JP6273711B2 - 二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、加熱収縮率が低く、優れた帯電防止性能を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムに関するものである。
従来、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有しており、磁気テープ、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネートフィルム、ガラスディスプレイ等のガラス表面に貼るフィルム、液晶ディスプレイ用フィルム、太陽電池裏面保護フィルム、各種部材の保護用フィルム等の素材として広く用いられている。
一般にこれらの部材は、ポリエステルフィルム単独で用いられることはなく、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、アルミニウム箔などの、ポリエステル以外の組成からなるフィルムと貼りあわせたり、インキを塗布したりする加工工程を経ることにより得られる。
ポリエステルフィルムの加熱収縮率が高い場合、加工後の部材ポリエステルフィルムの加熱収縮率由来の残留応力が働きやすい。その結果、貼りあわせ後の部材の端部から、デラミネーションのような不具合が起きたり、部材の寸法変化が起きたりする。その不具合を軽減するため、ポリエステルフィルムの加熱収縮率を低下させることが望まれている。
特許文献1には、ポリエステルフィルム製膜後にオフラインアニールを行うことで加熱収縮率を下げることで加熱収縮率を低減化することが記載されている。しかしながら、コスト上好ましくなく、加工工程が一つ増えるため歩留りも低下する。特許文献2には、ポリエステルフィルム二軸延伸時に弛緩ゾーンを設けることで、ポリエステルフィルムの加熱収縮率を下げる発明が記載されている。この方法によれば、コストを上げることなく、加熱収縮率を下げることが可能だが、ポリエステルフィルムにしわやたるみが生じやすく、外観上好ましくないという欠点がある。
また、上述の加工後の部材には、安全性の観点から難燃性が求められる。すなわち、部材に含まれる素材の一部であるポリエステルフィルムにも難燃性が求められる。
ポリエステルのような有機物は、着火源があると燃焼しやすい。着火の原因はさまざまだが、フィルムが帯電していると、火花が発生しやすい。そのため、特許文献2や特許文献3のように、帯電防止層を塗布法によりポリエステル上に設けたフィルムが好適に用いることが可能と考えられる。
しかしながら、ポリエステルフィルム自体に帯電由来の火花発生がなくても、火の発生源が他にある場合、ポリエステルフィルム自体に炎の自消性がないと炎の拡散防止が困難となる。帯電防止層を塗布によりポリエステルフィルム上に設けたポリエステルフィルムは、塗布層が低分子量体で構成されるため、炎がポリエステルフィルムに接炎したときに可燃性の低分子成分が揮発しやすく、炎が自消しにくいため用途上好ましくない。
特開2011−155110号公報 特開2012−094699号公報 特開2006−076212号公報 特開2003−048284号公報
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであって、その解決課題は、加熱収縮率が低く、優れた帯電防止性能を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することである。
本発明者は、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、非イオン性帯電防止剤を0.4〜1.1重量%含有するポリエステル樹脂組成物を少なくとも一方の最外層とする二軸配向積層ポリエステルフィルムであり、当該ポリエステルフィルム中に、有機系窒素化合物からなる結晶核剤を0.2重量%以上含有することを特徴とする二軸配向積層ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、加熱収縮率が低く、優れた帯電防止性能を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供できる。例えば、当該二軸配向ポリエステルフィルムは、難燃性を有することから、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、太陽電池裏面保護材用フィルムにも適用でき、その工業的価値は高い。
燃焼試験装置
本発明において、ポリエステルフィルムに使用するポリエステルはホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
一方、共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
いずれにしても本発明でいうポリエステルとは、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート単位であるポリエチレン−2,6−ナフタレート等であるポリエステルを指す。
