JP5863289B2 - 難燃性ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、難燃性ポリエステル樹脂組成物に関するものであり、難燃性を有する成形加工品とすることができるポリエステル樹脂に関するものである。
熱可塑性樹脂に様々な機能を付与するため、難燃剤や顔料などの添加剤を熱可塑性樹脂と共に溶融混錬後、フレーク状またはビーズ状に造粒し、得られた樹脂組成物を適当な熱可塑性樹脂で希釈して使用することが、一般的に行われている。得られた樹脂組成物は、ハンドリングのしやすさや作業性、安全性の面から、成形現場で広く利用されており、さらに近年では、低コスト化などの観点から、より添加剤を高濃度化した樹脂組成物が市場から求められている。
しかし、熱可塑性樹脂の融点よりも低融点である有機系添加剤(以下、低融点有機系添加剤ということがある)は、溶融混錬した際、熱可塑性樹脂との間で粘度の差が大きく、均一に混練するのが難しく、さらに低融点有機系添加剤を高濃度化すると、粘度が極端に低下し、ストランド化が難しく、またその表面に添加した低融点有機系添加剤がブリードアウトするという問題が発生した。
特許文献1には、低融点有機系添加剤として、帯電防止剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤など種々の有機系添加剤を添加した樹脂組成物を得る技術が開示されている。しかし、低融点かつ樹脂との相溶性に乏しく、難燃成分を添加したものについては、特許文献1には具体的に記載されていない。
一方、近年、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある)をはじめとする熱可塑性ポリエステル系樹脂は、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性、ガスバリヤー性、耐薬品性等を有するため、磁気記録材料などの電気・電子分野、表示材料などの機械構成部品分野、窓貼り材料などの自動車分野等の用途の樹脂組成物に広く使用されているが、これらの用途において、発熱由来の火災予防の観点から難燃性および耐熱を要する構造材としての有用な機械物性、耐熱性の要求が強まっている。
例えば、近年のパーソナルコンピューターや携帯電話の小型化ならびに高効率化に伴う発熱増大に伴い、それらの装置のバッテリーに用いられるラベル用ポリエステルフィルムもそれに該当する。一般的に、難燃性の指標として、米国アンダーライターズラボラトリーズ(UNDERWRITERS LABORATORIES)社の規格UL94の認定が使用される場合が多い。
樹脂組成物に難燃性を付与することのできる難燃剤としては種々あるが、有機ハロゲン化合物、ハロゲン含有有機リン化合物等のハロゲン系難燃剤が、難燃効果が高いことで知られている。しかし、ハロゲン系難燃剤を添加した樹脂は、加工時や燃焼時に有毒ガスが発生し、またその廃棄物が環境に悪影響を与えることが問題視されている。特に、臭素含有の難燃性化合物においては、成形・加工時に臭化水素ガスが発生することや、燃焼時にダイオキシン類似ガスが発生することが指摘されている。そのため、近年非ハロゲン系難燃剤を用いることが強く要望されている。
代表的な非ハロゲン系難燃剤として、また、その他難燃性化合物として、水酸化マグネシウムやホウ素化合物に代表される無機系難燃剤、メラミン化合物に代表される窒素系難燃剤、赤リンに代表される無機リン系難燃剤、リン酸エステルやホスホン酸化合物およびホスフィン酸化合物などの有機リン系難燃剤が知られている。これらのうち、無機化合物、無機リン化合物等の難燃剤は、ハロゲン系難燃剤のような毒性はないものの、樹脂との相溶性に乏しく、分散不良が起こり、その樹脂の透明性の低下や、十分な難燃効果を発現させるために多量に添加するとその樹脂の機械的物性を著しく損なうことがある。この観点から、有機リン系難燃剤が注目されている。
有機リン系難燃剤の中にも、ジカルボン酸とジオールの重合時に難燃成分を含有させることで、ポリエステル成分に難燃成分が共重合された、難燃性共重合ポリエステル樹脂がある。難燃性共重合ポリエステル樹脂は融点が低下するため、フィルム化した際の機械的物性および耐熱性、混錬機のフィーダー根元付近における凝着性が悪化するといった欠点がある。また、より高い難燃性の発現のため、フィルム中のリン化合物の共重合量を増やせばそれだけ機械的物性および耐熱性、凝着性は悪くなり、拮抗した両者の両立は難しいと考えられる。
