JPH10329188A - ポリエステル組成物およびシート、フイルムの製造方法 - Google Patents

ポリエステル組成物およびシート、フイルムの製造方法

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JPH10329188A
JPH10329188A JP9154585A JP15458597A JPH10329188A JP H10329188 A JPH10329188 A JP H10329188A JP 9154585 A JP9154585 A JP 9154585A JP 15458597 A JP15458597 A JP 15458597A JP H10329188 A JPH10329188 A JP H10329188A
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polyester
metal salt
sheet
aliphatic carboxylic
carboxylic acid
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JP9154585A
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Takatoshi Miki
崇利 三木
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Diafoil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリエステル中に高精度で特定濃度範囲に金属
塩を添加することにより、非晶質シートの成形時に採用
される静電密着法に好適に適用し得るポリエステル組成
物およびシート、フイルムの製造方法を提供する。 【解決手段】ポリエステルと脂肪族カルボン酸の金属塩
から成るポリエステル組成物の製造方法であって、ベン
ト式二軸押出機を使用し、溶融時の比抵抗が1×107
Ωcm以上のポリエステル及び脂肪族カルボン酸の金属
塩を溶融押出しする際、同一の原料供給口から前記ポリ
エステルの少なくとも一部と前記脂肪族カルボン酸の金
属塩をそれぞれ独立に添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル組成
物およびシート、フイルムの製造方法に関し、詳しく
は、非晶質シートの成形時に採用される静電密着法に好
適に適用し得る工業的に有利なポリエステル組成物およ
び当該ポリエステル組成物から得られるシート又はフイ
ルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートに代表され
る二軸配向ポリエステルフイルムは、その優れた機械的
特性、電気的特性、耐薬品性、寸法安定性などの点か
ら、情報記録材料、コンデンサー用、包装用、製版用、
電絶用、写真フイルム等の多くの分野で基材として使用
されている。
【0003】通常、ポリエステルは、溶融押出し後、急
冷固化して非晶質シート、または、当該非晶質シートを
延伸して得られるフイルムとして使用される。上記の非
晶質シートの成形においては、一般に静電密着法が採用
されている。ここで、静電密着法とは、通常、回転冷却
ドラム上に押し出されたシートの上面側にシートの流れ
に直交する方向に電極を張り、当該電極に約5〜10k
Vの直流電圧を印加することによりシートに静電荷を与
え、回転冷却ドラムに対するシートの密着性を向上させ
る方法を言う(特公昭37−6124号公報)。
【0004】静電密着法において、生産性を高める目的
で回転冷却ドラムの速度を高めた場合は、回転冷却ドラ
ムに対するシートの密着力が減少する。その結果、得ら
れるシート表面にクレーター状のいわゆる束縛気泡が形
成される。束縛気泡は、原料ポリエステルの溶融時の比
抵抗が高いほど発生し易くなる。そこで、比抵抗を低下
させるため、原料ポリエステルに金属化合物を含有させ
る方法が種々提案されている。
【0005】上記の方法の中で、重合終了後のポリエス
テルに金属化合物を添加する方法は、例えば、特開昭5
7−18534号公報に提案されている。斯かる方法に
おいては、ポリエステルに対し、通常0.01〜1重量
%の脂肪族モノカルボン酸またはジカルボン酸の金属塩
を添加している。そして、金属塩の配合の均一性および
操作性の観点から、高濃度に金属塩を含有するマスター
バッチを製造し、ポリエステルにブレンドして使用して
いる。ところが、マスターバッチ法の場合は、チップの
製造における溶融押出しの際に高濃度の金属塩によるポ
リエステルの分子量低下が不可避的に生じる。
【0006】上記の問題を解決するため、特公平4−6
4328号公報には、金属塩が添加されたポリエステル