特に好ましく使用されるポリエステルはポリエチレンテレフタレートである。本発明の結晶核剤はポリエステル樹脂の加水分解性を引き起こしやすいため、使用原料のポリエステル樹脂の極限粘度[dl/g]は、0.60以上が好ましく、0.65以上がさらに好ましく、0.70以上が特に好ましく、0.75以上が最も好ましい。上限については特に設けないが、生産性の観点から1.0以下が現実的である。
本発明のフィルムの少なくとも一方の最外層は、ポリエステル樹脂に帯電防止剤を添加したものである。最外層のポリエステル樹脂としては、前述のような各種ポリエステル樹脂を用いることができる。
帯電防止剤には、ドデシルベンゼンスルホン酸やその塩のようなアニオン系の帯電防止剤がある。このスルホン酸塩型の帯電防止剤は、帯電防止効果は高いものの、ポリエステル樹脂との相溶性が悪く、透明性や成形性、機械物性を低下させるため、好ましくない。
本発明においては、帯電防止剤として非イオン性帯電防止剤を用いる。非イオン性帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンあるきるエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、N,N−ビス(2-ヒドロキシエチル)アルキルアミン、N−2ヒドロキシエチル−N―2−ヒドロキシアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアマイドなどが挙げられる。その中でも、相溶性、透明性、成形性、機械物性の観点から、グリセリン脂肪酸エステルを用いることが望ましい。
本発明におけるグリセリン脂肪酸エステルのエステルとしては、モノエステルあるいはジエステルを主成分とすることが好ましいが、両者を用いても構わない。各々について説明する。
グリセリン脂肪酸モノエステルを構成する脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルシン酸、12−ヒドロキシオレイン酸などの炭素数が12〜22の脂肪族脂肪酸から選ばれた1種または2種以上の混合物を主成分とするものである。
これらグリセリン脂肪酸モノエステルは上記脂肪酸類とグリセリンとのエステル化反応または牛脂、豚脂、鶏脂、魚油、大豆油、コーン油、ナタネ油、パーム油、ヒマワリ油、サフラワー油、ヒマシ油あるいはそれらの水素添加油の1種または2種以上の混合物とグリセリンとのエステル交換反応によって得られた反応物を分子蒸留、溶剤分別、再結晶、カラムクロマトグラフ、超臨界ガス抽出などの方法により分別して得られるが、一般的には分子蒸留による所謂蒸留モノグリセライドが製造の簡便さ、品質および価格等の面から適当である。
グリセリン脂肪酸ジエステルを構成する脂肪酸としては、上述のモノタイプ同様、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルシン酸、12−ヒドロキシオレイン酸などの炭素数が12〜22の脂肪族脂肪酸から選ばれた1種または2種以上の混合物を主成分とするものである。
その原料も上記同様の脂肪酸類および油脂類が使用できる。ジグリセリン脂肪酸エステルはこれらの脂肪酸類とジグリセリンとのエステル化反応または油脂類とジグリセリンとのエステル交換反応によって得られ、必要に応じて減圧蒸留、分子蒸留、溶剤分別、カラムクロマトグラフなどの方法により未反応のジグリセリンあるいは副製するグリセリンやグリセリン脂肪酸エステルなどを除去精製して使用される。
本発明におけるグリセリン脂肪酸エステルにおいては、炭素数12未満の脂肪酸のエステルにおいては加工時の揮発性が大きく、得られたポリエステルフィルム内から帯電防止剤が揮発した分だけ消失していることから好ましくない。また炭素数22を超える脂肪酸は天然原料としては稀少で高価であり経済的ではない。さらに不飽和脂肪酸は製品の保管中に酸化され好ましくない臭いの発生あるいは製品の変色などの問題を起こすこともあり、飽和脂肪酸のエステルを使用することがより適当である。
少なくとも一方の最外層の非イオン性帯電防止剤の含有量は0.4重量%以上であり、0.5重量%以上がより好ましく、0.6重量%以上がさらに好ましく、0.7重量%以上が最も好ましい。最外層の非イオン性帯電防止剤が0.4重量%未満だと、帯電防止性が得にくい。上限については1.1重量%であり、好ましくは1.0重量%である。表面層の非イオン性帯電防止剤が1.1重量%より多いと、フィルムのヘーズが増大する。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂に有機系窒素化合物からなる結晶核剤を添加したものである。ポリエステル樹脂としては、前述のような各種ポリエステル樹脂を用いることができる。
本発明における有機系窒素化合物からなる結晶核剤としては、スルホンアミド化合物金属塩またはスルホンイミド化合物金属塩からなることが好ましい。
