JP2014237272A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
Description
また、リン酸エステルの場合では、その化合物中のP−Oの結合エネルギーが小さいことに起因すると考えられ、成形・加工時の主鎖切断に伴う、自己触媒作用により、分子量低下が起きるといった欠点も生じる。すなわち、より高い難燃性の発現のため、ポリエステル中のリン化合物の共重合量を増やせばそれだけ機械的物性および耐熱性は悪くなることとなる。このことから、難燃性と耐熱性、機械的物性の両立は難しいと考えられる。
なお、ポリエステル重合時により軟化点の低い難燃性化合物を共重合させる場合、ポリエステルの融点(Tm)の低下が起こりうる。それに伴い、機械的物性および耐熱性の悪化が懸念されることから、本手法を用いた。一方、難燃性化合物(1)は、ある一定以上の繰り返し単位を有する構造を有している。そのため、適当な分子量および樹脂内での分散性を有し、フィルム表面への移動がより抑制されたと推測される。
無定形シートを縦延伸後、横延伸する際、横延伸機(テンター)において、延伸時にフィルムが破断する状況を、下記3ランクの基準で判定評価した。
○:ほとんどフィルム破断を起こさず生産性良好
△:時折フィルム破断を生じ、生産性に劣る
×:常に破断を生じ、生産性は全くない
マイクロメーターで測定した。
XRF:蛍光X線分析装置(島津製作所社製型式「XRF−1800」)を用いて、下記表1に示す条件下で、単枚測定でフィルム中の元素量を求めた。
I 試験片作成
フィルム試験片として、200mm×50mmに裁断し、試料の一端(下部)から125mmの所で、試料の幅を横切って標線を入れる。試料の縦軸を直径12.7mmのマンドレルの縦軸に硬く巻きつけて、125mmの線が外側に露出する、長さ200mmの巻かれた円筒になるようにする。試料の外にはみ出た縁は、125mmの標線(筒の上部)の上方75mmの間で、粘着テープにより固定する。そしてマンドレルを引き抜く。
上記で得られた試験片を、23℃および50%の相対湿度で、48時間前処理をする。
i 試験片固定
試料の縦軸を垂直にして、上端の長さ6mmの位置で、強いスプリング付きのクランプで固定し、筒の上端が閉じて試験中に煙突効果を生じないようにする。試料の下端は、最大厚が6mmの厚さにした、1枚の水平な0.05gの脱脂100%の綿(50mm×50mm)より、300mm上にあるようにする(図1参照)。
バーナーから高さ20mmの青炎が出るように調整する。その炎を出すためにはガスの供給とバーナーの空気入口を調整して、20mmの先端が黄色い青い炎が出るようにする。そして黄色い先端が丁度消えるまで空気の供給を増やす。再度炎の高さを測定して、必要に応じて再調節をする。なお、バーナーへのメタンガス供給は、ASTMD5207に準じた方法で流量を調整する。
炎は、試料の巻かれていない方の下端の中心点を中心にあて、バーナーの先端は試料の下端のその点から10mm下にあるようにして、その距離で3秒続ける。ただし、試料の長さまたは位置のあらゆる変化に応じてバーナーを移動させる。接炎中に溶融または発煙物質が滴下する場合は、バーナーの角度を45度までの範囲で傾けて、バーナーの管の中にその物質が落下するのを防ぐのにちょうど十分なだけ試料の下から移動させる。しかし、その間もバーナーの先端の中心と試料の残存部分間は10mm±1mmの間隔を保たなければならない。試料に3秒間接炎すると、直ちにバーナーを試料から毎秒約300mmの速度で少なくとも150mm遠ざけて、同時に計時装置により残炎時間t1を秒で計り始める。そしてそのt1を記録する。
試料の残炎が消滅した時点で(バーナーを試料から150mm離れたところまで完全に取り去っていない状態であっても)、直ちにバーナーを試料の下に持ってきて、試料の残りの部分から10mm±1mm離れた箇所にバーナーを保持しておく。ただし、必要に応じてバーナーを動かして、妨害物のない状態で落下物の自然挙動が確認できるようにする。この試料に3秒の接炎を行った後、直ちに毎秒約300mmの速度で少なくとも150mm遠ざけて、同時に計時装置により残炎時間t2を秒で計り始める。
試験片5本に対し、I〜IIIの手順で試験を行う。5本中最も基準の低くなった評価を、サンプルの評価値とした。
ポリエステルフィルムを、パ−キンエルマ社製DSC7型で10℃/min.の昇温速度で得られた結晶融解による吸熱ピ−ク温度を融点(Tm)とした。
帯電防止性は離型層処理後のフィルムの表面固有抵抗を、ヒューレットパッカード社製固有抵抗測定器(HP4339B)を使用し、測定温度23℃、測定湿度50%の条件で、印加電圧100Vで1分後の表面固有抵抗値(Ω/□)を測定する。
◎:1×1012Ω/□未満
○:1×1012Ω/□以上1×1013Ω/□未満
△:1×1013Ω/□以上1×1014Ω/□未満
×:1×1014Ω/□以上
≪難燃性化合物:有機リン化合物(化学式(1))≫
攪拌機、温度計、ガス吹き込み口、および蒸留口を備えた内容積3Lのガラス製フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド(下記化学式(2))7.8molとエチレングリコール25.97molを加え、成分を溶解させるため、内容物の温度が100℃になるまでフラスコを加熱した。次いで、攪拌しながらイタコン酸7.96molを添加し、蒸留口から減圧器を介して、フラスコを30Torrの真空状態で加熱し、内容物を沸騰させた。この時点で、蒸留口の留出速度を調製することで、生成した水を除去した。さらに、内容物の沸騰状態を維持したまま、フラスコ内の温度を上昇させ、それに対応させて、減圧度も低下させていった。その内訳として、内容物の温度が185℃になるまでに4時間を要し、この時点での減圧度は430Torrであった。さらに、加熱を続け、最終的に内容物の温度が200℃になるまで加熱していった。この点を確認後、反応機に窒素ガスを吹き込んでフラスコを常圧に戻した。反応混合物は下記化学式(3)のエチレングリコール溶液である。また、減圧下、エチレングリコールを除去することにより、固形状の下記化学式(3)の化合物を精製できる。