特開2009−102633号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、製造時および燃焼時における環境負荷を軽減することのできる難燃性ポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成を採用することによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステル樹脂Aと、下記式(1)で表される有機リン化合物を45重量%以下含有するポリエステル樹脂Bとを、ポリエステル樹脂B中の下記式(1)で表される有機リン化合物の含有量(重量%)と、ポリエステル樹脂Bの配合量(重量%)との積が1620以下となるように、ベント式二軸押出機により押し出す際に、ベント付き二軸押出機のシリンダーの内径(直径)をD(mm)とした際、単位時間当たりの押出量Q(kg/時)とスクリュー回転数N(rpm)とが下記式(I)を満たすようにベント式二軸押出機により押し出ことを特徴とする難燃性ポリエステル樹脂フィルムの製造方法に存する。
5.2×10−6×D28≦Q/N≦15.8×10−6×D28 …(I)
(上記式中は、nは4以上の整数である)
本発明によれば、製造時および燃焼時における環境負荷を軽減することのできる難燃性ポリエステル樹脂組成物を提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明の難燃性ポリエステルフィルム製造に用いるポリエステル系樹脂としては、特に限定されるものではなく、芳香族ジカルボン酸またはそのエステルとグリコールとを主たる出発原料として得られるポリエステルを主とするものであり、繰り返し構造単位の60%以上がエチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレート単位を有するポリエステルを指す。そして、上記の範囲を逸脱しない条件であれば、他の第三成分を含有していてもよい。例えば、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂と相溶性のある樹脂の混合が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸成分の例としては、テレフタル酸およびテレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に、例えばイソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)等を用いることができる。特に、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルを用いることが好ましい。
グリコール成分の例としては、エチレングリコール以外に、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の一種または二種以上を用いることができる。特に、エチレングリコールを用いることが好ましい。
本発明の難燃性ポリエステルフィルムに用いるリン系難燃剤として、下記式(1)で示される有機リン化合物を使用する。
上記有機リン化合物(1)は、分子中にリン原子を含有し、nの繰り返し単位の下限値は4であり、好ましくは8以上、さらに好ましくは12以上である。繰り返し単位nが4未満であると、フィルム製膜時の有機リン化合物の揮発およびポリエステル樹脂の結晶化の阻害により、機械的強度の低下に繋がる。さらには有機リン化合物のブリードアウトにより、べたつき成分がポリエステルペレット表面に生じ、凝着性の観点から好ましくない。一方、繰り返し単位nの上限値は特に規定はないが、過度に分子量を高めることにより、当該化合物(1)の樹脂内での分散性が阻害されると考えられる。なお、化合物(1)の合成法(製造例)に関しては、後述する。
本発明の難燃性ポリエステル樹脂層生物は、前記ポリエステル系樹脂から選ばれるポリエステル樹脂および有機リン化合物(1)の各成分を高速ミキサーやタンブラー等でプレミキシングされた後、溶融混練、造粒することで得られる難燃性ポリエステル樹脂Bを用いる。ここで、ポリエステルフィルム製膜時の破断を防止するために、極限粘度IVが高いポリエステル樹脂が用いられることが望ましい。
本発明は、ポリエステル樹脂Aと、上記式(1)で表される有機リン化合物を含有するポリエステル樹脂Bとを、ベント式二軸押出機により押し出すことにより得られる。
ベント式二軸押出機としては、公知のものを使用することができるが、ベント式二軸押出機の脱気効率は、一定の押出量に対しスクリュー回転数の高い方が良好である。すなわち、一定の押出量に対し、スクリュー回転数を増大させるとスクリュー表面に存在するポリエステルの表面を強制的に更新することができ、その分、溶融ポリエステルからの脱気効率が増大することになる。そして、その結果、ポリエステルの極限粘度IVの保持率が改善され好ましい。