スルホンアミド骨格またはスルホンイミド骨格を有する化合物としては、例えば、スルホンアミド、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、トルエン−4−スルホンアミド、4−クロロベンゼンスルホンアミド、4−アミノベンゼンスルホンアミド、N−ブチル−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド、N−フェニル−ベンゼンスルホンアミド、N−フェニルーメチルーベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−ピリジン−2−イルベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−(5−メチル−チアゾール−2−イル)−ベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−(5−メチル−イソキサゾール−3−イル)−ベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−(2,6−ジメトキシ−ピリミジン−4−イル)−ベンゼンスルホンアミド、1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン1,1−ジオキシド、4−アミノ−6−クロロ−ベンゼン−1,3−ジスルホン酸ジアミド、6−エトキシ−ベンゾチアゾール−2−スルホン酸アミド、5−ジメチルアミノ−ナフタレン−1−スルホン酸アミド、4−ナトリウムオキシ−ベンゼンスルホンアミド、N−(4−ベンゼンスルホニルアミノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド等が挙げられ、本発明においては、ベンゼンスルホンアミド、トルエン−4−スルホンアミド、N−フェニル−ベンゼンスルホンアミド、N−フェニル−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド、1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン1,1−ジオキシドの金属塩であるものが好ましく用いられる。
上記スルホンアミド化合物またはスルホンイミド化合物の金属塩における金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、マンガン、鉄、亜鉛、珪素、ジルコニウム、イットリウムまたはバリウムから選択される金属が挙げられ、それらの中でも、カリウム、リチウム、ナトリウム、カルシウムは、ポリエステル樹脂の結晶化促進効果に優れているので好ましく、ナトリウムが特に好ましい。
ポリエステルフィルム中の結晶核剤の含有量は、0.2重量%以上が好ましく、0.4重量%以上がさらに好ましく、0.5重量%以上が最も好ましい。ポリエステルフィルム中の結晶核剤の含有量が0.2重量%未満だと、結晶核剤の効果が得られず、ポリエステルフィルムの加熱収縮率は低下しにくい。上限については特に設けないが、当該結晶核剤はポリエステル樹脂の加水分解を引き起こしやすいため、得られるポリエステルフィルムの極限粘度の低下を誘引する。その結果、ポリエステルフィルムの引き裂き強度が低下しやすくなるので、1.8重量%以下が好ましく、1.5重量%以下がさらに好ましく、1.0重量%以下が特に好ましい。
二軸延伸を行う前の未延伸ポリエステルシート中に結晶核剤を含有させる方法としては特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。あらかじめポリエステル樹脂と結晶核剤とを押出機に共に供給して溶融混合して得られたマスターバッチを、ポリエステルフィルム製造時に、結晶核剤を含有しないポリエステル樹脂と共に押出機に供給して、ダイより押し出された溶融シートを用いて冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得ても良い。また、ポリエステルフィルム製造時に、結晶核剤を含有しないポリエステル樹脂と、結晶核剤とを押出機に供して溶融混合することでダイより押し出された溶融シートを用いて冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法でもよい。
マスターバッチを製造するための押出機、およびポリエステルシートを溶融押出しするための押出機は、ベント付二軸押出機であることが好ましい。結晶核剤が水分を含有しやすいため、脱気効率の優れたベント付二軸押出機を用いることで、ポリエステル樹脂の加水分解が軽減し、ポリエステルフィルムの極限粘度の低下抑制となる。
本発明におけるポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらにポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等の何れを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
使用する粒子の平均粒径は0.1〜5μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.5〜3μmの範囲である。平均粒径が0.1μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分となることがあり、一方、5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において不具合を生じることがある。