の溶融温度を制限した方法が提案されている。しかしな
がら、この方法は、イソフタル酸共重合ポリエステルや
ポリブチレンテレフタレート等の融点の低いポリエステ
ルに対してのみ適用され、他のポリエステルには適用出
来ない欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実状に
鑑みなされたものであり、その目的は、ポリエステル中
に高精度で特定濃度範囲に金属塩を添加することによ
り、非晶質シートの成形時に採用される静電密着法に好
適に適用し得るポリエステル組成物およびシート、フイ
ルムの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成すべく種々検討を重ねた結果、ベント式二軸押出
機を使用し、前記ポリエステルと金属塩をシリンダーに
設けた同一の原料供給口から供給することにより、高精
度で金属塩を添加することが出来、ポリエステルの固有
粘度の低下を抑制した静電密着法に好適なポリエステル
組成物およびシート、フイルムを提供することが可能で
あることを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】本発明は上記の知見に基づき達成されたも
のであり、本発明の第1の要旨は、ポリエステルと脂肪
族カルボン酸の金属塩から成るポリエステル組成物の製
造方法であって、ベント式二軸押出機を使用し、溶融時
の比抵抗が1×107Ωcm以上のポリエステル及び脂
肪族カルボン酸の金属塩を溶融押出しする際、同一の原
料供給口から前記ポリエステルの少なくとも一部と前記
脂肪族カルボン酸の金属塩をそれぞれ独立に添加するこ
とを特徴とするポリエステル組成物の製造方法に存し、
本発明の第2の要旨は、前記のポリエステル組成物をシ
ート状に溶融押出し後、静電密着法により回転冷却ドラ
ムの表面に密着させ又は前記回転冷却ドラムの表面に密
着させた後に延伸することを特徴とするポリエステルシ
ート又はフイルムの製造方法に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に基づき
詳細に説明する。図1は、本発明の製造方法で使用され
るベント式二軸押出機の一例の側面説明図である。図
中、(1)はベント式二軸押出機、(2)は加熱シリン
ダー、(3)はスクリュー、(4)は押出口、(6)は
ベント孔、(8)は逆ネジ、(9)は原料供給口、
(M)は駆動装置を表す。
【0011】本発明において使用するポリエステルと
は、芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とから成
るポリエステルを指し、特に、繰り返し単位の80%以
上がエチレンテレフタレート単位、エチレン−2,6−
ナフタレート単位または1,4−シクロヘキシレンジメ
チレンテレフタレート単位を有するポリエステルが好適
である。なお、ポリエステルは他の第三成分が共重合さ
れていてもよい。
【0012】上記の芳香族ジカルボン酸成分としては、
テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸以
外に、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、
セバシン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、オキ
シカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸)
などが挙げられる。一方、上記のグリコール成分として
は、エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノール以外に、例えば、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。本発
明においては、繰り返し単位の80%以上がエチレンテ
レフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレー
ト単位を有するポリエステルが好適に使用される。
【0013】本発明で使用するポリエステルは、溶融時
の比抵抗は、1×107Ωcm以上、好ましくは3×1
7Ωcm以上、より好ましくは5×107Ωcm以上で
ある。ところで、非晶質シートの成形時における静電密
着性は、ポリエステルの比抵抗が高いほど悪化する。し
かしながら、本発明によれば、分子量の低下を抑制しつ
つ比抵抗を低下させることが可能であるから、本発明の
効果は、ポリエステルの溶融時の比抵抗は高い場合に顕
著である。
【0014】本発明で使用する脂肪族カルボン酸の金属
塩としては、例えば、炭素数4〜30程度の脂肪族モノ
カルボン酸またはジカルボン酸のマグネシウム塩、リチ
ウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マンガン塩、亜鉛
塩、カルシウム塩、アルミニウム塩などが挙げられる。
これらの中では、マグネシウム塩、マンガン塩、亜鉛
塩、カルシウム塩などが好ましい。特に、マグネシウム
塩はポリエステルの溶融時の熱安定性に優れ、フィッシ
ュアイの生成も少ないので好ましい。
【0015】上記の脂肪族カルボン酸の金属塩の具体例
としては、デカンジカルボン酸マグネシウム、バルミチ
ン酸マグネシウム、バルミチン酸マンガン、バルミチン
酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜
鉛、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレ
イン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、セバシン酸マグ
ネシウム、セバシン酸マンガン等が挙げられる。
【0016】本発明で使用する脂肪族モノカルボン酸の
金属塩としては、マグネシウム塩が好適である。脂肪族
モノカルボン酸のマグネシウム塩としては、例えば、炭
素数4〜30程度の脂肪族モノカルボン酸のマグネシウ
ム塩が挙げられる。その具体例としては、パルミチン酸
マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸
マグネシウム、セバシン酸マグネシウム等が挙げられ
る。特に、ステアリン酸マグネシウムは、安価でかつ安
全な化合物であるため、食品包装用、化粧品包装用、医
薬品包装用など広範囲の用途に使用可能である。
【0017】本発明で使用するベント式二軸押出機(以
下、二軸押出機と略記)のスクリューの回転方向は、異
回転方向であっても、同回転方向であってもよいが、同
回転方向が好ましい。二軸押出機のシリンダー長(L)
とシリンダー内径(D、直径)の比(L/D)は、通常
20〜60、好ましくは22〜50の範囲とされる。L
/Dが20未満の場合は、溶融およびベント孔による脱
気が不十分となる傾向にある。L/Dが60を超える場
合は、二軸押出機中でのポリエステルの滞留時間が増大
し、二軸押出機中のポリエステルの温度上昇が避けられ
ず重合度の低下も増大する傾向にある。
【0018】本発明におては、溶融時の比抵抗が1×1
7Ωcm以上のポリエステルの少なくとも一部と金属
塩をそれぞれ独立の供給装置により、同一の原料添加口
(9)から添加する。ポリエステルは、乾燥されていて
もよいが、敢えて乾燥されたポリエステルを使用する必
要がないため、未乾燥のポリエステルを使用するのが好
ましい。未乾燥のポリエステルの使用は、乾燥工程およ
びその前の結晶化工程を省略し得る利点がある。
【0019】上記のポリエステルは2種類以上であって
もよく、斯かる場合、少なくとも一方のポリエステル
(以下、ポリエステルBと略記)の嵩密度は、通常0.
6以下とされる。ポリエステルBの嵩密度が0.6以下
の場合は、ポリエステルの同一供給重量に対し、配管内
を占有するポリエステルの体積が増大するため、斯かる
ポリエステルが配管内面に接触しながら落下し、金属塩
が万一配管内に付着していても配管内表面から金属塩を
かき落とす効果があるため好適である。
【0020】嵩密度0.6以下のポリエステルBは、例
えば、ポリエステルシートなどの粉砕によって得られ
る。特に、回転冷却ドラム上で急冷固化されたシートの
端部を切り離して粉砕したもの、引き続き前記シートを
二軸延伸した後、フイルムの端部を切断分離後、粉砕し
たもの等が使用される。ポリエステルBは、無機及び/
又は有機の粒子、重合時の触媒残渣に基づく微粒子を含
有していてもよい。ポリエステルBの形状は、ペレット
状であってもフラフ状であってもよい。
【0021】上記金属塩の添加割合は、ポリエステル及
び金属塩から成るポリエステル組成物中の金属原子濃度
として、通常0.5〜1,000ppm、好ましくは1
0〜800ppm、より好ましくは15〜500ppm
の範囲とされる。金属原子濃度が0.5ppm未満の場
合は、溶融時の比抵抗を減少させる効果が少なく、本発
明のポリエステル組成物から得られるシートには多量の
束縛気泡が発生し、金属原子濃度が1,000ppmを
超える場合は、固有粘度が低下するため好ましくない。
【0022】ポリエステルBの添加割合は、ポリエステ
ルに対し、金属塩の加熱シリンダー(2)への添加が安
定的に行われる様に設定すればよく、特に限定されな
い。
【0023】ポリエステル用の上記供給装置としては、
ベルト式供給装置、ロスインウエイト式供給装置などが
使用される。供給装置の重量制御方式は、ポリエステル
の嵩密度が変動する場合においても、一定重量のポリエ
ステルを供給することが出来るため、好適に使用され
る。供給するポリエステルの形状および嵩密度が一定で
