要量の化合物(1)を確保した。この化合物(1)は透明で、リン元素含有率は10.8重量%、IVは0.80dl/gだった。また、GPC分析より、この化合物(1)の数平均分子量は2.39×104、重量平均分子量は1.68×105と求められた。
≪難燃ポリエステルの製造≫
攪拌機、温度計、ガス吹き込み口、および蒸留口を備えた内容積3Lのガラス製フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド(下記化学式(4))7.8molとエチレングリコール25.97molを加え、成分を溶解させるため、内容物の温度が100℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、攪拌しながらイタコン酸7.96molを添加し、蒸留口から減圧器を介して、フラスコを30Torrの真空状態で加熱し、内容物を沸騰させた。この時点で、蒸留口の留出速度を調製することで、生成した水を除去した。さらに、内容物の沸騰状態を維持したまま、フラスコ内の温度を上昇させ、それに対応させて、減圧度も低下させていった。その内訳として、内容物の温度が185℃になるまでに4時間を要し、この時点での減圧度は430Torrであった。さらに、加熱を続け、最終的に内容物の温度が200℃になるまで加熱していった。この点を確認後、反応機に窒素ガスを吹き込んでフラスコを常圧に戻した。反応混合物は下記化学式(5)のエチレングリコール溶液である。また、減圧下、エチレングリコールを除去することにより、固形状の下記化学式(5)の化合物を精製できる。
攪拌機、温度計、ガス吹き込み口、および蒸留口を備えた内容積3Lのガラス製フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド(下記化学式(4))7.8molとエチレングリコール25.97molを加え、成分を溶解させるため、内容物の温度が100℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、攪拌しながらイタコン酸7.96molを添加し、蒸留口から減圧器を介して、フラスコを30Torrの真空状態で加熱し、内容物を沸騰させた。この時点で、蒸留口の留出速度を調製することで、生成した水を除去した。さらに、内容物の沸騰状態を維持したまま、フラスコ内の温度を上昇させ、それに対応させて、減圧度も低下させていった。その内訳として、内容物の温度が185℃になるまでに4時間を要し、この時点での減圧度は430Torrであった。さらに、加熱を続け、最終的に内容物の温度が200℃になるまで加熱していった。この点を確認後、反応機に窒素ガスを吹き込んでフラスコを常圧に戻した。反応混合物は下記化学式(5)のエチレングリコール溶液である。また、減圧下、エチレングリコールを除去することにより、固形状の下記化学式(5)の化合物を精製できる。
続いて、このフラスコ内に、三酸化アンチモン(Sb2O3)0.33gおよび酢酸亜鉛二水和物[(AcO)2Zn・2H2O]0.29gを含んだエチレングリコール130gを添加し、フラスコ内を200℃に保持し、減圧度を徐々に高めていき、1Torr以下の真空状態とした。さらに、内容物の温度を220℃まで上昇させ、エチレングリコールの留出が極端に減少した点を反応終点とした。この点を確認後、内容物を窒素ガスで加圧しながら、SUS製容器内で固化させることで、淡黄色の透明なガラス状固体である、難燃性有機リン化合物、すなわち下記化学式(6)で表される2−(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキサイド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチルコハク酸ビス−(2−ヒドロキシエチル)の脱エチレングリコール重縮合物を得た。
上記操作を繰り返すことにより、後述する実施例および比較例で添加する2−(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキサイド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチルコハク酸ビス−(2−ヒドロキシエチル)の脱エチレングリコール重縮合物の必要量を確保した。
最後に、前述の脱エチレングリコール重縮合物とポリエステルBを、35:65の比でベント付きの二軸押出機にてコンパウンドし、難燃ポリエステルを得た。この難燃ポリエステルのリン元素含有量は2.8重量%、IVは0.43dl/gであった。
実施例1〜14:
後記の表3に記載の割合で混合した原料を、270℃に設定した同方向二軸押出機に送り込んだ。このポリエステル樹脂をギヤポンプ、フィルターを介して、口金よりシート状に押出し、表面温度を30℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を利用して急冷固化させ、実質的に非晶質なシートを得た。得られた非晶質シートを縦方向に85℃で3.0倍延伸した後、横方向に125℃で3.0倍延伸し、215℃で熱処理を施し、厚み15〜250μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。いずれの例においても、得られたフィルムは、表3に示す通り、良好な難燃性を示し、なおかつ生産も安定していた。
後記の表3に記載の割合で混合した原料を、270℃に設定した同方向二軸押出機に送り込んだ。このポリエステル樹脂をギヤポンプ、フィルターを介して、口金よりシート状に押出し、表面温度を30℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を利用して急冷固化させ、実質的に非晶質なシートを得た。得られた非晶質シートを縦方向に85℃で3.0倍延伸した後、横方向に125℃で3.0倍延伸し、215℃で熱処理を施し、厚み15〜250μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。いずれの例においても、得られたフィルムは、表3に示す通り、良好な難燃性を示し、なおかつ生産も安定していた。