さらにポリエステル中の粒子含有量は、0.01〜5重量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.01〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.01重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分になる場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルム表面の平滑性が不十分になる場合がある。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、押出機を用いて、ダイより押し出された溶融シートを用いて冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法がよい。その際、前述のように、押出機は脱気効率の高いベント付二軸押出機が好ましい。
ベント付二軸押出機の脱気効率は、一定の押出量に対しスクリュー回転数の高い方が良好であると言える。すなわち、一定の押出量に対し、スクリュー回転数を増大させるとスクリュー表面に存在するポリエステルの表面を強制的に更新することができ、その分、溶融ポリエステルからの脱気効率が増大することになる。そして、その結果、ポリエステルの極限粘度の保持率が改善される。
ベント付二軸押出機のシリンダーの内径(直径)をD(mm)とした際、単位時間当たりの押出量Q(kg/h r)とスクリュー回転数N(rpm)とが次の式(I)、好ましくは次の(II)式、さらに好ましくは次の(III)式を満足する条件下に溶融押出しを行う。このような条件を満足することにより、スクリューの剪断作用による過度の発熱を抑制しつつ脱気効率を高め、ポリエステルの極限粘度低下を防止することができる。
Figure 0006273711
Figure 0006273711
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次の(IV)式に示す条件では、回転数が押出量に対して高すぎるため、スクリューの剪断による発熱が過多となり極限粘度保持率が悪化する傾向がある。また、次の(V)式に示す条件では、回転数が押出量に対して低すぎるため、減圧下での溶融樹脂表面の更新度が低下して十分な脱気が行えずに極限粘度IV保持率が悪化する傾向がある。
Figure 0006273711
Figure 0006273711
実質的に未乾燥のポリエステルを使用した場合、当該ポリエステルの内部の水分は、ベント孔からの減圧作用によって脱気される。水分の脱気効率を高めるため、ベント孔の減圧度は、通常40mmHg以下、好ましくは30mmHg以下、さらに好ましくは10mmHg以下とされる。
ダイより押し出された溶融シートを用いて冷却ロールで冷却固化して得られた未延伸シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。
その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7.0倍、好ましくは3.0〜6.0倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常130〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7.0倍、好ましくは3.5〜6.0倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。また、同時二軸延伸を行うことも可能である。同時二軸延伸法としては前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で縦方向(あるいは機械方向)および横方向(あるいは幅方向)に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。
上述の延伸方式を使用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。「スクリュー方式」はスクリューの溝にクリップを乗せてクリップ間隔を広げていく方式である。「パンタグラフ方式」はパンタグラフを用いてクリップ間隔を広げていく方式である。「リニアモーター方式」はリニアモーター原理を応用し、クリップを個々に制御可能な方式でクリップ間隔を任意に調整することができる利点を有する。
さらに同時二軸延伸に関しては二段階以上に分割して行ってもよく、その場合、延伸場所は一つのテンター内で行ってもよいし、複数のテンターを併用してもよい。同時二軸延伸法としては、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。
本発明のポリエステルフィルムは、製膜時の塗布由来の不具合を抑制する観点から、ポリエステルフィルム製膜時に塗布層を設けないほうが好ましい。すなわち、上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施さないほうが好ましい。