ベント付き二軸押出機のシリンダーの内径(直径)をD(mm)とした際、単位時間当たりの押出量Q(kg/時)とスクリュー回転数N(rpm)とが下記式(I)、さらには下記式(II)、特に下記式(III)を満足する条件下で溶融押出しを行う。かかる条件を満足することにより、スクリューの剪断作用による過度の発熱を抑制しつつ脱気効率を高め、ポリエステルの極限粘度(IV)低下を防止することができる。
5.2×10−6×D28≦Q/N≦15.8×10−6×D28 …(I)
6.0×10−6×D28≦Q/N≦15.0×10−6×D28 …(II)
6.3×10−6×D28≦Q/N≦14.7×10−6×D28 …(III)
下記式(IV)に示す条件では、回転数が押出量に対して高すぎるため、スクリューの剪断による発熱が過多となりIV保持率が悪化する傾向がある。また、下記式(V)式に示す条件では、回転数が押出量に対して低すぎるため、減圧下での溶融樹脂表面の更新度が低下して十分な脱気が行えずに極限粘度IV保持率が悪化する傾向がある。
Q/N<5.2×10−6×D28 …(IV)
15.8×10−6×D28<Q/N …(V)
実質的に未乾燥のポリエステルを使用した場合、当該ポリエステルの内部の水分は、ベント孔からの減圧作用によって脱気される。水分の脱気効率を高めるため、ベント孔の減圧度は、通常40mmHg以下、好ましくは30mmHg以下、さらに好ましくは10mmHg以下とする。
ポリエステル樹脂組成物の造粒工程においては、ホットカットやシートあるいはストランドのコールドカットが通常用いられ、樹脂組成物はフレーク状またはビーズ状の形態として得られる。
本発明の樹脂組成物から、滑り性の付与されたポリエステルフィルムを製造するためには、ポリエステルに無機粒子および/または有機粒子のスラリーを混合することが好ましい。用いる無機粒子としては、例えば、酸化シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、フッ化リチウム、カオリンの他、酸化鉄などの無機顔料が例示され、有機粒子としては、ジビニルベンゼン重合体、スチレン・ジビニルベンゼンの共重合体、各種イオン交換樹脂の他、アントラキノン等の有機顔料が例示される。液状スラリーとして供給できる粒子であればその種類は特に限定されない。
ポリエステル樹脂B中のリン含有量(P)は後述するICPで求められる。リン元素量(P)は、1.40〜4.00重量%の範囲が好ましい。リン元素量(P)が1.40重量%未満では、十分な難燃性を示すのに多大な添加量を要し、より高コストとなる。一方、リン元素量(P)が4.00重量%より多いと、含有される難燃剤自体はオリゴマーであるため、ペレット表面がより凝着しやすくなり、連続生産を困難にする可能性がある。 また、本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物中のリン含有量(P)も後述するICPで求められる。当該リン元素量(P)は、好ましくは0.80〜1.40重量%、さらに好ましくは0.85〜1.35重量%、特に好ましくは0.90〜1.30重量%である。ポリエステル樹脂組成物のリン元素量(P)が0.80重量%未満では、難燃性が期待できないことがある。一方、リン元素量(P)が1.40重量%より多いと、難燃性に関しては良好ではあるが、成形加工する際に、混練不十分による成形の不具合や、再生原料の品質(加工性、機械的強度、耐ブリード性等)が低下することがある。
本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物中には、その特性に影響しない範囲で、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防曇剤、着色剤、架橋剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、顔料等を添加剤として添加してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用いた物性測定法を以下に示す。
〔1〕リン元素量(P)
ICP:Varian Tech.社製ICP−AESを用いて、硝酸による酸分解法により、該樹脂組成物中のリン元素量(P)[重量%]を求めた。
〔2〕極限粘度IV[dl/g]
粉砕したポリエステル系樹脂0.5gを、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒中に溶解し、毛細管粘度計を用い、30℃条件下で、1.0g/dlの濃度の溶液の流下時間、および、溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、極限粘度を算出した。その際、Huggins定数を0.33と仮定した。