比較例1〜3:
表3に記載の割合で混合した原料を、実施例と同様に加工して厚み15〜250μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、表3に示す通り、生産性は良好であったが、難燃性が十分でなかった。
表3に記載の割合で混合した原料を、実施例と同様に加工して厚み15〜250μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、表3に示す通り、生産性は良好であったが、難燃性が十分でなかった。
比較例4:
表3に記載の割合で混合した原料を実施例と同様に押出機に投入したが、押出機にかかる負荷が大きすぎて押出困難で、フィルム製膜できなかった。
表3に記載の割合で混合した原料を実施例と同様に押出機に投入したが、押出機にかかる負荷が大きすぎて押出困難で、フィルム製膜できなかった。
比較例5:
表3に記載の割合で混合した原料を実施例と同様に加工して厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。フィルムのIVが低すぎるため加工中に頻繁に破断が発生したうえ、得られたフィルムは表3に示す通り、高ヘーズのため外観不良であった。
表3に記載の割合で混合した原料を実施例と同様に加工して厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。フィルムのIVが低すぎるため加工中に頻繁に破断が発生したうえ、得られたフィルムは表3に示す通り、高ヘーズのため外観不良であった。
実施例15:
実施例6に記載の厚み50μmのポリエステルフィルムを基材として用いた自動調光フィルムを製造した。具体的な製造方法を以下に示す。
実施例6に記載の厚み50μmのポリエステルフィルムを基材として用いた自動調光フィルムを製造した。具体的な製造方法を以下に示す。
≪調光材料の製造≫
ポリエーテルウレタンエマルジョン(水不揮発分40質量%)100重量部に対して、ネマチック液晶(複屈折率Δn=0.132)64重量部を添加した。この混合物をホモジナイザー(日本精機製)にて回転数8000rpmで10分間攪拌し、液晶エマルジョンを得た。続いてポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルをイオン交換水に溶解し、50%の水溶液を調製した。前述の液晶エマルジョンを低速で攪拌しながら、この水溶液を4.8重量部添加することで、調光材料を得た。
ポリエーテルウレタンエマルジョン(水不揮発分40質量%)100重量部に対して、ネマチック液晶(複屈折率Δn=0.132)64重量部を添加した。この混合物をホモジナイザー(日本精機製)にて回転数8000rpmで10分間攪拌し、液晶エマルジョンを得た。続いてポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルをイオン交換水に溶解し、50%の水溶液を調製した。前述の液晶エマルジョンを低速で攪拌しながら、この水溶液を4.8重量部添加することで、調光材料を得た。
≪透明電極フィルムの製造≫
実施例6のポリエステルフィルム上に、スパッタによりITO層を100nmの厚みで製膜し、パターニングを行った後、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行うことで、透明電極フィルムを得た。
実施例6のポリエステルフィルム上に、スパッタによりITO層を100nmの厚みで製膜し、パターニングを行った後、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行うことで、透明電極フィルムを得た。
≪自動調光フィルムの製造≫
前述の透明電極フィルムのITO層上に、ワイヤーバーを用いて前述の調光材料を塗布し、100℃下で10分間真空乾燥させた。乾燥後の調光材料層の厚みは、45μmであった。続いて、調光材料層の上から、ITO層が対向するようにもう1枚の透明電極フィルムを貼り合せることで、自動調光フィルムを得た。この自動調光フィルムは不透明であるが、厚み方向に100Vの電圧を印加することで透明性が向上し、自動調光フィルムとして正常に動作することが分かった。
前述の透明電極フィルムのITO層上に、ワイヤーバーを用いて前述の調光材料を塗布し、100℃下で10分間真空乾燥させた。乾燥後の調光材料層の厚みは、45μmであった。続いて、調光材料層の上から、ITO層が対向するようにもう1枚の透明電極フィルムを貼り合せることで、自動調光フィルムを得た。この自動調光フィルムは不透明であるが、厚み方向に100Vの電圧を印加することで透明性が向上し、自動調光フィルムとして正常に動作することが分かった。
本発明によれば、高い難燃性と透明性を両立させたポリエステルフィルムを提供することが可能である。本発明のポリエステルフィルムは透明感を要求される各種の用途に用いることが可能であり、その工業的価値は高い。
1 クランプ
2 テープ
3 125mm標線
4 バーナー
5 コットン
2 テープ
3 125mm標線
4 バーナー
5 コットン
Claims (3)
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015133160 | 2015-07-02 | ||
JP2015133160 | 2015-07-02 | ||
PCT/JP2016/069073 WO2017002780A1 (ja) | 2015-07-02 | 2016-06-28 | ポリエステルフィルム及び調光フィルム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2017002780A1 true JPWO2017002780A1 (ja) | 2018-04-12 |