ある場合は、定容量式供給装置を使用してもよい。
【0024】一方、金属塩用の上記供給装置としては、
同様にベルト式供給装置、ロスインウェイト式供給装置
などを使用することが出来、重量制御方式が好適に使用
される。排出量が安定な場合には、定容量式供給装置を
使用してもよい。
【0025】ポリエステル及び金属塩の含有水分の一部
は、二軸押出機中で気化して原料供給口(9)へ逆流し
てポリエステル及び金属塩供給用配管内の内面で凝結す
る場合がある。前記供給配管の上部温度は、原料供給口
(9)より低温であるため、凝結水が配管の上部内面に
付着し易い。従って、上記の各供給装置は、原料供給口
(9)近くに設置するのがよい。
【0026】本発明において、金属塩が供給装置により
重力供給される高さは、原料供給口(9)上、通常、シ
リンダー直径の30倍以内、好ましくは20倍以内、よ
りに好ましくは15倍以内とされる。
【0027】原料供給口(9)の温度が金属塩の融点よ
り高い場合は、金属塩が溶融して原料供給口(9)周辺
に付着し、安定して金属塩を供給することが困難となる
ため、原料供給口(9)の温度は、通常、金属塩の融点
未満とされる。
【0028】本発明においては、ポリエステルの少なく
とも一部と金属塩を同一の原料供給口(9)からそれぞ
れ独立に添加することにより、前述の通り、配管内表面
から金属塩をかき落とす効果がある。また、添加される
ポリエステルの温度は、シリンダー温度よりも低いのが
一般的であるから、ポリエステルのマスフローにより、
原料供給口(9)の温度を低く保つことが可能となるた
め、金属塩の付着を防止することが出来る。更に、ポリ
エステルがスクリュー表面に付着する金属塩をかき落と
し、金属塩がポリエステル表面へ付着してポリエステル
と共に安定に固体輸送されるため、金属塩がスクリュー
に付着し、シリンダー中で滞留するなどの問題を回避す
ることが可能となる。従って、本発明においては、高精
度で金属塩を添加混合することが出来る。
【0029】二軸押出機に添加されたポリエステル及び
金属塩は、加熱シリンダー(2)中においてスクリュー
(3)によりベント孔(6)部を通過して押出口(4)
に向かって移送される。ベント孔(6)部に移送された
ポリエステル及び金属塩表面から水分の拡散脱気(以
下、単に脱気と略記)が起きて残存水分が除去される。
斯かる脱気を効率的に行なうため、ベント孔(6)部の
減圧度は、通常40ヘクトパスカル以下、好ましくは3
0ヘクトパスカル以下、より好ましくは20ヘクトパス
カル以下とされる。
【0030】ポリエステルが溶融する場合、水分により
直ちに加水分解が始まり固有粘度(以下、IVと略記)
の低下が問題となるため、ポリエステルが二軸押出機に
移送されて溶融開始直後に減圧下で脱気するのが好まし
い。従って、ベント孔(6)部の位置は、二軸押出機の
原料添加口(9)位置から、通常20D以内、好ましく
は17D以内、より好ましくは15D以内に設けられ
る。
【0031】ベント孔(6)の開口面積は、溶融ポリエ
ステルが加熱シリンダー(2)から溢流しない限り特に
限定されないが、溶融ポリエステル表面からの脱気を促
進するため、開口面積は大きい方が好ましい。開口方向
は、上向きでも横向きでもよく、特に限定されない。
【0032】ところで、二軸押出機における一定の押出
量に対し、スクリュー回転数を増大させるとスクリュー
表面に存在するポリエステルの表面を強制的に更新する
ことが出来るため、その分、溶融ポリエステルからの脱
気効率が増大することになる。すなわち、脱気効率は、
一定の押出量に対しスクリュー回転数の高い方がよいと
言える。しかしながら、本発明者の検討の結果、一定の
押出量に対してスクリュー回転数を増大させるとIV保
持率が改善または保持される現象に引き続き、IV保持
率が低下するという現象が見い出された。
【0033】IV保持率が低下する上記の現象は、樹脂
温度の上昇による樹脂の加熱劣化の促進によるものであ
る。従って、本発明においては、ポリエステルの押出量
とスクリュー回転数とは、ポリエスイルのIV保持率を
確保するために適切に選択するのが好ましい。
【0034】すなわち、本発明においては、二軸押出機
のシリンダー内径(直径)をD(mm)とした際、単位
時間当たりの押出量Q(kg/hr.)とスクリュー回
転数N(rpm)とが次の式(1)、好ましくは式(I
I)、更に好ましくは式(III)を満足する条件が溶融押出
しを行うのがよい。
【0035】
【数1】 5.2×10-6×D2.8≦Q/N≦15.8×10-6×D2.8 ・・・(I) 6.0×10-6×D2.8≦Q/N≦15.0×10-6×D2.8 ・・・(II) 6.3×10-6×D2.8≦Q/N≦14.7×10-6×D2.8 ・・・(III)
【0036】5.2×10-6×D2.8>Q/Nの条件下