〔3〕難燃性ポリエステル樹脂Bの凝着性
難燃性ポリエステルフィルム製膜時、該難燃性ポリエステル樹脂Bのフィーダー下での凝着性の評価を行った。評価は、実機生産を想定し、該樹脂Bを4時間供給し続け、全く凝着を示さなかった場合を◎、時折瞬時に凝着を示すが、連続的に供給されている原料と接触で、即剥離した場合を○、一度は凝着を示したが、供給される原料との連続的な接触により、剥離した場合を△、度重なる凝着により、該樹脂Bが堆積を示した場合を×、として行った。
〔4〕難燃性ポリエステルフィルムの製膜性
無定形シートを縦延伸後、横延伸する際、横延伸機(テンター)において、延伸時にフィルムが破断する状況を、評価した。評価は、延伸時にフィルムが破断せず、生産性が良好な場合を○、時折または常にフィルムが破断し、生産性が劣るあるいは全くない場合を×、として行った。
〔5〕難燃性ポリエステルフィルムの難燃性
アンダーライターズラボラトリーズ社発行のプラスチック材料の燃焼性試験規格UL94の垂直燃焼試験方法に準じ、UL94VTM試験を行った。評価対象は、受理状態(23℃/50%RH/48h)およびエージング後(70℃/168h後)である。また、評価基準については、本試験方法は燃焼試験評価結果がばらつくこと、および、ULのフォローアップサービスは最大3回まで機会が与えられること、から1種のポリエステルフィルムサンプルに対し、VTM試験の一連の評価作業を3回行うこととした。以下に、難燃性評価手順([1]〜[5])について説明する。
[1]UL94のVTM試験に準ずる試験片を30本準備する。
[2]上記[1]の中から無作為に10本選択。
[3]試験片5本に対しUL94VTM試験を行う。5本評価でのVTM−0合否に関わらず、残りの試験片5本に対しUL94VTM試験を行い、VTM−0の合否を評価する。
[4]上記[1]から[2]の作業を、3回繰り返す。
[5][2]で得られたUL94VTM試験結果を評価する。評価は、前半の5本も後半の5本もVTM−0に合格した場合を○、前半の5本、もしくは後半の5本が、VTM−0に合格した場合を△、前半の5本も後半の5本もVTM−0に不合格した場合を×、として行った。
以下の実施例および比較例で用いた有機リン化合物(1)、ならびにポリエステル原料の製造方法は以下のとおりである。なお、例中の%は特にことわらない限り重量%を表すものとする。
≪有機リン化合物(1)≫
攪拌機、温度計、ガス吹き込み口、および蒸留口を備えた内容積3Lのガラス製フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド(下記化学式(2))7.8molとエチレングリコール25.97molを加え、成分を溶解させるため、内容物の温度が100℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、攪拌しながらイタコン酸7.96molを添加し、蒸留口から減圧器を介して、フラスコを30Torrの真空状態で加熱し、内容物を沸騰させた。この時点で、蒸留口の留出速度を調製することで、生成した水を除去した。さらに、内容物の沸騰状態を維持したまま、フラスコ内の温度を上昇させ、それに対応させて、減圧度も低下させていった。その内訳として、内容物の温度が185℃になるまでに4時間を要し、この時点での減圧度は430Torrであった。さらに、加熱を続け、最終的に内容物の温度が200℃になるまで加熱していった。この点を確認後、反応機に窒素ガスを吹き込んでフラスコを常圧に戻した。反応混合物は下記化学式(3)のエチレングリコール溶液である。また、減圧下、エチレングリコールを除去することにより、固形状の下記化学式(3)の化合物を精製できる。
続いて、このフラスコ内に、三酸化アンチモン(Sb)0.33gおよび酢酸亜鉛二水和物[(AcO)Zn・2HO]0.29gを含んだエチレングリコール130gを添加し、フラスコ内を200℃に保持し、減圧度を徐々に高めていき、1Torr以下の真空状態とした。さらに、内容物の温度を220℃まで上昇させ、エチレングリコールの留出が極端に減少した点を反応終点とした。この点を確認後、内容物を窒素ガスで加圧しながら、SUS製容器内で固化させることで、端黄色の透明なガラス状固体である、化学式(1)で表される有機リン化合物を得た。
上記操作を繰り返すことにより、後述する実施例および比較例で添加する、化学式(1)で表される有機リン化合物の必要量を確保した。