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム4水塩0.02部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.03部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.66に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してポリエステル樹脂ペレット(プレポリマー)を製造した。前記ポリエステル樹脂ペレット(プレポリマー)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行って、ペレット状態のポリエステルを得た。得られたポリエステルの極限粘度は0.85であった。
ポリエステル(1)と難燃性化合物(有機リン化合物(1))を50:50の比でベント付きの二軸押出機にてコンパウンドし、難燃性化合物MBを得た。
ポリエステル(1)のプレポリマー(極限粘度0.66)の製造において、エステル交換終了後に、下記化学式(3)で示される難燃性化合物、10−[2,3−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニルプロピル]−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイドをポリマー鎖に対し、リン元素量が3.00重量%にとなるよう添加すること以外はポリエステルAのプレポリマーと同様の方法でポリエステルCを得た。得られたポリエステルの粘度は0.61であった。ポリエステル(3)の概念図を化学式(5)に示す。
ポリエステル(3)の製造において、難燃性化合物添加量をポリマー鎖に対するリン元素量を1.50重量%とする以外は、ポリエステル(3)と同様の方法でポリエステル(4)を得た。得られたポリエステルの粘度は0.63であった。
ポリエステル(1)のプレポリマー(極限粘度0.66)の製造において、エステル交換終了後に、平均粒径が2.30μmのシリカ粒子0.1重量部を配合する以外はポリエステル(1)のプレポリマーと同様の方法でポリエステル(5)を得た。得られたポリエステルの粘度は0.66であった。
ポリエステル(1)と固形状の難燃性化合物(化学式(3))を50:50の比でベント付きの二軸押出機にてコンパウンドし、難燃性化合物MBを得た。
ポリエステル原料(1)を80重量%、グリセリンパルチミン酸エステルとグリセリンステアリン酸エステル=50/50とした混合物の20重量%を、ベント付き二軸押出機にて290℃にて溶融混練りしてチップ化を行い、グリセリン脂肪酸エステルマスターバッチとしてポリエステル(7)を作成した。
上記ポリエステル(1)、ポリエステル(2)、ポリエステル(5)、およびポリエステル(7)を48.5:44.0:5.0:2.5の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(A)の原料とし(サブ押出機)、ポリエステル(1)、ポリエステル(2)を56.0:44.0の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(B)の原料とした(メイン押出機)。双方の原料を二軸押出機中290℃で溶融混練し、得られた溶融体を多層Tダイ内でA/B/A=2.5/45.0/2.5の構成比となるように合流させてスリット状に押出しする。静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の2種3層からなる積層シートを得た。
得られたシートを縦方向に83℃で3.3倍延伸した後、予熱/横延伸/熱固定1/熱固定2/熱固定3/冷却の各ゾーンにおける温度[℃]を95/110/200/221/180/125℃に設定したテンターに導くことで、横方向に3.8倍延伸し、フィルム製膜を行った。得られたフィルムの平均厚さは25μmであった。評価結果を下記表3に示す。
下記表3に示す原料配合比、ならびにフィルム厚みについて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表3に示す。
下記表4に示す原料配合比、ならびにフィルム厚みについて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表4に示す。
表4に示す原料配合比にて、フィルム厚み75μmとなるよう、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得る検討を行ったが、テンター内で破断が多発し、製膜を断念した。リン量は破断後のフィルム破片をXRFで測定することで得られたが、フィルムの変形がひどいため、難燃性や帯電防止性の評価はできなかった。
表4に示す原料配合比、ならびにフィルム厚みについて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表4に示す。
表4に示す原料配合比、ならびにフィルム厚みについて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得る試みをした。しかし、ポリエステルフィルム製造時において、混練物がダイスから出たところで、煙が確認されたため、フィルムを採取するには至らなかった。ここで、本比較例でポリエステルフィルム中に添加されている有機リン化合物(3)は、繰り返し単位のない、モノマー体、すなわち、有機リン化合物(1)と比較し、より分子量が低い化合物である。そのため、エステルFあるいはポリエステルフィルム製造時の加熱・混練により、添加した有機リン化合物(3)の一部あるいは大部分が揮発したものと推測した。
ポリトリメチルアミノエチルメタクリレート4級化物/けん化度=88モル%、重合度=500のポリビニルアルコール/メトキシメチロールメラミンである、大日本インキ化学工業製ベッカミン/平均粒径0.05μmのシリカゾルを、固形分換算の重量組成比で40/20/35/5の割合で含有する水溶液を予め用意した。
得られたシートを縦方向に83℃で3.3倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に上記水溶液を塗布し、テンターに導き、予熱/横延伸/熱固定1/熱固定2/熱固定3/冷却の各ゾーンにおける温度[℃]を95/110/200/221/180/125℃に設定したテンターに導くことで、横方向に3.8倍延伸し、フィルム製膜を行った。得られたフィルムの平均厚さは90μmであった。評価結果を下記表3に示す。
2 粘着テープ
3 125mm標線
4 バーナー
5 綿
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