では、回転数が押出量に対して高すぎるため、スクリュ
ーの剪断による発熱が過多となりIV保持率が悪化する
ので好ましくない。また、Q/N>15.8×10-6×
2.8の条件下では、回転数が押出量に対して低すぎる
ため、減圧下での溶融樹脂表面の更新度が低下して十分
な脱気が行えずにIV保持率が悪化するので好ましくな
い。
【0037】本発明においては、二軸押出機で溶融した
ポリエステルを押出口(4)から口金を通してストラン
ド状またはシート状に溶融押出しし、それぞれ水冷却槽
中で冷却固化した後、ストランドカッターにてペレット
化、または、回転冷却ドラム上にシート状に押し出して
静電密着法により密着保持して実質的な非晶質シートと
する(なお、口金、水冷却槽、ストランドカッター、回
転冷却ドラム及びその周辺の設備は図示を省略)。ま
た、必要に応じて非晶質シートを延伸してフイルムとす
ることが出来る。
【0038】この際、シートの長手方向(回転冷却ドラ
ムの回転方向)の厚さの均一性を向上させるため、二軸
押出機と口金の間に、定量ポンプ(所謂ギアポンプ)を
配置し、口金に導入される溶融ポリエステルの流量を均
一化してもよい。
【0039】静電密着法における電極は、ワイヤー電極
またはブレード電極の何れであってもよい。そして、電
極に印加される直流電圧は、通常、約5〜10kVの範
囲とされる。なお、本発明においては、回転冷却ドラム
表面に水膜などを形成させて静電密着法を適用してもよ
い。
【0040】回転冷却ドラムの表面は、金属であっても
非金属であってもよいが、静電気による密着力を高める
観点から導電体であるのがよい。回転冷却ドラムの表面
温度は、通常0〜80℃、好ましくは10〜70℃、よ
りに好ましくは15〜60℃とされる。回転冷却ドラム
の表面温度が0℃未満の場合は、シート端部と回転冷却
ドラムとの密着性が悪化して得られるシートの平面性が
悪化する。一方、回転冷却ドラムの表面温度が80℃を
超える場合は、シートと回転冷却ドラムとの密着性が増
大し過ぎてシートの剥離が困難となる。回転冷却ドラム
の表面速度は、特に制限されないが、通常30m/mi
n.以上、好ましくは40m/min.以上とされる。
【0041】本発明におけるIV低下率は、通常20%
以下、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下
とされる。IV低下が大きい場合は、非晶質シートの強
度が低下し、更に、引き続いて行われる二軸延伸工程で
フイルムの破断が多発し、フイルムの強度が低下する傾
向にある。
【0042】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されない。なお、実施例および比較例中、単
に「%」とあるのは「重量%」を意味する。
【0043】(1)溶融比抵抗:ポリエステル12gを
枝付き試験管に入れ、285℃のオイルバスに浸漬し、
完全に溶融後、減圧および窒素ガス置換の処理を繰り返
して完全に気泡を抜き出す。次いで、溶融ポリエステル
中にステンレス製の電極を挿入して10分間保持した
後、3kVの直流電圧を印加し、印加直後の電流値を読
み取り、次式に従って比抵抗を計算する。式中、ρvは
比抵抗(Ωcm)、Iは電流値(A)、Sは電極の断面
積(cm2)及びLは電極間の距離(cm)を表す。
【0044】
【数1】 ρv=(3,000/I)×(S/L)(Ωcm)
【0045】(2)ポリエステルのIV(dl/g):
ポリエステルのIVは、他のポリマー成分および粒子を
除去したポリエステル1gに対し、フェノール/テトラ
クロロエタン:50/50(重量比)の混合溶媒100
mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
【0046】(3)総合評価:溶融押出し後のポリエス
テル組成物のIV低下率が10%未満と良好でポリエス
テル組成物の溶融比抵抗が溶融押出し以前の溶融比抵抗
の50%以下へ低減することが出来た場合を○、IV低
下率が10%以上、または、溶融比抵抗の低下率が50
%より小さい場合を×とした。
【0047】実施例1 比抵抗が200×107Ωcm、IVが0.650のポ
リエステル及びステアリン酸マグネシウムをポリエステ
ル中のマグネシウム原子濃度が30ppmとなる様にシ
リンダーに設けた同一の原料供給口(9)から添加して
溶融押出し後、水中において急冷してストランド状に成
形し、ストランドカッターでペレット化してポリエステ
ル組成物を得た。ベント式二軸押出機のシリンダー直径
は120mm、スクリュー回転数は167r.p.m.、
押出量は1,000kg/h、ベント部の減圧度は1ヘ
クトパスカル、原料供給口(9)の温度は40℃、隣接
する加熱シリンダー(2)の温度は270℃であった。
ステアリン酸マグネシウムは、ロスインウエイト式フィ