本発明においては、ポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることが好ましい。層の構成としては、非イオン性帯電防止剤を含む原料Aとポリエステル原料Bとを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにC原料を用いてA/B/C構成またはそれ以上に層の数を増やした構成のフィルムとすることができる。非イオン性帯電防止剤を含む原料Aについては、少なくともポリエステルフィルムの片方の面にあることが望ましい。
A/B/A構成やA/B/C構成としたときに、ポリエステル原料Bにも非イオン性帯電防止剤を含んでも構わないが、帯電防止性能も飽和し、またヘーズも増大するということから好ましくない場合がある。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではないが、通常、20〜350μm、好ましくは30〜300μmの範囲がよい。
ポリエステル原料Aを含む層の厚さは、帯電防止性などの機能性と透明性の観点から、一般に片側で1−50μmとする。通常は、フィルム全厚さのうち表面層厚さは2−20%、好ましくは5〜15%程度で目的を達成できる。
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。なお、フィルムの諸物性の測定および評価方法を以下に示す。
(1)極限粘度[dl/g]
測定試料1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量部)の溶媒に溶解させて濃度c=0.01g/cmの溶液を調製し、30℃にて溶媒との相対粘度ηを測定し、極限粘度:IV[dl/g]を求めた。なお、Huggins定数を0.33と仮定した。
(2)加熱収縮率[%]
無張力状態で150℃雰囲気中30分間、熱処理しその前後のサンプルの長さを測定することにより次式にて計算した。評価は、長手方向(MD)に対して検討した。
加熱収縮率(%)=(L1−L0)/L0×100
(上記式中、L1は熱処理前のサンプル長(mm)、L0は熱処理後のサンプル長(mm)である)
結晶核剤を含有しないポリエステルフィルムの加熱収縮率をコントロール値、結晶核剤を含有するポリエステルフィルムの加熱収縮率をターゲット値として、下記基準にてランク付けする。
SS:ターゲット値÷コントロール値×100≦80
S;80<ターゲット値÷コントロール値×100≦90
A:90<ターゲット値÷コントロール値×100≦94
B:94<ターゲット値÷コントロール値×100≦97
C:97<ターゲット値÷コントロール値×100≦100
(3)結晶化度[%]
得られたフィルムの中央より重量が6gとなるようにサンプルを採取し、島津製作所製アキュピック1330を用いて、密度:d(g/cm3)を求める。得られた密度:d(g/cm3)から、下記式により、結晶化度:χc(%)を求める。
Figure 0006273711
Figure 0006273711
Figure 0006273711
(4)ヘーズ[%]
ヘーズメータ(日本電色製 NDH−300A)により、フィルムのヘーズを測定した。
(5)引裂強度[gf]
東洋精機製作所(株)のエルメンドルフ引裂試験装置を使用する。打ち抜き機にて、幅=76mm 長さ=63mm R=43mmのサンプル試験片を作成する。試験条件は下記とし、得られたデータを1枚当たりの引き裂き強度に換算する(試験時に重ねる枚数:10で除する)。評価は、長手方向(MD)に対して検討した。N=3回測定し、その平均値を求めた。
持ち上げ角:70
空振り角:70
引裂係数:2880
枚数:10
(6)帯電防止性
ポリエステルフィルムの表面固有抵抗を、ヒューレットパッカード社製固有抵抗測定器(HP4339B)を使用し、測定温度23℃、測定湿度50%の条件で、印加電圧100Vで1分後の表面固有抵抗値(Ω/□)を測定する。
◎:1×1012Ω/□未満
○:1×1012Ω/□以上1×1013Ω/□未満
△:1×1013Ω/□以上1×1014Ω/□未満
×:1×1014Ω/□以上
(7)難燃性
I 試験片作成
フィルム試験片として、200mm×50mmに裁断し、試料の一端(下部)から125mmの所で、試料の幅を横切って標線を入れる。試料の縦軸を直径12.7mmのマンドレルの縦軸に硬く巻きつけて、125mmの線が外側に露出する、長さ200mmの巻かれた円筒になるようにする。試料の外にはみ出た縁は、125mmの標線(筒の上部)の上方75mmの間で、粘着テープにより固定する。そしてマンドレルを引き抜く。
II 状態調節
上記で得られた試験片を、23℃および50%の相対湿度で、48時間前処理をする。
III 燃焼試験手順
(i)試験片固定
図1に示すように、試料の縦軸を垂直にして、上端の長さ6mmの位置で、強いスプリング付きのクランプで固定し、筒の上端が閉じて試験中に煙突効果を生じないようにする。試料の下端は、最大厚が6mmの厚さにした、1枚の水平な0.05gの脱脂100%の綿(50mm×50mm)より、300mm上にあるようにする。図1参照。
(ii)バーナーの調整