化学式(1)で表される有機リン化合物に関して、生成物のGPC分析から重量平均分子量(Mw)は6,800であった。なお、当該分析において、下記化学式(4)で示される化合物の酸無水物または化合物(4)とエチレングリコールとの環状エステルであると推定される、低分子量領域におけるピークも観測された。したがって、化学式(1)で表される有機リン化合物のnの平均値は18.1に相当していたと言える。また、ICP測定により、リン含有量(P)は8.31重量%であることがわかった。
《ポリエステルAの製造》
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム4水塩0.02部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.03部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してポリエステル樹脂ペレット(プレポリマー)を製造した。前記ポリエステル樹脂ペレット(プレポリマー)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行って、ペレット状態のポリエステルAを得た。得られたポリエステルの極限粘度は0.85であった。
《難燃ポリエステルB−1の製造》
前記手法により製造した有機リン化合物(1)25重量%およびポリエステルA75重量%を二軸混錬機により混練、押出し、難燃ポリエステルB−1のペレットを得た。
《難燃ポリエステルB−2の製造》
前記手法により製造した有機リン化合物(1)33重量%およびポリエステルA67重量%を二軸混錬機により混練、押出し、難燃ポリエステルB−2のペレットを得た。
《難燃ポリエステルB−3の製造》
前記手法により製造した有機リン化合物(1)45重量%およびポリエステルA55重量%を二軸混錬機により混練、押出し、難燃ポリエステルB−3のペレットを得た。
《難燃ポリエステルB−4の製造》
前記手法により製造した有機リン化合物(1)53重量%およびポリエステルA47重量%を二軸混錬機により混練、押出し、難燃ポリエステルB−4のペレットを得た。
《ポリエステルCの製造》
ポリエステルAの製造において、エステル交換終了後に、平均粒径が2.30μmのシリカ粒子0.1重量部とする以外はポリエステルAと同様の方法でポリエステルCを得た。得られたポリエステルの粘度は0.65であった。
実施例1:
上記ポリエステルA、難燃ポリエステルB−1およびポリエステルCを54:41:5の比率で混合したポリエステルを原料とし、1つのベント付き二軸押出機により、285℃で溶融し、シート状に押出した後、表面温度を35℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を利用して急冷固化させ、実質的に非晶質のシートを得た。この際、押出機は同方向の二軸押出機を使用した。続いて、得られた非晶質シートを縦方向に83℃で3.3倍延伸した後、予熱/横延伸1/横延伸2/熱固定1/熱固定2/熱固定3/冷却の各ゾーンにおける温度[℃]を90/100/110/170/221/220/125℃に設定したテンターに導くことでフィルム製膜を行った。得られたフィルムの平均厚さは50μmであった。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表1に示す。
実施例2〜
表1に示す原料配合比で行なうことを除いて、実施例1と同様の方法で、二軸延伸ポリ
エステルフィルムを得た。評価結果も表1に示す。
比較例1〜
下記表2に示す原料配合比で行なうことを除いて、実施例1と同様の方法で、二軸延伸
ポリエステルフィルムを得た。評価結果も表2に示す。
本発明の難燃性樹脂組成物は、例えば各種成型品に加工して利用でき、特にフィルム用として好適に利用することができる。

Claims (2)

  1. ポリエステル樹脂Aと、下記式(1)で表される有機リン化合物を45重量%以下含有するポリエステル樹脂Bとを、ポリエステル樹脂B中の下記式(1)で表される有機リン化合物の含有量(重量%)と、ポリエステル樹脂Bの配合量(重量%)との積が1620以下となるように、ベント式二軸押出機により押し出す際に、ベント付き二軸押出機のシリンダーの内径(直径)をD(mm)とした際、単位時間当たりの押出量Q(kg/時)とスクリュー回転数N(rpm)とが下記式(I)を満たすようにベント式二軸押出機により押し出ことを特徴とする難燃性ポリエステル樹脂フィルムの製造方法。
    5.2×10−6×D28≦Q/N≦15.8×10−6×D28 …(I)
    (上記式中は、nは4以上の整数である)
  2. 25〜50重量%のポリエステル樹脂Bを含有する請求項1に記載の難燃性ポリエステル樹脂フィルムの製造方法
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