ーダー(アキュレート社製)を使用し、ポリエステル
は、ロスインウエイト式フィーダー(K,Tron社
製)を使用し、それぞれ独立に一定重量になる様に供給
した。ステアリン酸マグネシウムは、シリンダーに設け
た原料供給口(9)上、シリンダー直径(D)の5倍
(600mm)の高さから、嵩密度0.8のポリエステ
ルぺレットと共に重力供給した。二軸押出機の先端か
ら、3分間毎に連続して10回ポリエステル組成物を採
取してIV、ρvを測定した。測定したIV、ρvを表
1に示す。IVの低下は少なく、ρvの低下は大であっ
た。更に、ρv値の偏差は極めて少なく、ポリエステル
組成物の品質は極めて安定であった。
【0048】実施例2 実施例1においてシリンダー直径120mmのベント式
二軸押出機にて引き続きギアポンプを介して口金からポ
リエステル組成物をシート状に押し出し、直径0.04
mmのワイヤー電極により、30℃の回転冷却ドラム
(金属製)表面に静電密着し、厚さ230μmのシート
を得た。なお、電極に付与した電圧は5.0kV、電極
に流れた電流は1.2mA、回転冷却ドラムの表面速度
は20m/min.であった。3分間毎にポリエステル
シートを採取し、IV、ρvを測定した。測定したI
V、ρvを表1に示す。IVの低下は少なく、ρvの低
下は大であった。更に、シートの束縛気泡の有無、ワイ
ヤー電極に流れる電流値の偏差を調べた。シートには、
束縛気泡による欠陥もなく、ワイヤー電極に流れる電流
値も極めて安定していた。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】以上、説明した本発明によれば、溶融時
の比抵抗の高いポリエステルに金属塩を高精度で特定濃
度範囲に添加することが出来、固有粘度の低下を抑制し
且つ比抵抗を低減して非晶質シートの成形時に採用され
る静電密着法に好適に適用し得るポリエステル組成物お
よび当該ポリエステル組成物から得られる良好なポリエ
ステルシート、フイルムが提供され、本発明の工業的価
値は顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で使用される二軸押出機の一
例の側面説明図
【符号の説明】
1:ベント式二軸押出機 2:加熱シリンダー 3:スクリュー 4:押出口 6:ベント孔 8:逆ネジ 9:原料供給口 M:駆動装置
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 67:00 B29L 7:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルと脂肪族カルボン酸の金属
    塩から成るポリエステル組成物の製造方法であって、ベ
    ント式二軸押出機を使用し、溶融時の比抵抗が1×10
    7Ωcm以上のポリエステル及び脂肪族カルボン酸の金
    属塩を溶融押出しする際、同一の原料供給口から前記ポ
    リエステルの少なくとも一部と前記脂肪族カルボン酸の
    金属塩をそれぞれ独立に添加することを特徴とするポリ
    エステル組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 シリンダー直径の30倍以内の高さから
    原料供給口に脂肪族カルボン酸の金属塩を重力供給する
    請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 原料供給口の温度が脂肪族カルボン酸の
    金属塩の融点未満である請求項1又は2に記載の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 ポリエステルの一部の嵩密度が0.6以
    下である請求項1〜3の何れかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4記載のポリエステル組成物
    をシート状に溶融押出し後、静電密着法により回転冷却
    ドラムの表面に密着させ又は前記回転冷却ドラムの表面
    に密着させた後に延伸することを特徴とするポリエステ
    ルシート又はフイルムの製造方法。
JP9154585A 1996-12-17 1997-05-28 ポリエステル組成物およびシート、フイルムの製造方法 Pending JPH10329188A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021241760A1 (ja) * 2020-05-29 2021-12-02 日東電工株式会社 光学用樹脂成形体の製造方法、樹脂製ファイバーの製造方法、及び樹脂製ファイバーの製造装置

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