Family
ID=57608784
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017526353A Pending JPWO2017002780A1 (ja) | 2015-07-02 | 2016-06-28 | ポリエステルフィルム及び調光フィルム |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPWO2017002780A1 (ja) |
CN (1) | CN107531986A (ja) |
WO (1) | WO2017002780A1 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6880603B2 (ja) * | 2016-08-24 | 2021-06-02 | 凸版印刷株式会社 | 調光フィルム、調光装置およびスクリーン |
JP7327537B2 (ja) * | 2017-12-26 | 2023-08-16 | 三菱ケミカル株式会社 | ポリエステルフィルムの製造方法 |
JP7167438B2 (ja) * | 2017-12-26 | 2022-11-09 | 三菱ケミカル株式会社 | 一軸または二軸延伸ポリエステルフィルム |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6012444B2 (ja) * | 1977-12-06 | 1985-04-01 | 帝人株式会社 | 難燃性ポリエステル繊維 |
JP3316333B2 (ja) * | 1994-09-05 | 2002-08-19 | カネボウ株式会社 | 高難燃性ポリエステル繊維 |
JP2004198883A (ja) * | 2002-12-20 | 2004-07-15 | Fuji Xerox Co Ltd | 調光素子 |
CN101802063A (zh) * | 2007-07-16 | 2010-08-11 | Frx聚合物股份有限公司 | 阻燃的工程聚合物组合物 |
CN101802054A (zh) * | 2007-07-30 | 2010-08-11 | Frx聚合物股份有限公司 | 不溶且支化的聚膦酸酯及其相关方法 |
US9695278B2 (en) * | 2012-06-29 | 2017-07-04 | Frx Polymers, Inc. | Polyester co-phosphonates |
-
2016
- 2016-06-28 WO PCT/JP2016/069073 patent/WO2017002780A1/ja active Application Filing
- 2016-06-28 CN CN201680024889.4A patent/CN107531986A/zh active Pending
- 2016-06-28 JP JP2017526353A patent/JPWO2017002780A1/ja active Pending
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2017002780A1 (ja) | 2017-01-05 |
CN107531986A (zh) | 2018-01-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI475069B (zh) | Biaxially oriented polyester film for solar cells | |
US9213126B2 (en) | Polyester resin composition and polyester film using the same | |
JP5909534B2 (ja) | ポリエステル樹脂組成物およびそれを含むカメラモジュール | |
CN109789691B (zh) | 层叠聚酯薄膜 | |
CN109476864B (zh) | 聚酯多层薄膜 | |
JP2012184399A (ja) | ポリエステルフィルム | |
WO2017002780A1 (ja) | ポリエステルフィルム及び調光フィルム | |
JP7327537B2 (ja) | ポリエステルフィルムの製造方法 | |
JP6926477B2 (ja) | 透明難燃性ポリエステルフィルムおよび調光フィルム | |
JP2014084383A (ja) | 難燃性白色ポリエステルフィルム | |
JP4951158B2 (ja) | 積層ポリエステルフィルム | |
JP7167438B2 (ja) | 一軸または二軸延伸ポリエステルフィルム | |
JP2015203034A (ja) | 難燃性ポリエステルフィルム | |
KR20160034078A (ko) | 고내열성 및 고내광성을 가지는 폴리에스터계 적층 필름 | |
JP7114895B2 (ja) | ポリエチレンテレフタレートフィルム | |
JP5876754B2 (ja) | ポリエステルフィルム | |
JP2016216659A (ja) | 難燃性ポリエステルフィルム | |
JP2013041897A (ja) | 太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルム | |
JP2007154001A (ja) | 光学用積層ポリエステルフィルム | |
JP6492870B2 (ja) | 難燃性ポリエステルフィルム | |
JP6066687B2 (ja) | ポリエステルフィルム | |
JP5973851B2 (ja) | 難燃性を有する黒色ポリエステルフィルム | |
JP2015151476A (ja) | 白色難燃性ポリエステルフィルム | |
JP2015151477A (ja) | 白色難燃性ポリエステルフィルム | |
JP2014185247A (ja) | 難燃性黒色ポリエステルフィルム |