バーナーから高さ20mmの青炎が出るように調整する。その炎を出すためにはガスの供給とバーナーの空気入口を調整して、20mmの先端が黄色い青い炎が出るようにする。そして黄色の先端が丁度消えるまで空気の供給を増やす。再度炎の高さを測定して、必要に応じて再調節をする。なお、バーナーへのメタンガス供給は、ASTMD5207に準じた方法で流量を調整する。
(iii)一回目の接炎
炎は、試料の巻かれていない方の下端の中心点を中心にあて、バーナーの先端は試料の下端のその点から10mm下にあるようにして、その距離で3秒続ける。ただし、試料の長さまたは位置のあらゆる変化に応じてバーナーを移動させる。接炎中に溶融または発煙物質が滴下する場合は、バーナーの角度を45度までの範囲で傾けて、バーナーの管の中にその物質が落下するのを防ぐのにちょうど十分なだけ試料の下から移動させる。しかし、その間もバーナーの先端の中心と試料の残存部分間は10mm±1mmの間隔を保たなければならない。試料に3秒間接炎すると、直ちにバーナーを試料から毎秒約300mmの速度で少なくとも150mm遠ざけて、同時に計時装置により残炎時間tを秒で計り始める。そしてそのtを記録する。
(iv)二回目の接炎
試料の残炎が消滅した時点で(バーナーを試料から150mm離れたところまで完全に取り去っていない状態であっても)、直ちにバーナーを試料の下に持ってきて、試料の残りの部分から10mm±1mm離れた箇所にバーナーを保持しておく。ただし、必要に応じてバーナーを動かして、妨害物のない状態で落下物の自然挙動が確認できるようにする。この試料に3秒の接炎を行った後、直ちに毎秒約300mmの速度で少なくとも150mm遠ざけて、同時に計時装置により残炎時間tを秒で計り始める。
(V)難燃性評価基準
試験片5本に対し、I〜IIIの手順で試験を行う。5本中最も基準の低くなった評価を、サンプルの評価値とした。
Figure 0006273711
次に以下の例で使用したポリエステル原料について説明する。
ポリエステルフィルムを構成するポリエステル原料例は以下のとおりである。
<ポリエステル原料(1)の製造法>
スラリー調製槽、およびそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、および2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールをそれぞれ毎時865重量部、485重量部で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3重量%エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりの燐原子としての含有量が0.129モル/樹脂tとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製した。このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力50kPa(0.5kg/cm)、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力5kPa(0.05kg/cm)、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。また、その際、第2段目のエステル化反応槽に設けた上部配管を通じて、酢酸マグネシウム4水和物の0.6 重量% エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりのマグネシウム原子としての含有量が0.165モル/樹脂tとなる量で連続的に添加すると共に、第2段目のエステル化反応槽に設けた別の上部配管を通じてエチレングリコールを毎時60重量部連続的に追加添加した。
引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を連続的に溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のエステル化反応生成物に、テトラ−n−ブチルチタネートを、チタン原子の濃度0.15重量%、水分濃度を0.5重量%としたエチレングリコール溶液として、得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が0.084モル/樹脂tとなる量で連続的に添加しつつ、270℃、絶対圧力2.6kPaに設定された第1段目の溶融重縮合槽、次いで、278℃、絶対圧力0.5kPaに設定された第2段目の溶融重縮合槽、次いで、280℃、絶対圧力0.3kPaに設定された第3段目の溶融重縮合槽に連続的に移送して、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.65dl/gとなるように各重縮合槽における滞留時間を調整して溶融重縮合させ、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口から連続的にストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してチップ状粒状体を得た。末端カルボキシル基量は14当量/tであった。
上記ポリエステルチップを出発原料とし、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるように連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下215℃で、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.82dl/g)となるように滞留時間を調整して固相重縮合させ、ポリエステル原料(1)のポリエステルチップを得た。
<ポリエステル原料(2)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が5g/樹脂tとなる量で加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2 .5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、粒子のポリエステルに対する含有量が3.0重量%となるように添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.60に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下でポリエステル(2)のストランドを吐出させ、カッターにて裁断し、ポリエステル原料(2)のポリエステルチップを得た。極限粘度は0.64dl/gであった。
<ポリエステル原料(3)の製造法>
ポリエステル原料(1)を80重量%、グリセリンパルチミン酸エステルとグリセリンステアリン酸エステル=50/50とした混合物の20重量%を、ベント付き二軸押出機にて290℃にて溶融混練りしてチップ化を行い、グリセリン脂肪酸エステルマスターバッチとしてポリエステル(3)を作成した。
実施例1:
上記ポリエステル(1)、ポリエステル(2)、ポリエステル(3)、および1,2−ベンズイソチアゾール3(2H)−オン1,1−ジオキシドナトリウムを93.0:4.0:2.5:0.5の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(A)の原料とし、上記ポリエステル(1)および1,2−ベンズイソチアゾール3(2H)−オン1,1−ジオキシドナトリウムを99.5:0.5の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(B)の原料とした。双方の原料を二軸押出機中290℃で溶融混練し、得られた溶融体を多層Tダイ内でA/B/A=2.5/45.0/2.5の構成比となるように合流させてスリット状に押出しする。静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の2種3層からなる積層シートを得た。
このときの、ポリエステルA層を形成するときの押出機の条件は、シリンダー内径Dは30mm、吐出量Qは10kg/hr、スクリュー回転数Nは100rpm、ベント孔の減圧度は5mmHgとした。ポリエステルB層を形成するときの押出機の条件は、シリンダー内径Dは44mm、吐出量Qは30kg/hr、スクリュー回転数Nは100rpm、ベント孔の減圧度は5mmHgとした。得られたシートを縦方向に83℃で3.3倍延伸した後、予熱/横延伸/熱固定1/熱固定2/熱固定3/冷却の各ゾーンにおける温度[℃]を95/110/200/221/180/125℃に設定したテンターに導くことで、横方向に3.8倍延伸し、フィルム製膜を行った。得られたフィルムの平均厚さは50μmであった。
実施例2〜11:
下記表2および3に示す原料配合とすることを除き、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。
実施例12:
上記ポリエステル(1)、ポリエステル(2)、ポリエステル(3)、および1,2−ベンズイソチアゾール3(2H)−オン1,1−ジオキシドナトリウムを90.5:4.0:5.0:0.5の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(A)の原料とし、
上記ポリエステル(2)、および1,2−ベンズイソチアゾール3(2H)−オン1,1−ジオキシドナトリウムを99.5:0.5の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(B)の原料とし、上記ポリエステル(1)、およびポリエステル(2)、および1,2−ベンズイソチアゾール3(2H)−オン1,1−ジオキシドナトリウムを99.5:4.0:0.5の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(C)の原料とした。各々の原料を二軸押出機中290℃で溶融混練し、得られた溶融体を多層Tダイ内でA/B/C=2.5/45.0/2.5の構成比となるように合流させてスリット状に押出しする。静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の3種3層からなる積層シートを得た。このときの、ポリエステルA層およびポリエスエルC層を形成するときの押出機の条件は、シリンダー内径Dは30mm、吐出量Qは10kg/hr、スクリュー回転数Nは100rpm、ベント孔の減圧度は5mmHgとした。ポリエステルB層を形成するときの押出機の条件は、シリンダー内径Dは44mm、吐出量Qは30kg/hr、スクリュー回転数Nは100rpm、ベント孔の減圧度は5mmHgとした。得られたシートを縦方向に83℃で3.3倍延伸した後、予熱/横延伸/熱固定1/熱固定2/熱固定3/冷却の各ゾーンにおける温度[℃]を95/110/200/221/180/125℃に設定したテンターに導くことで、横方向に3.8倍延伸し、フィルム製膜を行った。得られたフィルムの平均厚さは50μmであった。評価結果を下記表3に示す。
比較例1〜4:
下記表4に示す原料配合とすることを除き、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。
比較例5:
ポリトリメチルアミノエチルメタクリレート4級化物/けん化度=88モル%、重合度=500のポリビニルアルコール/メトキシメチロールメラミンである、大日本インキ化学工業製ベッカミン/平均粒径0.05μmのシリカゾルを、固形分換算の重量組成比で40/20/35/5の割合で含有する水溶液をあらかじめ用意した。上記ポリエステル(1)、ポリエステル(2)、ポリエステル(3)、および1,2−ベンズイソチアゾール3(2H)−オン1,1−ジオキシドナトリウムを93.0:4.0:2.5:0.5の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(A)の原料とし、上記ポリエステル(1)および1,2−ベンズイソチアゾール3(2H)−オン1,1−ジオキシドナトリウムを99.5:0.5の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(B)の原料とした。双方の原料を二軸押出機中290℃で溶融混練し、得られた溶融体を多層Tダイ内でA/B/A=2.5/45.0/2.5の構成比となるように合流させてスリット状に押出しする。静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の2種3層からなる積層シートを得た。このときの、ポリエステルA層を形成するときの押出機の条件は、シリンダー内径Dは30mm、吐出量Qは10kg/hr、スクリュー回転数Nは100rpm、ベント孔の減圧度は5mmHgとした。ポリエステルB層を形成するときの押出機の条件は、シリンダー内径Dは44mm、吐出量Qは30kg/hr、スクリュー回転数Nは100rpm、ベント孔の減圧度は5mmHgとした。得られたシートを縦方向に83℃で3.3倍延伸した後、この縦延伸フィルムの上面に上記水溶液を塗布し、予熱/横延伸/熱固定1/熱固定2/熱固定3/冷却の各ゾーンにおける温度[℃]を95/110/200/221/180/125℃に設定したテンターに導くことで、横方向に3.8倍延伸し、フィルム製膜を行った。得られたフィルムの平均厚さは50μmであった。また、乾燥後の塗布層の厚みは0.05μmであった。表4に結果を示す。
Figure 0006273711
Figure 0006273711
Figure 0006273711
本発明によれば、結晶核剤を有する、加熱収縮率の低い帯電防止性を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供できる。例えば、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、太陽電池裏面保護材用フィルムにも適用でき、その工業的価値は高い。
1 クランプ
2 粘着テープ
3 125mm標線
4 バーナー
5 綿

Claims (4)

  1. 2層または3層以上の積層ポリエステルフィルムであって、少なくとも一方の最外層が、非イオン性帯電防止剤を0.4〜1.1重量%含有するポリエステル樹脂組成物からなり、他の層がポリエステル樹脂組成物からなる二軸配向積層ポリエステルフィルムであり、当該ポリエステルフィルム中に、有機系窒素化合物からなる結晶核剤を0.2重量%以上含有し、当該最外層および当該他の層に当該結晶核剤を含有することを特徴とする二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  2. 前記有機系窒素化合物からなる結晶核剤が、スルホンアミド化合物金属塩およびスルホンイミド化合物塩から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  3. 前記非イオン性帯電防止剤が、グリセリン脂肪酸エステルである請求項1または2に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  4. 無張力状態で150℃雰囲気中30分間熱処理した加熱収縮率が2.1%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
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